第二話【夢叶いし少年たちの行方】
――2004年 11月17日 プロ野球新人選手選択会議――

アナ「さあ、今年も行われます。ストーブリーグ最大の目玉ドラフト会議です。
   今回から近鉄が消え、楽天が入りましたので今年の順番は少々ややこしいです。
   それでは早速参りましょう。最初は横浜からです。」

第1回選択希望選手横浜
吉沢 琢也(よしざわ たくや)22歳 投手 福岡天神大学
吉沢 琢也
大学野球NO.1左腕といわれ大学時代の成績は19勝5敗 防御率2.24。
MAXは143キロと並だが4種類の変化球と抜群のコントロールを持つ。

アナ「横浜は予想通り自由獲得枠で吉沢を取ってきました。」

第1回選択希望選手オリックス
金田 義雄(かねだ よしお)21歳 投手 笹尾自動車
金田 義雄
社会人でもトップレベルの投球術とMAX149キロの速球が武器。
スローカーブを主に緩急を付けるのも得意。

アナ「オリックスもこれまた自由獲得枠。社会人の金田を取ってきました。」

第1回選択希望選手広島東洋
木村 弘樹(きむら ひろき)18歳 投手 秋田体育高校
木村 弘樹
大きく曲がるカーブを武器に甲子園で三振をとりまくった。
未熟な部分も多く将来が期待の選手。

アナ「広島は秋田のエース木村選手を指名してきました。」

第1回選択希望選手千葉ロッテ
柏原 慎太郎(かいばら しんたろう)24歳 投手 駒野電気
柏原 慎太郎
ノビのあるMAX152キロの速球が一番の武器。
今まで指名されなかった原因のコントロールもある程度克服。

アナ「ロッテは柏原ですね。制球難を克服すればプロでも通用するでしょう。」

第1回選択希望選手阪神
辻神 信治(つじがみ のぶはる)27歳 投手 沖縄ガス
辻神 信治
ピンチ、左に強くクイックはプロでもトップレベルといわれている。
起用は中継ぎ、ワンポイントが主と思われる。

アナ「便利屋辻神が阪神一位ですね。」

第1回選択希望選手北海道日本ハム
来栖 亮平(くるす りょうへい)18歳 投手 宮城工業高校
来栖 亮平
身長196センチから投げられる150オーバーの速球は驚愕の一言。
ピークに達したとの意見もあるがそれは今後の努力次第。

アナ「日ハムは来栖を指名。指名の重複はあるのでしょうか?」

第1回選択希望選手読売
諏訪 修吾(すわ しゅうご)21歳 投手 オルデクス
諏訪 修吾
多彩な変化球、MAX147キロの直球、完投出来るスタミナをもつ万能選手。
激しい競合の末読売が本人の了承を得た。

アナ「巨人は社会人の強豪オルデクスのエースを指名してきました。」

第1回選択希望選手福岡ダイエー
森川 大樹(もりかわ だいき)18歳 投手 京都芸術高校
森川 大樹
MAX138キロのアンダースロー。ジャイロボールはなかなか曲者。
下から浮き上がりそこから落ちるチェンジアップは攻略しづらい。

アナ「ダイエーは京都のサブマリンこと森川選手を指名して来ました。」

第1回選択希望選手ヤクルト
佐藤 飛鳥(さとう あすか)22歳 内野手 志摩大学
佐藤 飛鳥
三塁手。足は遅いが一発がある長距離打者。
チャンスにも強く最初は代打要因か

アナ「ここにきてはじめての野手。長距離打者の佐藤選手。」

第1回選択希望選手中日
桑谷 利哉(くわたに としや)28歳 投手 甲信越鉄道
桑谷 利哉
切れ味抜群のフォークを武器に社会人の大魔神と呼ばれた。
抑え不足の中日のキーマンとなるか?

アナ「中日は桑谷選手。抑え不足を払拭できるか?」

第1回選択希望選手西武
隈川 涼太(くまかわ りょうた)18歳 横浜体育高校
隈川 涼太
高校屈指のコントロールを武器に甲子園を勝ちあがった投手。
最後は来栖に敗れたが今年の夏の大会一番の名ゲームといわれている。

アナ「制球力抜群の高校生隈川選手が今年日本一の西武の一位です。」

第1回選択希望選手楽天
井ノ川 春樹(いのかわ はるき)22歳 関東大学
井ノ川 春樹
MAX155キロの速球を投げる速球派右腕。
来期参入の楽天の柱となれるか?

アナ「楽天は今ドラフト最大の目玉井ノ川選手を獲得しました。
これにて第1回指名はすべて終了。指名は以下の通りです。」

横 浜
吉沢 琢也
投 手
オリックス
金田 義雄
投 手
広島東洋
木村 弘樹
投 手
千葉ロッテ
柏原 慎太郎
投 手
阪 神
辻神 信治
投 手
日本ハム
来栖 亮平
投 手
読 売
諏訪 修吾
投 手
福岡ダイエー
森川 大樹
投 手
ヤクルト
佐藤 飛鳥
内野手
中 日
桑谷 利哉
投 手
西 武
隈川 涼太
投 手
楽 天
井ノ川 春樹
投 手


アナ「それでは重複もなかったようですので二順目に参りましょう。」

第2回選・・・・・


アナ「さあドラフト会議も三順目の三番目、福岡ダイエーまで来ました。
   次の西武で三順目の指名が終わりますのでそこでテレビ中継は終わらせていただきます。」


第3回選択希望選手西武
久住 純一(くずみ じゅんいち)18歳 投手 カルフォルニアナショナルハイスクール

アナ「カルフォルニア・・・アメリカの高校ですね。帰国子女でしょうか?それとも野球留学?
   いずれにしても聞いた事のない名前ですね。えっとデータは入りませんか?
   時間がない?分かりましたそれではこの辺でテレビ中継は終わらせていただきます。」


話は戻り2004年1月
久住「みんな、話がある。」
スコット「なんだ?」
ジョー「今話さなければいけないことか?」
久住「ああ、実は・・・・・俺は一年ほどバンドから抜けてその後も
年に三ヶ月ほどの活動に抑えたいと思っている。」
スティーブン「!!!??、何を急に!」
久住「本当にすまないと思っている。」
ジョー「・・・・・訳を・・・・話してくれるな?」
久住「ああ。・・・・・俺は日本のプロ野球に挑戦したいと思ってる。」
スティーブン「はあ!?それこそなんで!?アメリカの1Aから始めればいいじゃないか。」
久住「俺はあの来日コンサート終了の翌日、みんなと別行動をとったよな?」
スコット「ああ、それがどうかしたか?」
久住「俺はあの日、アメリカでいうワールドチャンピオンシップを見てきた。」
ジョー「日本シリーズというやつだな?」
久住「ああ、そこで俺はメジャーにはない何かを見た気がした。」
スティーブン「なんだ?それは。」
久住「分からない。だからそれを探しに行きたいんだ。」
ジョー「本気なのか?」
久住「ああ。あそこで見た何かを、俺は見つけたい。」
スコット「・・・・・・・・・分かった。」
スティーブン「スコット!?自分が何を言ってるのか分かっているのか?」
久住「すまない。」
スティーブン「ちょっと待て!人の話を!
スコット「聞くのはお前だ!!スティーブン!!!」
スティーブン「!!??!?」
スコット「いいか?こいつのやりたいことを俺たちがどうこう言う筋合いはねえ!
人のやることに他人がむやみに干渉していいもんじゃねえ!!」
スティーブン「・・・・・・・・・・わかったよ。俺が悪かった。」
スコット「それでいいか?ジョー。」
ジョー「もちろんだ。それにお前が日本に行けば来日する理由が増えるわけだ。」
久住「ははは。ジョーらしいな。・・・・ありがとう。」
スコット「それはいいがいくら日本でも簡単にプロにはなれんだろう?
その辺はどうするつもりだ?」
久住「ああ、その辺は高校で日本のスカウトにアピールしてそれでも
ドラフトに引っかからなければ入団テストでも受けるよ。」
スコット「そうか。がんばれよ。」
久住「ああ、オフには必ず帰る。その時は活動しよう。」
ジョー「おう!土産頼んだぞ〜。」
久住「ははは。任せとけ。」
スコット「作詞、作曲はいつもお前なんだ。それぐらいは日本でやっとけよ。」
久住「ダイジョブダイジョブ。」

それから俺は約8ヶ月野球に熱中。幸い今年は近くのメジャーチームが活躍してたため
よくスカウトも学校に来ていた。国際学校というのもあったのだろう。
高校生で見るのは普通は日本人だから普通の学校じゃ滅多にいない。

両親の許可をもらった俺は母方の妹さん、蓮宮 恵美子さんの家に自立できるようになるまで
面倒になることになった。後々恩返しはする気だし金には困ってないんだがな。印税とかで。
そして運命のドラフト会議で俺は西武に三位で指名された。
断る理由のない俺は球団の申し込みで即答で了承。
後に球団関係者との話で契約金5300万、年俸750万ということになった。

そして入団会見は12月10日に行われた。その席で

記者「久住選手にお聞きします。」
久住「なんでしょうか?」
記者「久住選手はもしかして【スティール】の瀬田 祐樹さんではないですか?」
久住「・・・・・・どういうことですか?」
記者「【スティール】は10ヶ月前にニュースで突如活動の大幅縮小を発表。
   そして久住選手は5ヶ月前程にアメリカで西武のスカウトが発見。
   しかも顔、声共にヴォーカル瀬田 祐樹さんに似ているといったら疑うほかないでしょう。」
久住「・・・・・・・・・」
記者「実際のところどうなんですか?」
司会「本日は入団会見なのでご関係のない質問は・・
久住「いや、お答えします。隠す必要もないですし。」
記者「それで、どうなんですか?」
久住「仰るとおり私はあの瀬田 祐樹の本名、久住 純一です。」
カシャカシャとフラッシュのたく音とメモ帳に書く記者の姿が見える。
記者「一体何故日本のプロに挑戦しようと?」
その質問に俺はメンバーとの会話を話した。
記者「それでは日本でソロ活動を行う気は?」
久住「そんなことする訳ないでしょう!!それがメンバーへのせめてもの恩返しだ。」
記者「それではファンは納得しませんよ。」
久住「しようがしまいが俺はソロはしない!それがメンバーへのせめてもの恩返しだ!!・・・・
すいません。少し感情的になりすぎました。」
記者「わ、分かりました。こちらこそどうもすいません。」

このあとは新人たちの将来の目標等で何とかこのムードを払拭。
季節はついに春キャンプへと突入する。