第12話 偵察
 
19:00 練習を終えて、帰宅する明清学園の野球部員。
箕輪「今日も練習、疲れたな〜」
風岡「本当に疲れたな。まぁ明日は練習は休みだから放課後は羽を伸ばせるし、いいんじゃないか?」
村木「よし!明日はリフレッシュするか!!」
松山「おいおい、練習が休みといっても、部活はあるぜ。」
箕輪、風岡、村木「なーんだ↓↓」
松山「ちなみに明日は偵察だから、体は休めるけどな。」
箕輪「せっかく、新作のパワプロ買ったのに…」
細野「まぁまぁ。秋大会を勝ち進むためにも練習試合や練習だけじゃなくて偵察も必要になるんだろう。」
風岡「キャッチャーの俺としては、相手チームを知るのは一番大切だから、勉強と思えば…」
箕輪「まぁ、今更ウダウダ言っても偵察が中止になるわけじゃないし、気持ちを切り替えますか。」
村木「とりあえず、明日はどこを見に行くのかが楽しみだな♪」
 
そして、翌日…
監督「全員集合!!」
 
ザッ!!
監督「今日は、練習が休みだが秋の新人戦に向けて偵察に行こうという事で全員に集合してもらったのだ。」
村木「監督?今日はどこのチームに偵察に行くんですか?」
監督「今日は流星高校に偵察に行く。」
箕輪「監督、流星ならマークする必要はないのでは?過去6年間はベスト16にも入っていないチームなんですよ。」
監督「ところがそうもいかない。今年の春に即戦力の1年生が3人入ったらしくて、新人戦で使われる可能性が高い。」
村木「もしかして、亀田と龍堂と妹尾の事ですか?」
監督「そうだ。1年生にしては、かなりの実力を持っているらしい。ここ数年の実績を見て、流星高校の野球部も幅広く部員を入れるようになったから、手ごわいぞ。」
風岡「要するに、新人戦に向けてその3人をマークするも同然ということか。」
箕輪「まぁ、俺が抑えてやるけどな。」
監督「それじゃあ出発するぞ!!」
全員「はい!!」
 
流星高校野球部グラウンド スタンド内
監督「以前連絡した通り、本日野球部の練習を見学に来た明清学園高校野球部の者です。」
流星高校監督「ええ、構いませんよ。」
監督「ありがとうございます。じゃあ、各自邪魔にならない所で見学して来い。」
箕輪「見学という名の偵察ですね。」
 
ポカッ!
箕輪「いてっ!!」
監督「声が大きいわ、バカモン!!」
箕輪「グーパンチで殴らなくても…にしても、結構設備が整ってるなぁ。野球部専用の球場があるってだけで驚きだ。」
細野「走塁系の練習だけ良いって訳じゃないんだな。」
風岡「そして、練習を見る限り足の速い選手だけじゃなさそうですね。」
村木「今までの流星高校だったら俊足の選手ばっかりだったけど、何でもそれだけじゃ勝てないと言う理由で足の速さだけでなく、スイングスピード、打球・投球への反応速度、球のスピードなどあらぬスピードで突出してる選手も受け入れるようになったらしいぞ。」
松山「現に、入団テストの内容も50m走のタイムでいい成績を残さなくても、他でカバーすれば合格できるようになったっていうのもそういう事情があってのことだからな。」
 
流星高校野球部グラウンド内
龍堂「何か、他の野球部の奴がスタンドに来てるぜ。」
亀田「そんなん、関係ないやろ。いつも通り練習をこなせばいいだけじゃ。」
妹尾「まぁ、気楽にやろうぜ。」
 
龍堂 亮(りゅうどう りょう)
両親が事故で亡くなり、その後祖父母も亡くなり、二人の妹と弟と自分の三人きりの家族で生活をしている。
生活費を叔父の仕送りとバイトで賄っている苦労人。
性格はハングリー精神があり、優しい性格だが試合になるとクールになる。
父に野球を教えてもらい、試合前には必ず墓参りにいく。

亀田 竜輝(かめだ りゅうき)
関西出身で明るいが敬語を全く使わずビッグマウスで自信家だが人一倍の努力家であり人付き合いも良い。
選手としては、走攻守揃っており、特に バッティングは3割30本を超える。また動体視力も優れている。
 
妹尾 雅司(せのお まさし)
性格は明るいが悲観主義で空気の読めない男だが優しい性格である。
彼はとあるシニアに所属していたが、そのシニアは弱小で1回戦負けが多く彼が活躍しても誰も見向きもせず結局無名校に入学することになった。
中学時代に自転車部に所属していた陸には先輩風を吹かせている。

龍堂「さてと、投げ込むか。」
 
シュッ!ズバーン!!
箕輪「速い球だな…俺よりも球速出てる。」
 
シュッ!ククッ!!
箕輪「あれはSFFか。正直、打ちづらいぞ。」
風岡「本当にあれで同じ1年生なのか?」
 
総合練習
亀田「いっちょかましてくるか。」
 
シュッ!!
 
カーン!!
亀田「よっしゃ、外野越えた!!」
 
タタタタタタタッ!!
亀田「3つ狙うで!!」
 
ズザーッ!!
亀田「しゃーっ!!三塁打や!!」
松山「あれが噂の亀田か。」
細野「走攻守に優れた1年が入ったとは聞いたが、ここまで良いとはな。」
妹尾「ふん!」
 
カーン!!ドンッ!!
 
妹尾の打球はバックスクリーンに叩き込まれた。
妹尾「これで5連発か♪今日は調子がいいな。」
全員「ゾゾーッ」
 
そして、練習見学後。
箕輪「他校の練習を見るのもたまには良いもんだな。」
風岡「にしても、流星高校侮れないな。」
村木「こんなにも実力があるとは思わなかったよ。」
松山「特にあの1年生、3人は目立っていたからな。」
細野「こんなチームが出てきたら、今年の夏みたいに決勝まで行けるのも怪しいな。」
周「先輩の果たせなかった夢を果たさなきゃいけないのに、決勝まで行くのも怪しいだなんて、弱気な事、言ってられないですよ。」
箕輪「そうだ、3年生の先輩たちの果たせなかった夢を果たさなきゃいけないんだ。」
風岡「その為には、明日の練習から気合を入れないとな。」
監督「今日を入れて、秋大会まで1ヶ月ないんだ。明日からの練習はより厳しくなるが、気合を入れて臨んでほしい。今日は以上だ!!」
全員「お疲れ様でした!!」