今日は夏の大会の決勝戦
箕輪「さあ決勝戦だ!頑張って甲子園に行くぞ!」
風岡「さあ今日はじっくりと抑えていくぞ。帝王実業だからな。」
沢井「ここは熱くなりすぎずに冷静に行こう。」
箕輪「にしても今日のスタメンは凄いな…意外な人がこれまた意外なポジションを
守っているとはな。」
風岡「そうだな。公式戦でキャプテンが外野なんて考えられなかったわ。」
松山「キャプテンや東條さんは1年生の時は公式戦のときも外野手だったからな。そ
の後に転向したんだ。」
箕輪「松山先輩久しぶりの出番ですね。」
松山「あぁ。だから今日はいつもより活躍するぞ!」
箕輪「頑張ってくださいね。僕も完封を狙うんで。」
監督「さぁ雑談はここまでだ。そろそろ試合開始だぞ。集中していけよ!」
全員「はい!」

主審「集合!」
沢井「行くぞ!」
全員「オー!」

主審「これから明清学園と帝王実業の決勝戦を始めます。お互いに礼!」
両チーム「お願いしまーす!」

アナ「さあ運命の決勝戦が始まりました。両チームともここまで勝ち上がってきた強
者達です。本日の解説は現在は楽天のコーチで日本ハムで活躍していた笠さんにきて
貰いました。宜しくお願いします。」
笠「はい宜しくお願いします。明清学園の決勝進出は三田村世代以来の実に5年ぶり
です。帝王実業は毎年決勝戦には顔を出すチームで大漁水産とも良い勝負をしていま
す。そして明清学園はその大漁水産を破りました。楽しみです。」

アナ「はい。情報提供ありがとうございました。それでは両チームのスタメンを見て
みましょう。」

地区予選決勝
先攻 後攻
明清学園 帝王実業
1番 松山 正晴 2年 1番 桜坂 広大 2年
2番 細野   寿 2年 2番 前野 龍二 3年
3番 村木 彰一 1年 3番 李 幸樹 3年
4番 沢井 知永 3年 4番 渡村 彰也 3年
5番 本原 大祐 2年 5番 本橋 直樹 2年
6番 風岡   翔 1年 6番 肥猪 優 3年
7番 河埜 和幸 2年 7番 仲嶋 智哉 2年
8番 東條 功一郎 3年 8番 阿倍野 敬 2年
9番 箕輪   陸 2年 9番 近藤 寿宗 3年

全員「お願いしまーす!」

アナ「おや、いつもは1番の細野君が今日は2番に回ってますね。」
笠「これは箕輪監督の作戦でしょう。1番を松山君にする事で敵のペースを崩す作戦
でしょう。彼も細野君と同様、1番打者に向いてますからね。」

アナ「そうですか。敵の調子を崩す為の打順でもあるんですね。」

主審「プレイボール!」

アナ「さあ試合が開始されました。」
仲嶋「ど〜も♪」
松山「…どうも。」
仲嶋「例の彼はどうしたの?」
松山「彼は2番だよ。今日は俺が1番だ!覚悟しておけ!」
仲嶋「そんなに怒ってたら打てるものも打てないよ♪」
松山「むっ…」

審判「ピッチャー、試合中は私語を慎め!バッターもだ!」
仲嶋&松山「は〜い…」

アナ「仲嶋君が打者に向かって何か言っているようですね。」
笠「打者の集中力を無くす作戦らしいですね。」

その後、集中力を削がれた松山はセンターフライに倒れ、後続も凡打で倒れると思わ
れたが…
村木「(ギリギリ外れた!)」

バシッ!

審判「ボール!フォアボール!」

アナ「村木君、フルカウントから粘り、フォアボールで塁に出ました。」
仲嶋「あっちゃー。やってしまった。」

アナ「2アウトながらもランナーは1塁!バッターは主将の沢井君です。」
沢井「(初球は直球で来る!)」

シュッ!
沢井「(狙い通りだ!)」

カキーン!

アナ「沢井君、打った〜!先制点はホームランです!打球はライトスタンドに突き刺
さった〜!」

シュッ!バシーン!

仲嶋はその後、気迫の投球を見せて、後続を三振に取る。

審判「スリーアウト!チェンジ!」
箕輪「キャプテンが入れてくれたこの点数を無駄にするか〜!

バシーン!

審判「ストライーク!バッターアウトー!」

箕輪はこの後安打を数本打たれて、ピンチを迎えるも気迫の投球で抑え、試合を進め
ていく。

明清打線は好投手仲嶋を前にチャンスを作っていくが、点がどうしても取れない。

遂に最終回を迎える。

アナ「両投手は共に1回から点を許しません。1年生と2年生とは言えない好投を見
せつけています!」
箕輪「あと3人だ…ハァハァ」
笠「プレッシャーと経験不足で疲れていますね。」

アナ「ここが正念場です。果たしてどうなるのか?!」

箕輪は9番近藤にヒットを許すと、その後に桜坂の内野安打でノーアウト1,2塁と
なる。

しかし、気迫の投球を見せ、2番前野、3番李を三振に抑える。
渡村「良くここまで頑張った。しかし、ここで終わりだ。」
箕輪「絶対に抑えてやる!」

アナ「さぁここで抑えるのか、それとも…」

シュッ!

ズバーン!

審判「ストライーク!」
渡村「(初球はストレートか)」

審判「ストライーク!」

シュッ!ズバーン!
渡村「(またストレートか。ならば次はアレだな)」
箕輪「(喰らえ!)」
渡村「(やっぱりな…)貰ったぁ!!」
箕輪「!」

アナ「箕輪君の投げた球は無情にもバックスクリーンへ!帝王実業!キャプテン渡村
彰也の一振りで試合を決めたー!」

審判「お互いに礼!」
両チーム「ありがとうございました!」

1 2 3 4 5 6 7 8 9 R H
明清学園 2 0 0 0 0 0 0 0 0 2 7
帝王実業 0 0 0 0 0 0 0 0 3 7
勝利
仲嶋 智哉 26勝12敗
敗戦
箕輪   陸 2勝1敗
本塁打
沢井 知永 49号
渡村 彰也 68号


涙のすする音が聞こえる中から一人沈黙を押し通している男が居た。
箕輪「…」
監督「おい、どうした何か言ったらどうだ。」
箕輪「すいません」
監督「とりあえず荷物を整理しろ。」
箕輪「…」
監督「…」

バシッ!

その時、箕輪の頬を叩く音が聞こえた。
沢井「甘ったれるな!」
箕輪「キャプテン…」
沢井「お前だけが悪いだけじゃ無いんだ。追加点を取れなかった俺らにだって
責任はあるんだ。」
風岡「そうだ!打たれたのは俺のリードの未熟さにも責任がある。あそこでFRBを指示
しなかったら討ち取れてたかもしれないんだ。」
箕輪「翔…」
全員「そうだ。だから立ち上がれ!いつものお前らしくないぞ!」

箕輪「グスッ…分かりました。この借りをいつかやつらに返したいで
す!」
沢井「その意気だ!俺ら3年生の分も乗せてな!」
渡村「にしても、彼の最後に投げたFRB進化してたな。もっと制球に磨きがかかればと
んでもない化け物になるな。プロで会うのが楽しみだ。」

こうして3年生の夏は決勝戦敗北という形で終わってしまった。だが1年生の箕輪に
は得られたものが大きいだろう。これから新人戦に向けて、明清学園の硬式野球部は
1年生と2年生で構成されるチームになる。果たしてどのようなチームに仕上がるの
だろうか?そして次のキャプテンは誰になるのだろうか?今年の悔しさを新人戦で見
せてくれ!明清学園よ!

次回予告 新チーム始動開始!

お楽しみに!