第二話 勝ち抜け地区予選!

周輔は着々と投手としての才能を伸ばしていた。
慶太「改めて俺と周輔の紹介しちゃうよ!」


浜周輔
苦難を乗り越えて野球を始めたこの物語の主人公。
右腕の故障により左腕にスイッチした。
高校3年間で地区筆頭の投手にまで成長する。

木立慶太
周輔とバッテリーを組むキャッチャー。
肩の強さとリード力で周輔と共に打者を抑える。
打撃センスもなかなかのもの。

周輔「俺らも今年で三年になったんだな。」
慶太「今思えばあの事故がなかったら周輔は野球やってなかったかもな。」
周輔「あぁ。そうかもな。」

2人はふと昔の事故を思い出す。周輔は奇跡的に蘇った。
しかし!それ以来、少し車からは遠い生活を送っていた。
周輔「(…事故。…野球。俺なら平凡な生活と刺激のある生活のどちらをとったんだろう?)」

周輔は最近こう考える事が多くなってきた。
菊地監督「集合してくれ。」

菊地塔矢
流桜高校の監督。周輔達と同次期に学校に就任。
安定した指導と巧みな試合戦術で敵を惑わす。
甲子園経験を二回したこともある有力者。

菊地監督「もうすぐ地区予選が始まるわけだが…。うちのチームは激戦区に入ってしまったようだな。

準決勝からは昨年準優勝の柴崎高校。決勝はたぶん昨年の覇者。堺高校だろう。」
周輔&慶太「んなあほな…。」
菊地監督「そんな事を言っていても始まらないぞ!今年こそは甲子園の土を踏むぞ!」
皆「おぉー!」
菊地監督「それではスタメン発表するぞ。一番。浜!」
周輔「俺?まじすか?」
菊地監督「そうだ。嫌か?最近のお前はエースを張れるくらいの実力はつけているはずだ。
しっかりと皆を引っ張ってくれよ。」
周輔「はい!」

その後も発表が行われた。
菊地監督「ベンチもベンチ外も関係ない!皆で野球部だ!いくぞ!」
皆「おぉー!」
 
そして運命の夏大会地区予選が始まった。
流桜高校は、周輔と慶太のコンビでしっかりと打者を抑え、準決勝まで0失点。
そして準決勝で当たる相手こそ柴崎高校だった。


準決勝
なにわドーム
先攻 後攻
VS
2年 佐藤 博 小田切 竜 3年
2年 村田 智弘 阿部 太郎 2年
3年 浜 周輔 浅井 将 3年
3年 木立 慶太 一ノ瀬 章 3年
3年 花崎 蝶 長居 勇気 2年
1年 鈴木 哲雄 大野 拓 1年
1年 仲間 海渡 佐々木 楊 2年
2年 猿渡 鉄平 薪 真一 3年
3年 福田 正紀 田中 孝太 3年


アナ「さぁ。大阪予選もそろそろ大詰めです。解説は現在広島東洋カープで活躍中の代々木正信選手です。」
代々木「よろしく!」

代々木正信
広島の名ショートで有名。
エラー率は0,989とほぼ逸らすこの無い鉄壁守備をみせる。
昨シーズン成績 打率0,281 本塁打3 打点39 盗塁10


アナ「今日の対戦は準決勝まで初進出流桜高校、対するは昨年ベスト2の柴崎高校です。代々木さん。注目は誰でしょうか?」
代々木「そうですね。やはり流桜の浜、木立バッテリーに対する打率五割強の小田切とHR8本の一ノ瀬でしょうね。
きっとTVの前のかたも心待ちにしている対戦だと思います。」

一ノ瀬章
大阪を代表する投手。
得意だまはシンカーで、打たせて取るピッチングを魅せる。
しかし、打撃の方も凄くHRを量産する。

小田切竜
俊足巧打の一番バッター。
予選では五割を超える打率を叩きだした。
しかし周輔の前に無安打で終わった。


アナ「そうですね。さて。そろそろ始まる模様です。」
菊地監督「いくぞ!絶対に勝てよ!」
皆「おぉー!」

一回の表流桜は一番、二番と連続で凡退に終わる。
周輔「どんまい!俺に任せな。」

周輔が打席に立つ。
一ノ瀬の第一球目はストレートだった。
カキーーーン!
周輔の打った打球は風に乗りスタンドへ吸い込まれた。

アナ「いったー!投手浜のホームランが出ました!これで流桜が先制いたしました。」

しかし!慶太は続けずこの回一得点。
周輔「よし。最初は小田切か。これは強敵だな。」
小田切「まさか浜の奴が完全に投手として開花するとはな。でも!負けられない!」

ズバーン! ズバーン! ズバーン!
小田切「なんちゅうストレート投げるんだよ。140はでてたな。」

その後も周輔は三振で切り抜け、5回までには7奪三振を奪う。
そして六回の裏。とうとう周輔に疲れが見え始めた。
周輔「くそ。…やばいな。まさかこんなに早く来るなんて。」

周輔の球はすでに威力はなく、2アウト満塁の逆転のピンチを迎えた。
慶太「やばいな。タイムお願いします。」

慶太はすかさずタイムを取りマウンドへ向かう。
慶太「大丈夫か?もう球に威力がないぞ。交代するか?次ぎは一ノ瀬だ。無理は…。」

慶太がそう言いかけた時。
周輔「まだ終わってねぇ!行くぞ慶太!ここを抑えて乗るぞ。」
慶太「あ、あぁ。(もはやスタミナは限界のはず。精神力で戦ってるはずだ。)」
一ノ瀬「…。ここで俺か。奴のスタミナはすでに限界だ。ここで終わらせてやる。」

ズバーーン!
一ノ瀬「なっ?」

アナ「今の球は凄かったですね。130台からまた140台の速球でしたよ。」
代々木「凄い精神力ですね。あれはなかなか打てないと思いますよ。」

ズバーーン!
代々木「くっ!」

ズバーン!

アナ「浜!ここを三振で切り抜けました。」
周輔「どうだ!俺は負けないぞ!」

その後も緊迫した試合展開をくりひろげるが、1×0で流桜高校が接戦を制する。
一ノ瀬「負けたか。周輔。俺らに勝ったんだ。甲子園行ってくれよ。」
小田切「そうの通り!任せたぞ。決勝の堺高校は強いぞ!」
周輔「ありがとう。絶対に勝つよ。」


1 2 3 4 5 6 7 8 9 R H E
流桜 0 0 0 0 0
柴崎 0 0 0 0 0 0 0
浜周輔 14勝8敗
セーブ
一ノ瀬章 24勝10敗
本塁打 浜周輔6号

準決勝を突破し、甲子園まで後一つと迫った。
そしてついに昨年の覇者。堺高校と激突する!


決勝
なにわドーム
先攻 後攻
VS
2年 佐藤 博 都築 洋太 3年
2年 村田 智弘 河畑 一郎 2年
3年 浜 周輔 桜木 雅彦 3年
3年 木立 慶太 鴨河 豪 3年
3年 花崎 蝶 山田 光輝 2年
1年 鈴木 哲雄 唐沢 信二 2年
1年 仲間 海渡 高田 充 1年
2年 猿渡 鉄平 木下 優 3年
3年 福田 正紀 中村 悟 2年


アナ「甲子園を賭けた試合が始まります。解説には巨人の浦部選手を迎えました。」
浦部「お願いします。」

浦部譲司
巨人の犠打王。バントの天才と言われる程のうまさ。
犠打の記録を更新し続けている。


アナ「今日の決勝戦の見所はどこでしょうか?」
浦部「間違いなく浜選手ですね。堺の強力打線をどこまで抑えられるかにかかってますよ。」

アナ「前回の試合も凄い気迫でしたからね。さて。そろそろ試合開始です。」

流桜の攻撃だが、一回の表は2年の中村に抑えられてしまう。
しかし、周輔も負けじと3人で抑えてみせる。
四回までパーフェクトピッチングをみせていた周輔だが、ついに堺打線が爆発する。
一番の都築から始まり、そこから三連続でヒットをもらい一点を失う。
さらに無死二、三塁で四番鴨河。
鴨河「こんなにいいチャンスはないわ!いくぜぇぇぇぇぇ!!」
周輔「くそっ。」

カキーーーーーーン!
周輔の投げた球は瞬く間に場外へ消え去ってしまった。
周輔「嘘だろ?」
鴨河「ぐわはははははは。どうだ!」

周輔は後続を抑えきれず、さらに二点を失うもなんとか立て直した。
しかし、5×0とリードされたまま九回を迎えた。
周輔「すまん。俺のせいで…。」
花崎「何言ってんだ?まだ負けてねぇよ。勝手に泣き言ほざくな!」

花崎蝶
周輔達の同級生。
細身で背が高く、非力に見えるが、パワーはある。
守備がうまく、蝶のような守備をみせる。

猿渡「まだ終わってません。そんな言葉聞くなんて!」

猿渡鉄平
花崎との三遊間を守る。
猿のように身軽で素早いがパワーはない。
チャンスにめちゃ弱い。

慶太「そうだ。まだ取り返せるぞ。今回は二番からだ。ここで取り返すぞ!」
皆「おぉー!」

アナ「さぁ。ついに最終回を迎えました。浜もよく抑えてきましたが四回の5失点が痛いですね。」
浦部「そうですね。しかし、よく後続を抑えていますよ。この回が勝負どころですよ。」
西村「ふぅー。後三人だ。」

西村悟
堺高校の2年生エース。
キレのあるカーブと速球で抑える本格派。
2年と言う事もあり精神面に問題あり。

ズバン!

アナ「おっと!ここで初めてフォアボールが出ました。どうしたんでしょうか?」
浦部「西村もエースとは言え2年ですからね。きっと焦りが出たんでしょう。相当緊張してますよ。」
周輔「(ここで出なきゃ俺は何をしてきたのかわからなくなる。これは意地でもでる!)」

カキーン!

アナ「打球は左中間に落ちました。無死一、二塁のチャンスです。」
慶太「よし。後は俺にまかせろ!」
西村「くそ。球が定まらない。うわ!」

カキーーン!
慶太の打った打球はなんとライトスタンド際のポールに直撃した。

アナ「でたー!3ランホームラン!ここで3×5と追い上げてきています。」

西村はその後もなかなか制球が定まらず、5,6,7と三連続で四球で歩かせてしまう。
菊地監督「んー。チャンスだが…。次ぎは猿渡だ。どうする?」

猿渡はチャンスにはめっぽう弱かった。そのため最終回にはほぼ代打がでていた。
猿渡「…。」

猿渡は黙り込んでいた。しかし。
猿渡「やっぱ。俺いきます。ここで打てなきゃ逃げてるだけだし。」
菊地監督「そうか。任せたぞ!」

アナ「猿渡はチャンスにめっぽう弱いですからね。ここは代打でしょうか?おっと!猿渡が打席に立ちました。」
猿渡「ここで打てなきゃ…。野球やめてやる!」

カキーーン!

アナ「猿渡打ったー!二遊間を抜けて入ったー!二点追加されて同点!!」
浦部「今のは無我夢中で打った打球でしょうね。これは大きなチャンスですね。」
西村「…。ここまでか。」

西村はここで降板した。二番手投手は流桜の勢いに押し負け追加点を赦し、流桜が甲子園のキップを手に入れた。
慶太「やったー!とうとう甲子園だ!」
猿渡「打ててよかった…。」
花崎「…。3年待ったかいがあった。」
周輔「なんとか投げきれたな。危なかった!」
菊地監督「よーし!帰ったら祝会いくぞ!」
皆「えっ?」


1 2 3 4 5 6 7 8 9 R H E
流桜 0 0 0 0 10
0 0 0 0 0 0
浜周輔 15勝8敗
セーブ
西村悟 13勝5敗
本塁打 鴨河豪 58号 木立慶太 27号

流桜はついに接戦を制し、甲子園へのキップを手に入れた。
甲子園には、まだまだ強豪達が潜んでいた!


次をお楽しみにv(・_・) ブイッ