〜第1話〜

俺たちは軟式野球中体連全国大会を制覇できなかった。

俺がいた「桜蘭中学校」の野球部は黄金時代と呼ばれるほど強かった

1番から9番までの途切れない強力打線、全国大会での失策わずか2の堅い守備。

負ける要素は一つもなかった・・・いや、あったから俺たちは負けたんだ。

決勝戦、俺たちは「北斗中学校」と当たった。

全国2回制覇していた俺たちの敵ではないはずだった・・・

試合は5回まで硬直状態だった、0対0のまま迎えた 5回表 桜蘭の攻撃

打席は4番の「三村 和希」だった、誰よりも俺が信頼していたキャッチャーだった

北斗中の投手が投げた 内角高めのストレートを三村はレフトスタンドへ運んだ

1対0、その日絶好調だった俺は勝ったと自惚れてしまった

7回裏・・・まさに相手にとって「ラッキーセブン」だった

その日俺はノーヒットピッチングを続けてた

1番に投げたストレートは低めの良いところへいった

カキン

高々と上がったボールに伸びはなく・・・

平凡なレフトフライだった・・・

風が無ければ・・・

風に乗ったボールは左へ流れてヒットになった

続く2番、3番は三振で斬って抑えた

そして4番「瀬戸 大河」に打順が回った。

1ストライク2ボールでの4球目、俺は渾身のストレートを投げた

135km/hは間違いなく出ていただろう・・・

俺は負けた・・・そのボールは一直線にバックスタンドへ持って行かれた

とてつもなく悔しかった・・・

残り2イニング、間違いなく俺と三村に回る

8回表 8,9,1番は抑えられた・・・

俺もしっかりと抑えた。

9回表 2番の「松尾 潤」に打席が回った

いい当たりだった・・・しかし、虚しくもサード瀬戸のファインプレーに阻まれた

3番の俺に打順が回った、負けないというキモチが空回りだった

結果、ライトフライに終わった。

4番 三村は敬遠だった・・・勝つための戦術だった

勝てなかった・・・3年間が終わった・・・

この春、俺と三村、そして松尾が「桜蘭高校」に入学した

もちろん、野球部に入る予定だ・・・

俺の伝説が始まる