第11話【靱に潜む危険な男】
【アクス】あれ?おかしい・・・。
 
翌朝、リーフル達が部屋を出るとアクスが必死に何かを探していた。
【リーフル】どうしたんですか?
【アクス】・・・形見の槍が無くなってしまったんです。
【アスロス】形見?
【アクス】最近行方不明になった兄のです。
【リーフル】!!(アスロスの言った通りだ)
【シャ―ン】もしかして盗まれた?
【アスロス】その可能性もあるな。スゴイ槍なのか?
【アクス】はい、守護神のアクアドラゴンからもらった物です。
【リーフル】当然狙う人も・・・。
【アクス】【靭】の人達が狙ってました。
【アスロス】・・・・・・。
【シャ―ン】折角だからみんなで探しましょう。
 


【町の人】【靭】!?・・・奥の海岸にアジトがあるけどどうするんだ?
【アスロス】ちょっとした用事だ。すまんな。
【町の人】気をつけろよ!奴らには用心棒が多いから!
 


 
【靭のアジト】
【チンピラ1】!?
【チンピラ2】てめぇ!何しに来やがった!?
【アスロス】てめぇら、死にたくなければ正直に答えろ。
 
アスロスの言葉に冗談の欠片も無かった。
【チンピラ1】んだと・・・
 
ズガ――ン!!
 
巨大な斧が男の真横に振り下ろされた。
【アスロス】俺の【断(たち)】の錆びになるか?
 
【断】とは・・・アスロスの持っている巨大な斧のことである。
【???】うるさいな・・・どうしたの?
 
扉から1人の男が出てきた。
【チンピラ2】あ、ルルさん!助けてくださ・・・!!
 
男は鉄の爪をつけた手甲をチンピラの前に向けた。
【???】その名前で呼ぶんじゃねぇ!!死なね―と解らんか!?
 
するともう1人のチンピラが慌てて弁解した。
【チンピラ1】す、すまねぇ。ルーガさん!早くあいつをやっつけてください!
 
ルーガと呼ばれた男の目がアスロスに移った。
【ルーガ】んであんたは何の用?
【アスロス】盗まれた槍を取り戻しに来ただけだ。
【ルーガ】槍?・・・あぁ、あれか。残念ながらもうここにはないよ。
【アスロス】どういうことだ?
 
斧を構えながら問うとルーガは笑いながら答えた。
【ルーガ】ボスが今度開かれる大会の賞品として売ったよ。
 
そう言いながら一枚のチラシを出した。
【ルーガ】その大会で優勝すれば貰えるからやってみれば?
【アスロス】お前も出るのか?
【ルーガ】さぁね・・・。
【アスロス】いいだろう。今日はこの辺で帰ってやる。
 
斧を戻し、帰っていくアスロスの背中を見つめるルーガ・・・。
【ルーガ】いいねぇ。あいつと闘ってみたいな・・・そして殺す
 


【アスロス】と言うことだ。
 
アクスの宿屋に戻り、今までの事を話すとアクスは心配そうに聞いてきた。
【アクス】・・・無事だったんですか?
【アスロス】?
【アクス】ルーガという人は靱の用心棒で人を殺して快感を覚えている人って言う噂なんですよ。
【リーフル】用心棒であって殺し屋でもあるのか・・・。
【シャ―ン】それでどうする?この大会は武術大会らしいけど。
 
チラシには二人一組の参加と書かれている。
【アスロス】俺が出よう。
【リーフル】じゃあ僕も。
【アクス】いいのですか?私の為に・・・。
【リーフル】困った人を助けるのは当たり前の事だよ。
【アスロス】そう言う事。さてと・・・。
 
2人は武器を持つと外に出ようとした。
【シャ―ン】どこ行くの?
【リーフル】1週間後らしいから武器を鍛えてくる。
【アクス】鍛冶屋は街外れにありますから。
 


 
【???】奴らは来るのか?
 
とある部屋で一人の男が煙草を吸っている。
【ルーガ】はい、計画通りです。
 
そこには殺し屋・ルーガもいた。
 
【???】奴らを殺してあの槍を取り戻す・・・これほど儲かる話は無い。
【ルーガ】刺客はどういたしますか?
 
【???】大会は10組、つまり20人までだ。・・・忍ばせておけ。
【ルーガ】わかりました。クライド様。
 
クライドとは一体誰なのか?
 
靱の計画とは一体何なのか?
 
答えは1週間後、大会の日に明かされる・・・。