第9話【煌く斧・・・旅立ち】
 
【魔物】消えるがいい!!
 
ズガァァァァァン!
 
口から黒い光を放った
【アスロス】あぶねぇ!!
 
避けたが光を浴びた岩は溶けてしまった
【アスロス】溶解光か・・・
 
【魔物】隙あり!
 
ガシッ
【アスロス】ぐぉ!
 
突然掴まれ逃げられなかった
 
【魔物】このまま握りつぶしてやろうか?
 
段々手の力が強まっている
【アスロス】ぐぁぁぁぁぁ!!
 
【魔物】ふん!
 
ブン!
 
さらに岩に向かって思いっきり投げつけられた
 
ズガァァァン!
 
そこには瀕死のアスロスがいた
【アスロス】(俺は死ぬのか・・・?)
 
意識がもうろうとした中でアスロスは考えていた
【アスロス】(妹を守れないままで・・・)
 
すると手にあった宝石が光り出した
【アスル】(お兄ちゃん・・・)
 
宝石から声が聞こえた
【アスロス】!!(・・・死んでたまるか!俺は守るんだ!妹を!仲間を!世界を!!)
 
宝石の光が強まった
 
【魔物】な・・・なんだ?
 
そこにはアスロスが立っていた
 
手には光の刃の斧があった
【アスロス】これは・・・?
 
【魔物】あれは!・・・死に損ないが!!
 
と巨大な爪で襲ってきた
 
するとアスロスは
 
ブゥゥゥン!!
 
旋回をすると同時に鎌鼬(カマイタチ)を起こし
 
ズババッ!!
 
腕ごと切り裂いた
 
【魔物】グオォォォォ!!
 
少しひるむと眼を紅くして
 
【魔物】くそがぁぁぁ!!
 
口から黒いオーラが現れた
 
【魔物】溶けるがいい!
 
黒い光が放たれた
 
バシュッ!!
 
しかしそこにアスロスはいなかった
 
【魔物】!?
【アスロス】ここだぁ!!
 
上を見るとアスロスがいた
 
【魔物】死ね!
 
ともう一方の爪で切り裂こうとした
【アスロス】斧術・第一奥義!
 
そう叫ぶと縦に回り始めた
 
そして
 
ガキィィィン!
 
ぶつかり合い
 
ズバッ!
 
何かが斬れた音がした
 
【魔物】・・・フッ、見事な奥義だ・・・名前は?
 
そうつぶやくと蒸発し始めた
【アスロス】断鉄・・・
【闇戦士】てめぇと戦えて、楽しかったぜ・・・
 
そして魔の者は消えていった
 


 
そして3日後・・・
【アスロス】おかわり!
【ガンテツ】どれだけ食えば気が済むんだ・・・
【アスロス】2日間も寝てりゃー腹減るだろ!
 
とジョッキの中の水を飲み干した
 
酒はやめたらしい
【ガンテツ】・・・行くのか?
【アスロス】あっ?
【ガンテツ】リーフル殿達と旅立つのかと聞いている
【アスロス】あぁ、アスルを探す・・・何でだ?
【ガンテツ】そうか・・・なら話しておこう
 
そういって一枚の紙を出した
【アスロス】なんだこれ?・・・今ここに王子・アスロス、王女、アスルに王家の儀式を開始する!?
【ガンテツ】わかったか?
【アスロス】どういうことだ?
【ガンテツ】我々一族は個人としての強さを備えるため20歳になるまで孤立させる
【アスロス】だから物心ついたときから二人だけだったのか
 
だがガンテツは真剣な顔で言った
【ガンテツ】だがお前が旅立つと言うのならこの契約は破棄され、王になれなくなるぞ?
 
ガンテツの問いにアスロスは・・・
【アスロス】別にいらねぇよ、そんなもん
【ガンテツ】何?
 
あっさりとした即答に呆れかえってしまった
【アスロス】俺はアスルを助けに行く。それができたら王になれなくても生きていける
【ガンテツ】・・・ハハハハハ!そう言うと思ったぞ!
 
そう言うとさらにもう一枚紙を出した
【アスロス】・・・戦士・アスロス、王女アスルの近衛将軍として任命する・・・は!?
【ガンテツ】これなら旅立つ理由も出来るだろう
【アスロス】・・・すまねぇ、親父・・・
【ガンテツ】馬鹿者、泣くな。シャ―ン殿も言っただろう?お前が泣けばアスルも悲しむと
【アスロス】あぁ。・・・そうだ
 
突然杯を二つ用意して水を入れ始めた
【アスロス】ガンテツ王国代々伝わる契りでハッキリさせる
【ガンテツ】いいだろう
 
アスロスがひとつを持ってかざすと
【アスロス】偉大なる王よ、我が次にここへ戻るときは・・・
 
するとガンテツも杯をかざした
【ガンテツ】汝らと王女が無事に戻るとき・・・
【二人】今、この契り!この杯を飲む干すときに結ばれん!
 
そう言うと二人とも飲み干した
 


 
翌日
【ガンテツ】行かれるのか?
【リーフル】えぇ、お世話になりました
【ガンテツ】いやいや、それはこちらが言う言葉だ。おかげで魔物の脅威は去った
【リーフル】それではアスロス殿をお借り受けます
【ガンテツ】ええ、あんな馬鹿でよろしければ
【アスロス】誰が馬鹿だ!
【ガンテツ】お前以外誰がいる?
【二人】やいのやいの!
【アース】やめんか、大馬鹿者共
【二人】はい・・・
【シャ―ン】・・・・・・
【アース】ゴホン、では・・・行くぞ
 
杖を構えそれを地面に刺すと
 
ゴゴゴゴゴ!!
 
地面から巨大な門が現れた
【ガンテツ】気をつけて行かれよ
【アース】そして御武運を祈る
 
三人は門の中へ消えていった
【ガンテツ】・・・・・・
【アース】無理に我慢する事は無かろうに
【ガンテツ】あの馬鹿息子を変えてくれたリーフル殿にはなんて御礼を言えば・・・
【アース】まぁ、あれがあの子の力じゃ。あいつにそっくりじゃのぅ
【ガンテツ】あいつ?
【アース】昔の話じゃ・・・気にするでない
 
ふっと笑いながらアースは言った