第20章 新たなるライバル

−1995年 5月−
赤竜高校ではハードな練習が続いて部員数は減少して行くが、それでも新入生は10人以上は残ると例年とは比べ物にならない質の良さだった。
中西監督「今年は本当に豊作だな!」
相良主将「ですね。1年上の部員より質では少し劣りますが数が多い分、昨年より豊作と言えます」
中西監督「うむ。それでは新入部員が更なる高みを目指せる様に、天狼学園に向かうか」
相良主将「天狼学園ですか?」
中西監督「あの瀬戸辰也(  せとたつや  )を監督にして1年目から日本一を本気で目指していると言うとんでもない高校だな」
相川「新設校が1年目で全国制覇なんて出来るんですか?」
中西監督「有望なシニアの選手や海外の選手を集めているところから可能性はあるだろうな」
玖珂「金に物を言わせてか」
中西監督「まあ、そう言えなくもないな」
嵯峨「野球はチームプレイですし寄せ集めには負けませんよ」
中西監督「確かに、1年目だしチームプレイが課題になるだろうな。だから偵察に行く訳だが」
斎藤「ところで瀬戸辰也さんって?」
中西監督「俺と同い年で当時は有名なピッチャーでな。決勝で宗が滅多打ちにして日本一に成った。まあ戦友って奴だな」
福西「結構凄い人?」
中西監督「ああ。当時は確実と言われていたプロ入りを蹴って渡米した。その後の足取りは不明になったらしいがここでまたその名を聞く事になるとはな」
真田「何だか凄そうな人だね」
吉田「だな」
中西監督「それじゃ今日は予定通りに天狼学園に向かう!」
全員「はい!」柚&玖珂(コクッ!)

天狼学園高校
全員「とんでもなく広いですね!?」
中西監督「ああ。話には聞いてたけどここまでとは!?」
斎藤「まだ正門の前ですけど野球部って何処にあるんですか?」
中西監督「正門で待てば向こうから来るはずなんだが」

と話してる間に案内の人?が来て一緒に向かう事になった。
平下主将「…………と到着です」
斎藤「広いなあ。それに設備も超一流だ!?」
平下主将「室内にもこれ以上の設備があります」
相良主将「プロ並みだな」
平下主将「ええ。お前達はプロ入りする為に来たんだから当然の設備だと初日に監督に教えられました」
全員(さすがはエリート校ってところか)
瀬戸監督「戻って来たか、主将に雑用を頼んで悪かったな」
平下主将「いえ。構いませんよ」
全員「主将!?」
瀬戸監督「話してなかったのか?」
平下主将「そう言えば名乗っていませんでした。すみません。えっと俺は平下和俊(ひらしたかずとし)と言います。1年ですがこのチームのキャプテンをやらせてもらってます!」
相川「僕達と同じ歳でキャプテンか」
福西「俺達の世代じゃ超が付く有名人だからな」
柚「そうなの?」
相川「うん。柚さんのお兄さんとも仲が良かったらしいよ」
柚「ふむ」

堺「斎藤!」
斎藤「?」
堺「何だよ。本当に覚えてないのかよ。堺戒だ(  さかいかい  )よ!」
斎藤「うーんと?」
堺「リトルの頃にコンビ組んでたじゃん。全国にも一緒に行ったじゃん」
斎藤「あの堺か!?いやあ思い出した。野球ちゃんと続けてたんだな!」
堺「いや、野球始めたのはここの理事長に言われてだよ」
斎藤「……お前、まだあの時の事を?」
堺「んな訳ないだろ。とっくに吹っ切ったっての!」
真田「シリアスな話してるところ悪いけど、どう言う知り合い?」
吉田「すまん。俺には止められなかった」
斎藤「いつもの事だし気にしてないよ」
堺「ま、話すとだな」
斎藤「って自分であの出来事を話すのかよ!?」
真田「聞かせて聞かせて」
堺「俺はリトルの頃にそこの斎藤や村雨と同じチームで全国まで行ったんだよ」
真田「ひょっとして春の甲子園で話してたリードしてくれてた子が」
斎藤「ああ。それが堺だよ」
堺「何だ覚えてくれてたんじゃないか?」
斎藤「そりゃ大切な幼馴染だから」真田「いや忘れてたみたいだよ。名前は出て来なかったから」
斎藤(どうしてこいつは余計な事ばっかり)
堺「そうかまあ、それは良いや」
真田&吉田「切り替えが早いなあ」
斎藤(そう言えばこう言う奴だったな。何か雲みたいなつかみどころのない。だからあの時は野球をやめるなんて思えなかった)
堺「とにかく全国に行ったんだが、全国大会では俺のエラーでチームは負けてな。幼い俺はそのショックで野球をやめてしまったんだ」
真田「だけど今はやってるんだね」
堺「うむ。昨年も普通に帰宅部の高校生をやってたんだが俺の才能を評価してくれたここの理事長に再び野球をやらないかと誘われてな。最初は断ったんだけど甲子園での斎藤の活躍を聞いてな。もう一度始めてみようと入ったんだよ」
斎藤「順当に行けば今度は敵同士として対戦できるのか」
堺「うむ。ここは全国屈指の強豪地区だからな。特別ルールとして2校まで出場できるんだが、その制度も来年にはなくなるらしいしな。ひょっとすると俺の甲子園行きはこの夏がラストチャンスかも知れん」
真田「ちょっと意外だね。話に聞くともっと確実に甲子園行ける高校って感じだったんだけど」
堺「うむ。少なくとも俺以外は本気でそう思っている。しかし俺の見立てじゃ、現在は地区No.2の高校だ。無明にはまだ及ばん!」
斎藤「堺はこう見えても理知的で慎重だからな。言ってる事はまず正しいと思う話してるとそんな感じはしないのが困ったところかな?」
吉田「なるほど」
堺「現状ではチームプレイを芽生えさせる事だな。幸いレギュラーの大半は自分勝手な奴じゃないからな。話してて気持ちの良い奴らばっかりだよ」
真田「何とそれは意外な!?」
堺「俺も最初はくだらんエリート意識な奴ばっかりと思ってたんだけどな。幸いコブシで語らずにすんでホッとした様な残念な様な」
斎藤「それはホッとしたで良いんだよ」
堺「そうか、まあ、と言う訳で夏の甲子園で会いたい物だ!」
斎藤「うちも斉天と言う怪物と同じ地区だからな。絶対とは約束できないけど甲子園で会おうな!」
堺「うむ!」

久し振りの友人と再会して話してた頃
中西監督「お互いの顔は知っててもこうやって話すのは初めてだな」
瀬戸監督「ああ。俺の世代では伝説の投手のお前は良く覚えている」
中西監督「俺に言わせればお前がそうなんだけどな。プロ入り確実と言われて指名を蹴ってと」
瀬戸監督「どうせなら最強を目指したいそう思って渡米したんだが、うまく行かないもんだ。トライアウトを受けて合格したがケガで投手生命は終わった。それ以来野球を絶った俺が監督として再び野球を始める事になるとは」
中西監督「絶った? ドラゴンズに居るのはお前の息子だろう?」
瀬戸監督「もう俺に父親の資格はないのさ」
中西監督「?」
瀬戸監督「孝太の事はどうでもいい。あいつは自立して俺を超えた才能で頑張っている。それでいい」
中西監督「…………そうか」
瀬戸監督「今の俺は総帥神代零(かみしろれい)の命でこの高校を日本一にする為に努力するだけだ」
中西監督「そこだ。何で世界的な有名なグループの総帥が高校にこだわる」
瀬戸監督「どうしてもやらなきゃならない事があるんだそうだ。その理由は知らんがな。が俺は奴には返しても返しきれん恩がある。再び野球の道に入ったのもその為だ!」
中西監督「……ふむ。まあ、俺には関係なさそうな話だしいいさ。お前が無明相手にどんな采配をするか参考にさせてもらうよ」
瀬戸監督「…………」

こうして天狼学園での設備や練習、選手等の見学も終わり、やはりか天狼学園との練習試合が始まった。

−練習試合 天狼スタジアム−
1年 御坂 耀
後攻 先攻
天狼学園高校 赤竜高校
投手力 機動力 投手力 機動力
打撃力 守備力 VS 打撃力 守備力
意外性 経験値 意外性 経験値
総合力 総合力
真田 和希 2年
1年 篠田 正 相川 正人 1年
2年 堺 戒 斎藤 一 2年
1年 平下 和俊 相良 京一 3年
1年 石村 龍二 玖珂 良雄 3年
1年 蓮沼 浩正 嵯峨 蓬 3年
1年 牧野 幸弘 吉田 毅 2年
1年 浅見 毅彦 安達 正孝 3年
2年 池田 良太 福西 克明 1年

福西「相川はともかく俺がスタメンですか?」
中西監督「ああ。他の1年連中も試合次第じゃ出す予定だ。斎藤は何とか5回まで投げてくれ」
斎藤「俺が5回ですか、後は山中さんや柚が?」
中西監督「ああ。2人には2回ずつ投げてもらう予定だ。相手のスタメンはシニアで有名なのがほとんどだが、まだまだ実戦不足、うちなら十分に勝てるはずだ!」
相良主将「と言う訳だ。名前負けするなよ」
相川&福西「はい」
真田「ところで相川君、相手の池田君と言うのはどんなピッチャーなのかね?」
相川「さあ?」
中西監督「池田は2年、つまりお前らと同じ歳だ」
真田「そうなの?」
相川「さあ?」
中西監督「俺も詳しくは知らんからどんな投手かは分からん」
真田「つまり僕に犠牲になってくれと」
中西監督「うむ」

瀬戸監督「知っての通り赤竜高校と練習試合となった」
堺「うむ」
池田「うむじゃねえよ。お前が練習試合をしたいってわがまま言ったからだろうが!」
堺「相手は甲子園常連のチームだ。特にエースと4番は全国クラスだ。やって損はあるまい!」
池田「確かに正論なんだが……お前に言われるとな」
平下主将「まあまあ、確かに堺さんの言う通り甲子園でも戦う可能性は高いし戦って損はないですよ」
鈴木「ところで俺の出番はあるんですか?」
瀬戸監督「池田の調子次第だな。打ち込まれなきゃ登板はないだろう」
池田「なら出番はないな。今日は俺に任せておけ!」
鈴木「はあ」

1回表 天0−0赤 まったく情報のない池田からどうやって打つのか?
真田「つかぬ事をお聞きしますが、池田君とはどんなピッチャー何でしょうか?」
堺「うむ。一言で言うならフォークピッチャーだな。球威もかなりあるぞ!」
池田「このボケ! 敵に教える奴があるか!」
堺「あっ!?」
真田「ふふふ、情報が分かればこっちの物だね」

ブ―――ン!×3
相川「見事なまでの三球三振ですね」
真田「言わないでくれ。あんなに練習したのにー」
相川「まあ、ここから見ても物凄い落差でしたから1打席じゃ打てなくても仕方ないですよ」
真田「あの人を思い出すな。何て言ったけプロ入りした……風雲の……遠藤さんだったかな?」
相川「現在1軍で頑張っているバファローズ期待の新人ですね」
真田「ああ。あの人や石崎からも打てなかったんだよな」
相川「まあまあ、まだ2打席ありますよ」
真田「………………はあ」

堺「やはり教えても問題なかったようだな」
池田「格好つけたセリフ言ってもごまかされないからな」
堺「むう」

コツン! シュッ! パシッ!

セーフティバントを試みるが堺の反射神経の前に敗れ去り2アウトとなる。
池田「見事な守備に免じて許してやるか」

斎藤「さすがだな。アウトになったとは言え1打席であのフォークに当てるとは」
相川「バントは毎日欠かさず練習してますから」
斎藤「どっかの誰かに聞かせてやりたいな」
真田「失礼な。僕だって相川君ほどじゃないけど、バントはチームでも上手い方だよ!」
斎藤「一応自分の事だって自覚はあるんだな。で毎日やってるのか?」
真田「ふっ、走るのは毎日やってるけど、何が悲しくてただ当てるだけのバントの練習をしなきゃならないんだい!」
斎藤「今、全国の2番さんにケンカ売ったからな」
相川「まあまあ、しかし練習をほとんどしなくてもあのバントの上手さとはさすがは先輩じゃなくてお師匠様ですね」
真田「ワハハハ、頼れる天才真田君だからね」
斎藤「調子に乗らせないでくれ。調子に乗るとドジ踏むところがあるから」
相良主将「の前にお前の打席だろ。早く行け!」
斎藤「っと今すぐ行きます!」

堺(問題はここからだな。ミートが上手くパワーの高い斎藤をどうやって抑えるか―――フォークを低めと行くか)
池田(初球からフォークか、斎藤相手には特に慎重な感じがするな―――性格は信用できんがリードは信用できるしリード通り投げるか)

スト―――ン!

低めギリギリにフォークが決まり1ストライク!
斎藤「これがストライクか、となると厳しいなあ」

カキ―――ン!

芯に当たったが平凡なセンターフライと三者凡退!
池田「初回から俺のフォークが当てられるとはな」
堺「甲子園に出る高校だからな。それくらいの力は持っているさ」

相良主将「あのフォークはかなり厄介そうだな」
斎藤「落差は石崎並、キレとコントロールは石崎以上ですからね。打つのはかなり難しいですよ」
相良主将「だな」

1回裏 天0−0赤 斎藤が先発、春の悔しさから球種を増やし更なる進化を見せ付けられるか?
吉田(それじゃラストはこいつで)
斎藤(ああ)

ククッ!
御坂「へ? スライダー?」

最後は春に習得したスライダーで三振を奪う!
篠田「スライダー?」
瀬戸監督「甲子園では観なかったな」
平下主将「さすがに甲子園の時よりレベルが上がってますね」
堺「しかし、打てない球じゃないな。カーブに比べたらキレも変化も大した事ないし」

斎藤(スライダーもカウント稼ぐくらいなら十分使えそうだな)

ズバ―――ン!
篠田「あれ?」

ストレートを見逃し三振し2アウト!
堺「どうだった?」
篠田「話に聞いてたよりかなりノビてる感じですね。気が付いたら三振していました」
堺「やはりそうか」
篠田「あんな球打てるんですか?」
堺「あいつの球を捕ってた事はあっても打つ事はあまりなかったからな。分からん」
篠田「そうですか(ガッカリ)」

ガキッ!

続く堺はピッチャーゴロで3アウトチェンジ!
吉田「あいつ、1打席で斎藤のストレートに当てやがった」
斎藤「昔からミートは上手かったからな。村雨もだけどあいつが三振するところもあんまり見なかったな」

堺「むう」
平下主将「やはり1打席でヒットを打つのは難しそうですね」
堺「まあな」

2回表 天0−0赤 現在は0対0のまま
池田(相良さんか)
堺(むう。あの石崎すらも打ち砕く打者だからな。池田の球で通用するんだろうか?)
池田(何かむかつく事を考えてやがるなあ。反論しにくいのは何故だろうか?)

カキ―――ン!

初球フォークを引っ張って2ベースヒットとなる!
相良主将「俺としてはキレと変化より重さがやっかいだな」

池田(おい。慎重にボールから入った初球フォークをヒットにされたぞ!)
堺(うむ。どうやら俺の想像を超える打者だった様だ。次の玖珂さんもフォーク打ちが得意だから歩かせて嵯峨さんから勝負するぞ)
池田(…………ああ)

スト―――ン!
嵯峨「おのれ〜」

玖珂は歩かせて嵯峨で勝負し嵯峨は見事な空振り三振に倒れる!
池田(次は甲子園で活躍してた吉田か)
堺(長打力の高い打者だ。確か左に強かった気もする)
池田(俺も鈴木も右だからそれはあんまり関係ないな)
堺(うむ。とにかくバッティングセンスは良いからコントロールには気をつけろ)
池田(ああ)

ガキッ!
吉田「げっ!?」

パシッ! シュッ! パシッ!

スライダーを引っ掛けて最悪の併殺に倒れチェンジとなる。
堺「むう」
池田「あ、あははは、別に良いじゃないか、コントロールミスの結果がこれ何だから」
堺「……そうだな」

中西監督「ま、仕方ないか」
吉田「すんません。あんまり予想通りのコースなもんで力んでしまって」
嵯峨「いや、気にする事はないよ」
玖珂「お前は気にしろ!」
全員「………………」

2回裏 天0−0赤 ついに登場、この世代では誰もが知っている天才選手
斎藤(こいつが平下か)
吉田(今年の世代ではもっとも注目されている天才児だな。身長は俺とあんまり変わらないが実力は俺より上だろうな)
平下主将(斎藤一、1年から赤竜のエースとして活躍中、バランスの良いピッチャーで非常にノビがあるストレートを投げるか)

ズバ―――ン!

さすがの平下も1打席じゃ斎藤のストレートを打てず空振り三振!
平下主将(気が付いたらミットに入ってた。話には聞いてたけどこれは思っていたよりずっと打ちにくい!?)

斎藤「三振に奪ったと言えあの鋭いスイングには寒気を感じるな」
吉田「まったくだ。リードするこっちも怖かったぞ!?」

ククッ!

続く石村はカーブで空振り三振!
石村「カーブも凄え変化するな!?」

ズバ―――ン!

さすがに天狼の選手でも斎藤のストレートを1打席で打つのは至難の業らしく4、5、6番は三振に倒れる。
蓮沼「確かに速いけどかすりもせず三振とは!?」

斎藤「おっし!」

瀬戸監督(さすがだな。しかし無明の天野を打ち込むにはどうしても斎藤のストレートに慣れてもらう必要がある)

この後、斎藤は打者としても活躍し投手としても予定の5回を無失点に抑える。

6回表 天0−2赤 相良と玖珂のタイムリーで赤竜が2点リード中
斎藤「後は観てるだけか」
中西監督「たまにこうやってベンチで観るのも良い経験になると思うぞ!」
斎藤「?」
中西監督「斎藤にはまだ分からんかな」

カキ―――ン!
池田「なっ!?」

松野「やった。久々に打ったぞ!」

この回、斎藤の代打として出た松野がサード強襲のシングルヒットを打つ!
堺(不運だな。仕方がない。次を抑えるぞ!)
池田(って次は今日、2の2打たれてる相良さんだぞ!?)
堺(こうなったら球威でスタンド行きだけは抑える。ストレート中心のリードで行くぞ!)
池田(って俺の話も聞けえ!)

ガキッ!
相良主将「あっ!?」

期待の相良だったがここはライトフライに倒れる!
池田(次もさっきタイムリー打たれた玖珂さんか)
堺(この人に小細工は逆の結果になりやすいからこの人にもストレート中心のリードで行くぞ!)
池田(またかよっ!?)

カキ―――ン!
篠田「ダメだ。届かん!?」

玖珂がセカンドの頭を越えるシングルヒットを打ちこれで1アウトランナー1、2塁となる!
玖珂(得点圏の嵯峨は期待できないから吉田しだいだな)

池田「俺のストレートが!?」
堺(ちっ、内野を後ろよりにするべきだったな。玖珂さんのパワーなら定位置で問題ないと思ったんだが)

嵯峨「続くぜ!」
中西監督「嵯峨には悪いが加納、代打だ!」
加納「俺が?」
中西監督「ああ。得点圏で嵯峨は当てにならんからな」
加納「たまには打ってますけど」
中西監督「本当にたまにだからな。ここは頼む!」
加納「…………分かりました」
嵯峨「この場面でベンチかよ!?」
斎藤「まあまあ、ここは代打の加納さんを応援しましょう」
嵯峨「ああ。そうだな」

池田(また代打か)
堺「確か長打力のある打者だ。ミートは下手だったと思う」

スト―――ン!

期待の加納?だったがフォークを空振りと三球三振に倒れる!
中西監督「………………」
加納「すみません」
嵯峨「これなら俺が出た方が……」
中西監督(やっぱりミートが上の津山にするべきだったか)
吉田(俺がここで打って山中さんや柚に楽させてやるぞ!)

カキ―――ン!
平下主将「ふん!」

パシッ!
吉田「嘘だろう!? っつうかフェンスが高えよ!?」

フォークを芯でとらえるが後一歩届かず平下に捕られ結局この回は池田が無失点に抑える!
池田「何とか抑えられたな」
堺「―――うむ!」
瀬戸監督「池田はそろそろ限界だな。鈴木、ブルペンに行っとけ!」
鈴木「はい!」

中西監督「やれやれ、得点ならずか」

6回裏 天0−2赤 チャンスだったが結局、無得点に終わった
山中「いよいよ出番か」
吉田(山中さん、落ち着いて)
山中(おう)
吉田(ダメだ。全然落ち着いてない。調子は良いって話だから問題ないと思うんだけど)

池田「代打はなしですか?」
瀬戸監督「ああ。練習試合で全ての手札を見せる必要もあるまい!」
池田「確かに」

カキ―――ン!
山中「あっ?」

3球目の失投をすかさず打ち池田は二塁に到達する!
池田「あまい球が多かったな」

吉田(まいったな。キレも変化も悪いぞ。これで抑えるのはちときついな)

御坂(代わった投手、斎藤さんほどじゃない感じがするな)

カキ―――ン!
相良主将「ぬん!」

ビュ―――ン!
御坂「そんなバカな!?」

打った御坂は相良の肩でライトゴロになるがランナーの池田は二塁に到達する!
山中「助かった」
吉田(今日の山中さんはどうも調子が悪いな)
篠田(最低でも進塁打は打たないと)

ガキッ!
篠田「打ち損じた!?」

チェンジアップを打ち損じこれで2アウトランナー2塁となる!
山中「また助かった」
吉田(今のチェンジアップは悪くなかった様な?)

堺「得点圏で俺か、斎藤が降板したのは残念だがこのチャンスは物にしないとな!」
吉田(堺か、斎藤から2の1打ってるだけあってセンスはありそうだな。どう抑えるか)

カキ―――ン!
山中「また!?」

堺にストレートをセンター前に打たれるがランナーの池田は3塁でストップと2アウトランナー1、3塁となる!
堺「よし!」

山中「…………ここで4番か」
吉田(平下か……歩かせて満塁にしても良いけど……監督からは……敬遠のサインか)
山中「歩かせるのか?」
吉田「ええ。2アウト満塁の方が守りやすいってのも理由の1つですけど、それより平下はチャンスには恐ろしいほど強いって話ですから」
山中「オッケー!」
吉田(しかし敬遠のサインを喜ぶピッチャーってのも珍しいよな)

吉田の言う通り平下は歩かせて2アウト満塁となる。続くバッターは長打力に定評のある石村!
平下主将「ふう」

敬遠に慣れてる天才児は当たり前の様に1塁へ行くが
石村「いくら平下と言えど俺の前の打者を敬遠とは!」

逆に前の打者を敬遠された石村は燃えていた!
吉田(どうやら強打者としてのプライドを傷つけたらしいな。しかし力んでるんなら逆にチャンスだ!)
山中「うーむ」

カキ―――ン!

怒りに燃えて力んでいたが芯でとらえ打球は左中間に飛びランナーは2人返って同点となった!
石村「見たか!」

打った石村は2塁でガッツポーズする。空いた1塁に蓮沼を歩かせて牧野と勝負する!
山中「調子悪いかな?」
吉田「そうですね。今日はキレもコントロールもいまいちです。でもバックを信じて投げれば何とかなりますよ!」
山中「ああ!」

カキ―――ン!
相川「追いつける!」

シュッ! パシッ!

吉田の言葉通りここで相川のファインプレイが出てヒット性の当たりをアウトにする。
牧野「届かなかったか」

中西監督「同点になったか」
山中「すみません」
中西監督「ブルペンじゃ調子が良いって聞いてたが仕方ない。次から風祭に投げてもらうか」
山中「はい」
吉田「たまに良い球も来るんですけど?」
中西監督「この試合じゃ1、2球程度だろう。残念だがそれじゃ任せられんな」
吉田「そうですか」
真田「それより石村君だっけ? 彼、凄いパワーだったね」
吉田「ああ。シニアでは4番を打ってた強打者らしい。平下って怪物がいなければ4番を打ってんだろうな」

瀬戸監督「同点に追いつたか」
石村「うっス!」
平下主将「山中さんは調子悪そうですね。あれなら次の回も得点できそうです!」
瀬戸監督「ああ(向こうもそれには気付いてるはず、次は誰で来る?)」
池田「それじゃ、後は頼むな」
鈴木「はい!」

7回表 天2−2赤 天狼の反撃で同点となった
安達(キレのあるカーブとシュートを操る変化球投手、1年では全国でも最高のピッチャーだったかな)
堺(お前の球なら高校でも十分通用する。臆せずドンドン投げ込んで来い!)
鈴木(はい!)

ククッ!

変化球で翻弄され安達は当然の様に空振り三振する。
中西監督「どうだった?」
安達「手元でのキレが凄くて無茶苦茶打ちにくいです!?」
中西監督「話には聞いてたが厄介な投手だな。しかし天狼に速球派のピッチャーが居ないのは不幸中の幸いか」
安達「ええ。ストレートの速さに慣れてあんなのが出て来たらと思ったら恐ろしいですよ!?」

福西「同い年だ。臆せず行くぞ!」
鈴木(シュッ!)

ククッ!

福西も変化球に翻弄され空振り三振する。
福西「カーブで目を慣らされた後にシュートか、目が追いつかないっての!?」
真田「連続三振か、ここから観てると打てない球とも思えないんだけど?」
福西「打席に立つと分かりますよ。手元でのキレが凄いですから!?」

ククッ!

真田もカーブ、シュート、カーブで空振り三振!
真田「なるほどよーく分かったよ」

中西監督「思っていたよりずっと良い投手だな」
斎藤「らしいですね。池田は縦変化でしたけど、鈴木は横、斜め変化ですから慣れていない感じが出てますね」
中西監督「佐伯ほどじゃないけど、シュートの切れ味は良いな」
斎藤「カーブは俺と同じくらいの変化ですけど、手元でのキレはより上ですね」
中西監督「そして堺のリードだな。カーブとシュートの使い方が上手い」
斎藤「俺と組んでた頃からカーブの使い方が上手かったですよ」
中西監督「性格に似合わず頭は良いらしいな」
斎藤「ええ」
柚「出番来た?」
中西監督「ああ。もう代えの投手はいないから何とか頑張ってくれ」
吉田「ナックルカウンターがあれば打者一巡くらいは抑えられますよ」
中西監督「そうだな(ミートの良い打者、堺や平下、牧野には特に要注意なんだが)」

7回裏 天2−2赤 代わった鈴木は三者三振と3人で斬った!
柚(初球はストレート!)
吉田(おうってそっちからリードするのか?)
柚(?)
吉田(いや、気にしないでくれ)
浅見「女の子って…………そうか練習試合だとオッケーなのか」
吉田「ま、あの風祭の妹なんだ気にしないでくれ」
浅見「風祭ってあの無明実業の天才の?」
吉田「ああ」
浅見「へーえ(と言う事はセンスは兄譲りなのか)」

ズバ―――ン!

1−0 真ん中にストレートが決まり1ストライク!
吉田(凄え度胸、下手すればスタンドだぞ!?)
浅見「斎藤さんのストレートに似てるな。手元で結構ノビるや」

ズバ―――ン!

2−0 次は低めギリギリにストレートが決まり2ストライクとなる!
浅見「まだ遅いか、もう少し速くスイングをしないと!」
吉田(追い込んだな。うん? ここで遊び球はなしでナックルカウンターか!)

クルッ! ブ―――ン!

最後はナックルカウンターを空振り三振する。
浅見「何だ今の!? ドロップか? いやドロップにしては速度があった様な?」
吉田(初見でこの球は打てないだろうな。変化が少ないとは言えランダムに変化する魔球ナックルだからなつうか本物のナックルなんて捕球できる自信はないけど)

鈴木「最後のはSFFか?」
浅見「SFF!? いや、ドロップっぽい変化だったけど?」
鈴木「はあ? 120後半くらいで変化しただろう?」
浅見「ああ」
鈴木「だったら高速系の縦変化だろう」
浅見「いや、変化は小さいけど確かにドロップな感じだった」
鈴木「……ふむ」

柚(シュッ!)

クルッ!

鈴木もナックルカウンターを空振り三振する。
瀬戸「ナックル?」
鈴木「ええ。変化は小さいけど、確かにナックルです。完成度は低いですけど速い分ストレートと見分けが難しいです」
瀬戸「ふむ。もしかしたらナックルカウンターかも知れんな」
平下主将「何ですかナックルカウンターって?」
瀬戸「ナックルの握りとは少し違ってな。こう言う風に浅く握って後は抜いて投げるんだが通常より速度のあるナックルを投げられるんだ」
鈴木「フォークを浅く握って投げる。SFFみたいですね」
瀬戸「ベースとしてはそれを参考にしてるんだろう。俺の知ってる奴でな無名だが海外で頑張ってるそいつが投げてるんだ」
池田「それじゃ攻略法も?」
瀬戸「球質が非常に軽いと言う欠点があるからミートだけに集中すれば長打になる!」
鈴木「要するに言葉通りカウンターを食らいやすいナックルって事ですか」
瀬戸「本人ではなく観ていた観客や打った選手がそう命名したんだ」
池田「お気の毒に?」
瀬戸「ま、あいつは気にせずメジャー目指して新しい変化球を画策してたけどな」

クルッ!

アドバイスをしている中、打席に入ってた御坂は当然の様に三振していた。
御坂「何だこの球は!?」

真田「凄いよ。練習試合とは言え初登板が三者三振なんて!」
中西監督「確かに、公式戦に取って置きたいピッチングだったな」
柚「どっちでもやれば良い!」
吉田「何か変化球習得してから自信過剰になった様な?」
斎藤「俺もカーブを覚えた時はこんな感じだったよ」
相良主将(残り2イニングか、確かに吉田の言う通り初めて見る変化球なら抑えられそうだな)

8回表 天2−2赤 柚も負けずに三者三振と3人で斬る!
鈴木「相川か、まさか赤竜高校に行ってるとは」

シニアで対戦した事のある中でも粘り強い相川はもっとも嫌なタイプなので鈴木は記憶に残っていた。
相川「鈴木か、全国大会で戦ったけど結局ヒットは打てなかったんだよな」

相川もあそこまでの変化球使いは見た事なく試合では完封されたので当然の様に記憶していた。

カキ―――ン!

当然の様に変化球で翻弄されたが2ストライクから粘りに粘って1、2塁間を抜けるヒットを打つ!
相川「ほっ、何とか打てたな」

堺「見かけによらず良いバッターだ。しかし1打席で鈴木からヒットを打つとは?」
鈴木「1打席じゃなく5打席ですから」
堺「どう言う意味だ?」
鈴木「シニアで戦った時に4の0と抑えましたから」
堺「通算5の1と言う訳か―――しかし昔の話だろう」
鈴木「ええ(しかし、あいつはずっと記憶していたんだろう。俺の変化球に初球から当てた時にそう言うふうに感じた)」

一方、ベンチでは
吉田「やっぱりお前が教えてもらえよ」
真田「ふっ、弟子が師匠を超える。こんな嬉しい事はないよ」
斎藤(嬉し涙には見えないけどな)

ククッ!

今日、代打でヒットを打った松野も鈴木の変化球に翻弄され当然の様に三振する。
松野「手元で変化するから見極めが難しいな」
相良主将「なるほど、カーブかシュート、どちらかにヤマを張らなきゃ難しいか」
松野「速度で判断するのが手かな……と言ってもかなり変化するから当てるのも難しいや」
相良主将「ふむ」

鈴木(ランナー1塁で相良さんか)
堺(いくら相良さんでもお前から1打席では……むう)
鈴木「池田さんから1打席で2ベース打ちましたからね」
堺(うむ。慎重に行こう!)
鈴木「はい!(慎重に行って打たれたのにな)」

ククッ!

0−1 カーブを見逃し1ボール!
相良主将(慎重にボールから来たか)

堺(次はこれな)
鈴木(コクッ! 本当に慎重だな)

ズバ―――ン!

0−2 ストレートも見逃し2ボール!
相良主将(ストレートは平凡だな。これがストライクに入って来るなら遠慮なく叩ける!)

ククッ!

0−3 続くシュートも見逃し3ボール!
相良主将(俺を歩かすつもりか? 次は玖珂だし無理する事もないか)

堺(0−3か、こうなったら歩かせるか)
鈴木(嫌です。たかだか練習試合で逃げて何の得があるんですか!)
堺(ピッチャーが勝負したいってなら勝負だな!)
鈴木(コクッ!)

ブ―――ン!

1−3 0−3から迷いなく強振するがシュートを空振りし1ストライク3ボール!
相良主将「ちっ、想像以上にキレるな!」

堺(0−3からも遠慮なく振って来るな!? それに凄い空振りだ。赤竜高校、歴代最高の強打者と言う話も嘘じゃなさそうだ!)
鈴木(インコースにカーブってまたインコースか!?)

ガキッ!

バットには当たったがライトフライで2アウトになる。
相良主将「嘘!? こりゃ想像をはるかに超えるキレだな!?」

堺「危なかった!? もう少し変化しなければスタンドだった!?」
鈴木「ふう。何とか抑えれた」
堺「次もミートの上手い玖珂さんだ。注意して行こう!」
鈴木「はい!」

玖珂「相良も打てないとは想像よりやっかいな1年の様だな」

ガキッ! パシッ!

ボール打ちが得意の玖珂だが鈴木にひねられ3アウトチェンジ!
篠田「チェンジか」
玖珂「あのセカンド、目立った感じはしないが守備は上手いな」

鈴木「玖珂さんも綺麗に合わせて来ますね」
堺「うむ。変化が少なければヒットだったな。やはりお前のキレのある変化球を1打席でとらえるのは難しいんだよ」

中西監督「結局、相川は1塁止まりか、こうなるんなら盗塁しかけても良かったな」
斎藤「そうですね。強肩の堺から盗塁は難しそうですが相川の足なら試しても良かったかと」

瀬戸監督「クリーンナップは三者凡退に抑えたか」
池田「しかし鈴木の変化球に1打席で当てるとは油断は出来ませんね」

8回裏 天2−2赤 相川がヒットを打つが後続は続かず8回表も無得点に終わる
柚「次は2番!」
吉田(うーむ。確か守備に定評のある選手でバッティングは大した事なかった気がする。シニアでは鈴木や平下とチームメイトだったけど、あんまり聞かない名前だったからな)

篠田(ミートだけに集中すれば自然と長打になるか)

ガキッ! パシッ!

ナックルカウンターを軽く合わせるがセンターフライに倒れる。
真田「観た感じ軽く合わせただけってのにずい分と飛んだな。見かけと違ってパワーがあるんだろうか?」
篠田(球質が軽いと聞いてたけど、あそこまで飛ぶのか!?)

柚(当てられた!?)
吉田(うわっ!? やっぱり当てられると飛ぶな。とにかく低めに投げて行こう)
柚(コクッ!)

篠田「想像以上に飛ぶので注意して下さい」
堺「ああ。振り抜けばスタンドまで届くかな?」
篠田「堺さんなら可能性はあるかと」
堺「ふっ、狙って見るか!」

カキ―――ン!
柚「!?」

初球ボール球のストレートを迷わず叩きフェンス直撃の2ベースヒットを打つ!
堺「ストレートも軽いって事は元々、球威がないんだな。次は平下か勝負するなら得点必至って奴だな」

吉田「やられた!? まさか見せ球のストレートを狙うとは!?」
柚「構わない。まだ得点はされていない!」
吉田「あ、ああ。そうだな(いかん。打たれたピッチャーより俺の方が動揺しちゃダメだ。これじゃ春の時と同じじゃないか)」
柚(それより4番とは?)
吉田(監督からは敬遠のサインは出ていないから勝負なんだろう)

斎藤「勝負って良いんですか?」
中西監督「ああ。山中とは違って風祭は調子が良いからな。打たれたとしても良い経験になると思ってな」
斎藤「大事にしているんですね」
中西監督「俺もピッチャーだったからな。良いピッチャーを見ると自然と熱くなるんだよ!」

平下主将「風祭さんの妹さんか、話には聞いてたけど会うのは初めてだな。しかし野球で対決する事になるとは!?」

カキ―――ン!

2−0から3球勝負でナックルカウンターを投げたが芯でとらえられ打球はスタンドを越えて場外まで飛ばされる!
柚「初めてのナックルカウンターを芯でとらえられた!?」
吉田「ミートとパワーが長けた天才中の天才って聞いてたけど、まさか1打席で芯でとらえるとは!?」

瀬戸監督「どうだった?」
平下主将「ピッチャーとしては2流ってとこですね。ノビに関しては一級品ですけど、球威はないしコントロールも悪い。キレと変化球にも課題がありますね!」
堺「相変わらずハッキリ言うよな。本人が聞いたら傷つくぞ」
平下主将「俺は事実を言ったまでです。ただ、ピッチャーとしてセンスはあるんじゃないかと思います!」
鈴木「まだまだ成長途中のピッチャーって事だな」
平下主将「ああ。これから化けるかも知れないし化けないかも知れない。何と言うか評価に困るピッチャーだな」
池田「なかなか面白そうなピッチャーだな。課題は決め球だな」
篠田「なるほど」

ブ―――ン!×2

続く石村、蓮沼は空振り三振しチェンジとなる。
石村&蓮沼「見分けが難しい!?」

瀬戸監督「ミートが苦手な強打者には通用するか」
平下主将「1打席ならですが、慣れればしだいに打てますよ」
堺「うむ。ギリギリまで見分ける事が出来るバットコントロールの良い打者にはカモだけどな」

中西監督「ホームラン打たれた後はナイスなピッチングだったぞ!」
柚(コクッ!)
吉田「大振りする強打者には通用するんですけどね」
中西監督「上手さとパワーを兼ね備えた打者には通用せんか、ま、どのピッチャーもその手のタイプに一番苦戦するんだが」
吉田「そう言われるとそうなんですが」
相良主将「課題は決め球ですね」
中西監督「ああ。ストレートもナックルカウンターも決め手に欠けるからな」
斎藤「今は球種が増えて投球の幅が広がっただけで良しとしときましょうよ」
中西監督「そうだな。まだ1年だしこれからが成長期だな」
真田「話もまとまった事だしいい加減あの変化球を打ちましょうよ」
中西監督「そうだな。次は風祭からかとりあえず打つ事よりも確実にミートする事を心がけろ。お前なら当てる事はできるはずだ!」
柚(コクッ!)

9回表 天4−2赤 平下の2ランで天狼が逆転に成功、このまま終わるのか赤竜高校!
鈴木(風祭か、ピッチャーとしてあれならバッターとしても大した事はなさそうだな)
堺(油断は禁物だ。一応慎重に行くぞ!)
鈴木(分かりました。2点もリードがあれば問題ないと思うんだけどな)

ククッ!

1−0 ボール球のカーブを空振りし1ストライク!
柚(確かに見た目以上に変化する)
堺(振りが速いな。バッターとしてはやっかいかも?)

ズバ―――ン!

1−1 ボール球のストレートを見逃し1ストライク1ボール!
鈴木(ピクリともしなかった。なるほど、バッティングセンスは兄譲りか)

カキ―――ン! パシッ!

しかし結果はセカンドライナーで1アウト!
鈴木(1打席で俺の変化球に当てたか)
堺(非力そうだがミートは上手いな)

吉田「変化球はかなりキレるらしいからミートに集中するか」

ククッ!

やはり1打席で鈴木の変化球を打つのは難しく吉田も三振する。
吉田「キレ、変化、コントロールが抜群って打てるか!?」

カキ―――ン!

しかし先輩の意地か2アウトから安達が何とかポテンヒットを打つ!
安達「ラッキー!」

堺「まあ、今のは仕方ないな。気にせず次で終わりにするぞ!」
鈴木「はい!」

ククッ!

しかし運はここまでだった。続く福西を三球三振と見事なピッチングで鈴木がピシャリと抑える!
福西「これが同い年の球かよ!?」

と言う訳で試合は4対2で天狼が勝利した。
中西監督「さすがは有望な選手が多い天狼学園だな。まだ課題があるだろうが良いチームだ」
瀬戸監督「どうも。そっちもエースの斎藤は噂以上だったな。出来れば9回まで見せてもらいたかったよ」
中西監督「出来る事なら甲子園で」
瀬戸監督「ああ」

斎藤「負けるとは思わなかったな」
堺「うむ。お前が完投していたらどうなっていた事やら」
斎藤「俺からヒット打って良く言うよ」
堺「が後続が続かねば意味はない」
斎藤「そりゃそうだけど」
堺「出来る事なら甲子園で会いたい物だな」
斎藤「ああ」

鈴木「借りは公式戦で返す!」
相川「借りって僕達が負けたんだけど?」

喫茶店MOON
斎藤「と言う訳で試合は負けたよ」
月砂「新設校とは言えさすがは全国制覇を目指す高校ね」
真田「そうそう。僕達なんて全然活躍できなかったしね」
吉田「まあな」
斎藤「まあまあ、練習試合だし勝ち負けより情報収集が目的な感じだったし」
真田「それもそうだね」
相川「相変わらず立ち直りが早いな」
福西「この人は昔からこうだったぞ」
真田「遅れながら後輩で僕の弟子でもある相川君と福西君も来てもらったんだよね」
吉田「いや、知ってるし」
結依「うむ。仲良き事は美しいのじゃ!」
相川「ひそひそ(いつもこうなんですか?)」
斎藤「まあね」
福西「ひそひそ(先輩ってプライベートも大変なんですね)」
斎藤「そうかプライベートって言葉も存在するんだよな」
福西「ひそひそ(どうやらこの話はあんまりしない方が良さそうだな)」
相川「ひそひそ(だね)」
真田「何を落ち込んでるんだい。こんな時はこれだ!」

ドラスポ
霞「いよいよ5月も終わりと言ったところですが、プロ野球は白熱の戦いを繰り広げております!」
武藤「ですね。セリーグはスワローズがダントツの勢いですしパリーグはライオンズとブルウェーブが激しい戦いを繰り広げています!」

真田「はあ、ベイスターズは4位か」
吉田「仕方ないさ。武藤さんの言う通りスワローズがダントツだし」
相川「入った時には色々言われましたけど、ライアンさんの活躍が凄まじくてもう誰も何も言わなくなりましたね」
福西「現在負け無しの9連勝だからな。そりゃ何も言えないだろうな」
真田「ちなみにもう1人の大物のブライアンさんもホームランダービートップだしね」
斎藤「さすがにメジャーの看板偽りなしか」
真田「だね」

霞「そしてスワローズがライアン選手ならブルーウェーブはこの人、現在、首位打者の久住選手!」
武藤「昨年の成績をマグレと言う人も多かったですが、そんな反論を無視する様な天才振りですね!」
霞「期待のルーキー奥森君も3勝2敗と頑張っています!」

真田「奥森さんか、甲子園で話したけど良い人そうだったな」
斎藤「ああ。プロでも頑張ってるみたいだな」
相川「首位のライオンズはOBの柳生さん達が頑張っていますね」
吉田「ああ。秋に会ったけど苦労人って感じだったな」

霞「以上、ドラスポでした!」
武藤「タイトル争いとか詳しく言わないんですね?」
霞「放送時間がないもんで」
武藤「はあ」

相川「変わっていますね」
真田「面白ければオッケー!」
斎藤「これで数字が出てんだから驚きだよな」

こうして5月も終わった。天狼との練習試合だが各選手の今後の課題なども見え収穫は多かった。夏を目指して斎藤達は頑張って行く!