第57章 再び宿命のライバル対決!(後編)

−1997年 3月 中旬−
オープン戦でも本命のルーキー達は活躍し既に開幕一軍が決まってるがオープン戦は変わらず進んで行く。
斎藤「今日はロッテと中日の試合でも観るか」
嘉神「中日と言えばお前のチームメイトだな」
斎藤「……ええ」
堺「代走から始まったけど、いつの間にかスタメンになったな」
マヌエル「ひょっとしたら盗塁王を獲った橘よりも速いかも知れませんね」
嘉神「盗塁技術では橘さんが上だろうが、純粋な足の速さでは真田の方が上かも知れないな」
堺「そこまでですかね?」
嘉神「同じリーグだ。キャッチャーのお前は二度と顔を見たくないとか思うかも知れないぞ?」
堺「不吉な事を言わないで下さいよ!」
斎藤(なんで俺の部屋でみんな観るんだよ?)

中日ドラゴンズ
大村監督「今日の相手はロッテだ。スタメンの大半はレギュラーのような物だが今日はこれで行く!」
真田「今日も走るぞ!」
大上「打つと言う発想はないのか?」
真田「打つ? 転がすの間違いでしょう!」

真田が打てないなりに考えたのは単純にゴロを打って足でヒットにすると言う物だった。実際プロは真田を過小評価していたのか真田は内野安打で3割以上の打率を稼いでたりする。
大村監督(この明るさはこいつの良いところだな。しかしそろそろ相手も対策を立てて来るだろう。それを乗り切れるかどうかだな?)
谷口「俺が先発か?」
大村監督「中継ぎで結果を出したからな。今日は6回まで投げてもらう予定だ。2失点以内に抑えれば開幕一軍を約束しよう!」
谷口「ふっ、これはやる気が出るな!」
大上「しかしオープン戦とは言えベストメンバーだな」
福浦「ホームだしファンサービスも兼ねてるんじゃないですか?」
山根「真田も活躍してるし俺も負けないよう頑張らないとポジション奪われそうだな」
遠山「しかしスタメンの年長が27歳のバナザードさんとチームも若々しいですね?」
星野「昨年は若手が頑張ったおかげの2位だったから監督も狙ってるんだろう!」
バナザード「なるほど」

千葉ロッテマリーンズ
本田監督「今日の先発は小島だ!」
小島「おっしゃー!」
本田監督「出番があるかは分からんが永久も出番があると思って準備しとけ!」
永久「はい!」
姫島「あっちは若い選手が多いな?」
八坂「昨年は若手が活躍しての2位でしたしそれを狙ってじゃないですか?」
寺井「俺はもう引退か」
不破「何言ってるんですか? まだまだ大丈夫ですよ!」
桜庭「………………」
リッチー「どうした?」
ギャラード「いえ(この国で打てないようならオレも引退だな)」
小杉「お前はベンチか、代打もあるし頑張れよ!」
藤井「はい!」

−1997年オープン戦 地方球場
真田 和希
後攻 先攻
VS
姫島 正夫
大上 吉宗 寺井 安人
五十嵐 高志 リッチー
星野 哲也 八坂 健太
遠山 章太 小杉 猛
バナザード 桜庭 慶一郎
山根 信広 ギャラード
福浦 孝之 不破 烏
谷口 道哉 小島 真次

放送席
倉田「今日もオープン戦をお送りします。解説は中日ドラゴンズで活躍した田村さんです!」
田村「両チームの4番を見ると、活躍できたとは言えませんね。最近のキャッチャーはバッティングも凄いと私が生まれるのが遅かったらスタメンも獲れなかったかも知れませんよ」
倉田「またまた、田村さんは今でも伝説のキャッチャーとして話題に残ってるじゃないですか?」
田村「星野と言う存在が私を偉大にしただけですよ。今日一番の注目は4番のキャッチャー達が攻守でどう言う物を見せるかですね?」
倉田「他にはルーキーの真田選手と谷口選手にも注目ですね?」
田村「そうですね。真田もそろそろ相手が警戒を強くして来るでしょうし谷口は初先発でどれだけ抑えられるかですが…………しかし谷口の条件は優しいですね」
倉田「まあマリーンズ打線はそれほど凄いと言う訳でもないですからね。それに槙原選手も移籍して明らかに打線も落ちてますね」
田村「そこで注目するのが新外国人のギャラードですね。普通はメジャー昇格したベテランとかが多いんですが近年ではメジャー経験のない若手もこっちに来て活躍してますから注目のバッターですよ!」
倉田「対するバナザード選手も同じ歳ですがこっちはメジャーでも4番を打つなど活躍すると何故かこっちに来ましたからね?」
田村「理由は分かりませんが、日本でも3割30本打つなど実績もありますね。昨年の4、5、6番で100ホーマーと凄まじい打線でしたしチームの強さはドラゴンズが上ですね」
倉田「順位的にはそうですね。しかし投手陣はマリーンズの方が上と攻撃力の高いドラゴンズが勝つのか? 防御力の高いマリーンズが勝つのか? 注目の試合です!」
田村「先発の小島は勝てるピッチャーですけど、失点もそこそこ多いですからやはりドラゴンズが有利だと思いますが、どうなりますかね?」

1回表 中日0−0ロッテ 谷口の初先発となったがこの試合を抑えてローテーション入りが叶うのだろうか?
谷口(こう言うのもなんだが、ロッテ打線を2失点とは条件的に優しいな。特に注意するのは八坂さんだが、まあなんとかなるだろう!)

ククッ!
姫島「初回からキレてるな。調子は良さそうだし」

倉田「最後は低めボール球のカーブを空振り三振と見事に抑えます!」
田村「やはり高卒にしてはレベルが高いですね。変化球もコントロールも問題ないし今年中に一軍入りを果たしそうですね!」

姫島「………………」
寺井「せめて一言くらい欲しかったな。まあコントロールと変化球に注意すれば問題ないか?」

谷口(ふむ。話もせずベンチに戻ったか? つまり俺なんかは軽く打てると言う事かな!)

ガキッ!
寺井「142キロか」

倉田「142キロのストレートを打ち上げてピッチャーフライと何故かタイミングが合いませんね?」
田村「リリースが上手いんですよ。しかもバッターからボールの出どころが見にくいと投球術もありますよ!」

寺井「技術は既にプロレベルとかなり打ちにくいですね」
リッチー「ふむ。まあ子供相手だ。なんとかなるだろう!」

カキ―――ン!
谷口「むっ!?」

倉田「外へ逃げるシュートを流し打ち! 打球は三遊間を抜けて2アウトでランナーが出ました!」
田村「リードは悪くなかったんですけど、今のはリッチーが上手かったですね」

星野(やはりあのレベル相手だとシュートのキレがもう少しいるな。次は八坂か……)
八坂(打ち取るタイプか、星野さん相手に読み打ちは難しいか)
谷口(決めるとしたらストレートかカーブを投げるべきか?)

ガキッ!
八坂「スライダーか……なるほど、まだ投げていないボールがあった訳か」

倉田「最後はスライダーを引っかけてファーストゴロとあっさりと終わりましたね」
田村「そうですね(最後は見せてないボールを使って打ち取ったか、悪くないリードだが昔のあいつと違って慎重になって来たな。悪い方向に行かなければ良いんだが?)」
倉田「ルーキーの谷口選手ですがヒットは打たれる物の失点はせずまずまずの立ち上がりでした!」
田村「星野のリードが上手いのもありますが今のところ先発として問題ありませんね」

谷口「助かりました」
星野「恐らく3回までは問題ないだろうな」
谷口「2巡目からが問題と言う事ですか、まあやるだけやって見ますよ!」
星野「ああ。気持ちで負けたらエースなんて奪えないからな!」

小杉「やっぱりリードが上手いな」
八坂「それもありますが谷口も良いピッチャーですよ」
小杉「バランスは整っているが打てないと言う感じはしないな」
八坂「そこに星野さんのリードが加わる訳ですから」
小杉「なるほど、やっかいだな」

1回裏 中日0−0ロッテ 谷口はヒットを打たれた物のなんとか無失点に抑える!
小島「行くぜ!」

ズバ―――ン!
真田「速すぎっ!?」

倉田「150キロのストレートと初回から飛ばして行きます!」
田村「まあストライクに入れば良いんですけどね。4球外れて出してはならないランナー出してしまったし相性は最悪ですね?」

真田「うーん(まあ気にせず走ろう!)」

タッ!
小島「構わず行くぜ!」
八坂「少しはランナーも気にして下さいよ!」

ビュ―――ン!
真田「ふふん!」

倉田「強肩の八坂選手相手ですが簡単に盗塁を決めますね!」
田村「そりゃあれだけ盗まれたらね。クイックが苦手なのも分かりますがもう少し警戒すれば八坂なら刺せたかも知れないのに」
倉田「真田選手は三盗も成功させましたがカウントは2−2と追い込まれました!」
田村「さすがに三盗は慎重でしたが良く八坂相手に成功した物です!」

大上(スクイズではなくヒッティングか、まあ荒れ球相手にバントは難しいからな)
小島「食らえ!」

ズバ―――ン!
大上「これだもんな!?」

倉田「最後も外れてフォアボールと相変わらず荒れてますね!」
田村「これじゃ当てるのも難しいですね」

八坂(ここからクリーンナップか、無失点と言うのは無理だな。小島さん全力で向かって来て下さい!)
小島(任せろ!)

カキ―――ン!
五十嵐「まずった!?」

姫島「ふん!」

タッ! パシッ! シュッ!
真田「ってこっち投げるの!?」

倉田「ホームは一歩届かずアウト! セカンドも自慢の強肩を見せ付け2アウトと八坂選手が見せます! しかしファーストは五十嵐選手の足が速くセーフです!」
田村「危うくトリプルプレーって今年もチャンスには期待できませんね」

八坂(おいおい。無失点に抑えてるよ! 姫島さんに感謝だな!)
小島「あんがと、姫さん!」
姫島(自分の仕事をやっただけだ。ま、礼を言われるのも悪くはないか)
小島「うぉ―――!」

カキ―――ン!
星野「高めに浮けば問題なく打てるな!」

倉田「ここで姫島選手の活躍を台無しにする先制2ランホームランと148キロのストレートをバックスクリーンに持って行きました!」
田村「あのプレーの後にこの打球ですか、確かに打ちやすいコースでしたがほんとー良く打ちますよね」

星野「相変わらずストレートばっかりだな?」
八坂「キレてない変化球だと長打は確実ですからね。しかしまあ良く打ってくれましたね!」
星野「それが4番の仕事だからな!」
八坂(完敗だなと言ってもコースに投げられなきゃリードしようもないんだが、いやここで俺が落ち込んでどうする! 小島さん、どんどん投げ込んで来てください!)
小島「まだまだ!」

カキ―――ン!
遠山「ふう」

倉田「遠山選手も打つと2アウトで再びランナーが出ます。しかし珍しく変化球を投げて来ましたね」
田村「フォークですね。こう言うのもなんですが遠山らしくない上手いバッティングでしたね!(昨年から技術も上がったのかな?)」

バナザード「フン!」

カキ―――ン!
小島「くそっ!」

倉田「入った―――! 151キロのストレートをライトスタンドに叩き込んだ! バナザード選手も打ってこれで4対0となりました!」
田村「151キロのストレートを引っ張って叩き込むってパワーだけならチームトップかも知れませんね!」
倉田「ここで本田監督が出て来ました…………交代かと思いましたが続投のようですね?」
田村「コントロールが安定して来たと調子も上がっているようですし次のバッターはそんなに怖くないですからもう少し投げさせようって事じゃないですかね?」
倉田「そう言えば最初に比べてストライクに入って来るようになってますね」
田村「1回とは思えないくらい球数が多いですからね。肩も温まって来たんでしょうね」

小島「行くぞ!」

ズバ―――ン!
山根「これを良く打ったな!?」

倉田「150キロのストレートを空振り三振と最後はボール球を振ってしまいました!」
田村「相変わらず良いのか悪いのか分かりませんね。しかし150キロと出ているし調子は良いと思いますよ!」
倉田「なんとか降板はしませんでしたが1回から4失点と小島選手は悪い立ち上がりでしたね」
田村「立ち上がりが悪いタイプって訳でもないんですけどね。まあ失点はそこそこ多いですけど」

八坂「かなり球数が多かったですけど、スタミナ的に大丈夫ですか?」
小島「余裕だな!」
八坂「少しずつコントロールも安定して来たし調子を上げながら投げ込んで行きましょう!」
小島「おう!」
八坂(これ以降は失点も少なくなって行くと思うんだが……読めない人だからなー)

山根「すげえボールでしたけど、良く打てましたね?」
バナザード「球種は読めたからな。これで打てなければまた打順が下がってしまうぜ!」
遠山(今年も4番争いは熾烈そうだな……負けてたまるか!)
星野(4番か……本来ならタイトルを獲った事のある遠山が相応しいんだろうな。俺もタイトル奪わなきゃ格好付かないか!)

2回にロッテが1点を返すが中日が3点リードのまま3回を迎える。

3回表 中日4−1ロッテ ギャラードの一発など出て1点を返し3回を迎える!
谷口「あの新外国人は大成しそうだなっと!」

ズバ―――ン!
小島「くそっ!」

倉田「小島選手は豪快な空振りを見せて三振と結果は出ませんね!」
田村「高校時代は豪快なバッティングでホームランも打ってたんですけどね。パリーグじゃ打席もないしそりゃ衰えますよ」

谷口(次は姫島さんか、足を警戒してれば問題ないか?)

カキ―――ン!
姫島「何度も同じボールが通用するか!」

倉田「カーブを綺麗に打って姫島選手はファーストでストップです!」
田村「速いですね。センター前の打球でも姫島の足ならセカンドまでと思いましたが真田は守備でも足を見せてますね!」

姫島(ちっ! 送りバントのサインか!)
谷口(走って来るか?)

コツンッ!
寺井「ふう」

倉田「足を警戒したのかカウントが悪くなって驚きましたが結果的には送りバント成功で2アウト2塁となりました!」
田村「まあ無難な采配ですね。しかし谷口はコントロールもですがメンタル面も良いですね!」

谷口(2アウト2塁とピンチだが次のバッターを抑えればなんの問題もない!)

カキ―――ン!
リッチー「良いピッチャーだが、まだまだだな!」

倉田「打球はファーストの頭を越えて姫島選手はサードも蹴ってホームへ!」
田村「低めギリギリのストレートに良く合わせますね!?」

山根「くっ!」

ビュ―――ン! パシッ!
姫島「ふん!」

倉田「セーフ! ここは姫島選手の足が速くセーフで2点目が入ります!」
田村「まあランナーの姫島も良かったですが、2打席連続ヒットを打ったリッチーを誉めたいですね!」
倉田「これで2アウトランナー2塁と再びピンチが続きますっと、この八坂は敬遠のようですね」
田村「2アウトでファーストが空いてるしここは当然ですね」

谷口(もう失点は許されないな。小杉さんは良く知らないんだよな? こう言うバッターはなんか不気味だな?)
小杉「舐めるな!」

カキ―――ン!
谷口(やれやれこれで終わりとはな)

倉田「ライト方向大きい―――入った! インコースのスライダーを完全にとらえました!」
田村「引っ張るのでなく流すと器用なバッティングでしたね!」
倉田「ここで大村監督が出て来ます。やはり交代のようですね。ピッチャーは代わって筒井選手がマウンドに行きます!」
田村「一昨年のドラフト1位ですね。昨年はルーキーながら活躍しましたが実力的にはまだまだと言った印象でしたね。今年はどんな成長をしてるんでしょうか?」

筒井(たった1人抑えるだけだし問題ないな!)

ククッ!
桜庭「縦の変化が加わると空振りする確率も上がるか?」

倉田「最後はスライダーを空振り三振と三球三振で終わらせました!」
田村「変化球が多いですが力強いピッチングでしたね。何より負ける物かと言う闘志を感じたのが好印象でした! やっぱり若手はこうじゃなきゃと思いますよ!」
倉田「怖い物知らずと言う奴ですね。しかしルーキーの谷口選手は3回を終える事なく降板と残念な結果で終わりました!」
田村「どんなエースでも打たれる時は打たれますからね。しかしピッチングを見る限り一軍レベルだと思いますしすぐに這い上がって来るでしょう!」

谷口「………………」
真田「ま、次の登板で頑張れば良いよ!」
谷口「ああ。お前は落ちるなよ!」
真田「大丈夫! 打てなければ守れば良いだけだし!」
谷口「ポジティブだな」
真田「そこが僕の良いところ!」
筒井「案外落ち着いてますね?」
星野「表面上はな。内心では悔しがってるかもな」
筒井「顔に出す奴じゃないから分かりにくいですね」
星野「まったくだ」

小杉「今シーズン1号!」
八坂「文句のないバッティングでしたけど、まだシーズンは始まってませんからね」
小杉「そうだったな。なんか無駄にツキを使った感じだ」
桜庭「シーズン中でも良くある事だし気にするだけ無駄だ」
小杉「確かにそうですけど……」
桜庭「どうした?」
小杉「……なんでもないです」

逆転に成功したロッテだがまだまだ油断はできない展開が続いて行く。

4回裏 中日4−5ロッテ 小島は初回以降無失点と頑張っているが?
小島「何度も打たれてたまるか!」

ズバ―――ン!
バナザード「かなりノビてるな」

倉田「152キロのストレートを空振り三振と3回から人が変わったようなピッチングを見せてますね!」
田村「調子が上がって来ていると、やはりピッチャーと言う物はどう化けるのか分かりませんね?」

山根(さっきの借りを返すぞ!)

カキ―――ン!
小島「………………」

倉田「誉めたと思ったらいきなり打たれた! 打球はバックスクリーンに入ると山根選手が同点弾を打ちます!」
田村「149キロと良いボールだったんですけど、小島の調子が落ちたと言うよりここは打った山根を誉めるべきなんでしょうね!」

小島「くそっ!」

ズバ―――ン!
福浦「やっぱり振っちまうな!?」

倉田「高めボール球150キロのストレートを空振り三振で2アウトとなりました!」
田村「追い込まれるとスピードに釣られて振ってしまいますね。分からなくはないですが一軍のスタメンなら対応して振って行って欲しいですね!」

小島「こいつで終わらす!」

ズバ―――ン!
筒井「無理っ!?」

倉田「148キロのストレートを見逃し三振とやはり小島選手の調子は良いんでしょうか?」
田村「そうですね。球速を見る限り良いとは思うんですがコントロールが安定しない回もあったから…………良く分かりませんね?」
倉田「…………とにかく山根選手の一振りで再び同点と試合の展開は読めなくなって来ましたね?」
田村「そうでもないですよ。もう今日は乱打戦ですね。恐らくですが以降の回も点が入って行く可能性が高いです。どっちが勝つかは読めないですが?」

八坂「力があったのに入ったと、ここはスタンドまで運んだ相手を誉めるべきでしょうね」
小島「だな。しかし山根か…………知らん名だな?」
八坂「高卒2年目ですからね。甲子園の経験はないですけど、ドラフト2位で選ばれただけあってセンスはありましたよ!」
小島「なんで知ってるんだ?」
八坂「同じ地区のライバル校だったんですよ。まあそれほど強い高校でもなかったので特に注意はしてませんでしたが」
小島「同じ地区の高校なら噂程度は入って来るか?」
八坂「そう言う事です!」
小島(ま、別のリーグだしそんなに気にする事はないか?)

筒井「しかし良く打てたな?」
山根「悔しさこそが原動力!」
真田「原動力!」
筒井(単純な奴ら…………そう言えば俺達3人は同じ地区出身って共通点があるんだよな。ま、俺は転校したから少し事情が違うけど)
福浦(若い奴らは気楽だな)

山根の同点弾で試合は振り出しに戻る。そして試合は飛ばずこのまま5回に入った。

5回表 中日5−5ロッテ 山根の同点弾で試合は振り出しに戻った!
筒井「先発希望なんだけどな」

ククッ!
寺井(本格的に身体能力が衰えてるな!?)

倉田「寺井選手はスライダーに手が出ず見逃し三振に終わりました!」
田村「そんなに難しいコースでもなかったんですがね?」

筒井(寺井さんには悪いけど、ここからは油断できないなっと言ってもリードするのは星野さんだけどね)

カキ―――ン!
リッチー「まだまだ老け込む歳でもないかな!」

倉田「追い込んだ後のフォークでしたがあっさりとセンター前に打たれました。リッチー選手は3打数3安打で猛打賞です!」
田村「1アウトランナー1塁で4番の八坂ですか、なんか怖いですよね」

筒井(考えても仕方ない。星野さんを信じて投げるだけだ!)

カキ―――ン!
八坂「ふう」

倉田「スタンドまでは届きませんでしたが左中間を抜けて打った八坂選手はセカンドで止まります! ランナーのリッチー選手は返って勝ち越しとなりました!」
田村「インコース低め143キロのストレートと打ちにくそうだったんですが良くあそこまで飛ばしますよ!」

筒井「……まったくあっさり打つなっての!」

ズバ―――ン!
小杉「げっ!?」

倉田「前の打席ではホームランを打った小杉選手でしたが、最後はインコース低め143キロのストレートを見逃し三振で2アウトです!」
田村「最後は八坂の時と同じ球でしたね。やっぱりコース決められるとそうそうは打てませんよ!」

桜庭(良いピッチャーだが打てないと言うほどではない。星野さんの考えを越えるバッティングをすれば!)

カキ―――ン!
筒井「マジっすか!?」

倉田「最速144キロのストレートでしたが文句なしにレフトスタンドに運んだ!」
田村「コースは真ん中よりと当てられなくはなかったですがあの速度を完全にとらえたのは凄いとしか言いようがないですね!」

筒井「くそっ!」

ズバ―――ン!
ギャラード「くっ!?」

倉田「最後は低め142キロのストレートを空振り三振と筒井選手は3失点しましたがアウトは全てストレートで三振と格好良いピッチングを見せましたね!」
田村「どちらかと言えば力強いピッチングでしたね。しかし結果的には誉められないピッチングと本人には悔しい回になりましたね!」

筒井「終わった」
星野「おいおい、まだ5回だぞ。これから点も入るだろうしこれ以上失点しなければ勝利投手になれるかも知れないだろう!」
筒井「可能性は低そうですけどね。ところで交代じゃなくて続投なんですね?」
星野「まだ捨てるには早いって事だろう。監督も勝ちを狙ってるんだ。お前も意地を見せろ!」
筒井「はい(……さすがに無理だろうな)」

不破「しかし今日はホームランが多いですね」
桜庭「6人が打ってるからな。それにこの調子じゃまだまだ打ちそうだな」
小杉「決め球は結構良いコースに投げるから厳しいですよ!」
不破「リッチーさんや八坂はあっさり打ってるけどな」
小杉「昨年3割打ってる怪物達と一緒にしないで下さいよ!」
桜庭(2年目で3割打った奴のセリフとも思えないな)

その後も追加点はあったがロッテのリードのまま進み9回裏を迎えた!

9回裏 中日7−9ロッテ 結局小島は8回を投げて交代となりルーキーの永久がマウンドに向かう!
倉田「試合もいよいよ終わりと言う事で8回を7失点で小島選手は降板しルーキーの永久選手がマウンドに向かいます!」
田村「しかしまあ良く投げましたよ。普通ならとっくに交代ですね。スタミナは文句なしに一流ですが肝心の投球内容はお世辞にも誉められた物じゃないですね」
倉田「その小島選手ですがヒットは7本とそんなには打たれてないんですよね?」
田村「まあ四死球が多かったのとクイックが苦手で走られてしまったのと空回りしている感じですかね?」
倉田「似たような河島選手(オリックス)は結構勝ちますが差はなんでしょうか?」
田村「今年最初の登板では8失点と調子悪かったし差はないと思いますが昨年の活躍はピンチでの強さだと思いますよ!」

永久「まずは俊足か」

カキ―――ン!
真田「あれ?」

倉田「入った!? ボールからストライクに入って来たスライダーを完全にとらえて打球はライトスタンドに―――!」
田村「プロ初ホームランがここで出るとは……今日は本当にホームランが多いですね」
倉田「これで9対8と試合は分からなくなりました!」
田村「ここからは3割打者が続くし期待性はありますね!」

八坂(打った本人も狙いと外れてるって様子だったしボールの力も悪くない。気にせずここから3人で終わらせましょう!)
永久(ああ!)

ガキッ!
大上「146キロ、さすがに即戦力と言われるだけはあるな」

倉田「146キロのストレートを打ち上げショートフライに終わり1アウトです!」
田村「速さもですがコントロールが素晴らしいですね!」

永久(次はチャンスメーカーの五十嵐か!)

ククッ!
五十嵐「くっ!?」

倉田「期待の五十嵐選手でしたがHシュートを空振り三振し2アウトとなりました!」
田村「142キロと手元でかなりキレてますね。どちらかと言えば打ち取るボールってイメージですが五十嵐から三振を奪えるなら変化も申し分ないって事ですかね?」

永久(最後はこいつで決める!)

ククッ!
星野「完敗だな」

倉田「最後は外へ逃げるスライダーで決めた! ホームランを打たれましたが後続には素晴らしいピッチングで試合を終わらせました! さすがはドラフト1位と観客席からも声援が送られています!」
田村「少しオーバーな気もしますが最後はストライクからボールになるスライダーを振らせると確かに上手かったですね!」
倉田「試合は9対8で千葉ロッテマリーンズが逃げ切りました! そして今日のヒーローは5回に勝ち越し点をあげた八坂選手です!」
田村「結局決めたのは4番のキャッチャーとさすがでしたが肝心のリードは失敗で大量失点と名捕手とは言えない内容でしたね。まあこう言う日もありますよ!」

中日ドラゴンズ
大村監督「残念だが谷口は二軍で様子を見る事にする!」
谷口「下で鍛えてまた来ますよ!」
大村監督「うむ! そして真田は開幕一軍だ!」
真田「マジっすか?」
大村監督「喜ぶのはまだ早い。現状決まっているのはベンチ入りと言う事だけだ。開幕スタメンを目指すならここから調子を落とさないよう頑張れ!」
真田「了解!」
大村監督「筒井はもう少し様子を見させてもらう!」
筒井(ほっ!)
星野(打つ事は打ったが今日の大量失点は俺の責任でもあるからな。俺も反省して出直す!)
大上(真田が1番になるとしたらスクイズの場面が多くなりそうだしもっとバントの練習をしないとな!)
五十嵐(一応ヒットは打ったけど、1回のあれは悪い印象だろうな)
遠山「この流れなら俺も打てると思ったのにな。真田までホームラン打ってるのに俺がゼロとは……」
山根「俺も打ちましたよ!」
バナザード「と言ってもオープン戦だからな。シーズンに取っときたい一発だったよ!」
福浦(やっぱりマネーなんだな)

千葉ロッテマリーンズ
本田監督「勝ったのは良いが失点が多すぎるな」
小島「すみません」
永久「俺も抑えましたがホームランを打たれると誉められないピッチングでしたからね」
本田監督「お前は開幕一軍だ! 小島はもう少し様子を見て決める!」
小杉「俺達はどうなんですか? みんな活躍しましたよ!」
本田監督「大半は開幕一軍と決めているがスタメンはもう少し様子を見て決めさせてもらう!」
八坂「ま、俺もリードは悪かったからな」
本田監督「小島のようなタイプはリードのしようがない気もするがな」
姫島(俺のスタメンはもう決まってるだろうな。余程大きなミスをしなければ問題ないだろう)
寺井(はあ、レギュラーも厳しくなって来たかな)
リッチー(この調子で行けば問題ないが、そろそろ復帰する事も視野に入れないとな)
桜庭「他の選手に負けないよう活躍しないとな!」
不破「そうですね(活躍できなかったしもっと頑張らないと!)」
ギャラード(打てた事は打てたがもう少し活躍しなければダメか)

千葉ロッテマリーンズ 11
中日ドラゴンズ
勝利
小島真次 1勝0敗0セーブ
セーブ
永久拓海 0勝0敗2セーブ
敗戦
筒井博人 0勝2敗0セーブ
本塁打 ギャラード1号 小杉猛1号 桜庭慶一郎2号
星野哲也2号 バナザード3号 山根信広1号 真田和希1号
今日のヒーロー 八坂健太 5回表の勝ち越し打!

近鉄バファローズ
天野監督「今日の相手は因縁のカープだ!」
八代「因縁?」
木下「監督同士がライバル関係とか、シリーズでの屈辱とか色々あるらしいぞ!」
宗介「高校時代に甲子園で対戦して敗北したのが切欠とか言ってたな?」
坂本(そうだったか?)
天野監督「負けてない! ちゃんと勝ったわ!」
宗介「試合に勝って勝負に負けたんだっけ?」
天野監督「確かにアホみたいに三振を奪われたが最後には打って勝ったんだぞ!」
広瀬「それでプロでは負けたんですか?」
天野監督「確かにシリーズでは負けたけど…………くそっ! とにかく今日は打って打って打ちまくれ!」
遠藤「もう2人共現役じゃないのにな」
宗介「死ぬまでこうでしょうね」
天野監督「悪かったな。今日は宗介、相馬、遠藤、三沢の順で投げてもらう予定だ! 絶対に勝てよ!」
相馬「なんか今日のローテーションは変わってますね?」
天野監督「こうピーンと来たんだ!」
宗介「去年も言ってたけど当てにはならなかったしBクラスと親父が監督になって優勝した事あったっけ?」
天野監督「確かにないが今年こそは!」
アルバート「今年で3年目とオレも若いが年齢的にはきつくなりそうだからとっとと優勝してチームに恩返ししたいところだな!」
天野監督「ううっ、なんと言う嬉しい言葉を! 契約破棄して勝手に帰国する選手に聞かせてやりたいぜ!」
小野「気持ちは分からなくはないですが……ってなんでお前も泣いてるんだ?」
土井「感動したからだ!」
アルバート(しまった!? 一人言のつもりがつい口に出してしまった!)
三沢「それで俺が最後に登板ですか?」
天野監督「ああ。勝敗に関わらず登板させるつもりだからちゃんと投げ込んでくれ!」
三沢「分かりました!」
木下「しかし後輩2人がプロでもスタメンとはな」
八代「まあオープン戦ですからね。公式戦でスタメン勝ち取れる自信はまだないですね」
木下「俺もそうだったけど、なんとかスタメン獲ったしお前らも頑張れば獲れるだろうよ!」
広瀬「俺は獲ったような物ですがね!」
木下「自信過剰だな。ファーストは外国人選手がいるから難しいと思うぞ!」
広瀬「DHもあるのでなんとかなるでしょうよ!」
菊池「さすがにドラ1だけあってビッグマウスだな!」
小栗「それは関係ないと思うが、確かに大物の雰囲気を感じるな」

広島東洋カープ
福井監督「今日の先発はドラフト1位の麻生だ。行けるところまで行ってもらう予定だ。しっかり頼むぞ!」
麻生「はい!」
福井監督「嵯峨は8番で吉田は9番だ。他はベストメンバーだしお前達2人はチャンスだと思って活躍してくれ!」
嵯峨「今年こそレギュラーだ!」
吉田「今のところ2割台だしもっと打たなきゃ1軍は難しいだろうな!」
新太郎「スタメン3人が10代と若いなー」
雨宮「俺らは今年で30と年齢を感じさせるな」
道仏「言うな」
逆凪「と言っても成績は文句ないんですからまだまだ頑張らないとダメですよ!」
八雲「ううっ、俺はもう引退しないとダメなのか!」
逆凪「げっ!?」
新太郎「あっ! 先輩を泣かすとはなんと言う非道をっ!」
逆凪「そこまで言うか」
高須「セカンドの八雲さんが引退したら守備力が一気に下がるしまだまだ頑張ってくれないと俺達が困りますよ!」
八雲「ううっ、1年目から大活躍してなんだこのバケモノはっとか思ってたけど、お前は良い奴だな!」
高須「どうも(つうかトゲがないか?)」
逆凪「良くも俺のポジション奪ってくれたなとか思ってたけど、さすがは高須だな!」
嵯峨「てめえのせいで出番がないじゃないかと思ったけど、さすがは高須だ!」
高須「敵に恨まれるのは仕方ないと思ってたけど、味方に恨み言言われるのはちょっときついぞ!」
香住(活躍しても報われない事もあるんだな)

−1997年オープン戦 大阪ドーム−
木下 神楽
後攻 先攻
VS
常葉 新太郎
坂本 祐樹 八雲 利
小野 銀次 雨宮 渉
アルバート 高須 光圀
広瀬 幸一 逆凪 鳴
菊池 真 道仏 念字
DH 土井 博昌 香住 祐真
八代 正秀 嵯峨 蓬 DH
小栗 誠一 吉田 毅
天野 宗介 麻生 雅彦

放送席
倉田「今日は近鉄バファローズVS広島東洋カープの試合をお伝えします。解説は300勝を達成した元近鉄バファローズのエース高木武司選手です!」
高木「今日はよろしくお願いします! しかし近鉄のエースと広島の4番は若いですね!」
倉田「高卒ルーキーで新人王や他のタイトルを獲得しましたからね。既に2年目とは思えない貫禄(かんろく)の持ち主達ですね!」
高木「昨年の活躍を見ましたが確かに天才と呼ばれる物を超越している感じがしますね。甲子園のレベルも既にプロクラスと言っても良いのかも知れません!」
倉田「2年目の選手も良いですが今年のルーキー達はどうでしょうか?」
高木「そうですね。5番の広瀬はパワーだけなら高須より上とルーキーのホームラン記録を塗り替えるかも知れません。麻生も1年目から2ケタ勝てるだけの実力はあると思いますよ!」
倉田「監督同士もライバルと因縁の試合となっております!」
高木「2年連続でシリーズ対決した事もあると対戦数はそれほどでもありませんが確かに縁がありましたね」

2回表 近鉄0−0広島 初回は両投手共に三者凡退と良い立ち上がりを見せた!
宗介「貴様だけには負けん!」

カキ―――ン!
高須「無茶苦茶打ちやすかったな」

倉田「初球を完全にとらえた! 打球は当然のようにスタンドですが凄い飛距離じゃないですか?」
高木「看板に当てましたね。確か150メートルはあるところじゃなかったかな? しかし思いっ切り棒球と力みすぎての失投ですかね? 安定感のある天野にしては珍しいですね?」

坂本(いくらなんでもあっさり打たれすぎだ!)
宗介(反省してます!)
坂本(いつも通り投げればそうそうは打たれない。力を入れずリラックスして投げろ!)
宗介(はい! 次も3割打っている強打者と油断はできないな!)

ズバ―――ン!
逆凪「伴クラスのストレートにこのコントロールじゃなかなか打てないぞ!?」

倉田「最後は自己最速更新の153キロのストレートを見逃し三振!」
高木「高卒で150キロですからもしかしたら160キロに手が届くかも知れませんね」

宗介(しかし強打者が続くと広島の打線は結構怖いな!)

ククッ!
道仏「このスライダーはボールと分かっていても振ってしまうな!」

倉田「最後はアウトコースのスライダーを空振り三振で2アウトとなりました! 奪三振もこれで4個目と今年は奪三振も多くなりそうですね!」
高木「昨年はルーキーで2ケタと言うか最多勝獲得してますからね。ただ良いボールを投げるわりに防御率と奪三振はそれほどでもなかったですね。まあ悪くはなかったんですが実力に比例していない感じがしたと本人も不満そうに言ってましたよ!」
倉田「タイトル獲ってそのセリフは既に大物と言った感じがしますね。さすがは天野家の長男と言ったところでしょうか!」
高木「今年は弟も入って来たし兄弟対決にも注目ですね!」

宗介(香住さんか、三振は奪いにくいけど、怖いタイプって訳じゃないし問題ないかな?)

ガキッ!
香住「凄いキレだな!?」

倉田「最後はフォークになんとか当てますがピッチャーゴロに終わりました!」
高木「ボール球だから見逃さなきゃダメなんですけどね。しかし手元で落ちるから見極めるのも難しいし仕方ないと言えば仕方ないのかも知れませんね」

宗介「あの野郎! 毎回俺からホームラン打ってなんか恨みでもあんのか!」
坂本「毎回ってほど打たれてる訳じゃないだろう? それにさっきのは完全な自爆だ!(しかし高須相手だと性格が変わってないか? それとも素が出てるのか? どっちにしろ相性が悪そうだし別リーグで良かったと思うべきか)」
宗介「今日は3回で終わりだし借りを返すのは遅くてもオールスターになるのかな?」
坂本「(自信家は家系なんだろうな)とにかく油断大敵と言うし1人にこだわらず勝利にこだわっとけ!」
宗介「はい」
坂本(ダメっぽいな。なんとかリードを頑張ろう!)

香住「やっぱりそうそうは打てないね」
嵯峨「天野ごときたたき潰してやる!」
香住「うん。けどチェンジだから次の回の打席に立ってね…………ふう、ところで嵯峨君って天野君と相性が良いの?」
吉田「そうですね。天野さんと対戦した事もありますけど、斎藤や相良さんくらいしか打った印象がないですね?」
香住「やっぱりそうなんだ。高須君も結構打っていると言われてるけど、あのピッチャーはそうそう打てないだろうね?」
吉田「そうでしょうね」
香住「ごめん。別にプレッシャーかけるつもりはなかったんだけど」

2回裏 近鉄0−1広島 高須が天野の失投をスタンドに運びあっさりと先制する!
麻生「行くぞ!」

ガキッ!
アルバート「意外に速いな」

倉田「ストレートを打ち上げてセンターフライに終わります。ちなみに球速は最速150キロを記録しました!」
高木「大学ナンバーワンと言われるだけのピッチャーではありますね」

広瀬「ふんふんふん!」
アルバート「お前って毎回力んでるけど、大丈夫なのか?」
広瀬「では打って来ます!」
アルバート「おう…………オレが言うのもなんだが変なヤツだな?」

カキ―――ン!
麻生「なんだーあの飛距離はっ!?」

倉田「低めのスライダーでしたが完全にとらえて打球はライトスタンドの看板に当たると高須選手に負けない飛距離です! 観客席から凄い声援がとどろいております!」
高木「生きたボールをあそこまで飛ばすパワーは元ピッチャーから観ても恐ろしいとしか言えませんね。打率こそ2割台ですが本塁打と打点はなかなかと状況によっては恐ろしいバッターとも言えますね!」

麻生「大学でもあそこまでの飛距離は見た事がなかった。恐ろしいバッターがいるな!」

ガキッ!
菊池「意外に球種も多いな」

倉田「今のはシュートでしょうか、とにかく引っかけてセカンドゴロに終わります!」
高木「あまり変化してないですが球速は出てるので良く見極めないと打ち取られやすいですね」

麻生「もう打たさない!」

ズバ―――ン!
土井「くそっ!」

倉田「150キロのストレートを空振り三振で3アウトチェンジですがこうやって観ると振りまわすバッターばかりいますね?」
高木「そうですね。4番から7番までパワーヒッターと当たれば怖いですが、打たれた麻生はあっさりと後続を抑えられたし4番からまわる場合はソロが多そうとそんなに怖くはないんじゃないですかね」
倉田「なるほど、2回を終わって1対1の同点と両投手は1安打1失点と良いのか悪いのか良く分からないピッチングを見せます!」
高木「もう少しちゃんとした言い方はない物でしょうか?」

香住「意外に落ち着いてるね?」
麻生「打たれた事はありますし少し打たれたくらいなら問題ありませんよ」
香住「頼もしいね。けど相手の打線は強力だし委縮(いしゅく)したりはしないの?」
麻生「確かにパワーヒッターが多いですけど、タイトルどころか30本打った選手もいないし怯えるほどじゃありませんよ!」
香住「なるほどね(今のところ問題ないけど、変化球でごまかすにも限度があるし持てば6回くらいは通用しそうだけど?)」

八代「さすがドラフト1位だけあって良いボールを投げて来ますね」
小栗「振りまわすバッターじゃ相性が悪いと思ったが初ヒットが振りまわすルーキーとはな」
広瀬「うぉ―――!」
八代「確かに意外ですね。しかしコントロールはそれほどじゃないみたいだし振りまわさなきゃ歩く事も難しくないと思うんですが」
小栗「同感と言いたいところだが1番から3番も打てないと、そう単純な物でもないのかもな」
八代「そうですね」

4回表 近鉄1−1広島 両チームホームラン1本ずつの同点のまま進みここでピッチャーも交代で二番手の相馬がマウンドに向かう。
倉田「天野選手は早くもマウンドを去ります。どうもトラブルではないみたいですね?」
高木「天野さんの事ですから野生の勘かただの思い付きの交代ですかね?」
倉田「はあ? 良く分かりませんが天野選手は3回を1安打1失点とそこそこ良い結果でマウンドを去ります」
高木「四死球はゼロだったし調子は良かったと思いますよ。唯一の失投を完全に打たれたのだけが痛かったですね」
倉田「そして続くピッチャーは5年連続2ケタ勝利の相馬選手です!」
高木「正直体格から見てこれでドラフト1位かとか私も思っていましたが1年目からずっと1軍で活躍してるとスカウトの目は確かでしたね!」
倉田「ちなみに日暮選手(オリックス)がプロ野球選手の中で一番身長が低いと間違われてますが実際に一番低いのはこの相馬選手だったりします」
高木「まあ提示されている身長の情報もどこまで本当なのか分かったもんじゃないですけど、相馬が小さいのも事実ですし実力があるのも本当だしこれからも体格に関係なく良い選手が入って来ると嬉しいですね!」

宗介「それじゃ後は頼みます」
相馬「ああ」

ククッ!
八雲「ぬっ!?」

倉田「最後は高速スライダーを見逃し三振で終わります!」
高木「球種が多くコントロールも良いので考え込むと打てませんよ」

相馬(3番より4番、5番の方が恐ろしいな)

カキ―――ン!
雨宮「左打席でなければアウトだったな」

倉田「ショートの深いところに打ったのが幸いかわずかに雨宮選手の足が速く内野安打でランナーが出ました!」
高木「1アウトランナー1塁で高須と嫌なバッターを迎えましたね。ところで高須って併殺打とか多いんですか?」
倉田「得点圏では強かったイメージしかないですが1アウトランナー1塁ではどうだったかは分かりませんね?」
高木「まあ分からなくても仕方ないか」

高須(坂本さんのリードなら慎重に攻めて来そうだな)

カキ―――ン!
相馬「やられた!?」

倉田「裏を掻いたチェンジアップでしたが綺麗に打ってライトフェンス直撃のタイムリー2ベースヒットを打ちます!」
高木「完全に狙い球を外したのに腕力だけでライトフェンスまで持って行きましたね!?」

高須(結果的には勝ちなんだろうがフォーム崩しちまったし今度はちゃんと気を付けて打たないとな)
相馬「不運だ。今度はきっちり抑える!」
逆凪(難しいコースだがここで打って4番を取り戻す!)

カキ―――ン!
相馬「………………」

倉田「アウトコースの高速スライダーでしたが完全にとらえて打球はレフトスタンドに入りました!」
高木「あの変化のあのコースを打てるなら他のチームなら間違いなく4番ですよ。これだけ凄い選手達がいて優勝が難しいって事は他のチームのエースはよっぽど凄いんでしょうね!」

相馬「くっ!」

ガキッ!
道仏「スライダーが少し落ちたか?」

倉田「道仏選手はスライダーを引っかけてピッチャーゴロに終わります!」
高木「あの速さでカーブのような変化をしてますからスラーブですね」

相馬(シュッ!)

クルッ!
香住「チェンジアップ!?」

倉田「カットしようとしますがバットには当たらずチェンジアップを空振り三振で3アウトチェンジです!」
高木「三振を奪いにくい香住から三振を奪いましたね。まあ相馬も何気に奪三振はありますからね」
倉田「しかし試合は4対1とカープが再び勝ち越しました!」
高木「まあ打たれる時は打たれる奴でもありますからね。今日は少し調子が悪いのかも知れませんね」

相馬「1回を3失点か、お世辞にも誉められた内容じゃないな」
坂本「ま、ランナーの足を警戒しなくても打たれる時は打たれるな」
相馬「そんな他人事( ひとごと )みたいに」
坂本「そんなつもりはないんだが、まあボールは走っているし高須に投げた球もたまたまヒットになっただけだし不運だったとしか言いようがないな」
相馬「逆凪に投げたボールは?」
坂本「あれも良いコースだったし打った相手を誉めるしかないな。まあ大丈夫だ。お前の力なら十分抑えられる!」
相馬(もう打たれたんだけどな)

嵯峨「また俺の出番が飛んだ!?」
吉田「次の回になれば出番が来ますよ。それとそんなに落ち込まないで下さいよ!」
香住「今日良いところがなくてね」
常葉「ナイスホームラン!」
逆凪「ああ。今年は4番を取り戻してやるからな!」
高須(味方から凄いプレッシャーを感じる経験ってのも久し振りだな。この緊張感が俺の感覚を研ぎすましてくれる!)

相馬はこの回のみの失点で6回まで抑えて行く。そしてカープがリードしたまま9回裏を迎えた。

9回裏 近鉄3−5広島 近鉄も頑張って点を取って行くが届かず最後の攻撃を迎えるのだった!
倉田「いよいよ9回裏に入ります。マウンドへ向かうのは8回から登板している西條選手です!」
高木「ややこしいですがカープの相馬が不調で昨年からリリーフに転向したんですよね」
倉田「29セーブポイントと大活躍してくれましたね。知っていると思いますが先発の麻生選手は7回を3失点とまずまずのピッチングでした!」
高木「相手は1軍の主力でしたしルーキーにしては十分なピッチングでしたよ。それに後半は疲れで打たれた感じでしたし交代のタイミングを間違えなければ問題ないでしょう」
倉田「7回から登板した遠藤選手も3回を1失点とまずまずのピッチングでしたね」
高木「私個人としたらリリーフの方が向いてると思うんですが……まあ守護神の三沢がいるし中継ぎでやって見ると面白いのかも知れませんが本人が先発を望んでるので仕方ありませんね」
倉田「その遠藤選手ですが先発としてはまずまずの成績だと思いますが?」
高木「まあ成績だけ見れば十分将来性を期待できますが試合を観るとスタミナ切れから打ち込まれる事が多いんですよ。逆に言うと少ない回ならほとんど抑えられてるんですよね!」
倉田「なるほど、中継ぎや抑えに向いてる感じがしますね! しかしバファローズも先発陣が揃ってないし仕方ないって感じもしますが?」
高木「そうなんですよね。才能が眠ったままの選手やケガに泣いてる選手も多くて泣きたくなりますよ!」

西條「さてと、とっとと終わらせてビールでも飲むか!」
アルバート「2年目のガキなんぞに負けてたまるか!」

ガキッ!
西條「さすがは4番だな。当てられるとは思わなかった」
アルバート「こんなガキに負けるとは!?」

倉田「なんとかスライダーに当てますが高く上がってファーストファールフライに終わります!」
高木「短いイニングで西條から打つのは難しいですよ。先発なら2ケタは確実なだけあってもったいない気もしますが抑えも大事な仕事ですからね」

広瀬「ふんっ!」

ブ―――ン!
西條「力みすぎだな。しかしフルスイングは怖くもあるか、どっちにしろ俺の敵じゃないな!」

倉田「広瀬選手もタイミングが合わずシュートを空振り三振です!」
高木「麻生の変化球とは格が違いますからね。そうそうは打てませんよ」

菊池「当たれ!」

カキ―――ン!
西條「…………マジ?」

倉田「入った! 闇雲に振っていると思いましたが147キロのストレートを完全にとらえました!」
高木「これだからフルスイングは怖いんですよね」

香住(だからストレートを続けたらダメだって言ったのにな)
西條「ふっふっふ、そんなに地獄を見たいか!」

ズバ―――ン!
土井「速すぎる!?」

倉田「最後はストレート3つの三球三振と空振り三振を奪って試合終了です!」
高木「いつもは変化球主体でもっと冷静なピッチャーなんですが今日は何回かクビを横に振るわと妙に子供っぽいイメージでしたね?」
倉田「とにかく試合は5対4でカープがリードしたまま終わるとバファローズは後1点が届きませんでした。そして今日のヒーローはと言うとプロ初登板でプロ初勝利を飾った麻生選手です!」
高木「勝ち越し点の高須は選ばれなかったんですね? まあ個人的には打のヒーローは逆凪だと思いましたが」

近鉄バファローズ
天野監督「貴様ら負けるとは何事だ! 貴様らなんぞ全員二軍落ちだ!」
全員「嘘でしょう!?」
天野監督「そのくらい怒ってると言う事だ! 本当に何人か落として二軍を上に上げてやろうかとも思うが現状の戦力を無駄に落とす訳にも行かないしもう少し様子を見てやる!」
木下「監督、無茶苦茶怒ってるな」
宗介「福井さん相手だと昔からこうだからもう慣れたよ」
菊池「俺はまだ慣れてない」
土井「俺もです」
八代「まあオープン戦だと対戦機会も少ないでしょうからね」
相馬「すまん。俺が抑えていれば」
八代「別に相馬さんのせいじゃ」
坂本「良いボールを投げてたしな。ヒーローは麻生のようだが結局逆凪に打たれて負けたのがすべてだったな」
小野「今日はダメだったな」
小栗「まあそう言う事もあるさ」
遠藤「むう(悪くはなかったな。少ない回ならフォークも使えるけど、けどなー)」

広島東洋カープ
福井監督「貴様ら良くやった! 今日のメシはこの俺がおごってやろう!」
全員「マジっすか?」
福井監督「はっはっは、この俺に任せとけ!」
麻生(タダメシは嬉しいけど、なんか初勝利が安っぽくされてるような。俺が考えすぎてるだけなのかな?)
常葉「今日はあんまり活躍してないけど、タダメシは素直に嬉しいぞ!」
八雲(億稼いでるとは思えない安っぽいセリフだな)
雨宮(内野安打か、まだまだ足は健在だしスタメンは誰にも渡さない!)
高須(フォームを崩さないよう帰ったら練習したかったんだけどな)
逆凪「こうやって活躍してけば再び4番に座る事もできるだろう!」
道仏(俺も昨年は5番を打てたんだ。昨年みたいにケガで欠場して俺が4番を打つ可能性だってあるし気合い入れて行くぞ!)
香住(今日は打つも守るもいまいちだったし次は頑張ろう!)
嵯峨「次は打ってやる!」
吉田「俺もだんだんプロに慣れて来たしレギュラーを狙うぞ!」
西條(ふう、オープン戦だと、どうもやる気が出ないな?)

広島東洋カープ
近鉄バファローズ
勝利
麻生雅彦 1勝0敗0セーブ
セーブ
西條右近 0勝0敗3セーブ
敗戦
相馬敦史 1勝1敗0セーブ
本塁打 高須光圀6号 逆凪鳴3号
広瀬幸一3号 アルバート3号 菊池真2号3号
今日のヒーロー 麻生雅彦 プロ初勝利!

ヤクルトスワローズ
松田監督「今日の先発はライアンだ。3回を投げて調子を見させてもらう!」
ライアン「フン!(こんな試合なんぞになんの意味があるってんだ!)」
全員「………………」
滝沢(どうも雰囲気が悪いな。チームのムードが良くなれば優勝も難しくないだろうに)
光宗(問題はライアンをどう操縦するかだな?)
姫川「相手は弱小のダイエーか」
朝霧「おいおい弱小と言っても3割打者が4人もいる打線だぞ!」
土丸屋「まあ投手力が悪いとは言われてますが打撃力はかなり高いですからね」
赤崎「スターの多いチームだからな。あれで優勝できないのも謎だ?」
時雨「FAやトレードで結構顔触れが変わって行くから弱小チームは大変だなと戦いながら思ったもんだ」
丸目「今日もスタメンか」
松田監督「滝沢ほど活躍してないがルーキーにしては十分やっている。何よりも守備で活躍してて助かってるしこの調子なら開幕一軍だな!」
丸目「やってやるぜ!」

福岡ダイエーホークス
堀内監督「今日の先発は佐伯だ。今日の試合で文句のないピッチングをすれば開幕一軍だ!」
佐伯(分かりにくい目標だなー)
海藤「そう緊張するな。頼りになる先輩が面倒見てやるからな!」
青葉「あまり調子に乗るな。お前は調子に乗るとポカしやすい!」
大友「確かに」
海藤「チームの顔の二人に言われると何も言い返せないぜ」
佐伯(この人とバッテリー組むのか、こう言うのはなんだけど大丈夫なのかな?)
平井「相手の打線はそれほど強力じゃないし力を出し切ればお前なら十分抑えられる!」
佐伯「ありがとうございます。バックのみんな信じて頑張ります!」
俵坂「ま、俺も守ってやるから」
葛城「まあレフトを除けばエラーも少ないし問題ないだろう!」
秋月「くっ! 俺の守備範囲は球界でもトップクラスなのに!」
笹川「まあ守備範囲だけならですけど」
佐伯「………………」

−1997年オープン戦 明治神宮野球場
朝霧 一葉
後攻 先攻
VS
秋月 百太郎
赤崎 銀 笹川 真吾
土丸屋 信吾 平井 豊
姫川 篝 青葉 棗
滝沢 裕司 葛城 紅葉
光宗 正 大友 勇輝
時雨 隆宗 海藤 知也
丸目 奏 俵坂 悠介
ライアン 佐伯 真敏

放送席
倉田「今日の試合はヤクルトスワローズVS福岡ダイエーホークスです。注目はルーキーの滝沢選手と佐伯選手の対戦でしょうか!」
木村「高校時代のライバル同士ですからね。2人共即戦力と言われるだけあって十分な力を持っていますね」
倉田「遅れながら解説は木村佐助さんです。それと8番も注目ですね!」
木村「そうですね。この2人もなかなか良い物を持っていますよ!」

3回表 ヤクルト0−0ダイエー ここまで両投手は無失点と良いピッチングを見せている!
ライアン(こんな試合になんの意味がある?)

ガキッ!
佐伯「こんなボールは見た事ない!?」

倉田「佐伯選手はなんとか当てましたサードゴロに終わります!」
木村「158キロですからいきなりは打てませんよね」

ライアン(そもそもこんなマイナーで投げる意味はあるのか?)

ズバ―――ン!
秋月「155キロって速すぎだってのっ!?」

倉田「容赦なしのストレートで空振り三振に抑えます!」
木村「当たったとしても秋月で長打は難しいですかね?」

笹川「てりゃっ!」

カキ―――ン!
ライアン「なんだとっ!?」

倉田「上手い! 151キロのストレートをライト前に打ちました!」
木村「通算打率3割を維持しているだけはありますね。技術面はバッティングでも守備でも凄いですね!」

ライアン(ちっ! どうにも気に入らない!)

スト―――ン!
平井「ここで変化球かよ!?」

倉田「最後はSFFを空振り三振と最後は今日初めての変化球で決めました!」
木村「2巡目のクリーンナップだから変化球を混ぜて来たんですかね?」

光宗「ようやくリード通り投げてくれたな」
ライアン「俺は投げたいボールを投げただけだ!」
姫川「いい加減にしろ! 1人で野球やっているつもりか!」
ライアン「ふん! マイナーレベルのオマエらならいない方が楽に抑えられるかもな!」
姫川「なんだと!」
ライアン「ふん! 1年目にはタイトルも獲って優勝に貢献してやっただろう! それとも俺がいなくても優勝できたとでも?」
姫川「くっ!お前がいなくても優勝できた年もあったさ!」
光宗「よせ! 仲間内で争ってどうする!」
姫川「すみません」
ライアン「……マイナーレベルと言ったのは謝ろう」
姫川「ライアン?」
ライアン「オマエらはマイナー以下だ」
姫川「てめえ!」
光宗「よせと言うのに!」
ライアン「ジョーダンだ。だがオレとオマエらではレベルが違うのは事実だ。そんなオマエらがオレに何を教えられるんだ?」
姫川「くっ!(確かにこいつは格上だ。俺が絶好調でも打てるかと言うと分からない?)」
光宗「そうだな。野球と言う物を教える事はできると思うぞ!」
ライアン「どう言う意味だ?」
光宗「さてな」
姫川(光宗さんには何か考えがあるのか?)

佐伯「向こうはなんか雰囲気が悪いですね?」
秋月「余裕って奴だろう?」
佐伯「それならもっとなごやかになると思いますけど?」
笹川「サインに頷かない事が多いしライアンさんって性格に問題があるのかな?」
平井(性格はともかく実力はまさにメジャーだ! 俺もいずれは世界を狙うか、そう言うのも良いかもな!)
佐伯(滝沢と相性が良さそうな人って事かな。いやさすがのあいつでもあそこまで難しい人は知らないか?)

3回裏 ヤクルト0−0ダイエー ライアンは見事なピッチングで三者凡退に抑える!
ライアン「………………」

カキ―――ン!
佐伯「そう言えばバッティングも良かったんだっけ?」

倉田「145キロのストレートでしたが簡単に合わせてライトスタンドへ持って行きました!」
木村「これはバッテリーのミスですね。昨年ライアンは打席が少ないながらも3割打っていますからコースがあまければ打たれても仕方ないですよ」

佐伯「気を取り直して!」

ズバ―――ン!
朝霧「想像以上に速いしコントロールもかなり良いな!?」

倉田「147キロ! アウトコース低めを見逃し三振です!」
木村「高卒とは思えない力を見せますね。しかも決め球のシュートを見せ球にしてストレートが勝負球と総合的にかなり優れていますね!」

佐伯(こいつで決める!)

ククッ!
赤崎「おいおい高岡さんよりもキレてないか!?」

倉田「最後はクリティカルシュートを空振り三振です!」
木村「左打者じゃあの外へ逃げるシュートはどうしても振ってしまいますね。ここまで奪三振も多いしこりゃそうそうは打てませんよ!」

佐伯(この人はやっかいだが!)

ガキッ!
土丸屋「抜けるかと思ったが捕ったか」

倉田「三遊間は抜けずショートの俵坂選手がキャッチして3アウトチェンジです! 佐伯選手は好投を見せましたがライアン選手の一発でヤクルトスワローズが1点先制しました!」
木村「さすがは大学でも有名な俵坂ですね。いずれはメジャーにも行ける選手になるかも知れませんよ」

海藤「いやー打たれた時はどうなるかと思ったがさすがは佐伯だな」
佐伯「ライアンさんのパワーには驚かされました」
俵坂「俺も忘れていたがピッチャーで3割打ってたんだよな?」
海藤「リーグが違うから良く知らないんだよな」
俵坂「別に責めてるつもりはなかったんですけど」
佐伯「まあまあとにかく1点取られたし打つ方はお願いします!」
海藤「おう!」
俵坂(この切り替えの良さが活躍するコツなのかね?)

姫川「複雑だ」
土丸屋「何がですか?」
姫川「あいつが投げて無失点で打って1点取ったと言うのがさ」
朝霧「仲間だろう」
姫川「そうですけど、あいつの態度見てると素直に喜べないんですよ」
朝霧「お前の気持ちも分からなくはないが俺達の目標は優勝だ。それには誰も欠けたらダメなんだ。だから力合わせて頑張るだけだ!」
土丸屋「しかしその力合わせると言うのが難しいんですよね」
朝霧「……まあな」

チーム事情はさておきヤクルトスワローズが1点リードしたまま試合は進んで行く。

5回表 ヤクルト1−0ダイエー 佐伯は1失点の好投、ライアンは無失点の好投を続けている!
ライアン「ここまで1ヒットか、2番の奴にはマグレだろうがやられている事は事実か」

ズバ―――ン!
俵坂「くっ!?」

倉田「またしてもフォアボールと今日は珍しく安定していませんね?」
木村「そうですね。まあオープン戦だとエンジンかからないタイプも結構いますからね」

ライアン「ちっ!(思っていたところにボールが行かないかっ!)」

ガキッ!
佐伯「なんとか芯に当てたけど、それでも重すぎる!?」

倉田「156キロのストレートに当てましたが完全に球威に負けてキャッチャーフライに終わりました!」
木村「まあ重いですからね。しかし今年初の登板でも160キロは出なかったしライアンは1年目の頃に比べて衰えている感じがしますね」
倉田「衰えですか? 年齢的にはまだまだ行けると言う気がしますが?」
木村「モチベーションの差ですかね。1年目はまだメジャーリーガーと言った感じでしたが2年目には環境に慣れたのが逆に悪かったのか問題行為が多くなりましたし」
倉田「元々問題行為で日本に来たんだから変わってない気もしますが?」
木村「私にも上手く説明できないんですがね。なんと言うか問題を起こす過程と言うんですかね。そこが違って来ている気がするんですよ。まあ今は試合に集中しましょうか!」

ライアン「さてと、ザコには用がない。用があるのは2番のみだ!」

ガキッ!
秋月「凄い威圧感と、戦う前から負けてたな!?」

倉田「珍しくカーブを投げて来ましたが秋月選手は対応できずキャッチャーフライに終わりました!」
木村「調子良い時は140キロで変化しますから当てるのがやっとでしょうね」

ライアン「コイツにはやられてるし全力で潰す!」

バコッ!
笹川「うわっ!?」

倉田「今、思いっ切り頭部に当たったように見えましたが!?」
木村「私にもそう見えました…………もしそうなら最悪…………」

ライアン「………………」
笹川「大丈夫です(死ぬかと思ったマジで殺気を感じたからな)」

殺気すら放ったライアンの一球だったがのけ反ったところにヘルメットが飛んでそこへボールが当たっただけと笹川の身体は問題なかった。
倉田「ライアン選手はここで危険球退場となります。笹川選手も無事と言う事ですが大事を取ってベンチに引っ込みますが観客席からはライアン選手への大ブーイングですとライアン選手はファンとケンカしてるようですね」
木村「危険球を投げた相手に謝罪もせずにケンカとは、これは本格的な処分が必要になりますね」

ファンA「引っ込め!」
ファンB「そうだそうだ!」
ライアン「ちっ!(味方にヤジられるとはな……ま、そこはどの国でも同じと言う事かよ)……フン。キサマらと遊んでる暇はない!」
ファンC「ふふん。向こうから逃げてこっちからも逃げると逃げてばっかだな」
ライアン「もう一度言って見ろ!」
ファンC「何度でも言ってやろうじゃないか」
ファンD「やめとけってヒット打たれたからって危険球投げる奴だぞ! 本気で怒ったら本当に殺されるかもよ!?」
ライアン「っ!?」
ファンC「うっ!? けどここならケンカしようと思っても手は届かないだろうし」
ファンB「マジでやめとけってこいつは何度も問題を起こした奴だぞ! 本気でキレたらどんな目にあわされるか」
ファンA「もう行こうぜ!」
ファンC「……そうだな」
ライアン(クソッ!)

ヤクルトスワローズ ベンチ
滝沢「あの助けにと言うか止めに行かなくて良いんですか?」
全員「………………………………」
松田監督「それで良いんだな?」
光宗「必要な事ですから!」
姫川「……光宗さん(そりゃ俺だってあいつにはむかついてるしいい気味だと思ってないかと言えば嘘になるかも知れないけど……)」
滝沢(本当にこれで良いのか? 先輩達はどう思ってるんだ?)
土丸屋「ふむ」
藤堂(うーん、光宗さんは信頼できるし任せれば問題ないと思うけど?)
時雨(性格的には合わない奴だが1人の野球選手としてあいつは素晴らしい物を持っている。正直、こんなところで終わって欲しくない!)
本郷(嫌な雰囲気だな。光宗さんもあの人をこんなところで終わらせようとは思ってないよな?)
界外(出れるだけ羨ましくもあるし実力のある人があんな事言ってて腹も立つがこんなところで終わって欲しくないと思うのはこのチームが好きだからかな? あの人にもこのチームを好きになって欲しいな!)
生井(性格には問題あるしどうにも好きにはなれないが、あいつもチームの一員なんだ。なんとかならない物だろうか?)
赤崎「本当にこのままで良いんですか?」
光宗「頼む。あいつの事を考えるなら一度あいつを落とさなきゃダメなんだ!」
丸目「落とすって?」
朝霧「光宗さんがそう言うなら信じますが」
姫川(だけど、俺はやっぱり!)
滝沢「っ!!!」

姫川が駆け出そうとしたところ滝沢の方が速く駆け出して行った!
全員「おいっ!?」
光宗「…………あいつっ!?」
松田監督「放って置け! それより試合に戻るぞ!」
全員「試合にって言われても?」
松田監督「お前達はプロ野球選手だ! 野球で食ってるしファンはそんなお前達に金を払って観に来てるんだ! ピッチャーは本郷! 抜けた滝沢の代わりは界外だ!」
本郷&界外「分かりました!!」

5回表 ヤクルト1−0ダイエー ライアンは退場し滝沢は抜けて2アウトランナー1、2塁で本郷がマウンドに向かう!
倉田「色々問題はありましたがライアン選手は退場となり何故か滝沢選手も交代でファーストには界外選手が入ります?」
木村「ファーストランナーは代走で野上ですね。スタメンはすっかり笹川に獲られてベンチ要員になっているとホークスのスタメンもすっかりと変わりましたね」

平井「ふっ!」

カキ―――ン!
本郷「マジかよ!?」

倉田「少しコースがあまかったか高めの高速スライダーをレフトスタンドに持って行きました!」
木村「昨年は2年目ながらもチームで三冠を獲ってますからね。今年も調子は良さそうだしホークスではもっとも恐ろしいバッターですね!」

本郷「ったく一気に逆転されるとはな!」

ガキッ!
青葉「143キロか、打てないボールでもないんだが?」

倉田「ストレートを打ち上げてセンターフライに終わります。昨年も見ましたが本郷選手は球威がありそうですね?」
木村「そうですね。今年はローテーション入りを確実視されている逸材ですし良い成績を出しそうです!」
倉田「しかし本郷選手は打たれて福岡ダイエーホークスが逆転に成功しました!」
木村「動揺を突かれてとも言えませんか、打った平井は大した物ですよ!」

本郷「すみません」
光宗「あいつらが気になったか?」
本郷「気になっているに決まってるじゃないですか! あっ! すみません」
光宗「いや、今のは俺が悪かったな。すまん。だがあいつらは大丈夫だ!」
本郷「本当ですか?」
光宗「ああ! 飛び出したのが姫川でなく滝沢だったのが驚きだったがあいつならきっと上手い方向に持って行ってくれる!」
本郷「滝沢で大丈夫でしょうか?」
光宗「年齢は関係ない。相手をどう思えるかだ。そして失敗してもまた諦めず頑張って行くだろう。そう言う奴だから任せられるんだ!」
本郷「確かに友人と言うのは上手いとか下手とかで決まるもんじゃないですからね」
光宗「そう言う事だ!」

笹川「逆転してるし?」
佐伯「あっ! 大丈夫だったんですか?」
笹川「全然問題なし!っと言っても一応頭に当たったかも知れないから病院に行って精密検査受けなきゃならないんだけどな」
堀内監督「レギュラーのお前に抜けられるときついしきっちり悪いところは治してもらって来い!」
笹川「なんか頭が悪いみたいに言われてるのは気のせいですか?」
全員「ははっ!」

5回裏 ヤクルト1−3ダイエー 代わった本郷はあっさりと打たれてしまいホークスが逆転する!
佐伯「時雨さんか、長打には注意だな!」

カキ―――ン!
時雨「今シーズン最高の当たりじゃなくてオープン戦か、とにかく会心の当たりだったなと我ながらビックリだな!?」

倉田「得意のクリティカルシュートでしたが完全にとらえて打球はレフトスタンドへ!」
木村「インコースギリギリなのに恐れもせず振り抜いた精神力や真芯でとらえたバットコントロールなどシーズンに取っときたい会心の当たりでしたね!」

佐伯「さすがはプロだな。あのクリティカルシュートをスタンドまで持って行くとは……そうだ! 滝沢はいなくてもこれだけのバッターがいるんだから全力で投げて行くだけだ!」

ガキッ!
丸目「やはりと言うべきか高校時代よりレベルは上だな」

倉田「丸目選手はフォークを打ち損じてピッチャーゴロに終わります!」
木村「良いピッチャーですね。これで高校トップではないと言うのも凄いですよ!」

佐伯(次は本郷さんか、バッターとしてはどうなんだろうな?)

ズバ―――ン!
本郷「1年目で既に俺より速い球投げてるのは地味にショックだな!?」

倉田「147キロのストレートを空振り三振とやっぱり速いですね?」
木村「そうですね。1年目でこれなら最終的には150キロは行くでしょうね!」

佐伯(特に怖いイメージはなかったな? やっぱりライアンさんが特別なのか…………)

ガキッ!
朝霧「シンカーはそれほどでもないな」

倉田「朝霧選手はシンカーを引っかけてサードゴロに終わります!」
木村「最後はコースがあまかったですね。それでも抑えてるんだから大した物ですね!」
倉田「しかしあっさりと同点に追い着かれると佐伯君は良いピッチングなんでしょうか?」
木村「試合を作ってるだけ大した物ですよ。ルーキーにしてはになりますが良いピッチャーですよ!」

海藤「最後はやや危なかったが、良いピッチングだったな!」
佐伯「同点に追い着かれましたけど」
海藤「ルーキーでこのピッチングは御堂を思い出すし新時代のエースの到来だな!」
佐伯「大げさですね。ですがそう成れるよう頑張ります!」
海藤「おう!(佐伯が活躍してくれれば優勝も見えて来るな!)」

赤崎「時雨さんのおかげで同点になったけど連打は難しそうですね」
朝霧「いやあまいコースもあるしちゃんと狙えば打てるさ」
丸目「と言っても追い込められたらシュートで来るからどうしても振ってしまうんですよね」
赤崎「時雨さんは打ったけどコツとかあるんですか?」
時雨「そんなの俺が教えて欲しいくらいだ!」
丸目&赤崎「……………………」
朝霧「いばんなよ!」

試合はこのまま続いて行くがライアン達はどうしてるかと言うと?

公園
ライアン「なんでついて来た?」
滝沢「うーん、特に理由はないですね?」
ライアン「……変わったヤツだな」
滝沢「……試合はどうなってるんでしょうか?」
ライアン「さてな。勝ってるのか負けてるのか?(佐伯か、ルーキーにしては良い物を持っていたな。メジャーでシュートピッチャーは珍しいし向こうでも通用するかもな?)」
滝沢「どうしたんですか?」
ライアン「いや、それより戻ったらどうだ?(ホームシックとはらしくないか!)」
滝沢「ライアンさんはどうするんですか?」
ライアン「とっととホテルに戻って休むさ」
滝沢「そうですか、なら俺も安心して戻ります!」
ライアン「安心? フン! ガキに心配されるいわれはない!」
滝沢(あっ!? 言い方間違えたかな?)
ライアン(こんなガキに心配されるようじゃ……そろそろオレも終わりなのか?)

ライアンは引退も仕方ないと思っていたが何故かその事を考えるのが嫌で自分が逃げている事も自覚していたがそれが何故なのかにはまだ気付いてなかった。

9回表 ヤクルト3−3ダイエー その後にヤクルトも勢いを見せてあっさりと同点に追い着いた!
倉田「本郷選手は失点が多いですが力強いピッチングを見せてますね!」
木村「そうですね。意外に失点が多いですね? ボールは一級品なんですが?」

本郷「うらっ!」

カキ―――ン!
秋月「おっしゃ!」

倉田「低めボール球でしたが手を出してヒットにしました! ここは走って来るでしょうか?」
木村「走っても良いですが、ここはきっちりと送って来るでしょうね」

野上「よっと!」

コツンッ!
界外「くっ!?」

倉田「木村さんの言った通りきっちりと送って来ました! これで1アウトランナー2塁になります!」
木村「しかしファーストとサードの守備は不安ですね。ダッシュが遅いのは見ていて不安になりますよ!」

本郷「あまく見るなよ。この手の場面は何度も抑えて来たんだぜ!(おもに2軍でだけど)」

平井「届く!」

カキ―――ン!
本郷「げっ!?」

倉田「ライトの姫川選手は追い着けず抜けた! ランナーはあっさり返って打った平井選手はセカンドで止まります!」
木村「ルーキー時代は返る役と言った感じでしたが2年目からは返す役になりましたね。いやはや末恐ろしい若者ですよ!」

本郷「まだだ!」

ズバ―――ン!
青葉「良いボールだ!」

倉田「144キロのストレートを空振り三振!」
木村「青葉がボール球を振らされるとは珍しいですね。選球眼はずば抜けたバッターなのに振らされると言う事はそれだけノビていると言う事ですかね?」

本郷「ふんっ!」

ガキッ!
葛城「げっ!?」

倉田「葛城選手もボール球に手を出してしまいキャッチャーの光宗選手がファーストに投げて3アウトチェンジです!」
木村「最後のボールはスプリットですね。フォークより落差はありませんが速度がある分、芯を外しやすいボールですね!」
倉田「ピンチの場面でしたが本郷選手はなんとか1失点と力投を見せました!」
木村「昨年も見ましたがここぞと言うところで力強い投球を見せますね。案外抑えとか向いてる気もしますがスワローズには生井と言う守護神がいますから先発になっているんでしょうね!」

本郷「打たれちまった」
光宗「あのランナーが返ったのは仕方ない。むしろ1失点で良く抑えたと言うべきか」
本郷「打たれて良かったと言われても」
光宗「そう言えるならお前はまだまだ成長するさ。今日の悔しさを忘れずに練習するんだな!」
本郷「まだ負けてませんよ!」
光宗「ああ。1点差なら十分取り返せる!」

平井「結局1点だけか」
大友「相手のピッチングが良かったな。無名だがなかなかの実力だ!」
平井「そうですね。ところで本郷さんって高卒出身ですけど、母校はどこなんですか?」
大友「うむ。分からん?」
平井「分からないんですか?(なんで偉そうに言うんだろう?)」
海藤「はいはい。本郷の母校は黒龍高校です。お前よりひとつ上だから定岡達の世代だな」
平井「そう言われると甲子園でも戦ったような」
海藤「一応チームのエースだったが実力はそれほどじゃなかったし評価は低かったけどな」
大友「ふむ。プロの目はさすがだったと言うべきか、まだ成長途中と言う事を考えると末恐ろしいな」
海藤「イエーイ!」
平井(何故に決めポーズを!?)

9回裏 ヤクルト3−4ダイエー 後続は続かなかったが平井の一振りでホークスは待望の勝ち越しを決めた!
倉田「ご存知でしょうが佐伯選手は6回を2失点とまずまずのピッチングで降板し7回からは飯島選手が投げています!」
木村「2回を1失点とまあまあですね。しかし昨年よりコントロールも付いて来たし今年はもう少し活躍しそうですね!」

飯島(本来は中継ぎなんだが、抑えは抑えで面白そうだな!)

カキ―――ン!
土丸屋「ふう」

倉田「150キロのストレートに合わせてボールはライト前に落ちた!」
木村「あの速い球を思いっ切り引っ張って打ちましたね。いずれ首位打者を獲ると言われてますし今年こそ獲るかも知れませんね!」

飯島「ふう、まだまだ!」

ズバ―――ン!
姫川「………………」

倉田「手が出ず見逃し三振と今日の姫川選手はまったく良いところがありませんね?」
木村「そうですね。覇気がないと言うかなんと言うか調子は良くなさそうですね?」

飯島「行くぞ!」

スト―――ン!
界外「フォークか、落差は結構あるな」

倉田「キレは悪そうに見えますが結構落ちてますねっと界外選手はボール球のフォークを空振り三振に終わって2アウトとなりました!」
木村「確かにストレートと変化球の見分けは難しくなさそうですね。しかしそれでも抑えてるんですからボールの威力は大した物なんでしょうね!」

飯島「こいつで終わりだ!」

カキ―――ン!
光宗「手応えあった!」

タッタッタッ! パシッ!
秋月「捕った!」

倉田「レフトの頭を抜けるかと思いましたが秋月選手が追い着いて試合終了です!」
木村「最後はコースも速度もあまかったですね。やはり大卒と言えどまだ2年目と若いって事ですかね?」
倉田「とにかく試合は4対3で福岡ダイエーホークスが逃げ切りました! 勝利投手は飯島選手で敗戦投手は本郷選手です!」
木村「そしてヒーローは勝ち越しを決めた平井ですが、若いですが将来チームを引っ張って行くのは彼かも知れませんね!」

ヤクルトスワローズ
松田監督「力では負けてなかったな。負けた理由はお前達が一番分かっているはずだ! と言う訳で今日はこれで解散だ!」
姫川「はあ、最後に打ってればなー」
土丸屋「打てなかった物は仕方ないですよ」
本郷「今年こそはと思ってたのにっ!?」
界外「俺もノーヒットだったし」
赤崎「………………」
朝霧「暗いなー」
光宗「仕方ないだろう。まあ乱闘にならなかった分マシだったと思っておくんだな」
時雨「結局追いかけたのは滝沢だけと、あいつらはどうしてるのやら?」
丸目「………………」
光宗「気にするな。プロとしては残って試合を続けるのが当然だ!(まあ友人としては追いかけるのが当然となんとも言えんがな)」
姫川「…………滝沢か(ひょっとして優勝のカギを握るのはあいつかも知れないな)」

ライアンの問題行為のペナルティーは高く1年の試合禁止処分とも言われたが首脳陣や選手達がかばいなんとか2ヶ月の出場禁止となった。

福岡ダイエーホークス
堀内監督「どうなるかと思ったが最後はチーム一丸となった見事な勝利だったな!」
秋月「影の主役がこの俺だ!」
平井「ランナーも大事な仕事ですからね。あそこで打てたのは俺の実力でもヒーローに選ばれたのは秋月さんや野上さん達のおかげです!」
秋月「そう言われると照れるなー」
青葉「ま、俺や葛城は続けなくて、すまないとしか言いようがないがな」
葛城「ま、相手の調子も良かったですからね」
大友「同じ条件で平井は打ったんだ。負けないよう頑張れよ!」
葛城「今年は3割30本狙ってるので負けません!」
青葉「俺も若手に負けて引退はごめんだな!」
海藤(若手に勢いがあると中堅やベテランも負けてたまるかと良い雰囲気になるな! 俺も負けずとやってやるぜ!)
俵坂「今日は活躍できなかったな」
アルベルト「今日打てなければ明日打てば良いとプロは長いですから自分のペースをたもつ事が重要ですよ!」
俵坂「そうですね(スタメンが決まってるならまだ余裕があるけど、俺の場合レギュラーが決まってるとは言い切れないし打てる時はガンガン打っとかないとな!)」
佐伯「6回を2失点とそこそこだったけど、チームは勝ったし良かったと言うべきか」
飯島(チームに守護神がいないし抑えの出番も多そうだな。今日の試合のように次も四死球で自滅しないよう頑張るぞ!)

そしてデッドボールを食らって欠場した笹川は大した事なく今シーズンも開幕スタメンが決定したらしい。

福岡ダイエーホークス
ヤクルトスワローズ
勝利
飯島信也 1勝1敗1セーブ
セーブ
敗戦
本郷丈太郎 0勝1敗0セーブ
本塁打 平井豊4号
ライアン1号 時雨隆宗1号 界外風1号
今日のヒーロー 平井豊 9回表の勝ち越し打!

インフィニティスポーツ
倉田「オープン戦も終わりいよいよシーズンが始まります。ルーキーで大活躍した選手も多いと今年の新人王争いも注目です!」
野村「今年もルーキーとは思えない選手が多いですからね。既にプロ野球は新世紀突入って感じですね。おっと、ベテランも忘れちゃいけませんね!」
倉田「そしてオープン戦で勝ったのはベイスターズと言うべきなんでしょうか?」
野村「まあ試合数が違いますからね。勝率では横浜で勝利数では阪神とダイエーになりますね!」
倉田「ちなみに試合数ではホークスがトップでタイガースが2番となっております」
野村「まあ順調なところですね。今年もルーキーや移籍選手などの活躍が楽しみですよ!」
倉田「ちなみにルーキーで一番活躍した選手はタイガースの石崎選手と言われています!」
野村「3試合登板して無失点イニングスを継続中と文句なしでしたね。斎藤も良かったしこの二人の投げ合いは今から楽しみですよ!」
倉田「短いですがこれで終わりです。それでは開幕戦でお会いしましょう!」
野村「終わりと言うよりは始まりって感じですからね……いや始まったらなら話題も多くなるのか?」

こうしてオープン戦も終わりペナントレースも始まるのだが斎藤にちょっと困った問題が起きるのだった。

巨人寮 斎藤の部屋
斎藤「あれ? 俺の部屋だし夢だったのか?」
球星「いいや、夢だが現実でもある!」
斎藤「………………出た―――!?」
球星「おいおい夜中にそんなに騒ぐなよ」
斎藤「祟らないで下さい」
球星「いや祟らんし、しかしいい加減本題に入りたいんだが」
斎藤「(呪う気はないのか?)それであなたはいったい?」
球星「ふっ、名乗るほどの物でもない!」
斎藤「(いやそこは名乗らなきゃ話は進まないだろうが!)えっと?」
球星「お前の気に惹かれてかな。ずっと憑りついてたんだがまさかお前が巨人軍に来るとはな。まあプロ野球選手になれるだけの素質はあると思っていたんだが」
斎藤「憑りついてたってずっと前からですか!?」
球星「まあお前はワシを認識できなかったからな。たまに悪ふざけでぼそっとつぶやいたりしてたかな。後はこっそり乗り移って身体能力を強化したりしてたかな」
斎藤「なんだそっか」
球星「ん?」
斎藤「これは夢だったんだ。そうだよな。こんな事が現実に起こる訳がないし」
球星「いやそこを否定されたら困るんだが、それにお前は否定するが今までもこんな事はって…………寝ちまったか、時期尚早だったかな。まあここに来ちまった以上、ワシも協力するが、しかしいきなり認識できるようになったのはどう言う事だ? やっぱりあれのせいか? とするとあの女はいったい何者なんだ? まあいいやとにかく一緒に頑張ろうぜ。相棒!」

プロ野球選手としてやって行けそうと思った瞬間にこんな事が起こるとは斎藤の野球人生はまだまだ何が起こるか分からない?