第11章 強豪無明実業VS新星天狼学園

−2000年 9月−
秋の大会も始まり無明実業の1回戦の相手は天狼学園と1回戦から決勝戦と言われるほど注目される試合となった。
柴田「いきなり決勝戦って感じだな♪」
山本「行くぞーと思った瞬間に当たる相手がこれだと結構きついな」
山口主将「クジ運は昔から悪くてな」
天野「まあ会うのが早いか遅いかだけの差ですよ」
高橋「甲子園常連の名門校だからね。夏は僕達が勝ったけど、相手のメンバーもほとんど変わっているから未知数だよね」
大岡監督「4番の不動は知らないが1年で4番だからとんでもない強打者なんだろうな」
全員「あの清水が5番を打たされるほどですからね」
柴田(清水って誰だっけ?)
大岡監督「新エースの荒井は言うまでもなく剛速球をガンガン投げるタイプだ。ちなみに醍醐、寺沢、清水、荒井で天狼四天王と言うらしい」
全員「そうなんですか?(別にどうでも良いし)」
岩田「相手に取って不足なしか」
酒井「やっぱり名門の選手層は厚いって事かな」

−地方大会1回戦 地方球場−
1年 柴田 竜
後攻 先攻
無明実業高校 天狼学園高校
投手力 機動力 投手力 機動力
打撃力 守備力 VS 打撃力 守備力
意外性 経験値 意外性 経験値
総合力 総合力
東山 章助 1年
2年 河内 徹 寺沢 啓一 2年
1年 天野 守 醍醐 耕助 2年
2年 山口 忠 不動 豹 1年
2年 松山 智 清水 道広 2年
1年 山本 秀二 戸田 平太 2年
2年 野口 鉄雄 太田 勘助 2年
2年 酒井 正次 井上 啓 2年
1年 高橋 陽太 荒井 辰平 2年

瀬戸監督「初戦の相手はなんの因果か無明実業だ」
荒井「夏の借りを返してやるぜ!」
清水「お前、夏はいなかっただろう」
荒井「………………」
寺沢「そうだ。そうだ!」
醍醐主将(荒井をイジメるときにはこの二人、気が合うんだよな?)
荒井「だあ―――! うっさい―――!」
全員(お前の声の方がうるさいっての)
不動「前の試合では3対2で負けたんでしたっけ?」
篠原「甲子園では天野が目立ってたけど、3連発食らったのはさすがに初めてだったからな」
東山「まあ今となっては負けた事で今の俺達があるわけだから感謝するべきなんだろうけど……」
瀬戸監督「だが同じ相手に二度負けるわけには行かんぞ!」
全員「はい!」

放送席
霞「なんと言うか1回戦から事実上の決勝戦と言われるほどの試合になりましたね」
武藤「無明実業も強くなりましたからね。まあ選手層は相変わらずと言うか夏以下ですけど」
霞「ちなみに注目される試合のせいかスタンドは満員と観客に良い試合を見せて欲しいですね。ちなみに各球団のスカウトも観戦している……と面白いなーと思います!」
武藤「最後はそう言うオチですか?」
霞「それはそれとして無明実業はそれほどではないですが天狼学園のメンバーは夏と比べてずい分変わりましたね?」
武藤「まあ4番の不動君は知りませんが、荒井君や清水君はケガで欠場して夏には出番がなかっただけですからね。他のメンバーも夏にはベンチ入りしてたし不動君以外は普通に判断して良いんじゃないですか」
霞「夏の大会では天野君の力と言うより柴田君の力で勝った感じですが今回はどうなるか注目の試合ですね」
武藤「まあ予想は難しそうですね」

1回表 無明実業0−0天狼学園 波乱の1回戦スタート!
東山(夏の事考えるとまともに打つのは無理だな。ならここでできる事は!)

ガキッ! ガキッ! ガキッ!
天野(しつこい奴だ!)

ズバ―――ン!
東山「粘り勝ちだ!」

霞「次々とカットして行き最後はストレートを見逃しフォアボールで東山君が一塁へ向かいます!」
武藤「立ち上がりの良い天野君にしては珍しくランナーを出しましたね」

野口(一応初球外させておくか、俺の肩で刺せるか不安だが)
天野(コクッ!)
寺沢(3球目でエンドランかけるぞ!)
東山(OK!)

カキ―――ン!
寺沢「ま、こんなもんだな!」

霞「142キロのストレートでしたが綺麗に打たれてこれでノーアウトランナー1、3塁となります!」
武藤「完全にアイコンタクトでエンドランを成功させたとこの1、2番コンビは手ごわそうですね」

天野「………………」
野口「エンドラン成功かよ。しかも次は醍醐と大ピンチだな!?」
醍醐主将「正直、天野から大量得点は難しいしチャンスが来たのならきっちりと取らないとな!」
天野「初回から厳しい場面か、だがランナーにホームは踏ませない!」

カキ―――ン!
醍醐主将「相変わらずコントロールは抜群だな」

霞「2球目もストレートが続いたせいか綺麗に合わせて一二塁間を抜けてランナーが返り天狼学園が1点を先制します!」
武藤「まさかの初回での先制点でしたね。しかし球速は出ているのに綺麗に合わせられるとバッターが凄いのか、それとも天野君の調子が悪いのか」
霞「球速が出ていると言う事は調子が良いと思うんですが?」
武藤「いえ。速度があってもボールのキレやノビと言った物がない場合もありますから」
霞「なるほど、試合を振り返って1対0で天狼学園が先制し、いまだにノーアウトランナー1、2塁で迎えるバッターは新4番の不動君です!」
武藤「1年生の4番ですか、天狼の4番ですからやっぱり凄いんでしょうね?」

野口「醍醐を退けての4番だからな。醍醐以上のバッターと思った方が良いかもな」
天野「天狼の新しい4番の不動か」
不動「さてと一発行きますか!」

カキ―――ン!
霞「これは大きい……ですがセンターの山口君が追い着き1アウトです!」
武藤「追い込まれたかと思えばストレートをジャストミートと思ったんですが球威に押されましたね!」
霞「しかしセカンドランナーの寺沢君がサードへ走りこれで1アウトランナー1、3塁となりました!」
武藤「結果的には進塁打ですか、しかしあっさりと終わりましたね!」

不動「嘘っ!?俺が球威に押されるとは……これが天野守か、ふんっ! 面白いじゃないか!」
清水(追い込まれて来るボールは尋常じゃないな。こう言うピッチャーには初球打ちだ!)

カキ―――ン!
天野「っ!?」
柴田「くっ! 届けっ!」

パシッ!
霞「ヒット性の当たりでしたが凄足で追い着きキャッチし2アウトですがサードランナーは返って天狼学園が再び1点を追加しました!」
武藤「凄足って…………とにかくこれで2アウトランナー1塁ですが、やっぱり打線は夏以上と考えるべきですかね?」

天野「ふう」

ズバ―――ン!
戸田「ダメだ。手が出ないっ!?」

霞「最後は天野君らしく145キロのストレートで空振り三振に抑えて3アウトチェンジです!」
武藤「甲子園では難攻不落な天野君でしたが、ここではきっちりと打たれるとやはり天狼学園は全国レベルと言う事ですかね」
霞「しかし2ヒットで2点ですから天野君の調子が悪いとはいちがいには言えないんじゃないでしょうか」
武藤「そうですね。しかし秋山君が引退して打線が落ちると思っていたんですが見事に不動君、清水君が代わりを務めていますね」

天野「すみません。もう失点はしませんからなんとか2点は取り戻して下さい!」
全員「任せとけ!」
柴田(なーんからしくないな?)
岩田(いつもの天野と何かが違う?)

荒井「先制か、悪くないな!」
醍醐主将「きっちりとこの2点守って行こうな!」
清水「………………」
寺沢「どうしたムッツリ?」
清水「はあ」
全員(ムッツリ発言は無視っすか)
醍醐主将「でとうした?」
清水「たしか夏にはこの天野から2得点で終わったんだよな」
醍醐主将「ああ」
清水「そうか」
全員「?」

1回裏 無明実業0−2天狼学園 珍しく初回から失点と天野は調子の悪さを見せる
荒井「行くぞ。1年坊っ!」
柴田「負けるか!」
醍醐主将(まずは要注意の柴田からか)

ガキッ!
柴田「球威は岩田クラスか!?」

霞「146キロのストレートに当てましたが結果はピッチャーゴロで1アウトです!」
武藤「かなり重そうですね。ケガは完全に治ったと見て間違いないでしょう」

荒井「次っ!」

ズバ―――ン!
河内「これだけ速いとタイミング合わすのも難しいな」

霞「146キロのストレートを空振り三振! これで2アウトです!」
武藤「やっぱり初回で荒井君から点を取るのは難しいんですかね?」

荒井「うらっ!」

ズバ―――ン!
天野「………………」

霞「最後も外れてフォアボール! 天野君には1球もストライクが入りませんでした!」
武藤「そう言えばいきなり四死球出すタイプでもあると安定感のなさも相変わらずですね」

荒井「力んじまったか」

カキ―――ン!
山口主将「ふっ!」
荒井「はっ?」

霞「レフトスタンドに入った! 好調に抑えていましたがここでまさかの一発が出て無明実業が同点にしました!」
武藤「コントロールがあまかったとは言え145キロのストレートをスタンドまで運ぶとはさすがは新4番ってとこですか」

醍醐主将(山口、夏とは比べ物にならないくらい力を付けたか)
荒井「ちくしょう!」

ズバ―――ン!
松山「速いっ!?」

霞「146キロのストレートで松山君を空振り三振! 荒井君、2失点しましたがアウトはすべて三振と凄いですね!」
武藤「たしかに奪三振の数なら天野君とも違わないでしょうね」
霞「いきなり試合は動きましたが1回を終わって2対2の同点と両投手共に調子は悪そうですね」
武藤「まあボール見てる限り調子が悪いとも思えませんから両校の打線が強力なんだと思いますよ」

荒井「こうなるとあの一発が悔しいな」
醍醐主将「次に抑えれば良い話さ!」
荒井「山口! 次の打席では三振にしてやる!」

山口主将「とりあえず希望は叶えたぞ!」
天野「ありがとうございます!(これで振り出しに戻った。後は俺が抑えれば良いだけだ!)」
柴田「うーん?」
山本「どうした?」
柴田「なーんか、いつもと違わねえ?」
山本「なんの話だよ?」
柴田「ひそひそ(天野だよ!)」
山本「そうか? 俺は何も気付かないけど?」
柴田「そっか(俺もなんで気になるか理由は分からんから気のせいって言えば気のせいなんだろうけど?)」

2回表 無明実業2−2天狼学園 1回を終わって2対2と打線が動いているが両投手共に調子は悪くないらしい?
天野(弱音は厳禁だ。行くぞ!)

ズバ―――ン!
太田「たしかに速いが」

霞「145キロのストレートを見逃し三振! コース付くコントロールはさすがですね!」
武藤「1年生でこれなら文句なしにプロに行く逸材ですね!」

天野(まだ2回なのに疲労がきついが……)

ガキッ!
井上「うーん、ちょっと引っかけたか」

霞「続く井上君はショートゴロで2アウト!」
武藤「下位打線なせいかあっさりと2アウトまで行きましたね」

天野(……弱音を言っても仕方ないな!)

ズバ―――ン!
荒井「球のノビが尋常じゃないな」

霞「最後は143キロのストレートを空振り三振で3アウトチェンジ!」
武藤「この回は三者凡退とやっぱり調子は良いんじゃないですかね!」

野口(…………天野の調子は良いはず、だ)
天野「…………ふう(最後まで持ってくれよ!)」
岩田(いつもとフォームが違うのか? いやこの不安はもっと別な物だな)
高橋(今日は天野君だけでなく岩田君も変だな?)

荒井「ちくしょうと言うくらい速かったな」
醍醐主将「初見で天野のストレートはなかなか打てないさ。それより失点すれば命取りになるんだし気を持って抑えて行くぞ!」
荒井「おう!」

2回裏 無明実業2−2天狼学園 天野は調子を取り戻したか三者凡退に抑える!
山本「うぐっ!?」

ガキッ!
荒井「うげっ!?」

霞「打ち取った当たりでしたがレフト前に落ちるポテンヒットとなりノーアウトでランナーが出ます!」
武藤「タイミング合わなくて幸いと幸運な一打でしたね」

荒井「負けん!」

ズバ―――ン!
野口「くっ!?」

霞「142キロのストレートに手が出ず見逃し三振!」
武藤「コントロールが安定してないせいか見逃しが多くなっていますね」

荒井「まだまだ!」

ズバ―――ン!
酒井「速いっ!?」

霞「最後は145キロ! なんと荒井君、三球三振に抑えました!」
武藤「いきなり安定しているとやはりムラのあるタイプですかね?」

荒井「うらっ!」

ガキッ!
高橋「あれ?」

霞「高橋君は打ち上げて3アウトチェンジです!」
武藤「最後はカットボールですか、140キロで変化したら打つのは難しいですね」
霞「三者凡退とは行きませんでしたが完全に抑えたと言っても良いピッチングでしたね!」
武藤「そうですね。下位打線でしたけど文句のないピッチングでしたよ!」

荒井「ヒットを打たれたのはむかついたが」
醍醐主将「完全に抑えた当たりだったし特に気にする必要はないだろう」
荒井「1回、2回と連続でヒットを打たれると腹が立つ物なんだ!」
醍醐主将「と言われても相手のレベルが高いんだから仕方ないだろう」
荒井「常勝無敗の天狼学園が負けるくらいだからな」
醍醐主将「そうだ。接戦になって試合が後半になるとますます強くなって行くから気を抜くなよ!」
荒井「おう!」
醍醐主将(常勝無敗のうちが連敗なんて許されないからな!)

山本「あの速度で変化するとなかなか打つのは難しいだろうな?」
高橋「芯でとらえるのは難しいね」
山本「速度に慣れるのが攻略のコツかな。まあコントロールがいきなり乱れるんでコースの予測は付かないけど」
高橋「ちょっとと言うかかなり怖いね」

3回表 無明実業2−2天狼学園 ラッキーヒットを打たれるが後続は抑えると荒井の調子も良いらしい
天野「東山からか、1回のときみたいにはならないようにしないとな!」

ククッ!
東山「スライダーも結構変化するじゃないか」

霞「最後はスライダーを空振り三振で1アウトです!」
武藤「前の回はストレートばっかりだったしこの回は変化球攻めですかね」

天野(シュッ!)

スト―――ン!
寺沢「フォーク!?」

霞「最後はフォークを見逃し三振で2アウトです!」
武藤「フォークを低めに決めるところとかコントロールの凄まじさを見せつけますね!」

天野(こいつで終わりだ!)

ガキッ!
醍醐主将「良いストレートを投げて来るな」

霞「MAX149キロのストレートに当てましたがピッチャーフライで3アウトチェンジです!」
武藤「バットに当てる醍醐君も大した物でしたが天野君のストレートの凄さを見せつける結果に終わりましたね!」

野口「凄まじいな!?(やはり考え過ぎか、今日の天野は文句なしに好調だ!)」
天野「この調子で抑えて行く!(大丈夫だ。なんの問題もない!)」
山本「相変わらず凄いピッチングだな」
柴田「たしかにいつもの天野のボールだな」
岩田「ああ(たしかに俺の目標の天野のピッチングなんだが)」
高橋(なんか岩田君や柴田君も変だな?)

不動「三者凡退が続いてますね?」
醍醐主将「本調子になるとなかなか打てないと言う事さ」
東山「ストレートにタイミング合わせようと思ったら変化球で来たからな」
寺沢「俺なんぞ見逃し三振だぞ!」
東山「俺も三振でしたよ」
寺沢「空振り三振は戦って負けた。見逃し三振は戦わずして負けた。これほど悔しい事はない!」
東山「はあ?」
醍醐主将「まあ結果は変わらないんだけどな」
東山&寺沢「………………………………」
不動「調子を取り戻した天野を打ってこその4番だな!」

3回裏 無明実業2−2天狼学園 天野はこの回も三者凡退に抑える!
荒井「ふんっ!」

ククッ!
柴田「こいつを待っていたんだ!」

カキ―――ン!
荒井「…………くそっ!」

霞「行った! 荒井君のカットボールをライトスタンドへ運ぶ勝ち越しホームラン!」
武藤「完全に狙って打ちましたね。やっぱりバッティングセンスは凄い物を感じますよ!」

醍醐主将「弾丸ライナーで持って行きやがった!?」
荒井「だからストレートを投げれば良かったんだよ!」
醍醐主将「悪い(たしかにストレートなら球威でスタンドまでは届かなかったかも知れないな)」
荒井「もう1点もやらん!」

ククッ!
河内「当てられないのも情けないな」

霞「最後はカットボールを空振り三振し1アウトとなりました!」
武藤「あれだけ速いと、どうしても振り遅れてしまうらしいですね。まあ変化球ですが速さはストレートと変わりませんからね」

荒井(また変化球のサインかよ)

ガキッ!
天野「それなりに落ちるか」

霞「天野君はフォークを打ち上げてキャッチャーフライですね!」
武藤「これで2アウトですか、荒井君も変化球を多く投げて来ますね?」

荒井「食らえ!」

ズバ―――ン!
山口主将「速いっ!?」

霞「最後は148キロのストレートで空振り三振! これで3アウトチェンジです!」
武藤「そう言えば荒井君は尻上がりでしたね。と言う事はこれからドンドン球速が上がって来るんですかね」
霞「とにかく柴田君の一振りで1点勝ち越しで無明実業がリードしております!」
武藤「まだ3回ですが、結構試合が動いている感じがしますね!」

荒井「ようやくストレートを投げさせてくれたな?」
醍醐主将「そりゃな。しかしこれから先は変化球を混ぜて行くリードで投げてもらうぞ!」
荒井「決め球が希望通りなら構わないさ!」
醍醐主将「決め球が変化球の場合もあるからな」
荒井「…………了解」

柴田「ふっ、これで勝ち越しだぜ!」
山本「はいはい」
柴田「あっさり流されると悲しいぜ!」

4回表 無明実業3−2天狼学園 柴田の一振りで勝ち越しと3回を終わり夏の大会と同じ点差になってしまった!
不動「遅いなっ!」

カキ―――ン!
霞「147キロのストレートでしたがあっさりと打って不動君はセカンドへ!」
武藤「速くて良いコースに行ったんですけどね」

天野「まだだ!」

ズバ―――ン!
清水(バカがっ! これじゃ燃え尽きる前のロウソクだろうが!)

霞「145キロのストレート! 清水君は空振り三振に倒れ1アウトです!」
武藤「やっぱりそうそうは打てませんね。打った不動君が凄いって事ですね!」

天野「このまま一気に行く!」

ズバ―――ン!
戸田「うわっ!?」

ズバ―――ン!
太田「なんつう速さだっ!?」

霞「出た149キロ! 後続の2人も連続三振と不動君はセカンドストップのまま3アウトチェンジです!」
武藤「凄まじいですね。これから得点するのなんて無理じゃないかと私にも思えて来ますよ!(しかし今日の天野は凄すぎるな。この試合に賭けている物でもあるのか?)」

岩田「なあ?」
天野「岩田、肩温めといてくれないか」
岩田「っ!?」
天野(こうなったら行けるところまで行くしかない!)

不動「すげえな。俺のときとは比べ物にならないボールだった」
清水「それはそうだろう。あの後は限界を無視して投げて来ているからな」
不動「はあ? そんなのは普通の事じゃ?」
醍醐主将「本当かっ!?」
清水「ああ。見かけはともかく中身は荒井と変わらないらしいな」
醍醐主将「そうか、違和感の正体はそれか?」
清水「あの程度の奴にいつまでもマウンドにいられたら目障りだっ!」
醍醐主将「……そうだな(恐らく甲子園からだな)」

4回裏 無明実業3−2天狼学園 天野はヒットを打たれる物の後続は3人で抑えると失点はしなかった!
荒井「意地でも打たさん!」

ガキッ!
松山「当てるのがやっとだな」

霞「ストレートになんとか当てましたがセンターフライに終わり1アウトです!」
武藤「まあこれだけ速いと当てるのならともかく打つのは難しいでしょうね」

荒井「うりゃ!」

ズバ―――ン!!!
山本「はっ?」

霞「自己最速更新の150キロのストレートで山本君を空振り三振に抑え2アウトです!」
武藤「150キロ投げるほどのピッチャーになりましたか、来年の夏の事を考えると恐ろしいですね」

荒井「うらっ!」

ズバ―――ン!!
野口「1打席目とは比べ物にならないくらい速くなってないか!?」

霞「最後は149キロのストレートを空振り三振し3アウトチェンジです!」
武藤「春の甲子園に出ればこの荒井君は凄く目立つでしょうね」
霞「ですね。4回を終わりまして試合は3対2と無明実業が1点リードしております!」
武藤「このまま天野君が抑え続ければ勝利と天野君のピッチングに注目して行きたいですね!」

醍醐主将「150キロとは恐れ入ったな」
荒井「当然!って150キロってなんだよ?」
醍醐主将「気付いてなかったのか? 山本の打席で150キロを記録したんだが」
荒井「ふっはっはっは、そうか! ついに俺も150キロ出せるほどのピッチャーになったわけか、来年のプロ入りは確定だと思ったがこれでドラ1も確定したと言う事だな!」
醍醐主将「まあ可能性はあるな」
荒井「そうか! そうか!」

山本「つうか150キロって!?」
柴田「まあ数えるほどだが今までの対戦相手にもいたからな。ここは初戦で全国区のピッチャーに当たって良かったと思えば良いんじゃないか?」
山本「…………竜がまともな事を言っている!?」
柴田「お前なー」

5回表 無明実業3−2天狼学園 荒井は自己最速更新の150キロのストレートを投げるとドンドン調子を上げて行く!
天野「一気に行くぞ!」

ズバ―――ン!
井上「なんつうノビだっ!?」

ズバ―――ン!
荒井「完全に振り遅れてるなっ!?」

ズバ―――ン!
東山「当てる事すら不可能なのかよっ!?」

霞「あっさりと三者三振に抑えましたね。しかしいきなり変わりましたね?」
武藤「理由は分かりませんがスタミナの配分を無視して投げていますね。今日負けたら先はありませんから全力で投げているのも分からなくはないんですが?(これじゃまるで……)」
霞「武藤さん?」
武藤「いえ。ただこのペースで完投は無理でしょうね」

天野(先の事を考えている余裕はない。後ろには岩田がいるんだ。おかげですべてを出し切る事ができる!)
 岩田(正直、この回が限界かと思ったんだが、まだ行く気なのかよ!?)
野口「………………」
柴田「言って聞く奴じゃないですよ。こうなったらあいつの好きにさせてやりましょう!」
野口「そうは言うがな」
柴田「うちの中心はあいつですよ。あいつのおかげで今の俺達がありますしあいつのバカに付き合いましょう!」
野口「分かったよ!(この柴田に岩田、そして天野と、バカばっかりだよな。だけど何故かそれが誇らしいんだよな!)」

東山「なんかあいつ凄くなりすぎてるんですけど?」
寺沢「大丈夫だ。あれならいずれガス欠起こす!」
醍醐主将「そうだ。勝負は次の回だ!」

5回裏 無明実業3−2天狼学園 天野は難攻不落な勢いで6連続奪三振中!
荒井「こっちも負けるか!」

ズバ―――ン!
酒井「手が出ないっ!?」

ズバ―――ン!
高橋「全然タイミングが合わないよっ!?」

ズバ―――ン!
柴田「完全に負けた!?」

霞「柴田君も三球三振と荒井君も負けずとこの回を三者三振に抑えます!」
武藤「柴田君でも手が出ませんね。荒井君はいきなり調子落とす事もあるので断言はできませんがこのピッチングを続けて行けば天狼学園の逆転の可能性も低くはないと思いますよ!」
霞「5回はあっさりと終わったせいか時間はあまり経っていませんね。試合は3対2のまま無明実業がリードしております!」
武藤「まだまだ試合の行方は分かりませんね?」

荒井「まだまだギアをトップまで上げるぜ!」
醍醐主将「その調子で頼むぞ!(スタミナの問題もあるが荒井のテンションを下げる方が怖いからな)」
篠原(必要ないと思うが、俺も準備しとくか)

柴田「ここまで良いようにやられたのも久々だぜ!?」
高橋「速いもんね」
柴田「それもあるがコースが良くなったり悪くなったりするんで予想が付かん」
山口主将「初回じゃあまめのボールもあったが、今はリード通り投げているし荒井より醍醐の思考を読んだ方が打ちやすいと思うぞ!」
柴田「分かってはいるんですけど、微妙にずらされるんですよね?」

6回表 無明実業3−2天狼学園 荒井も負けずと5連続奪三振中!
天野(シュッ!)

ズバ―――ン!
寺沢「限界知らずだな!?」

霞「148キロのストレートで寺沢君を空振り三振に抑えこれで7連続奪三振です!」
武藤「限界を超えて投げていますね!?」

天野(限界が近いな。せめてこの回だけは投げ切って見せる!)

カキ―――ン!
醍醐主将(サヨナラだ。天野、夏にまた会おう!)

霞「バックスクリーン一直線! 醍醐君の起死回生同点ホームラン!」
武藤「147キロのストレートでしたが完全に合わせられましたね!?」

天野(……次は4番の不動か)

カキ―――ン!
不動「……失投か?」

霞「また入った! 今度はレフトスタンドに入る勝ち越しホームランと天狼学園があっさりと1点勝ち越しました!」
武藤「速度も落ちているしコースもあまかったと、もう限界ですね!」

天野(まだ行ける!)

カキ―――ン!
清水(だからバカだと言っているんだ!)

霞「……これも入りましたね。なんと3連発で一気に天狼学園が2点リードしました!? ここでキャッチャーの野口君がマウンドに向かいます!」
武藤「球速も140キロに届かなくなったしさすがに降板でしょうね!」

野口「もういい。ゆっくり休め!」
天野「すみません。後はお願いします!」
岩田「お前の代わりくらい俺が務めてやるよ!」
天野「……ああ!」

霞「ピッチャー天野君に代わって岩田君!」
武藤「球速だけなら天野君や荒井君にも負けていませんからね。良いピッチングが期待できると思いますよ!」

岩田「あのバカ野郎の為にもここは負けられんっ!」

ズバ―――ン!
戸田「天野に負けず劣らずじゃないか!?」

霞「いきなり148キロのストレートで戸田君を空振り三振に抑えます!」
武藤「夏から急成長しているみたいですね。やはり無明実業の底力は凄そうですね!」

岩田「意地でも打たさん!」

ズバ―――ン!
太田「ギリギリ入ってるのか!?」

霞「低めギリギリ148キロのストレートを見逃し三振で3アウトチェンジです!」
武藤「代わった岩田君は2者連続三振ですか、凄いですね」
霞「たしかに凄いですが天狼学園の3者連続ホームランで天野君は降板し逆転と試合の流れが一気に変わりました!」
武藤「今日の荒井君相手に2点差は厳しいですが、甲子園で見せた奇跡の逆転劇こそ無明実業って感じですからまだまだ分かりませんよ!」

岩田「天野は?」
野口「………………」
大岡監督「病院に行かせた!」
全員「病院っ!?」
山口主将「やはり故障ですか?」
酒井「やはりって?」
大岡監督「まあな。薄々気が付いていたんだが天野を信用してここまで放って置いたのがまずかったな」
柴田「それでどのくらい悪いんですか?」
山本「それを今診てもらってるんだろう」
柴田「そうか!?」
高橋「………………」
大岡監督「とにかくだ! 天野を安心させるためにもこの試合を勝つんだ!」
全員「…………はい」

不動「故障ですか……それで俺には棒球を投げたわけですか」
清水「肩か肘かは分からないが何処か壊しているのは間違いない。しかし思っていた以上に粘ったのは驚きだったな」
東山「それにしても試合中に壊すとは運が悪いですね」
醍醐主将「いや恐らく甲子園から壊していると見たな」
寺沢「なるほど、見かけはともかく中身は俺や荒井と同類ってわけかい!」
清水「ようするにただのバカだ!」
寺沢「ほほう。俺にケンカ売ってるのかな」
清水「俺は事実を言ったまでだが!」
醍醐主将「まあまあ」
荒井(ケガして投げられない苦しみは知っている。しかしここで壊れてでも投げたいと言う思いも同じくらい知っている。天野、このまま終わるんじゃねえぞ!)

6回裏 無明実業3−5天狼学園 まさかの3連発の逆転で天野は降板した!
山口主将「いいか、天野に今までの借りを返すためにもここで負けるなよ!」
全員「おう!」
荒井「うらっ!」

ガキッ!
河内「うりゃ!」

霞「河内君、ボテボテの当たりでしたが足でセーフをもぎ取りました!」
武藤「飛んだ場所が良かったですね。まあそれでも普通はアウトと河内君の足も凄いんですけどね」

荒井(当たりそこねがヒットかよ!)

ガキッ!
岩田「どりゃっ!」

霞「どん詰まりの当たりであわやライトスタンドかと思いましたがここはライトフライに終わり1アウトランナー1塁となりました!」
武藤「荒井君の重いボールを良くもまああそこまでっ!?」

荒井(大したパワーだ!)

カキ―――ン!
山口主将「振り遅れたがなんとか芯に当たったな」

霞「148キロのストレートでしたがライト前に運びこれで1アウトランナー1、2塁となりました!」
武藤「タイミングが合っているとは言えませんがそれでも荒井君から連打と、やはり野球は分かりませんね?」

荒井(ちっ! タイミングが合っていないと言っても良く当てやがるっ!)

カキ―――ン!
松山「良し!」
不動「抜かすかよ!」

パシッ! シュッ!
河内「げっ!?」

霞「三遊間を抜けると思っていた打球を不動君がジャンピングキャッチ! そのままセカンドへ投げます! 飛び出していた河内君は戻れずダブルプレーで3アウトチェンジです!」
武藤「1点入ってた可能性を考えるとこのプレーは試合の勝敗を決めるかも知れませんよ!」
霞「無明実業、チャンスでしたが結果は無得点と残念な結果に終わりました。試合は6回を終わって5対3、天狼学園が2点リードしております!」
武藤「6回は1回と同じ展開かと思いましたが無明実業に点は入りませんでしたね。波乱な試合と言われてましたがその通りになっていますね!」

荒井「くそっ! 完全にタイミングが合ってやがった!?」
醍醐主将「全国制覇はだてじゃないって事だろう。天野や柴田だけじゃないって事だ!」
荒井「次の回からはもう打たさん!」
醍醐主将「ああ。その調子で行こう!」

松山「すまん」
山口主将「仕方ない。相手の守備が良すぎた!」
河内「だな」

7回表 無明実業3−5天狼学園 無明実業は得点圏までランナーを進めるが不動の守備に阻まれて無得点に終わる
岩田「やはりそうそうは打てないか、おっと今はピッチングに集中しないとな!」

ズバ―――ン!
井上「うっ!?」

霞「146キロのストレートを見逃し三振と井上君も手が出ずこれで3連続奪三振です!」
武藤「今のところ1回を三者三振に抑えているって事ですね」

荒井「食らえ!」

カキ―――ン!
岩田「ぬうっ!?」

霞「148キロのストレートでしたが合わせてレフト前に落ちました!」
武藤「岩田君の重いボールを引っ張るとは……荒井君はパワーもありますね」

岩田「ランナー出たか、関係ないな!」

ズバ―――ン!
東山「1回以外良いところなしかよ!?」

霞「東山君は145キロのストレートを空振り三振し2アウトランナー1塁となりました!」
武藤「今日の岩田君は絶好調ですね!」

寺沢「うらっ!」

カキ―――ン!
岩田「またかよ!?」

霞「寺沢君、得意の流し打ちでヒットを打ちこれで2アウトランナー1、2塁となりました!」
武藤「誉めたと思ったらこれですか!? まあ球速からして寺沢君が上手かったって事なんでしょうが」

岩田(サインはともかく低めか)

ズバ―――ン!
醍醐主将「ここで高めかよ!?」

霞「高め148キロのストレート! 醍醐君は見逃し判定はボールでフォアボールです!」
武藤「手が出なかった感じですが、それが結果的に良かったって感じですね」

岩田(コントロールが悪くなって来たか、満塁で歩かせるわけには行かないがここで縮こまって投げるわけにも行かない!)

ズバ―――ン!
不動「せっかくの満塁でこれかよ!?」

霞「最後はアウトコースいっぱい! 見逃し三振で3アウトチェンジです!」
武藤「と言うかここまでアウトはすべて三振と言うのも凄いですね。しかしハラハラするピッチングばかりで応援している人達はすごく心臓に悪そうです!」

野口「恐ろしい攻撃だったな」
岩田「ですが無失点に抑えました!」
野口(そうなんだが、低めに要求して高めとか滅茶苦茶怖かったんだぞ!?)
岩田「?」

不動「チャンスに滅法強いと知られる俺があの場面で打てないとはっ!?」
醍醐主将「それはまあ得点圏でも10割打てるってわけじゃないしそう言う事もあるだろう」
寺沢「とどめを刺せなかった事は残念だがまだうちがリードしているんだ。そこまで気にする必要は……」
不動「……あるんです!」
全員「っ!?」
不動「岩田! 貴様の名はブラックリストに書き込んでやる。くっくっく、この俺を本気にさせた事を後悔させてやるぜ!」
全員(もう好きにしてくれ)
東山(パワプロの久方っぽいな。まああれはピッチャーだけど)

7回裏 無明実業3−5天狼学園 2アウト満塁のピンチもあったが最後は見逃し三振に抑えると岩田も力強いピッチングを見せる!
荒井「食らえ!」

ズバ―――ン!
山本「いくらなんでも速すぎるっ!?」

霞「149キロのストレートを空振り三振し1アウトです!」
武藤「前の回では打っていましたが、やはりそうそうは打てませんね」

荒井「下位打線とは言え容赦はしない!」

ズバ―――ン!
野口「こんなの打てるかよ!?」

霞「最後は150キロ! 野口君は三球三振に終わり2アウトです!」
武藤「下位打線に凄いボールを投げて来ますね」

荒井「こいつで終わりだ!」

ズバ―――ン!
酒井「入ってるのか?」

霞「続く酒井君は2−3と粘りましたが最後は見逃しの三振に終わります!」
武藤「なんか今日の試合って三振やホームランばかりな気がしますね」
霞「7回も終わって試合は5対3で天狼学園がリードしております!」
武藤「この回は三者三振ですか、前の回のピンチはなんだったんでしょうね?」

荒井「後2回抑えれば俺達の勝ちか」
醍醐主将「ああ」
篠原(この調子なら俺の出番はなさそうだな)

柴田「後2回で2点差か、きついが届かない差でもないな」
山本「情けない話だが連打は難しそうだぞ」
柴田「俺やキャプテンは当たってるし次の打席でなんとかして見せるさ!」
山本「相変わらずの自信だな。とにかく後は頼む!」

8回表 無明実業3−5天狼学園 荒井はこの回も三者三振と奪三振は現在13個!
岩田「行くぞ!」

ガキッ!
清水「想像以上に重いな」

霞「清水君は打ち上げてセンターフライに終わり1アウトです!」
武藤「岩田君の持ち味はボールの重さですからね。さすがの清水君でもスタンドまで運ぶのは難しそうです!」

岩田「うらっ!」

ガキッ!
戸田「ジーンと来るなっ!?」

霞「戸田君も球威に押されてセカンドフライに終わり2アウトです!」
武藤「完全に力負けしましたね」

太田「だあっ!」

カキ―――ン!
柴田「ナイスバッティング!」

パシッ!
太田「今日一番の当たりがアウトか!?」

霞「良い当たりでしたが柴田君がキャッチして3アウトチェンジです!」
武藤「ライトの守備範囲と飛んだ場所が悪かったですね」

岩田「抑えるのは後1回だがこの裏で得点しないと苦しいな」
柴田「次は俺にまわるから任せとけ!」
山本「竜がホームラン打っても1点届かないけどな」
柴田「陽太が出れば問題なしだ!」
高橋「努力します!」

醍醐主将「やはり重いか」
清水「ああ。だが打てないほどでもないな」
醍醐主将「ま、このまま抑えれば終わるし気にする必要もないか」
清水「そう言う事だ」

8回裏 無明実業3−5天狼学園 自慢の球威で三者凡退と岩田も無難に抑える!
荒井「非力な小僧には力で押せば良い!」

ガキッ!
高橋「当てるのがやっとだよ!?」

霞「148キロのストレートに当てましたが結果はショートゴロに終わり1アウトです!」
武藤「ヒット性の打球はなかなか出ないでしょうね」

柴田(バットに気持ちを込めて振り抜くだけだ!)

カキ―――ン!
荒井「俺の渾身のボールだ! 入るわけがない!?」

霞「多少球威に押された感じもありましたがバックスクリーンに入った!」
武藤「150キロのボールを良くもまあスタンドまで運べるもんです!?」
霞「もしかしたらと思いましたがここで柴田君が打ちました。これで1点差となりましたね」
武藤「もう回もないとは言え1点差なら試合はまだ分かりませんね」

荒井「くそっ!」

ズバ―――ン!
河内(荒れてるな。強肩の醍醐だが荒井のクイックなら十分盗めるな!)

霞「最後も外れてフォアボール! 河内君は盗塁も成功させて1アウトランナー2塁です!」
武藤「ランナーの警戒もしないと完全に柴田君の一発で調子を崩しましたね」

荒井「ピンチだな。こうなったらランナーを無視するだけだ!」

ズバ―――ン!
岩田「ぬうっ!?」

ズバ―――ン!
山口主将「こいつはまいったな!?」

霞「ランナーいるのにワインドアップで投げたかと思いきや150キロの連発で岩田君と山口君を空振り三振に抑え3アウトチェンジです!」
武藤「ランナーをサードにすると言うバカげた事をやったと思いきや連続三振と完全に結果を出しましたね!?」
霞「崩れるかと思いきやなんとか調子を戻し荒井君は1失点に抑えます。試合は8回を終わって5対4と無明実業が1点差まで縮めました!」
武藤「調子を取り戻したと言うよりは開き直ったって感じですね。しかし荒井君のポテンシャルはオリックスのエース河島に匹敵する感じがしますね!」

醍醐主将「1点差か」
荒井「すまん。俺の渾身のボールをスタンドまで運ぶとは夢にも思わなかった!?」
醍醐主将「たしかにスイングスピードとリストの柔軟さに真芯でとらえる眼と成長途中とは思えない怪物だな」
清水「そして荒井のボールをスタンドまで運ぶパワーだな」
寺沢「まあ後1回を無失点に抑えれば勝ちなんだ! 気楽に行こうぜ!」
荒井「後1回か(借りを返したいところだがそいつは夏まで取って置くか!)」

高橋「ごめん。僕が出ていれば同点だったのにっ!?」
岩田「それを言うなら俺達もだ。サードまで行きながら河内さんを返してやれなかった!」
山口主将「そう言う事だ。こうなったら9回裏にすべてを賭けるしかない!」
柴田(ふう、集中すると力は増すが疲労も凄いな。延長になると不利っぽいし後はみんなを信じて裏の攻撃でサヨナラを期待するしかないか!)

9回表 無明実業4−5天狼学園 同点とは行かなかったがそれでも柴田の一振りで1点差まで縮めた無明実業だが試合はこのまま終わるのだろうか?
岩田「ここはなんとしても無失点に抑えて裏にすべてを賭ける!」

ズバ―――ン!
井上「途中から登板したせいか全然速度が落ちないな」

霞「144キロのストレートを空振り三振で1アウトです!」
武藤「コントロールはともかく威力は凄そうとまだまだスタミナには余裕がありますね」

岩田「このまま行くぜ!」

ガキッ!
荒井「スライダーか?」

霞「少し変化しましたね。荒井君はスライダーを打ち上げファーストフライに終わり2アウトです!」
武藤「荒井君もここで変化球とは思わなかったせいか完全に打ち崩されましたけど、コースはあまかったと怖かったですね」

岩田「うぉ―――!」

ズバ―――ン!
東山「くそっ!」

霞「最後は高めボール球を振らされて空振り三振に終わり3アウトチェンジです!」
武藤「コントロールは安定しませんでしたが良い結果に終わりましたね!」
霞「試合は9回裏に1点差で入ると最後まで目を離せません。さてさて試合はどうなるか?」
武藤「まあ無明実業の試合は毎回こんな感じですけどね。無明か天狼か、どっちが夏から強くなっているかは興味ありますね!」

山口主将「代わってからは無失点と完全に抑えてくれたな」
岩田「このまま負けたら意味はないですね。みんなを信じて裏の攻撃に賭けましょう!」
山口主将「そうだな!」
柴田(後は信じるだけか)

瀬戸監督「荒井っ!」
荒井「は、はいっ!(交代か……完投したいところだがここまで4失点だからな。篠原なら安定したピッチングで抑えるだろうし仕方ないか……)」
瀬戸監督「抑えられるか?」
荒井「えっ!?」
瀬戸監督「抑えられるなら続投! 抑えられないなら交代だ!」
荒井「抑えられます!」
瀬戸監督「良し! 抑えて勝利しろ!」
荒井「はい!」
清水「続投か?」
寺沢「当然だろう!」
醍醐主将「そう言う事だ!」
清水(これが今の天狼学園と言う事か……不思議と悪くない気持ちにさせてくれるな!)

9回裏 無明実業4−5天狼学園 途中登板した岩田はここまで完全に天野の代わりを務めた!
荒井「奇跡もこれまでだ。俺の実力を見せてやる!」

ズバ―――ン!
松山「なんて奴だ!?」

霞「150キロのストレートを空振り三振! 観客からは甲子園の逆転劇を再びと言う事で無明実業への歓声が凄いですが150キロのストレートでそれを黙らせて来ましたね!」
武藤「名門の意地と言うか、荒井君の意地でしょうね。絶対に負けないと言う気迫がここまで伝わって来ますよ!?」

荒井「残り2人だ!」

ズバ―――ン!
山本「終わった!?」

霞「150キロのストレートを空振り三振! 無明実業、これで後1人となりました!」
武藤「奇跡のタネも尽きましたかね……結局天野君あっての無明実業って事ですか」

荒井「こいつで決める!」

カキ―――ン!
野口「天野も岩田も頑張ったんだ。ここで諦めてたまるか―――!」

霞「振り遅れましたがなんとか当てて打球はライト前に落ちると2アウトですがランナー1塁となりました!」
武藤「やりますね!? 執念の一打と気持ちで打ちましたよ!」

荒井「くそっ!」

ズバ―――ン!
酒井「なんとか繋げた!」

霞「酒井君は粘った末のフォアボール! 無明実業、まだまだ意地を見せます!」
武藤「このしつこさが無明実業の奇跡のタネでしょうか!?」

荒井「食らえ!」

ボコッ!
高橋「痛いけど、やった!」

霞「ここでデッドボール! 2アウト満塁で先ほどホームランを打った柴田君までまわりました!」
武藤「嘘でしょう!? たしかに調子を崩しましたが一気にここまで流れが変わるもんですかね?」

醍醐主将(なんの為に監督が続投させてくれたと思っている。その信頼を裏切るな!)
荒井(分かっている! むしろワインドアップで投げれる満塁の方が投げやすい!)
柴田(みんなが希望を繋げてくれた。だからみんなの為に天野の為にそして自分自身の為にもここで打つ!)

カキ―――ン!

1−0 初球アウトコースのボール球だったが柴田は打ち打球は切れてファールとなった!
荒井(あの低めをファールとは言いスタンドまで飛ばすとは……一発打たれたら終わりなのにワクワクすると俺はやっぱりこう言う奴と戦うのが一番の楽しみなんだな!)

ズバ―――ン!

1−1 150キロのストレートがインハイに来たがこれは見逃しボールとなる!
柴田(対応できない速度でもないが打つとなるとなかなか難しいな)
荒井(サインはど真ん中のストレートか、たしかにコース付くよか俺らしいボールだな!)

ズバ―――ン!

2−1 真ん中低めに来たがここは見逃しストライクとこれで柴田は追い込められた!
柴田(コースよか球威がやっかいだな。ホームランを狙うには完全にタイミングを合わせなければ無理だ!)

荒井(またど真ん中か、こいつで決めろって事だな!)

カキ―――ン!
柴田(狙い通りの真ん中だ!)

パシッ!
東山「やった! 勝ったぞ!」

霞「150キロのストレートを完全にとらえたかと思いましたがセンターの頭は越えず東山君がキャッチして試合終了です!」
武藤「奇跡は起きずですか……しかし最後の粘りは天野君や柴田君だけの無明実業ではないと言う証明に見えましたね!」
霞「試合は5対4で天狼学園の勝利となりました! 夏の覇者の無明実業はまさかの初戦敗退と再び評価を下げました!」
武藤「たしかに評価は下がるでしょうがそれでも1点差ですからね。まだ全国で通用すると気落ちせずこれからも頑張って欲しいですね!」

瀬戸監督「やれやれ最後までハラハラさせる展開と落ち着かないピッチングだったな」
荒井「すみません」
瀬戸監督「いや、良いピッチングだった。この調子で頼むぞ!」
荒井「は、はいっ!」
醍醐主将「たしかにランナー出すと調子崩すところはあるが得点圏にランナー背負うと信じられない力を出す一面もあるからな」
清水「まあ扱いにくい奴ではあるな」
東山「勝ったんだから良いじゃないですか!」
寺沢「その通りこれで甲子園出場ももらったようなもんだ!」
不動「岩田め! この借りは夏に返してやる!」
篠原(結局今日は出番なしか)

柴田(長打ではなくヒットで繋ぐべきだったか、すまない、天野)
山本(俺があの場面で出ていれば)
高橋(最後には役に立ったけど)
岩田(負けは負けか)
山口主将「…………みんな整列するぞ!」
全員「…………はい!」

天狼学園
無明実業
勝利
荒井辰平
セーブ
敗戦
天野守
本塁打 天狼学園 醍醐耕助 不動豹 清水道広
無明実業 山口忠 柴田竜

河原
柴田「負けちまったよ」
千歳「天野君も夏に間に合わないんだよね」
柴田「そんな事ないぞ。先発でなくリリーフに転向するわけだからな」
千歳「どう言う事なの?」
柴田「先発と抑えだと先発の方が負担がかかるからな。天野は大事を取って夏にはリリーフってわけ!」
千歳「球数が減れば肩にかかる負担も減るって事だね!」
柴田「そう言う事だ!」
千歳「ねえ、竜君? まだ打てなかった事を気にしてるの?」
柴田「そりゃな。下手に気にしない方が良いのは分かっているんだが、だから忘れられるって物でもないしな。ただ、天野を見ているとな」
千歳「でもあそこで勝っていても」
柴田「ああ。たしかにあのまま勝ち上がっても天野は投げられない。だけどな。それだけじゃないんだよ。こいつはみんな思っていると思うんだがあいつと一緒に最後まで戦いたかっただけなんだよ。投げれる投げれないに関係なくな!」
千歳「そっか、ごめんね」
柴田「お前があやまる事はないさ」
千歳「これから夏に向かって頑張るんだよね?」
柴田「とりあえず練習と練習試合ばっかりだな。11月にはドラフトもあるけどな。キャプテンが指名される可能性があるって言われてるしな」
千歳「プロ入りなんてしたら凄い事だよね」
柴田「そうだけど、この高校、一昨年までは毎年指名されてばっかりだったって話だぞ!」
千歳「そう言えばプロでもエースや4番がうちの高校の出身だったりするんだよね」
柴田「うむ。まあ今年の本命は天狼の秋山さんだな。他は知らん!」
千歳「竜君は相変わらずだね。しかし練習ばっかりか」

無明実業の連勝もこれでストップし天野の負傷などと悪い事もあるが柴田達は練習を続けて行く……ちなみにディー(柴田の相棒犬)は家で寝ている。