第2章 ほのぼのな日常

−2000年 5月−
野球部の練習にも慣れて行き新しい友人にも出会いしだいにこの環境にも慣れて行き5月になった。
柴田「うむ。良い朝だ。それではディーよ。散歩へ行くぞ!」
ディー「zzz」
柴田「何でお前は寝てばっかしなんだとにかく散歩だ。散歩に行くぞ〜♪」
ディー「zzz」
柴田「(ピキッ!)この駄犬がいつまで寝てやがる!」
ディー「ワンワン」
柴田「相変わらず寝起きが良いのか悪いのか分からんな?」
??「それはお互い様だと思うけど」
柴田「何だいたのか?」
??「相変わらず冷たいな」

こいつは幾島千歳( いくしまちとせ )、秀二と同じく幼稚園くらいからの幼馴染で俺の妹の様な物だ。ちなみに秀二は弟、俺の方がこいつらより遅生まれとかはこの際関係ない。
千歳「それで竜君はいつも通りディーと散歩だよね。僕も混ぜてよ」
柴田「ま、構わんけど」

正直、この数年間毎日2回の散歩にずっと付き合うこいつの感覚は良く分からなかった。しかしまあいっかですませる俺も我ながら適当な性格だと思う。
千歳「それじゃ行こうディー」
ディー「ワン!」
柴田(相変わらず息ピッタリだな。秀二も最初の頃は散歩に付き合っていたがシニアの頃からあまり来なくなったな。それでも時々は付き合ってくれるけど)

こうしていつも通りのメンバーで散歩する。まあ当たり前の日常だ。少なくとも3年間はこれが続く。
柴田(3年後には俺はプロか、首都圏の球団にかかれば良いんだけど、他県の球団に行くとディーはどうすれば良いのかな?)
千歳「竜君、どうしたの?」
柴田「ん? いやな。俺が他県の球団に指名されたらディーはどうすれば良いのかなと思ってな」
千歳「今からそんな事考えてたんだ?」
柴田「いや、俺がドラフトにかかるのは当然だろう。この高校を全国制覇させるんだから」
千歳「秀君と違って竜君は相変わらず自信家だね」
柴田「俺ほどの逸材に気が付かないほどプロもバカじゃないだろうからな」
千歳「うーん、とりあえず竜君が無理ならディーの事は僕が何とかするよ」
柴田「いや、お前も進学か就職で地元から離れる可能性もあるだろう?」
千歳「うーん、多分大丈夫だよ」
柴田「いやそれ根拠がないじゃん」
千歳「せっかく無明実業に入ったんだから無明大に行けば良いんじゃない」
柴田「まあ、お前も結構頭良い方だから入れるかも知れんが俺の頭脳では無理だな」
千歳「相変わらず勉強方面では自信がないんだね」
柴田「当然だろう! 野球ばっかりやってて頭が良い方がおかしいんだよ! 天は二物を与えずって言うだろうが!」
千歳「うーん、でも野球部の天野君ってルックスも良いし頭も良いし性格も穏やかでお金持ちと言う事はない様な」
柴田「まあな。しかし穏やかな性格ね?」
千歳「違うの友達はファンクラブも作ろうって躍起になってるけど」
柴田「入部してもうファンクラブってさすがと言うべきかま、一見穏やかに見えるけどな。あれで中身はかなり熱い奴だな」
千歳「そうなの? 何かクールなイメージなんだけどな」
柴田「そこは俺を見れば分かるだろう。一見クールしかしその中身は熱いと」
千歳「ごめんなさい。全然見えない」
柴田「ふっ、どうせ俺は女にモテないよ。天野にファンクラブができたせいか女に野球人気はないからモテないんだいと言う言い訳もできんし」
千歳「ふーん、竜君もモテたいんだ!」
柴田「そりゃな。男としたら当然だろうと天野はそうじゃないな。平気でファンつう娘を追い返すからな。それで先輩達の評価も高いんだけど」
千歳「けど、竜君はモテたいんだね!」
柴田「そのネタ引っ張るけど、そんな気にする様な事があったか?」
千歳「どうせ竜君には分かんないよ!」
柴田(本当に分からん?)

そう言えばいつも何気ない会話で怒らせるんだよな。秀二の奴は何故か微笑ましそうな顔してたっけ?
柴田「それはそうと、やっぱり野球部のマネージャーは引き受けないのか?」

とりあえず話題を変えて機嫌回復をさせようと思って無難な話をする事にした。
千歳「……まあね」
柴田「どうして?」
千歳「どうしてって……はあ……もういいよ。これも竜君には分かんないもん!」
柴田「(もんってまた地雷を踏んだか、くそっ、どうも地雷の見分けが付かん?)とそんな事はどうでもいい」
千歳「どうでもいいんだ!」
柴田「(しまった。何でそこだけ口に出したんだ。不機嫌メーターがどんどん上がって行きやがる)待て待て、どうでもいいはそう言う意味じゃなくてな」
千歳「じゃあどう言う意味なの?」
柴田「えーと」

パニクッた頭じゃ説明しようにもどう説明すればいいか分からなく言葉を濁して散歩は微妙な空気で進むのだった。
千歳「竜君、ごめんね」

これもまたいつも通りで千歳の方が先に折れて謝り雰囲気も元に戻る。
柴田「ああ」

俺は相変わらずのセリフでケンカ?なのか分からんがとにかく終わる。
千歳「はあ、またこうなっちゃった」
柴田「ん?」
千歳「いや、僕は小さい頃から変わらないなって」
柴田「別にいいんじゃねえ。俺は変わんないお前が好きだぜ♪」
千歳「好きって!? もうどうして平気でそう言う事言えるのかな?」
柴田「あん?」
千歳「はあ、そうだね。変わらないのも良い事なのかもね」

何か知らんが顔を真っ赤にしているが機嫌は直ったらしく俺はようやくいつもの調子が出て来た。
ディー「ワンワン」
柴田「そういや散歩してたんだっけ? すっかり忘れてた?」
千歳「リード持ちながら忘れてたって?」
ディー「プイッ!」
柴田「だあ―――!? 不貞寝するんじゃねえ!? 不貞寝したお前は千歳怒らせるよりやっかいなんだからな!?」
千歳(ここは怒ってもいい場面なのかな?)

と言う訳で散歩も終わり授業は主に寝て過ごし部活へと向かう。

無明実業 野球部
柴田「うーむ。野球部の練習にも慣れて来たな」
山本「お前は最初から変わってないと思うが?」
高橋「天野君や岩田君も変わってない様だけどね」
山本「まあ、基礎体力のある奴らだからな」
高橋「そうだね。僕らも練習に慣れて来たしレギュラーになれると良いんだけどね」
山本「夏キャプテンもいるし俺は無理だな」
柴田「何を言っている。キャプテンだろうが先輩だろうがレギュラーを争う以上遠慮せず奪ってしまえば良い!」
山本「遠慮する以前に負けてんだよ」
高橋「僕も酒井さんからレギュラーは奪えそうもないな」
柴田「ちっとは岩田を見習え。同じピッチャーで天野が相手と、同学年でも頑張ってるじゃないか」
山本「ピッチャーや外野の場合は何人いても良いけど、内野だと制限されるだろうが!」
柴田「情けないな。まあ、先輩達もケガとかで欠場する可能性もあるしベンチ入りすれば十分か」
山本「全員ベンチには入れるよ」
高橋「そうだね。うちは選手層が薄すぎるね。こんなんで甲子園なんて行けるのかな?」
柴田「高校野球は短期決戦だから勢いがあれば何とかなるだろうけど、確かにケガで欠員が出れば困る事になりそうだな。まあ、来年になればいっぱい入って来るだろうけど」
山本「何でだよ?」
柴田「この俺がいれば春夏連覇は当たり前だからだよ」
山本「相変わらず無駄に凄い自信だな」
柴田「無駄とは失敬な。ま、野球は投手力、天野と岩田がいれば良いところまで勝ち上がれるだろう」
高橋「だけど地方大会で春の優勝校と戦う事になるけど?」
柴田「そこは俺に任せとけ」
山本「いや、どっちかと言えば天狼学園はバッティングが凄いからピッチャーと守備を強化しないと勝てないんじゃないか?」
柴田「しかし無得点では絶対に勝てない。つまり俺のホームランが求められている訳だ!」
山本「確かに無得点では勝てないけど、向こうのピッチャーも全国区レベルだぞ。1年の俺達に打てるかな?」
柴田「くっくっく、そう言ってこの俺が打てなかったピッチャーはいねえ!」
高橋「練習でバッティングは凄かったけど、柴田君ってそんなに凄いバッターなの?」
山本「バッティングは掛け値なしの怪物だよ。実際シニアの時もバカスカ打ってたし、まあ、チームはそこそこだったせいか知名度は低かったけど」
柴田「もう少しピッチャーや守備のレベルが高ければ天狼からの誘いもあったろうに」
山本「別に天狼学園から誘われても入らなかっただろうに」
高橋「そうなの?」
柴田「やっぱり高校野球って言ったら弱小が名門を倒すから燃えられるって感じじゃん」
高橋「何かスポコンマンガ見たいだね」
柴田「うむ。俺はああ言うマンガは大好きだ。どっかのたわけは無能が勝つのがそんなに嬉しいかなどと、のたまってくれたけど」
山本「まだあのセリフに怒ってるのかよ?」
柴田「いや、特に、しかしむかつくな」
山本(ってやっぱり怒ってるんじゃないかよ)
??「そこの後輩共、ずい分デカイ事言ってるな」
山本「山口先輩」
山口「結構結構、やっぱり新入部員はそれくらいやる気がなきゃな」

そう言って山口先輩は去って行った。
柴田「あの人もよく分からん人だよな?」
高橋「そう? 後輩を気にしてくれるいい先輩だと思うけど」
天野「そうだな。実力も一級品だし次期キャプテンと言われるだけはある」
柴田「確かに実力はあるけどな」
山本「そうだね。バッティングのお手本見たいな打ち方だし来年は山口さんもドラフトにかかるかも知れないね」
岩田「しかしプロ入りする様なバッターがいるのに1回戦も勝てない物なのか」
高橋「それだけレベルが高いんだろうね」
柴田「まあ天狼には1人どころか2人3人とプロ入りする選手がいるだろうからな」
山本「やっぱり質が違うんだろうね」
柴田「まあ1回勝負の高校野球じゃ意外性もあるだろうし勝って勝って勝ちまくるぞ!っておうと続いてくれなきゃ締まらないぞ!」
4人「おう〜」
柴田「都会っ子らしくたんぱくですなー」
山本「それは偏見だと思うが、それに都会っ子って言うなら竜もそうだろう」
柴田「しかし練習も今日で終わり明日は休みかそうだ。前に話してた東京見物でも行って見るか」
山本「ごめん。明日は用事があるんだ」
高橋「僕もちょっと予定が」
岩田「俺は予定がないし柴田のおごりなら付き合ってやってもいいぞ」
天野「俺も一応は暇だが」
柴田「半分はOKか、野郎におごるのもな」
山本「千歳にもおごらないだろうに?」
柴田「あいつは下僕その2だからいいんだよ」
山本「酷い言われ様だ…………ちなみにその1は?」
柴田「お前!」

そう言って俺は秀二を指差す!
山本「やっぱりね。と言うか指差すのはやめろ。欧米では大変失礼な行為と」
柴田「大丈夫、ここは日本だから」

と言う訳で俺達は5月もほのぼの練習して行った。しかし5月後半には天野の特別指導でめきめき実力を付けて行くのだった。