第9章 復活! 強豪無明実業野球部!

−2000年 8月−
無明実業は決勝まで勝ち上がり最後の相手はかつてのライバル校と言われていた斉天大附属となった。
柴田「今日はいよいよ決勝戦! 今日勝てば念願の全国制覇となる。相手は斉天大附属と強敵だが今の俺達なら勝てるはずだ!(カチッ!)」
全員「………………………………………………」
大岡監督「…………こほんっ!さてと、後1つでかつての栄光を取り戻せる!今日勝って明日からは弱小ではなく強豪無明実業高校だ!」
全員「おう!」
野村主将「それで今日の相手の斉天大附属だが大西のフォークは要注意だし思い切って無視して打って行くのも1つの手だ!」
山口「そうそう打てそうもないフォークですからね」
酒井「コントロールも良いし四死球も厳しいと難攻不落だからなー」
天野「そうでもないですよ。前の試合では2失点と試合経験のなさが出てましたから」
高橋「名門のエースなのに試合経験が少ないってのも変な感じだね?」
山本「練習試合ならともかく公式戦の出場は少なかったからな。案外苦労人なのかも知れないな」
柴田「下から上がって来たわけか、なかなか面白そうな人だな!」
岩田「西武の大沼さんに近いタイプだな。あの人も下から上がって来たんだろう!」
大岡監督「大沼か、確かにあいつも苦労して上がって来たな。準優勝投手としてドラフト2位と高い評価でプロ入りしたっけな」
天野「まあ今まで対戦した相手とは少し毛色が違うって感じですね」
野村主将「最後の相手としては俺達に相応しい奴なのかも知れないな」
柴田「それでバッターで注意するのは鳴尾さんに北川さんに鏡って奴だっけ?」
山口「特に予告ホームランを打った鏡は強敵だな」
天野「………………」
酒井「けど、その鏡君はスタメンなのかな?」
大岡監督「分からん。だが一応スタメンのつもりで試合に望んでくれ!」
高橋「僕達と同じ1年なのに凄い評価だね」
山本「あのバッティングだからな。スタメンなら斉天でもクリーンナップを打つ事になるんだろうな」
岩田(俺も出番があれば必ず抑えて見せる!)

−甲子園大会決勝戦 阪神甲子園球場−
1年 柴田 竜
後攻 先攻
無明実業高校 斉天大附属高校
投手力 機動力 投手力 機動力
打撃力 守備力 VS 打撃力 守備力
意外性 経験値 意外性 経験値
総合力 総合力
桧山 信士 3年
3年 豊田 誠 佐伯 湧 3年
1年 天野 守 鳴尾 剛史 2年
3年 野村 栄治 鏡 流 1年
2年 山口 忠 北川 衝 2年
3年 西岡 望 平井 光孝 3年
2年 野口 鉄雄 立川 源太 3年
2年 酒井 正次 森島 稔 3年
3年 安田 文夫 大西 和生 3年

大島監督「最後の相手はこれも因縁かな。無明実業だ!」
大西主将「1年の頃は聞いてましたけど、いつの間にかすっかり聞かなくなりましたね」
北川「と言っても名前を知っている人は多いでしょう。プロ入り多数でタイトル獲った選手も多くいますからね」
鳴尾「昨年はプロ入りした人が出なかったから一気に知名度が落ちたんだろうな」
鏡「それでも今年は決勝進出と、やっぱりポテンシャルはあったんじゃないですか?」
大島監督「1年の力、特に天野の加入が大きいな。それよりもだ。鏡、体調は問題ないか?」
鏡「ええ。今日1日だけなら問題ないです!」
北川「キャプテン達に取っては最後の試合か、最高の結果で終わらせてあげたいな!」
鳴尾「そうだな。泣いても笑っても今日でキャプテンのボールを捕るのも最後です。最高のボールをお願いしますね!」
大西主将「感傷的になるのはまだ早いぞ。今日勝利してお前らに斉天の栄光を受け継いでもらわないとな!」
全員(コクッ!)

放送席
霞「ついに今年も決勝戦の放送となりました。無明実業VS斉天大附属と少し前まで当たり前の決勝戦って感じでしたが今では懐かしい感じがしますね」
武藤「と言っても4、5年くらい前なんですが、まあ言いたい事は分かりますよ」
川崎「確かに天狼学園が出て来てから無明実業の事は聞かなくなりましたからね」
霞「正確には天狼学園が甲子園で優勝してからですね。天狼学園も1年目から活躍しましたがその頃はまだ無明実業の方が上って感じでしたからね」
武藤「名雲選手と天野選手のバッテリーでしたからね。いくら天狼でもいきなり勝てる相手じゃなかったって事ですね」
川崎「そう言えば風祭選手の世代が最後に出て以来出場はなかったんですよね?」
霞「そうです。有望な選手が多く天狼学園に流れて一気に戦力が落ちて行ったと言うのが原因と言われています!」
武藤「まあ天狼学園には黒い噂もありますからね。本当かどうかは分かりませんが?」
川崎「プロ入りした選手は別に問題はないんですがね?」
霞「それじゃ話を戻しまして今日の解説には元ダイエーで活躍していた川崎選手に来てもらいました。タイトル獲った事はないですが18年間チームに貢献し100勝100セーブを達成した名選手でもあります!」
武藤(しかし川崎か、言っちゃ悪いが今までの決勝解説とは見劣りするな)
川崎「どうもよろしくお願いします!(タイトル獲ってないは余計だが)」
霞「それでは両校についてどう思うかこのお二人に聞いて見ましょうか?」
武藤「そうですね。私の感想としたらどっちも新しいチームって感じですね」
川崎「確かに無明実業は1年がエースだし何年か振りの出場だし新しいチームって感じですね」
霞「ふむふむ。それで斉天大附属は?」
武藤「1年の頃から不動のエースだった小比類巻が引退してから大西君がエースになってやはり新しいチームって感じですね」
川崎「それに今日のスタメンは1年の鏡君が4番ですから無明実業よりも新しいチームって感じですね」
霞「ふむふむ。それで戦力的にはどうでしょう?」
武藤「鏡君が4番に座って攻撃力が上がり準決勝以上の戦力と斉天大附属が有利ですね。月並みですが無明実業の勝利は天野君の好投にかかっていると思います!」
川崎「私としては準決勝で打った野村君や北川君にも注目したいですね。スライダー、フォークと球種は違いますが野村君の活躍で試合が決まるかも知れませんよ。まあ斉天有利は変わりませんけど」
霞「それでは決勝戦の始まりです!」

1回表 無明実業0−0斉天大附属 いよいよ決勝戦も始まった。天野VS大西の投げ合いはどうなるのか?
天野「今日で最後だ。行くぞ!」

ククッ!
桧山「良いコースに投げて来るなっ!?」

霞「最後はスライダーを見逃し三振! まずは軽く1アウトと見事なコントロールでしたね!」
武藤「ええ。キレも悪くはないですがコース付くコントロールは文句なしと今日の天野君は絶好調って感じですね!」
川崎「特に秀でていると言うわけではありませんが、まあ悪くはないスライダーですね」

天野「行ける! そう思えるくらい今日は調子が良い!」

スト―――ン!
佐伯「今日の天野のフォークは結構落ちるなっ!?」

霞「最後はフォークを空振り三振し2アウトです!」
武藤「やっぱり今日の天野君は良いコントロールしてますよ!」
川崎「フォークもそこまでではありませんが上手いリードで三振奪っている感じですね!」

天野(シュッ!)

ズバ―――ン!
鳴尾「初回でこの速さかよ!?」

霞「最後は149キロのストレートを見逃し三振! 天野君は1回を三者三振と最高のピッチングを見せました!」
武藤「さすがに決勝戦だけあって最高の状態で来ましたね!」
川崎「さすがは天野さんの息子さんですね(しかし息子3人共天才的ってあの人はどんな遺伝子持ってるのやら!?)」

柴田「さすがは天野ってとこか」
天野「大変なのは次の回からだけどな」
柴田「鏡か」
天野「正確には流と北川さんだな。この2人が一番バッターとしては怖い」
柴田「前の試合では2人共ホームラン打ってたしな」
天野「ま、今日も調子は良いだろうな」
柴田「決勝戦だしな!」
天野「ま、それは俺達もだがな!」

鳴尾「やっぱり球速はあるな」
北川「それだけじゃないだろう」
鳴尾「まあな。体感速度で言えば雪村さんより上だな」
北川「ストレートだけなら雪村さん以上か」
鏡「守との対戦は2回からか」

1回裏 無明実業0−0斉天大附属 天野は1回を三者三振と最高のピッチングを見せる!
大西主将「三者三振か、こっちも負けられないな!」

ククッ!
柴田「くっ! 打ちにくいぜっ!?」

霞「最後はスライダーを空振り三振と期待の柴田君でしたがあっさりと終わりましたね!」
武藤「連投で調子も悪いかと思いましたが準決勝戦に負けない状態とさすがは斉天のエースですね!」
川崎「変化はともかく手元でキレている感じはしますね」

大西主将(三振奪うタイプじゃないし球数の事もある。楽に投げて行くか)

ガキッ!
豊田「軽くやられたな」

霞「豊田君はシュートを引っかけてセカンドゴロに倒れこれで2アウトです!」
武藤「打てそうで打てないボールが来ると言うのが大西君の特徴ですからね」
川崎「球種の多さとコントロールですか、プロにも何人かいますが大西君には決め球のフォークもあるんですよね」

大西主将(そして投打に当たって要注意の天野か)

ズバ―――ン!
天野「………………」

霞「最後は意外にもストレートを見逃し三振で3アウトチェンジです!」
武藤「コースは良かったですが天野君なら打ち返せるボールにも見えたんですけどね?」
川崎「単純に変化球を待ってて予想外のストレートでタイミングが合わなかっただけって事なんじゃないですか?」

大西主将「見逃し三振か、柴田の場合はやってやったと言う感じがするが、天野の場合はどうなんだろうな?」
鳴尾「力の入り具合からストレートでタイミングが狂ったって感じでしたね!」
大西主将「そうか、それならしてやったりで良いわけだな」
鳴尾「ま、そう言う事です」

野村主将「お前が三振と言うのも珍しいな?」
天野「決め球がまさかのストレートでしたからね」
野村主将「前に対戦した小国とは10キロ近く速度が違うし合わせるのは難しいか」
天野「そうでもないです。むしろストレートが来ると分かっていたら合わせやすいですよ」
柴田「俺も軽くやられたから分かるけど、キャッチャーのリードがやっかいなんだよな」
野村主将「鳴尾か、こいつも秋から一気に有名になって行ったな」
柴田(無明実業(   うち   )もいきなり有名になった感じだが、こうして見ると斉天大附属(    あっち    )もいきなり有名になった感じだな…………いや有名になったのは選手か?)

2回表 無明実業0−0斉天大附属 大西も天野に負けず三者凡退と見事なピッチングを見せる!
天野「……ふう、こいつで終わらす!」

ズバ―――ン!
鏡「さすがは守だな」

霞「ファール連発と続きましたが最後は147キロのストレートが決まって1アウトです!」
武藤「終わった後になんですけど、この2人って元チームメイトなんですよね。どう言う対戦になるか楽しみでしたけど、こう言う感じで終わりましたか」
川崎「天野君はストレートで決めるって感じで鏡君はそのストレートを待っていて三振と天野君の勝利と言った感じで終わりましたね」

天野「次も要注意の北川さんとクリーンナップは気を抜けないな!」

ズバ―――ン!
北川「こいつはちょっと打てないな」

霞「北川君にも146キロと連続三振を奪いこれで2アウトと天野君の調子は良いですね!」
武藤「1回からですからこれで5連続奪三振ですよ。調子が良いどころではありませんよ!?」
川崎「奪三振の記録と言うと斎藤(巨人)がとんでもなかったな」
霞「現在でも連続奪三振の16個は大記録ですね」
武藤「そう言えばじかに観たっけな?」
川崎「あいつは高校時代から化け物だったわけか」

天野(シュッ!)

ズバ―――ン!
平井「速っ!?」

霞「144キロのストレートを見逃し三振しこれで3アウトチェンジです!」
武藤「これで6連続奪三振ですか、確かに奪三振の多いピッチャーですが、ここまで飛ばすのも珍しいですよね?」
川崎「まあ今日で終わりですからね(しかしこのペースで9回まで持つのか?)」

天野「流に球数使ったのは痛かったけど、まあ完全に抑えられているな」
野口「明らかにお前のボールを見ようとしたファールだったからな。次の回じゃなくて次の打席は怖いな」
天野「その為にストレートを見せつけたんですけどね」
野口「ふーん、って事は次の打席は変化球重視か?」
天野「ま、あいつしだいですね」
野口「へっ?」

北川「やっぱり速いな。打とうと思ったけど、当てる事もできなかったぞ」
鏡「独特のストレートのノビですからね。慣れていないとそうそうは打てませんよ」
北川「天野の凄さは分かっていたつもりだったんだが、それでも天野に対する評価が低かったってわけか」
鏡「ま、左投手(  ひだり  )でここまでと言うのは少ないですからね」
北川「前の試合では登板しなかったが黒龍の小田切が近いかな」
鏡(言われて見ればシニアで対戦したときに似た印象を感じたな)

2回裏 無明実業0−0斉天大附属 天野は2回も三者三振とこれで6連続奪三振となった!
野村主将「これならっ!」

カキ―――ン!
大西主将「ふう、ランナーが出たか、だがなっ!(サッ!)」

パシッ!
野村主将「しまった!?」

霞「綺麗にセンター前に打って野村君が塁に出たかと思いましたが、大西君の牽制球であっさりとアウトになるとツイてません。無明実業!」
武藤「ツキの問題でもないと思いますが、ノーアウトのランナーを失ったのは痛かったですね」
川崎「しかし上手い牽制でしたね。さすがはマウンドさばきに定評のある大西君ってとこですか」

大西主将「なんとかランナーは消えたか」

ガキッ!
山口「ふう、完全にタイミングを狂わされた感じだがヒットはヒットだ!」

霞「完全に体勢が崩れましたがなんとか当てて打球はレフト前に落ちます! 1アウトランナー1塁となりました!」
武藤「野村君が出てれば得点圏までランナーが進んだんですけどね」
川崎「どちらにせよこのランナーをどう生かすかですね」

鳴尾(偶然ヒットになっただけです。ランナーは気にせず行きましょう!)
大西主将(コクッ!)

スト―――ン!
西岡「なっ!?」

霞「最後はフォークを空振り三振して2アウトです!」
武藤「ここは送りバントで良い場面なんですけどね?」
川崎「バントは苦手なんでしょう。いいや大岡監督って確かバント嫌いで有名でしたっけ?」

大西主将(シュッ!)

ククッ!
野口「フォークが一番やっかいだけど、このスライダーもかなり打ちにくいぞっ!?」

霞「最後はスライダーに手が出ず見逃し三振で3アウトチェンジです!」
武藤「こうやって見ると鳴尾君のリードが良いですね」
川崎「大西君のコントロールが良いせいかキャッチャーのリードも目立ちますね」

鳴尾「こうやって見ると下位打線はそう抑えるのが難しいわけでもないですね」
大西主将「それでもパワーのある選手もいるから気を抜けないけどな」
鳴尾「次の8、9番はパワーもないので怖くないですが、その後の柴田は怖いですね」
大西主将「柴田か」

山口「結局残塁のままか」
野村主将「すまん」
山口「いえ。偶然良いところに落ちたんであって俺も当たっているとは言えませんから」
野村主将「スライダーは打ちやすく感じたけどな」
山口「前に対戦した小国もスライダーが決め球でしたけど、右と左と違いますからタイミングが狂いませんか?」
野村主将「普通はそのはずなんだがな(なんと言うか前より見えやすい気がするんだよなー)」

3回表 無明実業0−0斉天大附属 ヒットは打たれた物の続かず大西は2回も無失点に抑える!
天野(良い感じだな。これなら誰が相手でも打たれる気がしない!)

ズバ―――ン!
立川「低いと思ったけど、入ってるのか!?」

霞「147キロのストレートを見逃し三振しこれで1アウトです!」
武藤「なんか低めのボールって球がストライクに入った感じでしたけど?」
川崎「確かに見た感じ浮き上がっている感じはしますが、完全なボールコースからストライクまで上がっているとは思えませんけどね」

天野(この調子で行く!)

ズバ―――ン!
森島「速すぎるだろう!?」

霞「148キロのストレートに手が出ずこれで8連続奪三振です!」
武藤「ミートの上手い斉天からここまで三振奪うとはやっぱり凄いんですよね」
川崎「そう言えば斎藤(巨人)の記録ってどこ相手に出したんですか?」
霞「風祭選手(オリックス)相手ですから無明実業高校にですね」
武藤「相手が赤竜高校なら先輩のリベンジって感じですけど、相手が斉天大附属ですからね。赤竜高校と同じ県でライバル校なので関連はありますけど」
川崎「話振っててなんですけど、別に無理に関連見い出す事もないと思いますけど」

天野(こいつで終わりだ!)

ズバ―――ン!
大西主将「とてもじゃないけど俺には打てないな」

霞「最後は149キロのストレートで決めた! これで9連続奪三振を達成しました!」
武藤「これで斉天のスタメン全員から三振を奪ったわけですか」
川崎「ストレート中心の組立から斎藤(巨人)っぽさを感じますが、やっぱり兄の天野(近鉄)に似ている印象がありますね」

天野「今日の俺は文句なしの絶好調だな!」
野口「確かに今まで受けた中でも最高のデキなんだけど、飛ばしすぎじゃないか?」
天野「確かにスタミナ切れの心配はありますけど、今日で終わりですから飛ばせるだけ飛ばして行きます!」
野口「そうか(交代できるピッチャーはこの決勝で通用するかと言うと微妙だからな。天野の感じるプレッシャーは相当な物なのに、この決勝でこのピッチングとは大した奴だ!)」

鳴尾「下位打線にも容赦なしだな」
鏡「良くも悪くもそう言う奴ですから」
鳴尾(良く分からん奴って事か?)
鏡(次の回で守と勝負できると良いんだが?)

3回裏 無明実業0−0斉天大附属 天野は9連続奪三振中と完全に抑えている!
大西主将「………………」

ガキッ!
酒井「シュートかよっ!?」

霞「酒井君はショートゴロに倒れ1アウトです!」
武藤「完全に裏を掻かれての凡退と鳴尾君のリードが良いですね!」
川崎「大西君のシュートは三振奪う感じではなく凡打を量産すると言った感じですね」

大西主将「ん? 最後はこれか!」

ククッ!
安田「変化が大きすぎる!?」

霞「最後はスローカーブを空振りの三振ですね。これで2アウトです!」
武藤「安田君もバットを振ったんですが、ボールの遅さか変化の大きさに困惑しての三振でしたね」
川崎「バッティングが苦手って言われてましたけど、観てて納得しました。できれば得意の守備も観て見たかったんですが、今日の天野君の調子じゃあんまり観る機会はなさそうですね」

柴田(あのスローカーブなら打てそうだな。待って見るか)
鳴尾「………………」
大西主将「…………分かった!」

ククッ!
柴田「俺って格好悪いな」

霞「最後はスローカーブを空振り三振と柴田君も全然タイミングが合っていませんね!」
武藤「そうですね(完全に力んで振っていたし待っていたボールで三振したんだろうな)」
川崎「今日の大西君は奪三振が多いですね」
霞「そう言えばそうですね。天野君が完全に抑えているんであまり気にならなかったんですが、ここまで6奪三振と珍しくハイペースです!」
武藤「大西君に取っても最後の夏ですからね。スタミナ配分を無視してでも勝とうとしているのかも知れませんね」
川崎「結局前半では投手戦と野手の活躍はありませんでしたね」

大西主将「お前のリードにも驚いたが、スローカーブを待っていてあっさりと空振りしたな」
鳴尾「柴田は遅いボールに弱いイメージがあるんで安田さんにはスローカーブの実験をさせてもらいました!」
大西主将「まあスローカーブをストライクに持って行くのは怖いからな。合わせても長打になるからもっぱらボール球で使うんだが」
鳴尾「まあ柴田攻略はスローカーブとチェンジアップを有効に使えばなんとかなるでしょう!」

柴田「………………」
天野「珍しく落ち込んでるな?」
柴田「狙い球が来たのに完全に抑えられたからな」
天野「打てなかった理由は単純だな。力みすぎだ!」
柴田(グサッ!)
天野「別にホームランを狙う必要はない。まずは塁に出るくらいで振って見ろ!」
柴田「ヒット狙いって事か?」
天野「ああ。最初はそのくらいがちょうど良い!」

4回表 無明実業0−0斉天大附属 大西も負けずと失点は許さないピッチングを続ける!
桧山「ふんっ!」

ガキッ!
天野「さすがに当てては来るか」

霞「桧山君はスライダーを引っかけてショートゴロで1アウト! しかしこれで天野君の連続奪三振もとまりました!」
武藤「ストレートにタイミングが合って来ていると思っての変化球勝負ですかね?」
川崎「ストレートにタイミングが合っているとは思えませんけど、とにかくこれで連続奪三振の記録もとまったわけですね」

天野(シュッ!)

ガキッ!
佐伯「ストレートに目が慣れたせいか、変化球が打ちにくい!?」

霞「続く佐伯君はカーブを打ち上げてセカンドフライに終わりこれで2アウトです!」
武藤「ふーむ、どうもストレートに慣れさせてからの変化球重視って感じですね」
川崎「見た感じ効果的ではありますね。ストレート以上にタイミングが合っていませんよ!」

鳴尾「そこだっ!」

カキ―――ン!
酒井(タッ!)

パシッ!

霞「良い当たりでしたが三遊間は抜けず酒井君がキャッチして3アウトチェンジです!」
武藤「ここで凄いプレーが出ましたね。出てたら次のバッターは鏡君ですしこのプレーは大きいと思いますよ!(しかし見る者はないと思っていた選手が凄いプレーをすると選手の将来性なんて良く分からん物だな)」
川崎「4回もパーフェクトと天野君はさすがと言うべきですか」

野口「助かった!?」
天野「酒井さん、助かりました!」
酒井「まあここまで迷惑かけてたからね。決勝くらい恩返しするつもりだよ!」
野口(決勝なのに自分ではなく他人の為と言うところがお人好しなこいつらしいな)
天野「ありがとうございました!」
酒井「もういいよ(ここまで連れて来てくれた事に礼を言うのはこっちの方だしね)」

鳴尾「抜けたと思ったんだけどな」
北川「普通ならヒットだったな。ま、相手の守備を誉めるしかないだろう!」
鳴尾「まあな」
北川「綺麗に打ったが変化球は打ちやすいか?」
鳴尾「ストレートに比べたら打ちやすいかな」
鏡(勝負は5回か)

4回裏 無明実業0−0斉天大附属 危ない場面もあったが天野はここまでパーフェクトに抑えている!
豊田(俺も最後の夏だ。酒井に負けずと頑張らないとな!)

コツンッ!
大西主将「くっ!?」

パシッ! シュッ!
霞「……セーフ! 間一髪と言うところでしたが豊田君のセーフティバントが成功しノーアウトランナー1塁となりました!」
武藤「考えて見れば大西君のボールは遅いしバント狙いは結構有効なのかも知れませんね」
川崎「牽制もクイックも上手い大西君ですからここでの盗塁はなさそうですね」

大西主将「間に合わなかったか、そして次はやっかいな天野か」

ククッ!
天野「くっ!?」

霞「最後はスライダーを空振り三振しこれで1アウトです!」
武藤「なんか打ちそうな感じだったんですが、さすがに大西君を打つのは難しいですか?」
川崎「今日の大西君の奪三振の多さはこれですね。追い込んでからのボールが良すぎて手が出ないんですよ!」

大西主将「次は前の打席で打たれた野村か」

ククッ!
野村主将「1打席に打ったのと同じボール!? それにしてはキレが違うような?」

霞「野村君もスライダーを空振り三振と今日のスライダーはフォークよりも凄い感じですね!」
武藤「確かに今日の決め球はフォークよりもスライダーが多いですね?」
川崎「理由としてはフォークのコントロールが悪いとか色々と思い浮かびますが、それよりも今日はスライダーの方が使えるとそれだけの事だと思いますよ!」

大西主将「最後はこれか!」

ズバ―――ン!
山口「ギリギリ入っているのか!?」

霞「低めギリギリいっぱい見逃しの三振で3アウトチェンジです!」
武藤「最後がストレートとは完全に予想外だったんでしょうね?」
川崎「それにコースもギリギリだから見逃すのも仕方ないと思いますよ!」

大西主将「危なかったがなんとか抑えられたな!」
鳴尾「ですね。天野と野村さんを抑えたスライダーは見事でしたよ!」
大西主将「無我夢中で投げたボールだから実は良く覚えてないんだよ?」
鳴尾「ははっ、なんかキャプテンらしいですね!」

柴田「後続は三者三振か、あんまり三振奪うタイプには見えなかったんだけどな?」
天野「ランナーいると力出すタイプなのかも知れないな」
山口「確かに大西さんはピンチに強いピッチングをするとは言われているが?」
野村主将「確かに決めに来たボールは1打席目とは違ったように感じたが?」

5回表 無明実業0−0斉天大附属 大西もヒットを打たれた物の後続は三者三振と力強いピッチングを見せる!
天野(お前にはこいつで行く!)

カキ―――ン!
鏡「俺には真っ向勝負か」

パシッ!
柴田「余裕〜♪」

霞「良い当たりでしたがライトの頭は越えずライトフライに終わり1アウトです!」
武藤「4回のピッチングからしてここも変化球重視かと思ったんですが? 鏡君にはストレート1本と良く分からないリードでしたね?」
川崎「変化球だと長打の危険性を感じてのストレート勝負とかですかね?」

天野(この人にもこれで良いはずだ!)

ズバ―――ン!
北川「……今日は良いところなしだな」

霞「145キロのストレートを空振り三振し2アウトです!」
武藤「三振の少ないバッターなんですけどね。それだけ天野君が凄いって事ですかね?」
川崎「準決勝ではあの雪村から打ったってのは聞いてますから凄いバッターなんでしょうね」

天野(シュッ!)

ククッ!
平井「俺にはカーブかよ!?」

霞「最後はカーブを空振り三振しこれで3アウトチェンジです! 天野君はランナーを1人も許さないとパーフェクトを維持しています!」
武藤「最後はカーブで完全にタイミングが狂いましたね。まあ基本的なリードなんで特に言う事はないんですがお見事でした!」
川崎「(言ってるじゃん)まあ奪三振も凄いですし決勝に進出するチームのエースだけはありますね!」

天野「ここまでは完全に抑えられているな」
野口「と言うより言う事なしのピッチングだろう!」
天野「相手もこっちの打線を完全に抑えていますからね。どうしても比較してしまうんですよ!」
野口「そうか(むしろ大西さんの方がそれを感じているんじゃないのか?)」

鏡「俺にはとことんストレートのみで勝負するつもりなのか?」
北川「それだけお前との勝負にこだわっているんじゃないか?」
鏡「それは分かっているんですが、このまま変化球使わないとも考えられないんですよ?」
北川「いつ変化球を使うのか分からないか? それなら単純だろう!」
鏡「そうか!」
北川(あの鏡がこのありさまとは、それだけ相手にプレッシャーをかけられてるのか、それともケガの影響かな?)

5回裏 無明実業0−0斉天大附属 天野は現在完全試合中!
大西主将(シュッ!)

ガキッ!
西岡「くそっ!」

霞「これは打ち上げてセンターフライですね! しかし結構飛びましたね」
武藤「長打力はあるってとこですかね。これで技術もあれば文句なしなんですが」
川崎「しかし芯を外してのあの飛距離は凄かったですね」

大西主将(低めのボール球をあそこまで飛ばすか?)

スト―――ン!
野口「ここでフォークか!?」

霞「最後はストーンと落ちるフォークを空振り三振しこれで2アウトです!」
武藤「ここで切り札を使いましたか、これで無明実業も苦しくなりますね(しかしあの落差は凄いな!?)」
川崎「凄い落差でしたね。あのフォークは間違いなくプロ即戦力ですよ!」

大西主将(うん? 決め球はこいつか!)

ズバ―――ン!
酒井「うっ!? このコースは手が出ない!?」

霞「酒井君は137キロのストレートを見逃し三振し3アウトチェンジです!」
武藤「速度はともかくコースは抜群でしたね。あそこはちょっと手が出ませんよ!」
川崎「次もフォークで決めると思ったらストレートでしたか、これが鳴尾君のリードなんでしょうね!」

大西主将「自分で言うのもなんだが今日は奪三振が多いな?」
鳴尾「今までの相手と比べると打線はそれほどでもありませんからね」
大西主将「しかし気は抜けないがな」
鳴尾「まあ相手もパーフェクトと、とんでもない奴との投げ合いですから」

柴田「ついにあのフォークを使って来たか」
天野「あれはちょっと打てないな」
柴田「ふんっ! あの天野ともあろう奴が弱気じゃないか?」
天野「あの天野ってのはやめてくれ」
柴田「そこかよっ!」
天野「まあ俺よりお前の方が先に打席がまわるんだ。頑張って打ってくれ!」
柴田「ああ?(天野の奴、いつもと違うな?)」

6回表 無明実業0−0斉天大附属 大西も天野に負けないピッチングで無失点に抑えている!
天野「ふう、それじゃ行くか!」

ガキッ!
立川「少し変化が落ちて来たか?」

霞「立川君、スライダーになんとか当てましたが結果はセカンドゴロに終わり1アウトです!」
武藤「こうやって観ますとストレートより変化球の方が打ちやすい感じに見えますね」
川崎「少なくとも当てて来てはいますね」

天野(シュッ!)

ガキッ!
森島「当たった!?」

霞「森島君もセカンドゴロと続き2アウトです!」
武藤「前の打席ではまったく手が出なかったストレートに当てて来ましたね」
川崎「球速も142キロと少し落ちていますから疲労が出て来たんじゃないでしょうか?」

天野「次は大西さんか、ミートは悪くないし注意はしとこう!」

カキ―――ン!
大西主将「やっぱり落ちて来ているな」

霞「これは良い当たりでしたがサードライナーに終わり3アウトチェンジです!」
武藤「大西君もストレートに合わせて来てますし川崎さんの言う通り天野君に疲れが見えていますね」
川崎「パーフェクトピッチングですから当然と言えば当然かも知れませんが、これでは無明実業が不利になって行くんじゃないでしょうか?」

野口「大丈夫か?」
天野「大丈夫ですよ!」
野口「(天野の性格からして大丈夫じゃなくてもこう言うだろうな)後3回、きっちりと抑えて行こうな!」
天野「はい!(最後まで持ってくれよな!)」

大西主将「勝負は7回だな」
鳴尾「はい(と言っても打つ自信はないんだよな)」
鏡(疲労があるとは言え俺の打席にはベストの状態で来るだろう。そう言う奴だ!)

6回裏 無明実業0−0斉天大附属 天野はやや疲れが見えて来たがそれでも現在パーフェクトに抑えている!
大西主将「俺も点を取られないよう行くぞ!」

ガキッ!
安田「当てるのが精いっぱいだな」

霞「安田君ですがスローカーブを打ち上げてサードフライに終わり1アウトです!」
武藤「フォームを崩された時点で安田君の負けですね」
川崎「ボールに食らいつく執念と言うか意地のような物を感じました。苦手なバッティングでもなんとか貢献しようと思ったんでしょうね」

大西主将(まずはこいつからだ!)

ククッ!
柴田「こいつを待っていたぜ!」

カキ―――ン!
大西主将「くっ!」

パシッ!
霞「……打球は大西君がキャッチし2アウトです! しかし前の打席ではまったく手が出なかったスローカーブを初球でとらえましたね?」
武藤「良く分からないバッターですよね? たぶんですけど大西君が捕らなければあれスタンドに入っていたと思いますよ!?」
川崎「しかし完全にタイミングが合っていたボールを捕るとは大西君は守備も上手いですね!」

大西主将(まだ右手が痛いな。しかし次を抑えて終わりだ!)

ガキッ!
豊田「当てる事はできるんだけどな?」

霞「最後はショートゴロに終わり3アウトチェンジです!」
武藤「芯でとらえるのはまだ無理そうですけど、当てられるようにはなって来ましたね」
川崎「さすがに3打席目ともなると目も慣れて来たんでしょうね!」

鳴尾「右手大丈夫ですか?」
大西主将「今は大丈夫だよ。しかし凄い打球だった。捕らなければスタンドまで飛んで行ったんじゃないかって痛さだった!?」
鳴尾「骨に異常はないですよね?」
大西主将「それは大丈夫だ。さすがにそこまでだと痛みどめもらうから」
鳴尾「そうですか(大げさってわけでもないんだろうな。しかしさすがはキャプテンだ。精神力だけなら全国でもトップクラスだな)」

柴田「くそっ! 絶対入ったと思ったのにっ!」
天野「真芯の当たりがアウトだからな(と言うかなんで全然タイミング合ってなかったのに真芯でとらえられるんだ?相変わらず良く分からない奴って事か)」
柴田「しかし1点が遠いな」
天野「なーに、お互い様さ!」
柴田(あれ? いつもの天野だ? 前の違和感はなんだったんだ?)

7回表 無明実業0−0斉天大附属 怖い当たりもあったが結果は三者凡退と大西も現在完封中!
天野(想像以上に悪くなっているな。しかしこの試合だけは勝たせてもらう!)
桧山「あまいっ!」

カキ―――ン!
野村主将「届けっ!」

タッ! パシッ!
霞「捕った! サードの頭を越えるかと思いましたが野村君がジャンピングキャッチし1アウトです!」
武藤「あまり守備のイメージがなかったんですがこの大舞台でファインプレーですか」
川崎「案外、こう言う大舞台に強い選手なのかも知れませんね」

野村主将「天野、打たれても俺達が捕るから無理するなよ!」
天野「……キャプテン(俺には頼もしい仲間がいるんだ。このまま抑えきってやる!)」

カキ―――ン!
安田(こいつは死んでも捕るっ!)

パシッ!
佐伯「あれを捕るのかよっ!?」

霞「センターの頭を越えるかと思いましたが安田君が追い着き2アウトです!」
武藤「追い着いた足も凄いですけど、打球音を聞いて即座に走ったあの守備も凄いですよ!(これでバッティングも良ければプロでも即戦力なのにな)」
川崎「確かに凄かったですけど、それよりも斉天打線が天野君のボールを完全にとらえていますね。球速も落ちているしやはり疲れでしょうか?」

天野(安田さん、俺だけじゃなくみんなも全部出して頑張っているんだ! 後の事など知った事か!)

ズバ―――ン!
鳴尾「なっ!?」

霞「決まった! 146キロのストレートを見逃し三振! これで3アウトチェンジです!」
武藤「いきなり戻りましたね。前までのヒット性の当たりはなんだったんでしょうか!?」
川崎「それは分かりませんけど、最後は凄いボールでしたね!?」

野口「天野、ひょっとしてお前?」
天野「大丈夫ですよ。後2回くらいなら持ちます!」
野口「…………分かった!(そう言う事かよ。だから天野は……今になって気付いても……せめて監督くらいには……いや言って聞く奴なら……今日で最後か……すまん。天野、俺はキャッチャー失格だ!)」
天野「そんな顔しないで下さい。今日で終わりなんですから!」
野口「……そうだったな。おっし!なんとか1点を取るぞ!」

鳴尾「しかしどう言う奴なんだ? 限界かと思ったらいきなり立ち直りやがったぞ!?」
鏡「そりゃ終生のライバルと認めた奴ですからね。これくらいはするでしょう?」
鳴尾「いや理由になっていないと思うんだが?」
鏡「ま、常識を無視したピッチャーってとこですか!」
鳴尾「常識を無視したね。確かにパーフェクト食らっているしそう言われればなんとなく納得するけど、しかしこんな訳分かんないピッチャーからどう点を取れば良いのやら?」
北川(確かにな。だがどんな人間にも必ず限界はある。恐らく天野は……いやそれは今は良い事か、このまま長期戦になれば俺達が有利なのは変わらない。必ず打ち込むチャンスは来る!)

7回裏 無明実業0−0斉天大附属 天野は限界かと思われたが終わって見れば三者凡退とまだパーフェクトに抑えている!
大西主将「さすがに1点くらい入ると思ったんだがな。決勝に進むだけあって天野以外の選手も凄いと言う事か、こうなったら根比べだな!」

カキ―――ン!
鏡「残念! ここは俺の守備範囲たぜ!」

パシッ!
天野「振り遅れた時点で俺の負けか、相手の外野も良いのが多いしキャプテンか柴田くらいしかスタンドまで持って行けないか?」

霞「レフト前には落ちず鏡君がキャッチし1アウトです!」
武藤「しかしあのフォークにヒット性の当たりとバッティングも抜群ですね!」
川崎「まあ高校時代のエースなんて基本投げて打ってと上手い奴が多いですからね」

大西主将「次は野村か、一発だけは注意しないとな!」

スト―――ン!
野村主将「凄い落差だがストライクゾーンならっ!」

カキ―――ン!
大西主将「なっ!?」

霞「これは大きな当たりだ! スタンドにまでは届きませんでしたが左中間を抜けた! 打った野村君はセカンドでとまります!」
武藤「コースが少しあまかったとは言えあのフォークを完全にとらえてましたね!?」
川崎「甲子園(  ここ  )で完全に化けた感じがしますね。ドラフト上位はないでしょうが下位なら指名の可能性もありそうです!」
霞「ふむふむ。そして無明実業ですが今日初めてランナーが2塁まで進みました。このチャンスを生かせるのでしょうか、続くバッターは今日ヒットを打っている山口君です!」
武藤「ヒットを打っていると言ってもタイミングは合っていないし正直あまり期待はできないですけどね」
川崎「ま、当たれば何かが起こるのが野球ですから可能性はあると思いますよ」

大西主将「1アウトランナー2塁か、しかし流れは変えさせん!」

ククッ!
山口「ボール球を振らされた!?」

霞「武藤さんと川崎さんの散々な予想通りボール球のシュートを振らされて2アウトです!」
武藤「すみません。ただ今の打席もらしくないバッティングでしたよ。山口君は選球眼も良いんですが完全にボール球を振らされていますからね」
川崎「こちらもすみません。まさか、かする事もなく三振とは思いませんでした」

大西主将「これで2アウトだが、ピンチはピンチだ!」

ズバ―――ン!
西岡「まさかのストレートっ!?」

霞「今度はアウトコースのストレートが決まって見逃し三振とやはりランナー背負うと凄いピッチングしますね!」
武藤「完全に予想外のストレートに手が出ず見逃しの三振でしたね。しかも最後のボールは先ほど山口君から三振を奪ったシュートと同じコースでしたね」
川崎「大西君のコントロールも素晴らしかったですが、どちらかと言えば鳴尾君のリードがさえていましたね!」
霞「ラッキーセブンでしたが、やはり難攻不落なピッチャーは崩せないと0対0のまま試合は8回へ向かいます!」
武藤「さすがにここまで来ると1点勝負になるでしょうね」
川崎「どちらが先に1点を取るか、それと天野君の完全試合ですね。危ない回もありましたがここまで無四球ノーヒットは凄いの一言ですよ!」

鳴尾「ふう、野村さんの2ベースがあってどうなるかと思いましたがなんとか無失点に抑えられましたね」
大西主将「天野と野村にはフォークだけでは通用しないらしいな。お前のリードを加えてなんとか抑えるしかないか」
鳴尾「後は大西さんのコントロールとキレもですよ」
大西主将「ああ!(しかしこんな怖い思いを抱いたのは天狼の秋山以来だな。野村か……全国はやはり広いな!)」

野村主将「1点が遠いな」
山本「ですね(あそこで俺が1点取っていればっ!)」
野村主将「まあこっちも無失点に抑えているしチャンスはまた来るさ!」
柴田(なんとしても1点だな!)

8回表 無明実業0−0斉天大附属 ピンチを迎えるが後続は抑えるとやはり大西は安定感あるピッチングを見せる!
鏡「守、お前のパーフェクトもこの回で終わりだ!(サッ!)」
天野(ここで予告ホーマーか、誰が打たせるかよっ!)

ズバ―――ン!
霞「最初はストレート真ん中低めを見逃し1ストライクですね!」
武藤「145キロのストレートと、ヒットならともかくスタンドに運ぶのは難しいボールでしたね!」
川崎「なんかバットをスタンドに指したら主審が苦い顔しましたけど、大丈夫なんですかね? プロならこの手のパフォーマンスも黙認されるんでしょうが」

鏡「これだよ。守、さっきまでバテバテだったくせにいきなりこの速さだ。だからお前と戦うのは面白い!」
天野(こいつで追い込むっ!)

グイ―――ン!
鏡「低空から浮き上がるこのストレートだ。ギリギリまで見送り芯に当てて振り抜く!」

カキ―――ン!
天野(渾身のストレートだった! 入るわけがない!)

霞「鏡君はバットでスタンドを指す事で集中力を上げるとの事です。斉天大附属の大島監督さんはあれはあいつなりの儀式のような物で目をつぶって欲しいと言っていました!」
武藤「川崎さんの質問よりこの打球ですよっ!?」
川崎「入りましたね。予告ホーマー達成ですか、凄いバッターもいたもんですね!?」
霞「失礼しました。天野君の149キロのストレートでしたが完全にとらえられてバックスクリーンに入ると均衡を破る一発が出ました! 打ったのは1年ながら斉天大附属の4番を打つバッター鏡流君です!」
武藤「コースも低めと悪くなかったんですが、と言うより1球目よりも厳しいボールだったんですけどね?」
川崎「同じボールを続けた事で勝手に反応して打ったのかも知れませんよ。日本人だと珍しいですが海外の選手にはこう言う反射神経と言うか本能みたいな物で打つバッターがいますから」

鏡「残念! 俺を打ち捕るには球威が不足していたな!」
天野「くっ! 俺の負けかっ!」

ズバ―――ン!
北川「良くこのボールをスタンドまで運べる物だ」

霞「北川君ですが145キロのストレートを空振り三振!」
武藤「ボール球を振らせると北川君相手に凄いですね!」
川崎「落ちていた球速も完全に戻りましたし……前まで球速が落ちていたのはなんだったんでしょうかね?(しかし鳥肌が立つほどの凄いピッチングなのに天野を観ていると何か不安になる。これはいったい?)」

天野「次は6番の平井さんか、今の状態なら問題なく抑えられる!」

ズバ―――ン!
平井「コースと言うより速さとノビがとんでもなさすぎるっ!?」

霞「平井君も144キロのストレートを空振り三振しこれで2アウトです!」
武藤「また高めのボール球を振らされましたね」
川崎「意図的ではなくコントロールが少し安定していないようですね。もっと見て行くのが良いと思いますけど、速くてつい振ってしまうんでしょうね」

天野「少しコントロールが乱れて来てるか」

ククッ!
立川「くっ! カーブっ!?」

霞「立川君、バットを必死にとめるが関係なくボールはストライクに入っているので見逃し三振に終わります!」
武藤「ナイスカーブでしたね。あれは手が出ませんよっ!」
川崎「ストレートと違って変化球のコントロールは悪くなさそうですね」
霞「打たれた後は文句なしの三者三振と素晴らしいピッチングでした。しかし鏡君の一振りで斉天大附属が1点勝ち越し!」
武藤「ベストピッチングをホームランと痛かったですが良く抑えましたよ! しかしこの1点は重いですね」
川崎「しかし1点ですからね。後2回なら逆転はともかく同点なら可能だと思いますよ!」

天野「流に負けた。しかし個人はともかく試合の勝敗は譲らない!」
野口(パーフェクトもなくなった。しかし敗戦投手のピッチングではない。なんとしてもまずは同点にっ!)
柴田「まだ俺とお前の打席があるんだ。集中力切らすなよっ!」
天野「分かっている! 逆転は俺達のもっとも得意な事だからな!」
柴田「ま、そう言う事だ!」
野口(柴田……これで天野は大丈夫そうだな!)

鳴尾「しかし良くもまあ打てるもんだな。しかも予告ホーマーってパフォーマンスまでして」
鏡「矛盾してるんでしょうが、相手が良いピッチャーだから打てるんですよ!」
北川「相手投手にプレッシャーをかけるからか?」
鏡「まあ、そう言う見方もあるんですが、あれは自身を追い込んで力を発揮させるってな方法です!」
鳴尾「そういや最初の頃にもそんな事言ってたな?(味方だしまあ良いかって聞き流していたけど)」
鏡「俺が野球始めた頃って結果は出していたけど、本当に出していたってな感じだったんですよ」
北川「それは成績は良かったが、記憶に残るような活躍でないって意味か?」
鏡「その通りです! それだと肝心なところで負けるんで考えたのがこの方法です!」
鳴尾(北川、鏡の言っている事が良く分かるな?)
北川「自分を追い込んでできる限り力を出すと言う方法か、バカバカしいがそれで力を発揮できるなら凄いとしか言いようがないな!」
鏡「まあ自覚はないんですが、プレッシャーが大きければ大きいほど力を出すってのが知っている奴の良いようでこう言うクセのような物ができたんです!」
北川「なるほどな」
鏡「それに変化球が来るなら来るで良いと決めたらあっさりストレート打てましたし北川さんには感謝しています!」
北川「ま、三振恐れずにバット振ったら良い結果も来るって事だな(変化球が怖いなら使う前に終わらせば良いと、まあ単純な事だがそれでホームラン打つんだから鏡の将来性の高さもうかがえるな)」

8回裏 無明実業0−1斉天大附属 ついに天野のパーフェクトも終わり斉天大附属が1点勝ち越しに成功した!
大西主将「待望の1点がようやく入ったな。後は抑え続けて勝つだけだ!」

スト―――ン!
野口「ダメだっ! 決め球使われたらとてもじゃないが手が出ないっ!?」

霞「最後はフォークを空振り三振とやはりあの落差ではかすりもしませんね!」
武藤「しかもバッターの手元で落ちますからつい振ってしまうんですよね。まあかすりもしないとは言いますがかすらなくて当然と言ったボールではあると思いますよ!」
川崎「それにストライクからボールになるとコントロールも良いですから確かに打てなくても無理はありませんね!」

大西主将(シュッ!)

ガキッ!
酒井「なんとか当たったけど」

霞「フォークに当てましたが結果はピッチャーゴロと当たる事は当たるようですね!」
武藤「みたいですね。しかし野口君のときと比べてあんまり落ちていないような気がするんですけど?」
川崎「まあ球数も結構ありますから少しずつ疲労しているのかも知れませんね」

大西主将(シュッ!)

ククッ!
安田「……入ってるのか?」

霞「最後はスローカーブを見逃し三振と手が出ませんでした!」
武藤「この回は普通に三者凡退でしたね。やはり下位打線だと厳しいようですね」
川崎「決めるときのコントロールは抜群と疲労しているとは言え良いピッチングをしていますよ!」

大西主将「残りは1回か」
鳴尾「後1回抑えれば全国制覇ですからね。一気に終わらせてやりましょう!」
大西主将「ああ! だがその前に表の攻撃があるからな」
鳴尾「おっと、そう言えばキャプテンの打席もありましたね」

柴田「スタミナが落ちているのか、いないのか、良く分からないな?」
酒井「僕のときは変化が落ちていたように見えていたけどね」
柴田「なるほど(それならカウントを稼ぐ変化球もあまく入って来る可能性があるな)」
天野「その前に9回を抑えなければならないんだから守備も頼むぞ!」
柴田「おっと、そうだったな」

9回表 無明実業0−1斉天大附属 大西は8回も三者凡退に抑えると無明打線を沈黙させている!
霞「さてと、いまさらですが試合を少し振り返りましょう!」
武藤「確かにいまさらですね」
川崎「それに振り返ると言っても斉天の鏡君のホームランくらいしか思い出せませんけどね?」
霞「現在試合は1対0で斉天大附属がリードしております。今、川崎さんが言ったように8回に鏡君が予告ホーマーのパフォーマンスを見せて天野君からソロホームランを打ち試合が動きました!」
武藤「ですね」
川崎「速度もコースも文句なしだったんですけど、同じようなボールを続けた事が仇になったって感じでしたね」
霞「と言うわけで試合はついに9回に入りました。ここで追加点が入ればまず決まりなので下位打線が相手とは言え天野君のピッチングが重要となりますね」
武藤「まあ、そうですね。天野君のスタミナも減っていると思いますし?(実際分からんけど?)」
川崎「8、9、1番とタイミングが合っていませんから追加点は厳しそうですけどね(正直、勝敗は裏の攻撃だろうな。無明実業が同点に追い着いたらそのまま試合は決まるかも知れないな)」

天野「この回を抑えて裏の攻撃に賭ける!」

ズバ―――ン!
森島「コントロールは生きているな」

霞「最後は手が出ず142キロのストレートを見逃し三振し1アウトです!」
武藤「球速が落ちているしやっぱりスタミナ的に限界が近いんですかね?」
川崎「ここまで無四球1安打と抑えていますしその心配はあると思いますよ!」

天野「やっぱりきついな!」

ククッ!
大西主将「やはり変化が落ちているな」

霞「大西君はスライダーを空振り三振し2アウトです!」
武藤「変化が落ちているように見えますが三振を奪っていますね?」
川崎「変化はともかく手元でのキレは健在と言ったところでしょうか!」

天野(延長に入ったらもう抑えられないだろうな。それならここで決着をつける!)

スト―――ン!
桧山「げっ!? 入ってるのかよっ!?」

霞「最後はフォークを見逃し三振で3アウトチェンジとなりました!」
武藤「下位打線とは言えスタミナが減った状態で三者三振ですか」
川崎「被安打1本で抑えているここまでのピッチングは凄いとしか言いようがないですね!」

天野(裏は柴田からの好打順か、俺にも確実にまわって来るし俺のバットで決着をつけるか!)
野口(延長に入ったら無理してでも交代だな。その前に攻撃があるか)
柴田(なんか2人共凄い気迫だな。俺も負けずに行くとするか!)

鳴尾「追加点はならずですか」
大西主将「だが天野はもう限界だな」
鳴尾「延長行くとうちが優位ですか、ま、延長なんて考えずとっとと終わらせましょう!」
大西主将「ああ!」

9回裏 無明実業0−1斉天大附属 天野は9回も三者三振に抑えるピッチングを見せるが試合は斉天大附属がリードしている。試合はこのまま終わるのか?
霞「試合は9回裏といよいよ終わりが見えて来ましたが、現在、柴田君がファールで粘っております!」
武藤「柴田君は長打が目立ちますが、実は技術もあるんですよね」
川崎「粘ってフォアボール狙いですか?」

大西主将(失投を待っているなら狙いはストレートか、こいつで行くか!)

ククッ!
柴田「このスライダーを待っていたんだ!」

カキ―――ン!
霞「左中間を抜けた! 打った柴田君はセカンドにとまります!」
武藤「ノーアウトランナー2塁ですか、無明実業は試合後半になると良く打ちますね」
川崎「無理すれば3塁まで走れそうでしたが、まあここで無茶はしませんよね」

大西主将(読み間違えたか、次は送りバントだろうし素直にさせるべきか?)

コツンッ!
豊田「後は任せるだけか」

霞「難しいコースでしたが綺麗にバントを決めてこれで1アウトランナー3塁となります!」
武藤「同点の可能性が高くなりましたね。それにしても難しいコースなのに良く一発で決めましたよ!」
川崎「ここで天野君ですか、今日はノーヒットですが前の打席では良い感じで打ててましたね」

大西主将(正直、天野より野村の方が怖い。ここは天野との勝負だ!)

スト―――ン!
天野(最後は必ずこいつで決めて来ると思っていた!)

カキ―――ン!
大西主将(なんだとっ!?)

霞「あっさりと追い込まれたと思ったら最後に来たフォークを完全にとらえた! 打球は―――入った! 入りました! サヨナラ2ランホームランです!」
武藤「完全に大西君の流れと思ったらここで天野君が決め球のフォークを打つって私としては予想外の終わり方でしたよ!?」
川崎「最後のフォークも素晴らしいボールでしたが大西君は後ろの野村君を意識し過ぎたせいの敗戦と言った感じでしたね」
霞「とにかく決勝もやはり天野君の舞台と今年の甲子園は恐怖の新星天野守君の誕生と言ったところですか!」
武藤「まあ否定はできませんね。けど他にも凄い1年生はいましたよ!」
川崎「確かにこの決勝でも鏡君はホームランを打ちましたし柴田君もサヨナラの突破口を作りました!」
霞「天野君は9回を1安打1失点18奪三振と記録にはなりませんが素晴らしいピッチングを見せてくれました。そして今年のドラフト候補として一気に名を売った大西君も8回1/3を6安打2失点14奪三振と素晴らしいピッチングでした!」
武藤「無明実業の打線はそれほどでもありませんが、それでも8回ちょっとで14奪三振は凄いですね!」
川崎「記録は出ませんでしたが、巨人の斎藤や広島の神童に負けない内容と大西君も良く投げましたよ。進学かプロか分かりませんが彼の動向にはプロも注目するでしょうね!」
霞「それとこの試合ではあまり目立ちませんでしたが無明実業の野村君もドラフト候補になるでしょうね!」
武藤「まあバッティングセンスは良いと思いますからプロも下位指名する可能性はありますね」
川崎「大西君と野村君との対戦をプロで解説できる楽しみができると面白い試合でしたね」
霞「と言うわけで決勝戦は無明実業が2対1で斉天大附属を破る結果で終わると今年は無明実業が優勝と予想外の結果となりました。それではみなさん、さようなら!」
武藤「これで終わりっすか?」
川崎「良い試合でしたね。解説できて良かったですよ!」

全員「やった―――!」
野村主将「まさか最後の夏がこんな終わり方とはな」
山口「まったく大した後輩達だったな」
酒井「甲子園に出れただけでも奇跡だと思ったのに優勝できるなんて」
柴田「ま、俺達らしいスタートだな」
山本(こいつは優勝しても変わらないな)
岩田(俺も来年はマウンドで優勝して見せるぜ!)
高橋(僕もチームに貢献できるよう帰って練習頑張らないと!)
天野(俺達らしいスタートか、確かに俺達はまだ1年だからな。これからもここに来る事はできるか)
大岡監督(優勝なんて久し振りすぎて泣いちまうぜ!)

大島監督「夏の連覇はならずか」
大西主将「すみません」
鳴尾「キャプテンは悪くありません。俺のリードミスです」
大西主将「いや最後のフォークは良い感じで投げられた。あれを打たれた俺の負けだ(あえて敗因を言うなら天野をそれほど恐れなかった俺の油断だろうな)」
鳴尾「………………」
大島監督「まあ良い経験にはなったしこれを糧にプロでも頑張れよ!」
大西主将「…………はい!」
北川「次は俺達で勝ってキャプテン達の借りを返せば良いだろう!」
鳴尾「おう!」
鏡(俺は夏まで休養だな)

斉天大附属高校
無明実業高校 2×
勝利
天野守
セーブ
敗戦
大西和生
本塁打 斉天大附属高校 鏡流
無明実業高校 天野守

天野「流、お前との勝負は俺の負けだ。この借りは次に返す!」
鏡「そのセリフお返しするぜ! 勝負には勝ったが試合には負けたからな! 守、またな!」
天野「ああ!」

こうして無明実業は日本一と言う栄冠を手に入れた。そして無明実業は頼もしい先輩達の引退と物語は秋に向かう。