第三話【オープン戦スタート】
プロ野球は春キャンプも終えついに2005年シーズンが始まった。
そしてオープン戦も進みオープン戦9試合目
芹名「久住、今日はお前が先発だ。」
久住「・・・・・は、はい!」
芹名 和男
西武黄金時代のエース。緩急を使った投球が身上だった。
通算成績 218勝132敗32S 防御率3.21
主なタイトル 89,93,96年最多勝 92年投手四冠王
高田「やあ、久住君。今日は君が先発だってね。サインの確認といこうか。」
久住「あ、高田さん。はい!」
高田 正志
プロ5年目にして球界最高峰の捕手。昨年の日本一も彼無しではありえなかったとも言われている。
投手心理だけでなく相手捕手の心理まで見抜くすさまじい洞察力で打撃成績もいい。
昨年の成績 打率.322 本塁打23本 86打点 3盗塁
主なタイトル 02,03,04年ゴールデングラブ賞、ベストナイン 03年首位打者
2005年オープン戦 |
西武ドーム |
|
二 |
工藤 俊哉 |
1 |
永井 完二 |
遊 |
遊 |
増岡 恭二 |
2 |
小宮 良治 |
三 |
捕 |
高田 正志 |
3 |
後藤 正輝 |
右 |
三 |
香田 修哉 |
4 |
バーニアズ |
DH |
一 |
アレックス |
5 |
門田 大作 |
一 |
DH |
平間 敏夫 |
6 |
酒井 勘太 |
中 |
右 |
安藤 和成 |
7 |
加藤 久志 |
二 |
左 |
辻 大輝 |
8 |
袴田 広幸 |
捕 |
中 |
中田 栄介 |
9 |
内藤 慎二 |
左 |
投 |
久住 純一 |
|
坂内 幸平 |
投 |
|
アナ「さあ、ここ西武ドームにはおよそ1万人の観客が入場しましたね。
本日の解説は元横浜ベイスターズの津田 昭夫さんに来ていただきました。」
津田「ど〜も〜。」
津田 昭夫
98年横浜日本一のときのセットアッパー。
あの時は球界一チョビヒゲが似合う男で有名になった。
通算成績 46勝31敗87S 防御率2.79
主なタイトル 98年最優秀中継ぎ
アナ「早速ですが本日のみどころはなんでしょうか。」
津田「やっぱり新人の久住君のピッチングだね。彼アメリカ出身だからバネありそうだね。」
アナ「そうですか。それでは早速試合に参りましょう。先攻は横浜です。」
高田「やあ、永井くん。八ヶ月振りかな?」
永井「ええ、オールスター以来ですね。今日は打ちますよ。」
高田「そうか。まあ頑張れ。それでは・・・ゲーム開始だ。」
永井「またそれですか。まったく不気味ですよ。あなたは。」
アナ「さあ、久住選手、注目の日本での第一球です。」
ズドーン!
アナ「初球は145キロの直球!この時期に145キロですか。」
津田「ええ、しかも第一球ですからね。速球派でしょうか。」
スト――ン!
アナ「最後はフォーク!永井、三球三振。」
津田「プロでは並みのフォークですね。やはり速球派でしょうか。」
ズド――ン!!
アナ「この回最後は147キロ直球!!阪神の1,2,3番を連続三振に斬って取りました。」
高田(速球派か。それなら今日はストレートは控えるか?)
その後試合は投手戦が繰り広げられるが阪神坂内が徐々に西武打線に捕まり始める。
カキ――ン!!
アナ「入った〜〜!!この回二点目となる香田のソロホームラン!
西武、6回裏に3−0と突き放しにかかります。」
津田「まさかここまで捕手の差が如実に表れるとは。やはり捕手は大事ですね。」
アナ「確かに、かたやまだレギュラー二年目の袴田に対し西武は球界を代表するルーラーを
出してきましたからね。」
津田「ええ、高田はそのリード力の高さから【支配】の意味を持つルーラーの異名を持ちます。
その相手が二年目では実力が桁違いです。」
アナ「確かに高田の持つ異名、ザ・ゲーム、ドーミネーター、ルーラーはすべて【支配】の意味を持ちます。」
ズド――ン!!
アナ「150キロ!?オープン戦で150キロが出ました!」
津田「へえ、150キロ・・・体が完成してるのかまだ伸びるのか。後者なら怖いね。」
クククク!!
久住「しゃあらあ!!」
アナ「最後は高速に曲がるスライダー。今日はこれで7個目の三振ですね。」
津田「高田のリードは相手の完全な裏をかきますからね。3つの球種を効率よく使ってます。」
アナ「あ、今酒井がフォークを打ち上げライトフライ。これで七回表は終了です。」
芹名「よし、いいピッチングだ。まだいけるか?」
久住「ん〜、正直少しきついですね。」
芹名「よし、次の回も行け。」
久住「ふえ?きついのにですか?」
芹名「オープン戦の目的は勝ち負けじゃない。選手の能力を実践で見極めることだ。」
久住「は、はい。」
高田「なあ、久住君。」
久住「あ、高田さん。なんですか?」
高田「君は三球種で全部なのか?」
久住「なんでですか?」
高田「確かに150キロは魅力的だ。しかしそれだけで君が三位指名とはと
どうも引っかかってね。」
久住「それは他の球団に取られたくないからではないかと。」
高田「甘いな。君はアメリカにいたんだ。スカウトも独自の経路と見ていい。
それで何故他球団が気になる?なにか隠してるんだろう?」
久住「さあ、どうでしょうね。」
高田(即答、無表情でこれか。食えん奴だ。)
横浜はピッチャーを藤田に代え七回裏を三者凡退に抑える。
アナ「八回ですから久住を交代させますかね。」
津田「オープン戦ですから監督が既に満足してれば代えるでしょうね。」
アナ「あ、久住は続投ですね。」
津田「スタミナを見極めたいんでしょうね。」
カキ――ン!!
アナ「入った〜!!143キロの直球を八番の八番の袴田がライトスタンドに叩き込んだ〜!」
津田「球威に七回までの勢いがありませんね。バテたみたいですね。」
そのあと久住はツーアウトにするも連打を浴び3−4と逆転を許してしまう。
アナ「あ〜、さすがに交代のようですね。久住、4失点で交代です。」
津田「プロ初登板にしては良くやりましたよ。まあ公式戦で出せなければ意味ないですが。」
久住「監督、すいません。」
芹名「・・・・気にするな。」
久住(んな間あったら誰でも気にするって。)
ズバーン!!
アナ「最後は142キロのストレート!藤田、この回も四番からの西武打線を三者凡退。」
津田「藤田君は球にキレがあるね。キレがいいピッチャーの球は案外飛ばないんだよね。」
香田「くそ、打てなかったか。」
芹名「まあ去年まで堕ちたと思われてたんだからFAで移籍した今年は大事だ。頑張れよ。」
香田「はい!!」
九回表は久住に代わった塩田がランナーを出しながらもきっちり無得点に抑える。
アナ「さあ、阪神は九回は投手交代・・・ストッパーの吉川が出てきましたね。」
津田「オープン戦ここまで登板がなかったですからね。調整でしょう。」
吉川 光一郎
今年14年目のベテランストッパー。昨年はチームの勝利の約3分の2のSPを挙げた。
昨年の成績 3勝4敗29S 防御率2.52
主なタイトル 93年最優秀防御率 94年最多勝 97,99,03年最優秀救援投手
吉川「オープン戦とはいえ今季初登板だ。飛ばしてくぞ〜。」
袴田「あの、吉川さん。一応調整登板なんですからその辺はわきまえて・・」
吉川「おう、分かってる分かってる。三者三振にすりゃいいんだろ?」
袴田(この人ぜっっっったい分かってない!!)
ククククク!!
中田「のぁ〜〜〜〜〜!!」
アナ「中田、インコースに切れ込んでくるスライダーにバットが止まらない。三者連続三振!!」
津田「あれ絶対本気で投げてますよね。仕上がりもいい。早く仕上げすぎですね。」
袴田(やっぱりこの人は本気で投げる〜。)
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1 |
2 |
3 |
4 |
5 |
6 |
7 |
8 |
9 |
R |
H |
E |
横浜 |
0 |
0 |
0 |
0 |
0 |
0 |
4 |
0 |
0 |
4 |
9 |
0 |
西武 |
0 |
0 |
1 |
0 |
0 |
2 |
0 |
0 |
0 |
3 |
6 |
1 |
勝 |
|
S |
|
敗 |
|
本塁打 |
横浜 袴田1号 |
西武 香田3号 |
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久住「う〜〜ん、7回7安打4失点か。これじゃ無理かな?」
芹名「おい、久住。」
久住「あ、はい。何ですか?監督。」
芹名「お前は開幕一軍だ。」
久住「・・・・・・へ?今なんと?」
芹名「大事なことなんだからよく聞いとけ。お前は開幕一軍だ。」
久住「・・・・・・・・マジですか?」
芹名「マジですよ!」
久住「でも今日7回4失点というなんとも微妙な数字を。」
芹名「あれはバテていたからだろう?その前までは3安打無失点だ。」
久住「それはそうですが・・・」
芹名「だから一軍。それとも監督の決定に文句ある?それなら二軍行く?」
久住「あ〜!!ほんとに一軍ならぜひ行かせてください。」
芹名「OK!!んじゃ頑張れや。」
久住「やった〜!!開幕一軍だ〜!!」
高田「そうか。君も一軍か、久住君。」
久住「あ、高田さん。はい!どうやら6回までの投球が買われたらしいです。」
高田「そうか。よかった。では話してもらおうか。四つ目の球種を。」