第2章 対決
監「全員集合!」

監「よしこれで全員だな。それでは各自練習に入れ。」

選手はそれぞれアップを済ませると各自練習に入っていった。

−打撃練習−

カーン!カーン!カーン!
村「ふぅ」
沢「相変わらず凄い打撃センスだな。」
村「あっキャプテン。打撃はセンスではなくて努力ですよ。何事も1%の才能
と99%の努力ですよ。」
沢「そうか。まだ1年生なのに凄い事言うな。俺も負けないように頑張らない
とな。」
村「ありがとうございます。もっと打撃を上げて勝利を導きますか
ら。」
沢「頼もしい事言うな。期待しているから頑張れよ。」
村「はい!」

走塁練習
田「走塁はギリギリで村木に負けたからな。今ならまだ追い越せるぞ。」
?「ふっふっふっ。それはどうかな?」
田「あっ、あなたは!……誰でしたっけ?」
細「酷い!先輩の名前を忘れるなんて。細野 寿(ほその とし)だよ。俊足巧打の外野手だよ」

細野寿(ほそのとし)
明清学園野球部一の俊足。
その俊足を生かした守備範囲の広さと選球眼の良さで不動
の1番バッターの座を守っている。

田「そんな人いたっけな。影薄いし。しかも今俊足巧打を強く言った気が。」
細「何か言ったか?」
田「いやいや何にも言ってませんよ。」
細「まあいい。俊足の俺様がいる事を忘れんなよ。今年の1年生はそこそこや
るようだが、1番の座は譲らねぇぜ!あばよ!」

ドピューン!
田「なんていうスピードだ。おっと見とれている場合じゃない。負けな
いように鍛えないとな!」

−肩力練習−

シューン!シューン!
翔「もっと肩を鍛えないとな。肩とパワーだけが俺の取り柄だからな。」
?「あまり飛ばしすぎると肩を壊すぞ。もうちょっとペースを落としたらどう
だ?」
翔「あっ、あなたは……東條さん?!」

東「そうだ。覚えてくれていて光栄だ。」

東條功一郎(とうじょうこういちろう)
明清学園の知性派捕手。
肩は翔ほど強くは無いが、ピッチャーに自信を持たせるリー
ドと冷静な打撃力で不動のキャッチャーをキープしている。

翔「東條さんも遠投しに来たんですか?」
東「そうだ。俺は肩がお前より劣っているからな。少しでも強くしないと
な。」
翔「いやいや、そんな事無いですよ。俺とそうそう変わりませんって。東條さ
んをいつもお手本として取り組んでいますから。」
東「そうか。それは喜ばしいな。それでも自分が不動の捕手なのが不思議なく
らいだ。」
翔「俺よりも捕手に向いているからですよ。自分も頑張りますんで。」
東「そうか。まあ分からない事があったらどんどん聞いてくれ。出来る限り答
えるからな。」
翔「分かりました。遠慮なく聞くのでよろしくお願いします。」

−守備練習−
周「とりあえずセカンドということで守備をもっと鍛えないとな。」
?「ふっふっふっ。まだまだだな。腰が高いぜ、坊ちゃん。」
周「ぼ、坊ちゃん??あなたは誰ですか?」
松「聞いて驚くなよ。その名も明清の名手。松山正晴だ!」

松山正晴(まつやままさはる)
彼のグラブ捌きは神と誰もが言うほどの守備の名手。
なぜかミートよりもパワーの方がある。

周「自分で言っちゃってるよ。」
松「何か言ったか?」
周「いえいえ、何も言っていませんよ。」

松「まあいい!守備とはこんなもんだ。」
監「行くぞ!」
松「来ーい!」

カーン!

監督が打った場所はセカンドベース上だった。
監「あっ、悪い!捕らなくていいぞ!えっ…!」

ズザァーッ!パシッ!シュッ!
監「オーッ!流石だな。」
松「どうだ!見たか!これが守備ってもんだ!」
周「………スッゲーッ!凄いもん見ちまったぜ。俺もこれ位はで
きるようにしないとな!」

−投球練習−
陸「オリャーッ!ズバーーン!」
?「1年生にしてはまあまあだな。だがエースの座は譲れねぇぜ!」
陸「あっ、あなたは・・・辻村さんでは無いですか?」

辻村章太(つじむらしょうた)
最速153`の左腕サイドスロー。
その左腕から繰り出されるクロスファイアーの脅
威と多彩な変化球でエースの座をキープしている。

辻「そうだ。俺がいる限りお前は中継ぎだな。」
陸「何ー!?それなら勝負しませんか?どっちがどれだけ長く投げ続けられる
か?」
辻「上等だ。その勝負受けてやる!」

ズバーン!ズバーン!ズバーン!

50球目
辻「流石にまだ相手はばてないか。」
陸「まだまだ行けるぜ!」

ズバーン!ズバーン!ズバーン!

100球目
辻「さすがに汗がでてきたな。」
陸「オラァーッ!」

ズバーン!ズバーン!ズバーン!

150球目
辻「敵もなかなかやるな!」
陸「流石に体が持たなくなって来たな。」

コラァーーーーーーーーツ!
監「お前達、もう練習は終わりだぞ!何やっている!」

ポカッ!ポカッ!

辻、陸「あてててっ!」
監「対決するのもいいが、さっきからずっと呼んでいたんだぞ。とにかく練習
は終わりだ!」
辻、陸「すいません、すいません」
監「全くこの続きは紅白戦までとっとけよ!」
辻、陸「えっ、紅白戦!?」
監「そうだ。これは夏の大会を決めるための重要な試合でもある。だがその前
に練習試合で経験を積んでからだ。だからそれまで待っていろよ。」
辻、陸「まじっすか?やったー!」
監「ふん、全く楽しませてくれる奴らだ。今年は特にこいつらの目の輝きが違
うな。まるで若い頃の自分を見ているようだ。甲子園か…本気になって目指してみる
か…」