AM7:00
監督「全員いるか?それではアップを始めてくれ。」
全員「はい!」

選手達は全員各自アップを済ませると、監督が再び召集をかける。
監督「全員集合!」

ザッ!

それではこれから練習試合のスタメンを発表する。
全員「ゴクッ…」

1番  センター  細野
2番  キャッチャー  東條
3番  ショート  村木
4番  サード  沢井
5番  ファースト  風岡
6番  ピッチャー  辻村
7番  ライト  相楽
8番  セカンド  松山
9番  レフト  佐々本

監督「以上だ。またスタメンに呼ばれなかったメンバーも試合に必ず出すからな。」
全員「はい!」

そして…

アナ「本日は明清学園と大漁水産の練習試合をお送りします。本日の解説者は元西武
ライオンズの主砲清田和智さんにお願いしております。清田さん今日は宜しくお願い
します。」
清田「どうも宜しくお願いします。練習試合とはいえ今日の試合は見所です
ね。」

審判「集合!」
沢井「行くぞ!」
全員「オーッ!」

ザッ!
沢井「神成、久しぶりに会ったな。」
神成「沢井先輩、お久しぶりです。今日はよろしくお願いします。」
沢井「ああ、こちらこそ。相変わらず礼儀正しいやつだな。」

審判「お互いに礼!」
両方全員「お願いします!」
沢井「行くぞ!」
全員「オーッ!」

アナ「それでは両校のスターティングメンバーを発表します。」

練習試合
明清学園 大漁水産
先攻 後攻
1番 細野 寿 1番 皆川 良典
2番 東條 功一郎 2番 海江田 純
3番 村木 彰一 3番 佐伯 啓一
4番 沢井 知永 4番 神成 甲子郎
5番 風岡 翔 5番 星村 渡
6番 辻村 章太 6番 大友 和輝
7番 相良 満隆 7番 柳川 剛樹
8番 松山 正晴 8番 穂積 新一
9番 佐々本 智充 9番 山本 宗光

アナ「1年生で5番の先発投手の星村って誰ですかね?清田さん。」
清田「私も知りませんね。しかしあの大漁水産ですからね。きっと物凄い力
でも持っているんでしょうかね?」

1回表

アナ「1回の表、先攻明清学園、先頭打者は俊足巧打の細野。」
清田「細野と佐伯は同じ中学ですからね。俊足の細野と強肩の佐伯の対決が
楽しみです。」
細野「佐伯、久しぶりだな。今日は2盗塁決めてやる。」
佐伯「ふふふ、そう簡単には決めさせないぞ。うちの秘密兵器を打てる
か!」
細野「秘密兵器が何だ!出塁してやる!」

佐伯 啓一
細野と同じ中学出身の捕手。細野が出塁し、盗塁して刺す事を生きがいとしている。
対戦成績は5割程度。鉄砲肩と力のあるバッティングが持ち味。

星村「…」

シュッ…ズバーン

審判「ストライーク!」

アナ「初球はストライク。148`の速球です。」
清田「速球派の投手なんですかね?他にも何かありそうですよ。」
細野「(辻村先輩に比べたら大した事無いな)」

シュッ!ククッ!ズバーン!

審判「ストライクツー!」

アナ「ツーストライク!星村、追い込みました。」
清田「今のスライダーの威力には驚くしかないですね。」
細野「(なんて凄いスライダーだ。ボールゾーンからストライクになったぞ。こう
なったら速球を中心に狙っていくぞ。)」

シュッ!ククッ!
細野「(くそっ、スローカーブか。)でも当てるぞ。」

カン!ボテッ!バテッ!

アナ「細野、スローカーブを辛うじてバットに当てた。打球は三塁ボテボテだ。」
細野「ボテボテか。これならイケるぞ!」

アナ「サードがダッシュする。それを捕り、1塁に投げる。」
細野「間に合え!」

ズザーッ!

アナ「細野、1塁にヘッドスライディング!」

審判「セーフ!」

アナ「際どかったが審判の判定はセーフ!細野3塁の内野安打で出塁!」
細野「ヨッシャー!」

アナ「細野の内野安打でノーアウト1塁。打者は冷静知性派捕手の東條。」

コーチャー「リーリーリー!バック!」

シュッ!パーン!

審判「セーフ!」
細野「ふぅ。危なかった。何ていう牽制の早さだ。」

コーチャー「リーリーリー!ゴー!」

アナ「おっと、ランナー走った!」
佐伯「行かせるか!」

パーン!

審判「セーフ!」
細野「おっと危なかったかな。」
佐伯「畜生!次は刺してやる!」
東條「(次はボール球で来るかな。1球見逃そう。)」

シュッ!パーン!

審判「ボール!」
東條「(やはり予想通りだ。次は手を出してみるぞ)」

シュッ!カーン!

アナ「センター前に綺麗に落とした。ノーアウト1・3塁。ここでバッターは村
木。」
清田「ベイスターズの村木選手の息子ですね。中学の時の得点圏打率は素晴
らしかったですからね。ここは期待できますよ。」
村木「(初球からスライダー狙いで行く!)」

シュッ!ククッ!
村木「来たっ、スライダーだ!」

カーン!

アナ「打った!これは大きい。打球は外野に飛んでいく。レフト捕れるか捕れるか?
捕った!タッチアップ!細野、ホームを狙う!間に合った。明清学園初回から1点を
捕ります。」
清田「最低でも犠牲フライは上げてくれると思いましたよ」

アナ「次のバッターは明清学園キャプテン沢井です。」
清田「彼の打撃センスには目を見張るものがありますよ。」

アナ「そうですね。ピッチャー第1球投げました。」

カーン!

アナ「初球から喰らいついた。三遊間抜けたレフト前ヒット。これで1アウト1・2
塁になります。打者は風岡。」
風岡「絶対に打ってやる。ゲッ、スライダー!」

ガギッ!

パシッ!シュッ!パン!

審判「アウト!」

シュッ!パーン!

審判「アウト!スリーアウトチェンジ!」

アナ「風岡、ピッチャーのスライダーに驚き思わず手を出してしまい、6-4-3の
ダブルプレーを喰らいました!」
風岡「すいません。」
監督「気にするな。次取り返せばいい!」
風岡「はい!」

1回裏
辻村「3人で抑えるぞ!」

パーンパーン!ストライクバッターアウト!
皆川、海江田「畜生!」

アナ「1番、2番共に連続三振」
佐伯「貴方からホームランを打ってみます!」
辻村「ほう!打てるものなら打ってみろ!」

シュッ、パーン!シュッ、パーン!
辻村「さぁどうしたどうした!ツーストライクに追い込んだぞ!喰らえ!」
佐伯「そう来ると思っていましたよ!」

カーン!
辻村「何ぃ!俺の渾身のHスライダーをスタンドに運ぶか?!」

アナ「バッター佐伯、予告どおり辻村の球をスタンドにいれたー!ホームラン!大漁
水産、同点に追いつきました!」

そして…

両チーム、毎回安打を打つも無失点のまま6回表を迎える

6回表 1-1 同点

2アウト2塁

アナ「この回の先頭打者東條が凡退した後、村木の投手強襲ヒットで出塁し、沢井が
送りバント。そして打者は今日やや不調気味の風岡です。」
清田「1打席目は併殺、2打席目は三振ですからね。厳しいんじゃないんで
すか?」
風岡「畜生〜!汚名返上だ〜!オリャ!」

ドゴーン!

アナ「風岡、当たった。大きい、大きい!入るか?入った〜!2ランホームラン!風
岡、見事名誉挽回を果たしました。」
清田「さすがは1年生ですね。やる時はやっぱりやるのかな?と思いました
よ。」

そして…8回裏 1-3
監督「そろそろ交代するか。」

ウグイス嬢「明清学園、選手の交代をお知らせいたします。ピッチャー辻村君に代わ
りまして、箕輪君。ファーストの風岡君がキャッチャーに入り、キャッチャー東條君
に代わりまして藤林君。2番 ファースト 藤林君、5番 キャッチャー 風岡君 
6番 ピッチャー 箕輪君。以上に代わります。」
箕輪「よし、待ってろよ!神成、必ず抑えてやる!」

シュッ!カン!シュッ!ズバーン!

アナ「1番、サードゴロに倒れ、2番スイングアウト2アウトになります。」
清田「1年生で初登板のはずなのに落ち着いてますね。」

アナ「そうですね。次のバッターは今日好調気味の佐伯です。」

シュッ!
佐伯「甘いわ!」

カーン!

アナ「打った!この打球は?どうだ二塁手とライトの間に落ちた!ポテンヒット!」
松山「あの打球を捕れないとは!」

アナ「バッターは1年生ながら主砲の神成。今日はマルチ安打を放っています。」
神成「お願いします。」
箕輪「行くぞ!」

シュッ!ズバーン!シュッ!ズバーン!

アナ「2ストライクに追い込みました。」
神成「(まだまだイケます。)」

シュッ!カーン!シュッ!カーン!シュッ!カーン!シュッ!カーン!シュッ!カー
ン!…
箕輪「こいつ相手に11球も投げたのか。だがこれで終わりだ!しまった!」
神成「失投だ!貰いましたよ!」

カーン!

アナ「この当たりは明らかだ!入ったー!同点2ランホームラン!」
清田「失投で同点にしてしまいましたよ。まあ11球も投げれば汗が出て
すっぽ抜けるというのも良くありますからね」

神成「失投とは言え球が重い。真芯で捕らえたのに、まだ痺れが残っ
ているぞ!」
箕輪「畜生!汗で滑ったとはいえホームランを喰らった!だがもう打た
せないぞ!」

ズバーン!ストライクバッターアウト!

この後両チームは得点を入れる事なく、練習試合は引き分けに終わった。

審判「ゲームセット」
両チーム「ありがとうございました!」

1 2 3 4 5 6 7 8 9 R H E
流桜 1 0 0 0 0 2 0 0 0 3 12 0
武蔵 1 0 0 0 0 0 0 2 0 3 14 0
セーブ
本塁打
風岡 翔 1号
佐伯 啓一 37号

試合後…
箕輪「畜生、引き分けとは言え、あいつにホームランを打たれたのは悔
しい!次は抑えるぞ」
辻村「その意気だ。俺の投球を見習って、もっと冷静になるべきだ。あの場面では普
通にストレートだけでなく、変化球も冷静に織り交ぜていけ。」
箕輪「はい!」
神成「箕輪君、今日は君に勝ったけど、次は負けないようにね!決勝で会お
うよ!」
箕輪「おう!神成か、面白いやつに出会ったな。」