監督「全員集合!」

 ザッ!
 監督「今日は紅白戦の日だ。実力問わず部員を全員使うつもりでいるからな。」
 全員「はい!」
 監督「それではチームを発表するぞ。」

紅白戦
先攻 後攻
Aチーム Bチーム
1番 田本 剛史 1年 1番 細野  寿 2年
2番 藤林 清人 3年 2番 松山 正晴 2年
3番 村木 彰一 1年 3番 望月 勝 3年
4番 沢井 知永 3年 4番 本原 大祐 2年
5番 風岡 翔 1年 5番 河埜 和幸 2年
6番 佐々本 智充 3年 6番 東條 功一郎 3年
7番 周 賢一 1年 7番 辻村 章太 3年
8番 箕輪 陸 1年 8番 高 裕希 2年
9番 相良 満隆 3年 9番 飯塚 健太郎 3年

Aチームベンチ
沢井「紅白戦とはいえ油断するなよ。あっちの相手が1年生ばかりでも容赦し
てこないからな。気を引き締めていけ!」
全員「はい!」
箕輪「よっしゃー!辻村先輩との対決だー!気合い入れていくぞ!頼むぞ
翔!」
風岡「OK!リードは任せておけよ!そして辻村先輩からホームランを打って
やるからな!」
村木「辻村先輩との初対決だ!頑張るぞ!」
田本「1年生ばかりとは言え1番に抜擢されたんだ。アピールしまくる
ぞー!」
周「下位打線のほうだけど挫けずに自分の力を出し切って精一杯頑張るぞ!」

Bチームベンチ
細野「相手チームは殆どが1年生か。だが油断しないようにしないとな。」
本原「よっしゃー4番で気合いが入っているぞー!なぁ河埜頑張ろうぜ!」
河埜「そうだな本原よ。気を引き締めてかからんとな…ガッハッハッハ!」
東條「(さすが豪快な性格の2人だな。なんだか似ている。)」
辻村「よっしゃー!箕輪との投げあいだー!燃えてくるぜ!うぉおおおおお
お!」
松山「俺の堅守ぶりを監督にアピールするぜ!」
監督「(みんな燃えているな)よし、指示は各チームのキャプテンが出す事にする。
Aチームのキャプテンは沢井。Bチームのキャプテンは東條だ。分かったな」
全員「はい!」
監督「主審は俺がやる。塁審は事前に呼んでおいた。」
三田村・廣田・延原「おっす。今日の塁審は俺達がやるぜ。宜しくな。」
箕輪「あっ、貴方達はプロ野球選手じゃないですか?!」
箕輪監督「そうだ。俺の昔の教え子達でもある。」
三田村「今日の1塁塁審を務める三田村 要助だ。みんな宜しく!」

三田村 要助(みたむら ようすけ)
3年前、明清学園を甲子園に導いた黄金時代のエース。去年西武ライオンズにドラフ
ト2位で入団し、10勝を上げるなどの活躍を見せる。

廣田「みんな固くなってるな。まぁ楽しくやろうぜ!!俺は2塁塁審をやる
ぜ!宜しく!」

廣田 信(ひろた しん)
黄金時代の頃、彼はかなりの不良だったが箕輪監督の熱意により更正され、野球を始
める事に。強いリーダーシップと抜群の運動センスで三田村とのバッテリーを組ん
だ。去年ドラフト3位で西武に入団し、レギュラーの座を獲得している。

延原「そうだ。廣田の言う通りだ。リラックスだ!3塁塁審を務める延原 幸
治郎だ!宜しく!」

延原 幸治郎(のぶはら こうじろう)
不良時代の廣田のライバルだったが廣田が野球を始めた事により自分も野球を始める
事になる。練習熱心だった彼は今では日本ハムに1位で入団し、1年目から主砲の座
を守り続けている。

全員「お願いしまーす!」

1回表

ウグイス嬢「1番 センター 田本君」
田本「(ピッチャーは辻村さんか。同じチームだからある程度能力は知っているが一
応何球か見ていこう)」

シュッ!パーン!
監督「ストライーク!」
田本「(最初はインコースギリギリ入っているストレートか)」

シュッ!ククッ!
監督「ボール!」
田本「(外に逃げる高速スライダーか)」

シュッ!ククッ!
監督「ボール!」
田本「(ど真ん中から落ちるフォークか。凄い威力だな。狙い球が来たら打つ
か。)」

シュッ!ククッ!
田本「(やはりシンカーで来たか!打つ!)」

カン!

打球は見事にセンターへもぎ落とされた。
田本「よし!予想通りの球が来た。しかしヒットでも手に痺れが残るんだ
な。」

2番藤林は定石どおり送りバントを敢行。

3番村木は良い当たりを打つも松山のファインプレーに阻まれてしまいセカンドフラ
イに終わる。

ウグイス嬢「4番 サード 沢井君」
沢井「(辻村との直接対決か…久しぶりに燃えてくるぜ!)来い!」

シュッ!シュッ!

ズバーン!ズバーン!

辻村は2球ともストレートをストライクゾーンに入れてくる。
沢井「(正に予想通りだな。俺相手に3球で勝負とはな)」

シュッ!
沢井「やはり来たか!」

カキーン!

スッ・・・!ドン!
延原「(何ていうパワーだ。とても高校生とは思えん。)」

沢井が打った打球はレフトスタンドに吸い込まれていった。
辻村「くそっ!」
監督「ズバーン!ストライク!バッターアウト!」

箕輪は5回までを無失点で切り抜けるがしかし6回に捕まってしまう。

カキーン!
箕輪「くそっ。同点に追いつかれてしまったか。」

そして…

7回
箕輪「ハアッ、ハアッ」

シュッ!スパーン!
監督「ボール!フォアボール!」
沢井「(6回に捕まった精神ショックとまだ1年生ということで試合の緊迫に慣れて
いないせいか緊張の糸が途切れてスタミナに影響してきたか)監督タイムをお願いし
ます。」
監督「タイム!」
沢井「箕輪、まだ投げれるか?」
箕輪「本当はこのままじゃ悔しいからもっと投げたいですが、実はもう限界です。」
沢井「分かった。片岡と交代だ。(箕輪に足りないのは精神面か。スタミナはあるほ
うなんだがな。どうしても精神面の弱さからスタミナの消耗を激しくしてしまうんだ
な)監督、箕輪に代わって片岡で。」
監督「分かった。」

ウグイス嬢「選手の交代をお知らせいたします。ピッチャー箕輪君に代わりまして片
岡君。ピッチャーは片岡君。」
風岡「初めて見る先輩だな。宜しくお願いします。」
片岡「宜しくお願いします。投球練習いいですか?」

片岡 真理(かたおか しんり)
弱気で、捕手のサインに首を振る事が無い。人見知りをする傾向がある。昔、「真理」
と言う名前を「まり」と呼ばれ、苛められていた過去を持つ。コントロールと多彩でよ
く曲がる変化球が武器

風岡「はい。(なんだか微妙に頼り無さそうだな。)」

シュッ!スパーン!
風岡「(遅っ…!こんなに遅くて打たれないのか?)」

投球練習も終わり試合が再開。
監督「プレイ!」

ウグイス嬢「4番 サード 本原君」

シュッ!
本原「こんな遅い球楽勝に打てるわい!」

ブーン!
本原「あれっ?」

ブーン!ブーン!
監督「ストライク!バッターアウト!」
沢井「(流石だな。簡単に本原を打ち取ったな。球速は遅いがコントロールがあいつ
の武器なんだよな。)」

そして9回
東條「(そろそろ辻村を変えるか…)監督。辻村と河埜の守備位置を交代で。」
監督「うむ分かった。」

ウグイス嬢「選手の交代をお知らせいたします。ピッチャーの辻村君がファーストに
入り、ファーストの河埜君がピッチャーに入ります。」

ビシュッ!ゴォオオオ!ズバシーン!
監督「ストライク!バッターアウト!」
東條「(今日は珍しく立ち上がりがいいな。)」
本原「このバッターも三振だ!しまった失投だ!と思ったが球が
重くて打てるはずが無い!」
村木「もらったぁああ!」

グワキーーーーーーーン!

村木の打球はポールに当たってホームランとなった。
村木「(失投でもなんて重い球なんだ…)」
沢井「(いくら失投とはいえ重い球なのにそれを平気で打つなんて全く村木はたいし
たもんだな。)」

その後は片岡が9回裏をピシャリと3人で締めた。

ズバーン!
監督「ストライク!バッターアウト!」
全員「ありがとうございました!」

1 2 3 4 5 6 7 8 9 R H E
Aチーム 2 0 0 0 0 0 0 0 1 3 15 0
Bチーム 0 0 0 0 0 1 1 0 0 2 10 0
片岡 真理 7勝1敗
セーブ
河埜 和幸 10勝13敗
本塁打 沢井 知永(46号) 村木彰一(5号)

辻村「相手チームが1年生ばかりのせいかつい油断してしまったな。今後が楽しみな奴等だ。」
監督「みんな今日は良く頑張ったな。明日はオフとしてあと1ヶ月くらいで大会だ。
ケガの無いように体調管理をしっかりと行ってくれ。」
全員「はい!」