第四話 最初で最後の甲子園。
周輔「次は武蔵高校か。…こりゃきつい試合になりそうだ。」
慶太「武蔵って言えば超強力打線で有名だな。特に四番の高坂は半端じゃない。」

高坂慶介
武蔵高校の四番。
超高校級の打撃でHRを量産する。
足は遅いがなぜか飛びついてのキャッチが異様にうまい。
すでに高校通算90本打っている。

周輔「まぁなんとかして抑えるしかないな。」

アナ「さぁ。そろそろ甲子園も終わりを告げようとしてまいりました。解説は中日の大城選手です」
大城「よろしくおねがいします。」

アナ「今日はとうとうベスト4が激突しますが…。どうでしょうか?」
大城「やはり武蔵の高坂君ですね。彼のパワーはすでにプロ以上ですからね。」

アナ「そうですね。流桜の浜選手にも期待です。それでは始まります。」

甲子園準決勝
甲子園球場
先攻 後攻
VS
2年 佐藤 博 鈴木 隆 3年
2年 村田 智弘 村越 信彦 2年
3年 浜 周輔 伊藤 一樹 3年
3年 木立 慶太 高坂 慶介 3年
3年 花崎 蝶 江川 幸三 3年
1年 鈴木 哲雄 今野 良助 3年
1年 仲間 海渡 佐々木 道夫 3年
2年 猿渡 鉄平 湯浅 裕也 2年
3年 福田 正紀 上野 晃 3年

周輔「武蔵校か…。俺の腕は持つ…か?」

実は周輔の腕はすでに限界を超えに超えていた。
予選から一人で投げきり、なおかつ完投に連投。普通なら疲れも見えてくる。
しかし周輔は疲れを顔にはまったく出さず、仲間には一言も弱音をはかなかった。
周輔「なんとか投げきるしかない。」

周輔は一回を三者凡退に抑える。
そして二回の表。ここまでHR8という異常な数字を残している高坂に回る。
高坂「よし!俺の番だな。」

高坂は審判に頭を下げ、打席に入った。
周輔「あれが高校最強スラッガーか。なんかそうとは思えないな。」

それもそのはず、高坂の見た目はどう考えてもスラッガーには見えない。
さらに雰囲気もやわらかいのだ。これではどうみたってスラッガーにはみえない。
慶太「油断はするなよ?見掛けだけでいったら100%HRを打たれる!」
周輔「わかった。」

周輔は慶太のサイン通りに投げ込んだ。

ズバン。

アナ「今のは外角低めですね。あれには手が出なかったのでしょうか?」
高坂「そこらへんでいいの?コースが甘いよ。」
慶太「何?言わせておけば!」

慶太はまた同じコースに構えた。
周輔「(またそこか?いまそこに投げるのは相当危ない…。だが、サインはサイン。信じるぞ!)」

周輔が信じて投げたコースは、完璧に打ち崩された。
カキーーーーーン!

アナ「いったー!甲子園9本目の特大HR!」

この後、流桜は5回までに六失点を取られた。そのうち3得点は高坂のバットによるものだった。
菊地監督「くそ。あいつらのバッテリーでもかなわないのか?」
花崎「どうした!コースが甘いぞ!」
周輔「悪い。俺が甘く…。」
慶太「いや。俺のサインが悪いんだ。俺が…。」
猿渡「そんな事より!六点差はまずいですよ!早く取り返さなくては!」

次の打席は慶太からだった。
周輔「慶太!まさかあの約束忘れてないだろうな?」
慶太「約束?」


それは周輔が高校に入り、野球の練習をしていた時の事だった。

周輔「はぁ。はぁ。もうそろそろ疲れたよ。」
慶太「じゃーあと一球!」

バシッ
周輔が最後に投げた球は力もなくヘロヘロっとミットにおさまった。
慶太「よし!終わりにしよう!」

周輔は慶太の言葉を聞くとマウンドで倒れこんだ。
慶太「大丈夫か?無理させすぎたな。」
周輔「疲れただけだよ。そういえば前から気になってたんだけど…。慶太はなんで野球はじめたんだ?」
慶太「俺は…。甲子園にいきたいんだ。それに昔から俺はお前と野球がしたかったんだ。」
周輔「…。初めて聞いたぞそんな話。」
慶太「誰にも言ってないからな。ただ…。俺はお前と一緒に甲子園に行きたかったんだ。それだけだ。」
周輔「わかったよ。じゃーお前と甲子園へいってやる!いくぞ!」

周輔「いいか!俺は約束をこれで果たしているとは思ってない!優勝してこそ約束を果たすことになる!」
慶太「そうだったな。よし!」

アナ「そろそろ反撃しないときつくなる流桜!どうするのか?」
大城「どうでしょうね。やはりここはつないでいかないと…。」

大城がそういい終える前に慶太はスタンドまで打球を運んでいた。

アナ「これは驚きです!なんとHRがでました!反撃ののろしとなるのか?」
花崎「やればできるじゃねぇか。よっしゃ!」

カキーーン!

アナ「二者連続!!一気に反撃ムードへいくのか?」

しかし、後続が続かず、凡退。
そしてその裏…。
カキーーーーン!

アナ「いったー!文句なしのHR!高坂!今日二本目だぁー!」

なんと高坂は今日二本目。そして五打点目をたたき出した。
周輔「くそ!なんてスイングだ。ありえねぇ。」
慶太「今のは仕方ない。次抑えるぞ!」

そして六回の表に一点を返した流桜。七回の表にはランナー2,3塁のチャンスで周輔。
周輔「ここで打てば一気に一点差…。なんとしてでも打つ!」

武蔵の投手が第一球えを投げた!
カキーーーーン!
周輔「悪いが負けられないんだ。」

アナ「でたー!またしてもでましたHR!本日五本目のHR!なんという乱打戦だ!」
慶太「次は俺だ。」

カキーーン

アナ「木立の打った打球は三塁線へ…。」

バシッ!
なんとあの際どい打球を高坂はダイビングキャッチで捕ってしまった!
慶太「うそだろ?」

そしてその裏。またしても悲劇が!
高坂「きたっ!」

カキーーーーーーーン!
またしても高坂が突き放しのソロHRをたたきこむ。

アナ「高坂!今日三本目のHRだ!どこまで打つのか?」

そしてそのまま九回の表を迎えた。

アナ「さぁ。最終回になりました。現在6×8と流桜絶命のピンチ!」
周輔「くそっ!あと一歩!あと一歩なんだ!!」
花崎「まだ終わったわけじゃない。次は俺たちからだ。どうにかして俺たち三人で二点以上とるしかない!」
慶太「そうだ!そのためにはまず周輔!お前が塁に出るかでないかだ!」
周輔「わかった!」

周輔は打席に立つとバットを握り締めた。
周輔「あいての得意球を打つ!」

カキーーン!

アナ「浜!最終回に塁にでました!」
慶太「次は俺か。」

カキーーン!

アナ「なんとここにきて逆転の大チャンス!!ここで回るのは今日HRを打っている花崎!」
花崎「ここで回ったか。是が非でも打つ!」

カキーーーーン!

アナ「いったー!逆転のアーチを描きながらスタンドへ吸い込まれた!」
花崎「よっしゃぁ!」

花崎はガッツポーズを掲げてホームへ帰ってきた。
慶太「でもまだ油断できないぞ。次は高坂に回る!」
猿渡「そうですよ!さぁいきましょう」

アナ「とうとう最終回!そして今日五打数五安打3HRとあたりまくっている高坂!」
高坂「なんでいっつもここで回るんだろうなぁ?」
周輔「最後はきっちり抑えてやるからな!(あれいくぞ!)」

周輔が慶太にサインを送る。
慶太「(なっ。…。いいだろう!ただし…。三球だ!)」
周輔「(サンキュウ!)くらえ!これが俺の新魔球!ムービングファストボール!」

バシーーン!
高坂「今のは…MFB!さすが浜君だ。楽しませてくれるよ!でも僕だって負けるわけにはいかないんだ!」

バシーーン!

アナ「すごい!浜。ここまであんな新魔球を温存していました。」
大城「あれはきっと相当指に負担がかかるんでしょうね。きっと最終打席にすべてをかけたと思いますよ。」
周輔「後一球…もってくれ…俺の腕!!」

ズバーーーーーン!
ストライーク!バッターアウト!試合終了!

アナ「なんと!最後の球は151`をマークしました!なんという力強さでしょうか!」
周輔「ぐっ!(…無理しすぎたかな?まだ俺には投げられないか?)」


1 2 3 4 5 6 7 8 9 R H E
流桜 0 13
武蔵 0 0 13 0
浜周輔 19勝8敗
セーブ
湯浅裕也 23勝11敗
本塁打 浜周輔 8号 木立慶太 29号 花崎蝶 30号、31号 高坂慶介 98号、99号、100号

高坂「負けたよ。…また勝負したいな。プロにいったらぜひとも同じリーグになりたいな。」
周輔「お断りします。」

こうして流桜は決勝戦へと進んだ。
そして準決勝二試合目に、なんと大記録が…。

アナ「やりました!福田敏彦!完全試合達成!奪った三振はなんと25個!甲子園記録です。」

福田敏彦
甲子園最強投手と呼び声が高い完璧な投手。
性格が悪く、味方の大半を信用してないがなぜか伊野森だけとは気が合うらしい。
150`を超えるストレートと重い球質で相手打者を三振で打ち崩す!

慶太「まじかよ!ありえないって。」
周輔「それよりあの福田ってやつ。一匹狼みたいなピッチングだったな。バックを信じてないみたいだ。」
慶太「それに打撃でもあいつが全部引っ張ってたからな。ワンマンチームだが相当手ごわいぞ。」
菊地監督「いや!それは違うぞ。黒牢関高校はまだ福田しかスタメンを先発でだしていない。」
花崎「と言いますと…。」
菊地監督「あぁ。まぁ簡単に言えば五回までを福田が完封、そして六回から最強打線がスタメンに、そして完投!これがやつらのスタイルだ。特に福田は性格が悪いらしいが捕手の伊野森以外にはまったく気を許さないらしい。」

伊野森宵
福田と唯一バッテリーを組める捕手。
冴え渡るリードと強肩で打者を翻弄する。
守備面はすごいが打撃面が課題。

慶太「無茶苦茶だな。」
周輔「何を言っても始まらない。やるしかないんだ!」
慶太「そうだな!」


ついに甲子園最強投手出現!周輔&慶太バッテリーVS福田&伊野森バッテリーの勝負が始まる!

ィェ‐ィ v(´▽`v)))))).......((((((v´▽`)v ィェ‐ィ続く!