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真田「キャプテンは来年からはプロか」
真田「ドラフトって確か11月だっけ?」
斎藤「ああ」
吉田「昨年から逆指名制度ができたからな。上位指名は大学や社会人中心になるかも知れないな」
斎藤「そうだな。だけど八坂さんは希望の球団は特にないって話だし逆指名使わずに指名する球団もあるだろう」
吉田「昨年は分からないけど一昨年は高卒選手の当たり年だったしな」
真田「へえ。今年はどうなるかな?」
吉田「高卒1年目で活躍する選手なんて昔からまれだしな。去年は新人でタイトル獲得する選手が何人も出たけど」
斎藤「今年はうちのOBの中西さんが10勝で新人王っぽいけど」
中西監督「確かに時代の流れを感じさせるな」
中西監督「しかし福井か―――あいつ何やってんのかな?」
福井「実はここにいたりします」
福井「実は解説でこっちに来てたんですよ。帰る前に時間あまってたし監督と昔話でもしようかと来たんですけど―――やっぱり元プロが来るってのは少し非常識ですかね」
中西監督「まあ、お前の母校だし指導とかしない限り問題ないだろう」
斎藤「あのサイン下さい!」
福井「まあ、サインくらいはいっか、君、斎藤君だろう」
真田「察するところ僕達のOBでプロ選手ですか?」
福井「とまあ知らないのが普通だよな。俺はカープで25年間ピッチャーやっていた
真田「そんなに凄い人なのか、じゃあ僕もサインをお願いします!」
福井「いいよ。俺なんかのサインで良ければ―――けど色紙とかあるの?」
福井「いや、何も泣かなくてもまあ監督と話するつもりだし今から買って来たらどう?」
福井「クスッ! 面白い子ですね」
中西監督「あいつなら斎藤の後についてったぞ。一緒に色紙を買いに行ったんだろう」
福井「クスッ、変わった子達ですね」
中西監督「まったくだ。昔のお前にそっくりだよ!」
福井「監督の若い頃にもでしょう」
中西監督「まあな。しかし時代も代わったな。お前はプロ野球の解説者、宗はライオンズの監督と時の流れってのは分からんもんだ」
福井「監督も隠居するには早いでしょう。息子さんは新人王目指して頑張ってるし赤竜高校が3回連続甲子園出場なんて初ですし」
中西監督「確かに赤竜高校は相良の居る今がピークなのかも知れんな」
福井「そうそう相良君はぜひカープに入れて下さいね」
中西監督「あのな」
福井「冗談ですよ。しかし彼がプロ入りしての活躍は楽しみにしてますよ!」
中西監督「まあ、あいつは地元のベイスターズのファンだが何処に指名されても入るだろうな」
福井「大学や社会人はなしですか?」
中西監督「そうだな。現在の有名な2年の誰か1人がプロ入りを蹴ったりでもしない限りないだろうな」
福井「そうですか逆指名制度ができてからは特に大学や社会人を希望する選手が多くなりそうですから心配してたんですよ」
中西監督「ふむ。お前は逆指名には反対なのか?」
福井「いえ。むしろ推奨してますね。好きな球団に入れますから―――ただ観るなら早く観たいそれだけです!」
中西監督「ふふ、全然変わらないな。お前は」
福井「いえ監督こそご健勝で何よりです」
吉田「監督達が話してる間に終わりましたよ。今日は軽めでしたね」
相良主将「いきなりの訪問客が来ましたし今日は良いじゃないですか」
中西監督「はあ、明日は練習を倍にするからな」
中西監督「当然だろう」
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月砂「それで私のサインは?」
斎藤「はい!」
月砂「…………珍しいわね。絶対にそんな気が利く様な事はしないと思っていたのに」
結依「かたじけない」
月砂「それで結局サイン貰っただけなの?」
月砂「はいはい。それじゃ毅には注文を受けて来てもらうわよ!」
月砂「ええ。まずメモは必ず取る事と分からない事があったら他のバイトか私に必ず聞く事、これだけは守ってね!」
吉田「はい!」
真田「やはり吉田君は笑顔が硬いですね」
村雨「そうですね。まあ初めてなので仕方ないかも知れません」
月砂「ハジメ! アンタは注文を取りに行く!」
真田「しかし斎藤君は接客業には向いてないんでしょうか? 注文を間違えたりとミスが多いですね」
村雨「彼は昔から手伝いをさせられるのが嫌で逃げ出す事が多かったですから」
樹里「クス!」
月砂「噂になって収入が上がるんなら別にいいけどね」
樹里「クスクス!」
月砂「お疲れ様!」
月砂「とりあえず罰ゲームだからお金は払えないけど夕食と言うには遅いけど結依さんが料理作ってるからそれ食べて泊まっていきなさい!」
結依「まだ早いが鍋にして見たぞ!」
真田「ちゃんこですか?」
結依「うむ!」
吉田「美味しいですね!」
結依「うむ。特別な材料はないが順序良くキチンとやればこれだけの味は出せる!」
斎藤「確かに―――いつもの鍋よりも美味いな」
月砂「そうね。結依さん、後で調味料の細かい分量なんかを教えて下さい!」
結依「構わんぞ!」
真田「斎藤は野球をし過ぎだよ。それじゃ休みの日の意味がないよ!」
吉田「真田の言う事にも一理あるな!」
吉田「今日は疲労を抜く為の休みだ。練習ばかりしてたら壊れるぞ!」
真田「仕方ないな。それじゃバッティングセンターにでも行く?」
村雨「そんな事よりとっととバッティングセンターに行こう!」
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樹里「販売機でカードを勝って機械口にカードを入れたらボールが出て来ますよ!」
樹里「そうですか、ここは佐藤コンツェルンが力を入れてますから」
斎藤「佐藤コンツェルンってあの大企業のですか?」
樹里「はい。ぼそっ(と言っても今は経営状況は悪いんですけどね)」
吉田「どうかしましたか?」
樹里「いえ。何でもないです。それより今はスピードガンコンテストと飛距離コンテストをやってますから挑戦して見てはいかがでしょうか?」
真田「足のコンテストはやっていないんですか?」
樹里「えっと残念ながらそれはないですね」
斎藤「別に良いじゃないか商品が出る訳じゃないだろうし」
樹里「えっと出ますよ。TOP10に入った人にはちゃんと商品が出ます!」
村雨「いや、結構やっかいだぞ。スピードガンコンテストの1位を見てみろよ!」
村雨「同姓同名で150キロはないと思うが」
樹里「はい。母校の後輩の前で良いところ見せようと投げてましたから良く覚えています!」
樹里「それでやりますか?」
樹里「136キロを計測と凄いですね。7位にランクインしました!」
斎藤「なんとか入ったか」
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樹里「以上がスピードガンコンテストTOP10です!」
真田「知ってる名前が多いね」
吉田「ああ―――やっぱり八坂さんは凄いな。キャッチャーで146キロか!」
斎藤「―――あの2位の佐藤宗崇って人は?」
村雨「聞いた事のない名前だね。147キロってところから素人じゃないっぽいけど」
樹里「私の弟です!」
樹里「はい。オープン日に目立つ様に投げてもらったんです。竜崎さんが来るまでは1位だったんですけど」
斎藤「15歳って事は高校1年ですか?」
樹里「はい。今は海外留学していますから名前は知られていません」
斎藤「海外と言うとアメリカですか?」
樹里「ええ。父の要望で帝王学を教えているんですが―――弟は昔からメジャー挑戦の夢があって―――と知らない人に話す事ではありませんね」
斎藤「メジャーか」
村雨「そう言えばバファローズの白銀選手が来年にメジャー挑戦するって話があったけど」
吉田「ゴシップネタだろうと最初は言われたけど何か本当らしいな」
真田「メジャーって本場の野球だよね」
吉田「ああ。もし白銀さんがメジャーのマウンドに立ったら何十年振りに日本人メジャーリーガー2号になるって話だ」
真田「白銀さんって1号じゃないんだ?」
斎藤「確
村雨「へえ。そんな人が居たのか」
吉田「しかし日本を越えていきなりアメリカか―――無謀かどうかは置いといて凄い奴としか言えないな!」
斎藤「だな」
樹里「父も私も無謀な事はやめてって言ったんだけどね。あの子、頑固なところがあるから―――それに才能も飛び抜けてるらしいから」
斎藤「えっと俺にも姉貴が居るんですけど―――もし俺が何かに挑戦するとしたらやっぱり応援して欲しいと思います。だからお姉さんもできれば弟さんを応援してやって下さい」
樹里「―――ありがとう。ハジメ君!」
斎藤「―――いえ生意気な事言ってすみません!」
樹里「ううん。そうよね。姉の私が一番あの子を応援してあげなきゃいけないよね!」
真田「月砂さんといい結依さんといい斎藤って年上キラー?」
村雨「いや、斎藤は昔から良い子で終わって告白される様な事はなかったぞ!」
真田「良い友達じゃなく良い子か―――年上受けが良い事に変わりはないって事?」
村雨「ああ!」
樹里「クスッ! 面白い子達ね。そうそう。私の名前は
樹里「うん。月砂とはこっちへ来てからの親友だからハジメ君の事は月砂に聞いてるよ!」
吉田「やれやれ、それじゃ俺も行きますから!」
樹里「うん。月砂によろしく!」
吉田「はい!」
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月砂「そう。樹里に会ったの」
結依「うむ。世間は広く狭いもんじゃ!」
結依「長く生きとるからな!」
月砂「樹里は良くMOONに来るけど、店の手伝いをしないアンタとは絶対無縁だと思っていたけど、アルバイト先で会うとはね」
月砂「本当の事を言ってるだけで別に責めてないわよ。アンタは野球と学業に集中しなさい!」
斎藤「うん」
結依「麗しい姉弟愛なのじゃ!」
斎藤「違う!」
月砂「違います!」
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中西監督「斎藤、悪いが秋は打者として活躍してもらう!」
中西監督「やれやれ、後輩想いと誉めるべきか、覗いた事を怒るべきか、どっちにするか?」
斎藤「それで何で俺が打者なんですか?」
中西監督「夏には七瀬が居たからまだ良かったが現状ではどうしてもお前に負担がかかってしまう。2番手の山中に試合経験を積ませたいってのが正直なところなんだが」
中西監督「吉田、山中についてどう思う?」
吉田「そうですね。夏に比べて球速も変化球も上がってます。実戦経験を何度か積ませれば県内でも通用する投手になると思います!」
中西監督「と言う事だ。もちろん斎藤をずっと投げさせないと言う訳じゃない。危ない試合になれば登板させる事もある。山中の力をつける為に打者に集中して頑張って欲しい!」
斎藤「分かりました。そう言う事なら打者に専念します!」
中西監督「そうか、良く決断してくれた。と言う訳で秋は山中に頑張ってもらう!」
中西監督「よし! 相良!」
相良主将「はい。今のうちは3回連続甲子園出場と言う昔の先輩達を上回る実力をつけている。だが全国制覇は監督が学生の頃からできてはいない。今度こそ俺達の力で赤竜高校を日本一に導こう!」
吉田「大丈夫か?」
斎藤「ああ。マウンドに立てないのは残念だけど、キャプテンが言った様に日本一になる為には山中先輩の力が必要だからな!」
吉田「特訓するか!」
吉田「ああ。秋は斎藤も外野?(多分)らしいし俺も元は外野だし打撃も守備も特訓するには最適な人材だろう!」
真田「さあ師匠1号2号、何をするんだい?」
真田「いや、それならもう教わったけど―――全然ダメだった!」
真田「斎藤師匠! どうか打撃の秘訣を教えて下さい!」
斎藤「秘訣と言われてもな。俺は来た球を打ってるだけだし」
真田「バントには自信があるんだけどね。ただ速い球には慣れてないんだよ」
吉田「あっ! 良い方法思いついたぞ!」
真田「本当?」
吉田「ああ。バッティングセンターだよ!」
斎藤「こないだの?」
吉田「あそこに145キロのマシンがあった!」
中西監督「なるほど、良いアイデアだな。全額は出せんが多少なら後で部費で立て替えてやる。お前らもそこで練習して来い!」
吉田「多少ですか?」
中西監督「余裕がそんなにある訳じゃないからな」
中西監督「前から希望してるんだけどな。他の要望も多くてな。しかし学校側も甲子園出場で学生数が増えて来たせいか前向きに考えてくれるだろうし問題ないだろう!」
中西監督「まあな。俺も頭の方は良くなかったから偉そうには言えんがやっぱり学生の本分は勉強だからな。学校に強くは言えんよ!」
斎藤「それじゃ行って来ます!」
中西監督「ほとんど、自費で払ってもらうから問題はないさ!」
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樹里「あっ! 久し振り!」
吉田「真田は来てませんか?」
樹里「前に来た子ならさっきからバッティングしてるけど」
斎藤「それじゃ俺達もするか!」
吉田「そうだな
斎藤「ああ!」
吉田(もう芯でとらえてる。やっぱり斎藤は打者としては一級品だな。俺も負けられないな!)
樹里「みんなの一生懸命な顔は宗崇にそっくりね。私も少しは野球の事を知ってみるかな!」