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中西監督「無事に到着したな!」
中西監督「1人を除いてな」
相良主将「せっかくの能力も使わなければ無意味か」
相良主将「河島がいないのは残念だがあいつの分まで頑張らないとな!」
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中西監督「いよいよ3回戦だ!」
真田「1回戦で優勝候補の冥空に当たった時はどうなるかと思いましたけどね」
中西監督「うむ。1年の夏にはプロのスカウトも物凄く注目していたからな」
相良主将「無理もありませんよ。1年で150キロなんてこの先もないかも知れない記録ですから」
中西監督「うむ。とにかく相手は弱小と言われていたが石崎と言うエースがいる限り名門以上と考えた方が良い強いチームだ!」
相良主将「はい。それに1年ながら4番を打っている広瀬とドラフト候補の木下といます!」
中西監督「うむ。休みがあったが2回戦から連投になるが斎藤に先発してもらう!」
斎藤「はい!(相手はあの石崎かワクワクするなー)」
真田「しかし150キロか」
吉田「やけに自信があるな。速球は苦手じゃなかったのか?」
真田「ふっ
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石崎「ええ、まあ、中西さんは伝説の投手として有名ですから(俺と流石は彼方さんを尊敬してるけど)」
広瀬「それなら聞きましたよ」
広瀬「あの監督のおかげだってアホなところもあるけど理解力があるから助かるってノビノビ出来たからプロになれたって言ってました!」
広瀬「ふっ、少しは俺のありがたみも分かっただろう!」
石崎「と言っても昔からバッテリー組んでるしな。それにリードはからっきしだから俺が考えてるし」
広瀬「考えてるって速い球さえ出せば良いって大雑把な考えじゃないか」
石崎「ふん。俺の球をスタンドに運べる奴なんて…………」
広瀬「ちなみに河島さんは今大会には出ないぞ」
石崎「知ってる。ああ! 思い出したら腹が立ってきた! リベンジしようにも相手がいないし」
広瀬「大丈夫だ。相良さんは河島さん以上のバッターだから」
広瀬「だから相良さんを河島さんだと思って投げれば良いだろう」
広瀬「強打者、右打ち、フォームが一緒、学年も同じでおまけにキャプテン同士かな」
広瀬「想像力のない奴だ」
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霞「早い物で春の甲子園もベスト8の戦いとなりました。両校共に春ではベスト8進出は初めてとなります!」
霞「武藤さんのツッコミは放って置いて両校共に1年生投手の投げ合いと言うのも注目です!」
霞「と言う訳でベスト8に残った高校の実力をこの眼で観ましょう!」
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石崎(真田か―――どんな選手だっけ?)
広瀬(知らん!)
広瀬(リードは面倒だ!)
広瀬(うむ。と言うかいつも通りだな!)
霞「146キロのストレートで三振!」
武藤「まだ1打席目なので判断は難しいですが昨年の夏よりコントロールが良くなった感じがしますね」
霞「そう言えば広瀬君があまりミットを動かしませんでしたね?」
武藤「まだ1人なので何とも言えませんけどね」
中西監督「石崎は四死球が多いからな。やっぱり球を良く見て行けだと思うが?」
吉田「こりゃ本当にコントロールが良くなったかも知れませんね。次は斎藤だし注目しましょう!」
中西監督「だな」
霞「ここまで二者連続三振! 次のバッターは強打者の斎藤君!」
武藤「注目の対決ですね!」
斎藤(石崎はスロースターターだ。早い回で得点しないと尻上がりに調子を上げる。初回で打ち込む!)
石崎(斎藤!)
広瀬(知り合いか? 3番て事は良い打者なんだろうが)
霞「出た150キロのストレートで1ストライク!」
広瀬(良い球だ。大口を叩くだけあってこの球なら多少コントロールをミスっても打てん!)
石崎「………………」
霞「2球目はフォークを空振り2ストライク!」
武藤「斎藤君相手には出し惜しみしないですね。斎藤君は全国ではまだまだ無名と思いましたが意外に知られてる見たいですね」
斎藤(恐らく3球で来るな。ストレートかフォークのどっちかだな!)
霞「最後は148キロのストレートで三振と1回を三者三振に抑えます!」
武藤「春は河島君がいなくて盛り上がりに欠けるかなと思いましたがこの石崎君がいればその心配は必要なさそうですね」
中西監督「課題のコントロールが付いた今、付け入る隙はなくなったな」
斎藤「ですね。スタミナも良いし球数を投げさせてもこっちが先に疲れそうですし」
中西監督「しかし最低でも後2打席ある。バッティングセンスの良いお前なら打てなくもないだろう」
斎藤「はい。相良さん達もいますしね。ピッチングに集中します!」
広瀬「最後の球にかすったな」
石崎「ああ。油断のならねえ奴だ。風祭の気持ちも少しは分かる気がするな」
広瀬「?」
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霞「斎藤君も負けずと三球三振!」
武藤「斎藤君のストレートはノビがハンパじゃないですからね。なかなか打てませんよ!」
霞「そうですね。武藤さんが初めて斎藤君を観た時はストレートだけでは抑えられませんと言ってましたが懐かしい言葉になりましたね」
霞「ですね。そして続く打者は秋の大会でも活躍した八代君です!」
武藤「守備に定評がありますがバッティングの上手さも木下君に続きます!」
吉田「やっかいと言ったわりにはストレート3球で終わらせたな!」
斎藤「まあ、初回だからな。次の八代は三崎さんの上手さと三崎さん以上のパワーがあるから要注意だ!」
吉田「しかし最近長打力の高い2番が多いな」
斎藤「他校ではな。うちではセオリー通り出し」
吉田「意外性の2番か嵯峨さんを2番にして見ると面白いかもな」
斎藤「曲者振りでは玖珂さんが良いと思うぞ」
吉田「なるほど、あの人達も良いコンビだよな!」
斎藤「ああ」
霞「八代君も137キロのストレートで三振と今日も調子が良いです!」
武藤「やはり初見であのストレートは打ちづらそうですね」
木下主将「どうだった?」
木下主将「やはりそうか、となるとかなりやっかいだな」
木下主将「球数を消費させて打ち込むか、どっちもうちの連中はしてくれんだろうな」
吉田(木下さんはさすがに知ってるな。外野を定位置より前にしとけば問題ないだろう!)
吉田(大丈夫だ。いまだかつて1打席でお前を打てた打者はいない!)
大丈夫だ。俺を信じろ!)
霞「斎藤君も1回を三者三振と負けません!」
武藤「斎藤君も130キロ後半と調子が良いですね。今日は投手戦になりそうです!」
斎藤「今のところはな」
斎藤「今のところはだ!
真田「まあ、ストレートだけで抑えられるからね。キャッチャーも配球とかあんま考えなかったのかもね」
真田「ほほう。その子は一体?」
やれやれ斎藤も意外と薄情だね!」
真田「ほほう。斎藤は昔から『類は友を呼ぶ』って奴だったんだね!」
真田「あまいね。斎藤、『普通』だと言ってる時点で君はもう普通じゃないんだよ!」
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中西監督「斎藤達がアホな会話してる中、相良の一発で見事に先制した!」
中西監督「コントロールがあまいとは言え球威のある速い球を良くスタンドに運んだ。さすがはドラフト候補だ!」
相良主将「河島相手のつもりで打席に立ちましたから!」
広瀬「気にするな」
石崎「あの人は変化球も使わなきゃ抑えられないな(しかし俺の球をスタンドまで運ぶとはさすがは相良さん!)」
霞「現在、点差は1対0、外角の球を見事にライトスタンドに運びました!」
武藤「相良君の力の前には風も関係なしですか、凄いバッターですね!」
霞「玖珂君はワンバウンドのフォークボールを空振り三振!」
石崎「ふう、次は嵯峨さんか、体格からパワーヒッターかな?」
霞「嵯峨君も三振とこれで5奪三振!」
武藤「今のところ全ての打者を三振ですね。まあ速いストレートと落差のあるフォークと三振が奪りやすい球がウイニングショットですから当然と言えば当然なのかな?」
吉田「甲子園男の実力を見せてやるぜ!」
石崎「7番か!」
霞「落差の大きいフォークで三振と変化球も鋭さを見せます!」
武藤「これで6連続奪三振ですか、確か福井さんが記録した9連続奪三振が記録ですね。あれは夏でしたから春は誰の記録でしたかね?」
霞「とにかく夏春合わせて9連続が最高と!」
武藤「ええ。ちなみに福井さんはプロでも数々の奪三振記録を持ってます。と思い出しました。春は斉天の浅野が9連続奪三振でした!」
霞「結局どちらも9連続が最高と」
武藤「はい」
霞「ちなみに石崎君は相良君にホームラン打たれていますから本当は3連続奪三振です!」
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斎藤(この広瀬は長打力が高いからな。当たったら怖いな)
広瀬「石崎を楽にさせてやるか!」
霞「斎藤君も4奪三振、しかし凄い大振りですね?」
斎藤「ああ。しかし次の石崎もやっかいだぞ」
吉田(大丈夫だ!)
吉田(おう!)
霞「こちらは5連続奪三振と付け入る隙を見せません!」
石崎「なるほど、これがあいつのストレートかタイミングが合うまでてこずりそうだな」
霞「ああっ!? 嵯峨君がトンネル!? 武藤さんが余計な事を言ったせいでしょうか2アウトでランナーが出ます!」
斎藤「気にしないで下さい。後続は抑えますから!」
霞「しかし134キロのストレートで三振としかし今日はストレートが多いですね?」
武藤「ですね。吉田君のリードでしょうが何か考えでもあるんでしょうか?」
霞「それを説明するのが解説者だと思うんですが?」
霞「普通ですね」
木下主将「ああ。けどうちの奴らは」
木下主将「俺はこの球場じゃホームランは無理だな。長打力の高い木崎が適任だろう!」
木下主将「と言っても失投をサードゴロだからな。当てには出来んな!」
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霞「試合は1対0のまま3番の斎藤君からの打席です!」
武藤「さっきの回は先頭の打者を歩かせた者の後続は凡退に抑えると言うナイスなピッチングでした!」
霞「私のセリフ取らないで下さいよ!」
武藤「すみません。何となく言って見たかったので」
広瀬(エンジンかかって来たな!)
霞「凄まじいまでのストレートで赤竜のクリーンナップを三者三振に抑えます!」
武藤「前の回からですから4連続奪三振ですね。しかしこれが石崎君の絶好調モードですね!」
霞「覚醒とも言われてますね。この状態になると手が付けられなくなると聞いてます!」
武藤「ちなみに地方大会ではこの状態でノーヒットノーランを2度達成しています!」
霞「だから私のセリフを取らないで下さい!」
相良主将「速さもだがミットに決まる音も凄まじかったな!」
相良主将「ああ。出会うべき時に出会ったって事だろう」
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霞「現在、斎藤君がノーヒットノーラン中です!」
武藤「と言ってもまだ4回ですからね」
斎藤(さっきの打席では何もせず三振だったからな)
吉田(手が出なかっただけだろう)
斎藤(だとしてもだ。2打席目じゃ球に慣れてるかも知れん!)
吉田(慎重に変化球から入るか?)
斎藤(……そうだな。そうするか)
霞「右中間真っ二つ! 打った八代君は二塁ストップ!」
武藤「ライトが相良君じゃなければ三塁打でしたね。しかし初球は慎重にボールから入るべきでしたね」
吉田「済んだ事を気にしても仕方ない。次の打者に集中しよう!」
斎藤「ああ(木下さんか長打がないからヒットを打たれたとしてもタイムリーにはならないだろう。どう攻めるか)」
木下主将(後ろは長打力が高いだけで頼りになるとも言えないからな。送りバントはやめて普通に打つか、狙うなら変化球だな!)
霞「最後は138キロのストレートで三球三振に抑えます!」
斎藤(やはり木下さんは慎重に変化球狙いだったな。ランナーがいる状態で長打力の高い打者ってのは嫌なんだが歩かせるのも嫌だしテンポ良く行くか慎重に行くか)
霞「最後はフォークで決めます!」
武藤「勝負球が変化球ってのは予想外でしたね。しかし夏に比べてフォークのレベルも上がってますね!」
広瀬(絶好調モードの石崎はバッティングも凄くなるからな。期待大だ!)
斎藤(力んでるな。変化球でタイミングを崩すのが良いんだろうが、ここは!)
霞「石崎君はストレートを打ち上げライトフライに倒れます!」
武藤「しかし鋭いスイングでしたね。次の打席も石崎君は要注意って感じですよ!」
石崎「ちっ! 思ってたよりノビてるな。次はもっと速く振らないとな!」
斎藤「ふう、何とか無失点で抑えたな」
斎藤「ああ。石崎は打者としても要注意だ!」
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霞「では試合を振り返りましょう。まず赤竜高校は相良君のホームランで1点先制して以来、得点はなく1対0のままです。転生高校は八代君や木下君がヒットを打ちましたがホームには返さないと言うピンチ面での強さを斎藤君が見せます!」
武藤「ですね。こうなると相良君のホームランが試合を決めるかも知れませんね」
霞「そしてこの回はその相良君からの打席となります!」
相良主将「これで3打席目か、さっきは三振食らったからなお返ししたいところだが」
霞「さすがの相良君もライトフライに倒れます!」
武藤「150キロですからね。当てるだけでも凄いですよ」
相良主将「ちっ、想像以上に重い。芯でとらえないととてもじゃないがスタンドまで届かないな」
霞「最後はフォークで決めた!」
武藤「フォークのキレも凄まじいですね!」
霞「嵯峨君にもフォークで決めて3アウトチェンジ!」
武藤「134キロで落ちるフォークですからね落差だけでなく速さもやっかいですよ!」
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斎藤「木下さんからか」
吉田(さっきはセーフティバントって完全に裏をかかれたからな)
斎藤(ああ。後続を抑えたから良かったがこの人が出たら足でリズムを狂わされそうだ)
吉田(俺じゃ刺せるかどうか微妙だからな。まあ、出たら考えよう)
斎藤(ああ。出さなきゃ良いだけだ。内野は定位置より前にしといた方が良いな。特に玖珂さんと嵯峨さんには注意しないと)
吉田(そっちは安達さんと加納さんにフォローしてもらおう)
斎藤(そうだな)
木下主将(内野も前に来たか、安達は玖珂のカバーで加納は嵯峨のカバーか良く考えてるな。だが穴はある!)
霞「最後は外角高めのストレートを振らせました!」
武藤「木下君にボール球を振らせるとは上手いですね」
木下主将「配球も考えてるな。見事だ!」
木下主将「そうなのか? そうか、どうりで良い投手だと思った!」
吉田「どう言う意味ですか?」
木下主将「自分で考えられる投手ってのは優秀なものと決まってるんだよ。うちの石崎は除くけどな」
吉田「自分で考えるからですか?」
木下主将「そうだ。失敗した時とか改善点を自分で考えて行く訳だから良い投手に成れるんだよ!」
吉田「つまり俺がリードしない事で斎藤が成長してるんですね!」
木下主将「ああ
斎藤(木下さんは思った通りインコースにいれれば問題なかった。次の広瀬も今日はタイミングが合っていないから問題ない!)
霞「アウトですが」
石崎「気にするな。元々打てると思ってなかったから!」
石崎「そうじゃなくて今日の斎藤は凄えから俺以外に打てないだろうなと思ってただけだよ!」
石崎「なるほど!」
霞「入りました。3球目のアウトコースのストレートを巻き込んでレフトスタンドに叩き込みました!」
武藤「技術など無用、力があればそれで良いと言うバッティングは現役時代の堀内さんを思い出させますね!」
斎藤「切り替えるぞ。次もバッティングの良い木崎さんだ!」
吉田「おう!(さすがは斎藤だ。打たれ強いぜ!)」
霞「最後は低めギリギリを見逃しの三振!」
武藤「斎藤君はコントロールも上がりましたね」
中西監督「この1点は仕方ないな。その調子を維持しろよ!」
斎藤「分かってます。もう1点もやりません!」
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石崎「何とか同点にはしたし
石崎「おっ、当てやがった!」
霞「凄い肩ですね!」
霞「と言う訳で本永君の暴投で吉田君がランナーに出ます!」
中西監督「加納!」
中西監督「いや、強振だ! ここで欲しいのは長打だけだからな!」
中西監督「三振しても構わん。とにかく長打だ!」
相良主将「ここは確実に連打した方が良いと思いますが?」
斎藤「俺もそう思います。転生は守備面に課題がありますから」
中西監督「確かにな。だけど転生の守備は夏に比べてエラーが減っている。さっきの暴投もたまたまだろう」
相良主将「しかし今の石崎からヒットを打つのは難しいですよ?」
中西監督「まあな。だが加納はバントが下手だしミートしてもダブられる可能性が高いからな」
霞「豪快なスイングで空振り三振!」
武藤「明らかに一発狙いでしたが150キロじゃかすりもしませんでしたね」
霞「と次の伊沢君は送りバント成功で吉田君は二塁へ!」
武藤「なるほど、バントの下手な加納君はアウトにさせ続く伊沢君に送りバントですか」
中西監督「と言う訳だ!」
相良主将「しかし、次の打者は真田と、石崎との相性は最悪な感じなんですけど」
中西監督「バットを持ってればみんな強打者だ!」
霞「見事なセーフティバントでランナーは1、2塁です!」
武藤「このセーフティは真田君の独断ですね。その証拠に二塁ランナーの吉田君は三塁には行けませんでした!」
中西監督「さすがに連続は無理だろう。それに安達はミートがうまい。当たりによっては1点追加出来る!」
相良主将「確かに当てるのだけなら玖珂の次にうまいですからね」
広瀬(落ち着け相手はエラーとバントで出塁しただけだ。まっとうな方法で打たれた訳じゃない。斎藤は投手ながら鋭いスイングだから要注意だ!)
石崎(ああ。ここで止める!)
霞「チャンスの場面でしたが149キロのストレートを空振りの三振!」
武藤「石崎君はピンチ面での強さにも定評がありましたがその通りでしたね!」
中西監督「仕方ない。今のを守備に引きずるなよ!」
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斎藤「1点勝負だな。これ以上は失点できん!」
霞「138キロのストレートで本永君を三振!」
武藤「転生は積極的に振って来るので球数が少ないですが8回で最速とは斎藤君もスタミナがありますね!」
霞「天谷君も三振と調子が良いです!」
武藤「確かに今日の斎藤君もノビがありキレがありと調子が良いですね!」
霞「続く兼村君も変化球、変化球、最後は三振と抑えます!」
武藤「中にはボール球もあったしもっと観て行っても良いと思うんでけどね」
吉田「下位打線とは言え凄まじいピッチングだな?」
斎藤「1点勝負だからな。後ろには山中さんもいるしここからは全力投球だ!」
吉田「ちなみに春の1試合奪三振記録は浅野さんと竜崎さんの19個だ! ちなみに夏は竜崎さんの20個だ!」
吉田「ちなみに今、お前は18個だから!」
吉田「そう。春の新記録、3個奪えば甲子園記録更新な!」
まあ、気付いたしここまで来たらやっぱ狙うよな!」
吉田「さすがは斎藤! そう言うと思ったぜ!」
吉田「どうだっけな?」
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霞「試合はいよいよ9回、両投手1失点してますが絶好調で奪三振を量産して行きます!」
霞「そう言えばそうですね。ちょっと待って下さい!」
石崎「斎藤か、ここは抑えさせてもらうぜ!」
斎藤「今は奪三振より石崎から打たなきゃランナーとして出たら後ろの相良さんがきっと打ってくれる!」
石崎「まずはボール球のフォークを振らせたぞ!」
石崎「今日の主審は判定が辛いな。あのコース何だからストライクって言って欲しいよ!」
斎藤(石崎相手じゃ追い込まれると不利だ! 次で打つ!)
霞「3球目フォークをセンター前に打ちます!」
武藤「さすがですね。バッター転向すればプロでも3割打てる打者に成長しそうですね!」
相良主将「さすがは斎藤、この場面で良く打った!」
石崎「ここで相良さんか」
広瀬(石崎の目付きが変わった。スイッチが入ったか)
霞「150キロのストレートでしたが真後ろへのファール!」
相良主将「………………」
霞「惜しい! 風に流されてかファールになります!」
相良主将「速い。球種はストレートか!」
相良主将「好投してる斎藤が出たからな。俺も続かなきゃいかんだろう!」
吉田「玖珂さんの言う通りこの場面で打ちましたね!」
吉田(さすがは俺の目標の人、いつかこの人見たいな打者になるぞ!)
石崎「やれやれ」
石崎「あんなに見事に打たれたら落ち込むどころかむしろスッキリした!」
石崎「フッフッフ!」
石崎「大丈夫だ。むしろ力がわき上がって来る!」
霞「玖珂君が何とか当てますがキャッチャーフライ!」
霞「嵯峨君はフォークを空振り三振し2アウト! ちなみにこれで18個目の奪三振です!」
霞「吉田君もキャッチャーフライで3アウトチェンジ!」
武藤「18個ですか、記録にはならなかったですが凄い数字ですね」
石崎「2人出れば俺がサヨナラを打つんだが」
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斎藤「後3人!」
吉田(来てるな。これなら後2人で終わらせそうだ!)
霞「138キロのストレートで三振と9回になっても球速が落ちません!」
武藤「しかし次は巧打者が続きますからね」
斎藤「後2人!」
霞「ここで八代君が136キロのストレートをセンター前に打ちます!」
武藤「さすがに4打席目だけあって斎藤君にタイミングが合ってきましたね!」
吉田(走ったら俺が刺すからバッターに集中しようぜ!)
斎藤(ああ!)
木下主将「俺も続かんとな!」
斎藤「セーフティバントか!?」
霞「フィールディングの上手い斎藤君でしたが間一髪木下君の足が速くてセーフ!」
武藤「何か嫌な流れになって来ましたね。次の広瀬君がホームラン打てばサヨナラですよ!」
木下主将(後はあの2人に任せるだけだな!)
斎藤(落ち着け! まだ失点した訳じゃない。ここからはランナーよりバッターに集中するぞ!)
吉田(お、おう!)
霞「斎藤君が初球を投げますがここで吉田君が後逸しました。ランナーはそれぞれ2、3塁に進みます!」
武藤「マウンド上の斎藤君より吉田君がピンチに動揺してますね?」
斎藤(気にするな。まだ失点した訳じゃない!)
霞「1アウトランナー2、3塁の場面ですが広瀬君を空振り三振と見事に抑えます!」
武藤「斎藤君はピンチの場面で良く抑えますね! しかし次の石崎君は敬遠でしょうね!」
石崎「気にすんな! ここで俺が決める!」
石崎「敬遠はねえよ!」
吉田「セオリーならここは敬遠なんだが監督からの指示はなしと」
斎藤「ここで逃げたら石崎に負けっ放しになっちまう! 勝負だ!」
吉田「みんな、お前の選択に従うさ。ここまで好投してるからな!」
霞「どうやら敬遠じゃなさそうですね!」
斎藤「絶対打たさん!!!」
霞「なっ!? 入った!? いきなりの初球をフルスイングし打球はバックスクリーンへ!?」
斎藤「………………」
霞「マウンド上の斎藤君、いまだに信じられないのか呆然としています!」
武藤「無理もありませんよ。初球から140キロと限界を超えたストレートをヒットならまだしもホームランですよ!? 私が打たれたならショックで二度と野球出来なくなるかも知れませんよ!? それほどまでに衝撃的な一打ですよ!?」
霞「斎藤君、大丈夫でしょうか?」
武藤「秋でも似た様な事がありましたけど、あの時はバッターとしてのショックでしたからね。ピッチャーとしてのショックとは違いますから心配ですね!」
石崎「まあな」
石崎「斎藤の事を考えるとな」
石崎「今日最高の球をサヨナラホームランにされちまったからな。ピッチャーならショックを受けるのが当然さ!」
広瀬「確かにな」
石崎「あいつはここで終わる奴じゃない。必ずこのショックから立ち直って凄い投手になる!」
しかし俺としてはライバルのあいつにはもっと凄い奴になってもらわんと困る!」
斎藤「す、すみません。偉そうな事言って結果がこれじゃ……」
相良主将「気にするな。今日のお前のピッチングを誰が責められるんだ?」
真田「そう言う事、今日の石崎が凄すぎたんだよ!」
斎藤「それは言い訳にしかならない。あの場面、敬遠をせずに勝負しに行ったんだ絶対打たれちゃダメな場面で
中西監督「打たれずに凄い投手になった奴はいないと言うぞ!」
斎藤「…………か、監督?」
中西監督「今日のお前の様な場面はピッチャーやってたらいつか誰もが辿る道だ!」
斎藤「だけど敬遠すれば勝てたかも知れなかったのに?」
中西監督「何故、俺が敬遠させなかったか分かるか?」
斎藤「それは…………分かりません。俺の事を信じてくれてたからと言いたいですが?」
中西監督「それも間違ってはいないな。だがな俺はあの場面では抑えても打たれてもお前の成長に繋がると思ったから投げさせたんだよ!」
斎藤「俺の成長?」
中西監督「並の投手ならあの場面でサヨナラ食らえばショックで壊れるかも知れない。だけどお前ならきっとそれをかてにして成長する。そう思ったんだよ!」
斎藤「…………正直、俺には自信がありません」
真田&吉田「………………斎藤」
斎藤「だけどこのまま終わりたくはありません!」
中西監督「ああ!」
真田「斎藤、本当に大丈夫かな?」
相良主将「同じ経験をしてる監督が隣にいれば大丈夫さ!」
吉田「監督も同じ経験?」
相良主将「ああ。だから大丈夫さ!」