第23章 斎藤VS村雨、宿命の準決勝戦

−1995年 7月 中旬−
1回戦では苦戦したが2回戦以降はコールド勝ちを続けて行き波に乗った赤竜高校、いよいよ準決勝戦に突入する。
中西監督「さてといよいよ準決勝戦だ。相手は力を付けて来た風雲高校だ」
真田「村雨君の居るところだね」
斎藤「ああ」
吉田「甲子園のキップが手に入る準決勝で対戦とはな」
斎藤「こっちも負ける訳には行かない」
中西監督「基本的に2年生が中心の部員の少ないチームだ。しかしチームプレーが良く守備の上手い選手が多いので楽観は出来ない」
相良主将「それで相手の先発は?」
中西監督「確か伊藤だったな。キレるHスライダーが注意だな。総合的に見てそれほどでもない投手と言うイメージだったからな」
斎藤「打線はどうなんですか?」
中西監督「打線もそれほどでもなかったな。村雨や山根、足では戸倉が要注意かな。ツメをしくじらなければどうとでもなりそうな打線だな」
相川「評価は低いですね」
中西監督「まあな。まとまりは良いんだが打線にしろ投手にしろ一枚足りない感じがする。さっきも言った様にツメをしくじらなければ問題ないと思う」
吉田「それでも準決勝まで勝ち上がって来てますから油断はできませんね」
中西監督「そうだな。基本的に先発をノックアウトすれば代わりはいないから」
相良主将「出来るだけ球数を多く投げさせるですね」
中西監督「と言う事だ!」
全員「分かりました!」

氷室監督「秋に続いて夏もここまで来たか」
村雨「そんな事よりスタジアムの見学に行っても良いですか?」
戸倉主将「後にしなさい」
村雨「は〜い。残念ですな〜」
氷室監督「俺は修学旅行の引率の先生か?」
山根「似た様な物かと」
氷室監督「俺の平穏が来るのはまだまだ先なんだな」
村雨「俺がキャプテンになったら笑って踊って歌える野球選手だらけですね。楽しみだな♪」
2年生「やっぱり、こいつがキャプテンになるんでしょうか?」
戸倉主将「候補ではこいつが筆頭かな。練習態度はマジメとは言えんかも知れんが実力はあるし少なくとも試合では信頼できるだろう」
2年生「打って良し守って良しですからね。納得は出来るけど出来ないんですよ!」
山根「訳分からん」
2年生「そうです。理解不能な奴がキャプテンで良いのかそれが重要なんです!」
戸倉主将「まあ、その時が来て不満だったらお前達の誰かが代わりを務めてくれ」
村雨「人気者にはやっかみも付き物だよね」
山根「相変わらずポジティブな奴だ」

−地方大会準決勝戦 横浜スタジアム−
2年 真田 和希
後攻 先攻
赤竜高校 風雲高校
投手力 機動力 投手力 機動力
打撃力 守備力 VS 打撃力 守備力
意外性 経験値 意外性 経験値
総合力 総合力
戸倉 漣 3年
1年 相川 正人 石田 勉 2年
2年 斎藤 一 村雨 剣 2年
3年 相良 京一 山根 信広 3年
3年 玖珂 良雄 小見山 敏 3年
3年 嵯峨 蓬 吉岡 勇治 2年
2年 吉田 毅 中村 知典 1年
3年 安達 正孝 後藤 友一 1年
3年 伊沢 樹 伊藤 義人 2年

放送席
霞「試合もいよいよ準決勝戦、勝った高校は甲子園へのキップが手に入ります」
武藤「それもですが、どちらが斉天と戦えるかでも盛り上がるんじゃないですか」
霞「赤竜高校は夏、秋の決勝で斉天大附属に敗退しております。風雲高校も秋の準決勝戦で敗退しております。そして昨年の夏では両校は1回戦で当たって赤竜高校が勝利しています」
武藤「いっぱい因縁があるんですね。ちなみに昨年は言い忘れたんですが私は斉天でエースをやってたんですよ!」
霞「そう言うのって決勝で言った方が盛り上がりませんか」
武藤「今、思いました。そう言えば今年も決勝ではサプライズゲストってあるんですか?」
霞「今、適当な相手に交渉中らしいです」
武藤「適当な相手がゲストって?」
霞「そんな事は置いといて7−3で赤竜が勝つと噂されている準決勝戦が始まります!」
武藤(そんな事ってゲストに呼ぶ人がこれを聞いてたら来なくなりそうだな)
霞「番狂わせはあるんでしょうかね?」
武藤「え、えっと、そうですね。面白い試合になると良いですね!?」

1回表 赤0−0風 いよいよ準決勝戦に突入!
斎藤(1番は俊足巧打の戸倉さんか)
吉田(昨年の夏は大した事はなかったが秋から急激に成長したんだったな)
斎藤(ああ。真田と同じタイプだからな塁に出すと面倒そうだ!)

パシッ! シュッ!
戸倉主将「良し!」

霞「平凡なサードゴロになるかと思いましたが間一髪セーフ! 記録は内野安打です!」
武藤「うーむ。嵯峨君の守備が下手でもありますが、それより戸倉君のあの足は凄いですね」

吉田(走って来るかな?)
斎藤(十中八九走って来るだろうな。問題はいつ走るかだな?)
吉田(真田なら初球からガンガン走るんだけどな)
斎藤(さすがに初球はないだろうが一応ストレートでストライクを取りに行くぞ!)
吉田(分かった!)
斎藤(シュッ!)
戸倉主将(良し! タッ!)

霞「初球から走った!」

吉田「何!?(行けえ! シュッ!)」
戸倉主将(ザザッ!)
相川(パシッ! 際どいなあ。判定はどっちだ!)

霞「判定はセーフです!」
武藤「どっちとも取れそうな盗塁でしたが判定はセーフですか」

戸倉主将(ストレートとは危なかった。三盗は止めとこ)
吉田(どうせ俺の肩はそこそこだよ)
斎藤(誰も言ってないし、まあ、さすがに三盗はないだろうしバッターに集中するか)

ガキッ!
石田「バント失敗」

霞「続く石田君はバント失敗で2アウト! しかし次の打者は全国区のバッターとも言われている村雨君です!
武藤「守備勘が良く守備だけならあの風祭君よりも上と言われていますね。そして打撃も勝負強く風雲高校の中では歴代最高の打者とも言われています」
村雨「ふっふっふ♪」
斎藤「得点圏でこいつか、味方の時は頼もしかったが敵となるとやっかいだな」
吉田(あの斎藤が苦手扱いなのがこの村雨か、そう言えば夏にはホームラン打たれてたな)
村雨「やはり初球ストレートかもらった!」

カキ―――ン!
斎藤「抜かせるか!(パシッ! シュッ!)」
戸倉主将「なっ!?」村雨「なんとっ!?」

霞「頭上を抜けるかと思われた打球でしたがジャンピングキャッチしそのまま空中で体勢を変えて二塁に投げて飛び出していた戸倉君は帰塁できずチェンジです!」
武藤「とんでもないプレーですね。プロでもあんな事できるのは…………そう言えばルーキー時代の浅野君が一度見せましたっけ打球反応の魔術師とか呼ばれてましたね。どっちにしろ人間離れした身体能力ですね!?」

村雨「そう言えば昔から斎藤って気持ちが昂ぶるとたまにああ言うとんでもないプレーをしたっけ!?」

吉田「凄えな。もう一回出来るか?」
斎藤「絶対無理、何か絶対負けたくないって思ってたら飛んでたな。あんなプレー狙っては出来ないし」
吉田「ま、そうだよな」

1回裏 赤0−0風 いきなり斎藤のとんでもプレーが出てチェンジとなった
伊藤「ぬぉっ!」
真田「ふっ!」

カキ―――ン!
霞「打球は右中間真っ二つ! 打った真田君は三塁に到達しました!」
武藤「打ったのはスラーブですね。初めて見る変化球を良く打てましたね」

真田「いやあ、あの程度のスピードなら当てる事は出来ますよ!」
吉岡「誰に言ってるんだ?」
真田「さあ?」
吉岡「誰かさんにソックリだな(ジ〜!)」

村雨「むう。何処からか視線が、ふっ、モテる男は辛いな〜♪」

コツンッ!
霞「おっと初球からスクイズだ!」

吉岡「しまった出遅れたってランナーはいつの間にかホームに走ってるし!?」
真田「すまぬが1点はもらいましたぞ!」
石田「はあじゃなかった吉岡、早くファーストに投げろ!」
吉岡(パシッ! シュッ!)
相川(タッ!)

霞「出遅れたが懸命にファーストに送球します。しかし相川君の足が一足速くセーフで赤竜高校が1点先制します!」
武藤「風雲高校は守備に定評がありましたがらしくないプレーが出ましたね」

伊藤「斎藤か、ピッチャーで3番とは生意気な!」
村雨「中学では4番を打っていたけどね」
伊藤「エースで4番とはますますむかつく!」
石田「どうどう、落ち着いて」
村雨「大丈夫、斎藤だって10割打てる訳じゃないんだから」
石田「そうそう。村雨の言う通りだ!」
伊藤「だあ―――最初から負けるのが確定見たく言うんじゃねえ!」
村雨&石田「すまん」

カキ―――ン!
村雨(パシッ! シュッ!)
相川「ちょっと何でファーストがこんなところに!?」

霞「これは1、2塁間を抜けるかと思われましたが村雨君が2塁よりに守っていた為に併殺となりました!」
武藤「つうか良くあんな後ろのセカンドよりに守れますね。ファーストにセーフティバントすれば長打になりますよ!」
霞「武藤さんの疑問も分かりますが、これが天才と言われる村雨君の守備勘です!」
武藤「天才か馬鹿か難しいですね。この守備に関しては天才なんだろうけど」

斎藤「すみません」
相良主将「今のは仕方ないだろう。そう言えば夏も打ちまくった時にあいつの好守備でチェンジにされたな」
斎藤「どうもあいつとは相性が悪そうです」
相良主将「ふっ、1回にダブルプレーにしたとは思えんな」
斎藤「我ながらどうやったか覚えてないんですが? とにかく1、2塁間は避けた方がヒットになる可能性は高いです。いや相良さんなら思いっ切り引っ張ればスタンドですよ。さすがの村雨もスタンドの球は捕れないと思いますから?」
相良主将「疑問形になるところが村雨の恐ろしさだな」
斎藤「ですね」

石田(問題はこの人だな。ランナーが居れば敬遠だけど、2アウトだからな勝負に行くか、と伊藤の性格からして敬遠には頷かないか)
伊藤「ぬおっ!」

カキ―――ン!
霞「初球から振って打球はスタンドを越えて場外へって!? この球場で場外ですか―――!?」
武藤「まあ、相手ピッチャーにもよりますけど、ひょっとしたらベイスターズの4番のジャクソンよりもパワーは上かも知れませんね」
霞「さすがは今年のドラフト候補ですね」
武藤「いえ、ここまで評価の高いドラフト候補は過去にも居ないかと、とにかく凄いパワーとしか言えませんね」

斎藤「難なく打ちましたね!?」
相良主将「言うほど簡単じゃなかったさ。良い高速スライダーを投げて来たけどな。もう一度芯でとらえられるかと言われれば自信はないな」
斎藤(セリフと違って表情は自信満々だな。こりゃ来年のペナントでは新人がいっぱい活躍しそうだな)

伊藤「この俺の高速スライダーが!? そんなバカな―――!?」
石田「落ち着けってコースが悪かったし今のは仕方ないって」
村雨「そうなの?」
石田「うむ(実はそんなに悪いコースでもなかったんだが)」
伊藤「リベンジだ!」
石田「おう」

嵯峨「うらっ!」

ブ―――ン!
霞「5番の玖珂君を歩かせましたが続く嵯峨君は三振と何とか2失点に抑えます!」
武藤「しかし嵯峨君は昨年の夏以降活躍してない感じですね」
霞「高校通算打率2割で得点圏打率は1割と確かに活躍はしていませんが1点の欲しい試合では結構打ってるらしいです」
武藤「へえ。三振してるところしか観ていない感じなんですけどね」

2回表 赤2−0風 赤竜が2点を先制
斎藤「たあっ!」

ズバ―――ン!
山根「かすりもしないとは!?」

霞「試合も2回に入りました。先頭の山根君はかすりもせず三球三振です。こうして見ると斎藤君はムダ球を放らないタイプですね」
武藤「ええ。1順目はいつもこんな感じだと思います。バランスの取れたところは無明実業のエースの天野君に似ているかも知れませんね」

斎藤(これでとどめだ!)

ズバ―――ン!
小見山「速いな」

霞「最後はインハイ高めのボール球を振らせます!」
武藤「5番の小見山君にはボール球を投げてますね。結論は良く分からんピッチャーですかね?」

カキ―――ン!
斎藤&吉田「なっ!?」
吉岡「あれ?」

霞「―――入りました。フルスイングの吉岡君、三振かと思われましたが追い込まれてからライトスタンドに叩き込みました!」
武藤「うーん? 思っていた以上に手元でノビて来た為でしょうか速めにスイングしてドンピシャでとらえましたね」

村雨「やりましたな(ボコッ! バキッ!)」
吉岡「だあ!?痛いっての!」
村雨「いやーあの斎藤から打つなんてさすがは次期4番!」
吉岡「まあな(実際マグレだけどな)」

斎藤「………………」
真田「落ち着いて行こう!」
斎藤「ああと言うか何でお前がここに居るんだ?」
真田「たまにはこう言うポジションも良いかなと♪」
斎藤「はあ、落ち込んでたんだが何かバカバカしくなって来たな」
真田「そうそう、笑う門には福来たるって言うじゃないか!」

ガキッ!
相川(パシッ! シュッ!)
中村「ミートするのがやっとだよ」

霞「続く中村君は普通のセカンドゴロで3アウトチェンジです!」
武藤「吉岡君に打たれた後でしたが、続く中村君を簡単に打ち取る当たりはさすがですね」
霞「しかしこの回、風雲高校が1点を返しました!」

2回裏 赤2−1風 吉岡の一発で風雲高校が1点を返した!
伊藤「ぬぉっ!」

ククッ!
吉田「1打席目でこれはちょっと打てないな」

霞「まずはHスライダーで吉田君を三振に抑えます!」
武藤「やっぱり外に逃げてくあのスライダーは振ってしまいますね。次の安達君は左ですから内角に来るスライダーをどう打つのか楽しみですね」

伊藤「怒りの鉄槌!」

ククッ!
安達「良いところなしですな」

霞「楽しみとか言う前にかすりもせず結果は三振です!」
武藤「ミートの良いバッターなんですけどね。今日は調子が悪いのかな?」

伊藤「とおっ!」

ククッ!
伊沢「フォアボールを期待したんだがダメだったか」

霞「続く伊沢君も三振と三者三振に抑えます!」
武藤「やはりあの手元でキレるHスライダーはプロ並みですね!」

伊藤「これが俺の実力だ―――!!!」
石田「下位打線だったからな。次の真田はやっかいそうだしあんまり慢心しない方がってあははは聞いてないし」

3回表 赤2−1風 伊藤が三者三振と見事に抑える
斎藤「良し!」

ククッ!
後藤「凄えカーブ!?」

霞「最後はカーブで三振に抑えます!」
武藤「つうか今日、初めての変化球ですね」

ガキッ!
伊藤「スライダーだと!?」
吉田(マウンドでもボックスでもリアクションが激しい奴だな)

霞「続く伊藤君はスライダーを打ち上げ2アウト!」
武藤「スライダーは平凡ですね。まあ、球種が増えた分、狙い球をしぼりにくそうですが」

斎藤(この人は塁に出さない!)

ズバ―――ン!
戸倉主将「………………へ?」

霞「最後はアウトローギリギリのストレートで見逃しの三振!」
武藤「140キロであのコースは手が出ませんね。初回での借りを返す見事なピッチングです!」

吉田「ナイスピッチング!」
斎藤「ああ。肩も温まって来たしこの調子を維持するぞ!」

3回裏 赤2−1風 斎藤も負けずと三者凡退に抑える

カキ―――ン!
伊藤「また打たれた!?」
真田「ふははは、絶好調!」

霞「2打席連続ヒット! 打った真田君は二塁へ!」
武藤「珍しくと言うか初めて真田君の流し打ちを見ましたね。今日は本当に調子が良さそうです!」

カキ―――ン! パシッ!
霞「ファーストの頭を越えるかと思いきや村雨君は相川君が打つと共に後ろへダッシュし捕りました。しかし盗塁を決めて3塁に居る真田君はタッチアップ!」

ビュ―――ン! パシッ!
霞「際どいですが判定はアウト!」

真田「そんな嘘でしょう。嘘と言って下さい!」
相川「師匠、まずいです。あんまり審判に突っかかると」
真田「そんなバカな僕の足が負けるなんて!?」

霞「思わず審判に意見した様ですが判定は当然覆りません。これで一気に2アウトとなりました!」
武藤「高校野球では審判は絶対ですからね。しかし真田君は好走塁を見せましたからその気持ちも分からなくはありませんよ!」
霞「しかし村雨君の好返球も見事でしたね」
武藤「そうですね。真田君の足と村雨君の守備は村雨君の方がやや分があった様ですね」
村雨「イエーイ!」

霞「その村雨君ですがテレビカメラに向かってVサインをしています!
武藤「ちょっとお調子者ですがその実力は凄いですね」

真田「殺っちゃって良いから!」
斎藤「目が怖いぞ」
真田「村雨君に天誅を!」
斎藤「(思いっきり個人的恨みだろうが)どっちにしろ無理だ。あいつは無茶苦茶反射神経が良いんだよ。どんな打球でもキャッチするしどんな体当りでも避けるぞ(つうか避けるのは状況によってはこっちの得にもなるな)」
真田「なるほど(それじゃデッドボールも避けられるのか)」
斎藤(目が怖いし何かおっかない事を考えてるな)
真田「良し百万歩譲って次の村雨君の打席では三球三振に仕留めたまえ!」
斎藤「分かった。努力する(百歩じゃなく百万歩ってところが真田らしいな)」

カキ―――ン!
伊藤「うっぎゃ―――!?」

霞「追い込まれてからアウトコースへ逃げて行くHスライダーを投げますが打ち返しバックスクリーンに運びます!」
武藤「やっぱりミートだけでなくパワーも高いですね。相良君が居なければ1年の頃から普通に4番を打ってたんでしょうね」

斎藤「これでどうだ!」
真田「村雨君はダメージ0みたいだけど」

村雨「さすがに飛距離は敵わんなそれでこそ俺のライバルだ!」

斎藤「何で打たれて笑ってるんだ?」
真田「ライバルが凄いと感じた瞬間は自分の喜びでもあるんだよ!」
斎藤「なるほど(何か知らんが真田の機嫌も直ったみたいだし良かった良かった)」

カキ―――ン!
伊藤「うぎゃぎゃぎゃ―――!?」
相良主将「良し!」

霞「初球ボール球でしたが迷わずストレートを打ちライトポール直撃のソロホームランとなりました!」
武藤「2打席連続ですか、ひょっとしたら天野さんの高校時代よりも上かも知れませんね」

斎藤「自信ないとか言ってたわりには2打席連続本塁打ですか?」
相良主将「ボール球とは言え力のないストレートだったからな。お前の一発がよっぼど堪えたんだろう」

カキ―――ン! パシッ!
玖珂「ちっ」
村雨「イエーイ!」

霞「村雨君がジャンピングキャッチし3アウトチェンジ!」
武藤「相変わらず凄い反射神経ですね。足が速く肩も良く守備範囲も広いんですから外野かショートを守っても良いと思うんですが?」
霞「それは分かりませんが、とにかくこれで3アウトチェンジです。この回に赤竜高校が2点追加しました!」

4回表 赤4−1風 2者連続本塁打で3点差へ

スト―――ン!
石田「打てないな」

霞「まずは先頭の石田君を三振に抑えます!」
武藤「フォークも昨年より上ですね!」
霞「そして次のバッターは巧打者村雨君です。1打席目はダブルプレーに倒れましたがこの打席ではどうなるのか?」
武藤「結果はあれでしたが1打席目も芯に当てていましたし風雲高校では一番やっかいなバッターですね」

斎藤(そう言えば真田に言われたっけ、しかし村雨を三球三振ってのはきついな)
村雨(全球ストレート狙いで行くかな?)

ククッ!
斎藤(良し!)
村雨「いきなりど真ん中にカーブか―――むう」

霞「まずは初球真ん中にカーブが決まります!」
武藤「真ん中ですか、確かに村雨君も真ん中はあんまり打ててない感じがしますけど、初球から危険なボールを投げますね」


ガキッ!
斎藤(真後ろにファールかよ!?)
村雨(うーん、分かってたけど速度差がやっかいだな。次もストレートなら打てる自信はあるんだけど、ここは慎重にボールだろうな)

霞「2球目はインハイのストレートを真後ろにファールします!」
武藤「単純ですが変化球の後のストレートは速く見えてとらえにくいんですが真後ろにファールするとはさすがですね!」

斎藤(シュッ!)
村雨(閃いた! 次は3球勝負でストレートだ!)

ズバ―――ン!
村雨「ありゃ?」

村雨の予想通りストレートだったが予想以上に伸びて来た為に結果は空振り三振に終わる。
霞「最後はアウトコースのストレートで空振り三振! 球速は142キロを記録しました!」
武藤「やっぱり良い投手ですね。同世代では最高のピッチャーと言われる石崎君よりも総合力では斎藤君の方が上かも知れませんね」

真田「ナイスピッチングだよ。斎藤!」
斎藤「ふう。これで何とか機嫌は直ったかな。あいつ今日当たってるからな。これで調子を維持してくれれば良いんだけど」
村雨「やっぱり追い込んでから来るボールは凄いな。今度はそれも踏まえて打たないとな」

ククッ!
山根「予想より変化する!?」

霞「続く山根君もカーブで空振り三振とこれで4連続三振!」
武藤「エンジン全開って感じですね。これはもう点が入らないかな?」

吉田「これなら9回の前にコールドで終わるかな?」
斎藤「そう言うセリフは打ってからにしてくれ」
吉田「ううっ、どうせ1打席目は三振でしたよ」
斎藤「いや、次の打席で打ってくれと言いたかったんだが」

4回裏 赤4−1風 斎藤は絶好調?現在4連続三振中!

ガキッ!
嵯峨「見たか!」

霞「珍しく嵯峨君がショート後方にヒットを打ちます!」
武藤「霞さんのセリフに突っ込む前に凄い怪力ですね。あんな打ち損ないで普通はショートの頭を越えませんよ!?」

伊藤「ツイてない気がするんだが?」
石田「気のせいだ。頑張れ!(確かに今日は運気が悪い様な)」
伊藤「そうだな」

吉田「嵯峨さんが出たか、俺も続くぞ!」

カキ―――ン!
伊藤「………………」
吉田「おっし!」

霞「ここで吉田君の2ランホームラン! 赤竜高校はこれで4ホーマーと打線が爆発します!」
武藤「準決勝だから接戦になると思っていたんですが赤竜が圧倒してますね」

氷室監督「もう限界かな?」
伊藤「まだ投げれますよ」
石田「それにエースの伊藤が通じないのに控えじゃとても」
氷室監督「うむ。仕方ない。もう少し様子を見るか」
伊藤「抑えるぞ!」

ガキッ!
霞「吉田君にホームランを打たれた物の後続の安達君と伊沢君は打ち取りこれで2アウト!」
武藤「ガムシャラに抑えている感じですね。もうスタミナは限界に近いかと」

バコッ!
真田「痛い!?」
伊藤「げっ!?」

霞「安達君と伊沢君を抑えた物の真田君にはデッドボールと武藤さんの言う通り限界が近そうです」
武藤「風雲高校は選手層が薄いですからね。伊藤君に代わる投手が居ないんでしょうか?」

相川(もう伊藤さんは限界だし粘らずにあまい球が来たら積極的に打って行こう!)

カキ―――ン!
伊藤「クソッ!」

霞「流し打ちで打った相川君は一塁ストップ! 真田君は三塁まで走ります!」
武藤「無茶な走塁をしますね。送球がそれなければアウトでしたよ!」
霞「やはりと言うべきでしょうか、ここでピッチャー交代です。代わったのは同じく2年の長谷川君ですね」

長谷川「………………」
石田「落ち着いていけ相手は同じ2年だ」
長谷川「………………」
石田「ダメだ。全然聞こえてない」

吉岡「大丈夫なんですかあいつで?」
氷室監督「仕方ないだろう。あいつ以外に投げれる奴は居ないんだから」
村雨(キャプテンになったら投手陣を補強しかなきゃダメか斎藤とか転校させれないかな)

斎藤「どんなピッチャーなんですか?」
中西監督「分からん」
斎藤「風雲高校も偵察したんじゃ?」
中西監督「したがあんなピッチャーは知らん。多分、先発よりレベルは低いだろうからあまい球が来たら初球からガンガン振って行け!」
斎藤「はい」

霞「2アウト1、3塁と言うピンチで迎え打つのは巧打者と言うか強打者斎藤君です!」
武藤「わざわざ言い直さんでもところで長谷川君ってどんなピッチャーなんですか?」
霞「知りません」
武藤「資料とかは?」
霞「長谷川君は公式戦には初出場っぽいんでないんじゃないですか?」
武藤(ぽいって、ま、いまさらか)

ククッ!
斎藤(カーブか、まあまあ変化するな)
石田(何とか入ったか)
長谷川「………………」

霞「とお喋りしている間に1球、カーブでしょうか? を投げて1ストライク!」
武藤「インコースへのカーブですね。まあ、高校生としては良いカーブですね!」

カキ―――ン!!!
長谷川(ビクッ!?)

霞「凄まじい当たりが突き刺さりましたがファールです!」
武藤「しかし170センチと小柄なのに凄いパワーですね!?」
霞「ですね。しかし野球は身長ではありませんが兄の自論です!」
武藤「はあ? って白銀って170後半はあったと思うけど?」
霞「昔は小さかったんです。良く身長の事でケンカして帰って来ました!」
武藤「ふーん、そうなんですかって貴方の家庭はどうでも良いんですよ。マウンド上の長谷川君は放心状態ですね」

長谷川「………………」

霞「最初からあんな感じだったと思いますけど」
武藤「確かにそうかも」

斎藤(ストレートは130キロも出てないな。もっと待って振らないとな!)

カキ―――ン!
長谷川(ビクッ!?)
真田「(タッ!)イエーイ!」

霞「右中間真っ二つ真田君はテレビカメラに向かってピースで返りました。続く相川君も返り打った斎藤君も三塁に到達!」
武藤「本当に凄いパワーですね!」
霞「これでこの回は4点目、そして次の打者は相良君ですが―――敬遠の様ですね!」
武藤「そうですね。2アウトだと満塁の方が守りやすいですし次の玖珂君も敬遠ですかね!」
霞「武藤さんの言う通り玖珂君も敬遠ですね。迎える打者はこの回の先頭打者嵯峨君です!」
武藤「打者1順したんですね。ところで8対1ですが、コールドってあるんですか?」
霞「ええ。試合が5回まで終わって10点差以上ならコールドですね!」
武藤「ここでサヨナラにはならないんですね。でもここで10点以上で次の表でも打てなければ終わるのか」

中西監督「嵯峨は満塁では13打数ノーヒットか」
嵯峨「いやいやいや、14打席目で打てるかも知れないじゃないですか?」
中西監督「自信あるのか?」
嵯峨「そんなもんない!」
中西監督「じゃあ代打な!」
嵯峨「いやいやいや、自信はないですが宝クジは買って見ないと分かりませんよ!」
中西監督「俺としては1等じゃなくても3等でも5等でも良いんだが」
嵯峨「いやいやいや、勝負師の監督らしくありませんよ!」
中西監督「別にホームランじゃなくてもヒットで点が入る打ち損ないでも相手がエラーすれば1点入るしやはりここは勝負師としたら代打だな!」
嵯峨「すみません。自信はないけど打たせて下さい! ああ言うのは打率を稼ぐカモですから!」
中西監督「そう素直に言われたら断りにくいな。それと相手に聞かれると怒られるからそう言う事は小声か頭の中だけで言え」
相川(監督も何気に酷い事に同意してるな)
嵯峨「うっす。ちなみに代打は誰を予定ですか?」
中西監督「あ、ああ。松野だけど」
嵯峨「松野か―――お前、確か前の試合では自打球くらったよな!」
松野「ああ。けど別に痛くは…………ない……しそうですね。次は決勝ですし念の為に今日は休ませてもらいます!」
中西監督「じゃあ他の」
全員「……………………」

全員がいっせいに目を逸らす。
中西監督「分かった。嵯峨、お前が行け!」
嵯峨「運が良ければ追加点が入ると思います!」
中西監督「凄え頼りない言葉だな。そうだ2ストライク取られるまでは振るなよ!」
嵯峨「多分、振らないっす!」
中西監督「いや、多分じゃなくてなって聞けよ!?」

中西監督の言葉を聞かずに打席へと向かう。正確にはもう相手の事だけが頭に入ってて他の事は頭に入らなくなっているのだが
全員「ほっ、これであの殺意の視線から開放される」

カキ―――ン!
全員「…………………………………………」
嵯峨「うむうむ!」
中西監督「うーむ。目が悪くなったかな。スコアボードに8と言う数字が?」
嵯峨「ひどっ!?」
相川「か、監督」
中西監督「すまんすまん。起こった事がいまだに信じられなくてな」
玖珂「その気持ちはよーく分かります!」
嵯峨「くぅがぁ!!!」
玖珂「じゃあ、逆に聞くが満塁で打った事あるのか?」
嵯峨「………………初めてが満塁本塁打とはさすがは俺だ。ふふふ、相良からグランドスラムの称号を手に入れてやるぜ!」
相良主将「はあ」
吉田「えっと、あの様子じゃ高校からじゃなさそうですね。嵯峨さんっていつから野球始めたんでしょうか?」
嵯峨「小学4年くれえかなってもその時はただの草野球だったけどな」
吉田(満塁の通算打率って0割いくらなんだろう?)

石田&長谷川「すみません」
村雨「気にしない気にしない。とりあえずバッターを抑えて次の回で点を取ろうね!」
全員「そうだな」
氷室監督(まずい。もう気持ちが切れ掛かってる)

カキ―――ン! パシッ!
村雨「ナイスファインプレー!」
吉田「マジで守備がうまいじゃねえか!?」

霞「1、2塁間を抜けるかと思いましたが村雨君が横っ飛びでアウトにします!」
武藤「守備もですが、まだまだ諦めていないって言うああ言うプレーは良いですね!」
霞「ですね! しかしこの回に赤竜高校が8点を追加しました!」

村雨「おっしゃ! 逆転と行きますか!」
全員「逆転って11点差だぞ!?」
村雨「何言ってんの? 相手は1回で8点取ったんだよ。僕たちだって負けずに16点くらい取れば良いじゃないか!」
全員「ってもなー」
石田&吉岡「ぷっ、あっははは!」
全員「って何だよ?」
石田「ムダだよ。本気でそう思ってるんだから」
吉岡「そう言う事だな」
全員「けど11点差だぞ!?」
戸倉主将「やれやれ、後輩がギブアップしていないのに俺がする訳には行かないな!」
全員「キャプテン?」
山根「つうかさ。お前ら、あいつと付き合い長いだろう。だったら分かるだろう」
小見山「だな」
全員「ああ、もう分かりましたよやれば良いんでしょうが!」
戸倉主将&山根&小見山「おう!」
全員「まったく(そうだよな。最後の夏の先輩達が諦めていないんだ。次がある俺達が諦めて良い訳がない!)」
氷室監督「…………」←感動して泣いてるらしい

5回表 赤12−1風 一気に11点差と赤竜打線が爆発!
霞「試合も5回表、12対1と言う大差でこの回、10点差以上ならコールドが成立します!」
武藤「つまり最低でも2得点しなきゃ終わりと言う事ですね」
霞「そして先頭打者の5番、小見山君が打席に向かいます!」

小見山「と言ったところで斎藤から打つのは至難の業だ。どうするか?」
村雨「と思ってアドバイスです! ミートに集中、来たボールを全身の力を集中させて振り抜く!」
小見山「いつの間に!?」
村雨「って聞いて下さいよ」
小見山「ちゃんと聞いたよ『ミートに集中、来たボールを全身の力を集中させて振り抜く!』だろう…………ん?それって神業じゃないか!?」
村雨「大丈夫です。斎藤のボール相手じゃ神業ってほどではありません!」
小見山「どっちにしろ難しいよ!?」
村雨「当然です。楽に打てる方法なんてありませんから!」
小見山「くっ! 正論だな。とにかく集中だな!」
村雨「はい!」

斎藤(長打力も高いしミートも上手い打者だな。アウトかインか)

ズバ―――ン!
小見山「やっぱり速い。しかしそれよりノビが凄まじいな!?」

霞「初球は真ん中のストレートを空振りし1ストライク!」
武藤「ノビのある速いストレートと言うのは分かってても打てないものですからね!」

ガキッ!
斎藤&吉田「!?」
小見山「痛っ!?」

霞「これは自打球ですね。足に当たって痛そうです!」
武藤「しかしタイミングは合ってましたね!」

小見山「痛いがタイミングは合ってたな。もっと集中しないと!」

カキ―――ン!
相川(タッ! パシッ!)
小見山「なっ!?」

霞「センターに抜けるかと思いましたがここで相川君のファインプレーが出ます!」
武藤「赤竜高校って昔から二遊間は守備の上手い選手が多かったんですが今年も見たいですね。バッティングセンスに守備センス、どちらも1年とは思えませんよ!」

斎藤「サンキュー!」
相川「いえいえ。それより後続に注意した方が良いですよ。さっきの円陣で雰囲気が変わってますから」
斎藤「分かってる!」

小見山「すまん。後は頼む!」
吉岡「はい!」

霞「これで1アウトとなりました。次のバッターは今日ホームランを打ってる吉岡君!」
武藤「長打力は山根君に匹敵すると言う話です!」

斎藤(さっき見たいに簡単にストライクを投げるとスタンドに運ばれる危険性がある。ここは慎重に行くぞ!)

ズバ―――ン!
吉岡「………………」

霞「珍しいですね。初球から積極的に振って行く吉岡君ですが初球を見ました?」
武藤「緊張してる感じではないですね。ここはコールドを消す為にもまずは塁に出る事を考えてるんでしょうか?」

ククッ!
吉岡「………………」
斎藤(まいったな。全然振って来ない。どうするか)
吉田(って歩かせるのかよ!?)

霞「うーん、斎藤君には珍しくストレートのフォアボールでランナーが出ます!」
武藤「1打席目のホームランを引きずってるんですかね? 斎藤君らしくないのが引っかかりますけど」

氷室監督「これはチャンスと見ていいのか?」
戸倉主将「ランナー出たんですからチャンスでしょう!」
村雨「幼馴染のわたくしめが説明しますと斎藤の勘ですね。吉岡と対決するより歩かせた方が良い。何より塁に出たところでこの大差、1点取られたところでどうって事ないってみなさん、どうしたんですか?」
全員「……………………」
氷室監督「何より塁に出たところでこの大差ってのがよっぽど堪えたんだよ」
村雨「あくまで一般論ですよ。僕たちには関係ない事ですよ!」
戸倉主将「まあいい。それで次は中村か」
中村「何とかヒットを打ってみます!」
村雨「いけーいけー中村君!」
中村「はい」

ガキッ!
全員「バカ!?」
嵯峨(パシッ! ビュ―――ン!)
相川「?」
全員「バカ!?」

霞「うーん、平凡なサードゴロだったんですが併殺にするのにあせったんでしょうか、嵯峨君が暴投します。しかし俊足の真田君が捕りランナーは1、2塁!」
武藤「相変わらず嵯峨君は最後まで盛り上がらせますね!?」

全員「……………………」
村雨「どうしたの?」
全員「いや、サードゴロになった時に心臓が止まりそうになっただけだ!?」

嵯峨「すまん」
斎藤「まあ、大差ですしランナー返った訳じゃないですから良いですよ」
玖珂「あまいな。ま、こいつのエラーはいつもの事だし気にするな」

ズバ―――ン!
霞「続く後藤君は空振りの三振! これで後1人!」
武藤「次はピッチャーの長谷川君ですが、代打ですかね」
霞「その様です。ここで長谷川君に代わってピンチヒッター河村君です!」

氷室監督「ミートする事だけを考えろ! 当てたらトップスピードで走れ!」
河村「はい!」

斎藤(監督の話じゃ足の速い打者だったな)

カキ―――ン!
霞「初球から振って来た。三遊間を抜けるか?」
安達「行かせるか!」

パシッ!
河村「あっ?」

霞「捕った! 三遊間を抜けるかと思われましたがここで安達君のファインプレーが出ました!」
武藤「ゲームセットですかあれ? 風雲高校が守りについてますよ!」
霞「ちなみに先ほどのコールドですが、準決勝と決勝はコールドはありませんので9回まで行きます!」
武藤「はあ!?」
霞「と言う訳で5回裏に突入です!」
武藤「まだ続くんかい!?」

9回裏 赤16−3風 そして試合もいよいよ終わり
霞「しかし試合もいよいよ9回裏、斎藤君が2アウトまで追い込んでラストバッターとなるか村雨君!」
武藤「長かった。本当に長かった」

斎藤(これで終わりだ!)

ガキッ!
村雨「残念、負けましたな」

霞「最後はピッチャーフライ、今、斎藤君がキャッチし試合終了! 終わって見れば16対3と赤竜高校が大差で勝利しました!」
武藤「ええ。終わって見れば赤竜が圧倒でしたね。風雲高校もあの斎藤君から3点と頑張りましたよ!」
霞「そしてもう1つの準決勝ですが今年も斉天大附属が勝つんでしょうね」
武藤「ええ。順当に行けばそうなるんでしょうね。高須君や嘉神君が居ますし今年も強いですから」

喫茶店MOON
真田「と言う訳で今年も甲子園出場権を手に入れました!」
月砂「そう。剣君は残念だったわね」
村雨「いえいえ。もう秋を目指して頑張りますから打倒赤竜ですよ!」
斎藤「やっぱりお前がキャプテンなんだ?」
村雨「当然、僕以外に誰が居る! 否、僕以外に居る訳がない!」
斎藤「ふーん、けどお前のところ選手層が薄すぎだろう」
村雨「まあね。しかし質の良い奴も居ないんだよね」
真田「それはお気の毒ですな〜♪」
村雨「と言う訳で斎藤、風雲高校(   うち   )に来ない!」
斎藤&真田&吉田「は?」
村雨「良いアイデアでしょう。うちは質が悪いからね。だったら他校( よそ )から連れて来れば良いんだよ〜♪」
真田「なるほど〜その手がありましたな〜♪」
吉田「すまん。俺にはもう止められんと言う訳で帰るわ!」
斎藤「ってどう収拾したら良いんだよ!?」

結依「そう言えばハジメと会ってもうじき1年じゃな!」
柚「………………」
結依「興味なさそうじゃな」
柚「観ているだけはつまらないから」
結依「それも季節と共に変わるじゃろう」
柚「だと良いけど」

こうして赤竜高校の準決勝戦も終わった。そしていよいよ決勝戦に突入する!