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中西監督「いよいよ決勝だ。前回の敗北から一月程度だが」
相良主将「俺達は
斎藤「泣いても笑ってもこれが先輩達との最後の試合になるのか」
中西監督「いや、リベンジだから前に戦った時と同じメンバーで行くつもりだ」
中西監督「いや、リードしている場合ならともかく接戦だと打撃力はこちらが劣るからな」
相川「お互い手の内は知ってるからやりにくいですね」
中西監督「まあな。それにここまで頑張ったお前らはボロボロだからな。ここまで来たらどっちが優勝にこだわっているか気迫の勝負だ!」
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大島監督「再び赤竜高校との試合となった。ここまで来ると何か運命っぽいがあんまり気にせず今まで通り勝ってこい!」
佐伯「まあな。けど試合が始まったらそんな事は言ってられなくなるぜ」
佐伯「そう言いながら最後まで出たお前は大した物だよ。俺なんか初めて無明と試合した時は途中で降板したからな」
中尾「いえ、ピッチャーとキャッチャーだと疲労感が違いますから」
佐伯「どっちにしろ1年でチームの要なんだ。大した物だ」
大島監督「天才3人ってより3バカだな」
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霞「いよいよ夏の決勝戦が始まります。運命かそれともただの偶然か、同じ県同士の夏の決勝試合となりました」
天野「うーん、面白い試合になると良いんですが」
霞「それでは解説の武藤さんと天野さん、どちらが勝つと思いますか?」
天野「うーん、勝敗は分かりませんが、面白い試合になるよう期待しています!」
霞「何か普通のコメントでつまらないですね」
天野「とりあえず世紀の瞬間と呼ぶに相応しい試合を期待しましょう」
霞「ま、確かに私達はただの見物、試合をするのは選手達ですからね」
霞「それでは決勝戦スタート!」
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佐伯「まずは真田か」
中尾(高め中心で行きましょう!)
佐伯(ああ)
中尾(さすがに前よりレベルが上がってると言いたいけど、フォームを崩した時点でこっちの勝ちだな)
霞「懸命に走りましたが届かずサードゴロ!」
武藤「相変わらず良い足してますね」
天野「足は認めますがフォームを崩して打つのはダメですね」
相川「春の優勝投手ですからね(しかし前とそれほど変わった印象はないな。少なくとも三振は防げそうだ)」
佐伯(しつこい!)
霞「粘りましたがクリティカルシュートを打ち上げ2アウト!」
天野「2人でちょうど10球か、そして次はバッターとしても一級品の斎藤君ですか」
斎藤(調子は良さそうだな。スロースターターって訳でもないけど、早目に得点しときたいな!)
佐伯(この3、4番がやっかいだな。斎藤は後半の回で集中力を増すタイプみたいだし最初は相良さんの方を警戒した方が良いか)
霞「快音が響きますが結果はライトフライ、1回を三者凡退と佐伯君の調子は良さそうです!」
天野「ボールはキレてましたし赤竜高校の調子が前以上に良いんじゃないですか」
佐伯「1回で12球か、まずまずだな」
中尾「斎藤さんにはいきなり芯でとらえられましたね」
佐伯「合わせて来ただけだから助かったな。これでレフト方向に引っ張られたらスタンド行きだった」
佐伯「まあ、ね」
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斎藤「ミートの良いバッターが続くな。問題は3番か」
霞「まずは先頭の佐藤君を空振り三振に抑えます!」
武藤「140キロか、今日も球が走ってますね!」
天野「うーん、まだバッター1人なので何とも言えないですね」
霞「141キロのストレートを当てましたが結果はピッチャーゴロで2アウト!」
天野「言うは易し行うは難しだな」
斎藤(問題はこのクリーンナップだな。嘉神さんは小細工をしても抑えられそうもないし真っ向勝負で行く!)
霞「最後は高めのストレートを空振り三振、斎藤君、最後はボール球を振らせました!」
天野「嘉神君を三球三振か―――やっぱりポテンシャルは計り知れないですね!」
真田「ふっ、好調だね!」
真田「それは挑戦と受け取ったよ。この試合が終わったら僕のピッチャーとしての実力を見せてあげよう!」
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相良主将「問題はクリティカルシュートだな」
佐伯(初球からガンガン振って来る人だからな。初球から決め球を使った組み立てで追い込むってのどうだ!)
中尾(了解!)
霞「入った! 信じられませんがアウトコースに外れたフォークをライトスタンドに運びました!」
天野「風があったとは言えこれは…………今日の赤竜高校には天も味方しているようですね!」
中尾「落ち着いて下さい。マグレで1点取られただけです。1点差なら十分取り返せます!」
けどあの飛距離はマグレじゃないから気は抜けないか!」
中尾「はい。調子を戻して後続を抑えましょう!」
佐伯「だな!」
霞「最後はシンカーを空振り三振!」
天野「悪球打ちの玖珂君でしたが手が出ませんでしたね」
霞「ブーイングを物ともしない物凄い打球です!」
霞「説明しますと珍しくと言うか相変わらずの無茶苦茶なフォームでいつもとは違うダウンスイングでピッチャーとキャッチャーの中間より少し手前の地面に打球がワンバウンドしていまだに、いえようやく落ちて来ました。鈍足の嵯峨君でしたが2塁まで行きました!」
佐伯(ミートが下手だからだろう。しかし調子良い時はバカスカ打つらしいからな。今日はこの人も注意しとこう)
中尾(さっきと違って落ち着いてますね?)
佐伯(スタンドまでは行かなかったからな。後続を抑えて無失点に抑える!)
佐伯(後続は2人で斬る!)
霞「最後はクリティカルシュートで決めます!」
武藤「やっぱり佐伯君はピンチに強いですね。1年前と比べてずい分成長しましたよ!」
天野「それに追い込んでから良いボールが行きますし良いオーラが出てますよ!」
霞「私もです」
霞&武藤「うーん…………よう分からん?」
佐伯(シュッ!)
霞「安達君はストレートを打ち上げサードへのファールフライ!」
武藤「142キロか、やっぱり調子は良さそうですね!」
天野「ええ、決勝らしい試合になりそうです。とにかく相良君のホームランで赤竜高校が1点先制、斉天大附属がどう斎藤君を攻略するかですね」
佐伯「ふう、下位打線で助かった。何とか1失点に抑えられた」
中尾「しかし安達さんもミートが良いですね。振り遅れたとは言え佐伯さんのストレートに当てましたよ」
佐伯「まあな。しかしクリーンナップに比べたらマシだ」
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霞「まだ2回裏ですがさっきと前の回のお喋りで結構時間が経ってますね」
天野「それよりもこの回からは昨日神がかりなバッティングでサヨナラ2ラン打った高須君からですよ」
天野「そりゃ仕事だからな。それにどっちの応援でもないが今日は観客の気分でもあるからな」
霞「……もしかしたら入るかと思いましたがギリギリセンターの真田君がキャッチし1アウト!」
斎藤(ああ、次も佐々木さんだ。あの人、良い投手に対して強いからな)
相良主将(タッタッタ!)
霞「惜しくもスタンドまでは届かずライトフライに倒れます!」
武藤「しかし斎藤君のストレートに1打席目から当てれるところからも今日は調子が良さそうですね!」
天野「もしくは決勝までほとんど1人で投げてた斎藤君に疲労がたまっているのかも知れませんね」
霞「なるほど、1、2回戦は山中君も投げていましたがその後は斎藤君1人で投げてましたからね」
武藤「斉天の佐伯君は夏、春、夏と決勝までずっと投げて来てるし慣れてるんでしょうね」
天野「慣れてる=疲労がないと言う訳でもないんでしょうが、斎藤君よりここまでの疲労は少ないでしょうね」
斎藤(シュッ!)
霞「最後はカーブで空振り三振、中尾君には変化球中心の組み立てで行きました!」
武藤「ストレートに合わせて来てるから変化球中心って感じでしたね。しかしこうも当てられるのはやはり疲労から来るのかそれとも斉天が対斎藤君対策を万全にして来たのか」
天野「いえ、恐らく宗介のストレートと斎藤君のストレートは似ているので慣れてるからではないかと思います」
霞「とにかくこの回も無失点と斎藤君は好調振りをアピールします!」
真田「ふっ、好調だね!」
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中尾(2回も三者凡退でしたが、まだ2回です。だから気にせず抑えて行きましょう!)
佐伯(そうだな。たったの1点差だ。気にせずバッターを抑えて行くか!)
霞「最後は145キロのストレートで決めます!」
天野「泣いても笑っても今日が最後ですからね。手加減なんてしたらつけこまれて打たれますよ!」
霞「真田君も外に逃げるクリティカルシュートを空振り三振!」
天野「ですね。これはなかなか打てませんよ!」
相川(最後はクリティカルシュート!)
佐伯「………………」
霞「これは面白いところに飛んだ。ショートの渡辺君が捕って投げましたが相川君の足が一歩速く内野安打!」
天野「打撃力は全国でも定評がありますからね。しかし2、4、6番と微妙に打線が繋がっていませんね」
霞「2アウトランナー1塁、得点圏ではありませんがここで迎えるバッターは勝負強い斎藤君です!」
天野「確かに昨日はチャンスでことごとく凡打してましたね」
斎藤(後ろには頼りになる先輩達(今日は嵯峨も含む)が居るしここは長打じゃなくヒットで良いな!)
佐伯(相良さんにはホームラン打たれたしここで止める!)
霞「期待の斎藤君でしたがセカンドゴロで3アウトチェンジ!」
武藤「今日もクリティカルシュートがキレてますね!」
天野「ま、138キロで変化してたみたいですしそうそうは打てませんよ!」
佐伯「良し! ヒットは打たれたけど何とか無失点に抑えたな!」
中尾「ええ、この調子で行きましょう!(相川か―――3年間あいつには苦労させられそうだ!)」
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斎藤(シュッ!)
霞「最後は140キロのストレートを空振り三振!」
武藤「何かこの回は高めに浮いてたから見て行っても良かったと思えるんですが?」
天野「そうですね。武藤さんの指摘通りボール球もありましたし見て行くのも1つの手でしたね」
霞「名倉君も打ち上げて2アウト!」
武藤「ストレートだけでも分かってて打てないのに、変化球混ぜて来ますからね。こりゃなかなか打てませんよ」
天野「ま、実際ここまで完全に抑えているからな」
斎藤(こいつには結構打たれてる記憶があるな)
吉田(確かに、良くヒットを打たれるな。斎藤と相性が良いのかな)
斎藤(いや、打たれてるのはほとんど変化球だ。こいつにはストレート中心のリードで行こう!)
吉田(オッケー!)
霞「ストレートを打ち上げサードフライ! 斎藤君、この回も三者凡退に抑えます!」
武藤「打者1巡はパーフェクトに抑えましたね。ストレートを当てられるとは言え調子は良さそうです!」
天野「うーん、次の回には嘉神君に回りますからそこがポイントになりそうですね!」
真田「ふっ、好調だね!」
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佐伯(シュッ!)
相良主将「………………」
霞「警戒しすぎたか相良君にはストライクが入らずストレートのフォアボール!」
中尾(走ったら頑張って刺しますから気にせずバッターに集中しましょう!)
佐伯(あ、ああ……やれやれ後輩に気を使わせるとはな。信じるぞ中尾、バッターに集中だ!)
佐伯(シュッ!)
霞「良い当たりでしたがセンターの定位置への当たりで1アウト!」
天野「そうですね。だけどミートの上手さは赤竜高校1番と言われるだけはありますよ」
霞「1アウトランナー1塁で迎えるバッターは先ほど2ベースヒットを打った嵯峨君です!」
天野「技術はともかくパワーは一級品ですね。この打席ではどんな結果を見せるか楽しみです!」
霞「なんと右中間真っ二つランナーの相良君はホームへ突っ込む!」
霞「中尾君、ホームは諦めた。一歩下がり確実に捕球しサードへと投げる!」
霞「暴走してた嵯峨君は楽々アウト! しかし相良君は返って赤竜高校は追加点を入れます!」
武藤「まあ、ホームは間に合わなかったでしょうから中尾君の好判断ですね」
天野「ですね。嵯峨君の走塁も結果はアウトですが一言で暴走とも言い切れませんね」
武藤「イケイケの時にはああ言う積極的な走塁も時には必要ですからね」
天野「そう言う事だな」
中西監督「まあ、結果はアウトだったが俺もサードに走る事は賛成だったよ。得点が入って3塁ランナーを抱えるプレッシャーだと佐伯のスタミナと精神力を大幅に削られただろうからな」
佐伯「警戒してあの結果だろう。気にするな。元はと言えば俺が相良さんを歩かせたから点が入った訳だしな」
佐伯「ええ。と言う訳で中尾、あの返球はナイス判断だったぞ!」
中尾「はい」
佐伯&中尾「はい!!」
霞「初球を打ち上げた。結果はピッチャーフライです!」
天野「145キロ、佐伯君は好調を維持してますね」
佐伯「ナイスリード」
中尾「はい。この調子で抑えて行きましょう」
佐伯「ああ、今日は嵯峨さんが鬼門だな。警戒してボールから入ったのに楽々打たれたからな」
中尾「データ通りにリードしたんですけどね。どう言う訳か今日の嵯峨さんはミート範囲が広いです」
大島監督「ま、調子良い時はそれなりのバッターだからな。今日は決勝だけあってそれほど調子が良いんだろう」
中尾「………………」
大島監督「心配するな。あっちの打力で2点取ったんだ。これから取り返せるさ!」
中尾「はい(そうだな。キャッチャーの俺が打線を信頼しないでどうするんだ!)」
佐伯「それじゃ2巡目、期待しますね!」
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斎藤「打者2巡目か、ここから厳しくなって行くな」
霞「一応粘ったが結果はショートゴロで1アウト!」
武藤「さすがに1打席目と違ってボールに慣れてる感じがしますね」
天野「ええ、けど打つのはやっぱり難しいみたいですね」
相川(タッタッタッ! パシッ!)
霞「セカンド後方に抜けるかと思いましたが相川君のファインプレーで2アウト!」
武藤「当たり損ねがヒットになりやすいと鈴木君は玖珂君と違って意味でやっかいですね」
天野「しかし、結果はセカンドフライでした」
斎藤(嘉神さん、1打席目は三振だったけど!)
霞「初球から積極的に振ったが結果はセンター定位置へのフライ!」
天野「しかしストレートにタイミングは合ってますね。結果的に抑えたものの斎藤君も冷汗ものだったんじゃないでしょうか?」
真田「ふっ、好調だね!」
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佐伯(シュッ!)
霞「クリティカルシュートを打ち上げた。結果はキャッチャーのファールフライ!」
武藤「やっぱりそうそう打てませんね」
天野「変化もですが、手元でのキレが凄いですね」
佐伯(シュッ!)
霞「アウトコースのストレートを見逃し三振! 福西君は三球三振で抑えました!」
武藤「1年生の9番バッターには難しいコースでしたね」
天野「せめて振って欲しかったですね」
佐伯(シュッ!)
霞「やはり最後はクリティカルシュートで決めます!」
武藤「この回は三者凡退か、1回はやっぱり肩ができてなかったようですね」
天野「しかし赤竜高校がリードしているのは変わりませんね。そろそろ反撃しないときつそうです」
中尾「良いペースです。この調子を維持しましょう!」
佐伯「いや、維持じゃダメだ。もっともっと調子を上げないと、前と同じく延長になる可能性もあるからな」
中尾「なるほど、控えも居ますし無理はしないで、ともう遅いか」
佐伯「ああ、今日は決勝、無理だろうが何だろうがしないとダメだ。先輩達と一緒に戦うのはこれが最後になるだろうからな!」
中尾「そうですね。ただ、無理する半分は俺がやります。だから1人で無茶しないで下さい!」
佐伯「ああ(こいつも3年後にはプロ入りしそうだな。八坂さんとはタイプが違うけど良いキャッチャーだ!)」
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霞「試合は5回裏、追い込んだ後、140キロのストレートが来ましたが真芯でとらえバックスクリーンに運びました」
天野「正直、宗介にバファローズに来て欲しかったんですが、私もバッター出身なせいか高須君に来て欲しいと思えて来ましたよ」
霞「何か話を聞いてると次の監督は天野さんみたいですね」
天野「ええ、高木が今年で辞めて後任の監督はぜひ私にやって欲しいと」
天野「さすがにそこまでは考えてないと言うか、大学行かせるくらいならプロに入れと俺は言うぞ!」
霞「そうなんですか?」
天野「そりゃちゃんとした理由で大学行くなら止めませんけど、希望の球団じゃないから大学行って逆指名とかふざけた事言ったら私は怒りますよ。まるで今すぐプロで通用するなんて慢心してる奴のセリフです。そんなんじゃまず成功しませんから!」
天野「お前は高卒だろう?」
天野「いや、別に逆指名に反対してる訳じゃないぞ。これは天野家の野球道だ。他所のお家には関係ありませんって奴だ!」
天野「と言う訳であのバカがそう言う理由で大学なんぞ行ったら家から追い出す!」
霞「うむうむです。天野さんちの厳しさが分かりますね」
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大岡監督「ほう、お前は来年からプロか頑張れよ」
直人「別に良いんじゃない。どうせプロ入り拒否するつもりじゃないんでしょう?」
宗介「今すぐ通用するって思ってる訳じゃないが、今の俺がどこまでプロで通用するかは楽しみだしな。どっちにしろ高須達がプロ入りする以上、どの球団でも入るつもりだ」
宗介「ん? そうか可能性としたら低いけど0ではないな。ま、その時は家を追い出されても入らん。あいつとは別チームでケリをつける!」
坂本「ライバルって奴ですね。俺にはそう言う奴が居ないから少し羨ましいですね」
宗介「ま、3年も野球やってたらいつか負けたくない奴ってのが見つかるだろう!」
風祭(同じ世代に斎藤、石崎、佐伯と渡り合える俺は幸運なのかもな)
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霞「続く佐々木君もセンター前に打ちます。ノーアウトランナー1塁となりました!」
武藤「さすがに2巡目だけあって打ちますね」
天野「さすがは斉天の5番を任せられるバッターって事ですね。そして次は1年でスタメンの中尾君ですか」
吉田(さすがに2巡目だけあって合わせて来るな)
斎藤(ああ、変化球も混ぜなきゃ抑えられそうもないな。変化球も混ぜて行くぞ!)
吉田(了解!)
中尾「………………」
霞「バントを察知して走っていた嵯峨君、1塁ではなく2塁へ投げた。佐々木君は届かずアウト!」
霞「中尾君は間一髪セーフ!」
天野「調子の良い時は守備も凄いですんかね?」
斎藤「何はともあれこれで2アウト―――仕留める!」
霞「続く渡辺君は打ち上げショートフライ!」
武藤「低空からノビて来るからどうしても打ち上げてしまいますね」
天野「ええ、結局1失点と、さすがですね」
真田「ふっ、好調だね!
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霞「と言う訳で試合は6回表、前の回では高須君、佐々木君と打つ物のバント失敗などと後続は続かず1得点止まり、しかし点差は2対1とまだまだ試合の行方は分かりません」
武藤「うーん、まだクリーンナップには1打席回りますからね。確かに試合の行方は分かりませんね」
天野「しかし、それは赤竜高校にも言えますね。この回は2、3、4番からと好打順です」
霞「すんごく当たり前のご返答ありがとうございます」
霞「あれ? 誉めてるんですけど?」
佐伯(シュッ!)
霞「これで2−3から6球続けてファールです!」
天野「いや、お前が試合してる訳じゃないだろう」
佐伯(こいつで決める!)
霞「セーフ! ショートの深い打球を捕った渡辺君も見事でしたが相川君の足が一歩速く内野安打!」
天野「その後四死球で自滅しかける事もあったけど、何故か失点多くても勝てたよなお前」
霞「しかし2打席連続でショート方向への内野安打ってのも珍しいですね」
天野「ま、基本的に左に流すバッターですからね。内野安打ならショートかサードの可能性が高い2択ですからね。そう言う事もあるのかと」
霞「なるほど、しかしそれなら左寄りに守れば良いのでは?」
霞「それもそうですね」
相川「ほっ、何とか出れた!」
中西監督「………………(サッ!)」
霞「これは意外、3番の斎藤君は送りバント、佐伯君、一歩遅れるが何とかファーストに送球します。しかし意外と足の速い斎藤君ですが―――アウト!」
霞「しかしここでバントは意外でしたね」
天野「今日は当たってないからだろう」
天野「2打席ノーヒットより1四球1本塁打の方が可能性が高いと踏んだんだろう。下手すれば併殺だったろうしな」
佐伯(敬遠も1つの手だけど、相良さん、玖珂さんで終わらせたいな)
中尾(今日の嵯峨さんとは相性が悪いですからね)
佐伯(そうだな。相良さんとは真っ向勝負で行けば何とかなる!)
相良主将「1打席目とはキレが段違いだな!」
霞「期待の相良君はライトフライ、しかしランナーの相川君は3塁へ!」
天野「玖珂君って勝負強いんですか?」
霞「えっと―――ふむふむ。可もなく不可もなくって感じですね」
天野「ようするに普通ですか微妙に期待できそうですね」
霞「ここで今日初の失投、玖珂君が見逃さず打ち打球はレフトスタンド一直線か!」
霞「と言う歓声が走りコールはアウト! 相変わらず守備で魅せます!」
天野「打って良し守って良しかまさしく理想のプレイヤーだな」
霞「今日はノーヒットですけどね」
中西監督「気にするな。芯でとらえてもこう言う事もある」
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斎藤「この1点を何としても守りきる!」
霞「自己最速ではないですが、142キロのストレートを見逃し三振!」
天野「142キロか―――本調子になって来たな」
佐伯(斎藤からは一発も連打も難しい。だが出塁しなきゃ話にならん。コンパクトにヒットを狙う!)
霞「黙々とバットを振るのは9番ながら今大会で3割を維持している佐伯君! しかし良い打者なんだから9番じゃなくても良いんじゃないかと思えます!」
天野「それもあるが何より数字は出てるけど、それほど大したバッターではないって評価からでしょうね」
霞「そうなんですか?」
天野「勝負強いのは認めますよ。しかしスイングを観る限りそこそこのバッターって印象です。そう言う意味で数字を叩き出してるのは評価できますけどね」
霞「うーん、何とも評価の難しいバッターって感じですね」
斎藤(シュッ!)
霞「むっ、ショボイ当たりだがこれは面白いところに飛んだぞ!」
霞「センター前に落ちるかと思ったがセンターの真田君が飛び込んだ―――アウト! ここで真田君がファインプレーを魅せます!」
天野「確かに足の速さも魅力ですがこう言うプレーができるなら守備面も評価できますね」
霞「ファインプレーを決めた真田君、カメラに向かって笑いながらピースをしています!」
天野「お調子者なところが玉に
斎藤(シュッ!)
霞「最後は真ん中高目ギリギリに143キロのストレートが決まります!」
天野「しかし次にはホームラン打ってる高須君にも回るしどう言う対決になるのか楽しみですね」
真田「ふっ、好調だね!」
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中尾(歩かせる事も頭に入れておきますか?)
佐伯(いや、逃げたところで何も得られん。打たれたらそれまで勝負だ!)
中尾(やっぱり真っ向勝負か先輩達も何も言わないし、いやいや、キャッチャーの俺がピッチャーを信じないでどうする。ピッチャーがやる気になってんだ。俺はそれを信じてリードするだけだ!)
霞「最後は144キロインハイへのストレートが決まり三球三振に抑えます!」
天野「三球三振―――真っ向勝負で決めましたね!」
霞「これは高く打ち上げたピッチャーの定位置へのフライ、佐伯君が捕って2アウト!」
武藤「ストレートが走ってますね。当てただけでも凄いかも知れませんね」
天野「しかし実力的に吉田君なら4回に1回は打てると思えるんですけどね」
霞「つまり次の打席は期待できると」
天野「回って来ればですけどね」
佐伯(シュッ!)
霞「面白いところに飛んだがセカンドの名倉君、華麗にさばいて3アウトチェンジ!」
天野「これでバッティングが良ければ文句なかったんですが」
霞「と言うと名倉君にプロは無理ですか?」
天野「今は無理ですね。けど大学、社会人でバッティングなど向上すれば分かりませんよ」
天野「ええ、大学で驚がくに伸びる人とかも居ますから現段階では無理だと思うであって成長後は分からないって感じですね」
天野「ここから観てるだけで分かれば苦労はしませんよ」
霞「それはそうですね」
佐伯「ふう、一瞬抜けるかと思ったがあれをさばくとはさすが名倉さんだな」
中尾「足、肩、守備と言う事なしですからね。安心して任せられます」
佐伯「だな。次はクリーンナップに回る。何とか同点にして欲しいな」
中尾「はい」
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霞「巧打者の鈴木君でしたが打ち上げ1アウト!」
天野「まあ、奪三振の多い斎藤君から当てられるだけでも凄いんじゃないでしょうか」
霞「春の大会では敗退するも1試合20奪三振と記録を作りましたからね」
斎藤(過去に何人かがそう言うふうに考えたんだろうな。もっとも後ろを打つのも別の意味でやっかい人だからできなかったけど)
斎藤(さっきの打席でヒット打たれたばっかりだろう。そんなネガティブな敬遠はごめんだ!)
斎藤(勝負だ。慎重に行くぞ!)
霞「レーザービームが突き刺さりますが嘉神君の足が一歩速くセーフ!」
霞「とにかく嘉神君は142キロのストレートをライト前に打って1アウトランナー1塁となりました!」
天野「先ほどスタンドに運ばれたとは言え斎藤君の調子は先ほどより上がって来ています。私が監督なら勝負ですね!」
中西監督(サッ!)
霞「初球強振し真後ろへのファールとタイミングは合っています!」
天野「そう言う意味では決め球に変化球を使うのも手ですね。ストレートだと反発力で持って行かれる可能性もありますが変化球なら芯を外せばスタンドに行く可能性も少しは減るでしょうから」
天野「そう言えなくもない」
斎藤(次は1球外に外す)
吉田(異論なし!)
霞「外角スライダーを見逃し1ストライク1ボール!」
天野「そうですね。高須君はボールなら積極的に打って来ないのでそれも1つの手かも知れません」
斎藤(高めはダメだ。低めを狙う!)
霞「外して来ると思ったら低めギリギリに決まり2ストライクと追い込みました!」
天野「いえ、斎藤君の場合は追い込んだ後は続いて勝負する可能性が高いですよ。勢いで突き進めるタイプですから!」
斎藤(ここで勝負、狙うはやはり低めギリギリ、何、こっちは後2球までボールを投げられる。気負う必要はない!)
斎藤(石崎の時と同じく全力を出しても通用しないか―――だがまだ負けた訳じゃない。試合には俺達が勝つ!)
霞「昨日に続いての弾丸ライナー! やはり打球はレフト場外へと消えました!」
中尾「みんな当然の様なので聞きづらいんですが代償って何ですか?」
中尾「はあ」
中尾「ええ、脳がストッパーをかけてるんでしょう。確か100%の力を出すと身体が壊れるって
大島監督「そう言う意味じゃお前達2人はケガにも強いから大丈夫だな」
斎藤(ま、春に比べればマシだな。まだ試合は決まってないんだから)
中西監督「行けるか?」
斎藤「はい。スタミナはまだありますし試合はまだ終わっていません!」
斎藤「そりゃお前らのおかげだ」
斎藤「そんじゃ抑えて行きますか!」
中西監督(春の敗戦はムダじゃなかったな。今に満足せずもっともっと上を目指せ。お前ならきっとどこまでも行ける! まったく俺をここまで熱くさせるとは福井と同じく感謝するよ!)
中西監督(宏には悪いけどな)
中西監督「っとすまんすまん。がらにもなく昔を思いふけってた」
中西監督「すまんすまん。ま、逆転された訳だが1点差だ。ここで点差を開けられると絶望的だな。と言う訳で軽く抑えて来い!」
中西監督「考え様に寄ってはホームランでランナーを一掃してくれたんだ。守りやすいだろう」
中西監督「と言う訳でバッテリー頼んだぞ!」
斎藤&吉田「はい!!」
霞「選手達が各ポジションに戻って行きます。試合は7回裏、高須君の2打席連続ホームランで斉天大附属が3対2と逆転しました。1アウトランナーなしですが先ほどヒットを打った5番の佐々木君です!」
武藤「赤竜高校はここが踏ん張り所ですね。斉天大附属はここでとどめを刺したいところですね」
天野「武藤さんの言う通りこの試合のポイントの1つですね」
斎藤「意地でも抑える!」
霞「内野の頭は越えずにショートフライに倒れます!」
天野「持ち直したか―――タフですね」
斎藤(シュッ!)
霞「最後はカーブを打ち上げって打ち上げてばっかりですねで3アウトチェンジ!」
天野「とにかくホームラン打たれた後は見事に抑えるとさすがのピッチングですね」
大島監督「やはりそうそう打てんか」
佐伯「しかし逆転しました。後は俺がきっちりと抑えます!」
大島監督「さすがはうちのエース頼もしいな」
中尾「はい。俺も頑張ります!」
大島監督「竜崎、浅野バッテリーと並ぶ歴代に残るバッテリーだな」
大島監督「浅野つってもマリーンズの浅野の兄貴だ。竜崎が1年の頃からバッテリーを組んでたんだ」
中尾「どんなキャッチャーだったんですか?」
大島監督「勝負強いところが魅力だったんだがムラがあってあらの多いバッターだったな。キャッチングは良かったがリードは大したレベルじゃなかったし大学で伸びればプロ入りもできるだろうなと思ったんだが俺と同じであまり伸びなくてな。今は転生高校で教職兼監督として頑張っているな」
大島監督「あいつが監督に就任してからプロ入り選手が3人と育成の素質はあったみたいだけどな」
大島監督「大学で伸びなかったらそう言う話も来るだろうよ」
吉田「もうやらないのか?」
真田「逆転されたからね。そんな余裕はないよ。今はどうやって出塁するかだよ!」
せっかくここまで来たんだよ。何が何でも勝ちたいじゃないか!」
吉田「まあな。今度はいつ来れるか分かんないもんな」
真田「そう言う事、何とか逆転のきっかけを作って見せるから頼む斎藤!」
斎藤「ああ! 打席が来たら意地でも打つ!」
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佐伯「残り6人、斎藤まで回したくはないから3人で斬る!」
霞「デッドボールかと思いましたがコールはストライクで1アウト!」
武藤「内角のクリティカルシュートに踏み込んでデッドボールで出塁を狙ったんですかね。ただ、コールがストライクだったのが不運でしたね」
天野「しかし130後半のクリティカルシュートに踏み込むなんて勇気がありますね」
真田「弟子の仇を討つのも師匠の務め僕に任せなさい!」
佐伯「こいつを出す訳には行かないな!」
霞「サードの頭を抜けるかと思われましたがジャンピングキャッチとここで高須君がファインプレーを見せます!」
天野「まったくだ」
中尾(できれば8回裏には粘って時間を稼いで欲しいんだけど―――無理だろうな)
霞「最後は相川君が粘りましたが想像以上の変化に対応できず空振り三振!」
天野「ええ、球数は110球ちょっとですが明らかに疲労が顔に出ていますね。と言ってもスタミナはまだ余裕と言うほどではないですが1イニングくらいなら十分持ちそうですね」
霞「とにかく赤竜高校はこの回も無失点、後1回のチャンスで点を取らないと敗北と崖っぷちに立たされております」
天野「ま、9回はクリーンナップからなので崖っぷちってほどでもない気もしますが」
霞「良いんです。とにかくこのまま終わるのか頑張れ赤竜高校って感じです」
霞「大丈夫です。どうせどっちが勝っても同じ県同士気にする事はありません」
中尾「と言う訳でバッターのみなさんはできるだけ粘って下さい」
中尾(さすがは何度も優勝してる名門だな。チーム一丸ならきっと勝てる!)
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斎藤(シュッ!)
霞「出た最後は自己最速143キロのストレートで決めます!」
天野「斎藤君はストライク先行型ですからね。ボール球は投げなくもないですがタイミングが合っていないバッターにはまず投げないですからね」
大島監督「それで、分かったと言いながら三球三振とはどう言う訳ですか?」
大島監督「ったく、お前と名倉が粘らなかったら意味がないだろうが!」
大島監督「それで名倉は?」
霞「バッティングでは目立たない名倉君が珍しく粘りましたが5球目スライダーを打ち上げて2アウト!」
天野「ま、俺やお前の頃のピッチャーって言ったら先発完投タイプ=ピッチャーって感じだったからな」
武藤「そうですね。今と昔じゃっとそう言えば来年から中継ぎのタイトルも導入されるんでしたっけ」
天野「ああ、良いピッチャーがケガで引退する事が多いし中継ぎにタイトルが加わるのは良い事だと思うよ」
天野「ま、それも時が経てば受け入られる様になるさ」
武藤「そうですね」
大島監督「ったく、たった8球とはさっきの感動が台無しだな」
大島監督「それで佐伯は言った通り何もせず三振してくれると助かるんだが」
大島監督「だな。ま、無理に粘らずヒットなら儲け物、凡退でも、ま、いっかって感じなんだが」
斎藤(シュッ!)
真田「とおっ!」
霞「今日の真田君は魅せます。センター前に落ちるかと思われた打球をアウトにしました!」
武藤「この回は三者凡退か、次の回で終わるかな」
天野「クリーンナップで1点差ですしまだ分かりませんよ」
霞「そうそう。せっかくの決勝も大詰めっぽいんですからもっと盛り上げませんと!」
天野「とにかく試合もいよいよ9回です。長い甲子園大会もこれで終わりなのか、と、こんなところで良いですかね?」
霞「オーケー、オーケー、そう言う感じで行きましょう」
斎藤「ふう、これで終わりか」
真田「いや、斎藤からだし、それにファインプレーを決めた僕に何もなしとは良い度胸してんな兄ちゃん〜!」
斎藤「ああ! 打つ!! 打ってやる!!!」
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霞「試合もいよいよ9回に突入、この回は赤竜高校の攻撃から始まります。無得点なら敗北、最低でも1点は欲しい。しかし相手は後半になって難攻不落になった佐伯君! はてさてどうなるか赤竜高校?」
霞「絵本を子供に読むのは得意です!」
真田「うーむ。僕のファインプレーを忘れられると困るんだけど」
真田「いや、解説や観客なんかがね。上でも斎藤が三者凡退に抑えたってだけで僕の事がね」
真田「はあ、まあ、良いか」
真田「これは失敬」
佐伯(斎藤からか―――今日のこいつは当たっていないし問題ないか)
斎藤(前に打った時の感覚を思い出せ!)
霞「これは大きな当たり左中間を抜ける」
霞「嘉神君が捕って1アウト! そして1、2塁間に居る斎藤君は呆然としています!」
天野「しかし、まだ4番の相良君が続きますね」
霞「はい。4番の相良君は今日ホームラン打ってますし期待できるかも知れません」
霞「ほ〜」
霞「うんうん」
佐伯「そうだな。次は相良さんだ。斎藤以上に警戒しないと」
中尾「はい!」
相良主将(コースより球種だな。問題はクリティカルシュートとストレート、どっちを狙うか?)
霞「飛距離は十分、しかしこれはファール!」
天野「外角のクリティカルシュートに完全に合ってましたね。クリティカルシュートを続けるのは危険ですよ」
霞「ちなみに先ほどのクリティカルシュートは140キロを記録しています」
天野「とにかくこれで2−2と相良君が追い込められたって事ですか、追い込まれると力むタイプですからちょっと心配ですね」
霞「何かピッチャー視点で武藤さん、バッター視点で天野さんみたいになっていますね」
天野「すみません。バッター出身なもので」
佐伯(頼む!)
相良主将(キャッチャーが迷ってる。続けてクリティカルシュートか、迷ってるって事は要求するのはストライクのコースだな!)
佐伯(
中尾(分かりました。ただ、さっき程度の変化ではダメです。佐伯さんの限界を超えたクリティカルシュートで来て下さい!)
佐伯(良い要求だぜ。限界を超えた1球に挑戦してやる!!!)
相良主将(やはりクリティカルシュート、しかもさっきと同じコースか!)
相良主将「最後の最後で今日、最高の変化か、こりゃ完敗だな」
中尾「要求する俺も俺だけど、応えるあの人もあの人だよな」
佐伯「残り1人!」
霞「今のクリティカルシュートは142キロを記録と、とんでもない変化をしましたね!」
天野「………………」
霞「まだ終わっていません。2球目のストレートをセンター前に打ちます! 2アウトランナー1塁!」
天野「さっきの打席では抑えたし勝負でしょうね」
佐伯(ここで終わらせて春夏連覇だ! それに先輩達との最後の試合―――笑って終わりを迎えてやる!)
中尾(―――で追い詰めて最後は前と同じインハイのストレートで決めましょう!)
佐伯(おう!)
霞「最後はインハイ144キロのストレートで決めた! 斉天大附属高校が3対2で逃げ切り春夏連覇達成です!」
天野「4番の一発に両エースの好投と、まあ面白い試合でしたよ。解説者も面白かったですから監督の話が流れたらまた呼んで下さい!」
霞「はい。その時が来たらよろしくお願いします。それでは今年の夏の大会もこれで終わり斉天大附属はやはり強かったが赤竜高校も負けない強さを見せましたと言う訳でさようなら〜♪」
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佐伯「これも全打点を記録した高須さんのおかげです!」
佐伯「とにかく先輩方、ありがとうございました!」
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中西監督「ふう、残念ながら最後の最後で優勝を逃してしまったが良く頑張った!」
相良主将「優勝もですが結局3年間斉天には一度も勝てなかった事が心残りですね」
相良主将「そうだな。負けたので残念会と言う事で監督の奢りで食おうぜ!」
吉田「帰ってから色々ありそうだし今日中にすませた方が後々楽なんじゃないですか?」
真田「ブーブー、斎藤は人が良すぎだよ。こう言う時は年長者にたかれば良いのに」
斎藤「なるほど―――残り2回、どっちか1回で甲子園優勝したらお前のおごりで監督を含めた部員全員にメシをおごるでどうだ?」
真田「ずい分、難易度の高い賭けだね。うーん、全員におごるとなると高校生のおこづかいじゃきついな。しかし、僕が勝った場合は?」
斎藤「俺の自腹で全員にメシをおごる」
真田「却下だね。それじゃどっちが勝っても得をするのは僕達以外の部員だけだよ!」
斎藤「そうだな。じゃあ、お前が勝った場合は俺のできる限りでお前の望みを叶えよう!」
真田「ほほう。二言はないね!」
斎藤「ない!」
斎藤「最近調子に乗り過ぎてるからな。ここら辺でお仕置きしたいところだ!」
斎藤「賭け事にリスクは付き物だ。それに後2回しかないんだ。意地でもやり遂げてやる!」
吉田「オッケー、個人的に俺もあいつをボコりたいし協力するぜ!」
真田「そうそう。賭け事とは言え試合は試合、マジメにやるから心配はいらないよ!」
斎藤「もちろん。3年間の付き合いだ。そう言うところは信じるさ」
斎藤「ま、やったらやったで監督から交代させられるだけだが」
真田「くっ、いつも以上の冷たいセリフ、やはり君は敵だ。絶対賭けに勝って僕の望みを叶えてもらうからね。ついでに吉田も」
真田「うーん、秘密と言う事で、ま、考え様に寄っては取るに足りない望みかな。僕には大切な事だけどね」