第29章 大会前の休息

−1995年 9月 上旬−
夏の甲子園大会では準優勝と言う結果で終わり堂々と野球部員達も戻って来た。そして今日はキャプテンの相良達が引退する日、現在の2年部員3人は急いでグラウンドに向かう。
相良主将「遅かったな?」
斎藤「ホームルームが長引きまして」
嵯峨「しっかりものの和音ちゃんにしては珍しいな」
玖珂「相変わらず目上の者に対して口の利き方を知らんな」
嵯峨「それはお前の方が早生まれだから礼儀をわきまえろって事か」
玖珂「8割はな」
嵯峨「8割もかよ!」
相良主将「とりあえず最後くらいビシッと終わらせてくれ」
嵯峨&玖珂「……………………」
相良主将「俺達もいよいよ引退だ。3年間の目標である打倒斉天と全国制覇は達成できなかった。正直、悔いが残っていないと言えば嘘になるが終わった今考えてもどうしようもない。お前達がその想いを引き継いで達成して欲しい!」
全員(パチパチパチパチ!)
相良主将「それで次のキャプテンだが1年からエースとして頑張っている斎藤にやってもらおうと思う」
斎藤「予想はしてたけど、俺か……」
真田「確率は1/3だし、もしかしたらなーとも思ったんだけど、やっぱり斎藤か」
吉田「ま、異論はないな」
福西「俺達も異論はないよな」
相川「うん」
相良主将「色々と考えた上で人望、実績なども評価してお前を指名したんだ。やってくれるか?」
斎藤「1つだけ条件があります」
全員「え?」
相良主将「なんだ?」
斎藤「全国制覇するには現在の練習量じゃ足りません!」
真田&吉田「まさか!?」
斎藤「練習量を更に増やす事が条件です!」
全員「ただでさえ名門よかきついのにまだ増やすなんて!?」
相良主将「なるほど、なら引退する俺達から言う事は何もないな。残ったお前達で決めるべきだ!」
真田「ねえ斎藤、言いたい事は分かるけどさ。ただでさえ春からきついのに練習量増やしたらケガしかねないよ?」
吉田「そうそう。別に増やさなくても効率的な練習法とかで補えば良いだろう」
1年部員(頑張れ真田先輩、吉田先輩!)
斎藤「それで勝てるのか? 優勝できるのか?」
全員「……………………」
斎藤「頼む。俺だってこれ以上練習量を増やす危険性は承知している。反感も買うし辞める部員も出るだろう。それでも俺を信じて付いて来てくれ!」
全員「……………………」
斎藤「約束する。必ず全国制覇して見せる!」
全員「全国制覇!?」
中西監督「―――俺の時代から赤竜高校は毎年全国制覇を目標にしている。もちろん全員が全員本気で信じている訳ではない。だがお前達は夏の大会で後一歩のところまで行った!」
全員「…………本当に斎藤さんのメニューをこなせたら全国制覇できるんですか?」
斎藤「ああ、約束する。必ず高校野球の頂点まで連れて行く!」
真田「だあ―――!」
全員「〜〜〜〜〜〜!?」
真田「僕や吉田より斎藤の方がキャプテンに向いてるからね。少なくとも僕はキャプテンになっても全国制覇を必ず達成してみせるなんて言えないし」
吉田「まあな。しかしいきなり大声は勘弁してくれ。間近で食らった分きつい!」
真田「ごめんごめん」
福西「日本一か、本当に可能ならして見たいけどな」
相川「そうだね。斎藤さん、いやキャプテンが連れてってくれるってのは信憑性がありそうだしね」
篠原「ん?」
相川「斎藤さんがエースになってから3期連続甲子園出場、やっぱり斎藤さんの力は大きいんだよ」
山口「そりゃ知ってるけど」
相川「その人が全国制覇して見せるって言ってるんだよ」
根本「そうだな。本当に出来るんなら―――やるか!」
全員「おう!」
斎藤「お前ら」
福西「つう事で俺達も師匠と同じく斎藤さんに付いて行く事に決めました!」
相川「と言う事で次のキャプテンは斎藤さんですね」
斎藤「ああ、キャプテンは引き受ける。約束は違えん!」
真田(賭けがあるからちょっと複雑だけどこう言う雰囲気は大好き〜♪)

柚「………………」
中西監督「風祭、お前も変化球を作っておけ上手く行けば春の甲子園には出場できるかも知れん!」
柚「本当?」
中西監督「条件は恐ろしく厳しいがな」
真田「柚ちゃん、出場できるんですか?」
全員「ええ〜!?」
中西監督「おわっ!?驚いた。ああ条件付だけどな」
真田「どんな条件ですか? 僕、張り切りますよ!」
吉田「俺達が張り切っても仕方ないんじゃないか?」
中西監督「いや、そうでもないんだが、ここで言うより後々言おうと思ったんだがな」
真田「もう遅いですよ」
中西監督「そうだな。お前に聞かれた時点で隠すのは無理だな」
真田「で〜で〜?」
中西監督「―――風祭が先発として投げて横浜ベイスターズ相手に勝利投手になれば女性選手の参加を許すだとさ!」
全員「冗談ですよね?」
中西監督「いや本当」
全員「―――勝てる訳ないでしょう! 何でそんな条件を呑んだんですか! 俺達の頑張りをムダにする気ですか!」
柚「頑張り?」
全員「あっ?」
中西監督「やれやれ、まあ、じきに分かる事だがこいつらは街中の人間や他校へのツテで女子選手の参加に署名をしてもらっていたんだ。こう言うのは世間体も味方に付けるのが良いからな(ニヤッ!)」
全員「怖いです」
柚「全然知らなかった」
中西監督「そりゃ隠してたからな。ま、悪気があった訳じゃない。ぬか喜びさせたくなかったこいつらの優しさだよ」
柚「みんなありがとう」
全員「ううっ、いや、やっぱり同じ部員同士だからな。協力するのは当たり前だよ(普段、無愛想なせいか可愛く見える)ってそうじゃねえ!」
中西監督「いきなりなんだ?」
全員「つうか2軍相手だろうとプロ野球選手の集団に勝てる訳がないだろうが! そもそもプロとアマには確たる差があって」
中西監督「いまさら言われてもな。俺が一体何人のプロ選手を出したと思ってるんだ。それに2軍ではなく相手は1軍だもちろんレギュラー連中のな。シーズン中は無理だから相手にするのはシーズン終わってからだが」
全員「だあ―――! 余計悪いわ―――! あんた本気で勝てると思ってんのか!」
中西監督「いや、やるのはお前達だしな。ま、お前らが無理だと言うのは分からんでもないが日本一を目指しているチームがプロ選手相手だと勝てないと諦めるのか?」
全員「ううっ、そうだキャプテンだけでなくこの監督も厳しいんだった!?」
斎藤「規定は問題ないんですか?」
全員「あっ?(そうだ。プロとアマチュアは試合しちゃダメなんだっけ)」
中西監督「もちろん。特例として認められた。考え様に寄っては経験つめるチャンスでもあるしな。こっちにもメリットはある!」
全員(監督がそんな事に気付かない訳はないよな)
中西監督「ま、お前らの意見はどうでも良い。問題は?(チラッ!)」
全員「あっ! そうだ。問題は?(チラッ!)」
柚「やる。どんな小さな可能性でもやらないで諦めたくはない!」
中西監督「ふっ、そう言うと思ったよ。お前はチームでも斎藤と同じくらい頑張り屋だからな!」
斎藤「問題は変化球だな。新しい変化球はまだ未完成だし」
柚「やる。試合までには完成させて見せる!」
中西監督「と言う事で決まりだな」
真田「大会、試合、シリーズと10月はきつそうだね」
吉田「そういやそうだったな。その辺どうなってんだよ斎藤?」
斎藤「どうもこうも奥森さんからの連絡はシーズン終わってからって言われてたしな」
中西監督「何の話だ?」

真田が7月に会った奥森の事を話した。
中西監督「そう言う事は先に言え、ま、日程的にギリギリ大丈夫なんじゃないか」
全員「日本シリーズか―――タダで観れるってところが良いよな」
中西監督「ま、お前らはその前に修学旅行だろう。楽しんで来い」
真田「青森ってところが微妙なんですよね。リンゴとカード駅くらいしか思いつかん」
吉田「それゲームの話だろう」
中西監督「修学旅行が青森なのは校長の親友が青森の高校で校長やってるからだ」
吉田「へえ、そう言う理由だったのか」
中西監督「轟天農業高校と言ってな。プロ野球選手も排出している」
真田「なんと!?」
中西監督「と言っても高校自体はそれほど強くないから甲子園で会う事はないだろうな。ま、楽しんで来い!」
斎藤&真田&吉田「はい!!!」

と10月は色々と急がしそうだが今は忘れて斎藤達は修学旅行で息抜きと行く。

修学旅行、当日
月砂「それじゃ行ってらっしゃい」
結依「お土産はリンゴで構わんぞ」
斎藤「みんなお土産と聞いたらリンゴを要求するな」
結依「牧場の肉も美味いらしいがワシはリンゴの方が好みじゃ」
斎藤「へえ、ってか食い物関係なのは変わらないのね」
結依「他にもせんべい汁など海産物やおでんが美味しいらしいの」
斎藤「へえ、そう言えば水族館にも入る予定らしいからな」
月砂「それより行かなくて良いの?」
斎藤「それでは行って来ます!」

赤竜高校 2−A
和音先生「と言う訳で出発です。とりあえず赤竜高校の生徒として恥ずかしくない様振舞って下さい。特にその3人!」
真田「いやー何処にも居るもんだね。問題児君は?」
吉田「明らかに俺達を見て言ってんだろうが」
斎藤「つうか何で俺達まで一緒なんだよ」
和音先生「クラスに取って貴方達はトリオだから」
吉田「否定できないのが悲しい。このまま行けば3年になっても同じクラスで過ごしそうだし」
真田「部活だけでなくクラスでも交流を深める事でチームプレーに磨きをかけるんだよ」
斎藤「校長って野球好きだし―――ひょっとして本当にそう言う理由で一緒なんですか?」
和音先生「もしそうなら貴方達の先輩達も全員同じクラスでしょう」
斎藤「先輩達は一緒な人も居るけど基本バラバラつまり」
和音先生「そう。適当な割り振りで決まるのよ」
全員(適当って?)
吉田「と言う事は来年はあれと別クラスと言う事も」
和音先生「普通に考えたらそろそろ別クラスになってもおかしくはないんだけど」
斎藤「引っかかる言い方ですね」
和音先生「貴方達、なんだか3人一緒が当たり前なのよね」
吉田「否定できん」
全員「もう良いからとっとと行きましょう」
和音先生「そうね」

乗り継ぎなどもあったがとりあえず無事に到着
真田「新幹線カードを使って無事に到着〜♪」
吉田「だからゲームじゃないっての」
真田「僕達はコンビだから男3パーティーと華がないけど、某RPGゲームのUみたいで良いかも〜♪」
吉田「いや、あれは男2人女1人のパーティだし」
真田「良いの良いのRPGって大抵3人か4人って相場で決まってんだから〜♪」
吉田「まあな。それで最初はホテルつうか旅館だっけ?」
真田「そうそう。露天風呂付きの伊勢海老の豪華旅館〜♪」
吉田「露天風呂はあってるが後ろの伊勢海老ってのはお前の希望だろう。つうか料理には詳しくないけど海老が出て来ても伊勢海老ではないんじゃないだろうか?」
斎藤「良いからとっととバスに乗って行こう」
真田「おう〜♪」

とりあえず荷物を片付けて水族館に来ていた
真田「野郎だけで来ても面白くないや」
吉田「だったら何でさっき女子が誘ってくれた時にオッケーしなかったんだよ?」
斎藤「まあ、ここの解説とか読みながら観てみると面白いぜ!」
吉田「こっちは満喫してるな」
斎藤「おう。水族館って初めてだからなかなか面白いな」
真田「未知は得てして良い物であり恐怖でもあるんだよ」
吉田「よく分からん?」
斎藤「おう。こっちはイルカショーだってさ観てみようぜ!」
吉田「とりあえずせっかく来たんだ俺達も楽しもうぜ」
真田「うん」

その後も色々と周り食って遊んで寝て見学と斎藤に寄れば有意義な物だったらしい。
真田「今日は自由時間の日、お好きにしてどうぞの日です〜♪」
吉田「いきなり復活したな? それで何するんだ?」
真田「監督の言ってた轟天農業高校に行ってみよう」
吉田「でどこにあるんだ?」
真田「……ちょっと電話して監督に聞いてくる」

そう言って真田は部屋を速攻で出る。
吉田「相変わらず猪突猛進な奴だ。せっかくの修学旅行なのに斎藤は良いのか?」
斎藤「別に構わないさ。それに興味もあるからな」
吉田「興味って? 普通の弱小高校って聞いたけど?」
斎藤「監督がプロ入り選手も出してるって言ってただろう。ちょっと調べて見たら樋川さんや天道さんって大物の出身校だった」
吉田「まあね。けど大抵の人は高校の後の大学でプロ入りしてるけどな」
斎藤「詳しいな」
吉田「前に言っただろう。情報通の知り合いが居るんだよ。とにかく高卒より大卒でのプロ入りが多いらしい。樋川さんと天道さんは高校時代に指名拒否したらしいが高卒で入ったのはジャイアンツの安田さんかな。大学で入ったのはバファローズの相馬さん、OBや他にも居た気がするがそっちは思い出せん」
斎藤「どう言う高校なんだ?」
吉田「樋川さんや天道さんが居た時は一度甲子園に出たらしいが4番の天道さん中心の普通のチームだったらしいぞ」
斎藤「あれ樋川さんは?」
吉田「当時あの人の本気のボールを捕れるキャッチャーがいないとかで加減して投げてたらしい。そう言う意味じゃあの人が一番悔しい思いをしたんだろうな」
斎藤「へえ」

と話をしてたら真田が帰って来る。
真田「なんと僕達のヒーロー樋川さんの出身校って話だよ。早速行こうか?」
斎藤&吉田「あっははは」

知ってる情報を今更言われてもと呆れるしかなかった2人だった。
真田「ん? ま、いいや早速行こう!」

轟天農業高校
斎藤&真田&吉田(ボロッ!?)

赤竜高校も木造校舎だがこっちはそれよりも古かった。
森山「ふんふんふん〜♪」

真田「とりあえずあの野球部っぽい人に聞いてみよう」
吉田「グラブをはめてボールで遊んでるからな。どう観ても野球部員だろう。あれは」
真田「あまいね。ひょっとしたら野球クラブ、もしくはただの帰宅部君が遊びでやっているだけかも知れないじゃないか、と言う訳で斎藤」
斎藤「俺が声をかけんのかよ。ま、良いけどえっと、その君、ちょっと良いかな?」
森山「ふんふんふん〜♪」
斎藤「おーい」
森山「ふんふんふん〜♪」
吉田「完全に自分の世界に入ってるな」
真田「仕方ない。おほん。君の家族は預かった。返して欲しければ明朝までに8153万2010円を用意しろ」
斎藤&吉田(何故に8153万2010円って中途半端な数字?)
森山「8153万円といくらだっけなんて用意できるか!?ってあれ?ぬぉ―――不審者だ!?」
真田「面白い人だね」
吉田「面白いか?」
森山「どこのどなたか知りませんが家はさほど裕福ではないので8135万といくらだっけも用意できんのですよ」
吉田「いや、本気で貰おうとしてる訳じゃないから?」
真田「実は僕達赤竜高校から来たんですが」
森山「赤竜高校―――ってどこですか?」
斎藤「確かに面白い人だな」

とりあえず母校について説明する。
森山「甲子園準優勝ですと!?」
吉田「リアクションの激しい人だな」
森山「ほへ〜、僕はここの野球部のピッチャーで2年生の森山恭平(もりやまきょうへい)と申します」
斎藤「タメだし普通に喋って良いよ」
森山「あっ、はい。ところで何しにこんな遠いところまで来たの?」
真田「いや、修学旅行で来て今日は1日自由と言う事であの樋川さんを生んだこの高校の野球部に興味があってね」
斎藤&吉田(最初はタダの暇つぶしだったくせに)
森山「なるほど、神奈川県と言えば横浜ベイスターズファンだからね分かった。そう言う事なら一緒に行こう」

と森山に連れられて斎藤達は野球部に行く。
村上監督「ほう。赤竜高校の野球部員か」
全員「おおう。あれがエースか」
真田「ふっ、照れますな」
吉田「いや、お前じゃないし」
内海「せっかく来たんだしお茶でもどうぞ」
斎藤「ありがとう。ところで数が少ない様だけど今日は練習休みなの?」
村上監督「残念ながらこれで全員なんだ」
吉田「監督を入れて7人ってこれじゃ」
村上監督「うむ。大会にも出れん。と言うより秋はもう無理だな。来年の新入生に期待するしかないんだ」
吉田「一時期は甲子園まで行ってプロ入り選手も出したのに」
箕輪「これも全部あの教頭のせいだ!」
全員「おいおい!」
真田「教頭?」
森山「昔はともかく今の弱小野球部は必要ないって言われていて来年の夏の大会で1勝もできなかったら教頭に廃部だと言われたんだ」
吉田「それはヘビーな話だな」
斎藤「と言う事は来年9人にならなかったら」
全員「廃部です」
真田「これは重い話ですね。僕達も手伝いたいところですがちょっと」
森山「気にしないでくれ。あくまでうちの問題だから」
吉田「せっかく来たんだ。俺は打撃指導でもしようか、真田は守備走塁、斎藤は投手指導なんてどうだ」
真田「良い事言うね。お兄さんは感動したよ」
吉田「俺の方が年上なのに何がお兄さんだよ!」
全員「ううっ、良い人達だなー」
斎藤「門限もあるし今日しか教えられないけど、それでも良いかな?」
全員「はい!」

吉田「えっと君はさっきの?」
箕輪「はっ、箕輪春人( みのわはると )と言います。ポジションはライトです!」
吉田「じゃあ、トスバッティングしてみようか」
箕輪「うっす!」

カキ―――ン!
吉田「良いセンスしてるな。君まだ1年だっけ」
箕輪「はい!」
吉田「そうか、これなら来年にはクリーンナップ打てるよ!」
箕輪「あ、ありがとうございます」

真田(タッタッタ!)
全員「ぜえぜえ、ちょっと待って下さい。ペースが速過ぎます!?」
真田「なるほど、このチームには俊足バッターはいないのか」
全員「はあはあ、はい。基本的に足の遅い選手が多いんで」
真田「仕方ない。さほど得意じゃないんだけど、守備指導に移るか」

と言っても弱小の轟天農業高校に取っては真田の守備指導でも非常に役に立つのだった。
斎藤「森山と内海か、2人がバッテリーな訳か」
森山「たあ!」

ククッ! ズバ―――ン! ククッ!
内海(いつもより良いキレだ)
斎藤「ストレートは120キロ後半くらいかコントロールも良いし球種も多い。これなら1回戦くらいなら勝てそうだな」
内海「俺もそう思ったんだけどね。こいつ勝負弱いつうか打たれると一気に落ちて行くタイプなんだよ」
斎藤「打たれ弱いタイプか」
内海「ああ、もう1人の方を鍛えた方が早道かな」
斎藤「まだピッチャーいるのか?」
内海「ああ、さっきの奴、箕輪って言うんだけど1年とは思えないスピードボールを投げるんだよ」
斎藤「しかし箕輪がエースじゃないって事は問題があるんだな?」
内海「四死球ばっかり投げて試合にならないんだよ!」
斎藤「河島さんタイプのピッチャーか、コントロールは改善できそうなのか?」
内海「いやまったく」
斎藤「ならまずは森山の方を鍛える事だな。本番の空気に慣れる為にも練習試合をたくさんやるべきだな」
内海「したくても部員数が足りないんだよ」
斎藤「この際、他の部活の人間に一時的に参加してもらうか、草野球でも何でも良いから試合経験を積むべきだよ!」
内海「なるほど、高校ではなく草野球とかか、それなら知り合いも居るしできるかも知れない!」
斎藤「それと君のキャッチングは問題ないから君が森山の力を引き出して上げるんだ」
内海「ああ!」

と事情を聞いて廃部の阻止を手伝う斎藤達、時間も過ぎ全員が帰る事となった。
全員「ありがとうございました。とっても参考になりました!」
真田「将来のプロ野球選手が教えてあげたからね」
吉田「だからプロ入りが確定みたいな言い方すんなってのこれで入れなかったらアホだぞ!」
真田「………………」
吉田「どうした?」
真田「いや、想像したら凄く悲しかった」
吉田「なるほど」
全員「あっははは、絶対廃部になんかさせませんからね!」
真田「それじゃ来年の甲子園で会おうね」
全員「いや、それはさすがに」
真田「この僕が教えたんだよ。きっと甲子園にも出れるさ!」
全員「う〜ん」
斎藤「まずは部員だな。頑張ってればきっと3人くらい集まるさ!」
全員「はい!」

ひょんな事から野球指導をしたが無事に旅館に戻って来た
真田「とまあ、それは良いんだよ。もう1つやるべき事がある」
吉田「いきなり訳の分からん事を? ま、そっちはいいや、まさかと思うが女風呂覗くとか言うんじゃないだろうな?」
真田「それは中学の時にやったけど、あんまり面白くなかったので却下だよ」
吉田「もうやってたんか、ま、お前らしいが」
真田「僕は周囲の人間が興奮すると逆に冷めるタイプみたいだからね。多人数でやった場合は面白味がないんだよ。と覗きは犯罪なので良い子のみんなはやっちゃダメですよ!」
斎藤「誰に説明してんのか分からんけど? お前が言うと説得力皆無だな」
真田「お約束って奴だよ。ま、それは置いといて」
吉田「さらりと流しやがった」
真田「恥ずかしながら告白するけど、君達にちょっと協力して欲しいんだ」
斎藤&吉田「(珍しくと言うか最近はマジメなシーンも多いな)っと協力って?」
真田「修学旅行で男同士で相談と言ったらありきたりだけどコイバナって決まってんでしょう」
斎藤&吉田「ふーん…………って真田が恋だと!?」
真田「普段、僕がどう思われてるかがよーく分かった」
斎藤「お前、気は確かか? 慣れない旅行で謎の病原菌が寄生したとか?」
吉田「そうだ。今すぐ病院に……」
真田「ほほう。人がせっかくマジメに相談してるのにそう言う事言うんだ!」
斎藤&吉田「すみませんでした!!」

真田の殺意にみちた瞳を見て慌てて謝る2人だった。
真田「本当は薄々気付いてる相川君辺りに頼みたかったんだけど今は遠い空の下だからね」
斎藤「それでお前が特定の誰かに恋してるってのはマジなのか?」
真田「いまだに半信半疑なの見たらこれからの振舞い方を変えようかなと思うけど本当です」
吉田「それで相手は?」
真田「椎名さん」
斎藤「あっさり言ったな。ふーん椎名ね」
真田「意外に驚かないね?」
吉田「なんつうかお前が恋してるってのには驚くけど、別に相手は誰だろうが驚かねえよ」
真田「それはそれでつまらないね」
斎藤「ん? そういや6月辺りに散々からかわれたけど、あれって嫉妬の一種か?」
真田「君のその直球に聞いてくるところは見習いたいよ」
斎藤「すまん」
真田「ま、好きな人が他の男と一緒に出かけたんだ。嫉妬くらいはするよ。あの時、椎名さんのお父さんに会いたかったのも彼女と話すきっかけが欲しかったからね」
吉田「なるほど、ただのミーハー気分じゃなかったんだな」
真田「君達はいちいち一言多いね。とにかくあの後、彼女との接点を作るのに苦労したんだよ。遊びたくても休日返上の練習で遊ぶ時間なんてありゃしない」
吉田「なるほど、いつもの顔の裏でそんな苦労があったんだな。けどよ。それならタイミングが悪くないか?」
真田「言いたい事は分かるよ。どっかのバカのせいでまた練習時間が増えて接点を作るのが難しくなったから」
斎藤「すまん」
吉田「それに付き合っても遊ぶ時間なんてないしすぐに別れる事になると思うぞ」
真田「それも分かってるよ。どっちにしろプロ野球選手になろうが大学行こうが彼女と遊ぶ時間はあまりないだろうね」
吉田「野球か彼女か、どっちか1つしか取れない選択だぞ。両方ってのはまず無理だと思う」
真田「だから分かってるってのどっちにしろ将来の事を考えたら別れる可能性が高いだろうしね。けど好きになったものは仕方ない。と言う訳で告白するのを手伝ってくれ」
斎藤「俺は恋愛経験がないから分からないんだが、こう言う時は勝算って言って良いのかな? はあるのか?」
真田「問題ないと思うよ。少なくとも僕はそう言う考え方をするところがあるから、で確率だっけ成功する確率は4割、いや3割半ばくらいだろうね。それに付き合い始めて振られる確率も高いだろうし」
斎藤「それでも告白するものなのか?」
真田「そうだね。考え方は人それぞれだから何とも言えないけど、僕はこの気持ちをなかった事にできないから告白するね」
吉田「真田が本気だと言うのは分かった。失敗しても俺と斎藤と相川も知ってるようだし3人で残念会くらいは開いてやるよ」
真田「…………不吉な事を」
斎藤「それでどうすれば良いんだ?」
真田「ああ、これから手紙を書くからそれをこっそりと椎名さんに渡して欲しい。それと彼女の同室の女の子達は斎藤に気があるっぽいから適当に会話してて」
斎藤「え? そんな重大情報っぽいのを簡単に」
吉田「俺って必要ないのな」
真田「いや、斎藤1人で時間を持たせられると思えないんで吉田も一緒だと都合が良い」
斎藤「と言うか気があるとか言われると、緊張するんだけど?」
真田「大丈夫、多分、一種の憧れの様な物だから本人と話してるとそんな想いは覚めるよ」
斎藤「そう言うもんなのか?」
真田「そう言うものそう言うもの」

真田の無責任な発言もあったが真田の目論見通り難なく椎名と2人きりになる
真田(我ながら呆れるほど上手く事を運んだな。旅館の裏とあんまりロマンチックじゃないけど、ま、彼女の場合は問題ないか?)
瑞樹「それで話ってのは?」
真田「ま、察してると思うけど、椎名さんの事が好きです!」
瑞樹「それだけ?」
真田「好きになるのはともかく付き合うかどうかは僕だけでなく椎名さんも決める事だから」
瑞樹「なるほど、うーん、ねえ真田はプロ野球選手になりたいの?」
真田「うん!」
瑞樹「じゃあさ。私と夢をどっちを取るかと聞いたらどっちを取る?」
真田「両方だね。僕はどっちもなかった事にはできないから両方を選択するよ!」
瑞樹「分かった。良いよ」
真田「そんなあっさり良いの?」
瑞樹「断った方が良かった」
真田「まさか」
瑞樹「さっきの問いね。どっちか片方を選んでたら断るつもりだったの」
真田「分かるよ。そんな中途半端な願いならどっちも叶えられる訳はないからね。ま、今受けてくれてもこれからしだいじゃ振られる可能性もあるけど」
瑞樹「可能性とかそう言うんじゃなくてあんたが頑張ってる事は知ってるんだから最後まで頑張らないあんたなんか嫌いってそれだけよ」
真田「凄いストレートだね。けど、意外だったすんなりと告白受けてくれるとは思ってなかったから?」
瑞樹「私、好きでもない人と付き合えるほど器用じゃないから、ずっと、和希の事好きだったんだよ」
真田「ちょっと待って? ずっとっていつから?」
瑞樹「クラスメイトになってから暇な時は積極的に話しかけてくれたでしょう」
真田「うん。きっかけが欲しかったけど練習が忙しくて瑞樹を遊びに誘う事はできなかったからね」
瑞樹「私も告白したくても練習している和希を見てたらできなかった」
真田「はあ、つまり両想いだったのにきっかけがなかっただけか、正直、瑞樹って好きになったら僕と同じで積極的に行くタイプだと思ったから脈はないんじゃないかなと思ってたんだよ」
瑞樹「あっははは、それで告白する和希も面白いね!」
真田「はははっ、まったくだよ(計算とか全然関係なかったもんな。3割半ばどころか結果を見れば10割になるんだから)それじゃ、これからも迷惑をいっぱいかけると思うけど楽しく行こう瑞樹!」
瑞樹「おう!」

意外とすんなりと上手く行って真田が部屋に戻ってみると
斎藤&吉田「……………………お帰り」
真田「何で2人して落ち込んでんの?」
斎藤「気にするな。疲れただけだよ」
吉田「そうそう。それで上手く行ったのか?」

真田は一瞬泣いた振りしておごらせてやろうかとも思ったがさすがに手伝ってもらってそう言うのはなしだなと思い素直に話す事にした。
真田「オッケーだってさ」
吉田「それは上手く行って何よりだな」
斎藤「おめでとう」
真田「ありがとう。今回は素直にお礼言っとくよ。上手く行ったのは斎藤と吉田のおかげだま、お礼と言っちゃなんだけど、2人に好きな人ができたら、この彼女持ちの僕が手伝ってやるよ!」
吉田「予想はしてたけど、女ができた瞬間に調子に乗ってきやがると分かっててもむかつくな!」
真田「君達も早く彼女を作りたまえ!」
吉田「くっ、調子に乗りやがって」
斎藤「やれやれ(ま、本当、上手く行って何よりだな)」

と最後は真田の恋愛話によって修学旅行も終わった。

喫茶店MOON
真田「と言う訳で修学旅行も終わりました」
月砂「へえ、和君にもついに彼女ができたんだ」
真田「はい。残念ながら今日は連れて来れませんでしたが今度連れて来ますね」
吉田「おいそこののろけ、ちょっとは静かにしてくれ」
真田「何かなフリーの吉田君」
吉田「くっ、調子に乗りやがって」
斎藤「そのセリフもワンパターンだな」
相川「上手く行ってホッとしましたよ」
福西「つうか良く気付いたな。部員の誰も気付かなかったぞ」
真田「ま、うちの部員は鈍感な人が多いからね。相川君は察しが良いけど」
相川「ま、師匠らしくない思いつめた顔をしてましたから」
真田「さすがに鋭いね。ま、将来のお父さんにもプロ入りする前に挨拶しときたいね」
吉田「そうか、このままゴールインしたら椎名さんが真田の父親ってイメージが崩れるな」
真田「くっ、なかなか痛いところをってそう言えば結依さんは?」
月砂「急用ができたとかで実家に戻ってるけど」
真田「じゃ帰って来たらこのお土産渡してもらえますか?」
月砂「良いわよ」
斎藤「そうか、帰ってるのか?」
真田「ほほう。結依さん狙いなら僕も協力するよ。大丈夫、見た感じ脈がありそうだし」
斎藤&吉田「嘘だ!!」
真田「いきなりだねははーん、そっか、同室の子達が玖珂さんや相良さん狙いだと気付いたのか」
吉田「てめー知ってたんなら最初から言え―――!」
真田「本当にそうだったの?」
斎藤「え?」
真田「冗談のつもりだったんだけど、ひょっとして調子に乗って同室の子達に告白したとか?」
斎藤&吉田「いやいや、それはない」
真田「ああ、何か想像できた。あれから玖珂さんや相良さんの事を散々聞かれたんだね」
斎藤&吉田「ああ、まあな」
真田「怪しい。何か隠してるね」
斎藤&吉田「何も知りません」
月砂「怪しいわね」
福西「怪しいですね」
相川「怪しいです」
斎藤&吉田「悪いがこれは言えん」
真田「うーん、ちょっと吐かすのは難しいかな」

あの後、斎藤と吉田は女子から質問されまくって部屋から逃げ出すのは無理だった。騒いでたら案の定、和音先生にバレて真田と椎名との事を吐かされた。そして最後に残した一言!
和音先生「ふーん、なるほどね。だとしたらもう少し時間をかけて延々からかってあげようかしら」

斎藤&吉田(あの時、あの人の背中に黒い羽と悪魔の尻尾が見えた!? プルプル!?)
真田「何でそんなに震えてんの?」
斎藤&吉田「気にするな」
相川「この話題にはこれ以上触れない方が良さそうですね」
真田「ふむ。では恒例のポチッとなー」

ドラスポ
霞「それでは今年もドラスポの放送をさせてもらいます。まずプロ野球ですがいよいよシーズンも終わりと言うか優勝はスワローズとブルーウェーブと決まってますが」
武藤「しかしタイトル争いは熾烈ですね」
霞「はい。武藤さんの言う通りタイトル争いは熾烈です。と言ってもMVPや新人王や沢村賞などはシリーズ終わってからですが」
武藤「セリーグではスワローズ優勝の立役者ことライアンが凄いですね。MVPは恐らく彼でしょうね。タイガースのブライアンも負けずとホームラン争いのトップですしね。パリーグでは首位打者独走の久住や新人で現在本塁打トップの八坂などが活躍中ですね。後はホークスの御堂などが投手三冠トップと大活躍してますね」
霞「セリーグでは現在13勝とカープの西條選手が活躍中です。他はルーキーの大下君が100試合出場などと頑張っております。パリーグでは武藤さんの言っていた。八坂君が現在ホームランキングですがその差は接戦で誰が獲るかまだ分かりませんね。ルーキーの平井君も頑張っておりますがこちらは放れてるのでホームラン王争いに加わる事はないでしょうと今年もパリーグは高卒ルーキー選手が大活躍しております」
武藤「近年はルーキーの活躍が凄まじいですね」
霞「と言い忘れていましたがブルーウェーブの奥森君も現在14勝と新人王争いも熾烈です」
武藤「奥森君の活躍は意外と言えば意外でしたね。キャンプで新球のカーブを作ってそれが面白い様に相手を翻弄するんですから」
霞「武藤さんもカーブと言うかドロップを得意としてたピッチャーですよね。アドバイスとかしたんですか?」
武藤「いえ、あのカーブは仙石と高月と組んで作り上げたらしいですよ。ドロップカーブに似た変化をしているんですが微妙に違って打者を打ち取るに適してるとか言ってましたね」
霞「何かブルーウェーブってカーブ系の決め球を得意としてる人が多いですね」
武藤「そう言えばそうですね。それに左投手もですか、ま、1軍でローテーション入りしてる中にはそうでもない選手もいるけど良い成績残してる選手はほとんど左のカーブピッチャーが多いですね」
霞「昔と違って今は左バッターの良い選手が多いですからね。そう言う理由からでしょうかね」
武藤「ま、そうなのかも知れませんね」
霞「おっと、そうそう。セーブポイントですがセリーグは樋川選手、パリーグは高月選手が現在トップです!」
武藤「うーん、樋川も今年は凄いからな。高月も獲ったら4年振りのタイトル獲得になるのか」
霞「タイプは違いますが2人共コントロールが良いのが特長ですね」
武藤「ええ、個人的にはこの2人の同リーグでの投げ合いってのも観て見たかったですね。FA権獲得すると高月は30前半か十分面白い投げ合いになりそうですね」
霞「ブルーウェーブは戦力が落ちる訳ですがブレーブスで投げ続けてきた武藤さんとしたら良いんですか?」
武藤「まあ、その頃には若手も育ってるだろうし問題ないんじゃないでしょうか?」
霞「はあ、とにかくライオンズの黄金時代は新星ブルーウェーブがついに破りました」
武藤「そう言えば5年連続でライオンズが優勝してたんですよね」
霞「はい。それを打ち破ったのは昨年MVPの久住選手になるんでしょうね」
武藤「カラスがライオンを食ったか―――想像したらとてもシュールな絵が浮かびましたよ」
霞「とにかく、プロ野球も熾烈なタイトル争いをしております。10月の日本シリーズではライアンVS久住との戦いと言う事で盛り上がりを見せそうです。以上、ドラスポがお送りしました!」

喫茶店MOON
真田「今年も勝てなかったか―――っていつになったらベイスターズ優勝するんだよ」
吉田「前に優勝したのは1960年の大洋ホエールズ時代と俺らが生まれる大分前だからな」
真田「つまり35年間優勝はならずですか」
相川「優勝したのは山崎監督が現役時代の頃ですからね。今年もBクラスだろうし当分、先なんじゃないでしょうか?」
真田「お前らそれでもベイスターズファンか!」
吉田「と言ってもな。実際、勝てないんだから仕方ないだろう」
相川「僕は広島出身なのでカープファンですから」
真田「ほほう。よもや同じリーグのカープとは!」
福西「ちなみに僕はジャイアンツファンです!」
真田「弟子2人に裏切られた!?」
斎藤「別に良いじゃないか好きな球団くらいは自由で」
真田「そう言う斎藤もカープファンのくせに!」
斎藤「うーん、福井さんも引退してからはそれほどでもないんだけどな」
吉田「でもカープの次の監督は福井さんに頼む予定らしいぞ」
斎藤「何っ!?」
吉田「二階堂のおじさんが天野さんがバファローズの監督を引き受けたらまず就任するだろうなと言ってたからな」
相川「いつかは監督になると思ってましたがこの次期にですか?」
吉田「今年のドラフトで天野さんが入るだろうから父親に引かせてあげたいとか言ってたしな」
相川「カープも新しい先発が欲しいって言ってましたからね」
斎藤「うーん、いきなり天野さんをめぐるドラフト対決か」
吉田「天野さんはやっぱり父親のバファローズに行きたいだろうからな」
真田「ふっ、去年の大下さんの様にそうそう高卒選手が自分の行きたいところに行ける訳ないっての」
吉田「すさんでるな」
福西「ジャイアンツはやっぱり将来の4番候補の高須さんかな」
吉田「あそこは外野陣が充実してるからな。天野さんか高須さんだろうな」
斎藤「地元のベイスターズは相良さんか嘉神さん狙いかな」
吉田「そうだな。評価が難しいけど、河島さんもどっかの球団が1位指名するだろう」
福西「他にも木下さん、真島さん、筒井さん、岡崎さんといますからね。どの人も上位指名が固いでしょうね」
相川「良い選手が多いからね。そんな時代に生まれてたら僕らなんてスカウトの評価も低いだろうね」
福西「今年の1年バンザイ!」
吉田「と言っても平下や話題性抜群の柚もいるぞ」
福西「平下なんて嫌いだい!」
真田「ふっ、同じ外野手としてそのセリフには同意するよ」
斎藤「まだ落ち込んでたのか?」
相川「どっちにしろ今年のドラフトは昨年以上に楽しみですね」
真田「ふっ、そうだね。と言う訳で来年こそベイスターズが優勝だ―――!」
斎藤「結局こう言うおちかい!」

と言う訳で修学旅行も終わり轟天農業高校との出会いや真田に彼女ができたなどと色々あったが秋の大会が始まるのだった。