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霞「試合は9回裏に入りました。ここで1点を取れば完全試合に奪三振と斎藤君は記録づくしで決勝へと進みます!」
武藤「しかし石崎君も負けないピッチングをしてますからね」
霞「延長になると赤竜高校が有利ですかね?」
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石崎主将「こっちはこっちで負ける訳には行かないんだよ!」
霞「積極的にバットを振って行くも空振り三振と残念な結果に終わります!」
真田(さすがに150キロにあのフォークじゃセーフティも難しいな。とにかくボールの上をたたいて内野安打が理想かな)
石崎主将(こっちも勝敗は譲れないんだよ!)
霞「真田君は打ち上げキャッチャーフライに倒れます!」
石崎主将(負けたくない!)
霞「最後はフォークを空振り三振と延長戦に突入します!」
石崎主将「延長か」
広瀬「こっちは完全に抑えられてるけどな」
石崎主将「俺もこれから完全に抑えて行くさ。とにかく1点だ。先に取った方が勝者となる」
広瀬「ま、あっちは裏だから取った時点で勝つわけだが」
石崎主将「やかましい! 分かってんならとっとと4番の仕事をして来い!」
広瀬「そうだな!」
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斎藤主将「やっぱり延長か、このままじゃ18回まで持つかどうかは分からないけど、延長戦で手を抜くわけにも行かないし意地で投げ切るしかないか!」
霞「143キロのストレートに当てましたが結果はサードフライです!」
斎藤主将(シュッ!)
霞「川崎君も当てますかショートゴロに抑えられます!」
斎藤主将(シュッ!)
霞「アウトコースギリギリ見逃し三振で3アウトチェンジです!」
吉田「向こうも当てて来たけど、スタミナとか大丈夫か?」
斎藤主将「まだ余力はある。ただテンポ良く来ているせいか18回までは持ちそうもないな」
斎藤主将「だと良いんだがな」
斎藤主将「?」
斎藤主将「そう言えばそうだったな」
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石崎主将「サヨナラ打てないのは嫌だけど、一発食らえばサヨナラってのもスリリングで良いよな!」
吉田(後ろは斎藤だし無理に長打を狙う必要はない!)
石崎主将(フォークで変化球の印象をあたえてやろう!)
霞「初球フォークを空振り1ストライク!」
石崎主将(次はストレートだと芸はないのでシュートだ!)
霞「ボテボテのファーストゴロ、ファーストの山本君が石崎君に投げて1アウトです!」
斎藤主将(打つ!)
石崎主将(抑えるだけだ!)
霞「飛距離は出ているがやはり球威に押されたかスタンドまでは届きそうもないが左中間は抜けた! 斎藤君はサードには行かない。セカンドストップだ!」
石崎主将「ちっ! やってくれるぜ!」
斎藤主将(ようやく打てたな。篠原まで回るし石崎の性格上敬遠もないだろうしここがチャンスだ!)
石崎主将「打てる物なら打って見ろ!」
霞「チャンスでしたが木下君は152キロのストレートを空振り三振!」
広瀬(当然だが歩かせはしないな。ま、実質こいつにはノーヒットみたいな物だしな)
石崎主将(絶対にホームは踏まさん!)
霞「MAX153キロのストレートを空振り三振で3アウトチェンジ! サヨナラのチャンスでしたが後続は続けず11回に入ります!」
石崎主将「まあこんな物だな!」
広瀬「ヒットは打たれたけどな」
石崎主将「ふん! 次の打席でお返しするまでさ! お前も4番ならそろそろ打てよ!」
広瀬「おう!」
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斎藤主将「チャンスは終わったか、長打力の高いのが続くから気は抜けないし、本当に精神力が試されるな!」
石崎主将「ファーストで止まってないでセカンドへ走れ!」
霞「センターの頭を越えた! 打った広瀬君はセカンドでストップ!」
霞「観客席からは残念なタメ息が聞こえそうですが、しかしヒットはヒットこれで完全試合の記録も消えてしまいました!」
斎藤主将「次は石崎か、意地でもホームには返さん!」
石崎主将「良い場面で回って来たな。そろそろ決着をつけようじゃないか!」
斎藤主将(シュッ!)
霞「初球フォークを引っかけてピッチャーゴロでアウトです。セカンドの広瀬君は戻って1アウト2塁になりました!」
斎藤主将「お前の真似だ!」
斎藤主将(シュッ!)
霞「続く山本君もカーブを打ち上げてファーストフライで2アウト!」
斎藤主将(シュッ!)
霞「最後は142キロのストレートを空振り三振で3アウトチェンジです! 転生高校もチャンスでしたが後続は3人で終わりました!」
斎藤主将「とりあえず後続は抑えたな」
斎藤主将「ああ、そんな記録もあったな。あれはどんな俊足でも追いつけなかったし気にしなくても良いぞ」
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石崎主将「打席では腹の立つ結果に終わったがそれで終わるほど俺は弱くないぜ!」
広瀬(大丈夫そうだな)
霞「1球2球と当てましたが最後のボールにはかすりもせず空振り三振に終わります!」
石崎主将「次もこいつで終わらす!」
霞「下位打線にも容赦はなしでフォークで三振に抑えます!」
石崎主将「とどめ!」
霞「最後はど真ん中に150キロのストレートが決まりこの回は三者三振に抑えます!」
霞「ちょっと待って下さい。ここまで斎藤君は24個、石崎君はこれで25個とたしかに抜いてますね!」
霞「うーむ。ちょっと分かりませんね? しかし試合は延長とまだまだ終わりそうもありません!」
石崎主将「投げれば投げるほど力
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斎藤主将「こっちも下位打線だしとっとと抑えよう!」
霞「まずは山本君を空振り三振に抑えます!」
斎藤主将「とにかくスタミナ配分なんてできる流れじゃない。全力投球だ!」
霞「続く庄田君も143キロのストレートを空振り三振!」
斎藤主将「こいつで終わりだな!」
霞「中川君も空振り三振とこの回は三者三振に抑えます!」
斎藤主将「これで12回も抑えた!」
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石崎主将「これで何回目の対決になるのやら? ま、斎藤があんなピッチングする以上こっちも負けられん!」
真田「今度はもっと上をたたく!」
霞「サード前の内野安打で真田君が塁に出ます! いえ、記録はサードのエラーですね!」
石崎主将(面倒な奴が出たな。1球外して見るか?)
広瀬(構わんが初球に走るとは限らんぞ!)
石崎主将(それもそうだな。それに下手して暴投でもされたらますますピンチになるしな)
石崎主将(とにかく真っ向勝負! ホームに返さなきゃ問題はない!)
霞「経緯はともかく1回と同じく1アウトランナー3塁でサヨナラのチャンスとなりました! 吉田君はこのチャンスを生かせるでしょうか?」
相川「それじゃ後はお願いします」
吉田「ああ(しかしスクイズかバントの練習もしてなくはないんだが上手く行くと良いんだけどな)」
石崎主将(さてとスクイズはないと思うがエラーされても終わりだからな。とにかく三振にするしかない!)
広瀬(さすがだな。この状況で動じる事もなくむしろワクワクしてる。俺達も必死でフォローするぞ!)
石崎主将(シュッ!)
吉田(サッ!)
霞「いきなりバントの構えでしたがボールなので構えを戻して判定はボールで1ボール! ちなみにランナーの真田君は既にサードに戻ってます!」
吉田(やっぱりそうそうは成功しそうもないな)
石崎主将(いきなりスクイズか、ポーズだけとも考えられるが!)
広瀬(とにかく当てさせないボールを投げよう!)
吉田(ふう)
霞「次はフォークを見逃して2ボールとなりました!」
石崎主将(シュッ!)
吉田(入ってるな。まだ有利だけど)
霞「次はストレートを見逃し1ストライク2ボールとなりました!」
石崎主将(とにかく内野と外野を前進にして低めに集まれば外野は越さないだろう!)
吉田「しまった!?」
霞「バントを空振りし真田君は挟まれてアウト!」
石崎主将(こいつでとどめだ!)
霞「最後も153キロを記録し空振り三振で12回も終わりました!」
広瀬「うむ。見事なエラーだったな」
広瀬「冗談だ。良く焦らずアウトにしたな」
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斎藤主将「油断のできないバッターが続くが流れは渡さん!」
霞「バッティングでは活躍できませんが守備は華麗とは言えないまでも捌いて1アウトです!」
斎藤主将(シュッ!)
真田(タッタッタ!)
霞「いまいちな当たりでセンター前に落ちる打球になりそうでしたが得意の足でアウトにします!」
斎藤主将(シュッ!)
霞「前の打席ではヒットを打った広瀬君でしたが空振り三振と終わります!」
石崎主将(楽しいがそろそろ決着をつけたい。次の俺の打席で決める!)
斎藤主将(終わったと言っても次は俺の打席からだったな)
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石崎主将「打席の前にまずは抑えないとな!」
斎藤主将「ここでこの球速か」
霞「最後は153キロのストレートを空振り三振!」
石崎主将(シュッ!)
霞「また空振り三振と木下君は今日良いところなしです!」
石崎主将「次も抑える!」
霞「篠原君は当てますがピッチャーフライに終わって3アウトチェンジです!」
石崎主将「生意気に当てやがった」
広瀬「なかなかやるな」
石崎主将「だが俺の敵にはならんな!」
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斎藤主将「石崎か、一発だけは注意しないと!」
石崎主将「高めだと!?」
霞「低め低めと来て最後は高めを打ち上げてセンターフライに倒れます!」
斎藤主将(シュッ!)
霞「最後は144キロのストレートを空振り三振!」
斎藤主将(シュッ!)
霞「最後は143キロのストレートとこの回も三者凡退に抑えます!」
斎藤主将「とりあえずは抑えた!」
吉田(表情やボールには出ていないが少しは疲れてるだろうな
斎藤主将「とにかく投げ続けるだけだ!」
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石崎主将(シュッ!)
霞「危険なボールもありましたが最後は見逃し三振に抑えます!」
広瀬(大丈夫か?)
石崎主将(ちょっと汗で滑っただけだ。落ち着けば問題はない!)
広瀬(そうか)
石崎主将(ポムポム! パッ!)
霞「152キロのストレートを空振り三振で2アウト!」
石崎主将(シュッ!)
霞「フォークに当てますがサードゴロに倒れ3アウトチェンジです!」
広瀬「本当に大丈夫か?」
石崎主将「落ちてなかったか?」
広瀬「落差はあったがキレは落ちてた気がするかな」
石崎主将「疲れてないと言えば嘘になるが、打たせはしないさ!」
広瀬「……そうだな(後4回持つと良いんだが?)」
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斎藤主将「ここまで来たらとにかく投げるだけだ!」
霞「144キロのストレートを空振り三振!」
斎藤主将(シュッ!)
霞「最後はカーブを空振り三振で2アウト!」
斎藤主将(シュッ!)
霞「話してる最中ですが中川君も144キロのストレートを空振り三振で3アウトチェンジです!」
霞「とにかく15回表も終わっていまだに1点は入りません。球史に残りそうな投手戦となりました!」
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石崎主将(まずは足の真田からか)
霞「150キロのストレートに当てますがピッチャーゴロで1アウト!」
石崎主将(今度はバントの小僧か)
霞「続く相川君も当てますがセカンドゴロに倒れます!」
石崎主将(ミート野郎も邪魔だ!)
霞「最後はインコース低めのストレートを見逃し三振で15回も終わりました!」
広瀬(失投がないのはさすがだな。しかしさすがの石崎でも18回まで持つだろうか?)
石崎主将(斎藤がゼロに抑えてる以上こっちも負けられん!)
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斎藤主将(シュッ!)
霞「最後は145キロのストレートで見逃し三振に抑えます!」
斎藤主将(シュッ!)
霞「今日始めての失投だったが効果的なチェンジアップになったか八代君も三振に抑えられます!」
広瀬「気にするな。失投を打てない事なんて良くある話さ」
石崎主将「お前の場合はもう少し気にしろ。八代は気にするな気にして守備で散漫になる方が困る」
斎藤主将(シュッ!)
霞「最後はアウトコース高めのボール球を振らされて三者三振と抑えます!」
霞「とにかく16回表も終わりました。16回裏に入ります!」
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石崎主将(ここで斎藤を完全に抑える!)
斎藤主将「このまま振り切れ―――!」
石崎主将「………………終わったか
霞「入った。試合を決めたのは4番の一振りでした!」
霞「ってどうしたんですか?」
霞「たしかに回が始まっての初球でしたからね」
霞「そうですね。球速も152キロとホームランを打てるボールとは思えませんでしたからね」
霞「とにかく長い延長戦でしたが投手戦となりピッチャーが試合を決めると球史に残りそうな試合となりました。試合は壮絶な死闘でしたが1対0で赤竜高校が勝利しました!」
霞「はい。明日は無明実業VS赤竜高校の試合となります。それでは明日もお会いしましょう!」
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広瀬「大丈夫かって大丈夫なわけはないか」
石崎主将「バカ言え! 斎藤はここから立ち直ったんだぜ。俺が負けてられるかよ!」
浅野監督「まあ今年もベスト4に残っただけ上出来と思うか」
石崎主将「夏は優勝ですけどね。ちょっと用事があるからお前らは先に帰ってろ!」
広瀬「おう!」
石崎主将「ああ」
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斎藤主将「とにかく後1つだ。後1つでお前らとの約束を果たせる!」
柚「個人的には投げたいけど、私じゃ通用しないから」
斎藤主将「そんな弱気じゃ困る!」
斎藤主将「さすがに明日の連投は難しそうだ」
斎藤主将「そう言う事だ。個人的には残念だがバッターとしては問題ない。だがピッチャーは」
柚「分かった。私が投げる!」
斎藤主将「ああ、頼む!(悪いな。風祭、石崎相手じゃ無傷ってわけにはいかなかったよ)」
中西監督「まあ決勝は明日だ。ゆっくり休んで明日に備えろ!」
中西監督「それと斎藤にはお客さんらしい」
斎藤主将「…………石崎か、ちょっと行って来る」
真田「しかし斎藤が投げられないのは痛いね」
吉田「まあな。けどあいつに引っ張られてここまで来れたんだ。あいつが頑張れない時くらい俺達がフォローするしかないだろう」
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石崎主将「ほれ(ポイッ!)」
斎藤主将「っと!」
石崎主将「公園でお茶と言うのもしけてて悪いがまあ2人で話したかったからな」
斎藤主将「それで何を話すんだ?」
石崎主将「そうだな…………まずは家族構成とかな」
石崎主将「まあな。俺は石崎家の長男と言っても親は既に他界してるからいないけどな」
斎藤主将「…………そうなのか」
石崎主将「ああ。爺と婆と3人で何とか暮らしてるさ」
石崎主将「次はお前の番だぞ」
斎藤主将「両親は別の町で喫茶店を運営してる。家じゃ姉貴と居候が2人いるな」
石崎主将「お前も別の意味で両親とは離れてるのな」
斎藤主将「まあな。けど昔からこんな感じだしあまり気にした事はなかったな」
石崎主将「ふーん、それでどう言う切欠でお前は野球を始めたんだ」
斎藤主将「草野球らしい」
石崎主将「らしい?」
石崎主将「なるほどな。俺はダチに誘われて始めたのが切欠だった。それから広瀬と組んで投げるのが面白くてな」
石崎主将「半分はな。もう半分は
石崎主将「ああ、今日あれだけ投げたからな