|
中西監督「今日は決勝戦だ。言うまでもないがここまで来たら勝つしかない!」
中西監督「何気に春の決勝進出は初めてだからな。ここで勝てばお前達の名が学校の歴史に残るぞ!」
中西監督「大沼は昨日投げてるから先発は小椋だろうな」
相川「御堂君、沢田君、後藤君に負けないピッチャーですね」
中西監督「ああ、140キロにコントロールが良いとバランスの整った投手だな。狙い目があるとすれば決め球がないって事くらいか」
中西監督「篠原の言う通りそんな感じだな。こっちは風祭で行く。同じ学年だ。負けるなよ!」
柚(コクッ!)
風祭主将「あっちは柚が先発か」
風祭主将「試合じゃ親だろうが妹だろうが打つだけだ!」
大岡監督「いや、こいつは妹の入部テストで初球をホームランにした男だ!」
風祭主将「手加減したところで何になる。あいつはこの厳しい世界で頑張ろうとしてるんだぞ。思いっきり打った方があいつの為になるだろう!」
大岡監督「ちなみに女性だから打てませんでしたと言う言い訳はなしだからな」
坂本「それよりも今日は小椋が先発なんですね?」
坂本「ダメとは言ってない。ただ経験値の少ないお前で良いのかなと思ってるだけだ」
大岡監督「実力的にはどっちも大して変わらんからな。だから疲労の少ない小椋にした。それだけの話だ」
坂本「喜べば良いんじゃないか、だって勝てば甲子園優勝投手としてスカウトにアピールできるぞ」
坂本「そんな意識じゃドラフトには…………でもないか、投手は指名される確率が高いからな」
|
||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
|
霞「いよいよ春の甲子園も終わりに入りました。ここでの注目は先発はエースではなく控えのピッチャーってところですかね?」
武藤「そうですね。斎藤君は昨日の疲れから風祭さんになったんでしょうね。小椋君はエースの大沼君に負けないピッチャーだから昨日投げてる大沼君を温存しての登板ってところですかね」
霞「そうそう。斎藤君には残念ですが風祭さんがややこしいので柚さんにしましょう。柚さんが先発でファンから兄妹対決と騒がれております!」
霞「そんな些細な事はどうでも良いんです。とにかく両校が甲子園で対決するのは…………とにかく何十年か振りになるのです!」
霞「対決したのは福井さんと天野さんの時代でドラフトができた年でもありました。当時の赤竜高校は残念ながら敗退しましたが時代は進んでリベンジとなるでしょうか?」
霞「さっきも言いましたがそんな些細な事はどうでも良いんです。解説の草薙さんもコメントをお願いします」
霞「分かりやすいコメントをありがとうございます。しかし勝敗が決まった訳じゃありません。泣いても笑ってもこれが最後となりますので最後までお楽しみ下さい。以上決勝戦の始まりです!」
|
柚(シュッ!)
霞「134キロのストレートを空振り三振で1アウトです!」
坂本「どうでしたか?」
坂本「なるほど、ストレートだけなら積極的に振って見るかな」
柚(シュッ!)
坂本「確かに手元でノビてるな」
霞「ストレートを打ちますがファースト正面のライナーで2アウトです!」
直人「それで?」
坂本「ストレートは手元でかなりノビますね。それと球威がないのでちょっと当てただけで長打になりそうなので注意して下さい」
直人「なるほど、強打者とは相性が悪そうだな」
柚(シュッ!)
直人「あのライト、バッティングだけでなく守備も良いな」
霞「良い当たりですがライトの守備範囲で3アウトチェンジです!」
霞「とにかく1回は三者凡退で兄妹対決は2回となりました。今後も期待して見ましょう!」
柚(バカ兄貴とは次回で対決か!)
風祭主将(成長したな。それだけに楽しみだ!)
|
霞「スライダーを打ち上げて1アウトです!」
霞「左中間を真っ二つ! 相川君はホームへ返って1点を先制します!」
藤井(いや、どちらかと言えば良い方だ。打った相手が全国区だって話だ。恐れず来い!)
斎藤主将(決められるうちに決めるか!)
霞「入った。一気に3点差となりました!」
藤井「落ち着け!」
藤井「失投を打たれて調子も悪いもあるかよ。もっと落ち着いて投げろ」
藤井「頼むぞ!」
霞「最後はアウトローに140キロのストレートで決めます!」
霞「ショートライナーに倒れて福西君もアウトで3アウトチェンジ!」
霞「しかしいきなり3点と赤竜高校も負けていませんね」
霞「ま、高校野球は3年も経てばメンバーが代わりますからね。これも時の流れと受け入れるだけですよ」
吉田「一気に行くと思ったけど、流れを止めやがったな」
斎藤主将「ヒットなら2人で終わる事もなかったかもな」
斎藤主将「そうだな」
|
霞「高校球史では史上初めてとなる兄妹対決となりました!」
柚(とにかく慎重にボールから入る!)
風祭主将(さてと、どう言うふうに成長したのか)
霞「入った―――兄の一振りで1点を返します!」
風祭主将(成長したな。変化球も悪くはないし良いコースを付いて来る。これなら大学、社会人と行けばプロ入りも期待できそうだ!)
柚「また打たれた」
霞「風祭君に打たれた物の続く戸田君はライトフライに倒れて1アウトです!」
柚(シュッ!)
霞「藤井君は133キロのストレートを空振り三振で2アウト!」
柚(シュッ!)
霞「八木君も見逃し三振とホームランを打たれた物の後続は抑えます!」
|
霞「140キロのストレートに当てましたが打ち上げてライトフライに倒れます!」
霞「アウトコースのスライダーを空振り三振し2アウトです!」
霞「父親の高校時代と比べてはどうなんでしょうか?」
霞「うーん、夢がないですねっと?」
柚(速いけど打てる!)
霞「いつの間にか追い込まれてた風祭さんがヒットを打ちます!」
柚(タッ!)
霞「風祭さんの足が一歩速くセーフです!」
霞「現代じゃ左投げの内野は考えにくいんですが昔はもっといたんでしょうか?」
真田「ふっ!」
風祭主将(パシッ! シュッ!)
霞「三遊間を抜けるかと思いましたが風祭君が捕って3アウトチェンジです!」
柚「別に構わない」
直人「愛されてるね」
風祭主将「いや、それよりもずい分当てられてるけど調子が悪いのか?」
直人「同じ左で昨日は石崎と対戦してるから140キロなんて止まって見えるのかもね?」
風祭主将「そうかも知れんな。まあ大沼は昨日のあれで調子がいまいちだから使えないんだが」
直人「うむ。それでこそ未来のエースだ。150キロのストレートで抑えて来なさい!」
|
柚(シュッ!)
霞「鈴木君はエアナックルを打ち上げて1アウトです!」
柚(シュッ!)
霞「小椋君は135キロのストレートを空振り三振!」
柚(シュッ!)
霞「良い当たりでしたがライトへの高いフライで3アウトチェンジ!」
坂本「やっぱり球威はなさそうだな」
坂本「なるほど」
|
相川「来た!」
霞「得意のスライダーでしたが相川君が綺麗に打ちます!」
吉田「あまいっ!」
風祭主将(タッ! パシッ! シュッ!)
坂本(パシッ! シュッ!)
霞「やはり三遊間は抜けない! 風祭君が捕って6−4−3のダブルプレーで2アウトとなります!」
霞「とにかくキャプテンらしくピンチになりそうだった流れを一気に変えます!」
斎藤主将(素質はあると思うけど、ちょっと精神的に脆そうなイメージがあるな)
霞「斎藤君にはストライクが入らずストレートのフォアボールで出塁します!」
藤井(落ち着け! 何度も言うが調子は良いんだ! 恐れず投げて来い!)
霞「最後はアウトコースのスライダーを見逃し三振!」
霞「ちなみに篠原君も変化球には強いと言う話ですが?」
霞「なるほど、しかしフォアボールを出した時には打たれる予感がしたんですが見事に抑えましたね」
藤井「そうそう。ああ言う堂々としたピッチングで行け! 逃げ腰で無明のエースとは言えないからな!」
藤井「お前はまだまだ成長期だからな。ドンドン打たれて成長して行こう!」
藤井「と言っても他の投手陣を寄せ付けないだけ才能はあるんだろうな」
|
坂本(反撃開始と行きますか!)
霞「右中間を抜けて打った坂本君はセカンドでストップ!」
霞「しかし残念ながら風祭君は秋から4番を打っています。そして4番としての打点も本数も素晴らしい成績を出しています!」
霞「とにかくノーアウト2塁でバッターは3番の天野君です」
柚(巧打者が多いけど、全員右なのはまだやりやすいか)
直人(合わせるだけで飛距離が出やすいからそこのところを考えながら打てば良いかな)
霞「今度はライト前ヒットですが坂本君は無理せず3塁で止まります!」
柚(…………本当に良く打つ)
風祭主将(あの2人はセンスが良いし柚にはちょっと荷が重かったかな)
霞「センターの頭を抜けると思いましたが抜けずセンターの真田君が快足を見せてアウトにします! しかし坂本君はタッチアップして返り天野君も戻って1アウトランナー1塁となりました!」
柚(…………抑えられた。初めてバカ兄貴を抑えられた!)
風祭主将(残念ながら打てなかったか)
霞「続く戸田君は自己最速135キロのストレートを見逃し三振!」
柚(シュッ!)
霞「最後はエアナックルを空振り三振し3アウトチェンジです!」
風祭主将「真田のファインプレーで流れが戻ったんだろう」
|
霞「最後はインコースのストレートを見逃しの三振!」
霞「高めのストレートを打ち上げて2アウトです!」
霞「最後はアウトコースのスライダーを空振り三振!」
霞「とにかくこの回は見事なピッチングで三者凡退に抑えます!」
藤井「まあ下位打線はお前の敵じゃないな」
藤井「調子も上がってるしコースを付けばそうそう打たれないさ」
|
柚(シュッ!)
霞「低めのストレートをレフト前に打ってノーアウトでランナーが出ます!」
吉田(攻守に長けたバッターだけど足はそれほどでもないからバッターに集中しよう!)
柚(コクッ!)
霞「ファーストへのボテボテの当たりでセカンドは諦めてファーストへ投げて1アウトです!」
霞「今度はピッチャーゴロで2アウトです。これで2アウトランナー2塁となりました!」
霞「ショートの頭を越えるかと思いましたが根本君が追い着いて3アウトチェンジです!」
柚「ふう、これじゃ9回まで持ちそうもない!」
吉田「それでも頑張ってもらわないとな!」
斎藤主将「飛ばせるだけ飛ばしてバテたら俺が投げるさ!」
斎藤主将「連投で完投は難しいってだけだ。短いイニングなら万全に投げられる!」
柚「それなら最初からそう言え!」
斎藤主将「柚らしくないセリフだな。同い年の凄いピッチャーばかり観て自信がなくなったか?」
柚「そんな訳はない!」
斎藤主将「それじゃ同い年に負けないよう頑張らないとな!」
柚「言われるまでもない!」
坂本「まあ決勝まで来るチームですから守備も上手いんでしょうね。小椋も気にせず抑えて行こうな!」
|
柚「届け!」
霞「ファースト前の当たりだがカバーに入る小椋君より一歩速くセーフです!」
霞「どれどれ……確かに良く打ってますね。打ってるのはミートの上手いバッターばかりって感じですね」
霞「はい。ちなみに坂本君が打った時も風祭君の犠牲フライで1点が入ってます!」
藤井(完全に打ち取った当たりだったんだ。気にする事はない!)
藤井(とにかくあの妹君は足も速そうだから外して行くぞ!)
霞「最後も外れてフォアボールで出塁します!」
とにかく送りバントの可能性もあるが真っ向勝負だ!)
坂本「ったく世話の焼ける奴だ!」
霞「一二塁間を抜けるかと思いましたが坂本君が捕ってダブルプレーに倒れます! しかし柚さんはサードに到達し2アウトランナー3塁となりました!」
相川「ええ。プロでもあそこまでのコンビはいないでしょうね」
霞「センターの頭を越えるかと思いましたが天野君が捕って3アウトチェンジ!」
霞「と武藤さんが言うくらい名手揃いの無明実業でした!」
坂本「はあ、お前ももっと頑張れよ!」
風祭主将「あっちは1回戦から良いピッチャーとばかり当たって来てるからな。速い球やキレる変化球にも慣れてるんだろう」
坂本「それを言うならこっちも良いピッチャーと当たってますけどね」
風祭主将「まあな」
坂本「そう言えばなんでファーストに投げたんですか?」
風祭主将「あの体勢じゃサードよりファーストに投げた方が確実だからだ」
坂本(…………やっぱそれか!)
|
柚(こいつは抑える!)
坂本(さすがだな。セカンドの守備としては相川の方が俺より上か)
霞「二遊間は抜けず相川君が捕って1アウトです!」
霞「ちなみに坂本君はショートがメインって話ですが?」
霞「そうですね。しかし過去より今の試合に集中しましょう!」
柚(次も抑える!)
霞「バックスクリーンへ入った。天野君の一発で同点となりました!」
風祭主将「そうだな。それに交代のようだしな」
中西監督「………………」
霞「ここで中西監督が出ます。残念ながら交代のようですね」
霞「ちなみにレフトの斎藤君がマウンドに向かってマウンドの柚さんがレフトへ走ります!」
風祭主将「さすがは勝負師だな。悪くない交代だ」
風祭主将「信じられないだろうがまったくと言ってない!」
風祭主将「とにかく打席に立たないと分からないな」
斎藤主将「待ってた
風祭主将「速いが、それよりもノビがやっかいだな」
霞「いきなり145キロを記録しました! 風祭君は空振りして1ストライク!」
斎藤主将「全力全開!」
風祭主将「ふう、これでも当たらないか」
霞「続く2球目も144キロを計測し2ストライクと追い込まれました!」
斎藤主将(こいつで終わりだ!)
風祭主将「…………ピッチャーゴロか」
霞「結果はピッチャーゴロで2アウトとなります!」
斎藤主将「楽に抑えさせてくれそうはないな。ま、それでこそ戦いがいがあるんだけどな!」
霞「143キロのストレートを空振り三振し3アウトチェンジです!」
柚「あのホームランは悔いが残る」
斎藤主将「と言っても低めを付いて打たれたわけだからな」
柚「あのバッターは低めを待ってたから高めに投げれば問題なかったと思う」
斎藤主将「結果論だな。勝負事に『たられば』はないって事だ!」
柚「分かってはいるけど、打ち取ったと思った当たりがホームランってのはきつい!」
斎藤主将「まあ、そうだろうな。タイムリーでは俺も経験があるからな。あれもきつかったな。けどサヨナラよりはマシさ!」
柚「昨日斎藤が打った」
斎藤主将「表情には出さなかったけど、さすがの石崎もかなり堪えたと思うぞ」
柚「私も負けていられないか!」
斎藤主将「そう言う事だ。二度とごめんだが去年の春にサヨナラ食らって今の俺があるんだ。そう言う意味じゃ貴重な経験だな」
|
風祭主将「そう言うつもりはない。ただここからは1点が致命傷になる!」
直人「そんなに凄いのか?」
風祭主将「甲子園ではいまだに無失点記録を続けている怪物だ。1打席で打つどころか当てるのも難しいのはよーく理解した!」
坂本「ふむ。それじゃ死ぬ気で守りますか!」
風祭主将「とにかく四死球で自滅するのだけは避けろ!」
藤井「それは真実だからです!」
風祭主将「とにかく真っ直ぐ向かって行け!」
藤井「うむ。それでこそ無明のエースだ!」
藤井「今はな」
大岡監督「そう言われてもな。夏までには時間があるし小椋が急成長したらそうなるかも知れんが、現在は投球術の上手さで大沼を上と見てるからな」
藤井「つまり努力型の大沼と天才型の小椋では努力型をひいきしてるんですね」
藤井「少なくとも大沼より才能はある。何故ならお前は特待生で俺達は推薦だからだ!」
霞「初球を打った! 打球は左中間を抜けて打った斎藤君はセカンドでストップ!」
風祭主将「あっさりと打つな」
ま、コースも変化も特に難しかった訳じゃないからな。言っちゃ悪いがまだまだ経験不足だな!」
風祭主将「なるほどな」
霞「ピッチャーゴロですが斎藤君はサードへ到達します!」
霞「スクイズを警戒してかボールでフォアボール!」
霞「最後はボール球のカーブを振らされて空振り三振で2アウト!」
霞「最後はアウトコースのスライダーを見逃し三振でこの回を無失点に抑えました!」
|
斎藤主将(シュッ!)
霞「インロー143キロのストレートを見逃し三振で1アウト!」
斎藤主将(シュッ!)
霞「ミートに定評のある八木君も三球三振に抑えられます!」
斎藤主将(シュッ!)
霞「最後は143キロのストレートを空振り三振し3アウトチェンジです!」
吉田「なら誰かさんは罰ゲーム確定か」
柚「それでハジメは大丈夫?」
斎藤主将「スタミナなら問題ないよ。どっちにしろ弱音を吐けるような試合じゃないしな」
柚「泣いても笑っても今日が最後」
斎藤主将「そう言う事だ!」
|
柚「スライダー!」
霞「スライダーを打った。今日は3打数3安打とバッティングでもアピールします!」
霞「とにかくまたもや出ました。ちなみに1回目は盗塁を成功させてますが走って来るでしょうか?」
藤井(案ずるな。お前はクイックが上手いしそうそうは走られん!)
藤井(あれは初球からだったからだ。こっちは完全に想定外だったからな)
藤井(2打席目にはタイミングが合ってたな。ま、四死球で自滅だけは避けろって言われたしインコースを付いて行くか!)
藤井(シカトだ。とにかくバッターに向かって行け!)
霞「初球から走ったと思ったら狙ったのはバントエンドラン! しかしファーストはアウトで送りバント成功の形で終わりました!」
藤井(さっきは抑えただろう。恐れず来い!)
相川(ここは団長に続くか!)
霞「セーフティに見せかけたバントですが、結果的に送りバントの形で終わりました!」
藤井(ま、結果的にはアウト2つもらったんだ。ここで抑えれば問題はない!)
相川「後はお願いします!」
霞「センターの頭を抜けるかと思いましたが天野君がジャンプしてキャッチし3アウトチェンジです!」
坂本「こっちはトップバッターがホームラン打ってますけど」
坂本「ま、この状況で3失点に抑えてるところはどっちもさすがと言うべきかな」
坂本「ああ。今日の先発はお世辞にも良い出来とは言えないだろう」
坂本「それで3失点に抑えてるのはさすがだって事さ」
|
斎藤主将(シュッ!)
霞「最後は144キロのストレートを見逃し三振で1アウト!」
霞「現役の頃を思い出すからですね!」
斎藤主将(シュッ!)
霞「佐藤君も143キロのストレートを見逃し三振で2アウト!」
坂本「手元でノビるストレート、それも異常なほどにノビるか、分かってはいたけど想像以上に打ちづらそうなピッチャーだな」
斎藤主将(シュッ!)
坂本「ダメだ。ただでさえ速くノビがあるのにコース付かれたらそれこそ手も足も出ない!?」
霞「期待の坂本君も三球三振とこれで7連続奪三振です!」
霞「とにかくこの回も無失点と試合はまだまだ続きそうな気がします!」
霞「いやー流れが変わりそうで変わらない変な試合ですから」
霞「大丈夫です。ここからは1点が重要と言う訳で緊迫感は多分あります!」
斎藤主将「裏で決勝点を取るか!」
|
霞「期待の斎藤君からでしたが思ってたよりは伸びずにライトフライに倒れます!」
霞「三遊間を抜けるかと思いましたがショートの風祭君が追い着いて2アウトです!」
霞「意外にもこの回はあっさりと三者凡退に終わります!」
霞「とにかく3対3で9回に向かいます!」
|
斎藤主将(シュッ!)
霞「天野君も手が出ず空振り三振に終わります!」
斎藤主将(問題はここからか!)
風祭主将(ストレートに狙いを定める。問題はコースと何よりもノビだな!)
霞「入った! バックスクリーンに叩き込んだ!」
風祭主将「あっさりってほど簡単じゃなかったけどな。コースがあまかった分スタンドまで届いたし流れはこっちに傾いたかな」
斎藤主将「くそっ!」
吉田「落ち着いて行こうぜ」
斎藤主将「…………ああ、分かってる(そうだ。まだ終わったわけじゃない!)」
霞「ホームランを打たれましたが続く戸田君は空振り三振に抑えます!」
斎藤主将(シュッ!)
霞「藤井君も三振とここまでのアウトは全て奪三振と斎藤君は怪物振りを見せます!」
霞「そうです。初回に3点を失った無明実業でしたがついに逆転に成功しました。試合はこのまま終わるのか? まだまだ試合は終わらないか? 最後までご覧下さい!」
霞「…………終わりましたねじゃなかった!? 下位打線とは言え当たってる柚さんにも回りますしまだまだ分かりませんね!!」
真田「しかしこの1点は重いね」
|
霞「微妙なコースですが主審はストライクをコールし見逃し三振!」
霞「根本君は打ち上げてキャッチャーフライです! スタンドからは後1人コールと柚さんの応援コールで盛り上がっております!」
柚(変化球ならスライダーを狙うべきか?)
柚(内角ストレート!)
霞「インハイのストレートでしたがライト前に打って2アウトランナー1塁です!」
霞「そして次は今日ノーヒットと当たってない真田君です」
霞「初球は141キロを記録して1ストライク!」
霞「レフト方向への打球でしたがわずかに切れてファールです!」
霞「しかしこれで2ストライクと追い込まれました!」
霞「ワンバウンドのフォークをなんとかキャッチしこれで2−1となります!」
霞「インコースへのストレートですが外れて2−2です。次も外して来ますかね?」
霞「ボール球でしたが手が出たか、しかしファールで2−2のままです!」
霞「必死に振るもバットは空を切って空振り三振で試合終了!」
霞「と言う訳で短い様で長かった春の大会も終わりを告げました。大会No.1ピッチャーの石崎君を退けて決勝まで上がった赤竜高校の快進撃もこれにて終わりです!」
霞「とにかく4対3で無明実業が勝利しました。今度は夏の大会の前にドラスポでお会いしましょう!」
|
坂本「そりゃお前が優勝投手になったからだよ」
坂本「面白そうだから!」
風祭主将「これで俺の1勝かな。まさかこのまま終わる訳はないよな斎藤、今度会う時は今以上になってくれないと面白くないぜ!」
|
真田「まあね。ま、後1回チャンスはあるしそっちで返せば
吉田「ま、今回だけは同意してやるよ!」
真田「と言う訳で落ち込んでないで次に優勝しよう。キャプテン!」
吉田「そうそう。キャプテンなんだから後輩に落ち込んでるところを見せちゃダメだろう」
斎藤主将「そうだな。夏にまた来て今度は笑って終わろうな!」
斎藤主将(まずは約束を果たす。そして風祭と決着をつける!)