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中西監督「さてと前に話したと思うが今日は練習試合をする為、東京に向かう」
相良「ところで練習試合の相手は?」
中西監督「そうだったな。まあ、着いてからのお楽しみにしよう」
斎藤「何処なのかな?」
真田「東京と言ったら
吉田「春の日本一の高校だぞ。いくらなんでも」
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中西監督「お前ら春の日本一の高校も知らないのか?」
中西監督「そうだ!」
斎藤「と言う事は2軍と試合をするんですか?」
中西監督「いや、3軍とだ」
相良「いくら何でも3軍なら勝てるんじゃないですか?」
中西監督「今日は勝敗より今年入った1年とかを見たくて来たんだよ」
相良「なるほど」
大下主将「はあ、平井と話でもしようかと思っていたんだが」
平井主将「それなら問題はない」
平井主将「キャプテンだからだ。3軍の試合の主審は俺がする」
大下主将「キャプテンのお前が?」
平井主将「監督が今日のお前らの試合を入れ替え試験にしたんだよ。だけど監督は留守で代わりに俺が入れ替えの判断をする事になった」
大下主将「主審と監督の両方をするのか」
平井主将「そう言う事、まあ、お手柔らかに頼むよ」
大下主将「はいはい」
中西監督「大岡は留守か?」
平井主将「ええ、急な用事でさっき出かけました。若輩者ですがよろしくお願いします!」
中西監督「ああ!」
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中西監督「悔しかったら甲子園に出て練習設備を上げてもらえ!」
中西監督「勝てば寄付も集まるからな。それで学校に相談すれば色々上げてもらえるだろう?」
中西監督「多分な?」
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中西監督「スタメンは以上のメンバーだ!」
大下主将「ベストメンバーですね」
相良「いえ、斎藤はともかく1年の真田や吉田はまだ使い物になるとも思えません」
中西監督「だから練習試合で使うのさ」
相良「なるほど」
中西監督「正直、この試合の出来次第じゃあ、あいつらも夏から使うつもりだ」
大下主将「はあ、大した評価ですね」
中西監督「今年は面白い選手が多いからな。期待させてもらうさ」
斎藤「先発か頑張らないと」
真田「僕らもスタメンだね」
真田「相手も1年ばっかだし大丈夫じゃないかな?」
吉田「あまいな。向こうの中にはシニアで活躍していた奴が何人かいるぜ!」
斎藤「分かるのか?」
吉田「まあな。と言っても全員そこそこの選手で俺より少し上くらいの選手ばっかりだ。全国区の選手はもう1軍か2軍に上がったんだろう」
真田「へえ、つまり今日の相手は新入生の中でも下の下って感じなの」
平井主審「それでは始めさせてもらいます!」
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大沼「相手は赤竜高校か」
藤井「相良さんのいる高校だな。甲子園にも出てるし全国のレベルだと思った方がいいぞ!」
大沼「同級生が3人出てるけど?」
藤井「それだけ実力があるのか、まあ、最初の打者を相手にすれば分かるだろう」
真田「それで先発の彼はどんな投手なの?」
吉田「シニアで対決した事がある。球種の多いタイプで変化も速さもそれほどじゃない」
真田「へえ、僕の得意なタイプだね!」
吉田「ああ、少なくとも当てるのはさほど難しくないな」
藤井「相変わらず球威がないな」
藤井「とりあえずストレートはあんまし投げない方が良さそうだな」
大下主将「ここまで見てる限り球種が多いのが特徴な投手だな」
吉田「相手投手は悪くないのにな。さすがは赤竜高校ってとこか」
相良「あまい!!」
斎藤「相手には気の毒だけど得点できる時にしないと!」
吉田「燃えてますね」
吉田「嵯峨さんってチャンスに強いんですか?」
吉田「へえ、1割以下ですか………………
吉田「3軍の1年とは言え名門だけあって守備は上手いですね」
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大下主将「どうした?」
真田「よっと!」
斎藤「よし!」
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藤井「はいはい。見たからとっとと投げてくれ」
藤井「大した実力だな」
平井主審(2巡目か…………つかまらなきゃ良いんだが)
真田「ていっ!」
斎藤「って言ってますけどキャプテンって満塁だと強いんですか?」
相良「知らん」
平井主審「この場面で大沼以外に抑えられる奴がいないから続投だ!」
平井主審「確かにな。ここで打たれて大きくなれと言いたいが」
平井主審「野球を辞めるかも知れないと」
平井主審「しかしな代わりの投手が」
天野「俺が投げましょうか」
平井主審「天野か……試合を観てたのか?」
天野「ええ。相良と話でもしようかなって」
平井主審「練習をサボってか」
平井主審「まあ、人1倍練習熱心なお前の言葉だから信じるが」
天野「とにかく投げさせて下さい」
平井主審「まあ、良いだろう」
大下主将「ふっ、相手に不足はないな!」
相良「そんな事だと思いましたよ」
天野「どうした?」
天野「ああ。大沼の変化球をとれるんだから問題はないだろう」
相良「あの程度なら打てるさ」
天野(さてと次で決めるか!)
相良「天野はとにかくまとまりが良いからな。崩すには苦労するだろうな」
相良「ヒットではなくホームランを打って見せるさ!」
天野「捕るのに問題はなさそうだな」
相良「まだ2アウト満塁です。俺が引導を渡してやりますよ!」
斎藤「相良さんって満塁に強いのか?」
吉田「ああ。満塁にはよくホームランを打っているから!」
真田「ミスターグランドスラム!」
斎藤「らしい?」
吉田「正確な数字ではないって事だ」
天野(さてと問題はこいつだな。確か満塁で強かったしここは慎重に行くか)
相良「ボールから入って来たかストライクならスタンドだったのに」
相良(見逃せばボールだったな)
天野(よし追い込んだ!)
天野(サッ!)
相良(サッ!)
平井主審「アウト!」
中西監督「ボックスから足が出てるからアウトだな。相良にしては珍しいアウトだ」
天野(まあ、要するに俺の方が実力が上って事だ!)
真田「ホームラン打ってアウトにもなるんだね?」
真田「冗談だよ。さすがにそれくらいは知ってるよ」
斎藤「冗談はそれくらいにしてくれ」
斎藤「すみません。今行きます!」
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斎藤「後2回で完封だな!」
斎藤「よし!」
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天野「ここを抑えて裏でサヨナラと行きたいところだな!」
斎藤「天野さんには完全に抑えられているからな。ここで打たないと」
天野(さすがに3打席目だと当てる事は出来るか)
斎藤「来たカーブだ!」
天野「大した奴だな!」
天野(さてとここは慎重に行きたいところだが次の玖珂を考えると歩かせたくもないしどうするか?)
天野(さてと次は!)
天野(さてと次は大胆に攻めさせてもらうか!)
天野(問題はこの玖珂だな。ミート範囲の広い打者だから何処に投げても当てられる。併殺にとれれば最高なんだけど)
天野(よし追い込んだ!)
天野(パシッ!)
大下主将「結局得点ならずか」
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斎藤「延長はなしって事だからこの回で終わりだな!」
平井主審「フォアボール!」
斎藤「次は天野さんか、バッティングも良いんだよな」
斎藤(キャプテンは反対するだろうけど3球勝負で行く!)
斎藤「これで終わりだ!」
平井主将「ストライクバッターアウト! 試合終了!」
相良「試合には勝ったがお前には負けたな。この借りは甲子園で返す!」
天野「ああ。楽しみにしてるぜ(しかし、結局あの1年投手には負けちまったな。直人や風祭にもこの話をしてやるか)」
平井主将「2軍昇格の試験にするには難しすぎた試合だったかな。少ないがまあ2軍昇格者も出たし良しとするか」
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斎藤「と言う訳で大活躍だったな」
月砂「へえ、あんたって意外に凄いのね」
真田「月砂さんは斎藤の応援に行った事はないの?」
月砂「1度もないわね」
月砂「人聞きの悪い事を言わない」
吉田「だけど、斎藤が凄いのは本当ですよ。何でこんなセンスしてる奴が無名なんだって俺、思いましたし」
真田「そう言われるとそうだね。何で無名なの?」
吉田「村雨ってのは?」
斎藤「?」
吉田「名前は聞いたけど野球に関しては聞いてないからさ?」
斎藤「中学じゃ守備の下手な選手が多かったんだけど村雨は別だったな。守備勘が無茶苦茶良かったから何度もあいつの守備に救われたよ。それにバッティングも良かったよ。中学じゃ5割打ってたし」
真田「へえ、凄いね。ちなみに斎藤は?」
斎藤「4割だよ。まあ、本塁打や打点はその分、俺の方が多かったけど」
月砂「赤竜高校じゃ、誰が1番守備が上手いの?」
吉田「文句なしにキャプテンですよ!」
月砂「それじゃ、そのキャプテンと剣君だとどっちが上手いの?」
斎藤「村雨だと思う。あいつの守備は天性の才能だし」
真田「村雨君のポジションは外野かショートかな」
斎藤「3年の頃は外野だったな。けどあいつはファーストにこだわっていたな」
吉田「何で?」
斎藤「偉大な打者はファーストなんだって言ってたけど」
月砂「それで何で3年の頃はファーストじゃなくなってたの?」
斎藤「凄くデカイ1年が入ってね。そいつパワーも物凄くて1年でレギュラーだったんだよ。それでそいつ、物凄く守備が下手でね。ファーストくらいしか守れなくてそれでだよ」
月砂「そんなに大きかったの?」
斎藤「うん。1年でキャプテンくらいあったかな? しかも凄い馬鹿力、飛距離じゃ俺も敵わなかった」
月砂「その子の名前は?」
斎藤「
真田「見た感じは年上って事かな」
斎藤「まあ、俺達より長身だから見た目はな」
吉田「やっぱり聞いた事はなくても凄い奴がいるもんだな」
斎藤「確かに凄いよ(