第42章 それぞれの目標

−1996年 6月−
合同練習などのイベントもあり斎藤達は夏を目指して頑張って行く。
斎藤主将「もうすぐ夏だな」
吉田「ああ。公式戦で負けたらすぐに引退と俺達も歳取ったもんだ」
真田「10代で何を言ってるんだか、とにかく僕達に取っては最後の部活になるだろうから最後は笑って終わりたいね!」
吉田「お前はどんな最後を迎えても笑ってる気がするけどな」
真田「いや〜そんなに誉めないで欲しいな〜♪ ………………ってツッコミなし?」
吉田「いや、こんなお前ともこれで終わりだと思うとな」
真田「ううっ!? あの吉田がこんな事言うなんて感動したよ!」
吉田「やっぱり最後は笑ってるのかよ!」
斎藤主将「ぷっ! あっははは! 確かにお前らのやり取りが見られなくなるのは寂しいな!」
吉田「お前まで笑うなよ!」
斎藤主将「悪い悪い。進学か就職かプロか、とにかく何処へ行ってもお前達とはダチのままだな!」
真田「当然だね〜♪」
吉田「俺はカープから話が来てるけどな」
真田「なんですとー!?」
斎藤主将「相変わらずリアクションの激しい奴だな」
真田「そんな事はどうでも良い! てめえだけ来てるってのどう言う事でい!」
吉田「なんかキャラが崩壊してないか?」
真田「そんな事はどうでも良いんだよ。で、で、どう言うわけですか?」
吉田「…………前におじさんがスコアラーやってるって言ってただろう」
斎藤主将「ああ。カープで仕事してたのか」
吉田「ああ。そこのおじさんが監督に話して俺が指名されるかもって言ってたからな」
真田「ううっ、ツテがあっても簡単にはプロ入りできないって話してたのに裏切り者め―――!」
吉田「いや、前にも言った様にツテで入れるほどあまくないぞ。むしろ俺の実力が評価されて」
真田「言ってて恥ずかしくない!」
吉田「少しは」
斎藤主将「つうか素に戻ってるし?」
真田「僕の第1志望はベイスターズ、次にライオンズだからね。仮に吉田がカープに入っても構わないよ!」
斎藤主将「ふーん…………それで他の球団が指名したらどうするんだ?」
真田「ふふん♪ 分かってないな〜僕が指名されるのはベイスターズかライオンズなの〜他の球団が指名する事はないの〜!」
吉田(本当に別の球団が指名したらどうするんだか?)
斎藤主将「吉田は上位で指名されるのかな?」
吉田「さあ? 高卒だし下位の可能性が高いかもな?」
真田「斎藤もまず指名されるだろうしみんな同じチームってのはまずないだろうね」
吉田「確かにバラバラになる可能性が高いだろうな」
斎藤主将「リーグが同じとも限らないから試合で顔を合わせる事もないかもな」
吉田「今から考えても仕方ないか」
真田「いや〜その通りですな〜」
斎藤主将「それじゃ練習続けるか」
真田&吉田「おう!!」

斎藤達は3年間の集大成を見せる為に練習を頑張って行く。しかし別の場所では謎の思惑が進んでいた。

天狼学園高校
零「理事長の神代零(かみしろれい)です。今日は部活関係を見学させてもらいます。まずは野球部と言う事で気にせず練習をして下さい」
全員(なんかプロの神代さんに観られてるみたいだな)

神代零は双子と間違うかのようにジャイアンツの神代一歩にそっくりだった。プロ野球選手そっくりの人間に観られてるせいか野球部の人間は戸惑いを覚えていた。
平下主将「それでそこの2人は?」
神野&月杜「……………………」
零「彼らは私の秘書のような者です。気になるようなら下がらせますが?」
平下主将「いえ、少し気になっただけですから」
堺「SPとかはいないんですか?」
零「彼らは別の場所で待機させています。私に何かあれば飛んで来るでしょうがね」
全員(当然だけどあの人の方に打球を飛ばさないようにしないと!)
瀬戸監督「気にせずいつも通り練習をしろ。仮にボールが当たったとしても問題ない!」
全員「いや、問題あると思いますけど?」
瀬戸監督「まず当たる事はない。あれは別格の怪物だ!」
全員「?」
零「こう見えても身体能力には自信があるんですよ」
瀬戸監督「だからSPが別の場所にいても誰も文句は言わないって事だ。身体能力はただケンカに強いと言うだけでなく運動能力も比較にならないほど凡人とはレベルが違うと言うわけだ!」
全員「凄い人なんですね!?」
零「野球には想い入れがありますから楽しんで見学させてもらいますよ!」
平下主将「………………」

大野&池田&鈴木(シュッ!)

ズバ―――ン! スト―――ン! ククッ!
月杜「結構良いボールを投げるね」
神野「まあな」
零(才能があるって程度だな。化ける可能性もあるが、身体能力は特に図抜けてるわけじゃないか)

パシッ!
篠田「ふう、緊張するな」

月杜「良い守備をするな」
神野「自分とポジションが同じだから気になってるだけだろう」
月杜「それだけじゃなく同い歳だからね」
神野「そういやそうだったな。俺もお前も普通に過ごしてたら高校行って野球やってたんだろうな」
月杜「…………そうだね」
神野「グチ言っても仕方ないか」
零(どちらかと言えば努力家ってタイプだな。一応データになるか)

平下主将&堺(サッ!)

カキ―――ン! カキ―――ン!
月杜「この2人は大した物だね。どっちもセンス抜群!!」
神野「ああ。確か堺は今年のドラフト候補だったな。このセンスならプロでも通用しそうだ」
零(この2人の能力はここにいる紫苑と十六夜に匹敵するな)

こうして神代零達は練習を見学して行く。他の部活も観終わったらさっさと理事長室に戻ったらしい。

天狼学園高校 理事長室
瀬戸監督「で収穫はあったか?」
零「高校レベルはこんな物かって程度にはな」
月杜「アマチュアのレベルが上がってるとは言えこっちはプロクラスのデータを調べてるからね」
神野「だが発展途上だからこその未知数ってのを調べる為にわざわざ来たんだろう」
零「化けた後のデータと比較したいからな」
瀬戸監督「必要があれば試合のビデオも送るが?」
零「そうだな。公式戦、特に3年のデータが欲しいな」
月杜「けどモニターからだと、緊迫感があんまり伝わらないからな」
神野「それでもデータにはなるから良いんじゃないか」
月杜「そうだね。ちょっと悪い事してるみたいで良心が痛むけどね」
零「バカバカしい。ただ情報を集めてるだけで何故心を痛める」
神野「お前がそれをどう使うかが怖いからだろう」
零「そうなのか?」
月杜「えっと…………少しだけ」
零「ふっ、安心しろ。少なくともお前らには悪い話ではない!」
神野「逆に考えたら他の連中には悪い話って事か?」
零「ふっ、妙に突っかかるが何かあったのか?」
神野「…………別に」
零「少なくとも危害を加えるつもりはない。それにお前の目的と俺の目的は一致している。まあ強制はしたくないからお前がここで退くと言うなら別に構わんが?」
神野「ここで退いたりはしないさ!」
零「そう言う事だ。十六夜にも紫苑にもまだまだ働いてもらわないとね。もちろん瀬戸君にも仕事はしてもらう」
瀬戸監督「ああ。必要な事があれば言え。犯罪関係はごめんだがな」
零「安心して良いよ。こっちもそうそう権力を使うわけには行かないし何よりもそう言うのは嫌いだからね!」
月杜「そうそう悪いんですが俺はちょっと実家に帰らせてもらいますね」
零「別に構わんよ。紫苑は良いのか?」
神野「俺の家はこの国にないって知ってるだろう」
零「そうじゃなく連絡くらいしたらどうかと思ったんだ? もちろん瀬戸君も息子さんに会いたいならセッティングくらいはするが?」
瀬戸監督「…………必要ない」
神野「俺も事情の説明ができないしそれに人の事より自分の事だろう。とっとと兄貴と仲直りするんだな」
零「会おうともしてくれないのにどうやって仲直りしろと?」
神野「兄弟ってのも難しい物だな」
零「そもそも仲直りってのが間違ってるんだよ。あっちが一方的に敵視してるだけなんだから」
神野「ちなみに例の計画はいつできるんだ?」
零「データがもっとたまったらだから…………最低でも1年後、下手すればもっとかかるかな。それに彼しだいだしね」
神野「そうか」
零(さてと、こっちもそろそろ本格的に始めるか、紫苑には言えないがこれも目的の為だ。佐藤君、君に会えるのを楽しみにしてるよ!)

水面下では斎藤達とは別の思惑が動いていたが斎藤達はそれを知る事もなく彼らの策謀は進んで行くのだった。それがどんな物かは謎だが?

喫茶店MOON
斎藤主将「今度の大会で俺の高校野球も終わるのか」
月砂「3年前にも似たような事言ってなかったっけ?」
斎藤主将「うるさいな。部活連中に取って最後の大会ってのは人生の中の大切なターニングポイントなの」
月砂「言い切ったわね」
斎藤主将「こほんとにかく最後の夏の大会だ。打倒風祭&全国制覇を達成して笑って終わってやるぞ!」
柚(コクッ!)
斎藤主将「いや、こう言う場合はね。無言で頷くんじゃなく『おう!』って続く物なんだよ」
月砂「痛いわね」
斎藤主将「自分でもちょっと思ったわい!」
柚「とにかく練習試合でもレベルアップを実感してるくらい赤竜高校は強くなっている!」
月砂「最後の夏か、高校球児って感じね」
斎藤主将「ま、高校球児ですから」
柚「バカ兄貴のところはどうなってるのか?」
斎藤主将「あそこは天野さんが活躍してからドンドン名選手が入ってるし今年も同じじゃないかな?」
月砂「天狼学園ってとこは?」
斎藤主将「そう言えば名門が増えたんだっけ? どっちにしろ昨年できたばっかの学園が勝てるとは思えないんだけどなー?」
柚「眼中にない!」
斎藤主将「と言うより最後の夏だし春の借りを返したいし風祭と戦いたいって気持ちが強いんだよ」
結依「とにかく3年間の集大成を見せる試合じゃな!」
斎藤主将「そうそう。あいつはラスボスって感じだから決勝で会えると良いなと思ってるよ!」
月砂「まるでマンガね」
斎藤主将「うるさいな…………ただ、あいつと対戦すると自分の限界を超えた力を出せる気がするんだよ!」
月砂「ライバルね。ますますマンガっぽいわ」
斎藤主将「やけに突っかかるけど、俺が何かした?」
月砂「ただの感想よ」
結依「月砂はハジメにいつも通りリラックスして欲しいからそう言ってるんじゃろ」
斎藤主将「…………そうなの?」
月砂「さあね」
斎藤主将「くそっ! ポーカーフェイスで読みにくい!」

ところ変わって斎藤の宿敵たる風祭が何をしているかと言うと

無明実業高校
風祭主将「はっ!」

カキ―――ン!
景山「さすがにプロ確実と言われている風祭さんだな。とんでもなくミートが上手い!?」
佐野主将「しかし甲子園に行く為には無明実業と天狼学園を倒さなければならない!」
荒木「と言っても他にも錬生高校とか強豪がいるけどな」
佐野主将「錬生は古豪ってイメージだけどな」
景山「しかし錬生高校はあの天海彼方さんの出身校だからな」
荒木「つうか天海って誰だ?」
佐野主将「さあ?」
景山「なんで野球経験者が知らないんだよ?」
佐野主将「あまいな! 野球経験者=野球選手に詳しいと言うわけではない!」
景山「そりゃそうかも知れんけど」
咲野監督「ふむふむ。野球経験者=野球選手に詳しいと言うわけではないと(カキカキ!)」
景山「監督、そんな無意味な物までメモしなくて良いですから?」
咲野監督「大丈夫ですよ。無意味な物なんてないんですから」
佐野主将「さすが監督、良いセリフですね」
荒木「どっかで聞いたようなセリフだけどな」
咲野監督「ええ。部室にあったマンガのセリフです」
荒木「なるほど、聞いた事あるわけだ」
先輩達(色々と台無しですな)

直人「よっと!」

パシッ!
景山「凄い守備範囲だな。それに打球音だけで追い着いて捕ってるし」
荒木「プロ注目の外野手なら当然だろ」
景山「ちなみに大和はあんな守備ができるの?」
荒木「できん!」
景山「そっか」
佐野主将「と言っても下手なりにみんなセンスあるからお前も3年後にはあのレベルに到達できるかも知れんぞ!」
荒木「別にプロを目指しているわけでもないしな。野球部に入ったのも暇潰しの為だし」
景山「そうだよな。俺も野球なんて高校入って初めてやったし」
荒木「お前は本気でやっても良いんじゃないか?」
佐野主将「そうそうセンス抜群なんだし、どんな競技でも一流になると思うぜ!」
景山「技術的にはまだまだだと思うけどね」
佐野主将「試合やってれば勝手に上手くなって行くよ。基本的にみんな試合経験が足りないだけだから」
荒木「かもな」

坂本「スカウトに観られるのは慣れてるんだがライバル校に観られるのは変な気分だな」
水島「そうですね」

カキ―――ン! カキ―――ン!
佐野主将「坂本さんはさすがとして見慣れないが凄まじい打球を飛ばしているあの人は誰だ?」
景山「さあ?」
荒木「新顔って事は1年かもな」
景山「1年でもう1軍って事はないだろう?」
咲野監督「本人に聞いて見れば良いじゃない?」
景山「うーん、けどな。練習してるところを邪魔するわけには行かないし」
荒木「あそこの小さい奴に聞いたらどうだ?」

紫集院「………………」

景山「俺よりも小さいけど、あれはマネージャーかな?」
荒木「小さくても場外へ飛ばす強打者もここにいるんだ。向こうもそんなのだったりしてな」

佐野主将「えっと君?」
紫集院「?」
佐野主将「あそこで打ってる人は誰なのかな?」
紫集院「あれは1年の水島君ですよ」
景山「あれで同じ歳なのか」
紫集院「彼は体格が良いですからね。ちなみに新入生では身長が一番高いですね。僕は一番身長が低いので良く比べられますが」
荒木「お前も部員なのか?」
紫集院「ええ。これでも1軍に上がってます」
景山「1年でもう1軍に!?」
紫集院「ええ。1年で1軍にいるのは僕と水島君だけですね」
荒木「水島は打撃が良いみたいだが、お前は?」
紫集院「…………まあ、隠すほどの事でもないか、一応ストレートには自信があります。これでもMAXで140キロは出ますから」
景山「耀柄より上か、さすがは無明実業の1軍だな」
紫集院「では僕も練習があるので」
全員「ああ、ありがとう」

大沼&小椋&紫集院(シュッ!)

ククッ! ズバ―――ン! ズバ―――ン!
佐野主将「自信がなくなるボールを投げるな!?」
荒木「エースの大沼さんはプロにも目を付けられているからな」
景山「その言い方だと悪い評価みたいだけどな」
荒木「放っとけ! とにかく小椋さんも紫集院も140近く出てるし打つのは至難の業だな」
景山「まあね。あの速さや変化に対応するのは難しそうだ」
佐野主将「しかし甲子園に行く為にはこの投手達を倒さねばならないと言うわけで望に頑張ってもらおう!」
景山「って俺かよ!?」
佐野主将「僕は投げる人で君は打つ人ですから」
景山「はいはい。耀柄もきっちりと抑えろよ」
佐野主将「なるべくね」
先輩達(やっぱり自信はないのね)

峰仙高校はライバル校と言っても実力は天と地ほどの差があるが無明実業の練習を見学し夏に向かって頑張って行く。そして斎藤達との関連もあるもう1つの弱小校も新たな戦力を手に入れ夏に向かっているのだった。

轟天農業高校
小林(シュッ!)

ズバ―――ン!
内海主将「相変わらず凄いボールだな」

楓「うーん、さすがにうちのお兄様は凄いですね」
橋本「つうかなんで楓ちゃんがいんの?」
楓「なんですかいちゃまずいんですか?」
橋本「そりゃまずいでしょう。君は学校に行かなきゃ」
楓「…………今日は開校記念日で休みですけど」
橋本「なーんだってその手には引っかかりませんよ。君の中学は一体何回開校されたんですか?」
楓「えっと」
橋本「指折り数えない。すぐに学校へ行く!」
楓「ええっ!?」
橋本「このままだと留年してまた中学生やる事になりますよ」
楓「仕方ないですね。ところでお兄様にはツッコマないんですね?」
橋本「まあ、長い付き合いですからね」
楓「そのわりにはいた事にツッコムのは遅かったですね」
橋本「気付いたのが今だったからね。それに昨日の今日でまた同じ事言うとは思わなかったから」
楓「練習風景を観るのが好きですから」
橋本「そう言うのは自分の学校でってまた繰り返すのか」
楓「あっちはレベルが低くてワクワク感がないんですよ。その点こっちはなかなか良いレベルですよ!」
橋本「とにかく留年したくなかったら学校行こうね」
楓「はーい」

そう言って楓は学校の方へ走って行った。
小林「いつも悪いな」
橋本「本当に悪いよ。兄ならもっと言ってやれよまた朝練ができなかった!?」
関根「言って聞く娘じゃないしね」
小林「そう言う事だ。まあ将来は弟になりそうだしよろしく頼むよ」
橋本「笑えねえ。お前の冗談は本当に笑えねえよ!」
全員「あっははは」
小林「先輩達は微笑ましく見てるけどな」
橋本「人事だと思って」
内海主将「ま、お前ら3人がここへ来てくれて助かったよ!」
箕輪「ええ。これで9人揃いましたしあのクソ教頭に俺達の実力を思い知らせてやる!」
小林「そう言えば夏の大会に1勝もできなかったら廃部になるんでしたね」
森山「ああ。けど小林がいればそうそうは負けそうもないな」
箕輪「それに今年入った3人は実力者揃いですからね」
内海主将「昨年も良い選手が2人入ってくれたからな。この調子で行けば甲子園も夢じゃないかもな」
小林「しかし1人でもケガしたら終わりですからね」
内海主将「ああ、くれぐれもケガには気を付けてくれよ」
全員「ああ」
関根「それに先輩達が引退したら部員を4人増やさないと試合に出れませんからね」
橋本「前に所属していたシニアじゃ考えられない話だな」
小林「試合に出たくても出れない選手がいるのが当たり前だったからな」
内海主将「なるほど、うちじゃ考えられない話だな」

赤竜高校
斎藤主将「それじゃレギュラーを発表する!」

背番号 Lv 名前 守備位置 学年 背番号 Lv 名前 守備位置 学年
斎藤 一 投手 3年 篠原 直道 外野手 2年
吉田 毅 捕手(外) 3年 10 風祭 柚 投手 2年
村田 修一 一塁手 1年 11 小田切 竜 投手 1年
相川 正人 二塁手 2年 12 松本 武彦 捕手 1年
福西 克明 三塁手(外) 2年 13 山口 昇平 三塁手 2年
矢吹 隼人 遊撃手(三) 1年 14 根本 昌弘 遊撃手 2年
木下 義雄 外野手 2年 15 佐伯 勤 外野手 1年
真田 和希 外野手 3年 16 工藤 和真 投手 1年

吉田「相変わらずLvが付いてるな?」
斎藤主将「ひそひそ(なんか大下さんの代から付けるのが当たり前になって来たらしい。ちなみにLv=監督の評価に近い物と思って欲しい)」
吉田「ひそひそ(この事がもしバレたら部員の中で争いが起きそうだな)」
斎藤主将「ひそひそ(監督いわく評価と言っても現時点での事、将来性を考えて目を付けてる選手もいるんだと)」
吉田「ひそひそ(まあ、そうだよな。どっちにしろLvの高い選手は嫉妬されそうだが)」
斎藤主将「…………まあな」
真田「内緒話はいけないな。僕も混ぜなさい!」
吉田「いや、もう終わったし」
真田「うわーん…………ところでLvって誰が考えてんの? 監督? それとも斎藤?」
斎藤主将「えっと…………企業秘密で」
真田「まあいっか、しかし村田君と矢吹君と今年は2人の1年がスタメンを獲得したか」
山口&根本「……………………」
真田「そして福西君がサードにコンバートか」
吉田「ベンチにも1年が4人か、他の2年が使えないわけでもなさそうなのにな?」
2年部員「…………………………………………」
中西監督「秋の事も考えて1年に経験を積ませる事にした。2年に経験積ませても良いがベンチ入りした選手はセンスが良いからな」
吉田「なるほど」
真田「それよりうちはキャッチャーが少なかったけど、ようやく2人になったね」
吉田「俺が引退したらまた1人になるけどね」
相川「良くこれで夏、春に準優勝できましたね?」
中西監督「影の功労者の吉田のおかげだな」
吉田「なんか照れますね」

村田「しかし1年で6人も背番号もらえるとは思わなかったな?」
松本「ああ」
佐伯「うむうむ。他の人達には悪いけど、なんとかベンチ入りはできたな」
工藤「スタメンは村田と矢吹だけどな」
佐伯「ピッチャーなら出番はあるだろうし俺も守備固めの時は出場できそうだし他の奴らもケガしたら出られるだろうし良かったじゃん!」
松本「楽観的だな」
矢吹「だが場合によってはスタメン獲得のチャンスとも言える。こう言う時に活躍して良い印象を持たれるよう頑張れば良い!」
佐伯「上から目線でややむかつくがまあ良かろう」
矢吹「そんなつもりはないぞ」
小田切「ベンチ入りは果たしたか」

篠原「お前もスタメンか」
木下「なんですかその良くレギュラーだったな目線は?」
篠原「いや、別に」
木下「なんかむかつく!」
福西「サードに回されたけどなんとかレギュラーだな」
相川「そんなに落ち込む事かな?」
福西「相川は良いよな。まずポジション奪われる事はないんだから」
相川「僕は別にセカンドにこだわってるわけじゃないし別のポジションでも良いけど」
福西「くっ! 何故だ!? こだわっている人間ほどプロ意識があると思うのに何故相川に勝てん!?」
相川「…………監督の事だから福西君の器用さを買ってるんじゃないかな?」
福西「器用さね…………確かに色々なポジションを守って来てるけど」
相川「僕が他のポジションを守るとなると福西君の数倍は時間がかかるだろうしアクシデントで選手が退場した場合に色々なポジションを守れる選手が1人くらいいた方が良いしそう言うところを評価してじゃないかな」
福西「うーん、なんか上手くごまかされたような?」
相川「気のせい気のせい」

真田「いよいよ真田君世代も最後の夏となったわけだし最後だし笑って終わりたいよね」
吉田「まあな」
真田「と言うわけで笑って終わろうね」
斎藤主将「ああ。絶対に全国制覇して見せる!」
真田「うむ!(ふう、これで罰ゲーム回避のフラグは完成したな)」
斎藤主将「とにかく最後の夏だ。真田が言った様に笑って終わろう!」
全員「おう!!!」
斎藤主将「いや、今は笑う必要はないんだけど」

シリアスなわりにボケて終わったがとにかく全員のテンションは高く最後の夏が訪れる。