第62章 首位を目指せ(後編)

−1997年 8月 下旬−
8月に入っても斎藤は負けが続いていたがようやく勝つと少しずつ調子は戻っているらしい。
斎藤「俺は今日休みだしテレビでも観るか」
球星「ふむ。観るのは変わらず野球か」
斎藤「いやまあパリーグも気になりますし」
球星「まあいいけどな」

日本ハムファイターズ
和田監督「今日の相手は昨日と同じでブルーウェーブだ。こっちの先発は朝山だ」
朝山「えっ? 俺ですか!?」
和田監督「お前には先に言ってたろう」
朝山「てっきり冗談かと」
和田監督「そんなわけあるか! まあともかく5回まで頑張って投げるんだな」
朝山「本当に先発なのかー」
河原「そう緊張するな。いつも通り俺のミットめがけて投げればいい」
朝山「はい」
石井「しかしここでルーキーの朝山を先発に持ってくるとはな」
直人「今月は10勝5敗と調子が良いですからね。優勝を視野に入れるなら頼りになる先発を欲しいと思っても不思議じゃないですよ」
天王寺「しかし候補は他にもいるのに何故朝山なんだ?」
白鳥「俺や天野が活躍しているんで朝山に期待しているとかですかね?」
音無「まあ元々打たれる事を前提としているからな。俺達はいつも通り打つだけだ」
佐々木(今の俺の目標はフル出場だからな。今日も精一杯頑張るぞ!)
友永(さてと今日も守るか)

オリックスブルーウェーブ
中尾監督「今日の相手はファイターズなんだが驚いた事にあちらの先発は朝山だ」
風祭「ファイターズは3位と好調ですから新戦力の補強と言ったところでしょうか」
中尾監督「あの単純な和田がそこを考えてるとは思えんがピッチングコーチ辺りが言い出したのかもな。後はお前のようにルーキーで活躍している選手も多いからとかか」
久住「たしかに毎年とんでもないルーキーが出て来るよな。昨年の高須なんか二冠王も獲ったしな」
燕「兄さん、なんで不機嫌に言うの?」
久住「別にあいつのおかげで3年連続MVPの話題が減ったとか思ってないしな」
日暮(思ってるんだね)
久住「それはそうとこっちは誰が先発なんですか?」
轟「奥森だ」
久住「2年連続2ケタ勝利の奥森なら今日は勝ちだな」
轟「はあ、たしかに朝山より奥森の方が上だと思うがあちらも期待して投げさすんだ。注意はしとけ」
奥森「ははっ、今日も援護よろしくお願いします」
久住「任せとけ!」
青木「………………」
木村「どうした珍しく緊張しているみたいだが?」
青木「今年は調子がいまいちだからな。打てるときに打とうと気合いを入れただけだ」
木村「ふーん(珍しくナーバスだな。まあこいつとは長い付き合いだしここまで上手く行かない野球人生も初めてなのかね。まあ他の選手からしたら十分な成績だと思うけどな)」
乃木「若い者は元気でいいな」
高野「乃木さんもまだ若いでしょう?」
乃木「いやいや俺ももう33だからな。若くはないさ」
鳴海(パワーはまだまだすごいと思うけどな)

−1997年公式戦 東京ドーム−
岩崎 壮平
後攻 先攻
VS
風祭 大吾
天野 直人 日暮 雅敏
河原 和徳 久住 鴉
DH 石井 明 青木 悟
音無 斎 轟 賢太郎
天王寺 恵 乃木 大和
佐々木 新 高野 稔 DH
白鳥 総云 鳴海 和司
友永 こやた 木村 交
朝山 正治 奥森 孝司

放送席
倉田「今日は日本ハムファイターズVSオリックスブルーウェーブ、22回戦をお伝えします。解説は日本ハムファイターズで活躍した渡会双剣さ( わたらいそうけん )んです」
渡会「よろしくお願いします」
倉田「今日の試合ですがルーキーと3年目の先発と若手の投げ合いでもあるんですが実はこの2人、高校の先輩後輩の関係でもあるんですよ」
渡会「ほほう、それは面白いですね。高校からの成長を見せる朝山か、プロで成長した奥森か、どちらがより成長したかを見せる投げ合いになるかも知れませんね」

1回表 日本ハム0−0オリックス 既に初勝利はしているがプロ初先発の朝山はドキドキしながらの登板となった!
朝山「いきなり風祭(こいつ)か」

ガキッ!
風祭(思っていたより変化が小さいのか?)

倉田「ルーキー同士と注目の対決でしたがショートゴロと朝山選手の勝利に終わり1アウトです!」
渡会「スライダーですね。風祭なら打てそうですが変化が小さくて戸惑って凡退したと言ったところですか」

日暮「やったね!」

ククッ!
朝山「外れたか」

倉田「ここは外れてフォアボールです! これで1アウトランナー1塁となりました!」
渡会「朝山の長所はコントロールと思っていたんですが今日は調子が悪そうですね」

久住「げっ!?」

ガキッ!
朝山「助かったー」

倉田「久住選手、最後はカーブを引っかけて併殺で3アウトチェンジです!」
渡会「久住が併殺とは珍しいですね。しかし打てそうで打てないと朝山のボールはよく分かりませんね?」

河原「ちょっと怖かったがなんとか3人で終わらせたな」
朝山「まだドキドキしています」
河原「ま、そう気にするな。コントロールはそんなには悪くないし元々失点を組んで投げさせているんだし打たれて元々のつもりで頑張れ」
朝山(難しいなー)

青木「見た感じ打てそうなんですが、打ちにくかったりします?」
久住「いや、思っていたより変化が小さくて微妙に芯が外されるかな」
青木「………………」
風祭「付け加えるなら球種の多さがやっかいですね。後、回を増す事にコントロールも良くなって来るかも知れません」
青木「そうか」

1回裏 日本ハム0−0オリックス 朝山は調子が良いのか悪いのか、ともかく1回を無失点に抑える!
奥森「いきなり強打者なのがファイターズ打線の特徴だな」

カキ―――ン!
岩崎「くそっ! いまいちな当たりだ!」

倉田「一二塁間を抜けた! 打った岩崎選手ですがセカンドには行けずファーストに止まります!」
渡会「奥森の決め球のドロップなんですが綺麗に打ちましたね」

奥森「次はうちのゴールデンルーキーに負けないバッターか」

カキ―――ン!
直人「打てたか(甲子園で打てなかったし苦手意識が少しあったんだけどな)」

倉田「送りバントかと思いましたがここは振って来ましたねと失礼しました。これでノーアウトランナー1、2塁となります!」
渡会「和田監督は送りバントのサインはまずしませんよ。天野のバントは自己判断でしているんでしょうね。まあ良く言えば選手の自主性を信じていると言ったところですか」

奥森「いきなりピンチか」

ククッ!
河原「ふむ」

倉田「最後はドロップが外れてフォアボール! これでノーアウト満塁のピンチとなります!」
渡会「今年の奥森はやはり例年より少し悪いですね。前の奥森ならここで四死球は出さなかったでしょう」

石井「うらっ!」

カキ―――ン!
奥森「っ!?」

倉田「145キロのストレートを引っ張った! フェンス直撃でランナーは2人返ってこれでノーアウトランナー2、3塁となりました!」
渡会「今日の奥森は珍しく立ち上がりから悪いですね」

音無「こいつだ!」

カキ―――ン!
奥森「っ!?」

倉田「センター前ヒット! ランナーは1人返ってこれで3点目です! これでノーアウトランナー1、3塁となります!」
渡会「さすがに轟もマウンドに向かいますね」

奥森「これ以上後輩にみっともないところは見せられるか!」

カキ―――ン!
石井「げっ!?」

倉田「会心の当たりでしたがサードライナーに終わりこれは不運……いえブルーウェーブに取っては幸運でしたね。サードランナーの石井選手は戻れずタッチアウト! 打った天王寺選手もファーストには間に合わず併殺に終わり2アウトとなりました!」
渡会「サードの青木の守備が上手かったのもありますが、天王寺の当たりが良すぎたせいか石井が戻れなかったんですね」

天王寺「やっちまった。後は頼む」
佐々木「はい!」

奥森「問題ない。調子は戻って来ている気もするしこのまま行くぞ!」

ズバ―――ン!
佐々木「むっ!?」

倉田「最後はインハイ147キロのストレートを空振り三振し3アウトチェンジです!」
渡会「佐々木に対してはコントロール抜群でしたね。例年の奥森を見るピッチングでしたよ!」
倉田「はい。しかし奥森選手は初回から3失点と立ち上がりに失敗しました。朝山選手に取っては嬉しい援護となりますが」
渡会「朝山も見る限り調子が良いとは思えないので失点はあるでしょうし試合はまだまだ分かりませんよ」

奥森「すみません」
轟「なーに、まだ1回だ。ここから俺達が得点して行くからお前はこれ以上失点をしないよう気を付けてくれればいいさ」
奥森「はい!」
轟(しかしこいつも1年目、2年目と年々悪くなっているな。衰え……なわけないか、まだ若いもんな)

佐々木「すみません」
白鳥「ん? ああ別に気にする必要はないぞ。初回で3点なら上出来だしな」
佐々木「あれ白鳥さん? 天王寺さんは?」
白鳥「あの人なら守備の用意しているぞ」
佐々木「切り替え早っ!?」
白鳥「まあ真面目な人だからな。切り替えも早いんだろう?」

6回表 日本ハム3−2オリックス 奥森は立ち上がりから失敗し3失点となった!
倉田「試合も6回に入りましたが2人の先輩後輩と言ったピッチャーはいぜん好投中となっております」
渡会「朝山もここまで2失点と意外な結果になりましたね」
倉田「そして6回の最初のバッターはこの人です!」
渡会「名前を言わなきゃ伝わらないと思いますけど」

朝山「風祭からか」
風祭「もらった!」

カキ―――ン! バシッ!
天王寺「っ!?」

倉田「サード強襲! 天王寺選手はボールをこぼしましたが記録はヒットです。ノーアウトランナー1塁となりました!」
渡会「天王寺も守備はそれなりに上手いんですけどね」

朝山「次は今年は悪い日暮さんだな」

スト―――ン!
日暮「なんとか繋げた」

倉田「風祭選手の盗塁で調子を崩したか日暮選手にはストライクが入らずストレートのフォアボール! これでノーアウトランナー1、3塁となりました!」
渡会「そして次は久住ですが、ブルーウェーブの逆転の目が出て来ましたね」

久住「ノーヒットだしいい加減打たないとな」

ガキッ!
朝山「ほっ」

倉田「期待の久住選手でしたがあっさりとライトフライに終わり2アウトです!」
渡会「いつもなら打つ場面なんですけどね」

青木「………………」

カキ―――ン!
朝山「そんなっ!?」

倉田「入った! レフトスタンドに入る3ランホームラン! これでブルーウェーブが一気に逆転となりました!」
渡会「これで5対3とブルーウェーブが有利になりましたね」
倉田「ここで和田監督が出ます。交代でしょうか?」
渡会「5回まで3失点と試合を作っていた点ではルーキーとして良くやったと言えるんですけど」

朝山「続投ですか?」
和田監督「ランナーもいなくなったしな。この回まで投げて見ろ。スタミナはまだあるよな?」
河原「ここまで球数は少ないし問題ないと思いますよ。後3人抑えられるな」
朝山「は、はい」
和田監督「本当に大丈夫なんだろうな?」
河原「まあ変化球のキレは落ちていませんから」

倉田「続投のようですね。意外ですがこのまま抑えられるのでしょうか?」
渡会「ブルーウェーブ打線は強力ですからね」

朝山「後3人で俺の出番は終わりなんだ」

ククッ!
轟「ボールはまだ生きているな」

倉田「カーブを空振り三振し1アウトです!」
渡会「なんと言うか意地で三振を奪ったようなピッチングでしたね」

朝山「後2人だ!」

ガキッ!
乃木「変化が小さい分打ちにくいな」

倉田「乃木選手はセカンドゴロに終わりこれで2アウトです!」
渡会「正直続投は裏目に出るかと思いましたが難なく抑えてますね」

朝山「後ちょっとだ!」

ガキッ!
高野「打てなかったか」

倉田「最後は打ち上げてキャッチャーフライに終わり3アウトチェンジです! この回打たれた物の最後は3人で終わらすと見事なピッチングでしたね」
渡会「そうですね。正直、朝山に一軍は早いんじゃないかと思いましたが結構通用しているしこのまま一軍で育てて行くのも面白いかも知れませんね」
倉田「しかしこの回に逆転3ランホームランが出て試合は5対3とブルーウェーブが逆転しました」
渡会「今年は不調な青木ですが重要な場面で打つと4番の意地を見せましたね」

河原「今日はご苦労さん」
朝山「すみません」
河原「うーん、6回5失点と誉められない防御率だが試合は壊さなかったしな。最初はこんな物だと思うぞ。また中継ぎからだと思うが頑張ってくれよ」
朝山「はい」

鳴海「このまま追加点を取れると思ったんだが?」
木村「続投が良い目を出したと朝山が頑張った結果でしょう」
鳴海「マウンドを見ているとメンタルが弱そうに見えたんだけどな」
木村「存外ピンチに強いんでしょうね」

8回裏 日本ハム3−6オリックス 朝山は6回を5失点で降板と初の先発は失敗に終わった!
倉田「試合はいよいよ8回裏です。高校の先輩後輩の投げ合いで始まりましたが朝山選手は既に降板していますが先輩の奥森選手はこの回もマウンドに向かいます!」
渡会「奥森は立ち上がりには失敗しましたがここまで3失点と初回以外は綺麗に抑えていますね」
倉田「今年は悪いと言われている奥森選手ですがそんなに悪くないかも知れませんね」
渡会「奥森は1年目から新人王を獲ってもおかしくない成績を出しました。2年目にはジンクスとも言われて成績を落としたとも言われましたが私はそうは思えません」
倉田「と言われると?」
渡会「16勝4敗から10勝7敗で防御率も落ちましたが投球回数や奪三振は増えていましたから悪くない成長だと思えましたよ。しかし今年は防御率が落ち勝ちもなかなかつきませんとやはり例年より落ちていますね。実際今日の試合も3失点ですからやはり例年に比べると落ちていると思います。まあ奥森は高卒3年目とまだ若いですから衰えではなく調子が落ちているだけでしょうが」
倉田「なるほど、話を続けたいところですがこの回の先頭バッターの河原選手がバッターボックスに入ります」
渡会「クリーンナップからの攻撃ですね。期待しましょう」

奥森「ふう、ここまで抑えて来ているけど、そろそろ疲れも出て来たな」

ガキッ!
河原「速いなー」

倉田「145キロのストレートを打ち上げライトフライに終わり1アウトです!」
渡会「球速は出ているしスタミナは問題なさそうですね」

石井「うらっ!」

カキ―――ン! パシッ!
奥森「危なっ!?」

倉田「真芯でとらえたと思いましたがファーストライナーに終わり2アウトです!」
渡会「会心の当たりは守りの定位置に行きやすいですからね」

音無「ふんっ!」

カキ―――ン!
奥森「………………」

倉田「ライトスタンド一直線! ここで日本ハムファイターズが1点返しこれで6対4となりました!」
渡会「意地の一振りと言ったところですか」

天王寺「おらっ!」

カキ―――ン!
奥森「まいったな」

倉田「続く天王寺選手はセンター前に打ちこれで2アウトランナー1塁となりました!」
渡会「ホームランが出れば同点の場面になりましたね」

奥森「………………」

ククッ!
佐々木「ほっ」

倉田「最後は外れてフォアボール! これで2アウトランナー1、2塁となります!」
渡会「これで一気に逆転の可能性も出て来たわけですが」
倉田「あっ! ここで中尾監督が出てピッチャー交代です。奥森選手に代わって高月選手がマウンドに向かいます!」
渡会「ふむ。まあここでの交代は妥当なところでしょうね」

奥森「後はお願いします」
高月「ああ」

ガキッ!
白鳥「この場面でこれかよ」

倉田「チェンジアップを打ち上げてセンターフライに終わり3アウトチェンジです!」
渡会「終わって見れば1点止まりですか」
倉田「8回を終わって6対4の2点差、後1回で逆転はありえるのでしょうか」
渡会「今年の高月はそれなりですからね。可能性はあると思いますが」

結局、試合はこのまま終わりオリックスブルーウェーブの勝利となった。

オリックスブルーウェーブ
中尾監督「ふう、なんとか勝てたな。これで1勝1敗と明日も勝って2勝1敗で終わらせるぞ!」
全員「はい」
久住「終わって見れば4の1か」
日暮「久住君はいいよ。僕なんてノーヒットだよ」
風祭「まあまあ四死球での出塁もヒットのような物だし」
日暮「風祭君、フォアボールじゃ打率は上がらないんだよ!」
久住「うわー面倒くさくなっちまったなー」
轟「誰のせいだ!」
久住「まあ日暮のおかげで勝てたとも言えるか」
轟「どっかの誰かさんは併殺で一気に終わらせちまったけどな」
久住「それを言うなよ」
日暮「そう言えば青木君が打ってくれたけど久住君は」
久住「………………」
風祭「まあまあ」
木村「まあ今日は4番の実力を見せられたじゃないか」
青木「まあ我ながら良く打ったと思っているよ。この調子で今年も3割30本を狙って見るさ」
木村「タイトルはいいのか?」
青木「さすがにタイトルは届きそうもないな。特に打点はな」
木村「ああ。柳生さん、今年はダントツで打点王だな。ホームランはまだチャンスがあるんじゃないか?」
青木「8月も終わりが近づいて10本以上の差だからな」
木村「たしかに厳しいか」
奥森(なんとか勝てたと貴重な1勝だな)

日本ハムファイターズ
和田監督「負けちまったのは仕方ない。いつまでも落ち込むなっての」
朝山「2失点で降板していたら勝てたと思うと」
和田監督「そんなもん結果論だろう。たられば言っても仕方ない。とっとと切り替えて明日は勝つでいいんだよ。まあお前はまた中継ぎから頑張ってもらうけどな」
河原「そうそうお前は1年目と若いしこれからだよ」
石井「今日活躍できたのは音無さんくらいか」
音無「嫌味か自慢か? 今日のヒーローが何言ってるんだ?」
石井「そうでしたね(やべっお立ち台に立ってた事忘れてたよ!?)」
天王寺「2安打と悪くなかったんだが納得はできないな」
佐々木(今日の戦犯がいるとしたら俺だよな)

オリックスブルーウェーブ
日本ハムファイターズ
勝利
奥森孝司 6勝4敗0セーブ
セーブ
高月寿志 4勝4敗16セーブ
敗戦
朝山正治 1勝1敗0セーブ
本塁打 鳴海和司8号 青木悟20号
音無斎14号
今日のヒーロー 青木悟 6回表の逆転3ランホームラン!

巨人寮 斎藤の部屋
斎藤「こうして観ると6回の逆転がすべてでしたね」
球星「結果だけ見ればな。8回で白鳥が打っていれば逆転劇も有り得たかも知れんな……ファイターズはここから連敗するかもな」
斎藤「そうなんですか?」
球星「ふっ、これでも長く生きているからな。こう言う流れはなんとなく分かる」
斎藤「へえ(さすがにここでもうあなた死んでいるじゃないですかとか言えないよなー)」

球星の予想は当たっていた。ファイターズはこの後一切勝てず5連敗で8月を終えるのだった。

横浜ベイスターズ
山崎監督「言うまでもないが8月は15勝4敗と圧倒的な勝率だ。そして首位スワローズとのゲーム差は2.5だ。優勝も見えて来ただろう」
及川「8月のスワローズは7勝11敗1分と調子を落としていますからね」
真島「しかし3位のカープも2ゲーム差と近いですから前だけでなく後ろにも注意した方がいいですよ」
山崎監督「うむ。たしかにな」
村雨「それで今日の相手はジャイアンツと調子戻して来た斎藤との対決かな?」
相良「斎藤はこの前投げてたし今日は伴さん辺りかと思うけどな」
高岡「誰が相手でも関係ない。完封すればこっちの勝ちだ!」
相良「それはまあそうなんですけど」

読売ジャイアンツ
垣内監督「ベイスターズの3連戦もこれが最後だ。今日勝って2勝1敗で帰るぞ!」
全員「おう!」
伴「まあ俺がゼロに抑えればいいだけだ」
堺「たしかに」
神代「こんなに呑気でいいんでしょうか?」
槙原「8月は9勝9敗で今日勝てば勝ち越せる大事な日なのにか」
神代「いえ。そこまで思ってはいませんけど」
槙原「ま、思いつめるより気楽な方が良い結果を出す事もあるだろう」
嘉神「そうですよ。それに相手が相良なら俺も張り切って活躍しますよ」
神代「まあこれがうちのチームのモチベーションの上げ方か」

−1997年公式戦 横浜スタジアム
及川 慧
後攻 先攻
VS
橘 小雨
服部 雄太 上条 響
村雨 剣 嘉神 高政
相良 京一 神代 一歩
ジャクソン 槙原 凍牙
真島 晴喜 堺 戒
小山 力 マヌエル
望月 藤吉 野原 終
高岡 賢次 伴 省吾

放送席
倉田「横浜ベイスターズVS読売ジャイアンツ、22回戦の試合をお伝えします。ご存じ私事倉( わたしこと )田鈴姫と解説には野村さんではなく鮫島侠さ( さめじまきょう )んです!」
鮫島「よろしくお願いします」
倉田「鮫島さんは言うまでもなくカミソリシュートの使い手で巨人キラーとも言われた200勝を達成した人です。そして今日先発する高岡選手もシュートの使い手と鮫島さんと共通点がありますが」
鮫島「そうですね。キレで言えば現役のときの私の方が上だと思っています。ただ球質の重さでは高岡とピッチャーとしてのタイプは少し違いますね」
倉田「総合評価では鮫島さんの方が上だと言われていますね」
鮫島「まあ高岡は四死球が多いですからね。もう少しコントロールが良ければ防御率も良くなって行くと思いますよ。ただコントロールを気にして高岡の持ち味がなくなるのも良くないんですよね」
倉田「なんともまあ評価の困った選手ですね」
鮫島「ははっ、そうですね。まあ高岡はエースとして結果を出していますから今のままで良いと思いますよ」
倉田「では伴選手はどうでしょうか? 今年は斎藤選手の活躍で話題性は少なくなっていますが」
鮫島「もちろん良いピッチャーです。6年連続2ケタ勝利はダテではありませんよ。ストレートのノビも斎藤に負けていないと私は思っていますけどね」
倉田「そうですか、奪三振の事とかも話したいところですが試合も始まるのでこの辺りで話は切り上げて試合に集中しましょう」
鮫島「2人共注目のピッチャーなのでどんな投げ合いになるのか楽しみですね」

4回表 横浜1−0巨人 1回に及川のホームランが出てベイスターズが有利のまま進む
上条「さてと打たせてもらいますか」

ガキッ!
高岡「うっし!」

倉田「まずはショートゴロに終わり1アウトです!」
鮫島「完全に球威に押されていますね。まあ150キロ出ていますから仕方ないのかも知れませんが」

嘉神「ふむ!」

カキ―――ン!
小山「とっ!」

パシッ!
倉田「ファーストの頭は抜けず小山選手がキャッチし2アウトです!」
鮫島「ファーストは背の高い奴がやれば良いと言った結果でしたね」

神代「こいつだ!」

カキ―――ン!
高岡「っ!?」

倉田「ヘルシュートを打った! センターの頭を越えて打った神代選手はセカンドへ! これで2アウトランナー2塁となります!」
鮫島「さすがは神代、あのシュートをよく打ちましたよ」

槙原「あまいな!」

カキ―――ン!
高岡「………………くそっ!?」

倉田「ライトスタンドに入った! 逆転2ランホームラン! これで読売ジャイアンツが2対1と逆転しました!」
鮫島「移籍して調子を落としたと言われた槙原ですがさすがと言うべきですか、失投とは言えこの場面でよく打ちましたよ」
倉田「失投ですか?」
鮫島「高岡は打たれると調子を崩して失投が多くなるとメンタル面に問題がありますね。ただまあそれでも結果は出すので」
倉田「なんともまあ困ったピッチャーですね」
鮫島「……そうですね」

高岡「ふんっ!」

ガキッ!
堺「当てるのがやっとだぜ」

倉田「堺選手はショートゴロに終わりこれで3アウトチェンジです! しかしこの回に読売ジャイアンツは2点を取って逆転しました!」
鮫島「失投のホームランと高岡らしい失点でしたね」

高岡「くそっ!」
真島「まだ2点です。十分逆転は可能です」
高岡「ああ。お前らを信頼しなきゃ投げてられないしな」
真島「はい。とは言えこれ以上の失点はまずいんであんな失投は増やさないで下さいよ!」
高岡「お、おう! 注意するぜ!」

マヌエル「やはり打ちにくそうですね」
堺「切れ味がやばすぎるな。神代さんはよくもまあ打てたもんだ」

7回裏 横浜1−2巨人 伴は1回のホームラン以降無失点に抑えている!
伴「最初は足のうるさい服部か」

ガキッ!
服部「打ち上げちまった」

倉田「服部選手は打ち上げてレフトフライに終わり1アウトです!」
鮫島「ストレートに差し込まれていますね。服部のようなタイプはゴロを量産して足で打率を稼がなきゃダメですよ」

村雨「とりゃっ!」

カキ―――ン!
伴「………………」

倉田「入った! ライトスタンドに入る同点ホームラン! 村雨選手、今日これで猛打賞です!」
鮫島「ドラフト1位はダテじゃありませんね。ルーキーで伴からここまで打てるのもすごいですよ」

相良「続くぜ!」

カキ―――ン!
伴「っ!?」

倉田「フェンス直撃! 惜しくもスタンドには入りませんでしたがこれで1アウトランナー2塁となります!」
鮫島「そう言えば昨年相良も結構打っていましたっけ?」

伴「……ふう」

ガキッ!
ジャクソン「ムッ!?」

倉田「ジャクソン選手はショートゴロに終わりこれで2アウトランナー2塁となります!」
鮫島「セカンドにランナー背負っていますが堂々としたピッチングと、高岡とはやはり違いますね!」

伴「こいつで決める!」

ズバ―――ン!
真島「くっ!?」

倉田「最後はオリジナルのバンボールで空振り三振! これで3アウトチェンジです!」
鮫島「155キロ、やはり速いですね」
倉田「伴選手、ピンチは乗り切りましたが1失点とこれで試合は振り出しに戻ってしまいました!」
鮫島「やはり投手戦になりましたね」

堺「最後は圧巻なピッチングでしたよ。ミットをまったく動かす必要はなかったですし」
伴「相良に打たれて目が覚めたからな」
堺「村雨には手を抜いたんですか?」
伴「いやそうじゃないと言うか2打席連続でヒット打たれている相手に手を抜くかよ!」
堺「ははっ、そうでしたね」
伴「村雨や相良に打たれたのはスタミナ配分を考えてな。後の事なんて無視して投げればいいんだろうがプロ野球だとそう言うわけにも行かないからな」
堺「長いっすからね」
伴「ああ。長いリーグ戦だとケガにも気をつけなきゃダメだしな」
堺「そう言うのを聞くと伴さんがプロで活躍しているのがよく分かりますよ」
伴「と言っても今日の試合勝てれば格好良いんだが負けたら言い訳にしかならないからな」

真島「すみません」
小山「あれだけのボールを投げられたら仕方ないさ。お前は守備で貢献すればいい。これから失点したらそれが致命傷になりかねんからな」
真島「俺も同意見です」
小山「それなら高岡の気持ちを切らさないようリードしてくれ!」
真島「はい!」

9回表 横浜2−2巨人 試合はいよいよ9回、試合前の予想通り投手戦となった!
倉田「しかし鮫島さんの言う通り投手戦となりましたね。9回に点が入るのなら打った選手が今日のヒーローになるのは間違いなさそうです!」
鮫島「そうですね。逆に言うならどう抑えるかが勝敗に繋がりそうです!」
倉田「試合は9回表、2対2の同点のまま、最初のバッターは主砲の神代選手からです!」
鮫島「ここでホームランが出れば面白いんですけどね」

高岡「樋川さんの出番はないか、監督の期待に応えて見せるぜ!」

ククッ!
神代「今日一のボールだったな」

倉田「ヘルシュートを空振り三振し1アウトと最高の滑り出しと言ったところではないでしょうか」
鮫島「そうですね。ここから観ても今日一番のボールに見えましたよ」

槙原「厳しいか」

ガキッ!
高岡「ちっ!」

倉田「当たりは悪いが面白いところに飛んだ! 打球はセンター前に落ちて打った槙原選手はファーストに止まります!」
鮫島「内容的には勝ったんですが結果は負けとこれも野球の面白さでしょう」

堺「うげっ!?」

ガキッ!
高岡「おしっ!」

ポロッ!
望月「っ!?」

倉田「あっ!? 望月選手後逸! ランナーは当然走ります。望月選手は慌てて捕りに行きますが何処にも投げられません! 当然ですが記録はエラー! サードのエラーで1アウトランナー2、3塁となりました!」
鮫島「やっちゃいましたね。しかもメンタル面に問題がある高岡なので怖い場面になりましたよ」

真島(ここは満塁にしましょう)
高岡(こくっ!)

倉田「サインの交換は終わったのでしょうか、あっ! マヌエル選手は敬遠のようです!」
鮫島「まあファーストが空いてますからね。ここは当然でしょう!」

高岡(次は野原さん、ここでの警戒はスクイズか当然だな!)

ククッ!
野原「打てなかったか」

倉田「2−3まで行き手の汗握る展開でしたが最後はボール球を振って三振に終わり2アウトです! しかし満塁のピンチは変わりません!」
鮫島「野原も緊張していたのかいつものような見事なバントは見せられませんでしたね」
倉田「次はピッチャーの伴選手なので当然代打です。ピンチヒッターは籾山選手です!」
鮫島「伴はピッチャーながらバッティングも良いんですが、ここはまあ籾山の出番でしょうね」

籾山「うらっ!」

ガキッ!
高岡「おっしゃ―――!」

倉田「最後はセンターフライに終わるとジャイアンツ、チャンスを生かせませんでした! そしてマウンドの高岡選手はガッツポーズを決めます!」
鮫島「それだけ嬉しい場面と言う事ですよ。たしかによく抑えられたと私も思いますね」
倉田「9回表のピンチでしたがベイスターズは無事に乗り切りこの勢いをサヨナラに繋げられるのか9回裏の攻防に期待しましょう!」
鮫島「9回裏の最初のバッターは今日ノーヒットの服部と期待はできないですけどね」

高岡「正直、望月をぶちのめしたくなったがまあ良かったよ」
真島「そうですね。相手もいきなりのチャンスに焦りが出たのか調子が悪かったですからね」
高岡「ああ。とにかく裏だ。後は頼む」
真島「はい。後は任せてゆっくり休んで下さい」

籾山「すまん」
橘「ま、仕方ないですよ。忘れてさっさと守備に集中しましょう!」

9回裏 横浜2−2巨人 1死満塁のピンチを迎えるが高岡は見事なピッチングで無失点に抑えた!
倉田「試合はいよいよ9回裏、マウンドに向かうのは守護神の芹沢選手です!」
鮫島「当然ながら勝ちに来ていますね。今年は登板数が少ないですが防御率は良いと安定感のあるイメージなピッチャーです」

芹沢「ここを抑えて2勝目をもらうぜ!」

カキ―――ン!
服部「やったぞ!」

倉田「期待はできないと言われた服部選手でしたがセンター前に打った! ノーアウトランナー1塁となります!」
鮫島「ははっ、すみません」

芹沢「ふっ、この程度のピンチは慣れているぜ!」

ズバ―――ン!
村雨「………………」

倉田「村雨選手にはストライクが入らずフォアボール! これでノーアウトランナー1、2塁!」
鮫島「今日の芹沢は妙にボールがあまいですね。肩ができていないんじゃないでしょうか?」

芹沢「とおっ!」

ボコッ!
相良「すっぽ抜けか、そんなに痛くなかったから良いけど」

倉田「デッドボール! ここで慌てて堺選手がマウンドに向かいます!」
鮫島「ノーアウト満塁のピンチですからね。そう言う意味じゃ堺の判断が遅かったですね。まあルーキーキャッチャーじゃ仕方ないのかも知れませんが」

堺「ちょっ!? 大丈夫だと言ったから来なかったんですけど、本当に大丈夫なんでしょうね?」
芹沢「大丈夫、次のバッターは打ち取るからさ」
堺「言っておきますが犠牲フライでもサヨナラの場面なんですからね!」
芹沢「分かっている。私を信じなさい。信じる者は救われます!」
堺「怪しい宗教みたいになっていますよ」

倉田「長い話し合いと言うほどでもなかったですが次のジャクソン選手への対応は決まったみたいですね」
鮫島「そのようですね。芹沢と堺のコンビがどう出るのか、期待しましょう」

ジャクソン「フンッ!」

ガキッ!
芹沢「………………」堺「………………」

倉田「これは高い! ジャクソン選手はライトフライに終わりますが当然サードランナーの服部選手は返ってサヨナラだあ―――!」
鮫島「結局何を話し合ったんですかね? 低めならまだしも高めの打ちやすいボールを投げて犠牲フライですよ。まあミットは低めに構えてたんで芹沢のコントロールミスなんでしょうが」
倉田「とにかく登板した芹沢選手はあっさりと試合をぶち壊して横浜ベイスターズの勝利に終わります!」
鮫島「まあ投手戦だったのを最後には完全に壊して終わると芹沢らしくないピッチングでしたね」

横浜ベイスターズ
山崎監督「良くやった。これで16勝目だ。明日は休みだからゆっくり休むといい解散!」
高岡「今日は久々に充実した投げ合いができた。勝てたのはお前らのおかげだ。ありがとよ!」
真島「いえ。高岡さんが頑張ったおかげですよ。それに樋川さんを登板させずに勝てたのも大きいですね」
樋川「まあ今日の内容なら俺の出番はないだろう」
服部「8月絶好調なのは樋川さんのおかげでもあるからな。優勝目指すならいかに消耗せず勝って行くかが重要になりますしね」
及川「と言っても俺達は優勝経験はないけどな」
服部「まあ何年も優勝はしていないですからね」
村雨「小山さんは?」
小山「ジャイアンツ時代の事か、俺はまあ1年目から日本一になったんだが、あのときはがむしゃらにやってただけだしな」
相良「優勝するにあたって必要な事とかは?」
小山「そうだな。服部が言ってたみたいに選手の消耗を減らして行くのが一番じゃないか、まあジャイアンツは層が厚いからそんな必要はなかった気もしたが」
望月「さすがは常勝軍団ですね」
ジャクソン「まあ今年は最下位だけどな」

読売ジャイアンツ
垣内監督「なんつう負け方だよ。それで戦犯2人は言い訳あるか?」
堺「えっ? 俺もですか!?」
芹沢「まあ仕方ない。俺達2人が打たれたのが悪い」
堺「いや今日の芹沢さん、ミット構えたところに一度も投げてくれなかったじゃないですか、四死球2個で一気に積んだし」
垣内監督「では戦犯2人目の意見も聞こうか?」
芹沢「では言いましょう。昨日寝違えて本調子じゃなかったんですよ」
垣内監督「はあっ!? 聞いていないぞ!」
芹沢「そりゃ言ってませんからね」
垣内監督「そらそうだじゃない言えよ!」
芹沢「監督、俺はジャイアンツの守護神ですよ。あの場面で起用されて弱音なんて吐けるわけないじゃないですか」
垣内監督「そうだが、他のピッチャーに代わっても」
芹沢「8月に入って投手陣も調子崩していますから無理はさせられませんよ。まあ調子悪くても1イニングなら問題ないと思っていた俺にも問題がありますけど」
垣内監督「むむっ! はあ、お前も3年目と若いのにピッチャーを引っ張って行く立場になったか?」
芹沢「まあ中継ぎや抑えの切り札が少ないのがネックですね」
垣内監督「その辺りはピッチングコーチもぼやいていたな」
芹沢「と言うわけです。すみません伴さん」
伴「別にいいさ。結局俺が打たれたのが悪い。それに俺の勝敗は変わらないしな」

読売ジャイアンツ
横浜ベイスターズ 1×
勝利
高岡賢次 9勝7敗0セーブ
セーブ
敗戦
芹沢夏輝 1勝2敗13セーブ
本塁打 槙原凍牙23号
及川慧7号 村雨剣9号
今日のヒーロー ジャクソン 9回裏のサヨナラ犠牲フライ!

巨人寮 斎藤の部屋
斎藤「負けたのか」
球星「まあリリーフのあやつが悪すぎたから仕方あるまいよ」
斎藤「芹沢さんも調子が悪いのか、今年は安定感ある良い成績なのにな」
球星「トータルでは良くても好不調の波はあるからな。お前さんもその辺りは身に染みているだろう」
斎藤「まあそうですけど」

インフィニティスポーツ
倉田「……とジャイアンツは残念な結果に終わりました」
野村「芹沢らしくないピッチングでしたね」
倉田「そして今日の試合ですが大記録が出た試合もあります。こちらも見応えがあるのでぜひどうぞ」
野村「まあここで放送されるのはダイジェスト版ですけどね」

巨人寮 斎藤の部屋
斎藤「大記録?」
球星「ほう。興味がわくな。どのチームだろうな」
斎藤「バファローズとマリーンズか」
球星「なんだパリーグか」

近鉄バファローズ
天野監督「うちは現在3連敗中だ。8月に入っても調子が悪いし今日勝って7連勝と行くぞ!」
木下「7連勝?」
小野「8月の残り試合が今日を入れて7回なんだろう」
アルバート「良いですね。監督の誕生日プレゼントに7連勝をあげましょう」
天野監督「俺の誕生日は4月なんだがな」
広瀬「それで相手の先発は浅野さんですか?」
坂本「はあ、浅野は一昨日投げたばかりだろう。今日の先発は小島だ。こっちは遠藤だな」
広瀬「小島さんか、真っ向勝負のピッチャーとあいつに似ているな」
坂本(こいつが俺の後釜なんだよな。打つ方は問題ないんだがこいつにプロ相手のリードなんてできるのか?)
遠藤「いい加減ピシッと勝つぞ!」

千葉ロッテマリーンズ
本田監督「ここまでは2勝で来た。今日勝って3連勝で福岡に行くぞ!」
小島「おう!」
八坂「しかし6連勝の後の8連敗やら8月は安定しませんね」
姫島「得点が多いときは多い。失点が少ないときは少ないか」
寺井「打てるときは打てるけど、打てないときは打てないみたいな感じかな」
桜庭「8月は10勝9敗と勝っているがリーグ最下位だからな」
リッチー「勝てるときは勝てるが」
ギャラード「負けるときは負けますからね」

−1997年公式戦 大阪ドーム−
木下 神楽
後攻 先攻
VS
姫島 正夫
小野 銀次 寺井 安人
アルバート リッチー
広瀬 幸一 八坂 健太
DH 土井 博昌 ギャラード DH
菊池 真 桜庭 慶一郎
八代 正秀 小杉 猛
小栗 誠一 不破 烏
坂本 祐樹 江草 雄二
遠藤 泰徳 小島 真次

放送席
霞「知っている人は知っている知らない人は知らない。それがこの私、白銀霞です。と言うわけで今日は高校野球からの助っ人でプロのアナウンサーをさせてもらいます。相方の武藤さんはいないですが解説には超大物の高木武司さんに来てもらいました!」
高木「よろしくお願いします」
霞「伝説の300勝投手から観て今日の2人の先発はどう言った感じでしょうか?」
高木「そうですね。どちらもポテンシャルの高い選手ではあるんですが欠点も多いとまだまだと言ったところでしょうか」
霞「となると失点は避けられない試合になると」
高木「はい。遠藤は完投タイプではないですけど、失点はある程度は出ると思います」

1回表 近鉄0−0ロッテ 今日の先発は柱の1人として成長した遠藤だが正直防御率は悪い!
遠藤「先発の柱と言っても防御率4点台だからな。今日はできる限り失点を抑えて行くぞ!」

カキ―――ン!
姫島「今日は身体が軽いな」

霞「135キロのストレートと少しあまめに入ったかレフト前に打ちます! まずはノーアウトでランナーが1塁となりました!」
高木「球速もですがコントロールもあまかったですね」

遠藤「いきなり打たれてしまった」

ガキッ!
寺井「やばっ!?」

霞「セーフ! ダブルプレーかと思われましたがファーストはセーフです。寺井選手はショートゴロに終わりましたがファーストのランナーとして出ました!」
高木「その代わりファーストランナーだった姫島はアウトになりましたけどね」
霞「はい。1アウトランナー1塁で続くバッターはリッチー選手です!」
高木「ピークは過ぎましたがメジャーで首位打者を獲得した事もある伝説の選手ですね」

遠藤(フォークは通用する。この調子で)

カキ―――ン!
リッチー「フウ」

霞「リッチー選手も打ってこれで1アウトランナー1、2塁! 続くのはマリーンズでもっとも怖いバッターです!」
高木「フォークもコースも良かったんですが、上手く打つとリッチーが一枚上手でしたね」

遠藤「得意のフォークが打たれてしまった」

カキ―――ン!
八坂「良し!」

霞「レフト前ヒット! 寺井選手ですがホームに返って1点を先制! これで1アウトランナー1、2塁! ピンチは続きますと遠藤選手はここからどう抑えるのでしょうか?」
高木「遠藤はピンチに弱いのでここの失点が試合を決めるかも知れませんね」

ギャラード「フンッ!」

カキ―――ン!
遠藤「またかっ!?」

霞「続くギャラード選手もフォークを打った! ランナーはまたしても返りましたが1アウトランナー1、2塁と変わりません!」
高木「状況はですが、ただ得点は2対0になっていますね」

桜庭「しまった!?」

ガキッ!
遠藤「ようやく2アウトか」

霞「桜庭選手はフォークを打ちましたがファーストゴロに終わり2アウトです!」
高木「こうして観るとフォークは落ちていると調子は良さそうに見えるんですけどね」

小杉「おりゃっ!」

カキ―――ン!
遠藤「またかい!?」

霞「左中間真っ二つ! ランナー一掃のタイムリー2ベースヒット! これで2アウトランナー2塁です!」
高木「小杉も打つと今日のマリーンズ打線はすごいですね」

遠藤「まだ俺のフォークは生きている!」

カキ―――ン!
不破「俺もやるときはやるんだぜ!」

霞「センターの頭を越えたまたしてもランナーは返って打った不破選手はセカンドに止まります! またしても2アウトランナー2塁が続きます!」
高木「これで5点目ですか、今日のマリーンズはすごいですね(こりゃ試合は決まったかもな)」

江草「あっ!?」

ガキッ!
遠藤「ようやく終わった」

霞「江草選手はセカンドゴロに終わりこれで3アウトチェンジ! いやはや1回からとんでもない展開でしたね」
高木「遠藤の調子が悪いと言うよりマリーンズの打線が良いんですね。バファローズの打線が爆発しないならこの試合はマリーンズの物になるでしょうね」
霞「と言うと乱打戦の流れでしょうか?」
高木「バファローズの打線はまだ見ていないのでそっちの評価はできませんが今日のマリーンズ打線からしてバファローズの失点はまだ増えそうな気がしますね」

遠藤「すみません」
坂本「お前の調子は良い。やっかいなのは相手の調子が異様に良い事だな」
遠藤「俺って次も投げられるんですか」
坂本「恐らく監督は交代させるだろうな。今日の出番はもうないな」
遠藤「そうですか」
坂本(ピッチャーの交代は悪くないと思うんだが今日の流れからしてまだ打たれる気がするな)

姫島「打者一巡はせずか」
江草「すみません」
姫島「俺は打ちやすかったんだがお前はどうなんだ?」
江草「キレていてすごく打ちにくかったですよ」
姫島「そうか」

7回裏 近鉄6−10ロッテ 試合は予想通り乱打戦となった!
霞「しかしすごい試合になりましたね。マリーンズは1回と2回で10得点! バファローズも負けじと3回から得点を積み重ねて4点差まで来てしまいました!」
高木「ですね。10点のビハインドから4点差と大した物ですよ」
霞「そしてマリーンズ打線ですが1回、2回と当たっていましたが3回から無得点が続いております」
高木「中継ぎが頑張っているのもありますが10得点で気持ちが切れたのかも知れませんね」
霞「と言うと?」
高木「10対0なら試合は決まったも当然と思って最初ほど打席に集中できていないのかも知れません」
霞「大差に安心して気が抜けたと」
高木「バファローズの追従もそんな心理を利用した形になっているのかも知れませんよ」
霞「なるほど、そしてこの回のマウンドに行くのはルーキーながら活躍している永久選手です」
高木「さすがは本田監督ですね。早い登板と言えますが流れを断ち切るにふさわしいピッチャーですよ」

永久「小野さんからか」

カキ―――ン!
小野「良し!」

霞「スライダーをセンター前へ! ノーアウトでランナーが出ます!」
高木「小野は今日当たってないと思ったんですがこれで4打数2安打ですか、野球は本当に分かりませんね?」

永久「まだ1人出ただけだ」

ククッ!
アルバート「残念です」

霞「今日はノーヒットのアルバート選手ですが良く見ました。フォアボールで出塁しこれでノーアウトランナー1、2塁です!」
高木「いつもならバッチリ抑える永久がこれですからね。流れと言うのはやはり怖いですよ」

広瀬「うらっ!」

カキ―――ン!
永久「少しあまく入ったか」

霞「広瀬選手も打ちランナーが1人返って3点差となりました! これでノーアウトランナー1、3塁です!」
高木「私も経験がありますが調子に乗っている打線は怖いですよ」

土井「ふんっ!」

カキ―――ン!
永久「まいったな」

霞「土井選手も打った! またしてもランナーが返って2点差となりました! これでノーアウトランナー1、2塁です!」
高木「今シーズン調子の良い永久でも止められないときついですね」

永久(変化球をよく打たれるな。ストレート多めのサインを頼むか)

カキ―――ン!
菊池「おっしゃ!」

霞「148キロのストレートでしたがこれも打たれてまたしてもランナーが返ります! またしてもノーアウトランナー1、2塁と続きます!」
高木「ついに1点差と、永久でもここまで打たれるんですね」

永久「おかげ様で防御率は一気に落ちたな」

ズバ―――ン!
八代「うっ!?」

霞「151キロのストレート! 手が出ず見逃し三振でようやく1アウトです!」
高木「ようやくと今日は長い展開が続きますね」

永久「ふんっ!」

ガキッ!
小栗「あいつらよくこのボールを打てたな」

霞「小栗選手は打ち上げてピッチャーフライに終わり2アウトです! まだランナーを背負うピンチが続きますが」
高木「バファローズに取っては同点と言う貴重な場面ですからね。打って欲しいとこなんですが」

永久「こいつで決める!」

ズバ―――ン!
坂本「届かなかったか」

霞「最後は150キロのストレートを空振り三振し3アウトチェンジです! しかしこの回も異様に長く感じましたね」
高木「別に異様ではないですよ。実際3点返すと長い時間でしたし」
霞「そうですか、これで試合は10対9と同点にはなりませんでしたがバファローズの勝ち目も出て来ました」
高木「10点のビハインドから逆転できたら記録になるんですか?」
霞「ええ。パリーグなら初の記録になりますね」
高木「後2回で逆転できるのか楽しみな試合になって来ましたね」

永久「すまない」
八坂「いえ。よく抑えてくれましたよ」
永久「ここから逆転はさせん。この1点は何がなんでも守るぞ!」
八坂「はい!」

坂本「すまない」
木下「いえ。1点差まで追いついただけでもすごいですよ。後2回あれば1点くらいは問題ないですよ」
坂本「そうだな(そこまであまくない気もするが今日の打線なら逆転も狙えるかも知れん)」
木下「8回は俺からだがこれ以上失点しないよう守るのも重要だな」

9回表 近鉄9−10ロッテ 8回にも試合は動かず1点差のまま9回に入った!
霞「9回表のマウンドに向かうのは変わらず現在セーブ王の三沢選手です!」
高木「8回はヒットを打たれた物の無失点に抑えるとさすがでしたね」
霞「そして9回です。バファローズとしてはこの回を無失点に抑えて裏でのサヨナラを期待したいところです!」
高木「そうですね。マリーンズとしたらいい加減追加点を取っときたいんですがあれから1点も入りませんからね」

三沢「3人で斬る!」

ガキッ!
小杉「うーん」

霞「3の2と当たっている小杉選手でしたがここはショートゴロに終わり1アウトです!」
高木「出だしは悪くありませんね」

三沢「後2人!」

ククッ!
不破「キレ味抜群だな」

霞「不破選手は空振り三振しこれで2アウトです!」
高木「ふむ。この回は安心して見ていられますね」

三沢「後1人!」

カキ―――ン!
江草「ほっ」

霞「センター前に抜けた! 打った江草選手はファーストに止まります! 2アウトですがランナーが出ました!」
高木「結局こうなりますか、今日の試合では無事に三者凡退がいかに難しいかですね」

三沢「やれやれ上手く行かないな」

ガキッ!
姫島「打てなかったか」

霞「今日猛打賞の姫島選手でしたが打ち上げてレフトフライに終わり3アウトチェンジです!」
高木「三者凡退とは行きませんでしたがそれでも無失点とバファローズの投手陣も頑張っていますね」
霞「試合は10対9のまま9回裏に向かいます。ここでマリーンズが無失点に抑えれば勝利となりますが結果はどうなるのか?」
高木「永久は2回を3失点と今日は良くないんですが、どうなるんでしょうね?」

三沢「やれやれこれで今日の仕事は終わりと思いたいんだけどな」
坂本「同点の可能性もあるから延長も見越して欲しいな」
三沢「その通りですね。俺としては裏で勝って終わりにして欲しいんですけど」
坂本「そいつはバファローズ陣営全員の望みだな」

姫島「すみません」
寺井「なーに、ここを抑えれば終わりなんだ。後は守って行くだけだ」
姫島「そうですね」
寺井「後はバッテリーを信じれば良いだけだな」

9回裏 近鉄9−10ロッテ 後はマリーンズがバファローズ打線を抑えれば試合は終わりとなるが?
永久「後3人!」

カキ―――ン!
土井「おっし!」

霞「左中間を抜けた! 打った土井選手はセカンドに止まります!」
高木「まずは同点のランナーとバファローズも意地を見せますね」

菊池「うげっ!?」

ガキッ!
永久「後2人!」

霞「菊池選手は凡退しましたがランナーが進む進塁打となりこれで1アウトランナー3塁です!」
高木「スクイズで同点と行きたいところですが八代はバントの得意なタイプでもないですしここは打って来ますかね」

永久(スクイズ警戒か)

ガキッ!
土井「げっ!?」

霞「スクイズは失敗! 慌ててサードランナーの土井選手がサードに戻ります!」
高木「これは間に合いませんね」

八坂「………………」

パシッ! シュッ!
桜庭「ちょっ!?」

霞「ここで悪送球っ!? ランナーの土井選手ですがその隙にホームに返って同点です! 八代選手はエラーでセカンドにバファローズ一転してサヨナラのチャンスを作ります!」
高木「八坂の悪送球なんて初めて見ましたよ。八坂のエラーってプロに入って初めてじゃないですかね!?」
霞「それは分かりませんが、1アウトランナー2塁で迎えるバッターは小栗選手です!」
高木「下位打線なのが不幸中の幸いですね」

永久「代打はないか」

ガキッ!
小栗「セカンドゴロか」

霞「小栗選手はあっさりと抑えられこれで2アウトランナー2塁です!」
高木「ここは代打の場面なんですが、天野監督は動きませんね?」

永久「これで延長戦か」

スト―――ン!
坂本「………………」

霞「最後は落ちるスライダーで空振り三振! これで3アウトチェンジです!」
高木「エラーで同点1打サヨナラの場面とよく抑えましたよ」
霞「そうですね。しかしついに近鉄バファローズが追いつきました。試合は10対10となり延長戦に突入します!」
高木「本当に長い試合になりましたね」

八坂「すみません」
永久「気にするな。いつもお前のバッティングに助けてもらっているんだ。と言っても気にするか、なら1点を頼む。1点が入れば俺がそれを守る!」
八坂「はい!」
永久(と言っても今日の三沢から得点は難しいな)

坂本「すまない」
木下「いやいや気にしないで下さい(打席のたびにこれじゃこっちが困るんだけど)とにかく同点に追いついたんだし後は守って行けば少なくとも負けはないですから」
坂本「そうだな(打てないのならリードで納得する結果を出すだけか、と言っても10失点だからな)」
木下「ふう」

12回表 近鉄10−10ロッテ 10対10のまま動かずついに12回に入った!
霞「ついに延長戦もこの回で最後となります。セリーグなら15回までありますが」
高木「パリーグは12回までですからね」
霞「とにかくこの回で終わりなのでマリーンズが勝利するチャンスはこの回切りです!」
高木「三沢はこれで5イニングとクローザーなのに先発並みに投げていますね」
霞「まあこの流れでは他のピッチャーに代えられないんでしょう。ある意味クローザーはエースクラスの存在なので」
高木「チームに1人しかいないと言う意味ではたしかにそうですね。そして守護神同士の投げ合いと球史に残る試合になるのは間違いなさそうです」

三沢「後3人! 死ぬ気で抑える!」

ガキッ!
姫島「間に合わないか!」

霞「惜しくも内野安打にはならず! 1アウトです!」
高木「姫島は昨年左投のショートと言う事でひと悶着あったんですがゴールデングラブ賞を獲得したんですよね」

三沢「こいつで決める!」

ガキッ!
寺井「打てなかったか」

霞「2年連続首位打者を獲った事もある寺井選手も凡退しこれで2アウトです!」
高木「寺井は守備の方はまだ通用しそうですがバッティングは歳のせいか衰えていますね」

三沢「くそっ! 三振を奪えなかった!」

ククッ!
リッチー「ムッ!」

霞「最後は高速スライダーではなくエアカッターを空振り三振し3アウトチェンジです!」
高木「圧巻なピッチングでしたね」
霞「そしてこれでマリーンズの勝利もなくなりました。試合は10対10のまま12回裏へと入ります!」
高木「結局、三沢は5イニング無失点ですか」

三沢「今日の仕事はこれで終わりと気のせいか今年は異様に投げている気がするな」
坂本「気のせいじゃなく普通に投球回数も多いからな」
三沢「そういやそうでしたね。それじゃ後は頼みます!」
坂本「ああ。お疲れ様!」

リッチー「すまなかった。お前に繋げてやりたかったんだが」
八坂「いえ。これも野球です。それならせめて負けないよう最後は引き分けで終わりましょう!」
リッチー「そうだな」
八坂(こうすると前の打席でホームランを狙うべきだったな。いや今日の三沢さんからヒットを打てただけでも上出来か)

12回裏 近鉄10−10ロッテ マリーンズの攻撃も終わりバファローズの最後の攻撃が始まる!
霞「泣いても笑ってもこれが最後12回裏の攻防に移ります。最初のバッターはこの人、小栗選手です!」
高木「下位打線で相変わらず代打は出さないんですね?」

永久「何がなんでも引き分けで終わらせないとな!」

ズバ―――ン!
小栗「やったぜ!」

霞「最後は外れてフォアボール! ヒットではなくフォアボールですがこの場面でのフォアボールはある意味ヒットより大きいんじゃないでしょうか!」
高木「まあ言っている意味は分かりますが、重要な場面なのでどちらでも良いんじゃないでしょうか」

永久「落ち着け! まだ1人出しただけだ!」

ガキッ!
坂本(今日は打つのはダメだな)

霞「重要な場面での打席が多い気がする坂本選手ですがここは凡退しこれで1アウトランナー1塁です!」
高木「結局、坂本は6打数1安打、三振3つですか」

永久「くそっ!」

ククッ!
木下「ふう」

霞「粘った末のフォアボール! これでサヨナラの可能性が圧倒的に高くなりました!」
高木「木下もこうして観ると良いバッターですね。今年は3割打っているしいずれは首位打者も獲れるかも知れません」

永久「落ち着け! 後2人だ!」

ガキッ!
小野「併殺にならなかっただけ良しとするか」

霞「ファーストライナーに終わりこれで2アウトランナー1、2塁です!
高木「サヨナラのチャンスに変わりありませんからね。しかもここからクリーンナップになりますし」

永久「後1人!」

ズバ―――ン!
アルバート「命拾いしました」

霞「最後はプレッシャーに負けたか外してフォアボール! これで2アウト満塁です!」
高木「本当に球史に残る試合ですね(ここまで来るとマンガだな)」

広瀬「ふんっ!」

カキ―――ン!
永久「………終わったか」

霞「ライトフェンス直撃! ランナーは当然返ってサヨナラです! 10点のビハインドを見事に返して最後は12回サヨナラと見事に決めてくれました!」
高木「最後のボールは決め球のスライダーでしたがよく打ちましたね」
霞「10点差の逆転勝利試合はこれで3つ目となりパリーグでは初の記録となり球史に残る試合となりました!」
高木「優勝したような騒ぎになっていますね。まあ無理もないそれだけすごい試合でしたからね」

近鉄バファローズ
天野監督「良くやった。今日のこの結果なら明日以降も勝てる!」
坂本「明日は休みなので明後日からですね」
木下「まだ落ち込んでるんですか」
遠藤「1回KOだぞ。誰だって落ち込むよ。ああー三沢さん、ありがとうございます」
三沢「なんの話だ?」
遠藤「いえ。負けが付かなかったですから」
三沢「ああ。それなら俺より野手陣に言うんだな」
遠藤「そうですね。木下に広瀬ありがとな」
木下「いえいえ」
広瀬「なんか俺にはついで感があるような?」
小野「いや今日の勝利の立役者はお前と三沢さんだろう」
アルバート「そうですよ。サヨナラ打ってお立ち台にも上がったんですから」
広瀬「そうか、そうだな。よっしゃ明日も打ってやるぜ!」
八代「だから明日じゃなく明後日だってのに」

千葉ロッテマリーンズ
本田監督「最悪な負け方だったな」
全員「………………………………………………」
本田監督「各自反省はしているようだから口は出さないようにしよう。それでは解散!」
小島「監督、滅茶苦茶怒っていたな」
八坂「無理もないですよ。2回終わった時点でチームはもう勝ちムードでしたし結局俺のエラーが悪かったんですよ」
永久「終わった事でくよくよ悩んでも仕方ないだろう。とっとと寝て次に備えるだけだ!」
小島「おおう!?」
八坂「そうですね。次は勝ちましょう!」
小島「つうか永久さんってルーキーなのに俺達よりしっかりしているよな?」
八坂「それだけ人生経験が多いんでしょうね。俺や小島さんは高卒だから大学や社会人の厳しさは知りませんし」
小島「社会人はともかく大学野球は軽いと言うか緩いと聞いていたんだけどなー」

10 11 12
千葉ロッテマリーンズ 10 16
近鉄バファローズ 1× 11 16
勝利
三沢光明 9勝5敗20セーブ
セーブ
敗戦
永久拓海 5勝4敗18セーブ
本塁打
木下神楽2号 広瀬幸一28号
今日のヒーロー 広瀬幸一 12回裏のサヨナラヒット!

巨人寮 斎藤の部屋
斎藤「10点差でサヨナラ、それに同期の広瀬のサヨナラ安打か」
球星「うむ。稀に見る伝説の試合となったな。あの流れでは投手陣が気の毒だと思うが」
斎藤「けど三沢さんのピッチングはすごかったですよ。ランナー出しても無失点に抑え続けたし」
球星「たしかにワシらの時代を思い出すピッチングだったな」

西武ライオンズ
中村監督「ついに我がライオンズも首位に立った。後は2位のブルーウェーブを引き離して優勝するのみだ。今日の先発は日向だ!」
日向「ブルーウェーブか」
備前「どうした?」
日向「いえ。あそこには同世代が多くいるので」
浪川「こっちだって俺達がいるけどな」
桐生「そうそう」
日向「そうだな」
東雲「相手の先発は仙石さんか」
草薙「ひょろひょろ遅い球で打ちにくいんですよね。しかも打てなきゃ観客からヤジが飛んで来るし」
柳生「MAXで130キロいかないからな。観客席から観たらなんで打てないんだと思っても不思議はないけどな」
岡崎「打席に立たなきゃあの人の怖さは分かりませんよ」
柳生「まあな」
鳥海「久々のスタメンだが大丈夫か」
常葉「大丈夫です。今度こそチャンスを生かして見せます!」
双見(ふっ、若い奴は元気だな)

オリックスブルーウェーブ
中尾監督「……首位のライオンズとは1ゲーム差だ。つまり今日勝てば同率に並び明日勝てば再び首位に立てると言う事だ!」
轟「一気に抜かれてしまいましたからね。相手の先発は日向か」
仙石「12勝4敗と3年目ながら先発の柱の1人ですね。そう言えば轟さんと同じ歳でしたっけ?」
轟「ああ。お前の1つ上だな」
仙石「俺と同じでプロで有名になった人か」
轟「あいつは大学でもそれなりに名が売れていたけどな。八坂(ロッテ)や平井(ダイエー)が有名な年だったせいか話題性はなかったな」
仙石「不思議なもんですね。俺は高校じゃエースは取れなかったのに今じゃチームの先発の柱だ」
轟「ま、プロで開花する才能もあるからな。それにお前はタイプとしても特異だし評価が難しかったとは思うよ」
久住「細かい事は気にするな。今日もお前は普通に投げれば良い。援護してやるからよ!」
轟「まあそう言う事だな」
仙石「はい!」

−1997年公式戦 西武ライオンズ球場−
東雲 暴
後攻 先攻
VS
風祭 大吾
備前 吉安 日暮 雅敏
草薙 刃 久住 鴉
柳生 雷蔵 青木 悟
浪川 哲哉 轟 賢太郎
DH 岡崎 芳樹 乃木 大和
鳥海 新之助 高野 稔 DH
常葉 命 鳴海 和司
双見 禅次 木村 交
日向 流平 仙石 冬人

放送席
倉田「それでは西武ライオンズVSオリックスブルーウェーブ、20回戦の試合をお伝えします。今日の解説は永井寛和さんです!」
永井「よろしくお願いします」
倉田「永井さんはライオンズの黄金期を支えてくれた人でクローザーとして活躍し2年目から最優秀救援のタイトルを獲得と活躍しました!」
永井「懐かしいですね。ですが僕がセーブ王だったのは強いチームのおかげと言う点が大きいですよ」
倉田「と現役を引退しても相変わらず謙虚な永井さんでした」
永井「いえ。倉田さんとは知り合ったばかりなんですが?」
倉田「それはそれとして今日の試合はエースとは言われていない物の実質エースと言ってもいいピッチャー同士の投げ合いとなりましたがどうでしょう?」
永井「………そうですね。2人共既に2ケタ勝っているし成績も似ているんですがピッチャーとしてのタイプはかなり違いますね」
倉田「深く聞きたいところですが、間もなくプレーボールなのでここまでとさせて頂きましょう!」
永井「それほど深い話でもないですよ。ただ仙石と言うピッチャーが稀に見るピッチャーと言うだけですから」

1回表 西武0−0オリックス 昨年ブレイクした日向のピッチングから始まる!
日向「まずはゴールデンルーキーの風祭からか」

ガキッ!
風祭「ここまで変化するチェンジアップの使い手はあまり知らないな」

倉田「チェンジアップを引っかけてショートゴロに終わり1アウトです!」
永井「なんとか当てたと言った感じですね。日向の決め球はスライダーですがチェンジアップもやっかいと言われていますね」

日向「次は同期の日暮か」

ガキッ!
日暮「速いなー」

倉田「148キロのストレートに当てますが結果はファーストゴロに終わりこれで2アウトです!」
永井「球速も出ているし日向の調子は良さそうですね」

久住「とりゃっ!」

カキ―――ン!
日向「っ!?」

倉田「入った! 決め球のスライダーでしたがライトスタンドに叩き込む先制ホームラン!」
永井「初回でスタンドに入れる久住のセンスはやはりすごいですね」

日向「……やられたな」

ズバ―――ン!
青木「速いっ!?」

倉田「最後は150キロのストレートを空振り三振し3アウトチェンジです!」
永井「1失点ですが日向の調子は良さそうに見えますね」

日向「すみません」
備前「まあコースも良かったし打った久住を誉めるしかないな。これ以上の失点はしないよう気を付けて投げてくれ」
日向「はい」
備前「俺は仙石から打つ事を考えないとな」

轟「日向はどうだ?」
青木「ストレートや変化球もなんですがコントロールの良さがやっかいですね」
轟「調子は良さそうだな」
青木「しかし打てないと言うほどでもないな」

1回裏 西武0−1オリックス 久住のホームランでブルーウェーブが先制した!
仙石「一番は足の速いバッターだから嫌なんだよな」

カキ―――ン!
東雲「まずは1安打と」

倉田「ライト前ヒット! 変化抜群のスローカーブでしたが綺麗に打ちましたね」
永井「ええ。東雲と言うと粗いバッティングと言った感じでしたが今年の東雲は技術のあるバッティングをしますね」

仙石「ランナーが出たか」

ガキッ!
備前「あっ!?」

倉田「ピッチャーゴロ! 捕った仙石選手はセカンドに投げてまずは1アウト! そしてファーストも間に合わず一気に2アウトになりました!」
永井「いきなりの併殺打ですか」

仙石「これで2アウトか」

ククッ!
草薙「ふう」

倉田「外れてフォアボール! 2アウトですがまたしてもランナーが出ます!」
永井「調子は良さそうなのに結果は出ないと相手打線が良すぎるんでしょうか」

柳生「あまいぜ!」

カキ―――ン!
仙石「ふう、よく打ってくれるよ」

倉田「120キロのストレートをライト前ヒット! これで2アウトランナー1、2塁となります!」
永井「あのストレートも手元でノビて来るせいか打ちにくいらしいんですよね」

浪川「うらっ!」

カキ―――ン!
仙石「なっ!?」

倉田「レフトスタンドに叩き込んだ! 逆転3ランホームランです!」
永井「やりますね。あのスローカーブを完全にとらえましたよ。さすがは浪川です」

仙石「さっきの当たりには驚いたがこれ以上は打たさない!」

ガキッ!
岡崎「なんでこんなストレートが打てないのか分からん?」

倉田「125キロのストレートを打ち上げセンターフライに終わりこれで3アウトチェンジです!」
永井「やはり手元でノビているんでしょうね。芯を外されている感じがします」
倉田「1回を終わりまして試合は3対1と西武ライオンズがリードしております。そして両ピッチャーですが初回で失点と立ち上がりから失敗しております」
永井「そうですね。ボールを見ていると調子は良さそうに見えたんですが、ここまで打たれると調子は悪いのか、バッターの調子が良すぎるのかのどちらかでしょうか?」

仙石「すみません」
轟「まだ1回だ。ここからゼロに抑えて行けばいい!」
仙石「はい!」
轟「問題は日向から何点取れるかだろうな」

鳥海「やっぱり打ちにくそうだな」
岡崎「仙石さんのフォームって球の出所が分かりにくいんですよね」
鳥海「そして手元でノビるストレートか」
岡崎「それで更に遅い変化球ほ混ぜられると」
鳥海「まあ打ちにくいわな」

8回表 西武3−3オリックス あの後、ブルーウェーブもコツコツと返して同点となった!
倉田「試合はいよいよ8回に入ります。ライオンズは初回以降無得点ですがブルーウェーブはその後もコツコツと返し同点にまで追いつきました!」
永井「それとピッチャーは変わらず投げ合いとなっているところも面白いですね」
倉田「7回3失点と誉めるべきか微妙なところですが」
永井「まあ試合は壊れていないから問題ないと言いたいところですが、あの2人の実績からしたら失敗と言うピッチングでしょうね」
倉田「手厳しい意見ですが事実なのでしょう。ここから2人がどんなピッチングをするか注目しましょう」
永井「そしてバッター達がどう攻略するかですね」

日向「そろそろ交代もありそうだな。ここまで来たらとことん投げ合いたいんだけどな」

カキ―――ン!
木村「疲れが見えて来たな」

倉田「左中間を抜けた! 打った木村選手はセカンドに止まります!」
永井「コースがあまかったですね。疲労が出て来たのかも知れません」

風祭(送りバントか)

コツンッ!
日向「くっ!?」

倉田「ピッチャー前への送りバント成功で1アウトランナー2塁となりました!」
永井「風祭に送りバントですか、手堅く来ましたね」

日向「ふう」

カキ―――ン!
日暮「やったあ!」

倉田「今度は右中間へ! ランナーは返って打った日暮選手はセカンドに止まります!」
永井「ここに来て疲れが出ましたね。今のは失投でしょう」
倉田「ここでピッチャー交代です! 日向選手に代わって桐生選手がマウンドに向かいます!」
永井「まあこの交代は仕方ないですね。それに桐生と言えばブルーウェーブにいたし良い登板なのかも知れません」

日向「悪い」
桐生「後はこっちでなんとかしとくからゆっくり休め」
久住「桐生か、苦労したお前には悪いがここは打たせてもらうぜ!」

カキ―――ン!
桐生「げっ!?」

倉田「ライト前に落ちた! 日暮選手はサードをまわれない! 久住選手はファーストに止まります!」
永井「これで1アウトランナー1、3塁ですね」

桐生「俺も昨年の中継ぎ王だ。ここは抑えてやるぜ!」
青木「これは打てる!」

カキ―――ン!
桐生「げっ!?」

倉田「得意のスクリューでしたがレフト前に落ちた! ランナーは1人返ってこれで5対3となりました!」
永井「桐生の登板ですが裏目に出ましたね」

桐生「おのれ昔の仲間に対して薄情な奴らめ!」

ガキッ!
轟「やっちまった!?」

倉田「6−4−3のダブルプレー! 1アウトランナー1、2塁のピンチでしたがこれで3アウトチェンジです!」
永井「最後のボールもスクリューでしたね」
倉田「ブルーウェーブ、ここで追加点を取って一気に勝利に近くなりました」
永井「裏の攻撃もありますからまだ試合は分かりませんよ」

桐生「ふっ、抑えてやったぞ!」
備前「アホか! 打たれてこれで5対3だぞ」
桐生「まあやる気を出しても打たれるときは打たれますし後は備前さん達に頼みます」
備前「見事なまでの他力本願だな」
桐生「いやだってここまで来るともう任せるしかないし」
備前「まったく打たれ弱いくせに図太い奴だ」

轟「打てなかったのは仕方ないな。後は守って終わらせるだけか」
青木「後2回ですね」
日暮「今日勝てばお立ち台は僕かな」
久住「そう言えば日暮がヒーローになったとこ当分見ていなかったっけ?」

9回裏 西武3−5オリックス 試合は動かず点差は2点のまま変わらない!
倉田「試合もいよいよ9回裏に入ります。結局、8回裏と9回表に試合は動かず2点差のままとなっております!」
永井「9回裏のマウンドに行くのは仙石ではなく高月なんですね」
倉田「すみません。言い忘れていました。ここでピッチャー交代です。仙石選手に代わって高月選手がマウンドに向かいます!」
永井「このまま完投かと思いましたが、ここは高月と少し意外でしたね」
倉田「仙石選手は1回こそ3失点した物のそれ以降は無失点に抑え8回3失点で降板しました」
永井「まあ投げ合いでは日向の負けですね」
倉田「それではライオンズの攻撃を楽しみにしましょう」
永井「4番の柳生からですね」

柳生「ここは打つ!」

カキ―――ン!
高月「いきなりか」

倉田「右中間を抜けた! 打った柳生選手はセカンドに止まります!」
永井「今年の柳生も当たっていますね」

浪川「そこだ!」

カキ―――ン!
高月「よく打つな」

倉田「センター前に落ちた! これでノーアウトランナー1、3塁となりました!」
永井「打ったのはチェンジアップですね。日向より変化は落ちるんでしょうが、それでもよく打ちましたよ」

岡崎「ふんっ!」

カキ―――ン!
高月「っ!?」

倉田「今度はライト前ヒット! ホームに1人返ってこれでノーアウトランナー1、2塁となりました!」
永井「よく打ちますね。これで5対4と試合は一気に分からなくなりましたよ」

鳥海「重要な場面だな」

カキ―――ン!
高月「………………」

倉田「ランナーは返りませんがこれでノーアウトランナー満塁となりました! 1打サヨナラの場面でルーキーの常葉選手がバッターボックスに入ります!」
永井「常葉はルーキーとしてはまずまず打っているんですけど、他の活躍した選手とは歴然の差なんですよね。ここで打って才能が開花して欲しい物なんですが」

常葉「ここで打つ!」

カキ―――ン!
高月「負けたか」

倉田「パームを打った! 右中間を抜けてランナーは2人返ってサヨナラだ―――!」
永井「ブルーウェーブに取ってはまさかのサヨナラ負けですね」
倉田「今シーズン安定感抜群の高月選手がまさかのサヨナラ負けでもありますね」
永井「そうですね。高月がここまで打ち込まれるのはまず見ないんですが前の試合でもサヨナラ打たれているし夏になって調子を落として来ているのかも知れませんね」
倉田「西武ライオンズVSオリックスブルーウェーブの試合でしたが西武ライオンズが6対5のまさかのサヨナラ勝利で終わりました!」
永井「最後の最後でライオンズ打線が爆発しましたね」

西武ライオンズ
中村監督「よくやった。このまま一気に引き離して優勝を狙うぞ!」
全員「はい!」
常葉「初めてのお立ち台だ!」
桐生「俺も2勝目だ」
備前「こいつ悪運強いよなー」
日向「とにかくチームが勝てて良かったです」
東雲「4の1か、打率落としたな」
草薙「ノーヒットの俺に比べればマシですよ」
浪川「俺はホームラン打てて満足だけどな」
柳生「俺も猛打賞だったがホームラン打ちたかったなー」
岡崎(本音なんだろうが嫌味にしか聞こえないな)

オリックスブルーウェーブ
中尾監督「………サヨナラ負けか」
高月「………………」
轟「すみません」
仙石「まさか高月さんがここまで打たれるとは思わなかったな」
風祭「仙石さんはショックじゃないんですね?」
仙石「まあ初回で3失点したしな。交代は残念だったが気持ち的には投げ勝った気分だしな」
日暮「たしかに日向君より仙石君の方が上のピッチングだったね」
仙石「そう言われると嬉しいですね」
久住「俺も打てたし悪くなかったんだが首位のライオンズとまた差が付いちまったからな」
青木「3連覇を狙うなら直接対決でこれ以上負けるわけには行きませんからね」
乃木「まあ明日もあるし9月と10月も直接対決はあるからな」
久住「そういや明日もあるんだったな」
青木「明日は勝ちましょう!」

オリックスブルーウェーブ
西武ライオンズ 3× 10
勝利
桐生春海 2勝0敗2セーブ
セーブ
敗戦
高月寿志 4勝5敗18セーブ
本塁打 久住鴉14号 乃木大和18号19号
浪川哲哉21号
今日のヒーロー 常葉命 9回裏のサヨナラ安打!

インフィニティスポーツ
倉田「今月はこれが最後の試合になります!」

1−2 1−2 1−3
7−1 9−7 1−1

野村「今月は色々とありましたね。バファローズは劇的なサヨナラ試合の後も勝って6連勝しましたし」
倉田「今日は引き分けですから連勝記録もストップしましたけどね」
野村「まあそれでも大した物ですよ。後、驚きなのはライオンズですね。8月は17勝8敗と言う成績で首位のブルーウェーブを抜いて3ゲーム差まで引き離しました」
倉田「今日も勝って3連戦は2勝1敗でしたからね。私としてはセリーグにも注目しております。野村さんはライオンズと言ってましたが私としてはベイスターズです! 8月は20勝6敗で首位のスワローズに3.5ゲーム差まで詰め寄りました!」
野村「たしかに10ゲーム差が3.5ゲーム差と優勝が分からなくなって来ましたね」

チーム 試合 勝数 敗数 引分 勝率 ゲーム差 チーム 試合 勝数 敗数 引分 勝率 ゲーム差
111 65 44 .596 109 62 45 .579
106 60 46 .566 3.5 104 56 45 .554 3.0
107 56 51 .523 8.0 111 52 56 .481 10.5
109 49 59 .454 15.5 111 52 58 .473 11.5
113 49 63 .438 17.5 110 51 58 .468 12.0
110 47 63 .427 18.5 105 46 57 .447 14.0

倉田「と言うわけでこれが今月の成績です」
野村「パリーグはライオンズとブルーウェーブの一騎打ちと言った感じですね。セリーグはスワローズとベイスターズなんですがカープもギリギリ入りますかね。正直、残り試合からするとこちらも2チームの争いになりそうですね」

8月の月間MVP
野手部門 投手部門
真田 和希 竜崎 武蔵
石井 明 浅野 学

倉田「そしてこれが本日の月間MVPです!」
野村「注目なのはルーキーの真田と復活の竜崎ですかね」
倉田「斎藤選手との投げ合いに負けた後は4連勝しましたからね」
野村「それよりケガから治った後に中3日で投げると言う事に驚きですよ」
倉田「言い出したら聞かない人らしいですから」
野村「それで通るところが竜崎らしいですね」

巨人寮 斎藤の部屋
斎藤「8月もこれで終わりか」
球星「斎藤も久々に勝てたし良かったな」
斎藤「これでも14勝4敗と活躍していますから」
球星「しかし新人王には強力なライバルがいるようだが」
斎藤「石崎か、あいつは16勝7敗とこのまま行けば最多勝獲りそうだしな。そう言えば滝沢も3割30本達成したんだっけ? あいつは抑えているイメージがあるせいかライバル意識はそんなにないんだよな」
球星「ルーキーで4番を打っている相手に余裕だな」
斎藤「いやまあ実際打たれてないですから」
球星「それにしてもプロ野球もそろそろ終わりだな。優勝がないお前としたら後はタイトルか」
斎藤「そうですね」
球星「なんだ自信がないのか?」
斎藤「いえ。優勝争いに参加できなかったので」
球星「まあこればかりはな」
斎藤「そう言う意味じゃ滝沢や村雨がうらやましいです」
球星「ま、お前も1年目だ。その悔しさは来年だな(まあ奪三振のタイトルは確定だな)」
斎藤「はい!」

こうして8月も終わった。斎藤に優勝はもうないがタイトル争いは残っている。斎藤はタイトルを獲る事ができるのか?