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結依「起きるのじゃ!」
結依「ふむ。寝起きは良いな」
結依「朝の5時じゃな!」
結依「今日の試合、先発じゃろう! なら早起きして調子を整えて行く物じゃろう!」
結依「起きて食事をして5時間後が1番調子が良いらしいから今度からはもっと早く起きる様にした方が良いじゃろう」
斎藤「その意見は今度から参考にさせてもらいますけど」
結依「うむ。それでは朝食をとりに行くか」
月砂「結依さん、お味はどうですか?」
結依「美味じゃ! 朝は和食と決めていたんだが洋食も良いもんじゃのう!」
月砂「そう、良かった」
結依(こう言うふうに顔を合わせて食事と言うのも良いもんじゃな)
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中西監督「いよいよ決勝だ。斉天は恐ろしく強い。
真田「監督、前置きが長いです」
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斎藤「まさか、本当に1年でエースとはな」
佐伯「それはお前もだろう。とにかく今日はとことん投げ合おうぜ!」
斎藤「ああ!」
八坂主将「今日で最後の対決かな」
八坂主将「ラストチャンスに賭けるか、また敗北を教えてやるぜ。真二!」
相良「今日は勝つ!」
相良「1年とはいえあいつらはやるぞ!」
相良「慢心はないって事か」
大島監督「それでは今年も勝たせてもらいます!」
中西監督「そうそう、うまく行くかな!」
大島監督「ここ数年は一度も楽に勝てた試合はなかったですからね」
中西監督「慢心はないって事か」
大島監督「ええ!」
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霞「いよいよ決勝戦が始まります」
武藤「と言っても甲子園行きが決まってたら盛り上がらないんじゃないですか?」
垣内「そうでもないですよ。少なくとも両高校はベストメンバーで試合を望んでいます」
霞「遅れながら解説には元球界の速球王、
垣内「よろしくお願いします」
霞「ここ数年はほとんど斎天大附属が優勝しておりますが両校の実力はどうなんでしょうか?」
武藤「そうですね。まず選手の多さが圧倒的に斉天大附属が多いですからね。私は斉天大附属が勝つと思います」
垣内「私も勝率と言う点では斉天大附属ですね」
霞「なるほど、2人共、斉天大附属が勝利すると」
武藤「はい」
垣内「いえ、私は赤竜高校に賭けます」
垣内「私はいつも大穴狙いですから、まあ赤竜高校は立派な対抗馬ですから大穴とは言えませんけどね」
垣内「昔からギャンブル全般は好きだな」
霞「それで何を賭けるんですか?」
垣内「今晩の夕食とか?」
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斎藤「斉天の1番打者か」
大下主将(真貝は足が速く選球眼も良い打者だ。思いっきり力勝負で行くぞ!)
斎藤(はい!)
霞「見逃し三振! まずは1番の真貝君を三球三振と見事な立ち上がりを見せます!」
武藤「1球も振らずに三振とは」
垣内「1打席目は斎藤君のボールに慣れる為に捨てたんでしょう」
霞「平坂君はバントで打ち上げ2アウト!」
武藤「平坂君もボールに慣れる為に打席を捨てたみたいですね。まさか嘉神君も?」
霞「続く嘉神君も打ち上げ3アウトチェンジ!」
垣内「嘉神君も当てるだけのコンパクトのスイングですね」
斎藤「………………」
大下主将「どうした?」
斎藤「いえ。1イニングで三振が1個もとれなかったもので」
大下主将「今までの試合でもあっただろう?」
斎藤「はい。しかし初回からこれじゃ今まで対戦したどの高校よりも上ですね」
大下主将「ああ。だからお前は出来る限り飛ばしてくれ。後ろには七瀬が控えてるしな」
斎藤「はい!」
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真田「と言う訳で師匠!」
真田「他に誰がいるんですか? それであの弟子はどうやって崩せば良いんですか?」
真田「どう打てば良いんですか?」
中西監督「お前が佐伯から打つのは無理だ!」
中西監督「打つのは無理だが出塁は可能だ!」
中西監督「お前は足が速い。その特技を生かすんだ! ようするにバットに当てたら全速力で走れ!」
佐伯「どんなアドバイスをされたのかは知らないが俺の球は一朝一夕じゃ打てないぞ!」
八坂主将(―――さてと真田は内野安打で打率を稼いでいる。俺の見立てじゃ足の速さは県内トップだ。どう攻めるかな?)
霞「平凡なピッチャーゴロに見えましたが内野安打!」
垣内「現役時代の野村を見る様ですね」
中西監督「簡単な事だ。今まではフェアかファールか見てから走ってたが」
吉田「なるほど、今回は確認せずに走っていたからその分早くヒットになっていたと」
八坂主将「安心しろ。走ったら俺が刺す!」
中西監督「さてと」
中西監督「サインを出しても出さなくてもあいつは走る。そう言う奴だろうが」
真田(サッ!)
八坂主将(あまい!)
霞「内野安打で出塁した真田君でしたが盗塁は失敗!」
垣内「警戒もせずに八坂君から盗塁はまず狙えません」
佐伯「さすがは八坂さん」
八坂主将「あんなに分かりやすい盗塁じゃあ俺からは盗めないな」
大下主将「信じられないと言った顔だな」
大下主将「むかつく事にあいつの肩はプロでも即戦力として期待されてるからな」
吉田「さすがは高校No.1の捕手ですか」
大下主将「ああ」
相良「訂正、高校No.1捕手は名雲ですよ!」
吉田「無明高校の正捕手の名雲さんだよ。八坂さんより1つ下だけど
相良「名雲は別格さ。あいつとはリトルの頃からの付き合いだが勝てないと何度も思った物さ。まあいずれは超えてやるがな!」
霞「やはり2ストライクからはクリティカルシュートだ! 三振です!」
武藤「凄いキレですね!」
垣内「変化も凄いな。それに福井さんのシュートに似ているな」
佐伯「次は大下さんか」
八坂主将「
大下主将「へえ。
八坂主将「俺は捕手だからな。その辺の計算はできるさ!」
大下主将「言ってくれる!(しかし仕方ないのかも知れん。ずっと負け続けているの事実だし)」
霞「大下君も空振りクリティカルシュートを空振り三振し3アウトチェンジ!」
八坂主将「初回でそんなんじゃ到底俺には勝てんな」
大下主将「別にお前に負けた訳じゃねえ。次は打ってやる!」
霞「佐伯君、ランナー出す物も無失点に抑えます!」
武藤「1年生同士の投げ合いとは思えないですね」
垣内「確かに面白い試合展開になりそうですね」
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霞「試合は4回表、現在斎藤君はパーフェクトに抑えています!」
武藤「パーフェクトと言ってもまだ1打席抑えただけですからね」
垣内「斉天大附属は打線の力に絶対的な自信がありますからね。このまま無失点は難しそうですね」
斎藤(パシッ! シュッ!)
霞「まずは真貝君がセーフティバントで出塁します!」
武藤「やっぱり名門の1番ともなるとセンスが良いですね」
斎藤「よし、これなら!」
霞「これは嵯峨君が前進したせいか打球の場所には誰もいない!」
霞「これは間宮君のファインプレー!」
武藤「あのまま見送ったらランナーがホームに返ってたかも知れませんから今のは良いプレーですよ!」
垣内「確かに、しかしピンチには変わりない。ここを斎藤君がどう抑えるか?」
大下主将(斎藤の球は悪くない。その証拠に平坂は芯に当てる事はできなかった。次は嘉神か、まずいな)
斎藤「考えても仕方がない。ねじ伏せる!」
霞「完全に138キロのストレートに振り遅れて空振り三振に倒れます!」
武藤「嘉神君が得点圏で三振なんて珍しいですね」
斎藤「おっし!」
霞「続く打者は全国トップの打者とも噂される高須君!」
垣内「確かに全国でもトップクラスの打者でしょう。まあ、他にも凄いのがいるからトップとは言い切れませんが」
霞「右中間真っ二つ! 捕った相良君はホームへ投げる!」
大下主将(パシッ!)
斎藤「コース付いたのに真芯でとらえられた。高須さんかこんな凄い打者がいるのか」
霞「これで2アウトランナーは1塁、3塁!」
垣内(2アウトと言えこの場面を無失点で抑えるのは難しい。しかしもし抑えられるならこいつは?)
霞「空振り三振!」
武藤「得点圏で斉天のクリーンナップが打てないなんて久し振りに見ましたね」
垣内(欲しいな。1年でこの潜在能力ならプロでも通用しそうだ)
八坂主将「ランナー背負ったら更にノビが上がったな。これは得点するのに苦労するかも知れん!」
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佐伯「1回はやられたからな。ここでリベンジさせてもらうぜ!」
真田「気合いが入ってるな。こっちも負けられない。打率3割到達するまでは!」
霞「現在、佐伯君は1安打無失点と斎藤君に負けない投球内容です!」
武藤「恐ろしい1年生投手達ですね」
垣内(こうして見てみると佐伯も捨てがたいな)
霞「良いところに飛びましたがセカンドの音田君の好プレーでアウト!」
武藤「名門だけあって守備もうまいですね」
佐伯「いきなり当てたか、真田、いずれはやっかいな打者になるかも知れないな!」
霞「続く間宮君は空振り三振!」
垣内「かすりましたね。シュートにタイミングがあって来てるのか?」
佐伯「間宮さんもタイミングがあってたな」
霞「続く大下君も芯に当てましたがピッチャーライナーで3アウトチェンジ!」
佐伯「俺のシュートのキレが落ちてる?」
八坂主将「違うな。あいつらがお前のシュートに対応して来てるんだ!」
佐伯「つまり油断はできないって事ですね!」
八坂主将「そういう事だ!」
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霞「現在、無死満塁のピンチを迎えております。マウンドの斎藤君!」
武藤「嵯峨君のエラーで調子が狂った感じですね」
垣内「続いて玖珂君も暴投しましたしね」
相良(パシッ! ビュ―――ン!!)
大下主将(パシッ!)
霞「嘉神君、ヒットを打つものも相良君の肩の前に斉天大附属、得点ならずです!」
武藤「良く抑えましたね。これで併殺といきたいところですね」
垣内「まだ油断はできませんよ」
霞「―――入りました。初球、失投でしょうかを迷わず振り打球は場外へ」
大下主将「失投だな。まあ、仕方ない。次も健太って強打者だ。気を抜かずに抑えよう!」
霞「また入りました! これで5点目です!」
武藤「さっきの満塁弾で終わったみたいですね。もう球速も球威もノビもありません」
垣内(やはり1年生投手か、精神面はまだまだだな)
中西監督「斎藤! 斎藤!! 斎藤!!!」
中西監督「そんなふうに放心してたら心配するだろうが」
斎藤「いえいえ。先輩達は悪くありませんよ。気を抜いて打たれた俺の責任です。それにしても八坂さんにも打たれてたとは?」
中西監督「大丈夫なのか、後ろには七瀬もいるし代わっても」
斎藤「大丈夫です。ちょっときつい一発食らって落ち込んでただけですから」
霞「斎藤君、後続を三振と見事に立ち直します!」
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相良「斎藤の為にも佐伯を打つ!」
佐伯「相良さんかこの人は要注意だな!」
霞「この回の先頭打者は相良君です。佐伯君には3打数1安打と一応打っています!」
垣内「しかし本人は納得していないでしょうね。ホームラン打てなきゃ納得できない性格みたいだし」
霞「2ベースの当たりですが嘉神君の好守備でまたしてもシングル止まりです!」
霞「いったあ! 斎藤君の意地の一振りで佐伯君のシュートを粉砕します!」
垣内(このバッティングセンスもスター性を感じさせるな…………どうも気になる選手だな。野村にそれとなく話してみるか)
霞「続く嵯峨君、あまり良くない当たりですが飛んだ場所が良かったのかポテンヒット!」
霞「いきました! 佐伯君のシンカーをスタンドに運ぶ2ランホームラン!」
垣内「玖珂君もなかなか良いですね。さほど変化しない変化球とはいえこの場面でホームランを打つとは」
霞「続く吉田君も芯でとらえますが嘉神君の守備範囲内で1アウト!」
霞「後藤君は三振!」
霞「続く真田君もストレートで三振!」
武藤「シュートで忘れがちですが佐伯君も140キロと速い球を投げますからね。打ちにくいですよ」
垣内「しかしこの回に4点と試合の結果はまた分からなくなったな」
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霞「今日はいまいちな嘉神君から始まります!」
斎藤「ここを3人で抑えれば裏で逆転もできる!」
霞「追い込まれて135キロのストレートに振り遅れて三振!」
武藤「もう9回なのに球速が落ちませんね」
垣内(スタミナは問題なしだな)
霞「続く高須君もストレートに三振!」
霞「八坂君、良い当たりでしたが後藤君のファインプレーで3アウトチェンジ!」
武藤「1点差のまま最後ですか、試合の行方は分かりませんね?」
垣内「佐伯君しだいですね。1年生で名門のエースをとるなど潜在能力は申し分ないですが精神面はまだ未熟っぽいですから」
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霞「先頭の間宮君、変化球にタイミングが合わず三振します!」
武藤「変化球のキレはいまだに落ちませんね」
垣内(佐伯もスタミナがあるな)
佐伯「まずは1人!」
霞「これは大きな当たりだあっ! 行ったか入ったか?」
霞「同点かと思いましたが後一歩届かずこれで2アウト!」
八坂主将「まあ、しょせんお前の力なんてこんなもんだろうな」
八坂主将(しかしレフトかライトならスタンドに入って同点だったな。佐伯のシュートを1試合でここまでとらえるバッティングセンスはさすがだな。プロに入ったら良いライバルになれそうだ――――――真二の前じゃあ言えないが)
佐伯「最後は相良さんか―――後ろには斎藤がいるし歩かせられないな」
八坂主将(相良で逃げてたらこの先、誰にも勝てないぞ!)
佐伯(甲子園に行けば相良さん以上のバッターとも対戦する事になるからな―――)
相良「―――ふう。ここで同点にしたいところだな!」
霞「ファール! 相良君、初球から振って来ました!」
武藤「ファールですがタイミングは合ってますね」
垣内「ここで相良君が出れば次はホームランを打っている斎藤君ですから勝負でしょうね」
武藤「私だったら相良君と斎藤君を敬遠して嵯峨君と勝負しますが?」
垣内「ラッキーヒットを打っている嵯峨君はある意味、相良君や斎藤君より嫌かも知れませんよ」
霞「武藤さんの場合、運だけの勝負なら負けるとは思えないんですね」
霞「はあ、よくそう言われるんですが、いまいち私には分からないんですよね?」
相良「――――――負けたか」
霞「アウトです! 1点差を守りきって斉天大附属が優勝!」
武藤「今年も斉天大附属は強いですね」
垣内「しかし赤竜高校も1点差と甲子園レベルの
真田「……甲子園の決勝?」
吉田「同じ県で2校が甲子園に出場したら決勝で会えるようになってるんだ」
真田「なるほど」
八坂主将「
佐伯「
佐伯「それじゃあ
八坂主将「分からないさ。
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結依「とりあえず、お疲れ様なのじゃ!」
結依「ふむ。そのセリフは久々じゃな。だが人間どうにもならない事はあるのじゃ!」
月砂「どんどん料理作っていくからどんどん食べてね!」
相良「月砂さん、お代わりお願いします!」
月砂「はーい!」
斎藤「それにしても姉貴と相良さんが知り合いなのは驚きでした!?」
相良「俺だって驚いたよ。まさか月砂さんの弟が斎藤だとは思わなかったからな?」
月砂「私の事を名字で呼ぶ人は少ないからね」
斎藤「そもそもどこで知り合ったの?」
斎藤「へーえ」
月砂「まあ、家の手伝いはせずに野球ばっかりしてたアンタが知らないのも当然よね」
月砂「それに相良君も高校に入ってからはあんまり来てくれないけどね。嘉神君達は来てくれるのに」
相良「俺、嘉神、高須、名雲、天野、河島と良くここに来たんだよ」
月砂「真面目に家の手伝いをしてたら知り合えたのにね」
月砂「えっと? ―――どこで話したのかな?」
大下主将「もちろん赤竜高校でです」
月砂「何気に私の歳をばらしたわね」
月砂「冗談よ。それで何を話したの?」
月砂「―――ごめん。全然覚えてないわ!」
真田「ふっ、ここはもう僕の別荘みたいなものだからね」
結依「良いではないか賑やかな方が楽しそうじゃ!」
結依「月砂にしばらくこっちで暮らさないかと言われてな。ふっ、もてる女の辛いところじゃな」
月砂「あのー、結依さん、人をそういう趣味みたいに言わないで下さい」