|
御影「ぬぉ―――!」 ズバ―――ン! 香住「うん。良いボールだよ!」 御影「いや、こんなボールじゃダメだ」 今では信じられないだろうが昔の御影と香住は選手としては一流どころか三流と言われるくらい落ちこぼれだった。努力は認められていたが試合で活躍する事もなく彼らは中学3年の頃も全然活躍できなかった。では変わった切欠はなんなのかそれはある少年との出会いだった。 河島(まいったな) 香住「君、迷子?」 河島「違います。迷子は俺でなく両親の方です!」 御影「残念ながら一般的には子供の方が迷子って言われるんだよ」 河島「そうなのか」 香住「まあまあお兄さん達が一緒に探してあげるよ」 河島「いえ。あのー」 御影「気にするな。帰りのついでだ。ガキが遠慮するな」 河島「はい(そう言う意味じゃないんだけどな)」 御影&香住「……………………」 河島「すみません。こう言う両親なんです」 そこにあった物は「悪いが先に帰る。お前は地図に書かれている知人の家に向かえ!」と書かれたメモが缶ジュースと一緒に置いてあった。 御影「普通、こんなガキンチョ残して先に帰るか!?」 河島「今までも結構置いてけぼりは食らってますし慣れてますから」 御影「それにしても適当な両親だな!」 河島「いえ。変人ですがあれでも結構良いところもあるんですよ」 御影「そうか、両親の悪口言って悪かったな」 河島「俺の事を心配して言ってくれたって事くらい分かりますから気にしてないですよ」 香住「あのさ。ここに書かれている家って灯夜の家じゃない」 御影「なんだとっ!?」 河島「お兄さんち!?」 香住「うん。やっぱり間違いないよ。僕の家は隣だしここ灯夜の家だよ」 御影「こんな偶然あるのかよ!?」 香住「まあ結果的には良かったんじゃない」 御影「まあな。仕方ない。しばらく家に住め」 河島「はい!」 こうして御影家は変わった居候も増えた妙な生活が始まった。 河島「そう言えばお兄さん達も野球しているんですね」 御影「ああ。達もって事は京太もやっているのか?」 河島「はい。エースで4番って言いたいところですが控え投手やら6番外野だったりします」 香住「レギュラーなんだ」 河島「うーん、ま、一応は」 御影「ふーん、俺はピッチャーで祐真はキャッチャーだ。こっちは残念ながら補欠だけどな」 河島「そうなんですか意外ですね」 御影「意外?」 河島「俺、こう見えても勘の良い方なんで凄そうな人見ると鼻が利くんですよ!」 御影「ふーん」 河島「全然信じてませんね」 御影「実際補欠だからな」 河島「むう」 香住「まあまあ僕はキャッチャーだし京太君のボールも捕って見たいな」 河島「ふっふっふ、あまりの剛速球にびびらないで下さいよ!」 御影(そう言えば俺にもこんな時期があったな。中学に上がってからはレベルの違いに愕然としたっけ) 御影は河島に昔の自分を重ねて見ていた。せめて河島には自分の様になって欲しくないと思いながら就寝に付くのだった。 河島(シュッ!) ズバ―――ン! 香住「これが小学生のボール!?」 御影「つうかそのモーションはなんだ!?」 河島「ふっふっふ、これが俺の必殺技マグナムトルネードです!」 御影「マグナムトルネードって?」 河島「俺の必殺ストレートです。あいつらには絶対必殺にするなよと青い顔して言われたりもしましたけど俺は気にしません!」 あのメンバーに聞かれたら全員に突っ込まれそうだが河島は気にせず自画自賛する。 香住「それにしても110キロは出てたし球威も凄そうだしと凄いボールだったよ!?」 御影「ああ。コントロールはダメそうだが本当に凄いボールだった!」 河島「コントロールの事は言わないで下さい」 御影「……なあ京太、そのフォームを教えてくれ!」 河島「俺の投法をですか」 御影「頼む!」 河島「別に良いですけど、キャッチャーには嫌われるフォームですよ。監督にも散々止めろと言われましたし」 香住「モーションが大きいからね。それにセットだとどう言うふうになるんだろう?」 御影「しかしボールの威力は凄かった!」 河島「分かりました! 俺はとにかく走って走ってフォームを固めました! まずはランニングからです!」 御影「オッケー!」 御影は初めて自分が目標にするピッチャーを見た。年下だったがそのピッチャーは御影の憧れとなった。 河島「こうやって力をためた後に渾身のボールを投げます!」 御影(こうか!) ズバ―――ン! 香住「凄い。120キロは出ているかも!?」 河島「凄いボールを投げますね!?」 御影「(待てよ)祐真、落とすぞ!」 スト―――ン! 香住「なっ!?」 トルネードで投げたフォークも落差は凄まじく香住も後逸する。コントロールに問題があるが確かにボールの威力は上がっているらしい。 河島「やっぱり俺の勘は当たるな。きっと2人共凄い選手になる。あいつらにも教えてやろうっと!」 御影「やっぱり変化球の威力も上がった。このフォームなら俺は誰をも超えるボールを投げられる!」 |