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高見「そうか……やっぱり認めてくれなかったか」
とにかく、お前は就職が決まってるし応援するぜ!」
高見「へいへい。お前も地元の期待を裏切るなよ!」
高見「ま、仕方ないっちゃ仕方ないよな。いきなりプロになりますからファンの為に頑張れって言われてもなー。人気とかあれば別なんだろうが地元でもお前の事良く知らないって人は多そうだし」
鉄監督「ルーキーにしては度胸があるし良い選手だな」
垣内「特に厳しい場面って訳じゃありませんがね」
鉄監督「ふむ。実力的にも未熟だが将来大化けする可能性もあるか、それでバッテリーとしてはどう思う?」
垣内「そうですね。技術的にまだまだですけど度胸はあるし強気な良いリードをしますよ。長打力もあるし来年は結構打つんじゃないですかね」
鉄監督「本塁打と打点はまだないが、特に勝負弱いと言うイメージもないし問題ないか」
野村「既にベテランの風格だな」
おっほん。先輩としては若手の君が心配な訳だよ!」
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野村「まあ地元だから声を掛けられる事は多いよ。負けた時は逆に絡まれる事もあるけど」
野村「君は今年から正式に1軍だろうしファンも増えるだろう」
野村「2位の小山も評価が高いけど、やはり今年の新人王候補では1位の折笠かな。全員スラッガーだし良い意味でライバルになりそうだな」
野村「真神さんが引退して長打力が不足しているし4番争いは来年も熾烈そうだな」
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野村「折笠は今日も元気だな」
野村「今日は早乙女だし問題ないだろう。なあ?」
早乙女(何が何でも勝つ!)
野村「ま、4戦、5戦と打線は調子良いし大丈夫だろう」
早乙女「とにかく俺が抑えてバッターが打てば勝てる!」
烏丸「………………」
早乙女「元気なおっさんだからな。さすがの俺もあの人相手だと気を抜いて投げれん」
早乙女「確かに開幕じゃ打たれて負けたけど、4戦目は打たれたけど勝った!」
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類「神出鬼没なアナウンサーの類です。今日もやって来ました。移動が楽なシリーズ第6戦をお伝えします」
類「解説は誰もがご存知の
真神「感想と言っても……投手四冠を獲得した早乙女とシーズン15連勝無敗の烏丸と力は早乙女で天運は烏丸としか言えませんね」
類「ちなみにシリーズでは敗戦していますので無敗とは言えないかも知れません」
真神「それから総合力は巨人が上ですが意外性と言うか潜在能力と言うかは日本ハムが上と試合次第で流れが一気にな展開になるかも知れません」
類「前の試合では巨人が完全に抑えて打線爆発と完全な勝利でしたが今日はどうなるか?」
真神「それでは楽しませてもらいましょうか!」
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烏丸「………………」
類「最後はチェンジアップに見えますがナックルが入って見逃し三振に終わりました!」
真神「変化が小さいから本来なら引っかけさせるボールなんですけど、虚を衝くとこう言う三振を奪える事もありますね」
烏丸(シュッ!)
類「スライダーを引っかけてファーストゴロで2アウトです」
真神「あのスライダーってストレートと同じくらいの速度で変化するから合わせにくいんですよね」
烏丸(こいつで決める!)
類「最後はシンカーとナックル以外は速いボールばっかりですね。言い遅れましたが結果はピッチャーフライです!」
真神「速いボールと言いましたが肝心のストレートはまだ1球も投げていませんね?」
類「元々変化球主体のピッチャーですがストレートを1球も投げないとは確かに妙ですね?」
真神「まだ140キロ出てないし調子が悪いんですかね?」
類「コントロールは悪くないようですが…………とにかく1回を三者凡退と見事なピッチングを見せました!」
真神「ま、初回からあっさり決まってもつまらないしこれから楽しくなるんじゃないですかね」
烏丸「この結果なら問題ないな」
折笠「まわる前に終わるとは……」
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早乙女(ふん!)
類「3割打者の永瀬でしたがあっさりとセカンドゴロに終わります!」
真神「剛速球で知られている早乙女ですがコントロールも素晴らしいですから調子良い時は本当に手が出ませんよ」
早乙女「………………」
類「最後も外れてフォアボールで出塁します!」
真神「初回でのフォアボールは珍しいですね。それとも岡上には投げにくいのか?」
早乙女(気にせずど真ん中に投げろか、やれやれ可愛げのない若造だ!)
折笠「オーライ!」
類「あっさりサードフライと球威に押された感じですね」
真神「それは分かりませんが150キロ出てますし初回じゃタイミングが合わなくても仕方ないとは思いますよ」
類「巧打者の木原でしたがここでは打てず続くのは50ホーマーの怪物で今年の二冠王の和田です!」
真神「この歳で50本打てるなら俺の記録を越えるかも知れませんね。このまま終えても永久欠番は間違いないだろうしこりゃ生きた伝説だな!」
早乙女(和田さんにもど真ん中かよ!?)
早乙女(上等!)
類「最後は153キロのストレートを空振り三振とやっぱり調子は良いですね!」
真神「フォアボールを出しましたがコントロールが悪いようには見えないし調子は良いんじゃないでしょうか?」
早乙女「結果オーライだがど真ん中ばっかりてのはどうかと思うぞ?」
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折笠「すっぽ抜けただけなんだしそう怒らないで下さい」
類「いきなりデッドボールと驚きですがノーアウトでランナーが出ます!」
真神「烏丸も早乙女ほどじゃないですがコントロールは良いんですけど、デッドボールとは珍しいですね」
烏丸「ちっ! 変化が強いとこうなるから加減が難しい!」
折笠「おっし!」
類「今年の新人王筆頭の折笠はさすがと言うべきかこの場面でも打ちます。烏丸、これでランナーを得点圏に背負ってしまいました!」
真神「俺が言うのもなんだけど1年目でこれなら来年からは4番だな」
類「続く織田も高卒2年目で正捕手を奪った若手選手で今年は新人王候補と言われています」
真神「正直名も知らない奴だったんでこんなに早く開花するとは思いませんでしたよ。あの体格でプロで通用しているところがすでに驚異的っちゃ驚異的かな」
類「165cmと小柄ながらも強肩強打の持ち主で今シーズンは20本塁打と長打力を見せております!」
真神「ちなみに足は遅いのでランナーだと邪魔ですけど、こう言う場面だと頼りになったかな? 特にチャンスに強くも弱くもなかったっけ?」
烏丸「レフト!?」
類「得意のスライダーでしたがレフトの頭を越えてランナーが2人返ると巨人が2点先制します!」
真神「ちょっとあまく入ったとは言えあのコースを良く打ちましたよ。それと今日の烏丸はコントロールがいまいちですね」
類「1回では良かったように見えたんですが?」
真神「ピッチャーはメンタルなポジションですからリズムが狂うとこう言う事にもなりますよ」
烏丸「まずいな。まさか2年目の小僧にやられるとは……そう言えば5番と7番は今年のルーキーでエースは3年目と若いな。まあ俺も2年目と若いが」
烏丸「何っ!?」
類「完全なボール球でしたが綺麗に打ってランナーの織田が返って3点目です! 打った小山はセカンドベースでガッツポーズをしています!」
真神「個人的にボールに手を出すのはどうかと思いますがあいつはこれで打率を稼いでますからね。今のやり方で行く限り出塁率は上がりませんから6番以降が定番になるでしょうね」
類「真神さんが言うほど四死球は少なくないですけど?」
真神「今年はね。多分来年の折笠と比べてかなり落ちてると思いますよ。ま、スタメンから外される可能性もあるしいちがいに言い切れないか」
烏丸「ちっ!」
類「144キロのストレートを打ち上げてようやく1アウトです!」
真神「ちょっとはコントロールが戻って来ましたね。続くのはピッチャーにしてはバッティングの上手い早乙女か」
早乙女「はっ!」
烏丸「むっ!?」
類「痛烈なサード強襲の内野安打です。ランナーは動けずこれでランナーが2人になってしまいました!」
真神「次の打席で代打送る為か…………ここでの交代はありませんね」
烏丸(シュッ!)
類「これも外れて今シーズン盗塁王の野村も出塁します。これで1アウト満塁となりました!」
真神「ここで打たれるようなら試合は終わりでしょうね。まだ2回ですがここが正念場ですよ!」
烏丸「意地でも抑える!」
類「これはセンターフライですね。浅いですが犠牲フライには届くか?」
真神「守備範囲の広い永瀬ですが肩は強くありませんからね。そして小山も足は速くないと本当に微妙ですね?」
類「―――ボールの方が速く小山はベースを踏めずに3アウトチェンジです!」
真神「さすがに暴走でしたか…………まあこの状況で3失点に抑えたのは上出来ですね!」
烏丸「………………」
烏丸「…………いえ。打たれた俺が言うのもなんですが頑張って下さい!」
早乙女「3点あれば十分だ!」
早乙女「分かってるよ。まあ任せておけ!」
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早乙女「日本一まで後3人!」
類「意地を見せる左中間の当たりで打った永瀬はセカンドに向かいます!」
真神「球数も120を越えたし球威が落ちて来ても仕方ないですよ(打たれたヒットも2ケタだったかな……ヒットの数からしたら球数は少ない方か……)まだ行けるとは思いますけど?」
早乙女「くっ!」
早乙女「ふん!(相変わらず矛盾したような難しい注文だな!)」
類「最後は148キロのストレートを見逃し三振とまた球速が上がりましたね」
真神「球速よりコントロールですね。良いコースに良い気迫で投げ込んでますよ。これこそ一球入魂の精神ですね!」
早乙女(しかし難しい注文でも目の前の日本一の為なら!)
類「完全に力負けしたか結果はファーストフライと日本一まで後1人と来ました。観客席から後1人コールが続きます!」
真神「ここで和田がホームラン打っても逆転はおろか同点も厳しいと試合を引っくり返すのは難しいでしょうね!」
早乙女(これで俺達の勝ちだ!)
早乙女(サッ!)
類「早乙女が手で制止して最後は自分で捕ってピッチャーフライと言う結果で読売ジャイアンツが日本一になりました!」
真神「最後は力でねじ伏せたと言うか相手側がプレッシャーに負けたと言う印象でしたが良いピッチングでした!」
類「先発の早乙女選手は9回を3失点四死球は2つで8奪三振の完投勝利となかなかのピッチングでした!」
真神「シーズンほどじゃありませんがまあナイスピッチングと言っときましょう!」
類「今日のヒーローは先制打の織田選手と完投勝利を飾った早乙女選手です!」
類「早乙女選手ですが8回には打たれましたが良く持ち直しましたね」
早乙女「まあ連打食らった時はさすがに焦りましたがそこにいる名捕手のおかげで9回も持ち直しました!」
類「2回で先制打を打った織田選手ですがあの場面でどうすれば打てたのかと言うのはどうでしょうか?」
真神「それでどうだったんだ?」
類「話だけ聞くと無難な打ち方ですね」
真神「まあ斬新な打ち方ってのもあまり聞きませんしね。しかし若手のくせにベテランの神経をしていると織田は大成しそうですね」
類「そしてシリーズMVPはこの人!」
早乙女「シーズンMVPは譲らないがな!」
類「ではもう一度言いますが今年のシリーズMVPに選ばれた感想は?」
類「しかし10盗塁はシリーズ最多ですし選ばれるのも当然でしょうね。既に通算盗塁もトップですし球史に残りますよ」
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野村「日本一になった年は1軍定着してなかったからな。それでスタメンで優勝した年は全部シリーズで負けたしな」
折笠「妹尾だったかな」
折笠「話によれば即戦力で来年の新人王間違いなしだと」
野村「俺や織田のような期待されない選手でも活躍できたんだし1位なら可能性は高いと思うが」
折笠「ま、それは置いといて帰郷の予定はどうするんだ?」
野村「俺はここ出身だし帰郷って感じはしないな」
折笠「俺も神奈川と近いですからね」
野村「それじゃ…………」
折笠「ん?」
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高見「そう思うなら帰れば良いじゃないか」
高見「う、うむ。そろそろ実家に帰るべきだと思ってな」
高見(ま、仲が悪いならともかく仲の良い家族だったんだ。悩むのが当然だな。うんうん)
高見「こほん、おばさんは許してくれてるんだしそれに幸か不幸か実家は近くだ」
高見「と言うかおじさんの気持ちを考えてそっちを優先してしまったらしいよ。それにお前が自分よりおじさんを想って欲しいと思っていたからとも言ってたけど」
高見「けど、おばさん後悔してたぜ。お前の方をかばうべきだって俺によく言ってた」
高見「それとおじさんには口止めされてたんだけどシリーズ最終戦な。おじさん達も一緒に観戦してたんだ」
高見「知ってたのか?」
高見「内心驚いていないって事は思っていたって事だろう」
高見「ん、分かった。やっぱりお前は帰るべきだよ」
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利子「はーい」
利子「あっ!? 利夫!」
利子「ええ! ぐすっ!」
利子「ええ!」
和夫「むう」
和夫「見ての通りだ。まだまだくたばりはせんぞ!」
和夫「お前も……その……チームで活躍しているらしいが大丈夫なのか?」
和夫「むう」
和夫「……ふう、悪かった」
和夫「お前を追い出した事だ。こんなに早く結果を出すとはわしの目が曇っていたんだろうな。とにかく帰って来てくれて良かった!」
和夫「良いに決まっとるだろう! 自分の家に帰るだけなのに確認なんぞするな!」
高見「上手く行ったか」
高見「ここからでも聞こえるくらいそっちは盛り上がってるな」
高見「ほほう。さすがはスター!」
高見「現状に満足せず上を目指すか」
高見「だな。俺ももう少し頑張ってから休むか、それじゃお休み!」