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大沢(シュッ!) ズバ―――ン! ククッ! スパ―――ン! ボス「結構速いな……しかし球威はありそうだし何より変化球のレベルが素晴らしいな。マイナー契約なら十分だろう」 大沢「合格ですか!」 ボス「うむ。最初はマイナーからだからゆっくりと力を付けて行きたまえ!」 大沢「はい!」 マイナーでも最初は敗戦処理だったけど力を認められて2年でダブルAに昇格と良いスタートをしたんだ。 大沢「球速も伸びて来たしこれなら通用するだろうな」 アーチャー「15勝したし当然と言えば当然の昇格だな」 大沢「アーチャーも一緒に昇格だろう」 彼は同期のアーチャー、歳は2つ上だけど当時は一緒にメジャー目指して頑張っていたね。チームメイトの中でも特に仲良くなった1人が彼だったよ。 アーチャー「ああ。まあ次もよろしくな!」 実際、苦労したのは野球よりもチームメイトのコミュニケーションだった。1年の終わり頃にはなんとか普通に話せるようになったと2年で昇格した理由の大半はそれだったね。 大沢「ふう、ダブルAか、次はトリプルAを目指すぞ!」 意気揚々だったのは最初だけで初めて向こうの厳しさを感じた年でもあったよ。 カキ―――ン! カキ―――ン! カキ―――ン! 大沢「ぬぉ―――!?」 この年は何故か思ってたところに変化球が行かないのとあまいボールが多すぎたせいか負けに負けると惨敗の年だった。 アーチャー「5点台の防御率と最悪だったな」 大沢「まあな」 アーチャー「まあ降格しなかっただけマシだろう。来年も頑張ろう!」 大沢「ああ」 感じたのは違和感だった。自信家と言うつもりはないけど本来の力なら抑えられる相手からいっぱい打たれた。3年目はそう言う感覚で終わった感じだった。 アーチャー「別にフォームはおかしくないけどな?」 大沢「だよな」 アーチャー「ひょっとしたらケガかもな」 大沢「ケガ? 別に何処も痛くないけどな」 アーチャー「初期の状況なら痛みも感じないしまあ行って来い」 とりあえずアーチャーの勧める病院へ行ってわずかに肘を痛められていると診断された。 大沢「はあ」 アーチャー「まあ別に大した事がなくて良かったじゃないか」 大沢「まあ安静にしてれば問題ないって話だったからね」 4年目はシーズン前にケガが治り普段の投球をしたんだけど…… カキ―――ン! カキ―――ン! 大沢「何故だ―――!?」 ……昨年よりマシとは言えブランクがあるせいか良く打たれたんだよね。 アーチャー「結局防御率3.64、9勝8敗と後半は良かったなそれと」 大沢「アーチャーは来年からトリプルAだな。頑張れよ! なーにすぐに追い着いてやるっての!」 アーチャー「ああ。防御率のタイトルが獲れたのは出来過ぎだったがな」 友人に先に行かれると悔しいよりは寂しかったかな。でもすぐに追い着いてやると言う気持ちで来年へと望んだんだけど…… 大沢「っ!?」 ……5年目のシーズン中に肘ではなく肩を壊して投手生命を終えて僕の挑戦は終わった。 |