第5章 冬のひととき

−1997年 11月−
赤竜高校は無事に甲子園出場を決めると秋には文句のない活躍で名門校の意地を見せた。そしてドラフトでも3人が指名されると名門校の実力を見せる。
孝介「ドラフトも無事に終わったな」
福西「うんうん。無事に指名されませんでしたよ」
孝介「ごめんなさい」

今年は平下、佐藤と言う怪物の目立つドラフトだった。赤竜高校から指名されたのは3人で福西は指名されずに終わった。
柚「ふう、なんとか指名してくれた」
桐島「5年連続でキャプテンが指名されると、やっぱり赤竜高校のキャプテンって凄いんだよな!?」
村田主将「俺も指名決まってるからお前らも頑張れよ………………ってツッコミなし?」
工藤「実力だけは信用しているからな」
村田主将「ふーん」
矢吹「俺は即プロ入りするつもりだけど、竜は大学希望だっけ?」
小田切「ああ」
矢吹「4年経てば俺はレギュラーだろうし同じチームに来いよな」
小田切「行きたいところに行ければ誰も苦労はしない」
矢吹「そうだけど、大学なら逆指名あるし?」
小田切「そんな事より練習だ!」
相川「一応僕もプロ入り決まったし今日はお祝いなんだけどね」
矢吹「さすがは先輩! ドラフト1位おめでとうございます!」
孝介(ジー!)
中西監督「………………」
木下「お前もドラフト2位と評価が高いな」
篠原「来年から千葉だしあの怪物共と新人王争いをするさ!」
相川「それで僕は広島で柚さんが東京と僕だけ遠くになったね」
福西「ちなみに俺は神奈川だぜ」
孝介「地元の大学ですよね」
篠原「天翔大学か、母校の先輩達も多いし近年じゃ実力も高くなっていると評価も高いな」
相川「確かプロ入りして大活躍した選手もいたね」
篠原「ああ。面識はないが母校の先輩の七瀬さんは指名確実と言われているらしい」
孝介「確か今年活躍した佐伯さんの師匠に当たる変化球の達人とか雑誌に載ってましたね」
桐生「あの雑誌か、書いてる人間の個性が出まくっている凄まじい文面だったな」

プロアマを問わない野球関連の雑誌で書いている人間はかなり個性的な文面を書く人物だと噂されている。
相川「はははっ」
中西監督「とにかく、これからも頑張って行け!」
柚(コクッ!)

そしてプロ入りのお祝いと言う事で赤竜高校の運動部が特にお世話になっている定食屋に向かうのだった。

定食屋
結依「それでお祝いをここでするのか?」
中西監督「うむ。斎藤の実家でも良かったんだがあそこは色々と有名になり過ぎたからな」

容姿からは分からないだろうが結依の実年齢は中西監督より上で中西監督とは旧知の仲らしい。
結依「人が多くて落ち着いてゆっくりはできんか」
中西監督「そう言う事だ!」
柚「私も手伝いたいけど」
結依「邪魔にしかならんと言う前に月砂が許さんじゃろうな」
福西「あの美人の月砂さんと会えなくなるかと思うとショックだぜ!」
相川「地元だし簡単に会えると思うけど?」
福西「………………そう言えばそうだった!?」
篠原「それはそうとお前も天翔大学だったな?」
木下「大学4年間に賭けるぜ!」
山口「俺らもだな」
根本「どっちかと言えば勉強中心にやるつもりだけどな」
孝介「先輩達のほとんどは大学野球みたいだな」
桐島「ああ」
矢吹「俺は来年のドラフト目指して頑張るけどな!」
小田切「来年は何人指名されるんだか?」
矢吹「そうだな。赤竜高校じゃ3人が最高だし4人目指して行けば良いんじゃないか?」
小田切「ま、頑張れ」
矢吹「そんな他人事( ひとごと )みたいに言わんでもってお前は進学希望だったな」
村田主将「まあプロの前に甲子園だな」
工藤「ほう。珍しくキャプテンらしいセリフだな」
村田主将「うっさい!」
矢吹「ふっ、そうだな。甲子園で活躍すればプロ入り間違いなしだ!」
小田切「結局そこに行くんだな。まあ活躍してくれればどうでも良いが」
桐島「来年も何人かプロ入りしそうだな!?」
孝介「キャプテンは守備面に問題があるけど、それでも1位は間違いないって言われてるしな」
佐伯「お前達は初めての甲子園だろう。もっと喜んだらどうだ?」
桐島「行ってから喜びますよ」
佐伯「ははっ、そりゃそうだ」
孝介「やっぱり本命は春夏と連覇した天狼学園かな?」
相川「そうだね。エースの大野君は健在だしやっぱり総合力は高いだろうね」
福西「うーむ」
桐島「どうしたんですか?」
福西「いや無明実業も忘れられて来たなと思ってな。何年かしたら無明実業って何処だっけ的な事になるかと思うとなんか時代が変わる感じがして嫌だなと思ってな」
小田切「ふむ。本来無明実業に入る選手を天狼学園が引き抜いたりして問題視されているが?」
矢吹「噂じゃ裏金使って引き抜いたって聞くしなんか怖いよな」
柚「本当?」
中西監督「あくまで噂だ。強引な勧誘をしているのは事実らしいが裏金を使っていると言う事実はないって話だ。勧誘の方も強引ではあっても話だけで済ませているし問題ないと言われている」
矢吹「そうか、ふう安心したぜ」
小田切「お前が安心する理由が分からないが?」
中西監督(ま、調べた限りの事実であって調べても分からなかったって可能性もあるんだがな?)
孝介「そう言えば全国大会だけど親父の目から注目する選手はいるのか?」
中西監督「ん? それなら2人だな」
孝介「2人か…………それでどの高校のなんて選手なんだ?」
中西監督「1人は冥空高校の神童小次郎(  しんどうこじろう  )だな」
工藤「サウスポーで150キロ投げる怪物だな」
孝介「速い球にも慣れて来たと思うけど、それでも150キロを相手にした事はないな」
中西監督「140キロと150キロの差は凄まじいと言われているからな」
孝介「俺は前に149キロも150キロも変わんねえだろうと聞いたが」
中西監督「うむ! それはそれでこれはこれだ!」
孝介「ようするによく分からんって話だな」
中西監督「ま、それは置いといてもう1人は轟天農業の小林千里( こばやしせんり )だな」
孝介「どっちもピッチャーと親父らしいな」
村田主将「監督は速いボールを投げるピッチャーと長打力の高いバッターが好きと分かりやすい野球ファンだからな」
工藤「確かにな」
中西監督「悪かったな」
孝介「右と左と利き腕は違いますがどっちもとんでもなく速いストレートを投げるとしかもコントロールも良いんですよね」
矢吹「こんだけ好条件だとそりゃプロも指名したくなるよな」
中西監督「欠点と言うほどではないが剛速球ではなく快速球と言うのが唯一の攻略法だな」
矢吹「あん?」
小田切「合わせれば飛ぶと言う事だろう」
中西監督「ま、そう言う事だ。だからお前だって負けてない訳だからそう落ち込むな」
小田切「ふう、見通しているって事ですか、さすがですね」
孝介(落ち込んでたのか?)矢吹(俺でも気付かなかったぞ!?)
中西監督「特に高い評価の3年は今言った2人と天狼学園の大野だなっとバッターは別だ」
孝介「バッターは村田さんが筆頭ですね」
村田主将「そう。本当の事を言うなよ照れるぜ!」
木下「正直な奴」
篠原「他人( ひと )の事は言えないだろう」
木下「ぐっ!?」
相川「まあまあ、それで他には?」
中西監督「長打力では村田だが野手としての完成度は無明実業の水島と冥空高校の御堂が上だな」
村田主将「くそっ!」
工藤「お前の場合、守備が完全に評価を落としてるからな」
村田主将「悔しいがそれに関しては言い返せん!」
中西監督「まあそれでもドラフト1位は確実と言われてるしバッティング方面は凄い評価だと解釈ができるな」
村田主将「うっす!」
福西「こう言うプラス思考は見習いたいと思う」
木下「そうだな」
篠原(やはり他人( ひと )の事は言えないと思うがな。まあ言わないでやるのも優しさか?)
中西監督「高卒の1位指名はこんなとこだろう。後は大学、社会人の逆指名や将来性を見越しての1位指名の可能性が高いな」
相川「将来性の高評価は結構重い感じもしますけどね」
中西監督「お前の場合はチーム事情も込みだろうがな」
福西「八雲(広島)さんも衰えて来てるからな」
相川「それでも名セカンドって言われてるし1年目からポジション奪うのは無理でしょうね」
中西監督「なんと言うかお前はもうちょっと闘争心とか自信とかあった方が良いと思うんだがな?」
篠原「実力があるくせに過ぎた謙遜(けんそん)は嫌味になるだけと言ったところでお前は変わらないか」
相川「と言っても1年目で結果出そうと思ってないからね。ゆっくり経験積んで頑張って行けば良いかなと思ってるし」
福西「基本的に優等生だからな」
木下「確かに」
柚「私も1年で結果を出せるとは思ってないけど、使ってくれるなら積極的に頑張って行こうと思ってる!」
篠原「結果を恐れずに自分にできる事を精一杯やって行くと―――歴史に残る人物と言うものはこう言う性格なんだろうと納得できるな!」
中西監督「本当、こう言うのもあれだが女性にはもったいない男らしい性格だよな」
木下「斎藤さんもこんな性格でしたよね」
中西監督「良い意味で感化されて良かったな」
福西「良い意味で?」
中西監督「悪い意味では間違っても失敗しても反省しない奴の事を言うんだ!」
佐伯「前向きで良いじゃないですか!」
中西監督「反省しないのは良くないと言っとるんだ―――!」
福西「ははっ、迷惑な奴もいたもんだ」
中西監督「こいつらは真田の影響を感じてるし」
相川「まあまあ、彼らだってプロに入る為にこれから悪いところはどんどん反省して行きますよ!」
中西監督「まあ真田も悪いところは直して行く奴だったかなと思うけど?」
木下(日本語が変だし?)
孝介(これで先輩達もプロと雲の上の人になるのか)
結依「やれやれ騒がしい奴らじゃな。まあ記念すべき日じゃろうから放って置いてやるか」

記念すべき日と言うのは初の女性プロ野球選手誕生と言う事だろう。現にドラフト1位の相川よりドラフト3位の柚の方が話題性が多くなるのだが理由は言うまでもないだろう。

赤竜神社
灯子「キャプテンも指名と本当にプロ野球選手になっちゃったね」
孝介「いまさらだな? それと元キャプテンな」
灯子「指名される可能性が高いのと実際指名されるのじゃやっぱり違うじゃない!」
孝介「言いたい事は分かるが」
灯子「これで柚さんも雲の上の人か」
孝介「まあな……ところでマネージャーは野球やらないのか?」
灯子「私は観るの専門だから」
孝介「俺が野球を好きになった切欠は親父の影響と面白味のない話だけど、マネージャーはどうなんだ?」

この手の話題を今まで避けて来たと言う訳ではないが孝介は今まで灯子の事を知ろうとはせず何故か今日は少し知りたくなったらしく中に踏み込んで聞いて見た。
灯子「お父さんがプロ野球選手だった影響かな」
孝介「ちょっと待て父親がプロ野球選手って初めて聞いたぞ!?」
灯子「言ってなかったからね。それにプロと言っても1軍には上がれず引退して行ったから」
孝介「東山選手か、今年指名されたのは兄貴だったよな」

東山家も野球一家で灯子の兄は広島に2位で指名されると相川と同期になる。
灯子「うん。弟も野球やってるよ。確か知也君と同じ歳だったかな」
孝介「へえ。ポジションは?」
灯子「お父さんはピッチャーで弟の章助は外野手」
孝介「弟は野手なのか」
灯子「うん。足は結構速いよ」
孝介「1番タイプか、そう言えば東山さんも足が速かったし家系かな?」
灯子「私も速いしお父さんもお母さんも速いらしいし家系だと思うけど」
孝介「こう言うのはなんだけど野球より陸上の方が合ってるんじゃないのか?」
灯子「滅茶苦茶速いんじゃなくてそこそこ速いからそうとも言えないかな?」
孝介「なるほど」
灯子「今度は私から質問だけど、孝介君達は足が速いとか共通点はあるの?」
孝介「ないな。足を比べると俺と兄貴は普通で親父はそこそこ速くて知也は結構俊足だな。肩だと親父はとんでもない強肩で兄貴も結構良いし弟もそこそこって考えて見れば守備面で俺はかなり劣っている気がする!?」
灯子「そうなの? 孝介君が劣っていると言う事は凄い名選手が生まれやすい家系なのかな?」
孝介「言っとくけど守備面では劣っていると言う事であってバッティングでは誰にも負けていないと言う事だからな!」
灯子「はいはい(この負けず嫌いなところが中西家の一番の血筋なのかもね!)」
孝介「さてと、マネージャーの野球好きな理由も分かったし、いっか」
灯子「なんで私の野球好きな理由が分かったら良いの?」
孝介「さあ? そう言えばなんでだろうな? しかしうちも野球と縁があると思ってたけど、マネージャーの家には負けるな」
灯子「そう?」
孝介「うちはプロ選手と言うと兄貴だが、そっちは親父と兄貴だろう。どう見てもうちの負けだよ」
灯子「と言っても監督の名声は全国区だけど、私のお父さんは無名だし孝介君も名前知らなかったしね」
孝介「そう言われると困るけど、プロとアマを比べるとやっぱりな」
灯子「まあ野球の事ばっかり話してもつまらないし孝介君の趣味は? 好きな物とか()は?」
孝介「いきなり話を変えて来るな…………趣味は野球なのかね? 後はノーコメントで」
灯子「趣味が野球か、結局そこに行くのね」
孝介「まあ部活ってのは趣味と言うか嗜好と言うかの延長だと思っているからな」
灯子「……分からなくはないけど」
孝介「とにかく今の俺に取って野球が一番なのさ!」
灯子(そう言う物なのかな? まあ今はプロ入り決まった人に触発されてみんな頑張っているし何を言っても無駄なのかな?)

話題もなくなり再び孝介も練習を続けて行く。孝介達の全国の戦いももうすぐ始まる。

赤竜高校
赤神校長「小僧!」
孝介「校長先生?」
赤神校長「甲子園行きが決まったせいかみんな張り切っとるの?」
孝介「当然です!」
赤神校長「うむうむ。やはり赤竜の野球部員はこうじゃないとな。ところで…………」
孝介「すみません。用事を思い出しました!」

そう言って孝介は神速でその場を逃げ出した。
赤神校長「………………」
和音先生「校長先生? こんなところで何をしているんですか?」
赤神校長「どうもわしの偉大さを分からん奴が多くて困ったもんじゃな?」
和音先生「セクハラは駄目ですよ。と言うか抹殺します!」
赤神校長「ふっ、そんな元気はもうないわい! 家でやっている事と言えば可愛い孫娘に曾孫の顔を見せて欲しいとただそれだけじゃわい!」
和音先生「………………」
赤神校長「そして可愛い教え子の小僧共や小娘共に見せるのはワシの肉体美くらい…………」

ドカッ! バキッ! ボコッ! グサッ!
和音先生「ふう、燃えないゴミはいつだったかしら」
福西「…………あのーその物体はなんですか?」
和音先生「ただのゴミよ。気にしちゃダメと福西君だったわよね?」
福西「毎日会ってるじゃないですか?」
和音先生「雰囲気が変わった気がしてね?」
福西「いやー男らしくなったとか和音先生に誉められると嬉しいな!」
和音先生「気のせいみたいね」
福西(誉めて落とすとは絶対Sだ!?)
相川「福西君、先に行くよ!」
福西「待ってくれ。俺もすぐに行くから!」
和音先生「今日も勉強?」
福西「受験生ですからそれじゃ行きますが、そのゴミ焼却炉に入れときましょうか?」
和音先生「こんな物に触れたら正しい教え子の未来が狂っちゃうから私の方でなんとかしておくわ!」
福西「そうですか、それじゃ!」
和音先生「ええ。勉強頑張ってね!」

赤竜高校 野球部部室
中西監督「そりゃ災難だったな」
孝介「自慢の筋肉を見せ付けるのはどうにかならんのか?」
中西監督「できたらとっくにやってるよ。遭遇したら逃げるしかない。あれを完全に黙らせる存在は朝霧先生とあの妖怪くらいだな」

朝霧和音は教師生活は短いが独特のペースで教員だろうと生徒だろうと玩具にする恐ろしい力を持っている。
孝介(和音先生と結依さんか、どっちも外見は普通だけど中身は…………なんか怖いし考えるのやめようっと)

妖怪と言うのは天神結依で校長は昔から世話になっているせいか逆らえないらしい。
中西監督「後は孫娘くらいか」
孝介「女ばっかりじゃん!?」
中西監督「そう言われるとあの校長、昔から女には弱かったな」
孝介「へえ」
矢吹「それより練習は良いんですか?」
中西監督「そうだったなあの校長の事は忘れて特訓だ!」
小田切「特訓ではなく練習です」
中西監督「ふむ。そう言えば合宿して準優勝したし今年もするのか?」
村田主将「12月はここで斎藤さん達と一緒に」
工藤「練習したら出場停止の可能性もあるぞ!」
村田主将「いや、別に教えてもらう訳じゃないし……あっ!?俺達はともかく斎藤さん達が出場停止になるとまずいしやっぱりまずいか」
矢吹「いやいや、俺らも甲子園出場がダメになったら色んなところから苦情が来るぞ!」
小田切「苦情程度で済めばいいがな?」
矢吹「怖い事言うなよ!」
桐島「今日も張り切って練習だとなんかあったんですか?」
孝介「あー、この高校は普通じゃないって話をしてたんだよ」
桐島「意味が分からん?」
中西監督「とにかく剛腕投手を打って打って全国制覇だ!」
全員「おう!」

こうして赤竜高校は学校で練習し1月は短期の合宿で特訓を続けて行くのだった。

赤竜神社
桐島「行け―――!」

ズバ―――ン!
孝介「成長期とは言え本当に球速が上がったな!?」
桐島「努力すれば結果は出るのだ!」
孝介「そう言うセリフは試合で活躍してから言ってくれ!」
桐島「ちゃんと活躍しただろう!」
孝介「練習試合だけどな」
桐島「ぐうっ!?」
孝介「夏と違って出場校は少ないがピッチャーなら出番はあるだろうしその時に結果を出すんだな(それに1年に凄い奴でも来ない限り次のエースはお前だろうしここで結果と自信を付けてもらわなきゃ困るしな)」
桐島「目標は甲子園優勝だ!」
孝介(あれからなんか性格が変わった気もするが? まあ熱血キャラは好きだし別に良いか?)
桐島「…………ところで良くここで密談する灯子ちゃんとの関係はどうなんだ?」
孝介「なあお前、本当に桐島天馬か?」
桐島「今の質問でなんでこんな答えが返って来るんだ?」
孝介「いや秋から性格がかなり変わった気がするし?」
桐島「俺は俺だし…………まあポジションはやっぱり奪うもんだし先輩達に負けないよう頑張ろうと思ってな!」
孝介「それじゃさっきの質問は?」
桐島「何年か振りのマネージャーだ。しかも結構可愛いと来てる。そしてそんなお前とマネージャーが神社で密談してると知ったら当然気になるもんだ!」
孝介「そんなもんかね?」
桐島「当事者としてはそう言う答えが返って来るかも知れんが傍から見る傍観者としては気になるもんだ。何よりみんなに話すネタになるし!」
孝介「言いたい事は分かったがそんな返答だと答える気はしないぞ!」
桐島「しまった!?」
孝介「いよいよまだ見ぬ全国の強豪との戦いだな。気を引き締めて行こう!」
桐島「完全に流す気ですか? つうか名門と練習試合してるし見てない訳じゃないよな?」
孝介「誰が相手でも打って! 負けた静馬達の分まで勝ってやる!」
桐島「良いセリフだな…………無視されてちょっと寂しいけど」

孝介や桐島と言った1年の初めての甲子園がいよいよ始まる。赤竜高校は全国レベル相手に勝ち上がる事ができるのだろうか?