美堂「またここか」
彼の名は美堂刹那、中学では全国制覇したチームのキャプテンだった。
そしてここはと言うと彼の夢の中だった。これしいわゆる明晰夢の類らしい。
ただ、この先の出来事を見たら明晰夢だけでは納得できないだろう。
「刹那!」
この声もまたいつも通りの繰り返しであった。
美堂「なあ、お前は一体なんなんだ?」
「俺は俺だ。それ以上でもそれ以下でもない」
美堂「昔からそればっかりだな」
「刹那、明日からお前の高校野球が始まる」
美堂「はあ、そう思うなら大人しく寝かせてくれよ」
「次は高校で全国制覇しろ」
美堂「無視すんな!」
「いずれ、全て理解する時が来るだろう。その時が来るまで待て!」
美堂「時か」
俺の高校野球が始まりを告げた。しかし俺はまだ何も知らない。
声「刻が動き出す」
最初はこの夢の中だった。何度も何度も繰り返すそんな時間の狭間の世界から美堂の物語は始まる。