あらすじ===明美は気合満々で打席に入るものの結果はピッチャーライナー。しか
し、その際に相手投手は足を痛めて降板。
その後、美坂高校は2番手投手を攻めて2死満塁の大チャンスを作った。ここでバッ
ターは若武者御蔵。
その御蔵は痛烈な打球を放ったが、打球が早くよけ切れなかった一塁走者に当たり 
9-9の同点 のままでとうとう9回表になった。

あの難波がよけきれない打球だから仕方ないな。
どんまい、気持ち切り替えて守ってこーぜ。
そんな励ましの言葉は2人には通じなく・・・
(っつ、軟式とは言え、御蔵の会心は効くぜ)
(高めの直球だったのに、しかも無名の投手なのに打球が上がらなかった。何なん
だっ、くそっ!)

(さて、どう調理しようか。ん・・・セカンド暇そうだし、あいつンとこ打たせっ
か。)
(甘めにスライダー。了承。)
・・・? 大暴投。
(どうしたんだろ?なんか覇気が無いって言うか。もう一球投げてみるか。)
(もう一球か、よし)
第2球を投げる。
「くっ」
右足に電流が走る。
(今度は良いとこだ)
カキィ
打たされて、打球は
(セカンドゴロだな)
打球はライト前に!
(えっ!   ダイジョブ、御蔵さんなら取れる。)
御蔵!前にダッシュ!DASH!!
ショートバウンドでっ、いや後ろに逸らした!
ここで御蔵痛いミスっ!
センター日下は必死に追う。

その間バッターランナー星っ 快足を飛ばして2塁を蹴った。
(4つは行かせねえ!)
日下今ボールを捕った。
 ライトの一番深いとこなんてついてねえ、ついてねえ。
「ついてねえ!」
センター日下の送球は中継の天川に、いやっショート三木が捕った。
バックホーム!
  ズサァ

「美坂、間に合うかっ」

  ズサァ
タッチ
「アウトッ!」
「セーフ!」

・・・
セーフっ!

痛い。
痛い失点。

美坂にも
チームにも
難波にも

(何で取っちゃったんですか!私のボールでしょ!!)
(すまんな、勝手なことして)
(ぶー)

チームの歯車が噛み合わなくなり始めていた。
(いてぇ)
(・・・)
(お前らは何やってんだか)
(もー、三木先輩ったら)
(ふああ、寝むぅ)
(ありゃ仕方ない。なっ、明美)
(俺のサヨナラホーマーが台無しに・・・)
(ついてねえな、ホントに)
(なにしてんだ、俺は)

ボール
フォアボール!

2死まで扱ぎつけたのは良いが満塁か
「心星高校。浜君に代わりまして、代打・公君。」
どう考えても体付きが良い。
雰囲気も他とは違う何かを持っている。
pinch.
上段に構えつつも無駄の無い構え。どっしりとした構えにナイフのような鋭い眼差
し。
(ちょっと、浜口来い)

・・・・
(えっ、そんなことしたら怒られますって)
(どーしようも無いんだって、さっき当たったとこ痛いし)
(知らないです。もう、好きにして下さい。)
(わかった、好きにする。)

プレイ
セットから第一球は
クイックなのに遅いっ!?
ビシュッ
・・・ッ!
ズバーン
豪快な音と彼の気合とともにボールはミットに吸い込まれて行った。

上半身を目一杯使い。いや、上半身だけで投げた。
難波特有の球のキレこそは無かったものの、スピードや球威は元に戻った。いや、普
段以上か
そもそもは水泳のバタフライからだ。下半身は昔から強かった。かけっこに長距離、
駅伝は負け無しだった。
さて、彼が何故バタフライを始めたかというと予想もついていると思うが、上半身の
強化のためだ。
中学生のときはとても弱かった。懸垂1回が精一杯だった二の腕、十数回で痛くなる
腹筋。
それを克服するためにやり始めた週2回のプール。ただただバタフライを泳ぎ続けた
日々。

それとメジャーの投法の融合。結果がこれである。
(よしっいける。)

ビシュ...ククッ
2ストライク。追い込んだ。
(決めるっ!)
ビシュッ
・・・
・・

・・
・・・
白球はソラへと弾け、そして消えてゆく。
(・・・)
(・・・)
9−14
そして、ラストイニング 絶望的な状況だ。

項垂れる(うなだれる)部員。
まだ諦めぬ部員。
そして、変な笑みを浮かべる三木。

どうするんだ。ここから。
ああ、これで終わるのかオレの高校野球。
あと、もう一打席打ちたい!

もう、チームは空中分解したのにも等しいほどバラバラだった、3年を中心に。

4番 レフト 田伏(たぶせ)君

自分はどうしたい・・・
  相手の球を打ち返したい
  ホームランが打ちたい
  負けたくない
  必ず勝ちたい
  勝ちたい
 そうだ勝つんだ!

ビシュッ
スライダーだ。でも打つ。必ず打つ!
ガコッ バットの先端に当たった球は完全に勢いをなくし、三塁線を転がる。
後退守備のサードが来る。投げるっ!
田伏、走るっ走るっ!そして滑り込むっ!

間に合ってくれ!!!

セーフ

「ナイスガッツ!」
我を取り戻す部員
役目に気付いた選手
目標を思い出したチームメイト
そうここに美坂は美坂を取り戻す。

それを見下ろす少年が呟いた。

  一度燃え上がった火は炎となり、
  一度炎となった火はなかなか消すことが出来ない。
  炎は燻って(くすぶって)もまた燃え上がる。
  そして、炎は燃え移る。消しても消しても燃え移る。
  全てを消さなければ!
  そう、手遅れになる前に。

謎めいた言葉、残して

第4節(完)

あとがき==どうも恭二。です。今回はあとがきを書かせて貰いました。
さて、なんとも唐突過ぎる展開でして、自分でもヤバイな〜とも思いつつも投稿させ
て頂きましたが、
皆さんはどう思いますかね?
自分はストーリーを大まかに考えて、中に話を埋めていくタイプなんです。その為
に、中間でよくネタが尽きる場合があるんですよ〜
と言う訳でねたも無いので、詰めてみたらこんな風に・・・(汗
今回は少し行稼ぎの工夫をしてみました。
見てくださっている方がいるのなら、あらすじ・あとがきについて感想下さい。
(爆)
さ〜て、これからもどんどん書いてきますよ〜