第43章 最後の夏(1)〜親友との約束〜(前編)

−1996年 7月−
いよいよ斎藤の最後の夏が始まった。目指すのは全国制覇のみと言う事で初戦から斎藤のテンションは高かった。
斎藤主将「絶対優勝するぞ!」
全員「おう!」
真田「いやーみんなテンションが高いね」
吉田「そりゃ夏の大会は先輩達に取って最後の大会とも言えるからな」
真田「ついに僕達も3年生となったわけだしこれで最後かと思うと感慨深いね」
吉田「終わるどころか始まってもないのに泣くなよ」
真田「斎藤もキャプテンらしくなったし夏に向かってみんな頑張ったし色んな意味で思い出になりそうな大会だね」
吉田「ま、我ながらあんな練習に良く付いて行けたなってくらい努力したからな」
真田「それで1回戦の相手は何処なの?」
福西「また旭光商業ですか?」
中西監督「その辺の弱小校だ。話を聞く限りさほど警戒する必要はないだろうな」
真田「わっははは、我輩の敵じゃないですなー!」
吉田「我輩って?」

油断大敵と言いたいがそんな物を感じさせない圧倒的な実力で赤竜高校は勝ち上がり準決勝へ向かう。

−地方大会準決勝戦 横浜スタジアム−
3年 真田 和希
後攻 先攻
赤竜高校 風雲高校
投手力 機動力 投手力 機動力
打撃力 守備力 VS 打撃力 守備力
意外性 経験値 意外性 経験値
総合力 総合力
河村 智史 2年
2年 相川 正人 渡辺 竜一 3年
3年 吉田 毅 吉岡 勇治 3年
3年 斎藤 一 村雨 剣 3年
1年 村田 修一 石田 勉 3年
2年 篠原 直道 中村 知典 2年
2年 木下 義雄 鈴木 正哉 2年
1年 矢吹 隼人 後藤 友一 2年
2年 福西 克明 伊藤 義人 3年

放送席
霞「いよいよ準決勝戦へと突入しました。まずは赤竜高校VS風雲高校の試合をお伝えします。アナウンサーはわたくし白銀霞で解説はお馴染みの武藤小太郎さんです!」
武藤「どうも。やっぱりこの試合では赤竜高校が有利でしょうね」
霞「武藤さんが解説に入ってからは夏では2回ぶつかって2回負けてますからね」
武藤「人を疫病神みたいに言わないで下さい!」
霞「とにかく両校共にプロも注目している選手もいるのでレベルの高い試合となると思います!」
武藤(夏は大差で赤竜高校が勝ってたし接戦はないと思うけどな?)

1回表 赤0−0風 いよいよ斎藤と村雨の最後の戦いが始まった!
斎藤主将(シュッ!)

ズバ―――ン!
河村「相変わらず速いな!?」

霞「最後は142キロのストレートで三振と今日もストレートが走ってますね!」
武藤「これはなかなか打てませんよ。打てるとしたら村雨君くらいですかね」

斎藤主将(シュッ!)

ズバ―――ン!
渡辺「相変わらず速過ぎて打てないし」

霞「渡辺君も141キロのストレートを空振り三振しあっと言う間に2アウト!」
武藤「今日の斎藤君も調子が良いし1、2点で決まりそうな試合展開ですね」

斎藤主将(シュッ!)

ズバ―――ン!
吉岡「球種が分かってても打てないとは情けない!」

霞「最後は143キロを記録と今日も立ち上がりは完璧ですね」
武藤「ええ。斎藤君が立ち上がりで打たれるのはあまり見た事ないですね」
霞「とにかく1回を三者三振と今日も難攻不落な斎藤君でした!」
武藤「うーむ。やっぱり打てるのは村雨君くらいですかね」

吉田「今日も見事な立ち上がりだな」
斎藤主将「全体的に名門に比べて打線は劣るし無難な立ち上がりだな」
吉田「余裕だな」
斎藤主将「余裕ってわけじゃない。それに次は村雨だ。あいつに対しては苦手意識があるくらい打たれてるからな」
吉田「少なくとも相性が良いとは言えないな」
斎藤主将「今まで風雲高校には大差で勝って来た印象があるが、向こうのピッチャーしだいでは強敵と言えるだろうな」
吉田「向こうの失点が少なければ接戦になるのは間違いなしってか」
斎藤主将「俺はそう思う!」

1回裏 赤0−0風 斎藤は初回を三者三振と見事な立ち上がりを見せる
真田「秘打三塁打!」

カキ―――ン!
伊藤「いきなりか!?」

真田はそのままセカンドも蹴ってサードに到達する!
石田「マジでスリーベースだし!?」
真田「良し!」

霞「初球を打ってノーアウト3塁となりました。ここで迎えるバッターは甲子園でも活躍した2番の相川君です!」
武藤「いきなりですね。ここでの失点は仕方ないですね(しかし右中間後方に行ったとは言え凄い足だな)」

相川(サッ!)

コツンッ!
伊藤「おのれ!」
石田「ホームは無理だ。ファーストへ!」
伊藤「くそっ!」

シュッ! パシッ!
村雨主将「いきなりですなー」

霞「スクイズ成功で赤竜高校が1点を先制しました!」
武藤「警戒されてる中あっさりと成功させた相川君もさすがですがいつの間にかファーストに戻っている村雨君の速さにも驚きましたね!?」
霞「そう言えばダッシュしたわりにファーストに送球する時にはベースにいましたね」
武藤「動き1つ取っても無駄がないんですよね。さすがは高校球界No.1名手ですね」

真田「さすがは僕の弟子、ナイスバントだったよ!」
相川「村雨さんが恐ろしい速さで接近して来たからサード方面に切り替えたんですが正直、成功してホッとしました」
真田「うんうん。これも僕の快速のおかげだね♪」
相川「はい。団長の足でないとアウトの可能性が高かったですね」
真田「いやいや、頼れる弟子だよ。僕の後を継いでキャプテンになるのは君しかいないね」
吉田「キャプテンはお前じゃないけどな」

伊藤「ぬぉ―――!」

ガキッ!
吉田「Hスライダーは凄いキレ味だな!?」

霞「吉田君はHスライダーを打ち上げレフトフライに倒れます!」
武藤「Hスライダーは一級品ですね。これでコントロールや球速が上がったらプロでも通用しそうですね」

伊藤「ぬぉ―――!」

ククッ!
斎藤主将「ここだ―――!」

カキ―――ン!
伊藤「嘘だ―――!?」

霞「吉田君を打ち取ったHスライダーだったが斎藤君はとらえた―――! レフトスタンドを越えて場外へ行った―――!」
武藤「元々バッティングが良かったけど、春からさらに凄くなりましたね。パワーも付いたのかな?」

伊藤「くそっ!」

ククッ!
村田「手元でかなりキレるな。速いし変化球だけなら小田切や工藤よりも上だな」

霞「初回から2点取られた物の最後は空振り三振に抑えると調子は良いんでしょうか?」
武藤「しかし豪快なスイングでしたね。1年生で5番ですから斎藤君に続くパワーの持ち主って事になるんですかね?」
霞「村田君はここまで結構と言うか1年生にしてはかなり打ってますからね。エラー数もそれを上回るほどですからなんとも言えませんが?」
武藤「嵯峨君に近いのかな? いやここまで打率も結構良いし相良君に近いですかね。相良君も1年の頃は記録にはならないエラーが多かったし」

伊藤「ちくしょう!」
村雨主将「あまり気にしないでよ。すぐに俺が1点取って上げるからさ〜♪」
石田「簡単に言うよな?」

2回表 赤2−0風 赤竜高校が初回から2点を先制した!
斎藤主将「村雨か―――これで最後だ。決着をつけよう!」
村雨主将「泣いても笑ってもこれで最後の試合か―――来い斎藤!」

カキ―――ン!
斎藤主将「………………ふう」

霞「初球から振ったがギリギリ入らずファール!」
武藤「しかし飛距離は大した物ですね。タイミングから言っても入ってておかしくなかったし村雨君のバッティングはやっぱり天才的ですね」
霞「確かに打たれる事の数少ない斎藤君にしては良く打たれてる印象がありますね」
武藤「甲子園に出ていないとは言え彼のセンスは抜群ですから1位指名されてもおかしくはないと思いますよ」
霞「なるほどっと斎藤君が2球目を投げた!」

斎藤主将(いきなりタイミングを合わせて来たな。次はこいつで行くか!)

ククッ!
村雨「凄いカーブ、やっぱり斎藤は凄いや!?」

霞「次のカーブはタイミングが合わずに空振り2ストライクと追い込まれました!」
武藤「別に変化球に弱いってわけじゃないんですが、今のカーブはちょっと打てませんね。スピード差もですが変化が凄すぎますから!?」

斎藤主将(3球勝負で決める!)
村雨主将(最後はストレートだ。今度こそスタンドに運ぶ!)
斎藤主将(シュッ!)

ズバ―――ン!
村雨「なんで?」

霞「最後は自己最速145キロのストレートで空振り三振に抑えます!」
武藤「速度が上がる度にノビも上がっているのか、さすがの村雨君も対応できませんでしたね」

村雨主将「球速もだけどノビも凄くなってるからそうそうは打てないね」
石田「と言うよりスピードだけでも手が出そうもないな」
村雨主将「甲子園に出れば石田や伊藤もプロに指名されるかも知れないよ」
石田「まあ努力はするよ」

斎藤主将(シュッ!)

ククッ!
石田「………………」

霞「最後はアウトコースのスライダーを空振り三振し2アウトです!」
武藤「ボール球のスライダーと………………昨年に比べてかなり変化量が上がってますね」

斎藤主将(シュッ!)

ズバ―――ン!
中村「くそっ!」

霞「ミートに定評のある中村君でしたが彼も三振とこれで6連続奪三振です!」
武藤「相変わらず奪三振男ですね。しかし風雲高校の選手も成績見る限りかなりレベルアップしてるし氷室監督は選手指導の腕が良いんですかね?」
霞「采配に関しては疑問の声が上がってますがプロ入り選手を出すなど選手指導はかなりの腕と言われています」
武藤「まあプロ入り選手を出してるんですし、やっぱり凄いんでしょうね」

斎藤は連続奪三振を8まで伸ばすが伊藤も負けずと好投し試合は2対0のまま8回裏に進む。

8回裏 赤2−0風 伊藤はバックの助けもあるなどで好投し2失点に抑えている
真田「再び追加点をもらいますよ!」
伊藤「負けるか!」

ガキッ!
真田「ボール球を振っちゃった!?」

霞「今日絶好調の真田君でしたがボール球のスラーブを打ち上げて1アウトです!」
武藤「結果的にコントロールが安定していないのが良かったんですかね。真田君は結構振って行くと言うほどでもないけど、当たってる時は積極的なような気がする?」
霞「なんか半信半疑っぽい解説ですね」
武藤「その通りですよ」

伊藤「貴様も消えろ!」

ククッ!
相川「良し!」

霞「相川君は良く見てフォアボールで出塁と今日ヒットはありませんが地味に活躍してますね」
武藤「地味ってまあピッチャーとしてはああ言うタイプの方が嫌だと思いますよ」
霞「今日は盗塁を決めてますが、また走って来るでしょうかね?」
武藤「そうですね。次は吉田君だしランナーは放って置いた方が良いとも言えないか、難しいところですね」

伊藤「くそっ!」
吉田「失投か―――もらったぜ!」

カキ―――ン!
村雨主将「あまい!」

タッ! パシッ! シュッ! パシッ!
相川「しまった!?」

霞「盗塁を決めてた相川君でしたが村雨君のジャンピングキャッチ&パスで戻れずにダブルプレーで3アウトチェンジです!」
武藤「いやいや!? 有り得ないでしょう!? 今のジャンプして捕ってそのまま空中で体勢を変えてパスするなんてっ!?」
霞「私もそう思いましたけど、現実で起こった事ですからね」
武藤「けど、捕るまでは良いとして空中で体勢を変えるなんてね…………曲芸かマンガの世界だな」
霞「ちなみにセンター抜ける当たりだったのに捕れたのは」
武藤「基本的にセンター返しがバッティングの基本なので二遊間に来ると予想したのかな? ま、引っ張る人とか流す人とかも多いので村雨君の勘としか良い様がないですね。ファーストの当たり損ねでも下手すればランナー返ってたしやっぱり勘なのかな?」
霞「とにかく抜ければタイムリーって打球をアウトにしたんだから凄いの一言ですね」
武藤「ええ、まあ…………思い出した!? あれは昨年の夏に斎藤君が見せたプレーですよ。プロじゃ浅野も見せましたよ。すっかり忘れてましたけど」
霞「そんな事ありましたかね?」
武藤「あったんですよ。私もすっかり忘れてましたけど、まあ、年に何回も見れるプレーじゃありませんからね」

村雨主将「ふふふ、このプレーは昨年の斎藤を見てから練習したからね」
相川「それも驚きですがなんでファーストの村雨さんがセカンドの後方にいたんですか?」
村雨主将「ふふふ、それは秘密ですって今の俺、最高に格好良くない?」
相川「黙ってれば最高に格好良かったかも知れませんけど?」
村雨「………………ダメだ。笑顔になってしまう!?」
相川(色んな意味で凄い人だな!?)
吉田「あの詐欺師め! 良くも俺のヒットをアウトにしてくれたな!」
斎藤主将「点差の上では問題ないんだから落ち着け!」
吉田「あの野郎! 絶対に抑えてやる!」
斎藤主将「何を言っても無駄か」

流れは赤竜高校に傾いていたが村雨はそれを止める。しかし1回で斎藤から2得点はほぼ絶命的このまま赤竜高校が勝つのだろうか?

9回表 赤2−0風 赤竜高校が攻めるが攻めきれずに無得点に終わる
霞「試合はいよいよ9回へ入ります。ここまで赤竜高校が2対0のままですが風雲高校も負けずと斎藤君からヒットを打ってます!」
武藤「と言ってもシングルで残塁や四死球でも同じく残塁と繋がりが悪いですねと言うよりは斎藤君が凄いのかな」
霞「そして伊藤君からでしたがここでピンチヒッター刀根君です」
武藤「確か1年生ですが代打ホームランを打つなど長打力を見せてますね」

刀根「まずは出塁しないとな」
吉田(つうか誰だ?)
斎藤主将(1年ってくらいしか分からない。代打だしバッティングが良いんだろう?)
吉田(どうするんだ?)
斎藤主将(真っ向勝負だ。タイミングが合わないなら3球で決着をつける!)

ガキッ!
刀根「ピッチャーゴロか」

霞「期待の刀根君でしたが結果はピッチャーゴロです!」
武藤「斎藤君のストレートに3球で当てるところはさすがですね。将来が楽しみですよ!」

斎藤主将(シュッ!)

ズバ―――ン!
河村「かすった!」

霞「ストライクかボールか微妙なコースでしたが審判はボールとコールし河村君はファーストへ出塁します!」
武藤「ストライクなら見逃し三振、ボールならデッドボールですか、まあ審判の判定にケチを付けても仕方ないですか」

吉田(つうか絶対ストライクだよな)
斎藤主将(それよりランナーは真田に匹敵する足だ。刺せるか?)
吉田(…………任せろ)
斎藤主将(不安だな。ま、牽制くらいはしないとな!)

シュッ! ポロッ!
村田「しまった!?」
河村「今の内だ!」
斎藤主将「そうだった。これがあったんだ!?」

霞「なんでもない牽制球でしたがここで村田君が逸らして河村君はセカンドへ行きます!」
武藤「今日は出ないと思ったけど、さすがに毎試合エラーしてるだけあって今日も出ましたか」
霞「そうですね。今のも特に早い牽制でもなかったし守備は不安がありますね」
武藤「ここまで記録に残ってるエラーは毎試合2つ以上だし、記録に残らないミスを思い浮かべると守備では不安ですね」
霞「高校野球にはDHがないですからね」
武藤「トンネルも多いし逸らす事も多いし遠近感も悪いんですかね?」

村田「すみません」
斎藤主将「いつもの事だし気にするな」
村田「気にしますよ」
吉田「接戦でこれじゃなんか怖いし交代させるか?」
斎藤主将「そんな事しても守備は良くならないしこのまま任せる!」
吉田「でもなー」
斎藤主将「それに交代の権限は監督にある。監督が起用し続ける限り俺達も信じるだけだ!」
吉田(信じるだけって、守備を信じるのが難しいじゃないか?)
村田「死ぬ気で守ります!」
斎藤主将「おう!」
吉田(そういや斎藤はエラーされても怒った事はなかったな。この村田と付き合いが長いんなら頷ける話だな)

渡辺「………………」

コツンッ!
村田「ちっ!」

パシッ! シュッ! タッ! パシッ!
渡辺「くそっ!?」

霞「ファースト前の送りバントでしたが村田君はなんとかファーストへ投げて2アウトにします!」
武藤「ちなみに送球が逸れて斎藤君がジャンプして捕りましたね」
霞「はい。しかし結果はアウトです!」

村田「助かった」
斎藤主将「お前は肩が良いし今度からはもっと軽く投げろ!」
村田「うっす!」

霞「2アウトですがここで迎えるバッターは3番の吉岡君です!」
武藤「タイミングが合ってるとは言えませんが今日は一応ヒットを打ってますね」

村雨主将「ここでホームランを打てば同点だけど俺が決めるからヒットで良いよ!」
吉岡「はいはい」

斎藤主将「げっ!?」

ズバ―――ン!
吉岡「痛いがやったぞ!」

霞「ここで今日2つめのデッドボールと今日の斎藤君はなんか安定感がありませんね」
武藤「そうですね。今日のコントロールは安定していない印象がありますね」
霞「そしてここで迎えるバッターは今日はヒットを打っている村雨君です。一発が出れば逆転、抑えれば勝利と最後まで盛り上げて行きます!」
武藤「好きで盛り上げてるわけじゃありませんけど観客の目からしたら楽しい試合ですかね?」

村雨主将「見せ場を作ってくれるとはさすがは俺の親友だな!」
斎藤主将「好きで作ったんじゃねえよ!(吉岡の足は速くないし向こうもこの場面で盗塁なんて狙わないだろうしバッターに集中するぞ!)」
村雨主将「最後の夏は俺達が勝たせてもらう!」

カキ―――ン!
斎藤主将「こっちも譲れないんだよ!」

パシッ!
村雨主将「最後は人の得意技で終わりか―――負けたよ。斎藤!」

霞「ピッチャーの頭を抜けるかと思いましたがここで斎藤君がキャッチし試合終了です!」
武藤「最後は守備に泣かされ守備で終わりましたね。もしかしたらと思いましたがやっぱり赤竜高校は土壇場で強いですね」
霞「はい。まず決勝に進出したのは赤竜高校となりました。不調と言いましたが終わって見れば完封とやはり斎藤君は凄いですね」
武藤「まあ球速は出てましたからね。不調ってほどじゃなかったんでしょう…………多分」

喫茶店MOON
村雨主将「いやー負けた負けた。と言うわけで斎藤のおごりで頂くね」
斎藤主将「なんで俺のおごりだよ?」
村雨主将「3年間一度も俺に勝たせなかったから」
斎藤主将「今日もヒット打たれたし個人的には負けてる気がするんだけどな」
村雨主将「試合に勝てなくちゃ意味はないんだよ。結局3年間甲子園には出れなかったからね。プロで決着つけるか!」
斎藤主将「プロね」
村雨主将「俺は1位でベイスターズに指名される男だからね!」
真田「残念ながらベイスターズに1位指名されるのは僕ですよ!」
吉田「なんか面倒な事になってないか?」
斎藤主将「はあ、面倒くさい事になりそうだな」
村雨主将「ま、それは置いといて斉天と旭光はやっぱり斉天が勝つかな?」
真田「そりゃ斉天でしょう。ここまでずっと決勝はうち対斉天と決まってますからね」
吉田「けど今年は旭光も恐ろしく強いけどな」
真田「いくら強くても佐伯からは打てないよ。ま、テレビでも観ようか?」

そしてもう1つの準決勝戦が始まる。果たして赤竜高校の相手はどちらになるのか?