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−１９９６年 ３月−
いよいよ春の甲子園も準決勝と佳境に入る。やはりその世代では有名な斎藤と石崎との投げ合いはプロにもファンにも注目されている。
斎藤主将「………………」ブンブンブン！
石崎主将「そう言えば初めて会った時も素振りをしていたな」斎藤主将「ああ、たしか風祭との対戦を誰かに邪魔されたっけな」斎藤は石崎の出現に内心驚いたが始めて会った時もこう言う出会いだったなと不思議な既視感を感じていた。
石崎主将「ま、悪かったよ。まさかここまでお前と風祭との対戦がないとは思わなかったからな」斎藤主将「まあな」２人共甲子園に４回出場とパーフェクトだがいまだに対戦した経験はない。
石崎主将「決勝で初対戦ってのも面白そうだが残念ながら俺がいるからお前らの対戦はない訳だな」斎藤主将「何回も滅多打ち食らってるんだしいい加減譲ってくれても良いと思うが！」
石崎主将「おのれー！ 人が気にしてる事を！」
斎藤主将「しかし意外と言えば意外だったな。まさかお前と風祭でここまで相性が悪いとは？」石崎主将「……まあな。ハッキリ言ってあいつは世代とかを超えた最高のバッターだ。お前と対戦した時も面白かったがやっぱり俺はエースだからな。ああ言うバッターとの対戦が一番燃える！」斎藤主将「分からなくはないな。しかし１５０キロのストレートを打つとことか俺のボールじゃちょっと不安はあるな」石崎主将「俺とお前じゃタイプが違うからな。お前はノビで勝負、俺は球威で勝負、ま、変化球もあるがな。やっぱり決め球はストレートだよな！」斎藤主将「ああ！ 快速球と剛速球だからな。俺の方がちょっと不利かな」石崎主将「俺はお前と風祭が一番の強敵だと思っている。プロに行っても良いライバル関係でもっともっと野球が上手くなりたいし面白い勝負もして見たい。だからこいつがその始まりだ！」斎藤主将「始まりってもな。俺はもうお前と対戦した事があるしお前は風祭と２回試合しただろう」
石崎主将「良いんだよ。とにかく絶対に負けないからな！」
斎藤主将「俺もあのサヨナラホームランの屈辱は忘れてないからな。試合であの時の借りを返させてもらう！」石崎主将「ふん。返り討ちだ！」
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霞「それでは準決勝戦第２試合をお伝えします。第１試合は接戦で激闘でしたが無明実業が４対３で勝ち上がり決勝に進出しております。そして昨年と同じく斎藤君と石崎君との投げ合いとこれも注目です！」
武藤「いよいよですね。どっちが決勝に進出するのか？」
草薙「この世代では最高投手の争いになるのかも知れませんね」霞「佐伯君や谷口君や池田君といますがたしかにそう言われても仕方ないかも知れませんね。それでは始まりです！」
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吉田「当然っちゃ当然だけど、メンバーが一気に代わってるな」
中川「当然です。うちは選手層が薄いんですから！」吉田「威張って言う事じゃないけどな」中川「ふっ、我がチームは弱小打線しかし１点取れば勝ちは確実なチームですよ！」吉田「だから威張って言う事じゃねえよ」中川「ピッチャーは素晴らしいと言う事です」吉田「それには同意するよ」斎藤主将「１点もやらん！」ズバ―――ン！
中川「速い球には慣れてるつもりだったんだけど、妙な感覚だな」霞「まずは１４０キロのストレートで空振り三振に抑えます！」武藤「１打席じゃ当てるも難しそうですね」草薙「やはり投手戦になりそうだな。先に１点取った方が有利になりそうだ」斎藤主将「食らえ！」ズバ―――ン！
川崎「かすりもしないとは！？」霞「続く川崎君にも１４２キロのストレートで空振り三振に抑えます！」
武藤「連続奪三振の記録も更新しそうな勢いですね」草薙「コントロールも良さそうですしなかなか打てそうもないですね」斎藤主将「負けん！」ズバ―――ン！
八代（さすがだな。前よりも更にノビが上がってる）霞「続く八代君には１４３キロのストレートで空振り三振に抑えます！」武藤「八代君でも当てる事は難しいか」草薙「初回から速度も出てるしこりゃなかなか打てんな」斎藤主将「まずは三者三振だな」吉田（今日の斎藤は凄いし１点勝負になりそうだな）
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石崎主将「三者三振か、こっちも負けられんな！」
広瀬「まあいいがお前の場合は立ち上がりが悪いからな」石崎主将「良い時だってあるだろうが！」広瀬「稀にな」
真田（良い事を聞きましたな。見て行こうっと！）石崎主将「むんっ！」スト―――ン！
真田「凄い落差だ。ここまでのフォークは見た事がないよ」霞「１−３からフォークが外れてフォアボール！」武藤「いきなりランナーが出ましたね。けど広瀬君は強肩ですし真田君と言えど盗塁が成功するとも言い切れませんが」草薙「大事なランナーだし普通に送らせても良い場面だがな」霞「おっと真田君が初球から走った！」広瀬「舐めんな！」ビュ―――ン！ パシッ！
真田「げっ！？」霞「判定は微妙ですがセーフです！ 盗塁成功でノーアウト２塁となりました！」武藤「足もですが肩も凄いですね。ストライクじゃなく外してたらアウトだったろうに」草薙「キャッチャーとしてあの肩は魅力ですね」霞＆武藤「いえ。あれで暴投も多いのであまり期待しすぎない方が良いですよ」草薙「ほう。けど体格通り身体能力は凄そうですね」
相川（ここは送りバントか）コツンッ！
霞「さすがと言うか簡単にバントを成功させて１アウト３塁となります！」武藤「やっぱり真田君が出ると得点圏まで簡単に行きますね」草薙「ここで吉田君か犠牲フライが理想だが」
吉田「ここで打たないとな！」広瀬（いきなり３塁か、さすがに今までの相手と違うか）石崎主将（ランナー出てもホームに返らなきゃ良いだけだろう。俺はまだ１本もヒットを打たれてないぜ！）広瀬（バントはされたけどな）石崎主将（ランナー進むだけで１アウトもらえるんなら良いと思っただけだよ）広瀬（やっぱりか、コントロールが付いて来たんだしバントしにくいボールを投げれば良いのに？）石崎主将（あまいな。そんな事ができるならフォアボールでランナー出したりはしない！）広瀬（それもそうだな）石崎主将（とりあえずど真ん中３つで仕留める！）広瀬（ま、お前のボールを１打席でとらえるのはまず無理だろうからな）ズバ―――ン！
吉田「ぬぉ―――！？」霞「インコースギリギリ１５０キロのストレートが決まり見逃しの三振で２アウトとなります！」武藤「いきなりコントロールが良くなりましたね？」草薙「サウスポーは左バッターには投げにくいとも聞くし右バッターになってコントロールが戻ったんじゃないのか」霞「と言うかデータでは石崎君は左バッターに強いみたいですけどね」武藤「どれどれ、本当だと言っても右でも打てるバッターはあまりいないようですが」草薙「春の甲子園じゃ１失点もしてないからな」霞「とにかく２アウトですが斎藤君と注目の対決です！ 春にはヒットを打ってたような気がします！」武藤（つうかここから観てたと思うが、俺もあんまり覚えてないけど）斎藤主将「このチャンスは生かす！」広瀬（言ってもムダかも知れんが敬遠も一つの手だと思うぞ）石崎主将（やなこった。そもそもこいつとの対戦が楽しみだったんだぞ！）広瀬（……そう言うと思った）ズバ―――ン！
斎藤主将「やっぱりこの速さは異常だな」霞「真ん中１５１キロのストレートを見逃し１ストライク！」武藤「初回で１５１キロですか、相変わらず立ち上がりが良いのか悪いのか分かりませんね？」草薙「真ん中だしコントロールはまだ安定してないんじゃないかな。と言ってもこの球速じゃ当てるのも至難の業かな」斎藤主将「うっら―――！」カキ―――ン！
石崎主将「何っ！？」八代（タッタッタ！）パシッ！
斎藤主将「届かないか！？」霞「フォークを狙い打ちましたが思ったより飛距離は出ずライトフライで３アウトチェンジ！」武藤「何か変化球も重そうですね。球威に押されて打ち取られた感じです」草薙「しかし初回から良い当たりを見せましたね。斎藤君の打席には期待が持てそうですよ」広瀬「さすがに４番打つだけあって凄いバッティングだな」石崎主将「当然だ。風祭に続く２人目のライバルとして俺が認めた男だぞ」広瀬「って初球じゃなかった初回から良い当たり食らったのに落ち込んでないな」石崎主将「ふっ、燃えるぜ！」広瀬（そうだった。打たれたら燃えるタイプだったな。最近は打たれたとこあまり見てないからすっかり忘れてた）
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広瀬「転生は石崎だけじゃない事を教えてやるぜ！」斎藤主将（ボール球を振らせて打ち取るか、低めに投げないとな！）ズバ―――ン！
広瀬「バットに当たらなければまぐれも起きん！」吉田「自分でまぐれって言ってるし」霞「早くも１４３キロと記録し広瀬君を三振に抑えます！」武藤「結果は三振ですけど、ここから観ても寒気がしそうな空振りでしたね」草薙「長打力が凄いと言うのは認めますよ」霞「そして次は石崎君です。長打力は広瀬君より劣りますが勝負強さでは広瀬君と比べ物にならないバッターです！」武藤「満塁弾を結構打ってますからね」草薙「ほう。それはバッターとしても要注意と言うところか」霞「ちなみにランナーいない時にも打ってます。ランナーいる時に強いと言うより決勝点をたたき出すバッターと思った方が良いでしょう」武藤「そっちの方が怖いし」斎藤主将＆石崎主将「勝負だ！！」ズバ―――ン！
霞「インコース低め自己最速更新の１４４キロを記録！」武藤「やっぱり凄いですね。ちなみにボールですが空振りして１ストライクですよ！」草薙「燃える対決だな」石崎主将「速度が速くなったとたんノビも増した気がするな。楽しくなって来たぜ！」斎藤主将（シュッ！）ズバ―――ン！
石崎主将「くっ！ もっと速く振らないと！」霞「アウトコースギリギリのストレートを空振りして２ストライクです！」武藤「また１４４キロですか」草薙「完全に振り遅れてますしこの回は期待薄ですね」石崎主将（俺はタイミングが合ってないし３球勝負で来る！）斎藤主将（シュッ！）ズバ―――ン！
石崎主将「そうだった。追い込まれると更に力が増すんだった！？」霞「最後は自己最速更新の１４５キロのストレートが低めに決まって空振り三振だ―――！」武藤「１回戦も凄かったですがまだまだ成長中って感じですね」草薙「うむ。コントロールも更に良くなってる感じもするしな。将来性を考えると恐ろしい怪物になりそうだ」斎藤主将（シュッ！）ズバ―――ン！
山本和「くっ！？」霞「ミートが抜群の山本君でしたが斎藤君には手も出ず１４３キロのストレートを空振り三振！」武藤「この回も三者三振か」草薙「前の試合で休めたおかげかもな」霞「風祭さんのピッチングはやはりムダではなかったんですね」武藤（何か斎藤君が活躍＝風祭さんの評価がうなぎのぼりって感じだな）吉田（次は下位打線だし連続奪三振の記録を塗り替えるかも……いや１試合奪三振の記録も塗り替えそうだ）斎藤主将「１点が致命傷になりそうだからな。下位とは言え油断はしない！」
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石崎主将「ふん！」ズバ―――ン！
木下「打てるか！？」霞「１５０キロのストレートを見逃し三振！」武藤「まあ１５０キロなんて見た事もないし普通は当たりませんよね」草薙「だがバットに当たらなきゃヒットにはならない。四死球が望めない以上見送って三振はないだろう」武藤「たしかに」石崎主将「ガキに俺のボールは打てん！」スト―――ン！
篠原（前に対戦したピッチャーが小物に思える。これが石崎和久か）霞「さすがの篠原君もフォークにかすりもせず空振り三振！」武藤「ボール球を振って三振とは珍しいですね。しかしそれよりも１４０キロで落ちてましたよ！？」草薙「ＳＦＦみたいな物だな。マリーンズの望月みたいだな」武藤「まあ球速じゃ敵わないかも知れませんが落差じゃ匹敵と言うか既に上かも知れませんね」石崎主将「ふん！」ズバ―――ン！
福西「打てないっすよ！？」霞「福西君も見逃し三振で３アウトチェンジです！」武藤「三者三振か、やっぱり格が違うな」草薙「初回と比べてこの回は安定してましたね」武藤「まあ初回よりかはそれでもボールが結構ありましたけど」石崎主将「こんなもんだろう！」広瀬「やっぱりお前のボールは左だと打ちづらいみたいだな」石崎主将「右だろうが左だろうが結果は一緒だ！」広瀬「たしかにな」
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斎藤主将（シュッ！）ズバ―――ン！
川西「全然当たらんし」霞「まずは川西君を空振り三振！ 既に気付いてると思いますがこれで７連続奪三振です！」武藤「下位打線は今大会打率もいまいちだし三振も多いからタイ記録は行くな」草薙「そうでもないぞ。記録を打ち破る選手は大概伏兵だからな」武藤「そうですね」斎藤主将（シュッ！）ズバ―――ン！ ワァ―――！
山本研「やっぱり速い」霞「空振り三振の後は大歓声とファンも記録に気付いてるようですね！」武藤「そう言えば昨年の春も転生から奪三振の記録作ってましたね」草薙「まあ目立つ選手とそうでない選手で力の差があるからな」斎藤主将（シュッ！）ズバ―――ン！ ワァ―――！
庄田「終わった」霞「庄田君も空振り三振でタイ記録を達成しました！ そして斎藤君もですが庄田君の名も後世に伝えられて行くでしょう！」武藤「何かそれを気にしてかベンチで落ち込んでるし言わないであげましょうよ」草薙「奪三振の多いピッチャーだしチャンスはあると思ったがあっさりと達成したな」霞「記録なんて最初はそんなもんでしょう。それにファンはここからを期待してるんですから、しかし残念ながら３アウトチェンジなので次回に期待しましょう！」武藤「一理はあるかな」草薙「しかし９人連続を三球三振とこっちの記録は塗り替えられそうもないですね」武藤「…………あっ！？ 本当ですね！」霞「私も気付きませんでした。ここまで球数は２７球とパーフェクトですね。ちなみに三球三振の記録は知らないので問われても困ります！」武藤「そうだよな」
吉田「いつかやると思ったけど、さすがは斎藤だぜ！」斎藤主将「何の話だ？」吉田「９者連続奪三振！ タイ記録じゃないか！」斎藤主将「…………本当だ！」福西「って気付いてなかったんですか？」斎藤主将「ああ、パーフェクトに抑える事しか頭になかったからな。と言う事は次のバッターを三振に抑えれば記録更新か」相川「気付いたわりには何か余裕ですね？」斎藤主将「ま、今日は記録よりも負けたくない相手がいるからな！」吉田「まあらしいっちゃらしいのかね」真田「うんうん。ピッチングは完璧内野陣はちょっと物足りないかも知れないけどね」相川「まあ、キャプテンの奪三振ショーはいつもの事ですからね」真田「頼もしい後輩君だね。これなら僕達が引退しても大丈夫だ！」吉田「まだ早いっての」
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山口「奪三振記録を見たい気持ちは分かるけど、これはないと思うんだよな！？」広瀬「お気の毒に」早く記録更新を観たいのかこの回はバッターへのヤジが大きく広がっているらしい。
霞「記録更新をみたいせいか、『さっさと凡退しろ』とか『どうせ打てないんだから打席に立つな』とかバッターへのヤジが目立ちますね」武藤「ええ、しかし斎藤君を応援してるのに赤竜高校の打線にヤジを飛ばすのは変な感じですね」草薙「奪三振では石崎君も負けてないはずだから石崎君も記録に到達すればヤジも消えるでしょうが」石崎主将「ふん！」ズバ―――ン！ ワァ―――！
山口「何て血も涙もないボールなんだ！？」霞「石崎君も負けてない。甲子園最速タイ記録の１５３キロを記録し観客をわかせます！」武藤「タイ記録ですか、さすがですね」草薙「しかし１球でファンのヤジをかき消すなど凄いピッチャーですね。将来性を考えると寒気がしますよ」武藤「その気持ちは分からなくもないな」石崎主将「ふん！」ズバ―――ン！
根本「逆境モードを解除してくれてありがとうなんてこんなボール見たら言えるか―――！？」霞「続く根本君も空振り三振で２アウトです！」武藤「今日これで６個目の奪三振と石崎君も負けてないんですがね」草薙「相手が凄いと印象が薄くなる物さ」武藤「まあタイトル争いとかそんな印象もなくはないですけど」石崎主将「貴様には打たさん！」ズバ―――ン！
真田「速過ぎて打てません」霞「フォアボールで出塁した真田君でしたが２打席目は見逃しの三振で３アウトチェンジです！」武藤「１５３キロですからね。手が出ませんよ！」草薙「もう３回も終わりか」霞「テンポの良い２人でバッターは三振ばっかりですからね。石崎君の場合はボールが多いせいか長く感じますけど、それでも普通の試合と比べたら早い展開ですね」
広瀬「やったぜ。甲子園タイ記録だぜ。これなら河島さんの記録も抜けるぜ！」石崎主将「甲子園ではな。あの人オープン戦で１５６キロとか投げてたぞ？」広瀬「大丈夫、河島さんがあそこまで伸びたって事はお前もプロ入りしたら同じくらい伸びるから石崎主将「そんなもんかね」広瀬「俺が保障しよう」石崎主将「お前が言うと詐欺の手口みたいだな」広瀬「酷い。善意をここまで貶されるとは！？」石崎主将「…………あっ、さすがに今のは言い過ぎたかな。すまなかった」
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霞「さっきも言いましたが早い物で４回です。記録などが注目されていますが選手達に取っては何よりも勝敗が大事なのです。そう言う意味では１点どころかヒットも打てないしまつこれからどうやって両投手を攻略して行くかも注目しましょう！」武藤「言いたい事は分かるんですがね（観客には聞こえてないだろうなとは言いにくいな）」草薙「ま、主役は観客でも我々でもなく選手達だ。ここから見物してよう」武藤「そうですね」斎藤主将「記録か、考えもしなかったな」ズバ―――ン！ ワァ―――！
中川「気のせいか１回よりも更に速くなってないか！？」吉田（さすがだな。記録を意識してからますます集中力が増して来てる）霞「記録更新！ １４４キロのストレートで三球三振に抑えて記録を更新しました！」武藤「やると思いましたが、このプレッシャーで良く達成しましたね」草薙「ま、観客席からの声援が凄いからな」この回に入ってからは奪三振コールが球場中に轟いていた。現在は奪三振記録をどこまで続くかでますますコールは激しくなっている。
川崎「バットコントロールに定評のある川崎徹が相手だ！」斎藤主将（シュッ！）ズバ―――ン！ ワァ―――！
川崎「何でミートだけに集中してるのにかすりもいないんだよ！？ これは消える魔球とでも言うのかい！？」吉田「いや俺もそんなボールを捕れる自信はないし」霞「ミットにボールが入った瞬間にまたしても大歓声で記録を１１連続奪三振と伸ばします！」武藤「次はセオリーと言うか記録を打ち破るとしたらこの人しかいないってバッターですよ」草薙「それに関しては同感だな」霞「と言う訳でこの３番は鬼門です！」斎藤主将（シュッ！）八代「速いが当たれ！」カキ―――ン！ パシッ！
相川「ふう」霞「抜けるかと思いましたが相川君がさばいて３アウトチェンジ！ しかしこれで奪三振記録は幕を閉じました！」武藤「幕閉じって？ まあ良いか、しかしヒット性の当たりでしたしここは相川君の守備を誉めておきましょう」草薙「そうだな。２つ記録を伸ばしただけ大した物だとも思うがな」霞「そうですね。斎藤君は完全試合中ですしそっちも期待して行きましょう」吉田「…………はあ」斎藤主将「何でお前が落ち込む？」吉田「だってよ。このまま２７連続奪三振ってのも観て見たかったなと思ってよ」斎藤主将「それは凄いな。観れる物なら金払ってでも観て見たいな」吉田「何で人事なんだよ？」相川「…………どうやら本気で言ってるようですね」斎藤主将「さすがの俺でも２７人のバッターを全て三振にとってパーフェクトと言うのは想像が付かないんだがな」相川「大丈夫です。それが普通の思考ですから」斎藤主将「だよな（しかしキャッチャーにはそう言うふうに思えるのか何か元気が出て来たぞ！）」
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石崎主将「斎藤は１１連続かなら俺は…………！」ズバ―――ン！
相川「凄い１回でバントした球とは比較にならない！？」石崎主将「………………」霞「１５２キロを記録しましたがストライクは入らずフォアボールでランナーを出します！」武藤「尻上がりに調子上げて行くピッチャーですが、試合の中盤でコントロールを乱すのは珍しいですね」草薙「クイックが苦手な石崎君ですが１回を観たせいか真田君以外の盗塁は難しそうですね」霞「ふむ。それではバッターは３番の吉田君ですが送って来る可能性もあると？」草薙「完全にないとは言えませんがクリーンナップ以外に打てそうもないしここはヒッティングで良いと思いますよ」武藤「そうですね。進塁打になる可能性もあるし」
吉田（打って来いと言われてもな。当てるのも難しいんだけどな）石崎主将（別に連続奪三振などどうでも良い最終的にあいつより多く三振を奪って勝利すればそれで良いんだ！）広瀬（思っている時点で気にしてるんじゃないのか？）石崎主将（やかましい！ それにこのままノーヒットノーランで勝ってやる！）広瀬（今更って気もするけどな）石崎主将（あまいな。ここじゃまだやっていない！）広瀬（そう言えばそうだったな。威張って言うセリフじゃねえけど）石崎主将（うっさい！ とにかく記録なんぞ気にせず抑えるぞ！）広瀬（矛盾してるがとにかくゼロのまま抑えよう。そうすれば負けはない！）石崎主将（うむ！）スト―――ン！
吉田「いきなりこれかよ！？」霞「初球フォークを空振り１ストライク！」武藤「フォークはほとんどボールですから見て行けば良いと言いたいところですがあの速度ですからね。振ってしまっても仕方ありませんよ」草薙「見逃し三振が多いせいか振って行くのは悪くないと私には思えますね」石崎主将（初球フォークで怯ますのに成功、次はインコースにでも投げて見るか！）広瀬（コントロールがいまいちなせいかデッドボールになりそうな気もするが顔面付近に投げるのだけはやめろよ。当たったらシャレにならん）石崎主将（俺の球威じゃ死ぬ事もありえなくはないからな。ま、俺はあんまり気にしないが！）広瀬（これじゃ左の河島さんだな。あの人より総合力は高いのにな）石崎主将（四死球は速球派に付き物だからな。むしろ斎藤のようにコントロールの良いタイプが不思議なのさ）広瀬（そう言うタイプが多いのは認めるけどな。１点勝負だしランナーためたくはないんだよ。お世辞にもエラーは少ないとは言えないしさ）石崎主将（例年に比べれば少ないと監督は言ってたぞ）広瀬（そうなんだけど、俺を含めてタイムリーエラーが多いんだよ！？）石崎主将（俺の記憶にはないが？）広瀬（お前は三振と完封ばっかりだから記憶になくても不思議じゃないけど、他のピッチャーの時はな）石崎主将（なら大丈夫だ。今日は俺が投げてんだからな！）広瀬（それもそうだな。それじゃ一応低めのインコースな）石崎主将（うむ！）ズバ―――ン！
吉田「うわっ―――！？殺す気か！？」広瀬「すまん。今日のあいつコントロールはいまいちだったから」吉田「だったらインハイなんて投げさすなよ！」広瀬「いや、コントロール悪いって言っただろう」吉田「そうか（だけど内角に踏み込むのは怖いな。コントロール悪いって言うしもう少し見て行くか）」霞「インコース高め危険なボールでしたが何とか避けてカウントは１−１となりました！」武藤「たしかに危険なボールでしたね」草薙「頭部に当たってら退場になってもおかしくはなかったが（あれを見たら内角に踏み込むのは難しいだろうな）」広瀬（低めと言ったのにあんな高めに投げるなよ！）石崎主将（どうもコントロールがいまいちだな。仕方ない吉田には変化球で行くぞ！）広瀬（変化球か、ちゃんとコースに決まれば良いんだけどな）ククッ！
吉田「変化球か」霞「アウトコースギリギリにスライダーが決まって２ストライク！」武藤「コントロールが悪いんで変化球に切り替えたみたいですね」草薙「スライダーか、悪くはないと言うレベルだな」石崎主将（シュッ！）スト―――ン！
霞「フォークは見逃し外れてボールです！」武藤「振って来ませんね」草薙「さっきのボールが怖くてなかなか踏み込めないんでしょうね」石崎主将（シュッ！）ズバ―――ン！
吉田「くっ！？」霞「アウトコース高めのストレートを空振り三振で１アウトとなります！」武藤「まだ１アウトですか、そう言えばランナーもいるんでしたね」草薙「そう言う意味じゃさっきの危険球の時に走るチャンスだったんだがな。キャッチャーが良く追い着いたよ」斎藤主将「さっきの危険球で完全に腰が引けてたな」吉田「すまん」斎藤主将「仕方ないよ。さすがに当たれとは言えないからな。とりあえず読みで打つのは難しいって事が分かっただけ収獲はあったよ」吉田「それと変化球はコースギリギリだが打てないほどのボールじゃなかったぞ」斎藤主将「コースがあまければ打てるか」吉田「ま、フォーク以外の話だけどな」広瀬（ここで斎藤か得点圏にランナーがいないだけマシだけど、それでもランナーがいたら嫌なバッターだよな）石崎主将（関係ない。こいつを抑えれば赤竜打線は沈黙する！）広瀬（１打席目はアウトになったとは言えフォークにタイミングが合ってたしストレートから行くか！）ガキッ！
斎藤主将「やっぱり重い。芯に当てなきゃとても前には飛ばないな」霞「初球真ん中高めのストレートでしたがファールして１ストライクです！」武藤「一振りで１５０キロのボールに当てるなんてやっぱりセンスが違いますね」草薙「当然と言えば当然ですが振り遅れてるし球威に押されてる感じですね」広瀬（コースがあまいとは言え良く当てられるな）石崎主将（だから認めてるんだよ。とにかく次もストレートだ！）ズバ―――ン！
斎藤主将（あまいと思ったらまた絶妙なコースに！？）霞「１５１キロのストレートがアウトコース低めに決まりますがコールはボールで１−１となりました！」武藤「うーん、微妙ですが手が出なかった感じから斎藤君は救われましたね」草薙「１５０キロでコース付くコントロールがあったらプロでもなかなか打てないからな」広瀬（さっきの危険球のせいかきわどいとこはボールにされるな）石崎主将（ふん。フルカウントになろうが結果的に抑えればそれで良い！）ズバ―――ン！
斎藤主将（こう低めじゃ長打が打ちにくい！？）霞「次は真ん中低めに１５２キロのストレートが決まりコールはストライクで２ストライクになりました！」武藤「今度も微妙ですが今度はストライクのコールですか？」草薙「急にコントロールが良くなりましたね。さて肝心の決め球はどうなるかな？」石崎主将（こいつでとどめだ！）ズバ―――ン！
斎藤主将（しまった！？）霞「最後は真ん中高めのボール球を空振り三振！ そして決め球は１５３キロを記録とやはり今日の石崎君は凄いですね！」武藤「さすがの斎藤君でも１５０キロだと速さに釣られてボール球を振らされてしまいますね」草薙「追い込められるとな。ま、初球を見逃したのが敗因だな」篠原「初球以外は打てそうもない球ばっかりでしたね」斎藤主将「ああ、初球をとらえなかった時点で敗北は決まってたらしい」石崎主将（シュッ！）ズバ―――ン！
木下「速すぎる！？」霞「１５１キロのストレートを空振り三振とフォアボールを出した物の後続は三者三振に抑えます！」武藤「力でねじ伏せる貫禄のピッチングですね」草薙「持ってる力は既にプロクラスだな。プロで投球術を磨けば将来はメジャーすら視野に入るかも知れないそれほどの投手ですね」武藤「凄い評価だな。けど、ここまで力で押すタイプは河島君くらいしか思い当たらないし河島君より完成度は高いしその評価も仕方ないか」石崎主将「小細工など力で叩き潰すだけだ！」広瀬「ま、ランナーがホームに返らない良いピッチングだったよ」石崎主将「俺は延長になろうが無失点で抑えてやるぜ！」広瀬「ああ！（しかし本当に延長戦になりそうだな）」
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斎藤主将「４番からか」広瀬「ここまでノーヒットだからな。いい加減活躍しないとな！」吉田（それはこっちも同じだけどね）ズバ―――ン！
広瀬「今日はダメだな」霞「４番のわりには良いところなしで空振り三振だ！」武藤「そのセリフはともかく広瀬君は凡打の当たりでも長打になるパワーを持ってますからね。まずバットに当たらない球を投げる投手とは相性が悪そうですね」草薙「ファイターズの和田みたいだな」武藤「そうですね。強肩強打と共通点は多いですね」霞「次はバッターとして怖い石崎君です。ピッチングに火が点くとバッティングにも火が点くその気にさせてはならない男と言われています！」武藤「初耳ですが、その意見には同意しますね。一度調子に乗ると手が付けられないって印象はたしかにありますから」斎藤主将「食らえ！」石崎主将「舐めんな！」カキ―――ン！ パシッ！
篠原「何とか追いついたか」霞「１４５キロのストレートでしたがライトの頭は越えずライトフライに終わります！」武藤「しかし篠原君も良く追いつきましたね。普通ならヒットになってもおかしくはなかったですよ」草薙「石崎君に火が点いてるように斎藤君にも火が点いてますからなかなか打てませんね」斎藤主将（シュッ！）ガキッ！
山本和「ヒットを打つのは難しいな」霞「続く山本君はセンターフライと転生高校も当てて来ましたね」武藤「この山本君はミートが上手いですからね。地方大会でも４割以上打ってますし」草薙「地味ですがバットコントロールは抜群ですね。斎藤主将「…………ふう」吉田「珍しく疲れてるのな？」斎藤主将「テンポ良く回ってるからな。投げてる印象しかないんだよ！」吉田「そういや三振ばっかりだからな」斎藤主将「ま、四死球がある分俺は休めてるけどな。石崎はもっとスタミナを消耗してるはずだ！」
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石崎主将（シュッ！）ガキッ！
篠原（…………ようやく当たったと思ったら今度は球威に押されるしやっかいだな）霞「１５０キロのストレートに当てましたがセカンドフライに倒れます！」武藤「さすがに２打席目になると当てて来ますね。高校野球もレベルが高くなったもんだ」草薙「しかし当てたと思ったら今度は球威に押されるとやはり攻略は難しいですね」石崎主将（シュッ！）ガキッ！
福西「だあ―――腕が折れる！？」広瀬「それはオーバーだと思うが」霞「福西君もピッチャーゴロに倒れて２アウトです！」武藤「１５０キロにもだんだん慣れて来たか、さすがはバッティングに定評のあるチームですね」草薙「ま、ミートは悪くないな」石崎主将（つうか当てて来たな）広瀬（そりゃ全打席三振に抑えられるわけじゃないしな。実際、三振の記録は達成してないし）石崎主将（ふむ。やっぱりこうじゃないと面白くないな！）ズバ―――ン！
山口「打てん！？」霞「山口君は１５２キロのストレートを空振り三振で３アウトチェンジ！」武藤「やっぱり打つのは難しそうですね」草薙「バッターは３回に１回打てば合格だからな。次で打てば良いだけチャンスはあるよ」武藤「そう言う意味で言ったんじゃないですけどね」石崎主将「次はうちも下位打線だし勝負は７回か８回だな」広瀬（１４５キロとこっちも打てそうもないけどね）
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斎藤主将（シュッ！）ズバ―――ン！
川西「マジで打てん！？」霞「下位打線にも容赦なし１４３キロのストレートで見逃し三振に抑えます！」武藤「ノビるだけでなくコントロールもありますからね。なかなか打てませんよ」草薙「慣れたら慣れたで変化球も使って来るからますます打ちづらくなりそうだしな」斎藤主将（シュッ！）ガキッ！
山本研「ダメだな！？」霞「何とか当てますがキャッチャーフライで２アウトです！」武藤「しかし打てませんね」草薙「次を抑えたら完全試合を狙っても良いかもな」斎藤主将（シュッ！）ズバ―――ン！
庄田「入ってるのかよ！？」霞「最後はインコースを見逃し三振で３アウトチェンジ！」武藤「奪三振はここまで１４個か、残り３回だし記録出るかもな」草薙「石崎君も５回で１１個だしこっちも負けてないな」斎藤主将「それにしてもヒットが出ないな」吉田「まったくだ。情けない奴らだな！」斎藤主将「俺が言ってるのは自分達の方だ！」吉田「だって打てない物は打てないし誰かさんも三振だったし」斎藤主将「俺の時に限ってあまいコースにはあんまり来ないんだよ！？」
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石崎主将「ふん！」ズバ―――ン！
根本「全然球威が落ちないし！？」霞「１５０キロのストレートが決まって見逃し三振で１アウト！」武藤「外角低めが、あの速度じゃ手が出んな」草薙「たしかにな」石崎主将「真田か、打てる物なら打って見ろ！」ガキッ！
真田「って芯に当てたのにショートフライかい！？」霞「１５１キロのストレートに当てましたが結果はショートフライです！」武藤「当てただけでも大した物ですけどね」草薙「ミートの上手いバッターでもパワーがないと打てそうもないな」石崎主将「相川か、貴様にも打たさん！」スト―――ン！
相川「フォーク！？」霞「慌ててスイングを止めようとするが塁審はスイングアウトを宣告し三振だ！」武藤「さすがの相川君でもあのフォークは打てませんよ」草薙「これで奪三振が１３個か」霞「６回を終わって武藤「たしかに凄いピッチングですね」草薙「ノーヒットノーランの経験のあるお前としてはどうなんだ？」武藤「と言われてもプロでノーヒットに抑えた時は会心の当たりがところどころ野手の正面に飛んだって内容でしたからね。三振も２ケタ行かなかったし」霞「内容が全然違って比較できませんね」
武藤「本当の事だけど酷いですよ！？」石崎主将「いよいよ７回に入るな。いい加減得点が欲しいぜ！」広瀬「うむしかし俺はまったく打てる自信がないぞ！」石崎主将「とてもじゃないが４番の言葉だとは思えんな」広瀬「だって当たらないし」石崎主将「普通のピッチャーならお前のスイングに驚いて失投を投げるもんだが斎藤はそんな腰抜けじゃないしな」広瀬「そうなんだよ！ あいつには俺の威圧感が通じないんだよ！」石崎主将（ま、この姿を見てると威圧感があるようにも思えんがな）
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霞「試合もいよいよ７回に突入しましたが両投手ノーヒットと抑えております。斎藤君は完全試合ペースと、言う事のないピッチングです！」武藤「正直１点が要の試合となるとは思いましたがここまでヒットが出ないとは思いませんでしたよ」草薙「春でここまでの実力を出すのも驚きだがドラフト候補の試合だからな。当然と言えば当然なのかもな」斎藤主将（シュッ！）ズバ―――ン！
中川「フォアボールを期待できない以上もう俺は終わってるのか！？」霞「決め球は１４４キロのストレートといまだにスタミナは落ちませんね」武藤「ええ、でも明日は決勝だし疲れは残るでしょうね」草薙「若いんだから大丈夫なんじゃないのか」武藤「まあ私もそう言う時代に生まれましたけど、今じゃ投手の起用も色々とありますからね」草薙「ま、ケガでああ言う素材が減るのは悲しい事だし当然だがな」武藤「そうですね」斎藤主将（シュッ！）ガキッ！
川崎「やっと当たった！」霞「決め球はカーブでしたが打ち上げてピッチャーフライに倒れます！」武藤「ストレートにも当てて来たしバッターも目覚めて来たんですかね？」草薙「だとしたら次の３番には要注意かもな」斎藤主将（シュッ！）ククッ！
八代「まいったな。本当に打てないし」霞「最後はインコースのカーブを見逃し三振！」武藤「あのカーブも打ちにくそうですね」草薙「７回もノーヒットか」全員（凄いやキャプテン）斎藤主将（残り２回と言いたいがその前に石崎の攻略だな）
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石崎主将「とりあえずお前は邪魔だ！」ズバ―――ン！
吉田「くそっ！？」霞「外角へ踏み込んで打ちますがかすりもせず空振り三振！」武藤「あの危険球から１打席立ってるとは言え踏み込むとは勇気がありますね」草薙「しかし結果は三振か」斎藤主将（１アウトランナーはなしか、３打席目だしそろそろヒットは打たないとな！）石崎主将（やっぱりこいつとの対戦は燃えるぜ！）ズバ―――ン！
斎藤主将（まだ振り遅れてるのか！？）霞「初球真ん中高めのストレートを空振り１ストライク！」武藤「前の時と同じ球ですね」草薙「しかし１５３キロと手が出んな」石崎主将（シュッ！）ガキッ！
斎藤主将（当たったけど、まだ振り遅れてるのか）霞「２球目は外のストレートに当てるがファール！」武藤「また追い込まれましたね」草薙「決め球は何で来るか？」石崎主将（こいつでとどめだ！）スト―――ン！
斎藤主将（フォーク！？ ダメだ見逃してもストライクになる！？）霞「最後はフォークを空振り三球三振に抑えられます！」武藤「全然打てませんね」草薙「決め球はフォークか、手が付けられんな」石崎主将（シュッ！）ズバ―――ン！
木下「援護したくても当たりもしない！？」霞「この回は三者三振と見事なピッチングを見せます！」武藤「スタミナは全然落ちてませんね。今大会じゃ延長戦って観てないけど今日は行くかもな」草薙「そうだな（延長を視野に入れたらスタミナもだが精神力も試されるな）」石崎主将（ふう、次はバッターとして相対するな）斎藤主将（これは延長に行くかもな）
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斎藤主将（シュッ！）ズバ―――ン！
広瀬「普通あんなに完璧に抑えられたら意気消沈しないか」吉田「うちのキャプテンはむしろ抑えられたら借りを返さずにはいられない性格なんで」広瀬「石崎や流石と同じタイプかよ。敵に回すとここまで相性が悪いとは！？」霞「４番の広瀬君には１４５キロのストレートで空振り三振と抑えます！」武藤「完全試合しそうな勢いですけど、得点がないですからね。このまま行けば良いんだけど」草薙「こっちもスタミナは落ちてないか、死闘になりそうですね」石崎主将（良いバッターから三振を奪うのも楽しいが良いピッチャーから打つのも楽しいからな。打たせてもらうぜ！）斎藤主将（こいつはバッターとしても要注意だな！）ズバ―――ン！
石崎主将（速いが、そろそろこの感覚にも慣れて来たな）霞「まずはストレートを見逃し１ストライク！」武藤「珍しいですね。それほど厳しいコースでもないのに振って来ないなんて？」草薙「１点勝負だからな。慎重に行ってるんだろう」武藤「…………慎重ね（何からしくないけど）」斎藤主将（シュッ！）ズバ―――ン！
石崎主将（ストレートか、次は変化球だと思ったんだがな？）霞「今度は低めギリギリに決まり２ストライクです！」武藤「１４４キロか１球目よりも球速が出てるし手が出ないな」草薙「変化球を狙ってた感じですね。次は外して来るかな？」斎藤主将（こいつで決める！）石崎主将「やっぱり３球勝負か！ この外角のボールを待っていたぜ！」カキ―――ン！
全員「嘘だろう！？」全員「行っけえ！！」霞「―――惜しい！ わすがに切れてファールです。飛距離は十分だったんですけどね！」武藤「しかし１４５キロのストレートを引っ張ってファールってのも凄いですね！？」草薙「しかし例え飛距離が凄くてもファールはファールだ」武藤「その通りですが」斎藤主将（ふう、あの時の事を思い出したな。だけど今の俺はあの時の俺じゃない！）石崎主将（ふっ、次はインコースだな。問題は何球目で来るかだが、まあコースが分かればスタンドまで運んでやるぜ！）斎藤主将（こいつで決めてやる！）ズバ―――ン！
石崎主将（さっきと同じコース！？）霞「ファールごときで怯えてられるかと言う気迫のピッチングで見逃しの三振に抑えます！」武藤「あんなファール打たれてまた同じコースに投げるとは！？」草薙「だから言っただろう。ファールはファールだって完全にとらえられていたらスタンドに入ってるさ」石崎主将「やっぱりな。こうでないと面白くはないぜ！」昨年よりも成長した斎藤の姿に驚きはしたが嬉しさの方が勝ったか石崎は笑いながらベンチへと戻って行く。
斎藤主将「さっきの打席のついでに昨年の借りも返せたかな」ズバ―――ン！
山本和「そして俺は三振とますます手が付けられねえし！？」霞「大きなファールで驚きましたが結果は三者三振と完全試合続行中です！」武藤「凄いですね。奪三振もこれで１９個ですよ！？」草薙「それだけに延長の気配が濃厚なのが残念だな」吉田「凄すぎだぜ。観客からの声援も凄いしさ。奪三振も１９個目だぜ！」斎藤主将「…………本当だ。ま、１１連続も達成したからな。当然と言えば当然か」吉田「このまま完全試合も達成しようぜ！」斎藤主将「だったら１点取ってくれ」吉田「いや、あっちも凄いしと言うか俺の打席はまだ先だし」斎藤主将「そうだな（記録か、そんな物よりあいつに勝ちたいと思う俺はやはり変わってるのかな？）」
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石崎主将（俺もこのままノーヒットノーランと行かせてもらうぜ！）篠原（さっき斎藤さんに完全に抑えられたとは思えない。余裕振りだな。とにかくヒットを打って反撃の切欠を作る！）ガキッ！
山本研「とおっ！」
全員「捕れえっ！？」全員「落ちろっ！！」霞「ショート後方に落ちた。記録は残念ながらヒットですね。ラッキーなヒットですがヒットはヒットでノーヒットノーランの記録はなくなりました！」武藤「これはショックですね。草薙「そうだな。しかし勝敗はまだ分からん」篠原「普通ならアウトだな。鈍足なせいか助かった」山本和（ヒット打ったわりには面白くなさそうな顔だな？）山本研「すみませんでした！？」石崎主将「くだらねえ事気にしてる暇があったらとっとと試合に集中しろ！」山本研「は、はいっ！？試合に集中します！！！」広瀬（こう言う単純バカが多いのもこう言う時には良い事だよな）石崎主将（ちっ！ まあいい。元々は斎藤に勝ちたくて熱くなってただけだ。どっちにしろ勝敗は譲らん！）石崎は内心ショックだったがキャプテンらしく気持ちを立て直し試合に集中する。
霞「８回裏ノーヒットノーランの記録は途絶えましたが奪三振は現在１６個と斎藤君に負けない奪三振率です！」武藤「ここで三者三振に抑えれば互角ですね」草薙「マウンドの様子を観る限りショックはあまりない印象ですが肝心のピッチングでは…………」石崎主将（シュッ！）スト―――ン！
福西「げっ！？」広瀬「ぬぉ―――！」ビュ―――ン！ パシッ！
篠原「………………」霞「まさかの初球エンドランでしたが福西君は空振りして広瀬君がセカンドに行った篠原君を刺して１アウトです！」武藤「ここでエンドランか、しかし初球とは思い切ったな」草薙「勝負師って言われるのも分かるくらい思い切った手を打って来ましたが残念ながら結果はアウトですね」篠原「すみません」
中西監督「仕方ない」吉田「初球フォークを予想しての盗塁でもあったんですけどね」中西監督「ああ、広瀬の肩が凄すぎたな。後逸する可能性もあったしスローイングも遅れると判断したんだが奴の強肩は一瞬にしてこっちの作戦を打ち破りやがった」相川「石崎さんとは別の意味で力でねじ伏せられましたね」真田「うん。あれはちょっと怖いよ！？」石崎主将「まさか守備で広瀬に助けられるとはな。夢にも思わなかったぜ！」広瀬「ぶっちゃけ本人もそう思ってるんですけどね。けど言われたら言われたでへこみますよ！」石崎主将「すまんすまん。とにかくこいつを抑えるぞ！」スト―――ン！
福西「全球フォークっすか！？」霞「フォーク３つで三球三振と打たれたショックはなさそうですね！」武藤「ま、ランナーはいないですしね」草薙「１球目はともかく２球目３球目のフォークもストライクに入れて来たな」霞「たしかに何回からかは忘れましたがコントロールが良くなっている印象はありますね」武藤「そう言えば三球三振も多くなってるな」石崎主将（シュッ！）ズバ―――ン！
山口「ヒット打たれたショックなんてないんですね」霞「続く山口君も１５２キロのストレートで空振り三振とこれで１８奪三振です！」武藤「篠原君を刺したから２個止まりですね。不運と言えば不運なのかな？」草薙「１８個でも十分に凄いがな」武藤「そうですね」
浅野監督「ふっ、ヒットを打たれても動じないとはさすがは石崎だな」広瀬「監督、いたんですか？」浅野監督「いるよ！ いなきゃ試合にならないだろうが！」石崎主将「いえ。別にいなくても問題ないですけど」浅野監督「そんなに俺は邪魔ですか？」石崎主将「すみません。つい口が滑って本音が」浅野監督「本音なんですね！？」石崎主将「いや、そうですじゃなくてそうじゃなくないようなそうでないような？」広瀬「嘘の付けない男、その名は石崎和久」八代「バカやってる場合か、こっちは完全試合食らってるんだぞ！」石崎主将「そうだったな。次は川西からか…………なら延長だな」川西「たしかに打てる自信はありませんけど」広瀬「ダメじゃん」八代「とにかく援護できない俺達の言うセリフじゃないが、お前は９回もゼロで抑えてくれ！」石崎主将「言われるまでもない！ 延長１８回だろうが死ぬ気で投げて勝つ！ それがこの俺、石崎和久だ！」広瀬「うむ。これもまた石崎和久だな」全員（シリアスなのにボケてるように思えるな）完全試合を食らってるわりにはマイペースな転生高校だった。
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霞「試合もいよいよ９回と言いたいですが得点はゼロなのでいまだに決着はつきそうもありません」武藤「ま、下位打線ですしね。期待はできないかな」草薙「ここを完全に抑えて裏でサヨナラとか打ったら格好良いと思うぞ」武藤「あっちも下位打線だし期待薄かな」霞「奪三振の記録もあるのでそっちにも注目して見ましょう！」斎藤主将「残り３人と言いたいところなんだけどな」ズバ―――ン！
川西「終わった」霞「川西君は空振り三振で自己記録タイの２０個を達成しました！」武藤「そう言えば昨年も２０個でしたね。裏でサヨナラ食らって終わりましたけど」草薙「奪三振率は昔から変わってないって事か」庄田「監督、何とかヒットを打ちたいんですけど！」浅野監督「気持ちは分かるが厳しいコースばっかり投げるし難しいな。延長で１番から期待しとけ！」庄田「それでも監督かよ！？ 大体俺は９番バッターなのに」浅野監督「セーフティバントでもするか、けど基本的に足の遅い選手が多いからな」全員「大丈夫だ。ノーヒットの気持ちはみんな分かってるから」庄田「ますます悲しくなって来た」浅野監督（うむうむ。みんなこうやって大きくなって行くんだな）広瀬（何か監督も壊れてる感じだな）斎藤主将（シュッ！）ズバ―――ン！
山本研「９回でこの速度かい！？」霞「１４４キロのストレートを空振り三振！ これで２１奪三振と新記録達成です！」武藤「だけど、裏でサヨナラにしなきゃ成立しないんですよね」草薙「完全に抑えても無得点ではダメと言う事だな」斎藤主将（そう言えば記録達成したのか？ まあいいや！）ズバ―――ン！
庄田「終わった。これで終わったら俺の名前が一生甲子園にそんなのごめんだ。裏は死ぬ気で守ってやる！」霞「最後はＭＡＸ１４５キロのストレートで空振り三振に抑え２２奪三振と記録を伸ばします！」武藤「凄いピッチングなだけに無得点と言うのは…………」草薙「まだ裏もあるしそっちに期待は…………」霞「とにかく素晴らしいピッチングでスタンドからはたくさんの声援が送られます！」吉田「本当に凄いピッチングですね！」斎藤主将「まあランナーも出してないからな」真田「結構落ち着いてるのね？」斎藤主将「と言うよりそんな余裕はない。まず延長だしこっからは石崎との根比べだろうしな」真田「少しは僕達を信じても良いんじゃないかな？」斎藤主将「信じてはいるがそれ以上に今日の石崎は凄いからな。俺も完全に抑えられてるしそうそう打てるとは思えん」真田「たしかにその通りですけど」斎藤主将「ま、四死球で出塁すれば吉田に回るから期待するか」吉田「任せとけ！」真田「珍しく強気だね？」吉田「珍しくは余計だが、斎藤がこんな完璧なピッチングをしてるんだ。何とか記録を達成させてやりたいじゃないか！」真田「そうだね。こうなったら粘って粘って出塁するか」評判以上の投手戦となったが試合はまだ終わらない。斎藤はこのまま完全試合を達成できるのか？
