第59章 変わらない日常?(前編)
−1997年 5月 上旬−
4月も終わり月間MVPには選ばれなかったが斎藤は新人離れした力で活躍していた。そしてその斎藤はと言うと実家に帰っていた。
斎藤「しかし妙に久し振りな気がするな?」
球星「そりゃ久し振りだからだろう?」
斎藤「そんな何言ってんだ。こいつってな目で見ないで下さいよ。修学旅行とかで帰って来るときとは違った感じだなと思ってるんですよ」
球星「ふむ。しかしこいつってな目で見ているのは周囲の人らだと思うが?」
斎藤「へっ?」
斎藤「げっ!?」
斎藤は視線に耐えられなくなって一気にその場を離脱した。
斎藤の部屋
結依「それは災難じゃったな」
斎藤「災難の責任の一端は結依さんにもあると思うんですけどっ!」
球星「………………」
結依「さてなんの話じゃ?」
斎藤「とぼけないで下さいよ。結依さんにも視えてるんでしょう!」
球星「まあさっきの話を信じているところからも間違いないな」
結依「そうじゃな……まあ視えるようにした理由を知りたいと言うのは当然の事じゃな」
斎藤「そうですよ。あのとき説明しなかった理由はだいたい分かります。視えない人間に言っても無駄だからでしょう!」
結依「お主のそう言う物分かりの早いところは好きじゃぞ!」
球星「どうした斎藤、顔が赤いぞ?(ニヤニヤ!)」
斎藤「そう言うのは良いですからっ!」
結依「からかいがいのある奴じゃ! まあそれは良いか……」
斎藤(全然良くないからっ!)
結依「……簡単に言うとお主ら二人のためじゃな」
斎藤「俺達のため?」
球星「ワシらのため?」
結依「守護霊じゃあるまいし憑かれた状態が続くのが良い事とは思うまい?」
斎藤「それはまあ……」
球星「……たしかにな」
結依「うむ。このままで良いはずがない。それならじゃ、お互いの意思疎通が大事と思ってな」
斎藤「視えなければ意思疎通は不可能ですからね」
球星「それに会話ができるようになったのもお互いを認識できるようになったからか」
結依「と言うわけでハジメはその者の望みを叶えてやる事じゃ!」
斎藤「それで球星さんの望みってなんですか?」
球星「さあ?」
斎藤「さあってなんですか!?」
球星「いやいきなり望みを言えとか言われてもな」
斎藤「そう言えばこの前もこんな展開な話してたっけ?」
結依「なんじゃもう話とったのか?」
斎藤「いえ。そう言う意味じゃなくて」
結依「ん? まあ望みと言うか未練じゃな。やりたい事があるからいまだに存在しているわけじゃからな」
球星「……未練か」
斎藤「心当たりがあるんですか?」
球星「あるような……ないような?」
斎藤「はあ、まあ良いです。ゆっくりやって行きましょう!」
球星「……ああ」
結依「まあ即座にできる事とも限らないからのう。お主らのペースでやれば良いじゃろう!」
斎藤「そうですね」
球星(しかし未練と言ってもいまさらだな)
結依「それじゃ月砂のところに顔を出してやるのじゃな!」
斎藤「はい!」
それから斎藤は姉の月砂に挨拶して先月の球星の望みを聞いて近所の河川敷に来ていた。
河川敷
斎藤(ここに何かあるんですか?)
球星(何もないさ)
斎藤(じゃあなんで?)
球星(ワシがお前に乗り移ったのがここだからだ!)
斎藤(えっ?)
球星(ワシは今まで色々な人間に乗り移ってはその人間の生活を見ていた。さすがにこんなふうに話せたのは……お前が初めてでもないな)
斎藤(ここで冗談ですか!?)
球星(あの姉さんのように視える人もいるからな)
斎藤(なるほど)
球星(さてとそろそろ帰るか)
斎藤(もう良いんですか?)
球星(ああ。ただ初めてお前と会った場所を確認したかっただけだ。ここがワシとお前の原点だからな)
斎藤(はあ?)
それから場所は変わって試合となる。
福岡ダイエーホークス
堀内監督「今日の相手はライオンズだ。あっちの先発は御影でこっちの先発は豪田だ!」
豪田「任せて下さい!」
海藤「パワーVSパワーって感じの試合か、荒れそうな試合になりそうだな」
青葉「相手は昨年のエースか」
平井「今年は大山さんの方が調子が良いですけど、実力的にはまだ御影さんがエースですね」
大友「奪三振も毎年200以上なのにタイトル獲れないと今年こそはって言ってたし要注意だな」
葛城「プロ7年で100勝達成してますからね。球史に残るピッチャーなのは間違いないですよ」
アルベルト「まあ誰が相手でもガンガン打つだけです!」
海藤「お前もきっちりと後始末をするんだぞ」
御堂「分かっていますよ(無理に決めようとして声がうわずってるし)」
西武ライオンズ
中村監督「今日の相手はホークスだな。先発は豪田らしい」
柳生「なんかうちとホークスって縁がありますね」
草薙「豪田さんはうちに来て向こうに行ってとたしかに縁がありますね」
鳥海「ちなみに俺はトレードで来たぞ!」
浪川「そして俺は御堂とライバル関係だぜ!」
岡崎「先発じゃなくなりましたけどね」
浪川「………………
………………」
東雲「まあまあ今年も始まったばかりだしいずれは対戦する事もありますよ」
御影「ちなみにうちとホークスは毎回相性が良くリリーフの御堂の出番もなく今年はまだ登板していないのだった」
東雲「いや知ってますし何故に説明口調?」
御影「4月に1回戦ったきりだから3連戦はこれが最初みたいな物だからな」
東雲「いや今は連戦で明日が3連戦目になるんですが?(それに昨日は完封負けしているし)」
常葉「それより今日は何故か俺がスタメンなんですけど?」
中村監督「相手は豪田だからな。今のお前がどれだけ通用するのか見てみたいだけだ」
常葉(それって豪田さんに失礼だよな……しかしスタメン獲得のチャンスでもあるのか)
岡崎(俺がスタメンなのも同じ理由からか)
−1997年公式戦 福岡ドーム−
左
秋月 百太郎
1
後攻
先攻
VS
1
東雲 暴
遊
二
笹川 真吾
2
2
備前 吉安
捕
右
平井 豊
3
3
草薙 刃
右
一
青葉 棗
4
4
柳生 雷蔵
三
三
葛城 紅葉
5
5
浪川 哲哉
一
中
大友 勇輝
6
6
岡崎 芳樹
DH
DH
アルベルト
7
7
鳥海 新之助
中
捕
海藤 知也
8
8
常葉 命
左
遊
俵坂 悠介
9
9
双見 禅次
二
投
豪田 勝
P
P
御影 灯夜
投
放送席
倉田「昨日はホークスの完封勝利でしたが今日はどうなるか?」
川崎「個人的にはホークスに勝って欲しいですけど豪田と御影じゃ不利ですかね」
倉田「打撃陣の成績でもライオンズが上ですからね。昨年は柳生選手がタイトル獲ったくらいしか活躍してなかったんですけど」
川崎「たしかに昨年の野手陣の成績はいまいちで柳生がタイトル獲ったくらいしか私も覚えていませんね。そう言う意味じゃ今年は柳生以外も頑張っていますね」
倉田「試合前の解説はこれくらいにして試合に集中しましょう!」
川崎「話している間に試合が始まりましたからね(大丈夫かなこの娘?)」
1回表 ダイエー0−0西武 パワーピッチャー同士の投げ合いが始まった!
豪田「うぉ―――!」
カキ―――ン!
東雲「今日も良い感じだな」
倉田「いきなり2ベースヒット! 昨日勝ったホークスでしたが1球でピンチを迎えました!」
川崎「まだ1球ですから分かりませんよ(こりゃダメなときの豪田だな)」
豪田「うぉ―――!」
ズバ―――ン!
備前「………………」
倉田「続く備前選手はフォアボールでノーアウトランナー1、2塁となりました!」
川崎「まずいですね(このパターンはまずいぞ)」
豪田「うぉ―――!」
カキ―――ン!
草薙「くそっ! スタンドには届かなかったか!」
倉田「左中間を抜けて打った草薙選手はセカンドに止まります!」
川崎「東雲はホームに返りましたけど、備前はサードで止まってますね? タイミング的に走って返れると思ったんですが?」
倉田「備前選手もそんなに足は速くないですから無理しなかっただけじゃないんですか?」
川崎「そうなんですかね?」
柳生「うらっ!」
ガキッ!
豪田「やっと1つアウトか」
倉田「これは打ち上げましたが犠牲フライには十分ですね。備前選手が返って2対0となりました!」
川崎「ようやく1アウト取れましたか」
豪田「この調子で行くぞ!」
ガキッ!
浪川「どうも御堂相手じゃないせいかやる気が上がらん?」
倉田「ここまでストレートばかりでしたがようやく変化球を投げて打ち取りました。これで2アウトランナー2塁です!」
川崎「海藤のリードが結構怖いんですよね。大胆過ぎると言うかそれでも結果を出しているところがあるから使い続けているんですけど」
豪田「ふんっ!」
ガキッ!
岡崎「フォークか」
倉田「最後はフォークを引っかけてサードゴロに終わり3アウトチェンジです!」
川崎「ストレートが魅力な豪田なのに変化球でアウト稼ぐってのも変な感じですね?」
豪田「なんとか終わったな」
海藤「2点くらいならなんとかなりますよ」
豪田「昨日みたいに打ってくれればな」
海藤「大丈夫ですよ。みんな調子が良さそうだし……たぶんですけど」
御影「2点あれば十分だな」
備前「だと良いけどな」
御影「今日は本当に調子が良いですから完封狙いますよ!」
備前「そいつは結構だがくれぐれもコントロールには気を付けろよ!」
御影「うっす!」
備前(俺もリードに集中しないとな)
1回裏 ダイエー0−2西武 豪田の立ち上がりが悪く西武打線が2点を先制した!
御影「行くぜ!」
ズバ―――ン!
秋月「手が出ねえっ!?」
倉田「151キロのストレートを見逃し三振!」
川崎「今日の御影はコントロールが良さそうですね(と言ってもいきなりコントロールが乱れるのが御影でもあるんだが?)」
御影「ふっ!」
スト―――ン!
笹川「げっ!?」
倉田「コールはストライク! ギリギリ入ったフォークを見逃し三振で2アウトです!」
川崎「あのコースであの落差は手が出なくても仕方ないですよ」
御影(俺に取っては最後の年の予定だからな。今年は意地でも優勝するぞ!)
ズバ―――ン!
平井(今日の御影さんは凄まじいな。初回の2点は致命傷になるかも知れないぞ!?)
倉田「最後は152キロのストレートを空振り三振し3アウトチェンジです!」
川崎「三者三振! 文句なしの立ち上がりになりましたね!」
倉田「1回を終わって試合は2対0、西武ライオンズがリードしております!」
川崎「2点差ならまだ分からないですよ」
備前「今日は文句なしの絶好調だな」
御影「ええ。ノーヒットノーラン狙えるくらい調子が良いですよ!」
備前「ふむ。まあミット通りにボールが来たし今日の球なら完封狙えるかもな」
御影「狙います!」
青葉「今日の御影は調子が良さそうだな」
平井「と言うか文句なしの絶好調ですよ」
海藤「と言うわけでこれ以上の失点はまずいんで頼みますよ」
豪田「まあ頑張るがお前もちゃんとリードしてくれよ」
5回表 ダイエー0−10西武 あれから西武打線は凄まじくすでに勝敗は決定したかと言う試合内容で進んでいる!
倉田「ええ。すでに4回を終わって10対0と完全にライオンズ有利な試合になっております」
川崎「まだ分かりませんよ」
倉田「本当にそう思ってますか?」
川崎「すみません。もう結果は出ていると思います!」
倉田「ちなみにライオンズは先発全員安打も達成ととんでもない試合になりましたね」
川崎「ですよねー」
豪田「ふんっ!」
カキ―――ン!
草薙「今日は出番が良く来るなー」
倉田「またまた打ってこれでノーアウトランナー2塁となります!」
川崎「豪田が続投しているのはやはりスタミナ的に問題がないからなんですかね?」
倉田「私に聞かれても困りますけど」
川崎「ですよねー」
柳生「とおっ!」
カキ―――ン!
豪田「またしても」
倉田「これは綺麗に打って右中間を抜けてランナーは返ってこれで11点目です!」
川崎「5回で11点ってのも凄いですね。これじゃどれだけ点を取られるのかを考えるだけで怖くなって来ますよ」
豪田「くそっ!」
カキ―――ン!
浪川「とっとと御堂を出せ!」
倉田「これも抜けましたがランナーは返れずノーアウトランナー1、3塁となりました!」
川崎「今日の豪田は球速もいまいちだし代えても良いと思うんですけどね?」
豪田「まだだっ!」
ガキッ!
岡崎「打ち上げちまった!?」
倉田「140キロのストレートを打ち上げて1アウトランナー1、3塁となります!」
川崎「こうやって観るとこの岡崎以降でアウト稼いでますね」
豪田「うらっ!」
ガキッ!
鳥海「やっちまった!?」
倉田「スライダーを引っかけてダブルプレーに終わり3アウトチェンジですとたしかに岡崎選手以降でアウト稼ぎましたね!」
川崎「こうやって豪田を観てると代えるタイミングが難しいですね。他のピッチャーに代えられない理由はこれですかね?」
飯島「6回から俺ですか?」
堀内監督「うーん、代えるタイミングがどうもな。悪いがもう少し待ってくれ」
飯島「はあ(まあ敗戦処理しなくていいなら良いかって気もするし複雑だな)」
堀内監督「ちなみにお前の出番はないぞ!」
御堂「まあ、この展開では仕方ないですね」
御影「この回は1点か」
備前「さすがにこれで負けはないからな」
御影「ここまで来たら狙いますよ!」
備前「まあ時間がかかっているから気付いてないかも知れないがまだ5回だぞ!」
御影「そうでした」
備前(できれば達成させてやりたいけどな)
5回裏 ダイエー0−11西武 御影は現在ノーヒットノーラン中と色々な意味で正反対なチーム状況となっている!
御影「行くぜ!」
ズバ―――ン!
葛城「やっぱり今日の御影はとんでもないな!?」
倉田「今日の御影選手は凄いですね。ちなみにこれで9奪三振目です!」
川崎「まあ毎年200奪三振達成している怪物ですからね」
大友「ふっ!」
カキ―――ン!
御影「かつての後輩にも容赦なしですか」
倉田「ファーストの頭を越えて1アウトランナー1塁となりました!」
川崎「ヒット1つ出るのがめちゃくちゃ長く感じましたね」
御影「気を取り直してっと」
ガキッ!
アルベルト「速いスライダーですか?」
倉田「最後はカットボールを引っかけてダブルプレーに終わり3アウトチェンジです!」
川崎「初ヒットが一瞬でダブルプレーに終わった!?」
倉田「5回を終わり試合は11対0で圧倒的に西武ライオンズがリードしております!」
川崎「この圧倒的な大差をくつがえす事は難しいでしょうね」
御影「ノーヒットノーランが終わった!?」
備前「ま、終わるときはあっさり終わるからな。で責任回数投げ切ったし降板するか?」
御影「な、何言ってるんですか? 最後まで投げますよ!」
備前「そうか」
アルベルト「すみません。まさかこんな結果になるとは」
大友「正直4回で12点はきついが最後まで諦めずに行こうな!」
アルベルト「ハイ!」
9回表 ダイエー0−19西武 点差はさらに広がりもはや逆転は不可能なところまで来ていた!
倉田「もう結果は決まっていますが一応仕事なんで最後までやらせてもらいます。西武ライオンズが19対0で圧倒的リードな試合となっております!」
川崎「正直ですね。しかしここまでの大差ってのも珍しいですね。1試合による最高得点ってどのくらいなんですか?」
倉田「手元にデータがありますのであっさり説明させてもらいます。1940年に阪急が32対2と言う大差で勝ってますね。ちなみに負けたのは南海です!」
川崎「当時の先輩達も同じ想いをしていたわけですか」
倉田「ちなみにこの試合のチーム安打は27安打なんですがすでに日本タイ記録となっていますね!」
川崎「って事はここで1本出ると新記録ですか」
倉田「さっき言った阪急対南海の試合ともうひとつは1986年のロッテオリオンズ対南海ホークス戦ですね。ちなみに20対2で南海ホークスが負けております」
川崎「なんかホークスがさんざんですが、そう言えばそんな試合もあったかな?」
倉田「と言うわけでここでヒットが出れば日本新記録って事になります!」
川崎「打たれたらまたホークスの汚点が増えると言うわけですね」
飯島「行くぞ!」
スト―――ン!
備前「ちっ!」
倉田「スイングを止めたが審判はストライクをコール! 備前選手は空振り三振に終わり1アウトとなりました!」
川崎「良いボールを投げてるんですがこの飯島も7回から登板してすでに7失点もしてるんですよねー」
飯島「この調子で行く!」
ズバ―――ン!
草薙「やばっ手が出なかった!?」
倉田「ギリギリ外れてフォアボールです! 新記録は出ませんがランナーがファーストに出ました!」
川崎「飯島の欠点はコントロールの悪さですね」
倉田「7回にも四死球出しましたしね」
川崎「ボールの威力は大した物なんですけどね」
飯島「くそっ!」
ガキッ!
柳生「力み過ぎた!?」
倉田「柳生選手はストレートを打ち上げて2アウトランナー1塁となりました!」
川崎「このままタイ記録で終わりですかね?」
浪川「うらっ!」
カキ―――ン!
飯島「うっ!?」
倉田「とか言ってたら打ちました! 打球は左中間を抜けて打った浪川選手はセカンドに止まります! これで2アウトランナー2、3塁となりました!」
川崎「やっぱりこのままは終わりませんか、しかし打ったのは近年タイトル獲っている柳生ではなく浪川でしたか?」
倉田「まあ浪川選手は近年守備の人と言われてますからね」
川崎「たしかにエラーは少ないですけど、守備の人ってイメージは私にはないですね」
倉田「昨年も32本塁打と打ってますがタイトルはルーキーの頃から遠のいていると少し不運なイメージがありますね」
川崎「と言うより近年ルーキーがタイトル獲る事が多くなってる流れができているって感じですけどね」
岡崎「食らえ!」
カキ―――ン!
飯島「げっ!?」
倉田「また打った! 打球はフェンス直撃! ランナーは2人返って岡崎選手はセカンドに止まるランナー一掃のタイムリーツーベース! これで21点目です!」
川崎「これで1試合29安打の日本新記録達成ですか」
倉田「ちなみに毎回得点のおまけ付きでもあります」
川崎「本当だ!? ライオンズのスコアボードにはゼロがありませんね。逆にホークスはゼロだらけですけど…………」
鳥海「ふんっ!」
カキ―――ン!
俵坂「ふんっ!」
パシッ!
倉田「三遊間は抜けません! ここでルーキーの俵坂選手のファインプレーが出て3アウトチェンジです!」
川崎「30本目のヒットは許さないとナイスなルーキーですね」
倉田「なんか裏は放送するまでもない気もしますが最後まで放送させてもらいますねと言うわけで試合は9回裏に向かいます!」
川崎「そう言うセリフは止めてください(たしかに21点差なんて逆転できそうもないけど)」
飯島「完全に岡崎さんにやられた!?」
海藤「7回に3ラン打たれて9回にタイムリー打たれたからな。9失点中5失点は岡崎にやられたな」
飯島「3回で9失点も取られたんですか!?」
海藤「気付いてなかったのかよ!?」
飯島「今日はとっとと帰ってふて寝します!」
海藤「まあ別に止めねえけど(こりゃ俺もこいつも今日で二軍落ちかもな)」
岡崎「今日はこれで5打点目だな!」
鳥海「俺なんて今日はヒット性の当たりがほとんどアウトだぞ!?」
岡崎「それでもヒットは打ってるじゃないですか」
鳥海「打点はゼロだけどな」
9回裏 ダイエー0−21西武 西武ライオンズは毎回得点と29安打の日本新記録を達成したが御影の完封勝利もまだ残っている!
御影「なんかバッターばかり目立っているが俺の完封勝利もまだ残っているからな!」
ズバ―――ン!
秋月「これで4タコだな」
倉田「最後は149キロのストレートを空振り三振! これで17奪三振と日本記録タイまで後2個となりました!」
川崎「たしか日本記録って筧(元オリックス)の記録でしたっけ?」
倉田「1試合19奪三振が日本記録です。その試合では延長に入って最後にサヨナラ負けしていると勝利投手でもなく敗戦投手でもない筧選手が記録していますね!」
川崎「なんか中途半端ですね。まあ勝ち負けとは別の記録だしそう言う事もあるか」
御影「このまま一気に終わらせる!」
スト―――ン!
笹川「しまった!?」
倉田「三振の少ない笹川選手でしたが御影選手のフォークの前にあっさりと三振しこれで18個目となります!」
川崎「そう言えば筧もフォークピッチャーでしたしやっぱりフォークは奪三振率が高いですね」
倉田「さてと次のバッターは巧打と長打を併せ持つ若き怪物と呼ばれている平井選手です!」
川崎「若き怪物は初耳ですが昨年3割30本打ったバッターだしホークスではもっともやっかいなバッターの1人ですね(今日はノーヒットだけど)」
御影「こいつで完封勝利だ!」
カキ―――ン!
平井「届かないか」
倉田「フォークを完全にとらえたかと思いましたが福岡ドームはやはり広いのかセンターフライに終わり試合終了です!」
川崎「フォークのコースが良すぎましたね。まあそれでも三振せず当てるところはさすがは平井でしたが……
しかし終わって見れば記録尽くめな試合でしたね」
倉田「毎回得点に日本記録の29安打、残念ながら御影選手の奪三振は18個で終わりましたけど完封勝利ですし今日のヒーローは御影選手でしょうね!」
川崎「まあ色々な意味で凄い試合でしたね」
西武ライオンズ
中村監督「まあ凄まじすぎて何から誉めれば分からんがこれで首位復活だ。この調子で優勝目指して行くぞ!」
全員(首位か…………そう言えばそうだったな)
御影「………………」
中村監督「それで今日のヒーローはどうしたんだ?」
備前「後1個で日本記録タイの19奪三振と気付いてなかったらしく今落ち込んでいます」
中村監督「たしかに記録だらけの試合だったが……そう言えばこれと似た展開があったな。たしかあのときは17奪三振で最後に平井にサヨナラホームラン打たれて負けたな」
備前「ありましたね。あれでこっちは負けて平井は3割が確定した試合でしたね。まあリベンジできて良かったんじゃないか?」
御影「……一昨年の話をいまさら言われてもそれにあれはどちらかと言うと御堂の投手四冠が決まった試合でしょうが」
岡崎「今日は絶好調だったな。これだけ打てたのも久し振りだよ!」
鳥海「俺は会心の当たりがほとんどアウトだったけどな」
草薙「一応スタメンは全員安打を達成したんですけどね」
柳生「猛打賞も多いしな」
浪川「しかしホームラン打ったのは岡崎だけだ!」
東雲「それとスリーベース打ったのはゼロですしね」
常葉「まあ三塁打ってのは少ないですからね」
双見「ま、勝ったし打ったし守ったしで全部良かったんだから良いんじゃないか?」
全員「ははっ、そりゃそうだ!」
福岡ダイエーホークス
堀内監督「なんか一気に3連敗食らったみたいだ」
御堂「まだ1勝1敗ですから明日勝てば2勝1敗で3連戦で勝ち越しできますよ」
海藤「とんでもない試合になったな」
豪田&飯島「……………………」
大友「まあピッチャーには気の毒だったが明日は調子を取り戻して勝とうな!」
平井「はい!」
青葉「………………」
1
2
3
4
5
6
7
8
9
R
H
E
西武ライオンズ
2
4
2
2
1
1
6
1
2
21
29
0
福岡ダイエーホークス
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
2
1
勝利
御影灯夜
3勝2敗0セーブ
セーブ
敗戦
豪田勝
1勝2敗0セーブ
本塁打
岡崎芳樹1号
今日のヒーロー
御影灯夜 2安打完封勝利!
広島東洋カープ
福井監督「今日は中西だな。あっちの先発は藤咲らしい」
香住「重いボールVS軽いボールとある意味対照的ですね」
中西「今日も完封で行くぜ!」
吉田「相手は藤咲さんか」
高須「球種が多くて的がしぼりくいから堺のリードを読んで打つ方がお前には合っているんじゃないか?」
吉田「と言っても高校時代は地区が違うせいか対戦経験があんまりなくて印象に残ってないんですよね?」
高須「けどプロではそれなりにジャイアンツのピッチャーとも対戦しているだろう」
吉田「それが斎藤と伴さん以外印象が薄くて」
道仏「今日も打つ!」
常葉「俺も久々にタイトル獲らないとな」
読売ジャイアンツ
垣内監督「今日の相手はカープだ。あっちの先発は中西らしいな」
藤咲「3年連続2ケタ勝利のカープのエースですか」
橘「タイトルはまだないですが守部さんより上ですからね」
神代「どちらかと言えば衰えと成長が交差している感じだけどな」
嘉神「たしかに」
マヌエル「ちなみに今日は私がスタメンです!」
籾山「負けた」
槙原「いまさらだがな」
−1997年公式戦 広島市民球場−
遊
雨宮 渉
1
後攻
先攻
VS
1
橘 小雨
中
二
八雲 利
2
2
上条 響
二
中
常葉 新太郎
3
3
嘉神 高政
左
三
高須 光圀
4
4
神代 一歩
右
一
逆凪 鳴
5
5
槙原 凍牙
一
左
道仏 念字
6
6
堺 戒
捕
右
吉田 毅
7
7
マヌエル
三
捕
香住 祐真
8
8
野原 終
遊
投
中西 宏
9
9
藤咲 明
投
放送席
倉田「雨で試合開始時間が遅れましたが今日の広島東洋カープVS読売ジャイアンツの試合をお送りさせてもらいます。実況はこの私と解説は残念ながらホームではないので野村さんではなく太田茂(元広島)さんに来てもらっています!」
太田「残念で悪かったですね」
倉田「この太田さんは本塁打王を獲得した事もあるバッターでカープの副砲と呼ばれたバッターでもあります!」
太田「どうせ主砲と呼ばれる事はありませんでしたよ」
倉田「今日の先発は中西選手と藤咲選手です。2ケタ勝てるピッチャー同士の対戦と面白そうな組み合わせですね?」
太田「そうっすね。中西はすでに広島のエースと呼んでも良いでしょう。藤咲はエースではないですがそれでもエースクラスの力を持っていると楽しい試合になりそうですよ」
1回表 広島0−0巨人 今年も好調なエースの中西で試合は始まった!
橘「おりゃっ!」
カキ―――ン!
中西「げっ!?」
倉田「完全な失投ですね。いきなりホームランが出てジャイアンツが1点を先制しました!」
太田「中西の一発病が初回から出ましたか」
中西「くそっ!」
ガキッ!
上条「やっぱ速度差がきついな!?」
倉田「上条選手はチェンジアップを引っかけてピッチャーゴロに終わり1アウトです!」
太田「中西のチェンジアップは良いボールですけど、一発長打の危険性もあってちょっと怖いんですよねー」
中西「まだまだっ!」
ガキッ!
嘉神「ちょっと重いな」
倉田「ストレートを当ててセンター方向に飛びましたが飛距離は出ずセンターフライに終わり2アウトです!」
太田「やっぱり中西の魅力はストレートの重さですね」
中西「ふんっ!」
クルッ!
神代「くっ!?」
倉田「最後はチェンジアップにタイミングが合わず空振り三振で3アウトチェンジです!」
太田「やっぱりこの速度差はかなりの武器ですね」
倉田「いつの間にか太田さんの機嫌も良くなったか試合は1対0でジャイアンツが先制しました!」
太田「やりますねー」
香住「いきなりホームラン打たれたときは驚いたけどこの調子で頼むよ!」
中西「ええ。失投は極力減らします!」
吉田(もうしませんと言わないところに正直さを感じるな。考えて見れば俺に取って監督も中西さんも母校の先輩に当たるんだよな)
雨宮「相手は藤咲か」
八雲「ん?」
槙原「打てそうで打てないか」
神代「ええ。ホームランバッターとは相性が悪いですね」
嘉神「と言うわけで今日の上条さんの責任は重大ですよ!」
上条「勘弁しろよ」
3回裏 広島0−1巨人 ジャイアンツが1点を先制したまま試合は動かず3回裏に向かう!
香住「これだっ!」
カキ―――ン!
藤咲「おっと!?」
倉田「スライダーを綺麗に打った! センター前に抜けてノーアウトでランナーが出ます!」
太田「お見事! やっぱり香住はバッティングセンスありますね!」
堺(ここでお願いします!)
藤咲(こくっ!)
コツンッ!
中西「ほっ、助かった!」
倉田「バント失敗かと思いきや良いところにボールが飛んで1アウトランナー2塁となりました!」
太田「心臓に悪いバントでしたね。まあ結果オーライでしたけど」
堺(失敗したか、とにかくクリーンナップにまわす前に片付けましょう!)
藤咲(こくっ!)
カキ―――ン!
雨宮「おっし!」
倉田「スクリューを綺麗に打った! 打球は右中間を抜けて打った雨宮選手はセカンドに止まるタイムリーツーベースです!」
太田「ナイスバッティングですね! ここのところ好調で文句なしって感じですよ!」
藤咲(シュッ!)
ガキッ!
八雲「まあいいか」
倉田「八雲選手はファーストゴロに終わり2アウトですが結果的にランナーは進んで2アウトランナー3塁となりました!」
太田「逆転のところで常葉と良い場面ですね!」
藤咲(シュッ!)
ガキッ!
常葉「SFFか」
倉田「速く落ちる変化球スプリットを引っかけてファーストゴロに終わり3アウトチェンジです!」
太田「逆転とは行きませんでしたがここで同点に追い着きましたね!」
倉田「3回を終わって試合は同点と振り出しに戻りました!」
太田「試合の行方はまだまだ分かりませんね?」
堺「すみません」
藤咲「仕方ない。あのコースを打たれたら相手を誉めるしかないさ」
堺「それもそうですね。おっし次からはきちっと抑えて行くぞ!」
藤咲「立ち直りの早い奴(これが最近の若い奴と言う物なのか?)」
常葉「くそっ! せっかくの逆転の場面だったのに」
高須「まだチャンスは来ますよ。次に打てば良いじゃないですか?」
常葉「そりゃまあそうなんだけどな」
4回表 広島1−1巨人 試合は再び同点に戻り4回に入る!
中西「失点はまずいな。失投に気を付けてと」
ガキッ!
嘉神「今日は良いところなしだな」
倉田「152キロのストレートを打ち上げてセンターフライに終わり1アウトです!」
太田「チェンジアップからこのストレートはやはり打ちにくいんでしょうね」
中西(次も同じ配球か)
カキ―――ン!
神代「さっきの借りは返せたかな?」
倉田「1打席目には三振した神代選手でしたが今度はストレートを打ってセカンドまで走ります!」
太田「150キロのストレートを引っ張るところは球界の4番って感じですね」
中西「さすがは神代さんか」
ククッ!
槙原「………………」
倉田「Hスライダーも外れてフォアボール! これで1アウトランナー1、2塁となりました!」
太田「クイックは下手ですが打たれ強い奴なんでまだ大丈夫だとは思いますがちょっとコントロールが悪くなって来たところに不安がありますね」
中西「ルーキーには負けん!」
カキ―――ン!
堺「ふっ!」
倉田「左中間を抜けた! チェンジアップを完全に狙って打った堺選手はセカンドに止まります! これで1アウトランナー2、3塁となりました!」
太田「ランナーは返って再びジャイアンツが1点リードって事ですね。しかもピンチは続いているし」
中西「また打たれた」
堺「落ち込んでる暇はないよ。ここから下位打線とは言え一発長打のマヌエルさんもいるし注意しないとね」
中西「分かっています!」
クルッ!
マヌエル「完全なワタシの敗北です」
倉田「最後はチェンジアップを空振り三振しこれで2アウトランナー2、3塁となります!」
太田「次はそれなりの野原ですか」
中西「後1人だな」
ガキッ!
野原「終わったか」
倉田「最後は高速スライダーを引っかけてサードゴロに終わり3アウトチェンジです!」
太田「ふう、最後は下位打線で助かったって感じでしたが良く1失点ですみましたね」
倉田「裏で同点に追い着いたカープでしたが表で再びジャイアンツが1点追加で逆転となりました。試合はこのまま終わるのでしょうか?」
太田「まだ1点差ですから試合の結果は分かりませんよ?」
中西「また負けた」
香住「まあまあ1点差ならまだまだチャンスはあるよ」
中西「そうでしょうがルーキーに打たれるとショックは大きいですよ」
香住「相手はルーキーながら3割打っているしピークはまだだろうけどそれでも注意するバッターの1人だよ」
中西「それはまあそうなんでしょうか」
堺「カメラに向かってピースしたし今日のビデオは永久保存版だな!」
マヌエル「こうですか?」
堺「そうそう!」
野原(ボケが2人で収拾がつかんな)
7回裏 広島1−5巨人 堺のタイムリーからさらにジャイアンツは点を取り4点差となった!
倉田「7回表にルーキー堺選手のホームランが出て試合は4点差となりました!」
太田「後3回で4点差は厳しいですが不可能ではありませんね。吉田からなんで
期待はできるようなできないような?」
倉田「吉田選手はルーキーながらスタメンを獲得し現在3割を維持している巧打者です!」
太田「知っています。将来性は文句なしなんですがまだ1年目だから評価が難しいんですよ!」
吉田「ここから変化する!」
カキ―――ン!
藤咲「………………」
倉田「とか言ってたらシュートをスタンドまで運びカープが1点返しました!」
太田「やりますねー」
倉田「ちなみにこの吉田選手は対左では打率4割に近い数字を出しています!」
太田「へえ。そいつは初耳ですね。藤咲も左だし相性が良いんですかね?」
堺(キレが少し落ちているか、けどまだ力はあるしこの回までは投げてもらおう!)
藤咲(コースが少しあまかったな。もっと集中して投げよう!)
カキ―――ン!
香住「なんとか当たった」
倉田「スクリューを打った! 一二塁間を抜けて打った香住選手はファーストに止まりこれでノーアウトランナー1塁となりました!」
太田「ここは代打でしょうね……やっぱり代打で嵯峨ですか?」
藤咲(まだだっ!)
ククッ!
嵯峨「後輩が活躍しているのに俺は良いところなしかよ!?」
倉田「最後はスクリューを空振り三振と良いところなしで終わりましたね!」
太田「併殺嫌っての起用なんでしょうね。当てて併殺するくらいなら三振して来いってとこですよ!」
雨宮「とおっ!」
カキ―――ン!
倉田「また打った! これで1アウトランナー1、2塁となりました!」
太田「今日の雨宮は良いですね」
堺(ここは素直にバントさせましょう!)
藤咲(こくっ!)
コツンッ!
八雲「成功したけど次は常葉か」
倉田「送りバント成功で次は常葉選手ですが今日は完全なノーヒットと大丈夫なんでしょうか?」
太田「2アウトですし歩かせて次で勝負って手もあるんですが満塁で高須を相手にするピッチャーはまずいないしここは絶対に勝負の場面ですから不調の常葉にもチャンスはあると思います!」
藤咲(シュッ!)
ズバ―――ン!
常葉「………………」
倉田「ここでフォアボールが出ました! 次は満塁やサヨナラに強い事で有名な高須選手です!」
太田「そしてチャンスにも滅法強いんですよ。この場面ならあいつは打つ!」
堺(うーむ。高須さんには全打席フォアボールだからな。藤咲さんに取っては最悪の相性とも言えるしここはこれで行こう!)
藤咲(ここは勝負だ!)
堺(それはそうですけど、やっぱりストライクゾーンは怖いしギリギリ狙って行きましょうよ。次の逆凪さんは今日完全に抑えてますし)
藤咲(行かせてくれ!)
堺(ピッチャーのモチベーションをわざわざ下げる必要はないな。ここは勝負で行きましょう!)
藤咲(こいつで決める!)
スト―――ン!
高須「っ!?」
倉田「最後はスプリットで決めた! いえ決めてません。失礼しました最後は外れてフォアボールで押し出しです!」
太田「私も入ったと思いましたが……審判の判断ですから仕方ないですね」
倉田「ここは当然抗議しますが当然のごとく判定はくつがえりません」
太田「選球眼のある高須が見逃したからと言う先入観もありますからね。なにせ高須の動体視力は並外れていますから!」
逆凪「だあっ!」
カキ―――ン!
藤咲「っ!?」
倉田「ここで逆凪選手が打った! 142キロのストレートを打ってセカンドまで走りランナーは2人返って逆転しました!」
太田「カープ打線はやっぱり球界ナンバーワンですよ!」
倉田「2アウトランナー2、3塁とまだまだピンチは続きます。しかしピッチャーの交代はなく藤咲選手がまだ投げるようですね!」
太田「下手に中継ぎに任せるよりまだ藤咲の方がマシと言う事でしょうね」
藤咲(今度こそ終わらせる!)
ククッ!
道仏「シュートっ!?」
倉田「最後はシュートを空振り三振で3アウトチェンジです!」
太田「スクリュー狙いを見破れての空振り三振と若いキャッチャーにやられましたね」
倉田「7回を終わって試合は6対5とカープ逆転に成功しました!」
太田「やはりカープの打撃力は凄いですね」
藤咲「悪かった」
堺「いえ。高須さんの後に俺がマウンドに行くべきでした。あれは俺のミスです!」
藤咲「妙なところと言うのも変だが真面目なとこもあるな」
堺「そりゃまあそうですよ。ピッチャーのモチベーションを上げるのが俺の仕事ですから!」
藤咲「ベテランならあそこで立て直すのが普通なんだがあの高須相手だとそうも言えないからな」
堺「たしかにうちの嘉神さんや神代さん相手にしているのと変わりませんからね」
藤咲「良いリードだったよ。俺はもう今日は投げないだろうから後は頼む!」
堺「うっす! 最後まで諦めません!」
藤咲(ベテランには悪いが若手が台頭するのも悪くないかもな)
逆凪「久し振りに打てた気がするよ」
高須「ナイスバッティングです!」
逆凪「おう!
お前も……えっと」
高須「まあノーヒットですからね」
9回表 広島6−5巨人 逆転に成功したカープがリードしたまま試合は9回へ向かう!
倉田「ジャイアンツ優勢で始まった試合でしたがついにカープが逆転に成功し試合は9回に入りました!」
太田「と言っても1点差ですからまだ分かりませんよ」
倉田「ここで投げるのは8回からマウンドに行った西條選手です!」
太田「まだ3年目と若手ですが防御率は抜群ですから崩すのは難しいでしょうね」
西條「いきなり嘉神からか」
ガキッ!
嘉神「相変わらず切れ味抜群だな」
倉田「スライダーになんとかバットを当てますが結果はセカンドゴロに終わり1アウトです!」
太田「西條の変化球を1打席で打つのはやはり難しいんでしょうね!」
西條「次は4番の神代さんか」
ズバ―――ン!
神代「むっ!?」
倉田「最後は149キロのストレートを空振り三振し2アウトになりました!」
太田「変化球投手の西條ですがストレートも速いですからタイミングを合わせるのも難しそうですね」
西條「後1人と!」
ガキッ!
槙原「負けたか」
倉田「最後はライトフライに終わり試合終了です!」
太田「最後は3人でピシャリと抑えましたね!」
倉田「結局7回で試合の結果は出たと言う事ですね。今日のヒーローはやはり7回で逆転タイムリーを打った逆凪選手です!」
太田「今は不調の逆凪ですがこれから調子を取り戻して欲しいですね」
広島東洋カープ
福井監督「先発した中西には悪いが良い試合だったな」
逆凪「逆転に次ぐ逆転って感じでしたね」
嵯峨「お前はホームラン打てて良かったよな」
吉田「嵯峨さんだってまだチャンスはありますよ」
嵯峨「高須は今日ノーヒットとは言え全打席フォアボールだぞ! 逆凪さんは活躍したしスタメンがまた遠くなるぜ!?」
高須「とは言っても俺は最後藤咲さんに完全に抑えられたしな」
嵯峨「記録じゃフォアボールだろうが!」
高須「それはまあそうだが」
中西「俺も5失点したからな」
西條「次に頑張れば良いだろう!」
八雲「そう言えば雨宮って藤咲と何か因縁でもあるのか?」
雨宮「別にないですけど?」
八雲(じゃあ1回表が終わったときのあれはなんだったんだ?)
雨宮(歳は離れているが同期だからな。モチベーションもちょっとは上がるな!)
読売ジャイアンツ
垣内監督「藤咲が負けるとは」
藤咲「まあ今年は例年と比べて防御率が落ちていますからね」
堺「ま、高須さんの打席が勝負を決めたって事じゃないですか?」
垣内監督「あそこで三振ならたしかに勝てたかもな。ま、たられば言っても仕方ない。次に勝てば良しだ!」
橘「ホームランも打てたし俺や堺には良い試合だったのかね」
嘉神(ま、打てなかった物は仕方ない。こう言う日もあるさ)
神代(この雨じゃ明日はどうなるかな?)
1
2
3
4
5
6
7
8
9
R
H
E
読売ジャイアンツ
1
0
0
1
2
0
1
0
0
5
7
0
広島東洋カープ
0
0
1
0
0
0
5
0
×
6
7
2
勝利
西條右近
2勝0敗3セーブ
セーブ
敗戦
藤咲明
2勝2敗0セーブ
本塁打
橘小雨5号 堺戒2号
吉田毅3号
今日のヒーロー
逆凪鳴 7回裏の逆転打!
巨人寮 斎藤の部屋
堺「と言うわけでカープに負けたわけだが」
斎藤「………………」
堺「どうした?」
斎藤「いやもう諦めているから(
いつか必ず一人暮らししてやる!)」
堺「しかしまだ5月も半ばだがライオンズとホークスの試合が一番印象に残っているな」
斎藤「1試合安打の日本記録の試合か」
堺「うむ。今年優勝するのはライオンズかもな」
斎藤「まあ2年連続で優勝を逃しているとは言えそれ以前は優勝ばっかりだったから可能性は高いかもな」
堺「ちなみに全盛期のメンバーの大半(と言うのも大げさか)がホークスに行ったんだがあっちではあんまり活躍していないとホークスには何かあるのか?」
斎藤「失礼な事言うなよ。活躍している選手だっているしそれにどちらかと言うと年齢の問題だろう」
堺「ふむ。まあそれはどうでも良いんだが」
斎藤「どうでも良いんかい!」
堺「今までの事はこれからする真剣な話の前振りだ!」
斎藤(それに真面目に答えた俺って奴はっ!?)
堺「俺が心配してるのはお前の事だ!」
斎藤「は?」
堺「つまりだな。現在6連勝しているチームのエースだが上手く行きすぎていると思うんだ!」
斎藤「まあ勝ちに恵まれている感はあるかな」
堺「現在防御率も2点台と言うか2位だし奪三振は石崎(阪神)との差はわずかだがそれでも1位とルーキーながら大活躍していると言っても良いだろう!」
斎藤「まあな。それで何が言いたいんだ?」
堺「うむ。ここからが本題なんだが
お願い! ルーキーでタイトル獲るコツあるんなら教えてください!」
斎藤「真面目に聞いてここまで損した気分になるのは久し振りだよ!?」
と言う訳で斎藤達は相変わらずな日常を送っている。5月前半にはライオンズの記録などが出たがしかし5月の試合はまだあると後半にも何かの記録が出るのかも知れない?