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斎藤「俺が月間MVPか」
球星「賞金も入ったし何か買ったらどうだ?」
球星「4月のときにも思ったがつくづく野球だけなんだな」
球星「うーむ……返す言葉がないな」
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滝沢「はい。どうぞ!」
光宗「よっ!」
滝沢「光宗さんっ!?」
光宗「そんなに意外だったか?」
滝沢「それはまあ……そもそも光宗さんは寮暮らしじゃないですし」
光宗「ははっ、そうだな。まあここに来たのはお前に頼みがあってな」
滝沢「俺に頼みですか?」
光宗「ああ。正直1年目のルーキーに頼む事になるとは思わなかったんだがお前にあいつの事を頼みたい!」
滝沢「あいつ? …………ってあの人の事ですか!?」
光宗「ああ! あのとき追って行ったのはお前だけだしあの後に何か話したんだろう!」
滝沢「話したと言っても大した話はしてませんよ。あれからも挨拶ぐらいはしましたけど」
光宗「ま、相手に会話の意志がなければ話は続かないからな」
光宗「そこは気にしなくていい。むしろ気にするのはここからだ!」
滝沢「と言うと?」
光宗「あいつを立ち直らせて欲しい!」
滝沢「ちょっと待って下さい。俺はまだルーキーですよ。メジャーでもトップクラスのピッチャーの人を相手に……」
光宗「そこは問題ないと思っている!」
滝沢「えっ!?」
光宗「むしろルーキーのお前だからこそあいつの本音を引き出せるんじゃないかと思っている!」
滝沢「本音ですか?」
光宗「そうだ。あいつ自身気付いていない振りをしているだけなんだと俺は思っている!」
滝沢「気付いてない振り? 正直、俺には光宗さんが何を言ってるか分かりません? だからこそなんで光宗さん自身が説得しないのか疑問に思うんですが?」
光宗「そうだろうな。ただ、説得するにしても向き不向きがある……いや厳密に言えば説得ではなくあいつに気が付かせる役が必要なんだ。それにはアドバイスする人間より普通に接する友人の方が良いのさ!」
滝沢「はあ? つまり普通にチームメイトとして接すれば良いって事ですか?」
光宗「ああ。できる限り本音で接してやってくれ!」
滝沢「……分かりました!」
光宗「そうか……あいつは二軍グラウンドにいるから今から行ってくれ!」
光宗「うむ!」
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ライアン「………………」
滝沢「ピッチング練習かと思えば走り込みとは意外だな」
滝沢「ちょっとな。そう言えばお前は二軍に落ちたんだったな?」
滝沢「………………と言うわけだ」
滝沢「……そうか」
滝沢「お、おう!」
ライアン「滝沢か?」
滝沢「はい。えっと
ライアン「さてな。6月になれば登板させると言われているがそれだけだ」
滝沢「そうですか、それまでにライアンさんの練習に付き合って良いですか?」
ライアン「バッターのオマエがピッチャーのオレに付き合う必要はないだろう!」
ライアン「フン! マイナーレベルのルーキーがこのオレに挑むのは100年早いと言いたいところだが上を目指すと言う理由なら悪くない。勝負はゴメンだが見学程度なら許してやろう!」
滝沢「ありがとうございます!」
ライアン(妙なヤツだ? さてオレがコイツくらいの頃はどうだったか? 少なくともこんな素直な性格ではなかったな)
滝沢「じゃあピッチング練習に行きましょう!」
ライアン「ああ(ふう、正直ピッチングする気はなかったんだがどうもコイツにはペースを狂わせられる。それがイヤと言うほどでもないとコイツはアレか得するタイプと言うヤツか?)」
ライアン「当たり前だ! 1年目はMVPを獲ってチームを日本一にさせた! 2年目も満足に投げれさえすればチームを優勝に導いてやれた!」
滝沢「無理ですよ!」
ライアン「なんだとっ!」
滝沢「貴方だって分かってるはずだ! 野球は1人ではできないんです!」
ライアン「俺は1人でも投げれるし結果も出した!」
滝沢「ですが向こうでも同じでしたか?」
ライアン「………………」
滝沢「まあルーキーの俺が世界でもトップクラスの選手に言える事ではないんでしょうが……」
ライアン「……オレはメジャーでもトップクラスのピッチャーだったが優勝を経験した事はない」
滝沢「えっ?」
ライアン「チームで優勝を経験したのは
滝沢「嬉しくなかったんですか?」
ライアン「ゲーム差があったせいか感動なんて物はなかったな。
ライアン「
滝沢「もう一度優勝……いいえ日本一目指して頑張りましょう!」
ライアン「滝沢?」
滝沢「俺も頑張りますから」
ライアン「オマエ、オレが言った事を聞いていたか優勝と言うか日本一を経験したが特に何もなかったと言ったんだ!」
滝沢「だからもう一度です!」
ライアン「……フン! 可笑しなヤツだ!(だがまあ今年で最後になるのならコイツに付き合って見てもいいか)」
滝沢(とりあえず光宗さんの望みは果たせたのかな?)
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ライアン(コクッ!)
滝沢「今日の相手は石崎か、サウスポー同士の対戦とファンは喜んでいるんでしょうね」
光宗「セリーグ最速ピッチャーはどっちかと言ったところか」
姫川「ま、石崎もすごいですけどライアンのストレートには敵いませんよ」
朝霧「まあ石崎もそれなりに失点しているからな」
光宗「………………」
ライアン(今年で最後になるのなら後悔しないよう投げるだけだ!)
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ブライアン「まあオレがホームラン打てば1対0で勝てるさ!」
咲良「と言うかスワローズにはライアンさんが加わって3人の先発が左ですね」
天道「まあスタメンでサウスポーが苦手な奴もいないし大丈夫だろう」
藤原「しかし相手はあのライアンさんだからな」
天道(相手が相手だけにやっぱりみんな緊張しているな)
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倉田「今日の試合は長い間待ちわびていたあの人の先発で始まります!」
倉田「ちなみにスワローズファンからはブーイングのない代わりに声援もないと言った静かな感じがなんとも不気味ですね」
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ライアン(オレが緊張しているのか? しかしコレが最後のマウンドになるのなら行くところだけ行くだけだ!)
倉田「まずは158キロのストレートで見逃し三振に終わり1アウトです!」
倉田「ちなみにライアン選手のMAXは160キロですが、昨年は158キロが最高でしたね」
ライアン(この国の言葉で一球入魂だったか、今日はこれで行こう!)
倉田「159キロのストレートを空振り三振しこれで2アウトとなりました!」
光宗(こいつで決めるぞ!)
ライアン(コクッ!)
倉田「最後は143キロのカーブを空振り三振し3アウトチェンジです!」
ライアン「………………」
光宗(期待していたが本当にやってくれるとはな)
滝沢「別に大した事を言った覚えはないぞ?」
滝沢「ま、別に良いじゃないか」
姫川(なるほどな)
ブライアン「決め球がまさかのカーブか?」
ブライアン「投げられない環境がアイツを変えたのかね?」
天道「しかし比較的球種は読みやすいと言う欠点がなくなったのはきついですね」
ブライアン「チーム的にはな。個人的にはニューライアンを歓迎するぜ!
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倉田「151キロのストレートでしたがストライクは入らずフォアボールでランナーが出ます!」
石崎「それじゃ行くぜ!」
倉田「153キロのストレートを空振り三振で1アウトです! ちなみにランナーはセカンドに進んでいます!」
石崎「次はチャンスに強い事で有名な土丸屋さんか」
倉田「フォークでしたが審判はストライクをコールし土丸屋選手は見逃し三振と言う結果に終わりました!」
倉田「ここでルーキー対決と初回から盛り上がりますね!」
石崎「次は滝沢か、こいつとの対戦も楽しめそうだ!」
滝沢「特に左が苦手と言うわけでもないんだけどな」
倉田「最後は154キロのストレートを空振り三振で3アウトチェンジです! 結果は木村さんの想像通りあっさり抑えられて終わりましたね!」
倉田「そうですね。1回を終わってサウスポー対決は150キロを連発して抑えると凄い試合になりそうです!」
石崎「ご希望通りランナー無視して抑えました!」
石崎「この試合は1点勝負ですからね」
石崎「うっす!」
姫川「相変わらず石崎とは相性が悪いな」
姫川「右でも斎藤と相性が悪いしそこは関係ないだろう!」
姫川「ルーキーの中で一番活躍しているバッターはお前なのにこのままじゃ新人王逃しちまうぞ!」
滝沢「新人王ですか?」
姫川「欲しくはないのか?」
滝沢「いえ。欲しいですよ。ただ今はそれより大事な物がありますから!」
姫川「なんだ?」
滝沢「優勝に日本一です!」
滝沢(それに今日の試合はライアンさんの復帰戦だ。何がなんでも勝つぞ!)
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倉田「木村さんの予想通りに試合は投手戦となっております!」
倉田「1点が出ればサヨナラと言うプレッシャーで投げるわけですからね」
倉田「ふむ……あっ! 松田監督がマウンドに向かいます!」
ライアン(交代か……勝ち負けも付かない結果とは納得行かないがオレも打てなかったわけだし……仕方ないのか)
ライアン「?」
ライアン「良いのか?」
ライアン「安心しろ。最悪でも引き分けで終わらす!」
倉田「続投するライアン選手ですがその期待に応える159キロのストレートで空振り三振に抑えます!」
ライアン(次は当てるのが上手い奴か)
倉田「155キロのストレートに当てましたが結果はピッチャーフライに終わり2アウトです!」
ライアン(怖いバッターが少ないのが不幸中の幸いだったか?)
倉田「SFFに当てましたがファーストゴロに終わり3アウトチェンジです!」
倉田「しかし試合は0点のままと9回裏で試合は決まるのでしょうか?」
光宗「何がなんでも勝ちたいと言うピッチングだったな」
ライアン「悪いか?」
光宗「良い傾向だと思う!」
ライアン「ん?」
光宗「お前はこれまで全力を出さずに勝ち続けて来たからな。常に全力を出せば打てるバッターなんていないだろう!」
ライアン「簡単に言ってくれる。だが得点がなきゃ永遠に勝てん!」
光宗「ああ。それは俺達の仕事だ!」
ライアン(全力を出さずに勝ち続けて来たか……たしかに本気で投げた事はなかったかもな)
天道「前と違って変化球を多投していると言うか光宗さんのリードがプラスされて打ちにくくなっているな」
天道「こうなるとチェンジアップ狙いが一番かもな」
天道「となるとカーブですか、あのカーブも変化もですが球速も出てるから打ちにくいんですよね。と言うわけでブライアンさんに任せます!」
天道「今日のライアンさん相手だと自信はありません!」
ブライアン「……まあオレも打つつもりではあるんだけどな」
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倉田「もしかしたら入るかと思いましたがスタンドまでは届かずセンターフライに終わり1アウトです!」
倉田「最後は140キロのフォークを空振り三振し2アウトです!」
光宗「援護したくてもこのボールの前じゃ素直に力負けするな」
倉田「150キロのストレートを打ち上げて3アウトチェンジです!」
倉田「石崎選手も凄まじいピッチングを見せると9回でも決着はつきませんでした!」
石崎「まあ得点ゼロじゃ勝てませんからね」
石崎「うっす!」
光宗「スタミナが落ちれば球威も落ちるだろう。そうなれば連打も可能なんだろうが」
姫川「石崎もスタミナに定評がありますがプロでは初の延長戦になりますからね」
滝沢「高校時代は1年の頃から1人で投げ続けて来たと回復力とスタミナは凄いんだと思いますけど?」
光宗「プロだと未知数と言う事か?」
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倉田「試合はついに15回に突入しました。知っての通り点差は0対0のままです。ちなみに両チーム先発が14回まで完投と古き良き時代と言った試合ですね!」
倉田「昔は何百球も投げ込むと科学的と言うよりは根性論の世界でしたからね」
倉田「おっと、話の流れを戻しまして既に200球を越えていると、とんでもない球数になっていますが両ピッチャーのボールは衰えを見せないと、とんでもない試合になっております!」
光宗「この回で終わりだ。裏でなんとしてもサヨナラにして見せる!」
ライアン「ああ。期待してるぜ!」
光宗「っ!?(弱音なのか、それとも……?)」
ライアン「今日は絶対に点をやらねえ!」
倉田「160キロのストレートを打ち上げてセンターフライに終わり1アウトです!」
ライアン「残りにも容赦しない!」
倉田「160キロのストレートを見逃し三振と手が出ませんでした!?」
ライアン「こいつで終わりだ!」
倉田「最後も160キロで決めた! 決め球はすべて160キロのストレートでした!?」
倉田「これでヤクルトスワローズの負けはなくなったわけですが、ライアン選手の15回1安打1四球無失点の記録は凄過ぎですね!?」
倉田「パリーグの延長は12回までですから15回を1人と言うのはありえませんね」
光宗「良く投げた! 今日のピッチングは日本に来てからは最高のデキだったぞ!」
ライアン「勝てなければ意味はないがな」
光宗「そうだな。裏の攻撃に期待してくれ!」
ライアン(やる事はすべてやった? いや、裏ではオレに打席がまわる可能性もある!)
石崎「まあ、打てなかったのは俺も同じですからね
天道(石崎の強さの秘密はこの精神力だな。ただでさえ能力が高いのに精神力も強いからこの成績と言う事か)
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倉田「先ほども言いましたが、ヤクルトスワローズの負けはもうありません。そして石崎選手もこの回を無失点に抑えれば引き分けに終わるわけですが」
倉田「入った! 150キロのストレートをレフトスタンドに運ぶサヨナラホームランとなりました!」
倉田「今日ノーヒットだった滝沢選手でしたが最後の最後で打ちました! ヤクルトスワローズのサヨナラ勝ちでライアン選手、今シーズン初勝利となりました!」
倉田「今日のヒーローはサヨナラホームランを打った滝沢選手と15回を完封したライアン選手です!」
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滝沢「まあ、石崎個人に勝てたとは思えませんが、チームは勝てたしライアンさんに初勝利ができたと思い出に残った試合でしたね!」
ライアン「オマエに取ってもプロ初のサヨナラホームランだろう。そっちで喜ぶんだな!」
ライアン「フン! だがまあ勝てたのはオマエのおかげだ。礼は言っておく!」
姫川「お前のサヨナラホームランにも驚いたが
滝沢「うーん、そうですね。正直に自分の言いたい事を言っただけってとこですか!」
姫川「ルーキーがメジャーリーガーに意見か、大したルーキーだよお前は! 新人王獲れよ!」
滝沢「ありがとうございます!」
姫川(礼を言うのはこっちの方なんだがな)
光宗(うむ! 俺の目に狂いなし! ライアンの復活でここから更に差を付けての優勝だな!)
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石崎(こんな弱気じゃ斎藤や風祭には勝てないからな
天道「ルーキーにああ言われたら俺達も頑張らないわけには行かないな!」
咲良「はい!」
ブライアン「うむ!」
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堺「6月に入って2敗目と石崎は6月に入って調子を落としたか?」
斎藤「いや15回を1失点と防御率は良くなってるから単純にそうだとも言えないんじゃないか?」
マヌエル「言うならばマンガキャラですね!」
斎藤「そうですね」
堺「ええ。ところでお前の次の登板っていつだっけ?」
斎藤「6月15日のカープ戦だけど?」
マヌエル「ワタシ達も負けていられませんね!」
沢村(いまさらだな)
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垣内監督「負け越しは確定だが最後に1勝をして3連敗だけは防いで欲しい!」
マヌエル「それで斎藤の登板ですね」
垣内監督「いやマヌエルの言う通り今日は負けられない試合だからな
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福井監督「今日も勝って3連勝と行くぞ! 特にスワローズに追い着かなくちゃならないからな!」
福井監督「今年はなかなか勝ち負けが付かないしこの流れで勝ちを呼び込むんだな!」
香住「ごめんね。僕がもう少しリードできれば勝ちが付いたんだと思うんだけど」
中西「悪かった。言い過ぎたよ。それに後輩ならそこにもいるけどな!」
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倉田「今日は読売ジャイアンツVS広島東洋カープの試合をお伝えします。ホームと言う事で解説はお馴染みの野村さんです!」
倉田「今日の見どころは現在無敗の8連勝中の斎藤選手が先発と言うところでしょうか?」
まあいいや、エースと呼ぶのは早いかも知れませんが既にジャイアンツの投手陣の中では一番頼りになる男とも言われてますからね。個人的にはルーキー同士の対決が楽しみですね」
倉田「そうでした。現在ルーキーながら3割打っている吉田選手とは同校出身でバッテリーを組んでいたと、かつての仲間同士が戦うことになるとこれがプロ野球と言った感じです!」
野村「そうですね。中西も今年はいまいち調子が上がらないので今日の試合でエースとしての調子を取り戻して欲しいですね!」
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斎藤「1回は三者凡退に抑えれたけど、問題はここからだな!」
倉田「まずは1ストライク! しかし135キロといつもと比べて落ちていますね?」
野村「初回も球速は出てなかったですね。心なしかコントロールも安定していないような?」
倉田「さすがは高須選手と言ったところでしょうか、あっさりとレフトスタンドに運んで広島東洋カープが1点を先制します!」
野村「136キロとコースもあまかったですね。やはり調子が悪いみたいですね」
堺「やっぱり今日のお前の調子じゃ厳しいな」
斎藤「まあ1回を三者凡退に抑えれたのも幸運だったって感じだな」
斎藤「待ってくれ! 一度先発で出た以上俺に責任がある。それに監督は3連敗だけはと言う事で俺を登板させてくれた。チームに迷惑かけるかも知れないがもうダメだと思ったら自分で降りるそれまで頼む!」
堺「やれやれ仕方ないな。ただし俺が無理だと思ったら降りてもらう。それが条件だ!」
斎藤「ああ!」
倉田「フォークを打ち損じてピッチャーゴロに終わり1アウトです!」
野村「変化より遅くて対応できなかったと運に助けられている感じですね」
斎藤「サインは?」
堺(こいつで行くぞ!)
斎藤(コクッ!)
倉田「137キロのストレートをとらえたかと思いましたがライトの神代選手が捕って2アウトです!」
野村「球威に押されて伸びなかったように観えましたね」
倉田「吉田選手は現在3割3分の高打率を打っています。斎藤選手はルーキーながら防御率2位と、注目する対決となります!」
野村「吉田は規定打席に到達していないと言え大した成績ですね。斎藤の方は奪三振トップと言った方が盛り上がる気がしますけど?」
吉田「今日の斎藤は調子が悪そうだな。しかし今の俺はカープの選手だ。この隙を見逃さず打つ!」
倉田「良い当たりでしたが斎藤選手がジャンピングキャッチ! これで3アウトチェンジです!」
野村「ボールにキレはなくともなんとかなるもんですね。こうやって観ると斎藤は守備も上手いんですよね!」
倉田「正直、ホームランを打たれた後はどうなるかと思いましたが斎藤選手、なんとか1失点でこの回を抑えました!」
野村「ふう、正直、5回まで持つか心配な内容でしたね!」
堺「こんなんでも抑えられるもんだな?」
堺「仕方ないだろう。本音で言えばとっとと中継ぎに代わって欲しいんだからな」
堺「そのくらい今日のお前は悪いんだよ。完投できたとしてもかなり失点するとバッターに助けられる内容になるぞ!」
堺「ただまあ監督が続投させているところからもかなりお前に期待している物はあるな」
堺「不敗神話だろうな」
堺「ま、歴史上に2人存在いるし可能性はあるんじゃないか?」
香住「見た感じ球威はあると思うけど?」
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中西「ぬっ!?」
神代「打ちたかったが仕方ないか」
倉田「ストレートが外れてフォアボール! これでノーアウトランナー1塁となります!」
野村「調子は良さそうなんですがコントロールは安定していないと、まあいつも通りの中西と言った感じですかね?」
槙原「うむ!」
倉田「槙原選手に打たれてこれでノーアウトランナー1、3塁となります!」
野村「この槙原の加入で優勝候補ナンバーワンって感じなんですけど、正直勝ちに乗れていない感じですね」
倉田「左中間を抜けて打った堺選手はセカンドまで走ります! ランナーは1人返りこれでノーアウトランナー2、3塁となります!」
野村「この堺もバッティングではあまり目立ちませんが結構良い仕事をするんですよね!」
倉田「これはライトフライですがランナーが返る犠牲フライとなりジャイアンツが1点リードしました!」
中西「これじゃ前と変わらない。成長した俺の力を見せてやる!」
倉田「今度はライトの頭を越えた! ライトの吉田選手は慌てて追いますがランナーは既に返り打った野原選手はセカンドに止まりこれで1アウトランナー2塁となりました!」
野村「吉田はキャッチャーがメインだからサブポジの外野は少し守備が落ちるのかな?」
倉田「現在4割打っている斎藤選手でしたがここでは空振り三振に終わり2アウトランナー2塁となりました!」
橘「まあ打てないときは打てないと」
倉田「最後は打ち上げてサードフライに終わり3アウトチェンジです!」
倉田「2回を終わりまして3対1でジャイアンツが2点リードしております!」
野村「今日の先発は2人共調子が悪そうですね」
橘「珍しく野原さんが打ったから俺も返すぞと思ったんですけどね」
橘「いやいや申し訳ありません」
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倉田「調子の悪いと言われた斎藤選手ですが6回を1失点と見事に抑えています!」
倉田「いえいえ。奪三振は普段と比べて圧倒的に少ないですから野村さんの言う事は間違っていませんよ!」
香住「これは打ち頃だ!」
斎藤「………………」
倉田「綺麗に打った! 打った香住選手はファーストに止まります!」
野村「三遊間を抜けましたね。次の中西は代打か、打つならバントでしょうね!」
倉田「おっと、交代はなくそのまま打席に向かうようです。野村さんの言う通りバントの構えをしていますが?」
倉田「1アウトランナー1塁となりましたと言おうと思ったんですが雨宮選手が打って1アウトランナー1、2塁となりましたね!」
倉田「ライト前に落ちましたが神代選手の守備が良かったか、ランナーの香住選手は返れずこれで1アウト満塁となりました!」
倉田「デッドボール! 押し出しでカープが1点返します! 斎藤選手、ここでプレッシャーに負けたのか?」
倉田「野村さんの言う通りだった! もはや観るまでもなくレフトスタンドに入る満塁ホームランでカープが一気に逆転しました!」
垣内監督「………………」
堺「監督、悪いんですがもう少し待ってくれませんか?」
垣内監督「勘違いするな。まだ行けるか?」
斎藤「スタミナなら問題ありません!」
垣内監督「スタミナも大事だが気持ちもだ! 高須に投げた棒球はもうごめんだぞ!」
斎藤「分かっています!」
堺「満塁の押し出しで完全にパニックになって置いて投げちまったからな」
斎藤「表情とセリフが合っていないぞ?」
堺「気のせいだ! ま、俺達はルーキーバッテリーだ。至らん事はあるだろうがこれから成長して行けば良い話さ!」
斎藤「ま、そうだな!」
倉田「145キロのストレートっ!? ど真ん中ですが見逃し三振に抑え2アウトです!」
倉田「道仏選手はストレートを打ち上げてキャッチャーフライに終わり3アウトチェンジです!」
倉田「うーん、とにかく斎藤選手は7回につかまりこれで6対3となりました!」
野村「残り3回で3点リード、厳しいと言えば厳しいですが、追い着けない点差でもないですね!」
堺「コントロールはあれだが速度や球威は悪くなかったな」
斎藤「気力で投げただけだ(このまま投げ続けられるかは分からないけどな?)」
堺「ま、キャッチャーの俺としては1試合くらい捨てても構わないと思うんだが?」
堺「そこだよ! なんで記録もないような今日の試合にこだわるんだ?」
斎藤「ん? ああ。意地だな!」
斎藤「自分で言うのはなんだがここまで調子を維持して勝ち続けて来た。今日は最悪の体調でな。この状態で勝てるかたしかめようとしてたんだが途中から意地でも勝ってやるって気持ちに変わっちまった!」
斎藤「ああ!」
斎藤「そう言われたら返す言葉がないが俺は真剣だ!」
斎藤「ああ!」
堺(まったく! 良いのか悪いのかガキの頃から変わってない奴だぜ!)
吉田「まあ、あんな感じですね!」
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倉田「今日は好調の堺選手ですがここは見逃しの三振に終わります!」
野村「150キロと、逆転してやる気が上がったのか中西らしいピッチングを見せますね!」
倉田「最後はチェンジアップを空振り三振で2アウトです!」
野村「連続三振ですか、マヌエルはこう言う緩急を使い分けるタイプが苦手ですからね」
倉田「バットを折られて結果はピッチャーゴロで3アウトチェンジです!」
斎藤「中西さんの調子良さそうですね?」
堺「球速もだが球威も戻っている感じはするな。良くも悪くも気分で変化するタイプかな?」
マヌエル「オオウ! ワタシに似ていますね!」
堺「うっす!」
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倉田「8回は難なく終わりついに9回となりました! 試合は6対3で広島東洋カープが3点リードしております。ジャイアンツの最後の攻撃の前にカープが更に追加点を入れるか注目の9回表です!」
倉田「8回を6失点と今シーズン最低の調子で投げ続けている斎藤選手ですが、不敗神話はついに終わるのでしょうか?」
堺「それじゃ残り3人だ! 裏の攻撃の奇跡に期待して抑えようか!」
斎藤「おう!(
倉田「この回、先頭打者の雨宮選手は打ち上げてファーストフライに終わり1アウトです!」
野村「138キロですが、雨宮の表情を見る限り想像以上にノビて来ている感じがしますね!」
斎藤(ここで変化球か、堺のリードを信じて投げるしかないか)
倉田「嘉神選手はそのままランニングキャッチ! 完全にヒット性の当たりだっただけに斎藤選手は救われましたね!」
野村「斎藤のコントロールがあまかったのもありますが、どちらかと言えば堺のリードミスですね」
斎藤(まあ俺もコントロールできてないから責める気はないけど)
倉田「常葉選手はキャッチャーフライに終わり3アウトチェンジです!」
野村「この回も三者凡退と奪三振はないですが悪いなりに良いピッチングはできている感じがしますね」
倉田「それでも9回6失点は先発として失敗していますよね」
堺「ふっ、天才的なリードが恐ろしいぜ!」
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倉田「ええー9回裏に入っていきなり嘉神選手のホームランが出てジャイアンツが1点返します!」
神代「ふっ!」
倉田「148キロのストレートでしたがライトフェンスに直撃する打球! 打った神代選手はセカンドに止まります!」
香住「打たれたけど、良いボールだったよ。とにかくもっと気持ちを出して投げて行こう!」
中西「大丈夫です。俺も4年目ですからこんな場面には慣れていますよ!」
香住「そう。じゃあこの調子で投げて行こう!(心配だな?)」
槙原「後はあいつらしだいか?」
倉田「槙原選手にはストライクが入らずフォアボール! これでノーアウトランナー1、2塁となります!」
倉田「野村さん期待の堺選手でしたがあっさりと三球三振に終わり1アウトランナー1、2塁となりました!」
斎藤「マヌエル、チャンスだ!」
斎藤「お前は元々メジャーに行くためにジャイアンツに来たんだろう。こう言う場面で打って行けばメジャーに行けるはずだ!」
斎藤「向こうの球団だってお前なら上がれると思って日本に送ったんだ。何よりもメジャーリーガーになるのがお前の夢じゃなかったのか?」
マヌエル「そうでした! ワタシはその為に日本に来たのでした! このチームにも愛着はありますが必ずメジャーに行く事こそがワタシの目標なのです!」
中西「何を相談しているのか知らないがこれ以上は打たさない!」
倉田「これもファールと簡単に2ストライクに追い込まれましたね!」
野村「力み過ぎてますね。これじゃヒットは期待できませんね」
斎藤「いつものお前のバッティングをしろ! 凡退したって後ろには俺達がいるんだ!」
マヌエル(そうだ。いつも私はそうだった。チャンスになると消極的な凡打を繰り返して
倉田「入った! 誰もが期待していなかったと言えばひどいがマヌエル選手の逆転サヨナラ3ランホームランで読売ジャイアンツがサヨナラ勝ちです!」
倉田「読売ジャイアンツVS広島東洋カープの試合は7対6で読売ジャイアンツのサヨナラ勝ちです!」
野村「3連敗にはならなかったとジャイアンツも意地を見せましたね。しかし斎藤の無敗記録やマヌエルの目覚めと言うのは時期尚早ですかね」
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垣内監督「内容的には誉められた物ではないが良く抑えてくれた!」
斎藤「こちらこそわがまま言ってすみませんでした。意地になって何がなんでも勝ちたくなったので」
垣内監督「構わんさ。その意地に付き合ったおかげで良い物が見れたしな!」
マヌエル「ワタシも目が覚めました。これからはこの調子で頑張りますよ!」
槙原「俺達が何かしなくても後ろが応えてくれると良いチームだな!」
神代「ええ。自慢の仲間です!」
橘「マヌエルさんの復活もめでたいですけど、俺としては斎藤の不敗神話が完成するかの方に興味がわきますね」
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福井監督「最後に負けたか」
香住「良いボールだったんですけど?」
吉田「勝てば高須さんがヒーローだったのに残念でしたね?」
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球星「不敗神話は続くのか?」
斎藤「新聞ですか?」
球星「うむ。見出ししか見れないのが残念だがな」
球星「無敗でシーズン終われば新人王確定だろう!」
球星「自信なさそうだな?」
球星「相手バッターがどんどん手強くなって来ている事とか、お前の調子がピーク過ぎて下降中って事とかか?」
球星「まあ相手はプロだからな。何度か対戦すればお前のボールにも慣れて来るだろう。だがこの前は調子悪くても勝てたじゃないか?」
斎藤「内容的には負けでしたけどね。防御率も悪くなったし」
球星「まあ勝数や奪三振と違って防御率は上がったり下がったりするからな。逆に言うなら今度は完封すれば下がると言う事だろう!」
球星「この前だって勝ったせいかファンも完投を誉めてたじゃないか」
球星「うむうむ。勝てば良いそれだけだな!」