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−１９９７年 ８月 上旬−
不敗神話も崩壊したがそれでも斎藤は１１勝１敗とルーキーとは思えないピッチングをしている。
斎藤「次の相手はタイガースか」
球星「うむ。斎藤ＶＳ石崎の投げ合いは今年最大の注目だからな」
斎藤「大げさですよ」球星「ははっ、まあいいではないか、それだけ楽しみな投げ合いと言われているのだからな」斎藤「まあ石崎との投げ合いは俺も楽しみですからね」球星「うむうむ」斎藤は変わらず不調ぎみだが石崎との投げ合いに備えてモチベーションを少しずつ上げて行くのだった。
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山岡監督「今日の先発は石崎だ。相手は恐らく斎藤だろうな」
竜崎「俺じゃないのか？」山岡監督「お前は明日だな。今日は石崎だ。頼むぞ」
石崎「はい！」
守屋「まあまあ斎藤が相手じゃ石崎でしょうよ」竜崎「分かってるよ。それにしてもあいつのライバル斎藤か、バッティングでも活躍してるしあいつも大変だよなー」守屋「竜崎さんにもライバルはいっぱいいるじゃないですか」竜崎「まあな」
ブライアン「斎藤か、ジャイアンツとは８勝８敗だが、斎藤とは相性が悪いからな」
咲良「まあ斎藤って１敗しかしてませんからね」
藤原「今日勝てば石崎が１３勝で斎藤を抜くのか」井上「いや斎藤は１１勝ですし今の最多勝は紅月さんですから」小野「紅月さんが地味に抜いたからな」天道「地味とか言うなよ（たしかに斎藤、石崎、ライアンと比べて話題性が低いけど）」山内「今年も絶好調、中日ドラゴンズの若きエースですからね」鎖是「打たれ弱い奴でもあるが調子の良いときはとことん良いからな」山岡監督（今日の相手はジャイアンツなんだがな）
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垣内監督「今日の相手はタイガースだ。スワローズに追いつく為には１戦も負けられない斎藤頼むぞ！」
斎藤「はい！」
嘉神「石崎か竜崎さんのどっちかだな」
マヌエル「どっちも苦手なタイプですね」
嘉神「まあなんとかなるだろう。監督の言った通り今は１戦１戦勝って行くしかないしな」
マヌエル「そうですね」
上条「と言ってもうちって最下位なんだよな」
橘「悲しい事にな」
神代「まあここから頑張って優勝狙えばいいじゃないか」
槙原（と言っても１６ゲーム差以上で無理だろうがな）堺「その通りここから活躍して新人王だ！」野原（うーん、相変わらずうちはマイペースな奴が多いな）
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倉田「タイガースＶＳジャイアンツ、１８回戦の試合をお伝えします。解説
南口「よろしくお願いします」倉田「南口さんは阪神タイガース一筋であり堅守のキャッチャーとして有名です。本人を前に言うのもなんですがバッティングは今一つでベストナインには縁はなく他のキャッチャーと比べて知名度は低かったんですよね」南口「まあそうですね。織田（巨人）や田村（中日）と言ったライバルもいたんですがプロでは評価を抜かれましたね」倉田「高校では南口さんが彼らより上だったんですけどね」南口「まあ昔の事ですからね」倉田「それでは斎藤選手や石崎選手、それと若きキャッチャーの山内選手と堺選手についてはどうでしょうか？」南口「そうですね。斎藤は将来性が高くまだ伸びそうだと思いますし石崎は既に完成されていますがまだ化ける予感がしますね」倉田「なるほど、それでは若きキャッチャー達はどうでしょうか？」南口「うーん、どっちもまだまだあまいところがありますから現時点ではまだまだでもっと頑張って欲しいと言ったとこでしょうか」倉田「まだ若いですから仕方ないですね。それでは試合の始まりです！」南口「楽しみな投げ合いになりそうですね」
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石崎「今日こそ甲子園の借りを返すぞ！」ズバ―――ン！
橘「今日は特に速いな！？」倉田「１５５キロのストレートを見逃し三振！」南口「最初のバッターで１５５キロはすごいですね」
石崎「この調子で行くぜ！」ズバ―――ン！
上条「１５６キロとかないわー」倉田「１５６キロのストレートを空振り三振しこれで２アウトです！」南口「今日の石崎はかなり良いですね！」石崎「一番やっかいな人もこいつで仕留める！」ズバ―――ン！
嘉神「速いな（まあ２アウトランナーなしだし無理する事もないからな）」倉田「最後は１５７キロのストレートを見逃し三振で３アウトチェンジです！」南口「今日の石崎は立ち上がりから良いですね。こう言う日の石崎は失点が少ないパターンが多いですから要注意ですよ」石崎「今日は完封を狙うからいつもより飛ばして行くぞ！」山内（いつもこうだけどな）神代「今日の石崎は立ち上がりが良さそうだね」嘉神「そうですね。河島と違って調子良いときは回が変わってもコントロールを乱す事もないからやっかいですよ」神代「いまさらだけど歴代最高の新人王争いって言われているわけが良く分かるよ」嘉神「たしかにこの２人の投げ合いは楽しみですけどね」
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斎藤「こっちも負けるか！」ズバ―――ン！
鎖是「相変わらず異次元のストレートだな！？」倉田「１４５キロのストレートを空振り三振！」南口「石崎と比べて球速は劣りますが奪三振は両リーグトップとすごいですね」倉田「不思議な事に球速では１０キロ以上差があるのに斎藤選手の方が奪三振は上なんですよね？」南口「まあ速さがすべてではないと言う事でしょうね」斎藤（こうやって見るとやはりと言うかタイガースは打線が弱いな）ズバ―――ン！
咲良「ダメだ。手が出ない」倉田「最後は１４３キロのストレートを見逃し三振し２アウトです！」南口「咲良も良いバッターなんですが、まだまだ成長途中ですからこの結果も仕方ないですね」斎藤「こいつで決める！」ズバ―――ン！
天道「くっ！？」倉田「最後もストレートで決めた！ 斎藤選手も負けずと三者三振に抑えます！」南口「１４５キロと速いですし今日は両投手絶好調のようですね」堺「今日も調子が良いしパーフェクト狙って見るか？」斎藤「調子良いたびに言ってないか？ つうか１回抑えただけでパーフェクトは難しいだろう」堺「石崎だってノーヒットノーランやっているんだ。新人王獲るには完全試合目指すくらいでいいじゃないか！」斎藤「―――そうだな。狙って見るか！」ブライアン「相変わらず打ちづらそうだな？」天道「そうですね。ノビて来るストレートって分かってはいるんですが当てるのもかなり難しいですよ」
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倉田「試合はいよいよ６回に入ります。試合は０対０のままヒットはおろか四死球も出ていないと完全な投手戦となっていますね」南口「はい。２人共変化球も素晴らしいので混ぜられると打つのも難しいんでしょうね」倉田「石崎選手は既に今年ノーヒットノーランを達成しておりファンからは二度目のノーヒットノーラン、いえ完全試合を期待する歓声が聞こえますね」南口「気持ちは分かりますがまだ６回ですからね。ここからが大事なんですよ。特に１点が重要になる試合ではこの歓声が逆効果にならないか心配です」石崎「行くぞ！」ズバ―――ン！
マヌエル「速いですよ！？」倉田「１５８キロのストレートを見逃し三振で１アウトです！」南口「コントロールはともかく力強い良いボールですね！」石崎「うりゃ！」スト―――ン！
野原「相変わらず凄い落差だな！？」倉田「１４０キロのフォークが決まってこれで２アウトです！」南口「フォークの速さではないですね……かと言ってスプリットの落差でもないですし」倉田「２アウトで迎えるバッターなんですがピッチャーで７ホーマーの斎藤選手です！」南口「いえまだホームランは納得できるんですが打率の３割８分は異常でしょう？」倉田「バッターの才能もすごいんですよね」南口「そう言う問題なんでしょうか？」石崎「勝つのは俺だ！」スト―――ン！
斎藤「ここで打って俺が勝つ！」カキ―――ン！
石崎「まさかっ！？」倉田「行った―――！ レフトスタンドに叩き込むソロホームラン！ ここでジャイアンツが１点先制しました！」南口「完全に狙って打ちましたね。バットコントロールにリストの強さと、たしかにバッティングセンスも抜群ですね！」
石崎「完全にフォークを狙われた！？
だからどうしたここで負けを認めてたまるか！」ズバ―――ン！
橘「良いボールだ」倉田「最後は１５５キロのストレートを見逃し三振し３アウトチェンジです！」南口「ふう、なんとか１失点に抑えましたね」倉田「はい。ですがこの回にジャイアンツが待望の１点を手に入れました！」南口「１点差ならまだまだ試合は分かりませんよ」石崎「斎藤め、次の俺の打席で借りを返してやる！」山内「いや次の攻撃は確実にお前に打席がまわって来るからそんなに長くはないぞ！」上条「次の回でまたあの剛球が来るのか」橘「そこは次は打つと言うところでしょう？」上条「あんなボール打てるか！？」橘「やれやれ（せっかくのバッティングセンスもこれじゃな）」
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斎藤「後は抑えて勝つだけだ！」ズバ―――ン！
井上「高校時代を思い出すぜ！？」倉田「まずは１４５キロのストレートで決めて１アウトです！」南口「斎藤が石崎より優れているのはこのコントロールでしょうね。防御率が低い理由も良く分かりますよ！」斎藤「どりゃ！」ズバ―――ン！
山内「……助かった！」倉田「おっと、最後はわずかに外れたかフォアボール！」南口「これで完全試合はなくなったわけですね」斎藤「フォアボールか」石崎「もらった！」カキ―――ン！
斎藤「げっ！？」倉田「入った！ 逆転２ランホームラン！」南口「今のは失投ですね。完全試合がなくなって気が抜けたんでしょうか？」
斎藤「汗ですべったちくしょう！」ズバ―――ン！
鎖是「相変わらず速いっ！？」倉田「１４５キロのストレートを空振り三振しこれで２アウトです！」南口「立ち直りの早いところはさすがですね」斎藤「こいつで決める！」ズバ―――ン！
咲良「本当に速いし！？」倉田「１４６キロのストレートを見逃し三振で３アウトチェンジです！」南口「ここで今日最速ですか、スタミナは問題なさそうですね」斎藤「やられた！」
堺「まあ失投じゃ仕方ないだろう」斎藤「そうだけどな（石崎にホームラン打たれると甲子園でのサヨナラホームラン思い出すんだよ！？）」堺「１点差なら先輩達が逆転してくれるだろう！」斎藤「お前じゃないんかい！」堺「いや〜そこはまあ餅は餅屋と言うか〜」石崎「おっし！ 後はこの１点を守り切れば俺達の勝ちだ！」天道（できればもう１点くらい追加したいところだが今日の石崎なら大丈夫か）
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倉田「試合もいよいよ９回に入ります。６回に２人のピッチャーが打ったホームラン以降ヒットも出ましたが点差は変わらずこのままタイガースの勝利に終わるのでしょうか？」南口「それは分かりませんが９回も石崎と今日の試合は石崎に預けるようですね」石崎「このまま行くぜ！」ガキッ！
上条「重っ！？」倉田「なんとか当てますがピッチャーゴロに終わり１アウトです！」南口「１５５キロですからね。なんとなく重いのも納得です！」石崎「どりゃ！」スト―――ン！
嘉神「うーん、打ちたかったんだがなー」倉田「最後は外れてフォアボール！ １アウトランナー１塁で４番の神代選手を迎えます！」南口「今日の石崎は四死球を出さないと思いましたがこれで今日２個目ですね」石崎「ふう、落ち着いて投げるぞ！」ズバ―――ン！
倉田「神代選手は手が出ず見逃し三振しこれで２アウトランナー１塁となります！」南口「いよいよ後１人ですか」神代「すみません。後は頼みます！」槙原「任せておけと言いたいところだが厳しいな」石崎「こいつで決めるぜ！」スト―――ン！
槙原「ぬっ！？」倉田「バットを止めるがコールは三振と最後はボール球のフォークを振らされて試合終了！」南口「完全にボールでしたがあのフォークの落差じゃ仕方ありませんね」倉田「阪神タイガースＶＳ読売ジャイアンツの試合は２対１で阪神タイガースの勝利に終わります。そして今日のヒーローは投打で活躍した石崎選手です！」南口「石崎は斎藤にリベンジしたいと言ってましたからようやく高校時代の借りを返せたわけですね！」石崎「今日は最高の日ですね。斎藤に借りを返せたし８月の最初にこれですからまだまだ優勝目指して頑張って行きたいです。ファンの人達の声援も力になりましたし明日も応援よろしくお願いします！」倉田「石崎選手のヒーローインタビューでした。明日もこの調子でタイガースが勝つのを期待しましょう」南口「明日の先発にもルーキーの石崎に負けないピッチングを期待したいですね」
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石崎「ようやく借りを返せたと８月は良い月になりそうですよ♪」山岡監督「分かった分かったとにかく今日は運良く勝てた。明日は野手陣の活躍を期待するからな」全員「はい」
咲良（勝ったとは言えヒット２本だから斎藤には完全に負けてる内容だからな）天道「ヒットは打てたが、今日の勝利は石崎と山内のおかげだな」山内「えっ？」藤原「そうですね。山内のフォアボールがなければ負けないかも知れませんが勝てそうもなかったですし」天道「ま、この調子で頼むな！」山内「は、はい（……手が出なかっただけなんだけどな）」
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垣内監督「負けてしまった物は仕方ない。明日に備えて解散だ！」斎藤「石崎に抑えられて石崎に打たれて負けたんだよな」堺「気にするな。８回２失点なら十分だろう。運が悪かっただけだ」嘉神「ま、打てなかった俺達に責任があるからな」神代「そうだね。１点も斎藤のバットからだから打線は完全に沈黙させられたね」槙原「ふがいない俺達が悪いと言う事だ」
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斎藤「これで１１勝２敗か」球星「ルーキーとしては悪くない成績だな」斎藤「たしかにそうですけど連敗中ですからね」球星「夏場で調子落とすタイプはいるし調子良くても勝てないときは勝てないから気にしない方がいいぞ」斎藤「気にしますよ」球星「ルーキーであれば仕方ないか、ならテレビでも観たらどうだ？」斎藤「そうします」
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中尾監督「今日の相手はバファローズだ！ 現在うちが首位だが２位のライオンズとは僅差だ。ここから引き離す為にも１戦１戦大事に勝って行こう！」
全員「おう！」
風祭「現在打率トップだが２位の久住さんとほとんど変わらないからな」
河島「風祭、今はタイトルより１戦１戦勝つ事が大事だぞ！」
風祭「河島さんだけには言われたくないです」河島「なにお―――！ 俺は勝負にはこだわるがタイトルにはこだわらないぞ」風祭「この前敬遠の指示無視してホームラン打たれて監督に思いっきり怒られたじゃないですか」河島「うっ、そう言う事ばっかり覚えやがって」
風祭「けど河島さんの言う通りですね。
今は１戦１戦勝利する事の方が大事です。だから河島さんも敬遠の指示に逆らわないようにして下さいね」河島「分かったよ」日暮「いつの間にか説教する方とされる方と立場が入れ替わってるし」
久住「ま、今日も俺が打つから問題ないさ」轟「こいつらは変わらないな」青木「いつも通りだな」
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天野監督「今日の相手はブルーウェーブだ。予告先発は河島と、宗介との対戦が楽しみだな」
宗介「今年の河島はいまいちだからどうも調子が乗らないが勝敗は譲らないつもりで投げるよ」
木下「またあのとんでもないボールと対決するのか」
小野「危険球退場もあるほどコントロールが悪いからな」
アルバート「ハハッ、誰が相手でも打つだけだ！」
広瀬「その通り今日もガンガン打つぜ！」八代「単純でうらやましいよ」坂本「まったくだ」
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倉田「オリックスブルーウェーブＶＳ近鉄バファローズ、１６回戦の試合をお伝えします。解説は高校野球ではお馴染みの武藤小太郎さんです」武藤「そうなんですよね。なぜか呼ばれて来たんですよね。夢じゃないですよね？」倉田「ええ。解説が見つからないので先輩に相談したら暇そうにしている武藤さんがいると言う事で声をかけさせてもらいました」
武藤「そう言う事ですか、甲子園の解説もあるんで暇じゃないんですけどね」
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倉田「試合は４回に入ります。両投手好投中で現在ノーヒットと完全に抑えていますね」
武藤「今日の河島は珍しく立ち上がりが良いですね」河島「どりゃ！」ズバ―――ン！
木下「今日の河島は珍しくコントロールが良いな」倉田「１５７キロのストレートを見逃し三振！」武藤「キャッチャーの構えたところに行くとコントロールも珍しく良いですね（意外だわー）」河島「どりゃ！」ズバ―――ン！
小野「打てるかこんなもん！？」倉田「最後もとんでもなく外れてストレートのフォアボール！ これで１アウトランナー１塁です！」武藤「相変わらずよく分からない投手ですね？」河島「どりゃ！」ズバ―――ン！
アルバート「無念」倉田「続くアルバート選手は空振り三振に終わりこれで２アウトランナー１塁です！」武藤「そして現在ホームランキングの広瀬ですか、力と力の勝負と注目の対戦ですね」河島「食らえ！」バキッ！
広瀬「……俺が力で負けたのか」倉田「１６０キロのストレートに当てるがバットが折れてボールはそのままミットに入り３アウトチェンジです！」武藤「さすが１６０キロですね。ここまでの威力とは！？」河島「今日の俺を打てる物なら打って見ろ！」
轟「調子に乗ってるところ悪いがチェンジだ」河島「うっす（３アウトだったのね。気付かなかったわ）」轟（しかし河島のボールは俺でも捕るのがきついな）
広瀬「まさか力勝負で俺が負けるなんて」土井「河島だからな」菊池「俺達も負ける事はあるしな」
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宗介「やる気はしなかったがこうまで好投を見せつけられるとこっちもやる気が出て来るな！」ズバ―――ン！
風祭「やるな宗介さん」倉田「１５０キロのストレートを空振り三振！」武藤「風祭の三振も珍しいですね。しかし高校の先輩と後輩の対決とプロはこう言うのがあるから面白いですよ」宗介「次は日暮さんとブルーウェーブは巧打者が多いな」スト―――ン！
日暮「今年はいまいちだな」倉田「フォークを空振り三振しこれで２アウトです！」武藤「７年目の日暮ですが全シーズンの中でも最悪ってくらい調子が悪いですからね」倉田「６年連続３割、首位打者１回とリーグを代表するアベレージヒッターなんですけどね」武藤「今は久住の影に隠れがちですがルーキーの頃から大活躍して来た選手なんですよね」
久住「おらっ！」カキ―――ン！
宗介「さすがは久住さん」倉田「三者三振とは行きませんでした。久住選手がセンター前に打ってこれで２アウトランナー１塁となります！」武藤「クイックの上手い天野と強肩の坂本じゃ久住も盗みにくいとランナーはそれほど警戒しなくて良さそうですが」宗介「ランナーは出たが後１人で終わりだ！」ククッ！
青木「今年はダメだな」倉田「最後はカーブを空振り三振と今年の青木選手は調子が悪いですね」武藤「そうですね。３年で１００本塁打と言う強打者なんですが今年は少し悪いですね」宗介「とりあえずここまでは互角ですね」坂本「そうだな。河島は調子がコロコロ変わるから読めないがいずれ点は入るだろう」宗介「失点を少なくするのが勝利のカギになると言う事ですね」坂本「そう言う事だ」久住「出たが意味はなかったかな？」青木「すみません」轟「そういじめてやるな」久住「そう言うつもりで言ったんじゃなかったんだけどな」
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河島「行くぜ！」ズバ―――ン！
菊池「くそっ！ 手が付けられん！？」倉田「試合は７回、２対２の同点のままと言いたいところですが１５８キロのストレートを空振り三振し１アウトです！」武藤「河島は調子良いときはテンポが良いですからね（調子悪いときは四死球連発で試合時間が長くなるけどな）」河島「これからが本当の戦いだぜ！」ガキッ！
八代「意味が分からんと言うか重っ！？」倉田「続く八代選手はピッチャーフライに終わり２アウトです！」武藤「１５９キロのストレートに当てるだけ大した物ですけどね」河島「こいつで決めるぜ！」ズバ―――ン！
小栗「ついていけんな。俺ももう歳かな」倉田「最後は１６０キロのストレートを見逃し三振し３アウトチェンジです！」武藤「相変わらず疲れ知らずのスタミナだけはすごいですね」河島「良い感じですね。後は点が入れば文句なしなんだけどな」轟「後３回あれば１点くらいは取れるさ。お前がこの調子で投げてくれれば勝利間違いなしだ！（河島には調子乗せて投げさせた方が失点は少なくなるしこのやり方で問題ないな）」河島「おっしゃー任せて下さい！」轟（後は天野から点を取るだけなんだが……）坂本「１点が遠いですね」小栗「ああ。正直俺じゃ厳しいし広瀬辺りのホームランに期待するのが一番かな」坂本「一発か（たしかに１点取れば流れは変わりそうだが）」
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宗介「まずは高野さんからか」ククッ！
高野「打ちづらい！？」倉田「スライダーを空振り三振し１アウトです！」武藤「完全にタイミングが合っていないと天野とは相性が悪そうですね」鳴海「そこだ！」カキ―――ン！
宗介「やられたな」倉田「アウトコースのストレートでしたが綺麗に打ってこれで１アウトランナー１塁です！」武藤「鳴海は守備のスペシャリストって感じですけど何気にバッティングも良いとブルーウェーブの外野陣は今年も優秀ですね」
木村「おっと！」コツンッ！
宗介「綺麗に決められたな」倉田「ここは手堅く送って来ました！ これで２アウトランナー２塁で今年の新人王候補ナンバーワンの風祭選手にまわります！」武藤「昨年の新人王ＶＳ今年の新人王候補の対決とこう言う場面での戦いは楽しみですね」宗介「ふう、後１人で終わりなのは変わらないさ！」カキ―――ン！
風祭「届かないか」倉田「打球はセンターの頭を越えて打った風祭選手は２塁へ！ ランナーは返ってブルーウェーブが１点勝ち越ししました！」武藤「１５４キロと、今日最速のストレートを打つと今年の新人王候補の強さを見せつけましたね」宗介「後輩の成長は嬉しいがこう言う場面だと結構きついな」カキ―――ン！
日暮「打てたー！（本当に久々に打てた気分だよ♪）」倉田「日暮選手も続いてこれで２アウトランナー１、３塁となります！」武藤「スライダーを綺麗に打ったのは良いんですが、なんで日暮はファーストベースで泣いてるんだ？」宗介「嫌な流れだ。気は抜いてないんだがどうも嫌な感じがする！」カキ―――ン！
久住「ふう、良いボールだったぜ！」倉田「１５４キロのストレートを打った―――！ 打球はセンター前に抜けてこれで２アウトランナー１、２塁となります！」武藤「あの天野からよく打つとやっぱり波に乗ると怖いチームですね」宗介「交代はなしか、まあエースだしな」ズバ―――ン！
青木「くそっ！？」倉田「１５４キロのストレートを空振り三振し３アウトチェンジです！」武藤「普通はこうなるよなー。やっぱり打った風祭や久住がすごかったんですよね」宗介「すみません」
坂本「リード通り投げたお前は悪くないさ。むしろあれを打てた相手を誉めるしかないだろうな」宗介（さすがにこの２点を返すのは無理だろうな）坂本「ふう、試合が終わっていないのを忘れるなよ。エースなら最後まで投げ切って見るんだな」宗介「……そうですね。後２回もあるんだし最後まで諦めません！」坂本「うむ（とは言う物のエースの疲労を考えて降板させると言うのも手なんだが監督の性格じゃそれも難しいか）」青木「すみません」轟「ってなんであやまるんだよ？」青木「打てなかったので」轟「ああ。まあ後は守るだけだしお前は守備も上手いんだからそっちで貢献してくれ！」青木「はい！」轟（返事は良いんだが大丈夫か？ それにしても天野から点を取るのは難しいと思ったがあっさりと取れるとやっぱり野球は分からないな？）
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倉田「試合はいよいよ９回に入ります。５対２でブルーウェーブが優勢のまま試合は終わるのでしょうか？」武藤「均衡した試合だと天野有利だと思ったんですが蓋を開けると河島の勝利……いえ勝利間近と野球は分かりませんね」河島「うらっ！」ガキッ！
アルバート「打球が伸びないな」倉田「セカンドフライに終わり１アウトです！」武藤「１５６キロと相変わらず速いですね」
広瀬「ここで俺が打てば後ろも打ってくれる（かも知れない）」ズバ―――ン！
河島「おっしゃー！」倉田「期待の広瀬選手でしたがあっさりと三振に終わりこれで２アウトです！」武藤「まあ今日ホームラン打ってるからと言っても元々三振の多いバッターですからね」河島「こいつで終わりだ！」ズバ―――ン！
土井「くそっ！ 球種が分かっても打てないとはっ！？」倉田「最後は１６０キロのストレートを空振り三振し試合終了です！」武藤「最後のボールで自己最速とやっぱり倉田「試合は５対２でオリックスブルーウェーブの勝利となりました。今日のヒーローは２失点完投勝利の河島選手と勝ち越しタイムリーの風祭選手です！」武藤「まあ当然ですね」
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中尾監督「今日は河島も良く投げたしお前らも良く打った明後日からのホークス戦もこの調子で頼むぞ！」河島「珍しく監督から誉められたな！」風祭「珍しくとか言わないで下さいよ」久住「今日は俺もタイムリー打てたしこれで打点王も近くなったな」日暮「………………」轟「まあ近くなったのは認めるが」鳴海（トップと４０打点くらい離れてるし打点王のタイトルは無理だよなー）木村（今日は勝利に貢献できたし良しとするか）
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天野監督「まさか宗介が５失点で敗戦投手になるとは」宗介「すみません」坂本「調子は悪くなかったんですけどね。流れを逃さなかった相手打線はさすがと言ったところでしょう」天野監督「むう。まあ仕方ないか、明日じゃなくて明後日じゃなく明々後日こそ勝利してくれよ」広瀬「うっす！」
木下「次はライオンズか」アルバート「今から誰と対戦するのか楽しみだな」八代（みんな切り替えが早いなー）
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斎藤（風祭と広瀬も頑張っているな）嘉神「うむうむ」斎藤「うわっ！？」堺「分かるぜ。自分がダメなときに同期が活躍しているとすごい来る物があるんだよなー」マヌエル「ええ。今の斎藤の気持ちはよく分かりますよー」斎藤「ここ俺の部屋なんですけど（いつの間にこんなに集まってたんだよ！？）」球星（気付かない方も方だけどな）斎藤（悪かったですね）嘉神「いや甲子園も始まったし今年の優勝は何処だって賭けでもしようかと思ったんだがな」堺「ところがこっそり部屋に入るとテレビを観て落ち込むお前の姿があってだな」マヌエル「落ち込んでいる斎藤を見て元気づけようと思いました」斎藤「それはありがとう……ん？ いやいやこっそり部屋に入る必要はないだろう！」堺「何故だ？」嘉神「？」斎藤「そんな真顔で聞かんでも！ それに嘉神さんは分かっててやってますよね？」嘉神「まあまあ気にするな。それより賭けはどうだ？ 俺は斉天、堺は天狼に賭けているんだが」斎藤「どっちも本命ですね。俺は赤竜って言いたいところですけど今年は負けたからな」堺「そもそも賭けられるのは甲子園出場校だけだからな」斎藤「いや分かってるよ。マヌエルは何処に賭けたんだ？」マヌエル「ワタシも堺と同じ天狼学園に賭けましたよ」斎藤「理由は？」マヌエル「春に優勝したチームですから」斎藤「意外に本命狙いだな。それじゃ俺は嘉神さんと同じ斉天だな」堺「つまらんな」斎藤「つまらんって」堺「どいつもこいつも本命狙いだからだ。ここは大穴に一発賭けようって気概がない！」斎藤「お前だって本命に賭けてるじゃないか？」堺「アホ！ 俺は後輩達に賭けたんだ。断じて優勝候補筆頭だから賭けたんじゃない！（そう断じて後輩達を信じているのであってタダメシにありつきたいわけじゃないのだ！）」斎藤「そいつは悪かった。ところで何を賭けるんだ？」堺「リッチなディナーだ！」斎藤「賭ける物は意外に平凡だな」嘉神「俺はともかくお前らはそんなに余裕ないだろう。今年良い成績でも金になるのは来年なんだしな」斎藤「そういやそうですね（契約金もあるけどよっぽどの事がなければあっちには手を付けたくはないしな）」マヌエル「まあ足りなくなったときは年長のワタシに任せて下さい」嘉神「いや今年のお前の成績だと来年の年俸は下がる可能性が高いぞ」マヌエル「大丈夫です。ワタシもそこそこは稼いでますから」嘉神「まあそこらの社会人より稼いでいるのは認めるが」斎藤（なんつうか落ち込む暇もないな。まあ良い事ではあるんだろうが素直に感謝はできないんだよな）球星（みんな心配して遊びに来てくれてるのは分かってるのに素直ではないな）斎藤（気持ちは嬉しいんですけどね。不法侵入者に感謝はちょっと！）こうして８月前半は相変わらずの日常を送る斎藤だった。斎藤は次戦でも敗戦投手になると８月は１勝もできずに終わるのだろうか？
