第7章 無冠の王(前編)

−1994年 7月 下旬−
赤竜高校は決勝まで勝ち上がり甲子園の切符を手に入れた。
中西監督「と言う訳で明日は決勝だ!」
大下主将「それで今日は明日に備えての最終調整が行われるらしい」
真田「具体的に何をするんですか?」
中西監督「まずはマラソン!」
全員(この暑い中を走るのか)
中西監督「優勝する為には何よりスタミナを要求される。この暑い中を走りまくって優勝しろ!」
吉田「もう甲子園行きは確定してますしそんな張り切らなくても」
中西監督「誰が地方大会の話をしとるか! 甲子園で優勝する事を前程として言っとるんだ!」
大下主将「今年こそは全国制覇だ!」
真田「今年こそはって赤竜高校って日本一になった事ってあるんですか?」
中西監督「まあ、お前らの世代じゃ知らんわな35年前に初出場初優勝と一躍この高校も有名になったもんだ!」
吉田「へえ。ひょっとしてその時のチームの主将って」
中西監督「うむ。何を隠そうこの俺だ!」
斎藤「それじゃあ監督が初めてこの高校を日本一にしたんですか?」
中西監督「いや、俺は3年の春に肩を壊してな。夏の大会じゃ(そう)達が頑張って甲子園まで行ったんだ」
相良「だけど決勝じゃ監督が投げたんでしょう」
中西監督「まあな。最終回に1点差で登板された時は驚いたよ」
真田「決勝で1点差で監督が登板したのか?」
中西監督「ああ。あいつらが最後の夏に最高の舞台で投げさす為に甲子園の決勝まで来たって聞いたら断れなくてな。まあ、頑張ってスローボールで3人で抑えたよ!」
吉田「凄いですね」
中西監督「不思議だったよ。あんな遅い球しか投げれないのに3人で抑えられるなんてな」
斎藤「気持ちの問題でしょうか?」
中西監督「そうだろうな。俺だけでなくあいつらの為にも絶対負ける訳にはいかない気持ちで投げれたから抑えられたんだろうな」
真田「それで続きは?」
中西監督「続きって言われてもな。俺はそのまま赤竜高校に残って監督をやっているだけだし」
真田「プロ入りは?」
中西監督「プロ入りしてたら俺はここに居ないんだが? と相棒の(そう)がライオンズに入団したな」
斎藤「監督の相棒がですか、それでその人はどんな選手なんですか?」
中西監督「どんなってライオンズの中村宗光(なかむらむねみつ)って言えば知ってるだろう」
斎藤&吉田「!?」
真田「知らないですけど?」
吉田「何でそんな有名人を知らないんだよ!」
真田「怒鳴られても昔の人だし?」
斎藤「今はライオンズの監督をしてる人で首位打者を9度獲得したり通算安打や打率の日本記録なんかも持っている伝説の人だよ」
真田「プロの監督か、その人に色々教わったりできないかな?」
吉田「規定があるから無理だし」
中西監督「まあ、どうしても教わりたいならプロ入りしてから聞くしかないな」
真田「うーむ。入るならベイスターズと思っていたんだけどここはライオンズも有りとするか」
吉田「もうプロ入りが決まってるみたいに言うなよ」
真田「テストをいくつか受ければ1つくらい受かるんだと思うけど」
吉田「えっと監督から見て真田がプロ入りできるんでしょうか?」
中西監督「今は無理だな」
真田「そうなんですか」
中西監督「今はと言ったろう。未来のお前ならどうなるか分からん。現に宏も1位でプロ入りするとは思わなかったしな」
大下主将「何言ってるんですか監督! 中西さんなら競合で1位指名受けてもおかしくなかったですよ!」
中西監督「と大下が言ってるがあいつも1年の頃はエースじゃなかったんだよ」
大下主将「マジですか?」
中西監督「お前も知らなかったのか? まあ、それはいい。そんなあいつでも2年にはエースになって3年には甲子園まで投げてプロ入りできたんだ」
真田「つまり今は控えの人ももしかしたらプロ入りできるかも知れないと」
中西監督「そう言う事だ。これから頑張ればもしかしたらと言う可能性もあるって事さ(逆に才能があっても俺の様にケガでプロ入りできない可能性もあるがな)」
全員「いやあ、監督の良い話も聞けたし解散するか」
中西監督「サボるな!」

と言う訳でみんなでマラソンが始まった!
大下主将「行くぞ!」
斎藤「こう言う場合、先頭はキャプテンじゃないんですか?」

大下も先頭の方だが現在の先頭は相良が走っている。
大下主将「いやあ、このチームの中心はやっぱり相良だからな。その分、お前達、1年は大変だぞ。あいつが卒業したらその責任が次のキャプテンに行くんだからな」
間宮「何気に自分が頼りにならないキャプテンだと言ってるみたいだな」
大下主将「悪かったな。どうせ俺の名前は全国区じゃないよ」
斎藤「でも、県内じゃ知らない人は…………多分いないんじゃないでしょうか?」
間宮「一応プロのスカウトも注目してる打者だからな」
大下主将「そうは言ってもさ。確実に指名されるとは限らないし」
斎藤「指名するとかは言われないんですか?」
大下主将「もしかしたら指名するかも知れないとは言われたけど」
斎藤「もしかしたらですか?」
間宮「夏の大会じゃまったく無名の選手がいきなり登場って事もあるしな。指名の日にいきなり取り消しなんかもあるらしい」
斎藤「間宮さんって詳しいんですね?」
大下主将「間宮の親父さんはプロのスカウトをやってるからな」
斎藤「ええっ!?」
間宮「そんなに驚くなよ」
斎藤「本当ですか?」
間宮「ああ。俺は知らないがスカウトの中じゃ結構大物らしい」
斎藤「―――それじゃ間宮さんもプロ入りとか?」
間宮「あのなあ。コネで入団できるあまい世界じゃないんだよ。確かに俺もプロ入りを目指してるけど今の俺じゃプロ入りは無理だ!」
斎藤「間宮さんってミートも守備もかなりうまいですけど」
間宮「大下と比べれば分かるだろう」
斎藤「そっか、確かに間宮さんより上のキャプテンでもプロ入りは確実じゃないし」
真田「それじゃ今年は赤竜高校(   うち   )からプロ入りは出ないのか?」
斎藤&大下主将&間宮「………………うおっ―――!?」
斎藤「いつの間に?」
真田「面白そうな話をしてたからさ。後ろに下がって聞いてたんだよ。ところで赤竜高校(   うち   )からプロ入りはできないって言うなら他の高校では?」
大下主将「お前が知ってる奴じゃあ斉天の健太と無明の平井だな。あいつらは1位指名が確実だろう」
真田「平井さんは知りませんが健太ってのは凄いバッティングしてた八坂さんの事ですね」
大下主将「ああ。あいつは昔からパワーが凄いからほとんど4番を打ってたな」
真田「平井さんは?」
大下主将「攻守に渡って凄い外野手だ。八坂と同じく競合指名を予想されていると言う話だ」
真田「他には?」
大下主将「他にも奥森や岩崎なんかが居るが1位指名なのが確実なのはあいつらくらいだよ」
間宮「今は赤竜高校(   うち   )の相良みたいに2年の連中が注目されているからな。スカウトや観客も3年より2年連中に注目しているからな」
真田「へーえ、僕達、1年にも凄いのがゴロゴロいたらどうなるんだろう?」
間宮「さあな。どうなる事やら」
斎藤(同世代の選手か、甲子園に行ったら佐伯以上の投手もいるんだろうか?)

転生高校
石崎「うん?」
岩崎主将「どうした石崎?」
石崎「いえ何でもないです(誰かの声が聞こえた様な?)」
広瀬「つうか早く投げろよ!」
石崎「分かってるよ!」

ズバ―――ン!
木下「相変わらず凄い球を投げるな」
浅野監督「あいつは昨年1位指名された小島よりも上だな」
木下「ですね。この石崎と良い広瀬と良い凄い新人が入ったもんだ。こいつらが居れば今年も甲子園に出れるかもな」
浅野監督「それどころか初優勝もできそうだ」

雪影高校
滝沢(サッ!)

カキ―――ン! カキ―――ン! カキ―――ン!
奥森主将「相変わらず凄えバッティングだな。とても1年とは思えん」
真島「確かにそうですが4番は渡しませんよ」
奥森主将「本当に俺は頼もしい後輩達を持ったよ」
朝山「俺は奥森さんがいるからベンチだな」
白銀監督「こいつらなら今年も甲子園に出れそうだな」

赤竜高校
中西監督「それじゃ今日は解散!」
真田「それじゃ監督のおごりで食事をしましょうか♪」
全員「?」
中西監督「ちょっと待て何で俺が!?」
真田「忘れたんですか3回戦で僕の代わりに出た斎藤が打てなかったんですよ」
中西監督「―――そう言えば代打が打てなかったら食事をおごる約束してたな」
吉田「そんな約束してたのか?」
真田「あの時は七瀬さんが病院行ってましたからみんなで食事どころじゃなかったですからね」
中西監督「―――まあ約束は約束か分かったよ。俺のおごりで食事しに行くか!」
全員「やったあ!」

定食屋
斎藤&吉田「やっぱりここなのか?」
結依「おう! いらっしゃーい!」
斎藤&吉田「アンタ誰?」
中西監督「出たな妖怪!」
斎藤&吉田「はあ?」
結依「相変わらず良い度胸じゃな。このガキは!」
斎藤&吉田「ガキ?」
大下主将「結依婆さん、おひさです!」
斎藤&吉田「婆さん?」
結依「いつも婆さんを付けるなと言っとるじゃろうが!」
大下主将「すみません」
斎藤&吉田「あのこちらの方は?」
真田「ここの主人の天神結依( あまがみゆえ )さんだよ。実年齢は不明だけど監督より年上らしいよ」

紹介された天神結依の見た目は斎藤達と同い年くらいにしか見えなかった。
結依「そうじゃ我は汝よりも年上じゃから敬うのじゃ!」
斎藤&吉田「嘘だろう!? つうか変な言葉遣い?」
相良「最近はRPGにでもハマッてるんだろう」
結依「そこの真二の貢物じゃからな。楽しく遊ばせてもらってるのじゃ!」
大下主将「あの貸しただけであげた訳じゃないんですが?」
中西監督「諦めろこの妖怪に人間の道理は分からん」
結依「だから人間だと言っとるじゃろう。そんな事言ってると料金は10倍取るぞ!」
中西監督「すみません」
斎藤&吉田「(何か逆らったらダメって事は分かったな)と言うかこの前は見かけなかったんですが?」
結依「うむ。あの頃は忍者にハマッていてな。だから客に気付かれず接客していたのじゃ!」
大下主将「それで今はゲームの魔王にハマッてるんですね」
結依「うむ。あの性格は我に通じる物がある!」
中西監督(昔から自分勝手な性格だし)
吉田「従業員は居ないんですか?」
結依「この店は我、1人じゃ。まあ実家に戻るのが嫌で道楽で始めた様な仕事じゃがな。案外気に入ってなずっとやっているのじゃ!」
斎藤「どれくらいやっているんですか?」
結依「90年くらいじゃな?」
全員「ええっ!?」
中西監督「嘘だぞ。36年だよ」
全員「なんだ(つうか36年でも十分異常だし)」
結依「そこの啓示が肩を壊す前に始めてな。その頃はそいつも毎日の様に来てたな」
全員「へーえ毎日ですか」
中西監督「言っておくがお前らが勘繰る様な事はないからな」
結依「肩を壊してからは来なくなってな。ワシが慰めて連れて来た事もあったな」
全員「へーえ」
中西監督「いきなり地面に投げ付けられて引き摺られながら連れて来られたんだが」
全員(おっかねえ!?)
結依「それでこいつはワシと結婚してな。現在は別居中じゃ!」
全員「ええっ!?」
中西監督「だから嘘を付くなっての」
結依「ふむ。冗談はこのくらいにしておくかのー」
全員(なんだ冗談か本気で信じちまった!?)
結依「とりあえず天神結依、独身じゃ、よろしくな!」
斎藤&吉田「よろしくお願いします」

こうしてまた変わった人間と出会った斎藤達だった。

喫茶店MOON
月砂「へーえ、結依さんと会ったんだ」
斎藤「姉貴はやっぱり知ってたんだな」
月砂「まあね。それでお狐様に出会った感想は?」
斎藤「本当に狐に化かされてるみたいだよ。あの人、本当に監督より年上なの?」
月砂「そう聞いてるわよ。その証拠にご近所のご老人連中は結依様って呼んでるらしいわよ」
斎藤「凄いカリスマ性を持っているのは何となく分かったよ」
月砂「まあ、私も結依さんにはお世話になってるからね」
斎藤「ひょっとしてあの人、有名人?」
月砂「ええ。知らないのは子供くらいよ」
斎藤「知らないのは子供くらいですか」

現在買い物中
斎藤「えっとこれで良いんだよな。つうか調味料って何種類あるんだよ?」

現在、斎藤は買い物中、その理由は珍しく月砂が注文し忘れていた調味料の代わりを買う事になったからだ。
斎藤「まあ、姉貴も一応女だからな。夜に外出させるのはな――――――つうか俺はシスコンじゃないやい」

誰に対して突っ込んでるのか分からない斎藤だがそんな斎藤を見て他のお客は目を逸らす。
斎藤「それじゃ帰るか――――――あれ?」

とりあえず買い物も終わり帰る途中に斎藤はふと珍しい物を見つけた。
斎藤(鳥居? こんな所に神社なんてあるんだ?)

何となく気になったので斎藤は神社に行った。

赤竜神社

−赤竜神社−
赤竜神が黒き大蛇を退治した由緒ある神社です。
斎藤「何かキャプテンが喜びそうなネタだな。続きを読んでみるか」

赤竜は元々荒神として忌み嫌われていましたが大蛇が現れていた事で別の目で見られる様になりました。
斎藤「ふんふん」

いきなり何処からか現れた大蛇が村の者達を食らいまくった時に荒神として忌み嫌われていた赤竜が出現し大蛇を一瞬にして倒しました。
斎藤「いきなりとか一瞬とか凄くテンポの良い話だな。はっきり言うと嘘っぽいや」
結依「そうバカにした物でもないぞ」

いつの間にか斎藤の傍には今日出会った結依が居た。
斎藤「――――――結依さんか驚いた」
結依「ふむ。なかなか良い胆力をしとるな。そう言うとこは似とるな」
斎藤「似てるって監督にですか?」
結依「それは秘密じゃ!」
斎藤「まあ、それは良いですけど、結依さん、女性がこんな時間に出歩くのはどうかと思いますよ?」
結依「それはこっちのセリフじゃ、子供が出歩く時間ではないぞ!」

現在は夜の10時過ぎくらい。
斎藤(結依さんって姉貴に似てるよな。違うか姉貴が結依さんに似てるのか)
結依「どうした?」
斎藤「いえ。結依さんに似てる人を思い出して」
結依「ほう。興味深いな。お主の想い人か?」
斎藤「いえ血の繋がった姉です」
結依「禁断の」
斎藤「そんな訳あるか―――!!」

結依が言う前に斎藤は思いっきり叫んだ!
結依「別に恥ずかしがる事はないじゃろう。大昔は姉弟で結婚など当たり前の事だぞ」
斎藤「だから違うんです」

とりあえず必死に説明して誤解は解けた。
結依「なんじゃ月砂の事か」
斎藤「姉貴を知ってるんですか?」
結依「うむ。有名人じゃからな」
斎藤「姉貴って有名なんですか?」
結依「知らんのか? まあいい。あの歳で1つの店を切り盛りする手腕もそうだが、生まれつき人を引き付ける魅力もあるからな。ご近所では有名人じゃ」
斎藤「知らんかった(と言うか姉貴も結依さんの事を似た様に言ってたな)」
結依「しかしお主が月砂の弟とはな。今の内に既成事実を作っておくか」
斎藤「―――えっと冗談ですよね」
結依「―――本気だと言ったらどうする?」
斎藤「………………」
結依「冗談じゃ」
斎藤「すみません。こういう冗談には免疫がないので勘弁して下さい」
結依「見たいじゃの、さてと、ずい分話が脱線したな。そろそろこの神社の話を」
斎藤「いえ。もう遅いですし話は今度に」
結依「ここで帰るとワシのフラグが立たんぞ」
斎藤「フラグってゲームじゃないんですから(さっきはRPGだったのにもうAVGにでもハマッてるんだろうか)」
結依「まあ、年寄りの話は聞け。聞いて損をする事はないし、それに責任を持ってワシがお前を家まで届けてやる!」
斎藤「はあ、分かりました」

姉との経験かこの手のタイプには何を言ってもムダと悟っている斎藤は素直に話を聞く事にした。
結依「ここ赤竜市に人間が住むより前には神などが住んでいたらしいのじゃ、その頃は物静かで良い所だったらしい。無論今も良い所じゃぞ!」
斎藤「そうですね」
結依「それで人間が住む様になってからは神などもほとんど去ったらしい。人が追い出したのではなく勝手に居なくなったのがポイントじゃ、神は人に関わるのは避ける性分らしいからのー、まあ人伝に聞いた話じゃが」
斎藤「去ったのがほとんどって事は?」
結依「うむ。残った僅かな神の1柱が赤竜じゃ、ここからが神社の話になる。まずは大蛇の出現じゃが大蛇は元々普通の人間だったそうじゃ」
斎藤「普通の人間?」
結依「人とは神にも悪魔にもなれる物らしい、それが神が人に関わらない理由とも言われておるのじゃ」
斎藤「―――神にも悪魔にも」
結依「普通の人間だった青年はいきなり大蛇となり目の前にいる人間達を食らっていきました。人々はいきなり現れた黒い大蛇の前になすすべもなく神様に祈りました。そして今まで荒神と言われていた赤竜が出現し大蛇を一瞬にして倒しました」
斎藤「赤竜は何で荒神と言われていたんですか? それと、どういう理由で普通の人間が大蛇になったんですか?」
結依「それは謎じゃ、まあ話に残ってないところから人に取って都合の悪い話なのじゃろう」
斎藤「はあ」
結依「しかしじゃな。嘘っぽいと言ったわりにハジメはすっかりこの話を信じとるなー」
斎藤「それは結依さんの話し方と言うか雰囲気が本物っぽいから」
結依「まあ、話し慣れておるからな」
斎藤「むう。と言うか結依さんだってこの話を信じてるじゃないですか?」
結依「当然じゃ、実家は神社だからな。神を否定する訳にはいかんじゃろう」
斎藤「神社って?」
結依「ここの神社ではない。まあ、さっきの話は半分が本当で半分が嘘の様な話じゃからあまり本気にするな」
斎藤「別に本気で信じてる訳じゃないですよ」
結依「そうか、まあ、こういう話を誰かに聞いてもらいたい事もあるのじゃよ」

そう言った結依さんは大人の女性の表情をしていたせいかドキリとした。
斎藤(違う違う。俺はそんな軽くない)
結依「惚れたか?」

そう思った瞬間にこれだから今感じた気持ちも直ぐに覚めた。
斎藤「えっと送って行きますね」
結依「送るのは大人の特権じゃ! ワシがお前を送るのじゃ!」

と言う訳で結依さんに無理矢理家まで送られてどう言う訳か姉貴のすすめで結依さんは家に泊まる事になった。