第61章 みんな集まれオールスター!(後編)

−1997年 7月 下旬−
オールスター第2戦はオールパシフィックの勝利に終わり今年のオールスターは1勝1敗で終わる。
斎藤「休日は暇だなー」
球星「良い若いもんのセリフとは思えんのー」
斎藤「球星さんも口調が変ですよ」
球星「暇だからな」
斎藤「テレビでも観ましょうか?」
球星「そうだな」

インフィニティスポーツ
倉田「オールスターも終了! 今日はそれを振り返って見ようと言う事で放送させてもらいます!」
野村「なかなかに良い試合でしたからまた観るのも楽しみですね!」

オールスター第1戦 オールスター第2戦
天野 宗介 VS 斎藤 一 ライアン VS 大山 洋平

倉田「それでは上のチャンネルからどうぞ!」
野村「テレビの前の人には言っても仕方ないんじゃ?」
倉田「大丈夫です。こう言うのは気持ちの問題です!」
野村「そう言う物ですか?」

巨人寮 斎藤の部屋
球星「さあ斎藤!」
斎藤「無理です! 人間はテレビの中に入れませんから!」
球星「不便だな」
斎藤「そうですね」

インフィニティスポーツ
倉田「―――素晴らしいオールスター戦でしたね」
野村「ええまあ最後までハラハラでしたけど」
倉田「それでは公式戦も始まるので再び私達の出番とまた会いましょう!」
野村(長かった。やっと終わったのか)

巨人寮 斎藤の部屋
球星「……長かったな」
斎藤「そうですね。ダイジェストじゃなくフルで観ましたから、それも2戦も!」
球星「ところでお前の次の登板は?」
斎藤「相手はドラゴンズですよ。相手の地元だから球星さんも一緒にですね」
球星「名古屋か」
斎藤「どうしました?」
球星「古い知り合いを思い出してな。俺はこの通りだがあいつはどうなんだろうなって思ってな」
斎藤「あいつですか?」
球星「いや、俺と違って納得して逝ったんだろうな!」

そしてオールスター明けの1戦は中日ドラゴンズと後半戦初の斎藤の登板が始まる。

中日ドラゴンズ
大村監督「さてとオールスター明けの1戦目はジャイアンツだ!」
真田「今日は斎藤が相手か」
大村監督「ああ。オールスターでも好調の斎藤だな。あいつの不敗神話を終わらせるのがお前の役目だ!」
真田「お前達ではなくお前?」
大村監督「斎藤の不敗神話を終わらせるなら同校のお前が良いだろう! そしてこっちの先発は今年絶好調の紅月だな!」
真田「あの〜」
紅月「オールスターではあまり活躍できませんでしたからね。ここで年上の凄味を見せてやりますよ!」
真田「もしもし〜」
大村監督「うむ。星野もリードは頼んだぞ!」
星野「はい! 同じ高校の後輩相手にいつまでも負けるわけには行かないですからね!」
真田「ここにも困っている後輩がいるんですけど〜」
大村監督「後は打線だが慣れろ!」
真田「………………」
全員「は?」
大村監督「斎藤を打つには独特のストレートに慣れるしかない。既に後半戦だ。ルーキーにいつまでも大きい顔をさせるつもりか!」
全員「分かりました!」
真田「………………」
星野「ところで?」
大村監督「放って置け! それが一番疲れない方法だ!」
星野「はあ?(これじゃ真田は役立たずかな?)」
真田(ここまで放置されてこのまま収まると思うなよ!)

読売ジャイアンツ
垣内監督「今日の相手はドラゴンズだが相手の先発は今年絶好調の紅月だ!」
嘉神「紅月さんか、天野に似たストレートを投げるだけあって対戦しがいがあるんだよな」
神代「紅月か、高校時代も評価は高かったが御堂ほどじゃなかったな」
橘「当時は雪嶺高校の方が強く土丸屋(ヤクルト)さんの方が有名でしたからね」
上条「甲子園か、懐かしいなー」
垣内監督「同窓会じゃなく試合をするんだぞ! とにかく今日の先発は斎藤だ。なかなか勝ち星は付かないがここで調子を上げてくれ!」
斎藤「はい!」
堺「たしかになかなか12勝にならないからな」
斎藤「悪かったな」
マヌエル「大丈夫です。斎藤なら必ず12勝は行けます!」
斎藤「ありがとな」
堺「けどマヌエルはベンチだぞ!」
マヌエル「活躍する機会がなさそうなのが残念です!」
籾山(少しやりづらいな)

−1997年公式戦 ナゴヤドーム
真田 和希
後攻 先攻
VS
橘 小雨
福浦 孝之 上条 響
大上 吉宗 嘉神 高政
星野 哲也 神代 一歩
バナザード 槙原 凍牙
遠山 章太 籾山 圭太
五十嵐 高志 堺 戒
山根 信広 野原 終
紅月 悠 斎藤 一

放送席
倉田「さてと17回戦の試合をお伝えします。解説はドラゴンズの名捕手として活躍した田村さんです!」
田村「よろしくお願いします。まあ活躍と言っても星野のようなバッティングはできませんでしたけどね」
倉田「いえいえ。数々の名投手を生んだお方が何を言うのやら?」
田村「そう言われると照れますね」
倉田「ちなみに紅月選手はどうでしょう?」
田村「そうですね。新人の頃から打たれ弱い面が治ってないんですが、能力と言う事じゃ斎藤より上と見ますね!」
倉田「ふむ。紅月選手は田村さんが引退した年に入って来たんですよね」
田村「ええ。だから紅月とプレーはしてませんが最初に見たときは将来性の高そうな奴だなと思ってました。だからこそ1年目であれだけ活躍したのは私としては予想外でしたね」
倉田「予想外ですか?」
田村「はい。星野が上手く育てたんでしょうね。今じゃドラゴンズのエースになってますから!」
倉田「おっと、そろそろ試合の時間です。それでは解説よろしくお願いしますね」
田村「はい」

2回表 中日0−0巨人 斎藤と紅月は1回を三者凡退に抑えて2回に入った!
紅月「神代か」

ズバ―――ン!
神代「相変わらず速い!?」

倉田「149キロのストレートを空振り三振し1アウトです!」
田村「紅月は強打者に強いですからね。今年のジャイアンツはパワーヒッターも多いし結構打ちづらいでしょうね」

紅月「4番バッターが続くな」

ククッ!
槙原「ぬうっ!?」

倉田「高速シンカーを空振り三振しこれで2アウトです!」
田村「今日の紅月の変化球は抜群にキレてますね!」

紅月「次も4番を打っていた籾山さんか」

ガキッ!
籾山「せっかくのスタメンだったのに」

倉田「スラーブを打ち上げて3アウトチェンジです!」
田村「まだ2回ですが、今日の紅月は良いですね!」

紅月「今日は調子が良いな」
星野「たしかにな(しかし下位打線の方がやっかいかもな)」
紅月「どうしました?」
星野「いや(まあ力配分も状況によっては良いとも言えるんだが)」

堺「見事なまでに三者凡退か」
神代「今日の紅月からホームランは難しいかな」
槙原「しかしそう言う奴から打ってこそ4番だろう」
神代「ええ。そうですね」
籾山「俺もせっかくの出番なんだけどな」

2回裏 中日0−0巨人 紅月は2回も三者凡退と立ち上がりの良さを見せる!
斎藤「星野さんか、同校の先輩なんだがここはきっちりと抑えないとな!」

カキ―――ン!
星野「ふう、ようやく打てた気がするな」

倉田「140キロのストレートをセンター前に打った! これでノーアウトランナー1塁となりました!」
田村「ふむ。2回で球速も上がると思いましたが1回と同じく140キロ前半しか出ませんね?」

斎藤「いきなり打たれてしまった!?」

ズバ―――ン!
バナザード「打てなかったか」

倉田「142キロのストレートが決まりましたがこれは外れてフォアボール! これでノーアウトランナー1、2塁となります!」
田村「今日の斎藤はコントロールも安定していませんね。やはり調子が悪いんでしょうか?」

斎藤「こいつで決める!」

ククッ!
遠山「手か出なかった!?」

倉田「最後はカーブですがこれもギリギリ外れてフォアボール! ノーアウト満塁となってしまいました!」
田村「きわどかったですね。しかし次はチャンスに滅法弱い五十嵐ですからね」

斎藤「ピンチだな!」

ズバ―――ン!
五十嵐「ううっ、今年は本当にダメだな!?」

倉田「ここで145キロのストレート! 五十嵐選手は見逃し三振に終わり1アウト満塁となりました!」
田村「ピンチに強い斎藤とチャンスに弱い五十嵐と予想通りに終わりましたね!」
倉田「しかしピンチに変わりありません。不幸中の幸いで下位打線が相手と言う事くらいでしょうか」
田村「そうですね。斎藤は大差負けと言うか負けはありませんでしたね。大量失点の試合がかなり少ないんですよね。だからこの場面でも活躍を期待してしまうんですよね」

斎藤「ようやく1アウトか、次は山根さんとこの人とも何気に高校時代から対戦経験は多いんだよな」

カキ―――ン!
山根「初めて斎藤から打てたぞ―――!?」

倉田「143キロのストレートを右中間へ! ランナーは2人返ってこれで1アウトランナー1、2塁となります!」
田村「予想が外れましたね。まだ大量失点ではありませんが」

斎藤「まさか山根さんから打たれるとは………いやあの人も2年目と頑張っているんだったな!」

ガキッ!
紅月「無理に打つべきではなかったか」

倉田「紅月選手はフォークを引っかけてダブルプレーに終わり3アウトチェンジです!」
田村「最後はあっさりと終わりましたね。ピンチの強さと言うより相手に助けられた感じでしたけど」
倉田「とにかくこの回に中日ドラゴンズは貴重な2点を入れて2対0とリードしております!」
田村「斎藤相手にこの2点はたしかに貴重ですね!」

堺「山根さんのボールも悪くなかったんだが仕方ないな」
斎藤「それで今日の俺はお前から見て悪いか?」
堺「……ま、普通だな」
斎藤「そうか(返答に困るな)」

山根「高校時代には散々だった相手からようやく打てた!?」
星野「すごい喜びようだな?」
真田「無理もないですよ。僕が覚えているのは山根さんの三振シーンばかりでしたから」
遠山「たしかにそれは打てて嬉しいのも当然だろうな」

6回表 中日5−0巨人 その後も斎藤は打たれるがなんとか続投を続けている!
倉田「普通なら降板なんですが斎藤選手はまだ続投中ですね。不敗神話を信じているんですかね?」
田村「正直、他のピッチャーで流れを変えた方が良いと思うんですが、今日の紅月は良いですからね」
倉田「この2戦の初戦でピッチャーを多く使いたくないと言う事でしょうか?」
田村「はい。厳密には4戦ですからね。ドラゴンズの2戦の後はカープの2戦と休みなしで続きますから」
倉田「なるほど、だから斎藤選手をできるだけ引っ張りたいと言う事ですか、ですがその前にジャイアンツの攻撃に期待しましょう!」
田村「そうですね。ジャイアンツの打線は強力なので爆発するととんでもない事になると思うのですが?」

紅月「記録も大事だが何よりも大事なのは勝つ事だな!」

カキ―――ン!
堺「期待のゴールデンルーキーを舐めてもらっては困る!」

倉田「紅月選手は完全試合を継続中だったんですがあっさりと打たれて終わりました!」
田村「まあ今のは打った堺が良かったんですが、それにしてもあっさりと終わりましたね」
倉田「とにかくジャイアンツの初ヒットが出てノーアウトランナー2塁となりました!」
田村「こうなると斎藤の続投も良くなりますね。斎藤はバッティングが恐ろしいほど良いですから」

紅月「仕方ない。打った堺が上手だっただけだ」

ガキッ!
野原「こんなのよく打てるな」

倉田「高速シンカーを引っかけてショートゴロに終わり1アウトです!」
田村「やはりそうそうは打てませんか」

斎藤「そこだ!」

カキ―――ン!
紅月「っ!?」

倉田「ここで打った! 打球はセンターの頭を越えて打った斎藤選手はセカンドに止まりランナーが返って5対1となりました!」
田村「打つんじゃないかとは思いましたが本当に打つとやはりとんでもないルーキーですね!」

紅月「よく打つ奴だ」

ガキッ!
橘「むう〜!」

倉田「橘選手は打ち上げてキャッチャーフライに終わり2アウトランナー2塁となりました!」
田村「橘は今年も文句なしの活躍なので期待できると思ったんですけど」

紅月「こいつで終わりだ!」

ズバ―――ン!
上条「またもや三振か」

倉田「橘選手に続いて上条選手にも150キロのストレートを決めます! 結果は見逃し三振で3アウトチェンジです!」
田村「ベテラン……と言うには若いですが橘や上条が打てなかったのに比べてルーキーコンビがよく打ちましたね」

星野「記録を止めてすまなかったな」
紅月「問題ありません。今日の目標はチームが勝利して斎藤の不敗神話を終わらせる事ですから」
星野「そうだったな」
紅月「ここで勝ってチームに勢いをつけたいですからね」

堺「ふふっ、完全試合を打ち砕くとこれで俺のファンも増えたな!」
斎藤「そうだな(その後にタイムリー打ったのは俺なんだけどな)」

6回裏 中日5−1巨人 斎藤の意地の一振りで1点を返すジャイアンツ!
斎藤「ここから抑えて行かないとな!」

カキ―――ン!
山根「また当たった!」

倉田「またしてもストレートを打たれました! 結果はライト前ヒット! ノーアウトランナー1塁となります!」
田村「140キロ前半だし調子が落ちたのか疲労が出て来たのかのどちらかですかね?(あるいは両方か?)」

斎藤「また打たれた!?いいや落ち込んでる暇なんてない!」

ガキッ!
紅月「当たる事は当たるんだがな」

倉田「140キロのストレートに当てますがサードの籾山選手が捕ってセカンドに投げてアウト! ファーストは……セーフです! これで1アウトランナー1塁となりました!」
田村「まあ併殺にならなかっただけマシですね」

斎藤「ここで真田か」

カキ―――ン!
真田「ついに斎藤から打ってやったぞ!」

倉田「スライダーをセンター前ヒット! これで1アウトランナー1、2塁となります!」
田村「セカンドランナーの存在が真田の足を封じているのは不幸中の幸いですか」

斎藤「真田にも打たれたか」

ククッ!
福浦「これで調子が悪いのかよ!」

倉田「カーブを空振り三振し2アウトランナー1、2塁となります!」
田村「ストレートに当てて来てるせいか変化球を多投していますね。堺のリードでしょうか?」

斎藤(たしかにストレートが通じない以上変化球でかわすしかないか)

ガキッ!
大上「打ち上げたか」

倉田「最後は144キロのストレートを打ち上げて3アウトチェンジです!」
田村「決め球はストレートでしたね。つまり特に変化球にこだわっていたわけでないようですね」

堺「つまり俺のおかげで無失点に抑えられたわけだな」
斎藤「何言ってるのか分からないが? 俺、今日5失点しているからな」
堺「1回で1点入れられたんだ。逆転できるって!」
斎藤「この後に1回ずつ1点入れても1点差で負けるんだよ!」

真田「返れなかったのは残念だったけど、打てて良かったな♪」
大上「しかし俺にはノビたストレートが来たような気がしたけどな?」
真田「斎藤は昔からランナー背負うと強いピッチングをする奴ですから」
福浦「そう言う事か」

9回表 中日11−1巨人 斎藤は7回で降板し今は他のピッチャーが頑張っている!
倉田「さすがにこれはもう終わりでしょうがファンのみなさんは不敗神話を信じているのかジャイアンツの応援を続けています!」
田村「10点差ですから、ファンの気持ちも分かりますがさすがに逆転はおろか同点もないでしょうね。既に斎藤も降板してますし」
倉田「そうですね……しかし最後の攻撃になるのか、この回の最初のバッターは嘉神選手です!」
田村「クリーンナップからと普段なら期待できるんですが点差が点差ですからね」

紅月「3人できっちりと抑えるぞ!」

ガキッ!
嘉神「ストレートだったか!?」

倉田「150キロのストレートを打ち上げピッチャーフライに終わり1アウトです!」
田村「9回で150キロってのもすごいですね」

紅月「神代か、ここまで来たんだ。きっちりと抑えてやる!」

スト―――ン!
神代「……シンカーじゃなかったか」

倉田「最後はフォークを空振り三振! これで2アウトです!」
田村「決め球は高速シンカーと思ったんですが予想外でしたね!」

紅月「最後はやはりこいつか!」

ククッ!
槙原「ぬっ!?」

倉田「最後はスラーブを空振り三振! 試合終了です! 11対1で中日ドラゴンズの勝利に終わりました!」
田村「分かってはいましたが不敗神話崩壊ですね」
倉田「はい。斎藤選手の記録もこれで終わりますと言っても11勝1敗とルーキーながら文句なしの成績ですけどね」
田村「そうですけどね。まあ紅月も最多勝のタイトルを狙えそうな位置にいるし貴重な1勝ができましたよ!」

中日ドラゴンズ
大村監督「貴重な1勝よりも斎藤の神話を俺達が止めた事に意味がある試合となったな!」
紅月「まあそうですね。それはそれとして最後は高速シンカーではなくスラーブでしたね?」
星野「悪かったな。点差からして逆転はないと思ったし好きなボールを投げさせても良かったんだが神代と槙原さんの狙いは高速シンカーだと直感してな」
紅月「いえ。そう言う返答が来ると思って確認したかっただけですから」
星野「そうか、どうしてもサインが合わなければ遠慮なくクビを振ってくればいいからな」
紅月「まあ機会があればですけど」
大村監督「あいつらには俺の言葉は届いてないようだから言っとくが明日もこの調子で勝つんだぞ!」
真田「任せて下さい!」
大上「今日はみんな打てたと文句なしの活躍だったわけだが」
バナザード「オレはノーヒットだったがな」
大上「悪かった」
福浦「たしかに俺も打てたけど、活躍したとは言えないか」
山根「俺は忘れられそうもないほど活躍できましたよ!」
遠山「オーバーな奴だな」
山根「惜しくも誕生日は過ぎましたがあの斎藤からこれだけ打てたのは俺の野球人生最高の日となったと言っても過言じゃないかと」
遠山「だからオーバーだっての(と言うかここで良いとか言ってたらこいつの成長はここで止まるんじゃないか?)」
五十嵐「おいおい。そんな事言っていたらお前の将来性も死んじまうぞ。いいか野球人生最高の日と今決めたらこの先のお前はもうこれ以上は成長しませんと言ってるような物だろう!」
遠山(落ち込んでなければ格好良いセリフなんだがな)
山根「…………そうですね! 明日からも気を引き締めて頑張りますよ!目指せタイトル!」
遠山(さすがに今年のタイトルは難しいだろうな)

読売ジャイアンツ
垣内監督「負けたか、試合の敗北より斎藤の負けの方が痛いな」
斎藤「すみません」
垣内監督「良いんだ。記録はなくなる事もあるからな」
堺「さすがは監督、名言ですね」
垣内監督「お前にはバッテリーコーチに言ってきびしい特訓を追加してもらう!」
堺「げっ!? あの人、めちゃくちゃきびしいからなー」
神代「まあ俺達も紅月にはほとんど抑えられましたからね」
斎藤「たしかに調子良くても投げ負けた可能性は高そうですね」
嘉神「まあ負けるときは負けるし次に勝てばいいさ」
斎藤「はい。そもそも調子悪くなってこれまで負けなかったのが不思議なくらいでしたから心機一転頑張ります!」
橘「ははっ、斎藤らしいな」
上条「まあルーキーは元気なのが一番だからな」
籾山「2年目のお前も元気だしな」
野原「………………」

読売ジャイアンツ
中日ドラゴンズ × 11 14
勝利
紅月悠 13勝3敗0セーブ
セーブ
敗戦
斎藤一 11勝1敗0セーブ
本塁打
星野哲也21号
今日のヒーロー 紅月悠 9回1失点完投勝利!
山根信広 2回裏の先制タイムリーヒット!

巨人寮 斎藤の部屋
球星「斎藤選手、ついに不敗神話崩壊か」
斎藤「見出しを声に出して読まないで下さいよ」
球星「仕方ないだろう。次のページに行くのはお前の手を借りなきゃならんからな。声を出してサインを送るような物だな」
斎藤「なんか納得いかない理由ですが、まあいいですよ!」
球星「まあ負けるときは負けるしな。エースがシーズンを無敗で終わるのは難しい事だし狙うならもっと成長してからだな」
斎藤「別に狙ってたわけじゃないんですけどね。まあシーズン記録じゃ10割の勝率でタイトル獲った選手(ひと)もいますからね」
球星「それじゃ詰まらん。どうせなら20勝以上で記録を作って見るんだな」
斎藤「それはきびしい条件ですねー」

福岡ダイエーホークス
堀内監督「今日の相手は千葉ロッテマリーンズだ。相性の良い相手と言いたいところだが」
海藤「最近は負けが多くなって来てますからね」
堀内監督「まあな。ちなみに相手の先発は小島だ。浅野と違ってコントロールは悪いがスタミナは無尽蔵かってくらいだから下手に粘るとこちらが苦しむ事になるから注意してくれ!」
宮本「小島が相手か」
葛城「昨年は悪かったですが4年で30勝してますからね」
秋月「浅野に次ぐピッチャーですね」
笹川「最下位ながら頑張っているチームですか」
青葉「打つ奴はいないがチーム防御率はそれなりだから投手陣はそれなりに良いだろう」
平井「注意するのは4番の八坂だけか」
大友「そうだな。小島は失点も多いし打つ機会は多そうだ」
アルベルト「楽しみだな〜!」
俵坂「俺ももう少し打たないとな!」

千葉ロッテマリーンズ
本田監督「今日の相手は珍しくも優勝争いに加わっているホークスだ!」
八坂「辛口ですね」
本田監督「事実だ。しかし俺達の試合勘の問題もある?」
姫島「オールスターを無視するなら9日振りの試合か」
本田監督「とにかくこっちはオールスター明けの試合だ。おまけに向こうは3連勝中と勢いがある!」
寺井「たしかに」
本田監督「とにかくいかに失点を少なくして勝つかだ!」
小島「任せて下さい!」
全員(すごく不安だー)
小杉「とにかく失点は少なくですね」
桜庭「うむ。八坂に期待しないとな」
不破(大丈夫か、今日の試合?)
江草(なんとしてもスタメン定着するぞ!)

−1997年公式戦 福岡ドーム−
秋月 百太郎
後攻 先攻
VS
姫島 正夫
笹川 真吾 寺井 安人
平井 豊 リッチー
青葉 棗 八坂 健太
葛城 紅葉 小杉 猛
大友 勇輝 桜庭 慶一郎
DH アルベルト ギャラード DH
海藤 知也 不破 烏
俵坂 悠介 江草 雄二
宮本 連夜 小島 真次

放送席
倉田「今日の試合は福岡ダイエーホークスVS千葉ロッテマリーンズです。注目するところはオールスター明けから3連勝中のホークスとオールスター明け初試合となるマリーンズと言ったところでしょうか?」
近衛「そうですけど、ホークスはオールスター前にマリーンズに2連敗しているんですよね」
倉田「えっと? ホークスはオールスター後に3連勝中ですが、マリーンズはオールスター前にホークスに連勝中と言う事は今日勝てば3連勝と言う事ですか?」
近衛「はい。ホークスが勝てば4連勝でマリーンズが勝てば3連勝と両チーム共に勢いがあると楽しみな試合になりそうですよ!」
倉田「なるほど、遅れながら実況はこの私、倉田鈴姫と解説には近衛正義さんに来てもらいました。それでは試合の始まりです!」
近衛「よろしくお願いします」

7回表 ダイエー5−0ロッテ ホークスの打線は好調で小島を順調に打っている!
宮本「俺はこの回が終わったら交代かな?」

ガキッ!
寺井「今日は完全に抑えられているな」

倉田「スライダーを引っかけてファーストゴロに終わりまずは1アウトです!」
近衛「キレていますが宮本のスタミナ的にこの7回で交代でしょうね」

宮本「ふう、今のところ完全に抑えているんだが」

ガキッ!
リッチ「チッ!」

倉田「カーブを引っかけてファーストゴロに終わりこれで2アウトです!」
近衛「今日の宮本はマリーンズ打線を1安打と完全に沈黙させてますね」

八坂「こいつを待っていた!」

カキ―――ン!
宮本「なっ!?」

倉田「これは行った―――と思いましたが福岡ドームは広かったです! フェンス直撃の当たりで打った八坂選手はセカンドに止まる2ベースヒットです!」
近衛「千葉マリンスタジアムなら入ってましたね。しかしシンカーを完全に狙って打つと大した奴ですよ!」

宮本「今日の俺はここからだ!」

カキ―――ン!
小杉「ようやく打てたか」

倉田「今度は入った! ライトスタンドに叩き込む2ランホームラン! これで5対2と3点差になりました!」
近衛「シンカーを完全に打ちましたね。八坂も見事と思いましたが小杉の方が上の結果と5番を打つだけはありますね!」

宮本「ふふっ、まだだ!」

ククッ!
桜庭「続けなかったか」

倉田「最後はシンカーを空振り三振! ようやく3アウトチェンジです!」
近衛「桜庭は続かなかったですね。まあ八坂や小杉が良くやったって事ですね」
倉田「しかしシンカーを打たれてからはシンカーばかり投げてましたね?」
近衛「それは海藤のリードですね(ルーキーの頃から似たような配球ばかりだからな)」

宮本「見た前、海藤君、これが僕の実力だよ!」
海藤「はい。自信のあるボールを投げると抑えられる物ですよ」
飯島(8回からあの人のリードで俺が投げるんだよな。まあいまさらか)

ギャラード「空振り三振か」
桜庭「言い訳ではありませんが宮本さんの調子はすごく良いですから」
ギャラード「たしかにな(オレもノーヒットだしな)」
桜庭「ふう、しかし後2回で3点差なら届くか?」

7回裏 ダイエー5−2ロッテ 小杉の一振りで2点を返すとマリーンズも意地を見せる!
小島「こっちも行くぜ!」

ガキッ!
秋月「なんて球威だよ!?」

倉田「ストレートの球威に押されたかピッチャーゴロに終わり1アウトです!」
近衛「球数も多いのに150キロ出てるし相変わらずのスタミナですね」

小島「うらっ!」

ガキッ!
笹川「コントロールがめちゃくちゃだな!?」

倉田「笹川選手( こちら )も152キロのストレートに当てますが結果はピッチャーゴロに終わります!」
近衛「コントロールが悪いですが、今は良い方向に行ってますね」

小島「こいつで決めるぜ!」

スト―――ン!
平井「っ!?」

倉田「最後のフォークは外れてフォアボールです! 2アウトランナー1塁となりました!」
近衛「フォークで良かったですね。ストレートなら平井にぶつかってたかも知れませんよ」
倉田「わざとではないと分かっていますがフォークだったおかげで平井選手は避ける事ができましたからね」
近衛「ええ。ストレートだと避けるのは難しかったかと思います」

小島「ぐぬぬっ!」

ズバ―――ン!
青葉「しまったな」

倉田「最後はボール球のストレートを空振り三振で3アウトチェンジです!」
近衛「青葉らしくないバッティングでしたね。全盛期ならまず見逃すボールでしたよ」
倉田「これで7回も終わりです。5対2と3点差になりましたしマリーンズの逆転の可能性も出て来ましたね」
近衛「そうですね。後2回で3点差なら逆転も不可能ではないでしょう」

小島「見事なピッチングと誉めても良いんだぞ!」
八坂「そう言うセリフはミットに投げ込んで言って下さい」
小島「けどよ。この回はノーヒットで抑えたぞ?」
八坂「それはまあ」
小島「結果良ければすべて良しだ!」
八坂(このまま行けば敗戦投手なのを忘れてるのかな?)

葛城「速いせいかつい振ってしまいますね」
青葉「ああ(情けない! 昔の俺なら難なく打てたのにっ!)」
葛城「まあコントロールの悪いピッチャーはある意味打ちにくいですからね」
青葉「そうだが八坂のリードもないしもっと打てるとは思うんだがな」
葛城「ちゃんと打ってますよ。5点取ってるんですから」
青葉「……まあな」

8回表 ダイエー5−2ロッテ 小島のスタミナは衰えず7回はノーヒットに抑える!
倉田「ついに試合も8回に入りますがここでピッチャーの交代です。宮本選手に代わって飯島選手がマウンドに向かいます!」
近衛「飯島ですか、昨年は散々な結果でしたが今年はそれなりに良いですね」
倉田「はい。今年はプロ初勝利をして中継ぎとしてそれなりに活躍してますね」
近衛「昨年は投手陣が壊滅的だったから仕方ないですね……まあ今年も投手陣は昨年と同じくらい悪いですけど」

ギャラード「狙うはストレートか」

カキ―――ン!
飯島「むっ! いきなり打たれてしまった」

倉田「三遊間を抜けた! セカンドには走れずノーアウトランナー1塁となります!」
近衛「145キロでしたがコースがあまかったですね」

飯島「むんっ!」

スト―――ン!
不破「これは打てないな」

倉田「フォークは外れてフォアボール! これでノーアウトランナー1、2塁となります!」
近衛「飯島の悪い癖が出ましたね。打たれ弱いわけじゃないんですが打たれるとコントロールが悪くなる事がたまにあるんですよね」

江草「ここだ!」

カキ―――ン!
飯島「………………」

倉田「145キロのストレートを引っ張って右中間を抜けた! ランナーは1人返ってこれでノーアウトランナー2、3塁となります!」
近衛「今のは簡単にストライクに入りすぎましたね。飯島と言うより海藤のリードミスでしょうね」

姫島(狙うはフォーク!)

カキ―――ン!
飯島「なっ!?」

倉田「フォークを綺麗に打った! 打球はライトの頭を越えて打った姫島選手はサードまで走ります! これで5対5の同点となりました!」
近衛「信じられない逆転劇ですね……まあホークスの投手陣は悪いですからこう言う展開もままありますか」
倉田「まだ同点ですけどね。しかし逆転のチャンスでもあります!」
近衛「そうでしたね」

飯島「むんっ!」

ガキッ!
寺井「重いしっ!?」

倉田「148キロのストレートを打ち上げてセカンドフライに終わりこれで1アウトランナー3塁です!」
近衛「ようやく1アウトですね」

飯島「ふう、ようやく1つか」

スト―――ン!
リッチー「結構落ちるな」

倉田「フォークを空振り三振! これで2アウトランナー3塁となりました!」
近衛「こう言ってはなんですがあっさりと2アウトまで行くと意外でしたね」

八坂「このフォークだ!」

カキ―――ン!
飯島「またかよ!?」

倉田「先ほどの回に続いてまたしても打った! 打球は左中間を抜けて打った八坂選手はセカンドに止まります! そしてランナーは当然返ってマリーンズがついに逆転しました!」
近衛「終わるかと思えばこれですよ。今日のマリーンズは強いですね」

飯島「今年の俺はここから抑えられる!」

カキ―――ン!
小杉「やったー!」

倉田「小杉選手も打った! 打球はセンターの頭を越えて打った小杉選手はセカンドに止まり八坂選手はホームに返ってこれで5対7と、千葉ロッテマリーンズ、更に追加点をあげます!」
近衛「……本当によく打ちますね」

飯島「くそっ!?」

ズバ―――ン!
桜庭「速っ!?」

倉田「150キロのストレートを空振り三振し3アウトチェンジです!」
近衛「ようやく終わりましたか、しかしこの回だけで5点とすごかったですね」
倉田「そうですね。8回表が終わってマリーンズ打線が爆発し5対7とマリーンズが2点リードしたまま8回裏に入ります!」
近衛「2点差ですからホークスもまだ追いつけそうですね」

飯島「すみません」
海藤「いや悪いのは俺のリードだろう」
飯島「そんな事ないです。海藤さんはルーキーの頃から正捕手として頑張ってるじゃないですか?」
海藤「いやあのなー(俺は正捕手ってわけじゃないしリードはルーキーの頃からそんなに上達していないって言ってる暇もないか)」

ギャラード「また桜庭のところで終わりか」
桜庭「すみません」
ギャラード「いや相手ピッチャーの調子が良くなったせいだろう」
桜庭「ううっ、情けない結果に終わってしまったな」

8回裏 ダイエー5−7ロッテ マリーンズ打線が爆発し一気に逆転となった!
小島「逆転したんだ。このまま行くぜ!」

ガキッ!
葛城「球数も多いのに球速は変わらずか」

倉田「150キロのストレートに当てますが結果はショートゴロに終わり1アウトです!」
近衛「球速が全然落ちないと、小島のスタミナは相変わらずですね」

小島「うらっ!」

ガキッ!
大友「俺とした事が」

倉田「大友選手も151キロのストレートに当てますが結果はサードゴロに終わり2アウトです!」
近衛「ボール球に手を出すと大友らしくないバッティングでしたね(青葉だけでなく大友も衰えが来てるな)」

小島「これで終わりだ!」

ガキッ!
アルベルト「今日は全然打てないなー」

倉田「アルベルト選手は打ち上げてセカンドフライに終わり3アウトチェンジです!」
近衛「なんか裏はあっさりと終わりましたね? 小島のボールは安定してないし見て行ってもいいと思うんですが?」
倉田「表で逆転されましたからね。焦りから来る凡打で終わったしまったと言うところでしょうか」
近衛「なるほど(結構、この()もするどいのかもな)」

小島「わははっ、この回もノーヒットに抑えてやったぜ!」
八坂「たしかに、ですが今日は5失点している事もお忘れなく」
小島「大丈夫、勝てばなんの問題もないのだ!」
八坂(やれやれ否定しにくいなー)

海藤「後1回で2点差か……むう〜!」
アルベルト「すみません。後はよろしく頼みます」
大友「すまん」
葛城「とにかくまずは守って行きましょう!」
海藤「ですね」

9回表 ダイエー5−7ロッテ やはり小島のスタミナは衰えず8回もノーヒットに抑える!
倉田「いよいよ試合も9回です。この回のマウンドも飯島選手が向かいます!」
近衛「7回までは御堂の場面だと思っていたんですけどね?」
倉田「逆転したんだから仕方ありません。正直、表の攻撃には興味はないんですがしっかり観て行きましょう!」
近衛「ハッキリ言いすぎですよ!(自分も同感だけど)」

飯島「まだ試合は終わっていない!」

ズバ―――ン!
ギャラード「前の回より速くなっているな」

倉田「148キロのストレートを空振り三振し1アウトです!」
近衛「肩が温まって来たんでしょうか、心なしか前の回よりボールに力があるようですね」

飯島「ここをゼロで抑えて裏の攻撃に賭けるぞ!」

カキ―――ン!
不破「おっし、打てた!」

倉田「ライト前ヒット! スライダーを上手く打ってこれで1アウトランナー1塁!」
近衛「カウント稼ぎのスライダーを綺麗に打ちましたね」

江草「さっきの回と同じように打つ!」

カキ―――ン!
飯島「ぬっ!?」

倉田「江草選手も続きこれで1アウトランナー1、2塁です!」
近衛「前の回でも思いましたが本当によく打ちますね」

飯島(今度はストレートを打たれたか、だがここから抑えて見せる!)

カキ―――ン!
姫島「こんな物か」

倉田「フォークを打った! 打球は右中間を抜け……ていませんがランナーは1人返ってこれで1アウトランナー1、3塁となりました!」
近衛「今日の姫島は本当に良い場面で打ちますね」

飯島「また打たれてしまった」

ズバ―――ン!
寺井「今日は本当にダメだな」

倉田「寺井選手は見逃し三振! これで2アウトランナー1、3塁ですね!」
近衛「148キロと、飯島の調子は良さそうですけどね?」

飯島「まだ試合は終わっていない!」

ガキッ!
リッチー「オレも今日はダメらしいな」

倉田「150キロのストレートを打ち上げて3アウトチェンジです! 追加点のチャンスは行かせませんでしたがマリーンズはこの回に1点取ってこれで5対8の3点リードとなりました!」
近衛「後半になって良く打つと今日のマリーンズは下位打線の調子が良いんですかね?」
倉田「それは分かりませんがいよいよ9回裏に入ります。ホークスの最後の攻撃となるのか、あるいは延長戦に入るのか、楽しみな裏に期待しましょう!」
近衛「そうですね(しかし3点差はきついな)」

飯島「すみません」
海藤「気にするな。お前は良くやった。裏の攻撃に期待しとけ!」
飯島「はい」
海藤(俺が言っちゃいけないんだろうがピッチャーよりキャッチャーの補強が大事だな)

八坂「後は守るだけか」
リッチー「今日は打てなかった詫びにせめて守備で活躍しよう」
八坂「ええ。お願いします」
寺井(俺もそうしよう)

9回裏 ダイエー5−8ロッテ 今日は妙に勝負強い姫島のバッティングでマリーンズが1点追加する!
倉田「いよいよ9回裏に入りますがこの回のマウンドも小島選手が向かいます。てっきり守護神の永久選手が向かうと思いましたが」
近衛「普通ならそうなんですが小島は完投にこだわりますからね。本田監督もピッチャー出身なのかそう言う事には理解がありますからね」
倉田「ふむふむ」
近衛「ホークス、最後の攻撃になるのかを楽しみに観ましょう」

小島「完投勝利、もらったぜ!」

ガキッ!
海藤「やっぱり打てないし」

倉田「ストレートの球威に押されてかキャッチャーフライに終わり1アウトです!」
近衛「9回ですがボールに力がありますね」

小島「このまま行くぜ!」

カキ―――ン!
俵坂「なんとか当たったな」

倉田「レフト前ヒット! これで1アウトランナー1塁です!」
近衛「149キロと速かったのによく当てたと、さすがは期待のルーキーですね」

小島「まだまだ!」

ズバ―――ン!
秋月「結果オーライ!」

倉田「外れてフォアボール! 相変わらずコントロールが安定しませんね」
近衛「そうですね。ホークスが早打ちしているせいか助けられているんでしょうが……」
倉田「……まあ小島選手のスタミナを考えると付き合うバッターの方が先に疲れそうですからね」
近衛「はあ、そうなんですよね」

小島「おのれ―――!」

ズバ―――ン!
笹川「見逃してしまった」

倉田「152キロのストレートを見逃し三振! 珍しく笹川選手が三振しましたね」
近衛「秋月のフォアボールもありましたからね。つい見逃してしまったんじゃないでしょうか?」
倉田「しかしこれで2アウトランナー1、2塁となりました!」
近衛「得点圏でクリーンナップと期待が持てますね」

平井「ここで踏み込んで打つ!」

カキ―――ン!
小島「何っ!?」

倉田「センターの頭を越えた! 2人返って……すみません。1人返って1点返しましたが続く秋月選手はホームに返れずタッチアウトで試合終了です!」
近衛「秋月の暴走で終わりましたか」
倉田「試合は6対8で千葉ロッテマリーンズの勝利に終わりました!」
近衛「平井の一振りは見事だったんですけどね」

千葉ロッテマリーンズ
本田監督「最後はヒヤッとしたが良く抑えたな」
小島「勝てば良いんですよ。勝てばね」
八坂(リードするこっちとしてはもっと気を使って欲しいんだけどな)
小杉「今日は俺も打てたから良い日だったのは間違いないな。姫島さんもでしょ?」
姫島「まあな」
桜庭(相変わらずクールな人だな)
江草「俺も今日は打てたしこれからスタメン定着狙うぞ!」
不破(もうスタメン定着していると思うけどな?)
リッチー「オレは散々だったがオマエは良かったな」
ギャラード「そうですね」
寺井(俺はダメダメだったなー)

福岡ダイエーホークス
堀内監督「まさかの逆転負けだったな。とりあえず明日は勝って1勝1敗にしような」
宮本「そうですね」
飯島「すみません」
堀内監督「気を取り直して明日は頑張ろうな」
平井「そうですね。打線は良かったし失点を減らせば明日は勝てるでしょう」
秋月「明日は俺も気を付けます」
堀内監督「まあ個人的には積極的に走って行くのは嫌いじゃないんだが気を付けてくれると嬉しいかな」
青葉「まあ負けるときは負けるけどな」
大友「たしかに、しかしうちは後半戦に弱いとこがあるし今年こそは8月、9月と勝って優勝したいですね」
笹川「チームは3位だし今年こそはですね!」
葛城「明日勝てば首位との差は縮まるからな」
俵坂「優勝か」
アルベルト「良いですねー」
海藤(このまま行けばね……俺も長くこのチームにいるせいか裏切られる事が多いんだよなー)

千葉ロッテマリーンズ 11
福岡ダイエーホークス 10
勝利
小島真次 9勝11敗0セーブ
セーブ
敗戦
飯島信也 1勝3敗3セーブ
本塁打 小杉猛7号
平井豊17号
今日のヒーロー 八坂健太 8回表の勝ち越し打!

巨人寮 斎藤の部屋
斎藤「そう言えば名古屋に何かあったんですか?」
球星「いきなりなんの話だ?」
斎藤「ドラゴンズ戦の前にあいつって言ってたじゃないですか?」
球星「……ああ!」
斎藤「言いにくいなら無理に言わなくてもいいんですが、未練に関係あるのかなと思って」
球星「別に言いにくい話ではないんだが今となっては不可能な事だからな」
斎藤「不可能?」
球星「もう一度マウンドに立ちたいと思う気持ちはある。だがなピッチャーとしては戦いたいバッターがあってこそなのだ!」
斎藤「それはつまり」
球星「……名雲神威(なぐもかむい)、職業野球……今ではプロ野球と言う物を創った人物でもあるな」
斎藤「名雲神威って?」
球星「そうだ。今となっては対戦など不可能なワシと同じくあの世に旅立った奴だよ」
斎藤「そんなー」
球星「ふむ。暗くなってしまったな。気分を変えていつものあれに行こうか!」
斎藤「あれですか、はあ、分かりましたよ」

インフィニティスポーツ
倉田「今月はこれが最後の試合になります!」

7−3 2−3 6−5

野村「これまた簡潔ですね」
倉田「はい。今日のメインはこっちですから!」
野村「なんの事ですか?」
倉田「いつものあれです!」
野村「あれですか」

チーム 試合 勝数 敗数 引分 勝率 ゲーム差 チーム 試合 勝数 敗数 引分 勝率 ゲーム差
85 52 32 .619 78 44 32 .579
81 41 40 .506 9.5 84 45 37 .549 2.0
80 40 40 .500 10.0 85 45 40 .529 3.5
86 41 45 .477 12.0 88 41 46 .471 8.5
83 39 43 .476 12.0 86 38 47 .447 10.5
85 36 49 .424 16.5 79 33 44 .429 11.5

倉田「それではセリーグは変わらずスワローズが圧倒的な強さですね!」
野村「そうですね。ライアンが出てきてますます放した感じがしますね」
倉田「そしてパリーグですが接戦ですね。何処が勝ってもおかしくない順位です」
野村「正確にはブルーウェーブ、ライオンズ、ホークスの三つ巴ですね」

7月の月間MVP
野手部門 投手部門
村雨 剣 藤堂 太郎
柳生 雷蔵 佐伯 真敏

倉田「今月のMVPの発表です。ここで気になるのはルーキーで初受賞した2人でしょうか?」
野村「そうですね。村雨はルーキーながら勝負強く3割打っているバッターですし佐伯はルーキーながら奪三振トップと言うホークスのエースですからね」
倉田「今年も昨年に負けずすごいルーキー達が現れたって事ですね。そう言えば村雨選手はオールスターでMVPも獲得しましたね。後で全選手にごちそうして破産したと言う笑い話もありました!」
野村「それ笑っていいのかな?」
倉田「ちなみに柳生選手は現在の打点王ですし藤堂選手も防御率1位とチームの顔になって来ましたね」
野村「そうですね。柳生はすでにパリーグの4番ですし藤堂は勝ち運が今年もないですが後半戦で意外と勝ち星が量産するかも知れませんね」
倉田「まあ7月は4勝しましたね。これで2ケタ勝利に近づきましたよ」
野村「首位のチームのエースで勝ち星が付かないのも変ですが藤堂らしいですね」
倉田「今年のオールスターも終わりましたし今年のパリーグは何処が優勝するのか楽しみですね」
野村「まあセリーグは決まりでしょうね」

巨人寮 斎藤の部屋
斎藤「7月も終わりですね」
球星「ああ。今月は残念ながら誰かさんの不敗神話も終わると残念な事をしたな」
斎藤「悪かったですね」
球星「まあ8月に勝って汚名返上しないとな」
斎藤「なんか違う気もしますけど、気合を入れ直して頑張りますよ!」

こうして7月も終わり斎藤の不敗神話も終わった。しかし新人王の道は残されていると斎藤は8月も頑張って行く。